JP5894517B2 - プラスチックの押出方法及びプラスチックの押出用シリンダ - Google Patents
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Description
すなわち、図8において符号1で示されるものは二軸押出機であり、この二軸押出機1のシリンダ2は、上流Aから下流Bへ向けて配設された輸送部シリンダ3、混練部シリンダ4及び放出部シリンダ5から構成されている。
前記シリンダ1内には、一対のスクリュ11が回転自在に内設されており、このスクリュ11は、上流Aから下流Bへ向けて、輸送部スクリュ20、混練部スクリュ21及び放出部スクリュ22が設けられている。
まず、プラスチック原料Pは、ホッパ6から輸送部シリンダ3に供給され、スクリュ11の回転によって二軸押出機1の下流側に搬送される。搬送されたプラスチック原料Pは、加熱冷却可能なシリンダ2から供給される熱エネルギーと混練部スクリュ21の剪断応力により可塑化混練される。プラスチック原料Pがホッパ6に供給され、スクリュ11の回転によって押出機1の下流Bに搬送され、混練部シリンダ4でプラスチック原料Pが可塑化混練される際、溶融したプラスチックが混練部シリンダ4に充満し、シールされ、プラスチック原料Pと共に混入した不活性ガス成分または巻き込みエアー、プラスチック原料に残存している揮発成分などが、圧力の低いホッパ6側に逆流する。それらガス成分は、スクリュ11による搬送能力を阻害するため、ベント開口7によって除去していた。
すなわち、前述の輸送部シリンダ3は、図8ではブロック状に構成された状態としては示されていないが、実際には、図9から図12で示されるブロック状シリンダで構成されており、前記輸送部シリンダ3の中心位置には、樹脂の流れ方向Aに沿って上流側3Aから下流側3Bに向けて直線状に内孔2Aが形成されている。
また、本発明によるプラスチックの押出用シリンダは、少なくとも、輸送部シリンダ、混練部シリンダ及び放出部シリンダからなるシリンダ内に形成され一対の真円孔を互いに一部が重なり合うように連通させ端面8字状をなす二軸空間用の内孔内に、少なくとも輸送部スクリュ、混練部スクリュ及び放出部スクリュからなる一対のスクリュを互いに異方向内回りに回転自在に内設し、前記輸送部シリンダの上流の原料供給部のホッパからプラスチック原料を前記シリンダ内に供給し、可塑化混練して前記放出部シリンダから外部に押出すようにしたプラスチックの押出用シリンダにおいて、前記輸送部シリンダの内孔の上流側の入口における横断面上半分の左上角部及び右上角部に形成され弧状をなす1個のみの溝からなる左上側除去部及び弧状をなす1個のみの溝からなる右上側除去部を有し、前記左上側除去部及び前記右上側除去部を配した位置は、前記各スクリュの各サイドフォースが前記シリンダ内の他の位置よりも強くは動かない位置、すなわち、時計の短針の2時と10時の位置のみであり、前記輸送部シリンダを側面から見た時の前記内孔の高さは、前記輸送部シリンダの上流側から下流側にかけて同一もしくは順次狭くなるようにし、前記輸送部シリンダを平面から見た時の前記内孔の前記横断面上半分の幅は、前記輸送部シリンダの上流側から下流側にかけて同一、もしくは順次狭くなるようにし、前記内孔内における前記プラスチック原料の部分的滞留を防止する構成であり、また、前記内孔の上流側の前記左上側除去部及び右上側除去部の各側部内周には、部分的に直線内周側壁が形成され、前記各直線内周側壁は前記上流側から前記下流側へ向けて直線状で互いに内側に向けて傾斜して形成されている構成である。
すなわち、少なくとも、輸送部シリンダ、混練部シリンダ及び放出部シリンダからなるシリンダ内に形成され一対の真円孔を互いに一部が重なり合うように連通させ端面8字状をなす二軸空間用の内孔内に、少なくとも輸送部スクリュ、混練部スクリュ及び放出部スクリュからなる一対のスクリュを互いに異方向内回りに回転自在に内設し、前記輸送部シリンダの上流の原料供給部のホッパからプラスチック原料を前記シリンダ内に供給し、可塑化混練して前記放出部シリンダから外部に押出すようにしたプラスチックの押出方法において、前記輸送部シリンダの内孔の上流側の入口における横断面上半分の左上角部及び右上角部に形成され断面弧状をなす1個のみの溝からなる左上側除去部及び断面弧状をなす1個のみの溝からなる右上側除去部を有し、前記左上側除去部及び前記右上側除去部を配した位置は、前記各スクリュの各サイドフォースが前記シリンダ内の他の位置よりも強くは動かない位置、すなわち、時計の短針の2時と10時の位置のみであり、前記輸送部シリンダを側面から見た時の前記内孔の高さは、前記輸送部シリンダの上流側から下流側にかけて同一もしくは順次狭くなるようにし、前記輸送部シリンダを平面から見た時の前記内孔の前記横断面上半分の幅は、前記輸送部シリンダの上流側から下流側にかけて同一、もしくは順次狭くなるようにし、前記内孔内における前記プラスチック原料の部分的滞留を防止することができるため、従来の課題であるプラスチック原料の部分的滞留は緩和され、その部分のプラスチック原料は内孔上部の空間部を経て下流側へ安定的、継続的に流れて行くことができる。また、図12に最大処理量比と本発明の内孔からなる原料通過流路の面積比を示しており、従来の輸送部シリンダに比べて1.28倍の処理量で生産することができる。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
また、本発明と従来例との違いは、輸送部シリンダ3の内孔2Aの上流側3Aの横断面上半分40に、ざぐり、切削等による図2及び図6で示すように断面弧状をなす各1個のみの溝からなる左上側除去部41,右上側除去部42を形成することにより、プラスチック原料の内孔内への安定した食い込み及び送り込みを得ることである。
前記内孔2Aは、一対の真円孔43がその一部に互いに重なり合うように連通されて端面が8字状をなす二軸空間用となるように形成されている。
前記輸送部シリンダ3を側面から見た時の内孔2Aの高さHは、図3で示されるように、輸送部シリンダ3の上流側3Aから下流側3Bにかけて同一、もしくは順次狭くなる。
尚、前記内孔2Aの横断面上半分40の下側である横断面下半分40aは、前記各真円孔43の下部が互いに接続された状態で形成されている。
すなわち、2条スクリュ(スクリュの断面形状が略楕円)での2軸押出機の場合、スクリュフライトが原料を押し出す際に生じる圧力が軸を横に押す力=サイドフォースとなって、シリンダ11とスクリュフライトの位置関係(A)、(B)により、脈動的に生じることが知られている。
このサイドフォースF1、F2による軸ぶれを抑えるためにはシリンダ2の壁面からのサポートを必要とし、異方向内回りの場合、サイドフォースF1、F2がその極大となるのは、フライト山がシリンダ2上部を通過する際に樹脂を中央部のシリンダ2のくびれ2aに押し込むように動く時であり、この時のサイドフォースF1、F2の向きは下に開くよう(4時と8時の時計の短針の向き)に生じる。ここで、図6に示すように、各々1個のみの溝からなる左上側除去部41及び右上側除去部42を配した位置(2時と10時のみの時計の短針の向き)はサイドフォースF1、F2が強くは動かないので、サポートが無くても構わない位置となり、この位置に前記各除去部41、42を設けても軸ぶれの懸念は生じないためである。
2 シリンダ
2A 内孔
3 輸送部シリンダ
P プラスチック原料
3A 上流側
3B 下流側
3Aa 上流側横断面
3a 原料供給部
4 混練部シリンダ
5 放出部シリンダ
11 スクリュ
11a 輸送部スクリュ
21 混練部スクリュ
22 放出部スクリュ
H 高さ
W 幅
40 横断面上半分
40a 横断面下半分
41 左上側除去部
42 右上側除去部
43 真円孔
44 左上角部
45 右上角部
50 直線内周側壁
Claims (4)
- 少なくとも、輸送部シリンダ(3)、混練部シリンダ(4)及び放出部シリンダ(5)からなるシリンダ(2)内に形成され一対の真円孔(43)を互いに一部が重なり合うように連通させ端面8字状をなす二軸空間用の内孔(2A)内に、少なくとも輸送部スクリュ(11a)、混練部スクリュ(21)及び放出部スクリュ(22)からなる一対のスクリュ(11)を互いに異方向内回りに回転自在に内設し、前記輸送部シリンダ(3)の上流(A)の原料供給部(3a)のホッパ(6)からプラスチック原料(P)を前記シリンダ(2)内に供給し、可塑化混練して前記放出部シリンダ(5)から外部に押出すようにしたプラスチックの押出方法において、
前記輸送部シリンダ(3)の内孔(2A)の上流側(3A)の入口における横断面上半分(40)の左上角部(44)及び右上角部(45)に形成され断面弧状をなす1個のみの溝からなる左上側除去部(41)及び断面弧状をなす1個のみの溝からなる右上側除去部(42)を有し、前記左上側除去部(41)及び前記右上側除去部(42)を配した位置は、前記各スクリュ(11,11)の各サイドフォース(F 1, F 2 )が前記シリンダ(2)内の他の位置よりも強くは動かない位置、すなわち、時計の短針の2時と10時の位置のみであり、
前記輸送部シリンダ(3)を側面から見た時の前記内孔(2A)の高さ(H)は、前記輸送部シリンダ(3)の上流側(3A)から下流側(3B)にかけて同一、もしくは順次狭くなるようにし、
前記輸送部シリンダ(3)を平面から見た時の前記内孔(2A)の前記横断面上半分(40)の幅(W)は、前記輸送部シリンダ(3)の上流側(3A)から下流側(3B)にかけて同一、もしくは順次狭くなるようにし、
前記内孔(2A)内における前記プラスチック原料(P)の部分的滞留を防止することを特徴とするプラスチックの押出方法。 - 前記内孔(2A)の上流側の前記左上側除去部(41)及び右上側除去部(42)の各側部内周には、部分的に直線内周側壁(50)が形成され、前記各直線内周側壁(50)は前記上流側(3A)から前記下流側(3B)へ向けて直線状で互いに内側に向けて傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチックの押出方法。
- 少なくとも、輸送部シリンダ(3)、混練部シリンダ(4)及び放出部シリンダ(5)からなるシリンダ(2)内に形成され一対の真円孔(43)を互いに一部が重なり合うように連通させ端面8字状をなす二軸空間用の内孔(2A)内に、少なくとも輸送部スクリュ(11a)、混練部スクリュ(21)及び放出部スクリュ(22)からなる一対のスクリュ(11)を互いに異方向内回りに回転自在に内設し、前記輸送部シリンダ(3)の上流(A)の原料供給部(3a)のホッパ(6)からプラスチック原料(P)を前記シリンダ(2)内に供給し、可塑化混練して前記放出部シリンダ(5)から外部に押出すようにしたプラスチックの押出用シリンダにおいて、
前記輸送部シリンダ(3)の内孔(2A)の上流側(3A)の入口における横断面上半分(40)の左上角部(44)及び右上角部(45)に形成され断面弧状をなす1個のみの溝からなる左上側除去部(41)及び断面弧状をなす1個のみの溝からなる右上側除去部(42)を有し、前記左上側除去部(41)及び前記右上側除去部(42)を配した位置は、前記各スクリュ(11,11)の各サイドフォース(F 1, F 2 )が前記シリンダ(2)内の他の位置よりも強くは動かない位置、すなわち、時計の短針の2時と10時の位置のみであり、
前記輸送部シリンダ(3)を側面から見た時の前記内孔(2A)の高さ(H)は、前記輸送部シリンダ(3)の上流側(3A)から下流側(3B)にかけて同一、もしくは順次狭くなるようにし、
前記輸送部シリンダ(3)を平面から見た時の前記内孔(2A)の前記横断面上半分(40)の幅(W)は、前記輸送部シリンダ(3)の上流側(3A)から下流側(3B)にかけて同一、もしくは順次狭くなるようにし、
前記内孔(2A)内における前記プラスチック原料(P)の部分的滞留を防止することを特徴とするプラスチックの押出用シリンダ。 - 前記内孔(2A)の上流側の前記左上側除去部(41)及び右上側除去部(42)の各側部内周には、部分的に直線内周側壁(50)が形成され、前記各直線内周側壁(50)は前記上流側(3A)から前記下流側(3B)へ向けて直線状で互いに内側に向けて傾斜して形成されていることを特徴とする請求項3記載のプラスチックの押出用シリンダ。
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