一般に、図2に示す自動車51のフロント側やリア側のヒンジ開閉式の各サイドドア52,53は、金属製のドアパネル本体部54と、ドアパネル本体部54の上部に一体ないし別体に形成された金属製のドアサッシュ(窓枠部)55とを備え、ドアパネル本体部54は、ドアアウタパネル本体部(符号54で代用)と不図示のドアインナパネル本体部とで構成されている。
ドアアウタパネル本体部54とドアインナパネル本体部との間に窓ガラス56(フロントドア52側で説明する)が昇降自在に配置され、ドアアウタパネル本体部54とドアインナパネル本体部との上縁に窓ガラス挿通口が形成され、窓ガラス56はドア(ドアサッシュを含む)52の前後両側のガラスランに沿ってドアパネル内部の不図示のレギュレータで昇降駆動される。
ドアアウタパネル本体部54の上縁(ベルトライン)にゴム製等のドアアウタウェザストリップ57が装着されて、ドアアウタパネル54と窓ガラス56の外側面との間の防水や防塵や防音が行われ、ドアインナパネル本体部の上縁に不図示のドアインナウェザストリップが装着されて、ドアインナパネルと窓ガラスの内側面との間の防水や防塵や防音が行われる。符号58は、リアドア53側のアウタウェザストリップを示す。
例えば特許文献1には、図3(図2のA−A断面図)に類似の形態例を示すように、ドアアウタウェザストリップ57として、断面略逆U字状の硬質の取付基部59と、取付基部59の内側壁60の上部から斜め上向きに突出した軟質のシールリップ部61と、取付基部59の内側壁60の下部側ないし中部側に一体に突設されたスタビライザ(突部)62とを備えたものが記載されている(特許文献1では、内側壁60の中部側(高さ方向中間部)にスタビライザ62が配置され、内側壁60の下部側にスタビライザ62が配置された例は特許文献2に記載されている)。図3は特許文献1に直接記載されたものではなく、類似の創作図である。
取付基部59の内面には保持リップ部63が設けられ、金属製のドアアウタパネル64とその補強材であるドアアウタリインフォース65とに上向きのフランジ部66が立設され、ドアアウタパネル64のフランジ部66は折り返されてアウタリインフォース65のフランジ部66を内側に接合させ、各保持リップ部63でフランジ部66の外面を挟持且つシールし、取付基部59の内側壁60の下端の爪部67でフランジ部66の折り返し下端を係止している。
シールリップ部61やスタビライザ62や保持リップ部63は窓ガラス56の前後方向すなわちドアアウタウェザストリップ57の長手方向に延びている。図3の矢印69の如く、窓ガラス56の外面に付着した水滴は上部のシールリップ部61に沿ってドアアウタパネル64側に落下する。
スタビライザ62は、例えば窓ガラス56の閉時のバタツキを抑えたり、窓ガラス56の閉時に窓ガラス56が鎖線で示す如く室外方向(矢印B方向)に押し出された際に、シールリップ部61の浮きを抑えたり、ドア54(図1)の開閉時に窓ガラス56がドアアウタウェザストリップ57の硬質な取付基部59に接触して叩き音を生じることを防止する。
特許文献2には、断面略逆U字状の取付基部(59)の上部側ではなく中部側(高さ方向中間部)にシールリップ部(61)を配置したドアアウタウェザストリップが記載されている。また、特許文献3には、スタビライザ62を設けずに、断面略逆U字状の取付基部(57)の上下両側に一対のシールリップ部(61)を配設したドアアウタウェザストリップが記載されている。
しかしながら、上記従来の図3のドアアウタウェザストリップ57にあっては、図4に示す如く、窓ガラス56の閉時の外向きの押出荷重が高く、窓ガラス56が例えば不図示のガラスランとの間の隙間の範囲で車外側に押し出された際に、スタビライザ62が窓ガラスで強く押されて、ドアアウタウェザストリップ57が倒れ、窓ガラス56がシールリップ部61の付根部61aを押して、シールリップ部61の浮き(反転)を生じたり、シールリップ部61の耐久性が低下してしまうという懸念があった。例えばシールリップ部61の浮きを生じた場合には、見栄えが低下するのみならず、防水性が低下したり、シールリップ部61と窓ガラス56との間に埃や砂が溜まって、窓ガラス56を傷付け兼ねないという懸念があった。
また、図5に、断面略逆U字状の取付基部59の高さ方向中央側にシールリップ部61を配置したドアアウタウェザストリップ70(上記特許文献2の類似例)を示すが、この場合には、水滴が矢印69の如くシールリップ部61の外面側の隙間71に溜まり易く、隙間71に溜まった水がドアアウタウェザストリップ70の長手方向の端末部まで運ばれて端末部側のドア部品に錆等の悪影響を与え兼ねないという懸念があった。
また、シールリップ部61の肉厚を厚くして、シールリップ部61の押し出しに対処しようとすると、窓ガラス56との摺動抵抗が増加して、レギュレータを含む窓ガラス昇降システム等に大きな負荷をかけてしまうという懸念があった。
また、図6に、断面略逆U字状の取付基部59の上下両側に一対のシールリップ部61を配設したドアアウタウェザストリップ72(上記特許文献3の類似例)を示すが、この場合には、シールリップ部61同士が重ならないように、シールリップ部61の間に空間73を設定する必要があり、断面形状が大型化して、重量やコストがアップするという懸念があった。
これらの懸念は、図2の自動車51のフロントサイドドア54に限らずリアサイドドア53におけるアウタウェザストリップ58においても同様に生じ得るものである。
本発明は、上記した点に鑑み、窓ガラスに強い押出力が作用した場合に、アウタウェザストリップのシールリップ部の浮きを防ぐと共に、断面略逆U字状の取付基部と窓ガラスとの接触とそれに起因する叩き音の発生を防ぐことができ、それに加えて、窓ガラスとの摺動抵抗の増加を抑制することのできる車両用ドアのアウタウェザストリップを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る車両用ドアのアウタウェザストリップは、車両のドアの窓ガラス挿通口の周縁に装着されて、ドアアウタパネルと窓ガラスとの間をシールする車両用ドアのアウタウェザストリップであって、前記窓ガラス挿通口の周縁において前記ドアアウタパネルの上端部の上向きのフランジ部に保持される取付基部と、該取付基部の上部に設けられて前記窓ガラスに接触するシールリップ部と、該取付基部の下部に突設されて該窓ガラスに当接可能な第一のスタビライザと、該シールリップ部と該第一のスタビライザとの間で該取付基部に突設されて該窓ガラスに当接可能な第二のスタビライザと、を備え、前記第二のスタビライザが、前記フランジ部の上部と前記窓ガラスとの間に配置されたことを特徴とする。
上記構成により、窓ガラスが強く外側に押された際に、上下のスタビライザが窓ガラスの外面に当接して、アウタウェザストリップ自体の倒れを防ぐと共に、上側のスタビライザが窓ガラスを受け止めて、窓ガラスとシールリップ部との強い当たりを抑止して、シールリップ部の浮きを防ぎ、下側のスタビライザが窓ガラスと取付基部との当たりを防ぐ。
また、窓ガラスが強く外側に押されて、上側のスタビライザが窓ガラスで外側に押された際に、上側のスタビライザがアウタウェザストリップの取付基部を介してフランジ部の上部に当接し、フランジ部が窓ガラスの押し力を受け止めて、上側のスタビライザを補助(補強)することで、上側のスタビライザによる窓ガラスの受け止めとそれに伴うシールリップ部の浮き防止とが確実に行われる。
請求項2に係る車両用ドアのアウタウェザストリップは、請求項1記載の車両用ドアのアウタウェザストリップにおいて、前記第二のスタビライザが、前記シールリップ部の付根部の下側近傍に配置されたことを特徴とする。
上記構成により、窓ガラスが強く外側に押された際に、上側の第二のスタビライザが窓ガラスを受け止めて、窓ガラスとシールリップ部の付根部との当接を阻止することで、シールリップ部の浮きが確実に防止される。
請求項3に係る車両用ドアのアウタウェザストリップは、請求項1又は2記載の車両用ドアのアウタウェザストリップにおいて、前記取付基部の下端に係止用の爪部が前記窓ガラスとは反対側に向けて突設され、前記フランジ部の折り返し部分の下端に該爪部が係合し、前記第一のスタビライザが該折り返し部分の下部と該窓ガラスとの間に配置されたことを特徴とする。
上記構成により、窓ガラスが強く外側に押されて、下側のスタビライザが窓ガラスで外側に押された際に、下側のスタビライザがアウタウェザストリップの取付基部を介してフランジ部の下部に当接し、フランジ部が窓ガラスの押し力を受け止めて、下側のスタビライザを補助(補強)することで、下側のスタビライザによる窓ガラスの受け止めとそれに伴う硬質の取付基部と窓ガラスとの干渉音の防止が確実に行われる。
また、下側のスタビライザが窓ガラスで外側に押された際に、下側のスタビライザと共に下端の爪部がフランジ部の折り返し部分の下端に係合する方向に押圧されることで、爪部と折り返し部分の下端との係合状態が安定し、アウタウェザストリップの姿勢が安定する。たとえアウタウェザストリップが窓ガラスに押された状態で窓ガラスが摺動しても、爪部の係合が確実であるので、アウタウェザストリップの外れが防止される。
請求項4に係る車両用ドアのアウタウェザストリップは、請求項1〜3の何れかに記載の車両用ドアのアウタウェザストリップにおいて、前記窓ガラスに向けての前記第二のスタビライザの突出高さが前記第一のスタビライザの突出高さよりも高いことを特徴とする。
上記構成により、窓ガラスが強く外側に押された際に、上側のスタビライザの略水平方向の突出高さが下側のスタビライザよりも高いので、上側のスタビライザが積極的に窓ガラスの押し力を受け止めて、シールリップ部の浮きを確実に防止する。下側のスタビライザも窓ガラスに当接し、上下のスタビライザでアウタウェザストリップの姿勢を安定させる。また、窓ガラスの押し力が小さく、アウタウェザストリップの姿勢やシールリップ部に不具合を生じさせる程ではない場合は、上側のスタビライザのみが(正確には上側のスタビライザとシールリップ部が)窓ガラスに当接することで、窓ガラスの摺動抵抗を低下させ、窓ガラスの昇降動作をスムーズに行わせる。
請求項5に係る車両用ドアのアウタウェザストリップは、請求項1〜3の何れかに記載の車両用ドアのアウタウェザストリップにおいて、前記窓ガラスに向けての前記第一のスタビライザの突出高さが前記第二のスタビライザの突出高さよりも高いことを特徴とする。
上記構成により、窓ガラスが強く外側に押された際に、下側のスタビライザの略水平方向の突出高さが上側のスタビライザよりも高いので、下側のスタビライザが積極的に窓ガラスの押し力を受け止めて、窓ガラスとアウタウェザストリップの硬質の取付基部との干渉を確実に阻止する。上側のスタビライザも窓ガラスに当接し、上下のスタビライザでアウタウェザストリップの姿勢を安定させる。また、窓ガラスの押し力が小さく、アウタウェザストリップの姿勢やシールリップ部に不具合を生じさせる程ではない場合は、下側のスタビライザのみが(正確には下側のスタビライザとシールリップ部が)窓ガラスに当接することで、窓ガラスの摺動抵抗を低下させ、窓ガラスの昇降動作をスムーズに行わせる。上側のシールリップ部と下側のウェザストリップとの間隔は、上側のシールリップ部と上側のウェザストリップとの間隔よりも大きいので、シールリップ部と下側のウェザストリップとの二点で窓ガラスに対してアウタウェザストリップを安定な姿勢に支持する。
請求項1記載の発明によれば、上下のスタビライザで窓ガラスの押出荷重を受け止めて、アウタウェザストリップの倒れを防いでアウタウェザストリップの姿勢を安定させることで、防水シール性を良好に維持させることができる。また、上側のスタビライザで窓ガラスとシールリップ部との強接触とそれに伴うシールリップ部の浮きを防いで、防水性の低下や、シールリップ部と窓ガラスとの間への埃や砂の侵入とそれに伴う窓ガラスの傷付きを防止することができる。また、下側のスタビライザで窓ガラスとアウタウェザストリップの取付基部との接触とそれに伴う異音の発生を防ぐことができる。
また、窓ガラスが上側のスタビライザに強く当接した際に、フランジ部の上部で上側のスタビライザを補強して、上側のスタビライザによる窓ガラスの受け止めとそれによるシールリップ部の浮き防止を確実に行わせることができる。
請求項2記載の発明によれば、上側の第二のスタビライザで窓ガラスとシールリップ部の付根部との当接を阻止して、シールリップ部の浮きを確実に防ぐことができる。
請求項3記載の発明によれば、窓ガラスが下側のスタビライザに強く当接した際に、フランジ部の下部で下側のスタビライザを補強して、下側のスタビライザによる窓ガラスの受け止めとそれによる取付基部と窓ガラスとの干渉防止を確実に行わせることができる。また、下側のスタビライザで係止用の爪部を係止方向に押圧することで、フランジ部と爪部との係合を確実に維持させることができ、爪部の係止外れやそれに伴うフランジ部からのアウタウェザストリップの抜け出しを防ぐことができる。
請求項4記載の発明によれば、窓ガラスの外向きの押し力が大きな場合に、上側のスタビライザで積極的に窓ガラスを受け止めて、シールリップ部の浮きを確実に防ぐことができる。また、窓ガラスの外向きの押し力が小さな場合は、上側のスタビライザのみが窓ガラスに当接して、窓ガラスの摺動抵抗の増加を最小限として、窓ガラスのスムーズな昇降を可能とする。
請求項5記載の発明によれば、窓ガラスの外向きの押し力が大きな場合に、下側のスタビライザで積極的に窓ガラスを受け止めて、窓ガラスと取付基部との干渉とそれに伴う異音を確実に防ぐことができる。また、窓ガラスの外向きの押し力が小さな場合は、下側のスタビライザのみが窓ガラスに当接して、窓ガラスの摺動抵抗の増加を最小限として、窓ガラスのスムーズな昇降を可能とすると共に、上側のシールリップ部と下側のスタビライザとでアウタウェザストリップの姿勢を安定に保つことができる。
図1は、本発明に係る車両用ドアのアウタウェザストリップの一実施形態を示すものである。
このドアアウタウェザストリップ1は、弾性の合成ゴム等を材料として、断面略逆U字状の取付基部2の内側壁(略逆U字状の取付基部2の一方の壁であって、窓ガラス7側の壁)3の上部にシールリップ部4を設け、内側壁3の下部の外面(窓ガラス7側の面)3aに第一のスタビライザ5を突設し、シールリップ部4の付根部4aの下側近傍において、内側壁3の上部の外面3aに第二のスタビライザ6を突設したことを特徴とするものである。
図1は従来例の図2のA−A断面に対応する図であり、従来例の図3のドアアウタウェザストリップと比べて、上側の第二のスタビライザ6が配置された点で相違している。
図1においては、大きな押出荷重を受けて車両の外方への移動量が大きい時の窓ガラス7と、その窓ガラス7に接触するシールリップ部4とを鎖線(仮想線)で示し、窓ガラス7の押出荷重が小さい時の通常の接触状態のシールリップ部4を実線で示している。図1の例(上下のスタビライザ5,6の窓ガラス方向の突出高さHが同じ構成例)では、上下のスタビライザ5,6は、押出荷重が大きい時の窓ガラス7に同時に且つ均一な荷重で接触(当接)する。
ドアアウタウェザストリップ1の取付基部2は、上下(縦)方向に長い内側壁3と、上下方向に短い外側壁(略逆U字状の取付基部2の一方の壁であって、車外側の壁)8と、内外の壁部3,8を連結する略水平な上壁9とで構成されている。窓ガラス7の傾斜(上方に向かうにつれて車室側に倒れている)に合わせて内側壁3は窓ガラス7に平行に傾斜し、外側壁8も同様に窓ガラス7に略平行に傾斜している。取付基部2の内側空間(内側壁3と外側壁8と上壁9とで囲まれた空間)10にドアパネル11のフランジ部12が挿入固定されるが、フランジ部12も同様に窓ガラス7に略平行となる様に傾斜している。シールリップ部4の付根部4aの上下方向の位置は、内側壁3の上部においてほぼ上壁9の厚みの範囲に位置している。付根部4aは薄肉に形成されてシールリップ部4に車両内外方向の可撓性を付与している。
付根部4aの下面と断面略横U字形状をなすように(湾曲面で続いて)上側の第二のスタビライザ6の上面6aが位置している。上側のスタビライザ6がシールリップ部4の付根部4aの近傍に配置されたことで、窓ガラス7が閉じ時や高速走行時等に外向きに押し出された(強い押出荷重を受けた)際に、上側のスタビライザ6が窓ガラス7の外面7aに当接して窓ガラス7を受け止めつつ、窓ガラス7とシールリップ部4の付根部4aとの接触(当接)を阻止して、従来の図4におけるシールリップ部4の浮きを防止する。シールリップ部4は鎖線の如く突出先端側(上部側)4bで窓ガラス7の外面7aに接触し、これにより、シールリップ部4の摺動抵抗の増加が抑止される。
上側のスタビライザ6は断面略横台形状に形成され、窓ガラス7の外面7aに接触可能な上下方向に幅狭な短辺側の突出先端面(内側面)6bと、取付基部2の内側壁3の外面3aに一体化した上下方向に幅広な長辺側の付根部6cと、内側壁3から突出先端面6bに向けて下向きに傾斜した上面6aと、内側壁3から突出先端面6bに向けて上向きに傾斜した下面6dとを有している。下面6dの位置は内側壁3の上半部に位置する。すなわち、上側のスタビライザ6は内側壁3の上半部に位置する。
シールリップ部4はドアアウタウェザストリップ1の長手方向に連続し、上側のスタビライザ6も同様にドアアウタウェザストリップ1の長手方向に連続した突条となっている。上側や下側のスタビライザ5,6を連続した突条ではなく、ドアアウタウェザストリップ1の長手方向に分離した複数の突起で構成することも可能である。この場合は、スタビライザ5,6を取付基部2と一体の押出成形ではなく、別体の射出成形等で形成する必要がある。
上下のスタビライザ5,6の突出先端面5b,6bと上下の面5a,5d,6a,6dの突出先端側には、窓ガラス7との摺動抵抗を下げるための処理14が行われている。これはシールリップ部4の内側のシール面14においても同様である。シールリップ部4は軟質のゴム材で形成され、取付基部2は硬質のゴム材で形成されている。
下側の第一のスタビライザ5は、取付基部2の内側壁3の下端から少し上側で窓ガラス7側の面に配置され、内側壁3の下端から外向き(反窓ガラス側)且つ斜め上向きに係止用の爪部15が突設され、爪部15の突出先端15aとほぼ同一水平線上に下側のスタビライザ5の高さ方向中央部(スタビライザ5の突出高さに対して幅方向の中央部)が位置している。上下のスタビライザ5,6の間には例えば第三のスタビライザ(図示せず)をもう一つ配置可能なスペース16があけられている。
下側のスタビライザ5は、上側のスタビライザ6と同様に、取付基部2の内側壁3の外面から窓ガラス7に向かって突出する断面略台形状に形成され、窓ガラス7の外面7aに接触可能な上下方向に幅狭な突出先端面(内側面)5bと、取付基部2の内側壁3の真直な外面3aに一体化した上下方向に幅広な付根部5cと、内側壁3から突出先端面5bに向けて下向きに傾斜した上面5aと、内側壁3から突出先端面5bに向けて上向きに傾斜した下面5dとを有している。
本例の上下のスタビライザ5,6の窓ガラス方向への突出高さHは同じであり、上下のスタビライザ5,6の硬度は同じであり、外向きに押し出された窓ガラス7に上下のスタビライザ5,6が同時に当接し、下側のスタビライザ5が、窓ガラス7と硬質な内側壁3の下部外面3aとの接触(干渉)とそれに伴う干渉音の発生を防ぐ。
なお、上下のスタビライザ5,6の窓ガラス方向への突出高さHは同じであることに限られるものではなく、上下のスタビライザ5,6の硬度が同じである場合、上下何れか一方のスタビライザ5(6)の突出高さ(H)を何れか他方のスタビライザ6(5)の突出高さ(H)よりも高く設定することも有効である。
これにより、窓ガラス7の外向きの押圧力が小さく、ドアアウタウェザストリップ1の姿勢の乱れやシールリップ部4の浮き等の不具合が生じる程ではない場合に、何れか一方のスタビライザ5(6)のみが窓ガラス7に当接することで、窓ガラス7との摺動抵抗が低く抑えられ、窓ガラス7の昇降動作がスムーズ且つ確実に行われる。
これに対し、窓ガラス7の外向きの押圧力が大きく、ドアアウタウェザストリップ1の姿勢の乱れやシールリップ部4の浮き等の不具合が懸念される場合は、上下のスタビライザ5,6が共に窓ガラス7に当接し、ドアアウタウェザストリップ1の姿勢を安定させると共に、上下のスタビライザ5,6が共に窓ガラス7の押圧力を受け止めて、シールリップ部4に不具合が生じることを抑制する。
例えば、上側のスタビライザ6の突出高さ(H)を下側のスタビライザ5の突出高さ(H)よりも高く設定した場合は、窓ガラス7に外向きの大きな押圧力が作用した際に、上側のスタビライザ6が積極的に窓ガラス7に当接して、シールリップ部4の付根部4aと窓ガラス7との接触を阻止して、シールリップ部4の姿勢を浮きなく安定に維持させる。
また、下側のスタビライザ5の突出高さ(H)を上側のスタビライザ6の突出高さ(H)よりも高く設定した場合は、窓ガラス7に外向きの小さな押圧力が作用した際に、上側のシールリップ部4と下側のスタビライザ5との長い間隔(スパン)の二点で窓ガラス7に安定に且つほぼ均一な力で接触して、摺動抵抗を低下させる。また、窓ガラス7から受ける力を下側のスタビライザ5で受け、係止用の爪部15を係止方向に押圧することで、後述するフランジ部19と爪部15との係合を確実に維持させ、爪部15の係止外れやそれに伴うフランジ部19からのアウタウェザストリップ1の抜け出しを防ぐことができる。
図1の如く、ドアパネル11は金属製のドアアウタパネル17と金属製のドアアウタリインフォース18とを含み、ドアアウタパネル17の上端部は、立ち上げ部19aと、立ち上げ部19aから下向きに折り返された折り返し部19bとで成るフランジ部19となっており、フランジ部19の内側にドアアウタリインフォース18の立ち上げられた上端部であるフランジ部20が接合されている。両フランジ部19,20で強固なフランジ部12を構成している。窓ガラス7の内面7b側に配置される不図示のドアインナパネルも上端部にフランジ部を有し、ドアアウタパネル17とドアインナパネルとの両フランジ部の間に窓ガラス挿通口21が形成されている。
ドアアウタウェザストリップ1の取付基部2の内側壁3では、その下端の係止用の爪部15がドアアウタパネル17のフランジ部19の折り返し部19bの下端19cに係合し、すなわち爪部15の上側の傾斜状の係止面15bが折り返し部19bの下端19cに内側(車室内側であって窓ガラス7側)から外向きに係合し、内側壁3の内面(取付基部2の内側空間10側の面)3bの上下二箇所の位置から内側空間10に突出する様に配置された小さな保持リップ部22が折り返し部19bの外面に接触している。上下二箇所の保持リップ部22の内の上側の保持リップ部22は、内側壁3に対して上側のスタビライザ6の反対側に形成配置されている。そして、取付基部2の外側壁8の内面(取付基部2の内側空間10側の面)の上下方向中間位置と下端位置に大中の各保持リップ部23,24が内側空間10に突出する様に形成され、各保持リップ部23,24は、フランジ部19の立ち上げ部19aやドアアウタパネル17の上面に接触している。各保持リップ部23,24は非接触時の自由状態を鎖線(仮想線)で示している。
上側のスタビライザ6は、フランジ部19の上部19dないし上端部とほぼ同一水平線上の位置でフランジ部19の上部19dないし上端部と窓ガラス7との間に配置されている。これにより、窓ガラス7に強い押出荷重が作用した際に、上側のスタビライザ6が取付基部2の内側壁3と小さな保持リップ22とを介してフランジ部19の上部19dに窓ガラス7からの強い押出荷重を伝えることが可能となり、上側のスタビライザ6がフランジ部19の上部で補強(補助)されて、窓ガラス7の押出力を確実に受け止めて、シールリップ部4の浮き等の不具合を確実に防止する。
また、下側のスタビライザ5は、フランジ部19の折り返し部分19bの下部19eないし下端部と、係止用の爪部15とにほぼ同一水平線上の位置でフランジ部19の折り返し部分19bの下部19eないし下端部及び爪部15と窓ガラス7との間に配置されている。つまり、下側のスタビライザ5は、上下二箇所の保持リップ部22の内の下側の保持リップ部22と同等またはやや下側となる位置であって、内側壁3に対して係止用の爪部15の反対側に形成配置されており、下側のスタビライザ5の高さ方向の上半部が、下側の保持リップ部22と係止用の爪部との中間の高さに位置している。これにより、窓ガラス7に強い押出荷重が作用した際に、下側のスタビライザ5が取付基部2の内側壁3と小さな保持リップ22とを介してフランジ部19の折り返し部分19bの下部19eに窓ガラス7からの強い押出荷重を伝えることが可能となり、下側のスタビライザ5がフランジ部19の下部19eで補強(補助)されて、窓ガラス7の押出力を確実に受け止めて、ドアアウタウェザストリップ1の傾きやそれに伴うシールリップ部4の傾き等を確実に防止する。
それと同時に、窓ガラス7が下側のスタビライザ5に当接した際に、下側のスタビライザ5が爪部15を外向きに、すなわちフランジ部19の折り返し部19bに対する爪部15の係合方向に押すことで、爪部15と折り返し部19bの下端19cとの係合(係止)状態が安定し、ドアアウタウェザストリップ1の姿勢が安定する。これにより、窓ガラス7が外向きに押圧された状態で上昇(摺動)しても、ドアアウタウェザストリップ1がフランジ部19から外れるといった不具合が防止される。
なお、図1において、上側のスタビライザ6の突出高さ(H)を下側のスタビライザ5の突出高さ(H)よりも高くすることに代えて、上下のスタビライザ5,6の突出高さHは同一にして、上側のスタビライザ6の硬度を下側のスタビライザ5の硬度よりも高く(硬く)することも可能である。
硬度の異なるスタビライザ5,6の成形は、例えば、ドアアウタウェザストリップ1の押出成形時に、上側のスタビライザ6を取付基部2と同じ硬度のゴム材料で押出成形すると同時に、下側のスタビライザ5を低い硬度のゴム材料で押出成形したり、あるいは、上側のスタビライザ6を取付基部2と同じ硬度のゴム材料で押出成形した後、下側のスタビライザ5を低い硬度のゴム材料で射出成形することで可能となる。
上下のスタビライザ5,6の突出高さは同一にして、下側のスタビライザ5の硬度を上側のスタビライザ6の硬度よりも高く(硬く)することも、上記同様の方法で行うことができる。なお、上下のスタビライザ5,6を長手方向に連続した突条ではなく、分離した複数の突起で構成する場合も、押出成形した取付基部2にスタビライザ5,6を射出成形したり貼り付けることで可能となる。硬度の低い(柔らかい)スタビライザ5,6を発泡性のゴム材等で形成してもよい。
図1の実施形態(上下のスタビライザ5,6の突出高さHが同じ例)では、各スタビライザ5,6は取付基部2よりも硬度の低いゴム材で形成されることが好ましい。例えば、各スタビライザ5,6をシールリップ部4と同じ硬度の柔らかいゴム材で形成すれば、成形作業が容易である。
また、図1の実施形態では上下二つのスタビライザ5,6を設けたが、例えば上下のスタビライザ5,6の間に第三の不図示のスタビライザを設けることも可能である。この場合は、各スタビライザ5,6の上下方向の幅寸法を図1におけるよりも狭く形成して、窓ガラス7との摺動抵抗を低減させることが好ましい。実使用上は上下二つのスタビライザ5,6でシールリップ部4の浮きや硬質の取付基部2の下端3cと窓ガラス7との干渉の対策を十分行うことができる。
本発明は、車両用フロントドアのアウタウェザストリップ1として以外に、車両用リヤドアのアウタウェザストリップ1の取付構造としても有効である。