JP2017193096A - 混練用スクリュ及び単軸押出機 - Google Patents
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Abstract
単軸押出機による樹脂組成物の混練において、高速混練時に、混練時の混練を高め、かつ樹脂の剪断発熱を抑える。
【解決手段】
複数条の螺旋状のフライトと溝を備え、前記螺旋状の溝には前記螺旋状の溝の底面から溝の幅方向に渡って延びて隆起した凸部を備え、前記凸部を前記螺旋の方向に溝の底面と垂直に切った断面形状において、斜面に相当する凸部の斜線が、溝の底面から凸部の頂部に向かって凹状に立ち上がる形状であり、前記凸部の頂部部分の幅がスクリュの外径の0.3倍以下であることを特徴とした、単軸押出機用スクリュ。
【選択図】図6
Description
こうした対策として、スクリュの混練部の部品の混練性能を向上させるよう、従来、スクリュに可塑化した原料の流れを分流させるような加工が施されてきた。
例えば、特許文献1では、スクリュの混練部品として、螺旋方向に沿って混練溝を刻設し、混練溝を螺旋方向に沿って浅くて狭い浅狭溝部と深くて広い深広溝部とに交互に連続成形すると共に、浅狭溝とを流通路で各々接続して、乱流により混練を得る構造が挙げられる。
この発熱に伴い、溶融している樹脂の粘度および弾性は温度に依存して下がり、樹脂組成物に十分な力が掛からないため、混練性が低下する問題が生じる。また、樹脂組成物の発熱時に樹脂組成物が熱劣化を生じるため、吐出後の樹脂組成物の物性低下も問題として生じるようになった。
口径の異なる押出機ならびにスクリュの場合、スクリュの単位断面積あたりに占める樹脂組成物の量が異なるため、本発明者らは口径の異なるスクリュで、さらに検討した結果、前記凸部の頂部の幅が、スクリュ外径の0.3倍以下であれば、樹脂の剪断発熱を抑えられることを見出した。
この観点から、混練部品の螺旋部分の条数を複数条とすることで各条に凸部を多数設けることが望ましく、本発明者らは、前記螺旋部分の条数について検討した結果、2〜6条であれば、混練効果を有効に得られ、かつ樹脂の剪断発熱を抑えられることを見出した。
この観点から、凸部の頂部の幅19は、好ましくはスクリュ口径の0〜0.3倍、より好ましくは0〜0.15倍とすることができる。
この観点から、混練部品の螺旋部分の条数を複数条とすることで凸部を多数設けることができる。ただし、条数が増えるに従い、溝の断面積は小さくなり溝を流れる樹脂組成物も剪断発熱するため、条数は2〜6条とすることが好ましい。
凸部頂部の溝の底面からの高さは、溝深さの1/10〜9/10であることが好ましく、より好ましくは1/10〜6/10であることが好ましい。
実施例及び比較例に説明する、原料として使用した原料樹脂組成物は、混練時の色を確認するために、以下のように熱可塑性樹脂と顔料とが混合されているペレットを使用した。
・原料Aは、直鎖状低密度ポリエチレン(製品名 ノバテックLL UF230、メルトフローレート 1g/10min(JIS K7210:1999)、日本ポリエチレン株式会社製)80部と酸化チタン(製品名 R−103:製造元 ケマーズ株式会社製)20部の混合物。
・原料B 直鎖状低密度ポリエチレン(製品名 ノバテックLL UJ790、メルトフローレート 50g/10min(JIS K7210:1999)、日本ポリエチレン株式会社製)90部とシアニンブルー(製品名 Lionol Blue SL:製造元 トーヨーカラー株式会社)10部の混合物。
・原料C 直鎖状低密度ポリエチレン(製品名 ノバテックLL UF230、メルトフローレート 1g/10min(JIS K7210:1999)、日本ポリエチレン株式会社製)90部とカーボンブラック(製品名 BP880:製造元 Cabot社)10部の混合物。
・原料D 直鎖状低密度ポリエチレン(製品名 ノバテックLL UJ480、メルトフローレート 30g/10min(JIS K7210:1999)、日本ポリエチレン株式会社製)90部と酸化チタン(製品名 R−103:製造元 ケマーズ株式会社製)10部の混合物。
混練樹脂組成物の作成は以下のようにして行った。作成に使用する機械は、各実施例及び比較例に記載した構造のスクリュを、各実施例及び比較例に記載した単軸押出機に装着し、単軸押出機の吐出部にダイ穴径3mm、ダイ穴数5個のダイを装着したものを使用した。
サンプルの作成は、単軸押出機の押出温度が供給部80℃、圧縮部150℃、計量部240℃となるよう設定し、各実施例及び比較例で指定した2種類の原料のペレット各50部をハンドブレンドにより混ぜ合わせたうえで、単軸押出機のホッパーに投入し、各実施例及び比較例に記載したスクリュ回転で混練押出し、得られたストランドを長さ3mmとなるようストランドカットして、混練樹脂組成物のペレットを得た。
混練樹脂組成物の混練の状態の評価は以下のようにして実施した。
まず、各実施例及び比較例で得られた混練樹脂組成物のペレットを、熱プレスを用いて潰して20×20×0.1cmのシートを作成した。このシートの色ムラを目視により確認して、1〜3の3段階の状態で評価した。数値が低い程、シート全体に色ムラが見られない均一な混練物が得られたことを表し、シート全面に渡り色が均一なシートを1、潰されたペレット内に微小な色ムラが見られるシートを2、潰されたペレットによりシート全面に渡って色ムラが見られるシートを3とした。数値が低いほど、均一に混練が得られていることを表す。結果を表1に示す。
実施例と比較例における混練樹脂組成物作成時の樹脂温度の上昇の評価は、押出機ダイより吐出される溶融樹脂を温度計により測定して、押出機の設定温度の240℃に対する樹脂温度の上昇分を評価し、押出機の設定温度+15℃以上となる樹脂温度255℃以上を×(不良)、それ以下を○(良好)とした。
押出機A PSV−30押出機(タニフジエンジニアリング製、シリンダ口径30mm)
押出機B SPM−45押出機(タニフジエンジニアリング製、シリンダ口径45mm)
スクリュ外径30mm、スクリューの長さとスクリュー外径の比(L/D)=36のスクリュの、圧縮部に下記混練部品を設けたスクリュを押出機Aの単軸押出機を使用した。
(a)条数 3条
(b)凸部の設置箇所 各溝の1ピッチ周期に1箇所
(c)凸部の斜面 図6に示すように、凸部の斜面が溝の底面から凸部の頂部に向かって凹状に立ち上がる形状
(d)凸部の頂部の幅 1mm(スクリュ外径との比 0.03)
(e)凸部頂部の溝の底面からの高さ 混練部の溝深さに対して3/10
(f)混練部品の長さ 360mm(スクリュー全長の1/3)
前記単軸押出機を使用して、原料A 50部と原料B 50部を、実施例1ではスクリュ回転150rpm、実施例2では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。スクリュの構成は、混練部品以外の箇所は1条のフルフライトの構成とした。
各評価結果を表1に示す。実施例1及び実施例2とも、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価ともに良好な結果が得られた。
実施例1及び2と同じスクリュと押出機を使用し、原料として原料C 50部と原料D 50部に変更し、実施例3ではスクリュ回転150rpm、実施例4では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。実施例3及び実施例4とも、実施例1及び実施例2から原料を変更した場合も、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価ともに良好な結果が得られた。
スクリュの構成として、実施例1及び2から、混練部品をスクリュ内に備える箇所を計量部に変更し、混練部品以外の箇所は1条のフルフライトの構成とした。混練部品の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、実施例5ではスクリュ回転150rpm、実施例6では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。実施例5及び実施例6とも、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価とも良好な結果が得られた。
混練部品の条数を、実施例1及び2から変更し、6条とした。混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、実施例7ではスクリュ回転150rpm、実施例8では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。実施例7及び実施例8とも、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価とも良好な結果が得られた。
混練部品の凸部の頂部の幅を実施例1及び2から変更し、9mm(スクリュ外径との比0.3)とした。混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、実施例9ではスクリュ回転150rpm、実施例10では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。実施例9及び実施例10とも、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価とも良好な結果が得られた。
スクリュ外径を変更するため、単軸押出機を押出機Bに変更し、スクリュとして外径45mm、L/D=36、圧縮部に下記混練部品を設けたものを使用した。
(a)条数 3条
(b)凸部の設置箇所 各溝の1ピッチ周期に1箇所
(c)凸部の斜面 図6に示すように、凸部の斜面が溝の底面から凸部の頂部に向かって凹状に立ち上がる形状
(d)凸部の頂部の幅 13mm(スクリュ外径との比 0.29)
(e)凸部頂部の溝の底面からの高さ 混練部の溝深さに対して3/10
(f)混練部品の長さ 540mm(スクリュ全長の1/3)
前記スクリュを押出機に備え、原料A 50部と原料B 50部を、実施例1ではスクリュ回転150rpm、実施例2では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。スクリュの構成は、混練部品以外の箇所は1条のフルフライトの構成とした。
各評価結果を表1に示す。実施例11及び実施例12とも、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価とも良好な結果が得られた。
実施例1及び2のスクリュの混練部品のフライトに、各凸部から半ピッチ先の箇所に、長さ6mm、スクリュ頂部からの深さ3mmの切れ込みを設けた。混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、実施例13ではスクリュ回転150rpm、実施例14では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。実施例13及び実施例14とも、混練性の評価及び樹脂温度の上昇の評価とも良好な結果が得られた。
混練部品の凸部の頂部の幅を実施例1及び2から変更し、13mm(スクリュ外径との比0.43)とした。混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、比較例1ではスクリュ回転150rpm、比較例2では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。比較例1及び比較例2では、混練性評価及び樹脂温度の上昇の評価とも不良であった。
混練部品の凸部の頂部の幅を実施例3及び4から変更し、13mm(スクリュ外径との比0.43)とした。混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例3及び4と同様とした。
前記構成で、実施例3及び4と同様、原料C 50部と原料D 50部を、比較例3ではスクリュ回転150rpm、比較例4では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。比較例3及び比較例4では、混練性評価及び樹脂温度の上昇の評価とも不良であった。
混練部品の凸部の斜面の断面形状を、図7に示すように、前記凸部の頂部14の頂点20−aならびに20−bと、溝の底面から立ち上がる点21−aならびに21−bとを結ぶ、凸部の斜面に相当する斜線が直線となる形状とした。その他の混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、比較例5ではスクリュ回転150rpm、比較例6では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。比較例5及び比較例6では、混練性評価及び樹脂温度の上昇の評価とも不良であった。
混練部品の条数を実施例1及び2から変更し、1条とした。混練部品及びスクリュのその他の構成、及び単軸押出機は実施例1及び2と同様とした。
前記構成で、実施例1及び2と同様、原料A 50部と原料B 50部を、比較例7ではスクリュ回転150rpm、比較例8では高速とした200rpmの条件下で混練し、評価を行った。
各評価結果を表1に示す。比較例7及び比較例8では、混練性の評価が不良であった。
2 シリンダ
3 スクリュ
4 ホッパー
5 スクリュのフライト
6 スクリュの溝
7 押出口方向
8 単軸押出機のヒーター
9 ダイ
10 凸部
11 フライトの切れ込み
12 凸部の斜面に相当する斜線
12−a 原料流入側の凸部の斜面に相当する斜線
12―b 原料流出側の凸部の斜面に相当する斜線
14 凸部の頂部
15 溝の底面
16 原料流入側の樹脂の流れ
17 原料流出側の樹脂の流れ
18 シリンダと凸部頂部の間の幅狭部流路
19 凸部の頂部の幅
20−a 原料流入側の凸部の斜線12の頂点
20−b 原料流出側の凸部の斜線12の頂点
21−a 原料流入側の凸部の斜線の立ち上がり始める点
21−b 原料流出側の凸部の斜線の立ち上がり始める点
22−a 原料流入側の凸部の頂点と立ち上がりを始める点を結ぶ仮想直線
22−b 原料流出側の凸部の頂点と立ち上がりを始める点を結ぶ仮想直線
31 スクリュの供給部
32 スクリュの圧縮部
33 スクリュの計量部
41 凸部の頂部の溝からの高さ
Claims (4)
- 混練部品を備えた単軸押出機に使用されるスクリュであって、前記混練部品が、複数条の螺旋状のフライトと溝を備え、前記螺旋状の溝には前記螺旋状の溝の底面から溝の幅方向に渡って延びて隆起した凸部を備え、前記凸部を前記螺旋の方向に溝の底面と垂直に切った断面形状において、斜面に相当する凸部の斜線が、溝の底面から凸部の頂部に向かって凹状に立ち上がる形状であり、前記凸部の頂部部分の幅がスクリュの外径の0.3倍以下であることを特徴とした、単軸押出機用スクリュ。
- 前記フライトに切れ込みを設けた請求項1記載のスクリュ。
- 前記フライトならびに溝が、2〜6条である請求項1又は2記載のスクリュ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスクリュを備える単軸押出機。
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