JP2009096072A - 樹脂成形用スクリュー - Google Patents

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Abstract

【課題】1軸でも吐出量の低下や局所的な発熱による樹脂の劣化を招くことなく、混練性能を向上させることができる樹脂成形用スクリューを提供することを目的としている。
【解決手段】スクリュー溝内の一部に、スクリュー溝の上流側が開放され、下流側がフライトに接するように堰が設けられているとともに、前記堰の上流側で堰と対面するフライト部分に、前記スクリュー溝の上下流側を連通させる少なくとも1つの切欠が形成されていることを特徴としている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、押出機や射出機に用いる樹脂成形用スクリューに関する。
押出機や射出機は、バレル(シリンダ)の上流に設けられたホッパー等を介してバレル内に成形用樹脂組成物の樹脂ペレット、マスターバッチおよび充填剤などの各種添加剤等の原料をバレル(シリンダ)に投入し、バレル内の樹脂成形用スクリューを回転させて、樹脂を溶融させこれら原料を混合しながらスクリュー溝に沿って下流側に送り、均一な溶融混合状態とした樹脂組成物を金型内に押出あるいは射出するようになっている。
しかし、樹脂成形用スクリューが一本の一軸(単軸)押出機の場合、樹脂成形用スクリューの長さが短いと、樹脂の溶融と送り機能がメインで、混練性能が弱い。したがって、多数の異なる原料を用いる場合には、樹脂成形用スクリューの長さの長いものにせざるを得ず、装置が大型化するという問題がある。
一方、二軸押出機などのように複数の樹脂成形用スクリューを備えたものにおいては、長さを短くしても十分な混練性能を発揮させることができるものの、1軸式のものに比べ、構造が複雑で大型化せざるを得ず、より価格が高いものになってしまう。
そこで、フライトの中間に堰を配置するようにした樹脂成形用スクリューが提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、この樹脂成形用スクリューは、上記のように、フライトの中間に設けた堰によって局所的なせん断を付与して混練を促進するようにしている。
しかしながら、この樹脂成形用スクリューの場合、堰によって流路が閉塞して吐出量の低下を招く恐れや、局所的な発熱によって樹脂の劣化を招く恐れがある。
特開平9−1738号公報
本発明は、上記事情に鑑みて、1軸でも吐出量の低下や局所的な発熱による樹脂の劣化を招くことなく、混練性能を向上させることができる樹脂成形用スクリューを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明にかかる樹脂成形用スクリューは、スクリュー溝内の一部に、スクリュー溝の上流側が開放され、下流側がフライトに接するように堰が設けられているとともに、前記堰の上流側で堰と対面するフライト部分に、前記スクリュー溝の上下流側を連通させる少なくとも1つの切欠が形成されていることを特徴としている。
本発明において、堰(「サブフライト」という場合もある)を設ける位置は、特に限定されないが、少なくとも計量部に設けることが好ましく、計量部を含む樹脂流れ方向の下流側のスクリュー溝全長の1/2以上の部分に設けることがより好ましい。
堰と堰の間隔は、特に限定されないが、必要とする混練性能や堰を設けようとするスクリューゾーンの長さ的な制限を鑑みて、スクリュー溝のピッチの1/2から2程度にするのが望ましい。
堰の高さは、特に限定されないが、フライトと同じ高さにすることが好ましい。
また、堰は、その長さや幅等が求める混練性能によって適宜決定されるが、堰の開放端と上流側フライトとの距離Aと、堰の開放端と下流側フライトとの距離Bとしたとき、A:B=1:2〜1:1を満足すること、堰の長さがスクリュー溝幅の1〜5倍であることが好ましい。
すなわち、堰の開放端が上流側フライトに近すぎると、堰と上流側フライトとの隙間に入り込む樹脂組成物の量が少なくなり、十分な混練効果が期待できず、堰の開放端が下流側フライトに近すぎると、流路が閉塞して吐出量の低下を招く恐れがある。
また、堰の長さが短すぎると、堰と上流側フライトとの隙間に入り込む樹脂組成物の量が少なくなり、十分な混練効果が期待できず、堰の長さが長すぎると、流路が閉塞して吐出量の低下を招く恐れがある。
堰の幅は、強度的に問題がなければ、できるだけ狭い方が好ましいが、一般的には、フライトの幅の0.5〜1倍程度が好ましい。
切欠は、堰の基端側(開放端とは逆側)に少なくとも1つ設けられていればよいが、複数設けられることが好ましい。
切欠の幅は、特に限定されないが、フライトの幅の0.5倍以上が好ましく、全切欠の合計幅が堰の上流側で堰に対面するフライト部分の全長の0.3〜0.6であることが好ましい。
すなわち、切欠の幅が狭すぎると、堰と上流側フライトとの隙間に入り込んだ樹脂組成物が隙間内で滞留してしまい、流路が閉塞して吐出量の低下を招く恐れがあり、切欠の全幅が大きすぎると切欠部分での樹脂組成物のせん断が不十分であるとともに、スクリュー溝の上流側に流れ込む樹脂組成物の流速が遅くなり、混練効果が少なくなる恐れがある。
切欠からスクリュー溝の上流側に流れ込む樹脂組成物の流れ方向は、スクリューの軸に対して0°〜下流方向に向かって45°の方向にすることが好ましい。
すなわち、0°より小さすぎると切欠からスクリュー溝の上流側に流れ込む樹脂組成物の流れ上流側の流れと逆方向になり、滞留する可能性が大きく、45°よりも大きくした場合、複数の切欠を樹脂圧力に絶えうる強度で設けることが幾何学的に難しくなるためである。
本発明にかかる樹脂成形用スクリューは、スクリュー溝内の一部に、スクリュー溝の上流側が開放され、下流側がフライトに接するように堰が設けられているとともに、前記堰の上流側で堰と対面するフライト部分に、前記スクリュー溝の上下流側を連通させる少なくとも1つの切欠が形成されているので、スクリューの回転によってスクリュー溝内を溶融混練されながら下流側に向かって流れる樹脂組成物が、堰の開放端部分までくると、堰によって分岐され、そのままスクリュー溝に沿って加速されながれ下流へ流れる樹脂組成物と、堰とこの堰に対面する上流側のフライトとの隙間に流れ込む樹脂組成物とに分岐される。そして、隙間に流れ込んだ樹脂組成物は、フライトに設けられた切欠でせん断を受けながら切欠からスクリュー溝の上流側へ逆流し、切欠より上流側から流れてくる樹脂組成物と混ざり合う。
したがって、この樹脂成形用スクリューを用いれば、1軸式の押出機や射出機であっても、吐出量の低下や局所的な発熱による樹脂の劣化を招くことなく、混練性能を向上させることができる。
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1および図2は、本発明にかかる樹脂成形用スクリューの1つの実施の形態をあらわしている。
図1および図2に示すように、この樹脂成形用スクリュー1は、スクリュー溝2の下流側からスクリュー溝2の全長の中間部分まで、スクリュー溝2の1ピッチ毎に1つずつ堰3が設けられている。
堰3は、スクリュー溝2の上流側が開放され、下流側がフライト4に接しているとともに、図2に示すように、その長さL1が、スクリュー溝幅W1の1〜5倍で、その幅W2が、フライト4の幅W3の0.5〜1倍となっている。
また、堰3の開放端31は、開放端31と上流側フライト4との距離Aと、開放端31と下流側フライト4との距離Bとしたとき、A:B=1:2〜1:1を満足する位置に設けられている。
上流側フライト4の堰3と対面する部分には、3つの切欠41が設けられている。
各切欠41は、その幅W4がフライト4の幅W3の0.5倍以上で、各切欠41の幅W4の合計が、上流側フライト4の堰3に対面する部分42の長さL1の0.3〜0.6倍となっている。
また、切欠41は、切欠41を通る樹脂組成物の流れが、スクリュー軸C方向に平行(0°の角度)をなすようになっている。
つぎに、この樹脂成形用スクリュー1を用いた1軸式押出機(射出機)内での樹脂組成物の流れを図3を参照しながら説明する。
この樹脂成形用スクリュー1は、以上のようになっており、図示していないが、ホッパーからバレル(シリンダ)内に供給された樹脂組成物原料が、樹脂成形用スクリュー1の回転に伴って、スクリュー溝2内を可塑化混練されながら、上流側から下流側に向かって送られるが、図3に示すように、樹脂組成物Pが堰3の開放端31部分までくると、一部P1が堰3と上流側フライト4との隙間Sに入り、残部P2がスクリュー溝2内に沿って堰3と下流側フライト4との間を通り下流へと送られるように分断される。
隙間Sに入った樹脂組成物Pの一部P1は、次々に送られてくる樹脂組成物の圧力によって、切欠41を通り、せん断力を受けて混合されながらスクリュー溝2の1ピッチ上流側に押し出される。そして、このようにして切欠41から押し出された樹脂組成物は、さらに、上流から送られてきた樹脂組成物と混ざり合う。
一方、隙間Sに入らず、スクリュー溝2内に沿って堰3と下流側フライト4との間を通り下流へと送られる樹脂組成物Pの残部P2は、隙間Sに入る樹脂組成物Pの一部P1よりその量が多く、分断後に加速されて下流側に送られ、この加速により樹脂組成物Pが伸張作用を受けることで混合が促進される。
この樹脂成形用スクリュー1は、以上のように、堰3によって堰き止められた隙間Sに入った樹脂組成物Pの一部P1が切欠41を介してスクリュー溝2の1ピッチ上流側に戻されるので、隙間S内で樹脂組成物が滞留することで、流路が閉塞して吐出量の低下を招くといった問題が生じない。
しかも、切欠41を通過する際に樹脂組成物がせん断力を受けて混合され、かつ、切欠から押し出された樹脂組成物が上流から送られてくる樹脂組成物とスクリュー溝2内で混ざり合う。
そして、つぎつぎと上記の混合を繰り返しながら下流へと樹脂組成物Pが送られるので、スクリュー長が短くても十分な混練性能を発揮する。したがって、1軸式の押出機(射出機)においても、押出機のバレル等の長さを代えることなく、本発明の樹脂成形用スクリュー1に取り替ええるだけで、従来成形できなかった多数の添加剤を加えるような複雑な組成の成形品も均質な状態で成形できるようになる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上記の実施の形態では、堰がスクリュー溝の1ピッチの毎に設けられていたが、間欠的に設けられていても構わないし、1ピッチに2以上設けるようにしても構わない。
本発明にかかる樹脂成形用スクリューの1つの実施の形態をあらわす正面図である。 図1の樹脂成形用スクリューの要部拡大図である。 図1の樹脂成形用スクリューの堰形成部における樹脂組成物の流れを模式的に説明図である。
符号の説明
1 樹脂成形用スクリュー
2 スクリュー溝
3 堰
31 堰3の開放端
4 フライト
41 切欠
42 堰3の上流側で堰3と対面するフライト部分

Claims (4)

  1. スクリュー溝内の一部に、スクリュー溝の上流側が開放され、下流側がフライトに接するように堰が設けられているとともに、前記堰の上流側で堰と対面するフライト部分に、前記スクリュー溝の上下流側を連通させる少なくとも1つの切欠が形成されていることを特徴とする樹脂成形用スクリュー。
  2. 堰の開放端と上流側フライトとの距離Aと、堰の開放端と下流側フライトとの距離Bとの比がA:B=1:2〜1:1である請求項1に記載の樹脂成形用スクリュー。
  3. 堰の長さが、スクリュー溝幅の1〜5倍である請求項1または請求項2に記載の樹脂成形用スクリュー。
  4. 全切欠の合計幅が堰の上流側で堰と対面するフライト部分の全長の0.3〜0.6である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形用スクリュー。
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