JP5892390B2 - スタッド溶接方法および抵抗溶接機 - Google Patents

スタッド溶接方法および抵抗溶接機 Download PDF

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Description

本発明は、溶接用スタッドを鋼板などの金属板に抵抗溶接する溶接方法および抵抗溶接機に関する。
鋼板などの金属板に溶接される溶接用のスタッドとして一般的に用いられているのはアーク溶接で接合するスタッド(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)と抵抗溶接で接合するプロジェクションスタッド(特許文献4、図14参照)がある。
これらは、プロジェクション溶接用として日本工業規格(JISB1195)で制定された溶接ボルトと異なり、鋼板に挿入用の孔を必要としていない。そのため、JIS制定の溶接ボルトの溶接状態に比較して、余分な孔がなく、見映えも良い。
アーク溶接での接合では、薄い鋼板へ溶接する場合は、外観面や変形などの優位性から、コンデンサを用いて瞬間的な放電で溶接するCD方式(Capacitor Discharge)と呼ばれる工法が多く用いられている。しかし、その溶接での結合は充分な強度とは言い難く、高い強度を要する機能には適していない。
一方、抵抗溶接での従来の工法では、溶接スタッドの先端にプロジェクションを必要とし、溶接した鋼板の裏面に圧痕や溶融熱による焼けが生じ、外観面での難点がある。また、保護シート付や片面塗装した鋼板への溶接は難しい。
特開2007−167921号公報 特開2009−108904号公報 特開2007−14967号公報 特開2007−155115号公報 特開2012−210654号公報 特許第5220931号 特願2012−237530
本発明は、本願の発明者等が先に特許文献5、特許文献6で提案した抵抗溶接用の溶接トランス、溶接方法、溶接装置を活用し、所定の形状を有する溶接スタッドの溶接方法である。
先に、特許文献7で溶接スタッドの溶接方法を提案しているが、本発明では、更に、新たに提案した片側電極を使用することで特許文献7とは異なった効果を得ることができる。異なった効果とは、保護シート付の鋼板や、片面塗装した鋼板にも、片側電極の提案と所定の形状の溶接スタッドを用いることで、一方向から容易にスタッドを溶接できることである。更に、消費電力を節減する溶接方法を課題とするものである。
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に環状磁心25の平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイルと、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と負側コイル16の端子間を電気接続をする導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての正側コイル14と負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心
25の平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38とを備えていることを特徴とする溶接トランスと、
高周波交流を溶接トランスの1次コイルに供給し2次コイルに生起する電流を直流化して電極に供給する方式の溶接装置に適用される抵抗溶接方法であって、
溶接電流供給開始時刻t0からその後の時刻t1までの、電流増加率が最大の部分を立ち上げ制御期間T1と呼び、これに続く時刻t1から時刻t2までの、ピーク電流値C1に近い所定レベルの電流を維持する期間をピークレベル制御期間T2と呼び、その後の時刻t2から電流遮断時刻t3に至るまでの期間を、温度維持制御期間T3と呼ぶとき、
前記立ち上げ制御期間T1は10ミリ秒以下とし、前記立ち上げ制御期間T1と前記ピークレベル制御期間T2の和の(T1+T2)時間は15ミリ秒以下とし、前記立ち上げ制御期間T1と前記ピークレベル制御期間T2と前記温度維持制御期間T3の和の(T1+T2+T3)時間は、50ミリ秒以下としたことを特徴とする制御方法の溶接制御電源装置と、
片側電極80は外側電極81、内側電極82a、保持部材83から構成し、保持部材83で溶接スタッド8aを把持する構造とし、
前記溶接スタッド8aの上端面と下端面は平らな面を形成して、前記上端面から前記内側電極82aで給電し、抵抗溶接することを特徴とするスタッド溶接方法。
〈構成2〉
前記片側電極80の前記内側電極82aに代えて、中央部に孔部を有する内側電極82bとし、この前記孔部でフランジ部を有する溶接スタッド8bの軸部を保持し、前記溶接スタッド8bは下端面が平らな面を有し、前記溶接スタッド8bの前記フランジ部から前記内側電極82bで給電し、抵抗溶接することを特徴とする構成1記載のスタッド溶接方法。
〈構成3〉
構成1または構成2記載のスタッド溶接方法を具備した抵抗溶接機
〈構成1の効果〉
(1)正側導体30と負側導体32とを絶縁層を介して密着させ、正側コイル14と負側コイル16との間に1次コイル12を挟むように配置したので、2次回路の転流時のインダクタンスを低減して、転流時間を短くし、高い周波数のインバータ制御が可能になる。
(2)複数の正側コイル14と複数の負側コイル16との間に分割巻きされた1次コイル12の各部を挟むように配置したので、トランス全体の熱分布が均一になる。
(3)1次コイルと2次側の正側コイルと負側コイルとを分割巻きして、1次2次コイル間の結合を良くし、2次側の大電流による磁気飽和を防止できる。
(4)1次コイル12と正側コイル14と負側コイル16との関係がどの場所でも均等で互いに密接して配置させることができる。
(5)この結果として高速で大電流の図8に示すような溶接制御に追随できる溶接トランスが、得られ、これらを有する溶接装置を使用することと、また、通電時間が極めて短いことと、溶接用スタッドのスタッド形状は至って単純な形状とすることができ、接合面は突起がなく平らなため、溶接部裏面の焼けや圧痕のない外観が得られ、かつ、消費電力を低減するスタッド溶接方法が得られる。
〈構成2の効果〉
ツバ付きスタッド形状により、スタッドの直角度と接合強度とも高品質となる。構成1以上にスタッドの接合強度は高品質となる。また、通電時間が極めて短いことと、溶接用スタッドの接合面は突起がなく平らなため、溶接部裏面の焼けや圧痕のない外観が得られ、かつ、消費電力を低減するスタッド溶接方法が得られる。
本発明で採用する溶接装置の電源回路の結線図である。 整流素子18に順方向電流が流れたときの回路動作を示す結線図である。 整流素子20に順方向電流が流れたときの回路動作を示す結線図である。 (a)はトランスの1次側に供給される電流を制御するための制御パルス、(b)は1次電流、(c)は整流後の溶接電流を示す。 本発明に係る溶接トランスの実施例を示す分解斜視図である。 ほぼ組み立てを完了した溶接トランスの斜視図である。 本発明に係る溶接装置のブロック図である。 本発明に係る溶接電流制御方法の説明図である。 本発明に係る溶接用スタッドの三つの事例である。 本発明に係る溶接ガンの事例を示す。 本発明に係る片側電極の一事例を示す。 溶接時の電流の流れを示す。 本発明に係る片側電極の二つ目の事例を示す。 従来のプロジェクション溶接用スタッドの事例である。 従来のプロジェクション溶接用スタッドに通電する上下電極の事例である。 本発明に係る溶接方法と従来の溶接方法での溶融部の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を実施例1で詳細に説明する。
図6は、本発明で採用する溶接装置の溶接トランス10である。更に図8は溶接制御方法を示したものである。図7はこれらを有する溶接装置を示すブロック図である。本発明はこれらの装置を使用して実施している。
図1は、本発明で採用する溶接装置の電源回路の結線図である。
溶接トランス10の1次コイル12には、後で図4を用いて説明する1次電流が供給される。整流回路は、単相全波整流式を採用する。この回路自体は良く知られている。2次コイル自体に極性を考慮する必要はないが、便宜上、2次コイルを、正側コイル14と負側コイル16とを直列接続したものと呼ぶことにする。正側コイル14の一端に整流素子18の一端を接続し、負側コイル16の一端に整流素子20の一端を接続し、整流素子18の他端と整流素子20の他端をまとめてプラス電極22に接続する。正側コイルの他端と負側コイルの他端は接続点を介して連結しているが、この接続点をマイナス電極24に接続する。プラス電極22とマイナス電極24が溶接機28に接続されている。
図2は、整流素子18に順方向電流が流れたときの回路動作を示す。図3は整流素子20に順方向電流が流れたときの回路動作を示す。
回路動作上問題になる等価的なインダクタンス成分を図2と3に書き加えた。即ち、正側コイル14と整流素子18を接続する正側導体30と、負側コイル16と整流素子20を接続する負側導体32、及び溶接機28内部の導体のインダクタンスが、溶接装置の性能に影響を及ぼすと考えられる。その詳細は後で説明する。
溶接トランス10や溶接機28に発生する大量の熱の発生を抑制することができれば、溶接装置の省エネルギー化を図ることができる。従来よりも大電流を短時間溶接部に供給するように制御して、溶接時間を短縮すれば、大きな節電効果が期待できる。
一方、溶接される材料や構造等に最適な溶接電流を供給するためには、溶接電流の供給時間をきわめて高精度に制御しなければならない。
このために、溶接電流を供給するトランスの1次側にインバータを接続して、PWM制御により溶接電流の大きさと供給時間とを制御することが行われている。
図4の(a)はトランスの1次側に供給される電流を制御するための制御パルス、(b)は1次電流、(c)は整流後の溶接電流を示す。
図示しないインバータにより制御された幅Wのパルスが、一定時間H内に一定回数、ここでは正方向のパルスと負方向のパルスとで合計10回、1次コイルに供給される。その結果、トランスの1次コイル12(図1)には、図4(b)に示すような電流が流れる。トランスの2次側で全波整流をして、(c)に示すような溶接電流を発生させる。
(a)に示したパルスの幅Wを増減すると溶接電流を調整できる。バルスの供給回数を増減すれば溶接時間を調整できる。このパルスの繰り返し周波数を高くすると、溶接時間をより細かく微調整できる。1次コイルに供給する電力を増やせば、2次コイルからより大きな溶接電流を取り出せる。
従来の溶接装置は、例えば、1万アンペアで200m秒〜700m秒の溶接電流を供給するようにしていたが、溶接電流をその2倍の2万アンペアにしてみる。溶接装置は、溶接部以外の場所で熱エネルギになって消費される電力損失がきわめて大きい。従って、溶接電流を2倍にして、溶接時間を10分の1に短縮すると、消費電力を5分の1にすることができる。これで、従来の1万アンペアでの溶接と同等の溶接品質が可能になる。
一方、溶接電流を供給するためのインバータの制御パルスは、従来、繰り返し周波数が1kHz程度のものを使用していた。しかしながら、大電流を短時間供給するには、もっと分解能の高い制御パルスが必要になる。望ましくは、繰り返し周波数が5kHz〜50kHz程度のパルスを使用することが望ましい。
このように、従来の数倍から数十倍の高い繰り返し周波数のパルスを1次コイルに供給した場合に、従来構造の溶接トランスでは、予定した溶接電流が得られないことがわかった。即ち、このような制御で2次コイルから大電流を出力するためには、トランスの構造に様々な改善が要求される。
図1に示すような2個の整流素子18、20を使用した全波整流型の2次回路は、ブリッジを使用した回路に比べて整流素子数が少なく、小型化できて電力損失も少ないため、溶接装置に適することが知られている。
しかしながら、この回路では、1次コイル12に流れる電流の極性反転によって、2次コイルに誘起される電圧が極性反転したとき、一方の整流素子を通じて供給されていた負荷電流が他方の整流素子側に流れを変える転流が生じる。
溶接電流が大電流になると、回路各部のインダクタンスに蓄積された電流エネルギは非常に大きくなる。この電流エネルギが一方の整流素子から他方の整流素子の側に移る転流時間は、図2や図3に示した2次コイルの各部のインダクタンスが大きいほど長くなる。
図4に示した1次コイルの電流の立ち下がり開始から反対極性の電流の立ち上がり終了までの時間Mの間に2次回路の転流が完了しないと、2次電流の立ち上がりが遅れて、図4の破線に示すように、予定した溶接電流が得られなくなる。
図5、図6に示した溶接トランス10は特許文献6で提案した溶接トランスの事例と同等のものであり、高速で精密な大電流の溶接制御に追随可能なものである。また、図8には溶接電流制御方法の一例を示し、大電流を極く短い時間通電し、通電時間は50m秒以下に抑えることができる。これは従来の通電時間の5分の1程度である。
図14は従来用いられているプロジェクション溶接スタッド7の図示例であり、図15は上下電極2、3によるプロジェクション溶接スタッド7の保持と給電態様を示した説明図である。おねじとめねじの事例を図示している。ここでの給電は、図15に示すように、スタッド下部の面取り部から給電し、下電極3とで挟持し溶接する。
本発明は図15に示す通常のスタッド溶接方法に比べ、下電極3を必要とせず、一方向から溶接する片側電極を提案し、保護シート付の鋼板や、片面塗装した鋼板にも、容易にスタッドを溶接できる溶接方法である。
本発明で使用する溶接ガン75を図10に示す。更に、溶接ガン75の先端には片側電極80が装備されている。この片側電極80は、下側電極を必要とせず、溶接スタッド8を一方向から溶接する。
図10に示す事例ではコ字状の溶接ガン75で、溶接トランス10からの給電を、一方は溶接ガン75のガン本体76から、他方はガン本体76の側面の通電板84から給電している。
図9(a)に示す溶接スタッド8aは、上下端面共平らな面を持ち、図11に示す片側電極80で溶接スタッド8aを保持し、溶接スタッド8aの上端面から内側電極82aで給電する。この上端面からの給電方法は、溶接スタッド8aのように、フランジ部を不要と出来るので、ごく単純な形状となり、製作が極めて容易である。
図10の溶接ガン75の構成を説明する。
図10の溶接ガン75はコ字状形状をした溶接ガンの事例で、ガン本体76が一方の電極を形成し、ガン本体76の外側部に絶縁部材86を挟んで、他方の電極の通電板84を添送させる。更に、通電板84からオンス銅板85を介し、溶接ガン75の先端に装着した片側電極80の外側電極81に給電している。オンス銅板85は可撓性を持つため利用されるが、更に可撓性の高い細い銅線を編んで板状にした平編可撓性導体87を用いても良い。
次に、図11に示す片側電極80の説明をする。
溶接スタッド8aは最初に片側電極80内部の保持部材83に把持される。載置台91に置かれた被溶接物5の鋼板上で、溶接ガン75は溶接スタッド8aを保持部材83に把持したまま、スタッドの溶接位置に移動する。この位置は予め制御部に登録されており、この指定位置で溶接ガン75は真下に降下し、片側電極80が被溶接物5の上面に押圧される。(a)は押厚前の状態で被溶接物5と片側電極80の外側電極81が接触した瞬間である。続いて溶接ガン75が更に降下すると、加圧部材88が撓み、被溶接物5を押厚する。それを、(b)に示す。次に指定の電流がガン本体76を経由し、更に、内側電極82aを介して溶接スタッド8aの上端面に印加されて溶接スタッド8aが被溶接物5にスポット溶接される。このときの溶接トランス10は先に記述したものであり、溶接電流は図8に示したものである。そのため、通常のスポット溶接では不可能な溶接スタッド8aの上端面からの溶接が可能となる。
図12に溶接時の電流の流れEを矢印で示している。内部電極82aから溶接用スタッド8aの上端面に給電され、下端面から被溶接物5を経由し外側電極81に溶接電流は流れる。
溶接用スタッド8aを保持する保持部材83は表面がセラミックコート等で絶縁されており、当然だが電流は微量も流れない状態である。
また、通電時間が最大50ミリ秒と非常に短いため、溶接した鋼板の裏面は熱による焼けや圧痕、歪が少ない美麗な面が確保できる。
図7の溶接装置には図5、図6に示した溶接トランス10や、図8に示した制御方法の溶接制御電源装置11、および、溶接条件データベースに蓄積した記憶装置13などを具備している。この装置を用いて、図9に示す本発明に係る各溶接スタッドを抵抗溶接すると日本工業規格(JISB1105)に記載されている溶接強度より充分高い値が得られる。また、溶融部は図17に示すように、従来のプロジェクション溶接とは異なっており、溶融面積が従来方法に比べ、大きいので、高い溶接強度が得られる。
本発明での溶接電流制御方法の概要を図8に示すが、板厚1mmの鋼板にM5スタッドを図11の片側電極80で溶接する溶接条件を一例として記述する。それは、1万4千アンペアの溶接電流を7m秒の通電時間と極めて短い通電時間での溶接条件での溶接が可能である。一方、従来のプロジェクション溶接は図15(a)の上下電極を用いて溶接するが、ここでの溶接電流は8千アンペアで通電時間は200m秒(10サイクル)程度である。これに比べると、一事例ではあるが、本発明での通電時間は約30分の1で良いこととなる。
図16は各形状の溶接スタッドのナゲットの状態を示す断面図である。
(a)、(b)は本発明で溶接した状態を示し、図9(a)、(b)の各溶接スタッドを図11に示す本発明の片側電極80を用いて溶接したそれぞれの結果を示す。
(c)は従来のプロジェクション溶接を示した図15(a)の上下電極を用いて溶接した結果のナゲットを示している。(a)、(b)、(c)のナゲットの形態に違いが見られ、本発明は高電流を極めて短い時間の通電方式のため、ナゲットは(a)、(b)が(c)に比べ、厚みは薄いが面積が大きくなっている。
溶接用スタッド8aはフランジ部のない形状だが、用途によってフランジ部のある図9(c)の溶接用スタッド8bを用いることができる。図13に示すように、ここでの片側電極80は、溶接用スタッド8bのフランジ上部で給電するような内側電極82bとし、外側電極81、絶縁体である保持部材83の形状を工夫することで、実施例1と同様に、本発明の溶接方法を適用できる。溶接用スタッド8bの溶接強度、溶接後の直角度は、形状での優位性などから、前述の本発明の溶接用スタッド8aより、優れたものとなる。
本発明では所定の形状の溶接スタッド8を高電流で短時間通電する制御方法であり、それに追随可能な溶接トランス10を使用している。更に新たな片側電極80の提案で一方向から、保護シート付の鋼板や、片面塗装した鋼板にも、容易にスタッド8を溶接できる。また、通電時間が極めて短いため、溶接した鋼板の裏面に圧痕や熱による焼け、歪が少なく外観面での利点もある。その上、従来の抵抗溶接と比較し、消費電力の低減が可能である。
抵抗溶接する薄い板状の鋼板および溶接スタッドの抵抗溶接作業が効率良くでき、また、溶接品質を向上させ、かつ消費電力の節減に寄与できる。
1 抵抗溶接機
2 上電極
3 下電極
5 被溶接物(鋼板)
6 溶着面
7 プロジェクション溶接スタッド
8a 溶接用スタッド
8b 溶接用スタッド
10 溶接トランス
11 溶接制御電源装置
12 1次コイル
13 記憶装置
14 正側コイル
16 負側コイル
18 整流素子
20 整流素子
22 プラス電極
24 マイナス電極
25 磁心
28 溶接機
30 正側導体
31 絶縁層
32 負側導体
34 第1極板
36 第2極板
38 第3極板
44 第1連結極板
46 第2連結極板
48 第3連結極板
58 入力端子
62 接続基体
70 ナゲット
75 溶接ガン
76 ガン本体
80 片側電極
81 外側電極
82a 内側電極
82b 内側電極
83 保持部材
84 通電板
85 オンス銅板
86 絶縁部材
87 平編可撓性導体
91 載置台
E 溶接電流の流れ

Claims (3)

  1. 平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に環状磁心25の平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイルと、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と負側コイル16の端子間を電気接続をする導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての正側コイル14と負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心
    25の平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38とを備えていることを特徴とする溶接トランスと、
    高周波交流を溶接トランスの1次コイルに供給し2次コイルに生起する電流を直流化して電極に供給する方式の溶接装置に適用される抵抗溶接方法であって、
    溶接電流供給開始時刻t0からその後の時刻t1までの、電流増加率が最大の部分を立ち上げ制御期間T1と呼び、これに続く時刻t1から時刻t2までの、ピーク電流値C1に近い所定レベルの電流を維持する期間をピークレベル制御期間T2と呼び、その後の時刻t2から電流遮断時刻t3に至るまでの期間を、温度維持制御期間T3と呼ぶとき、
    前記立ち上げ制御期間T1は10ミリ秒以下とし、前記立ち上げ制御期間T1と前記ピークレベル制御期間T2の和の(T1+T2)時間は15ミリ秒以下とし、前記立ち上げ制御期間T1と前記ピークレベル制御期間T2と前記温度維持制御期間T3の和の(T1+T2+T3)時間は、50ミリ秒以下としたことを特徴とする制御方法の溶接制御電源装置と、
    片側電極80は外側電極81、内側電極82a、保持部材83から構成し、保持部材83で溶接スタッド8aを把持する構造とし、
    前記溶接スタッド8aの上端面と下端面は平らな面を形成して、前記上端面から前記内側電極82aで給電し、抵抗溶接することを特徴とするスタッド溶接方法。
  2. 前記片側電極80の前記内側電極82aに代えて、中央部に孔部を有する内側電極82bとし、この前記孔部でフランジ部を有する溶接スタッド8bの軸部を保持し、前記溶接スタッド8bは下端面が平らな面を有し、前記溶接スタッド8bの前記フランジ部から前記内側電極82bで給電し、抵抗溶接することを特徴とする請求項1記載のスタッド溶接方法。
  3. 請求項1または請求項2記載のスタッド溶接方法を具備した抵抗溶接機
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