JP5890797B2 - エアフィルタ - Google Patents
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Description
ここで、従来のオイルミストフィルタ201では、空気は内側から外側に流れる必要があった。その理由は、マントル212の内部には油分を蓄える機能を備えていなかったためである。したがって、空気を内側から外側に流すことにより、油分をマントル212の外側で油滴化し、ボウル213内に落下させて蓄えていた。
そのため、従来のエアフィルタ101とオイルミストフィルタ201とを、単に一体的に配置することは技術的に困難であった。そのため、別々の装置として存在しており、2台の装置を設置するには、広い設置面積を必要とし、余分な配管作業を要した。
ここで、空気の通過する順番(エアフィルタ101が先)は重要な要素である。すなわち、エアフィルタ101とオイルミストフィルタ201を逆に配置した場合、空気が先にオイルミストフィルタ201を通過すると、マントル212のフィルタ部の孔径は小さいため、空気中の水滴・異物がマントル212に詰まり、使用できなくなってしまう。その結果、オイルミストフィルタ201の交換周期が非常に短くなるという問題が生じる。そのため、必ず、エアフィルタ101を先に通過させ、水滴・異物を除去した後、オイルミストフィルタ201を通過させることが必要なのである。
すなわち、特許文献1の技術には、図11に示すように、中空状のエアフィルタ311の外周側にオイルミストフィルタに相当するグリスフィルタ312が配置されている。特許文献1の技術は、空気は矢印R方向に流れるため、先にグリスフィルタ312を通過する。そのため、水滴・異物がグリスフィルタ312で詰まり、使用できなくなる問題がある。
(1)空気流入口、空気流出口、空気に含まれる水滴と異物を遠心力によって除去するため空気を旋回流にするルーバ、前記旋回流で除去できなかった異物を除去する中空状のフィルタエレメントを有し、前記フィルタエレメントの内周に、油分を除去する中空状のマントルが配置されていること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するエアフィルタにおいて、前記フィルタエレメントの下方に貯蔵した水滴と異物が吹き上がることを防止するバッフルと、前記バッフルの下方に前記旋回流によって除去した水滴と異物を貯蔵するボウルと、前記ボウルの下面に貯蔵した水滴と異物を排出する排出機構とを有すること、を特徴とすることが好ましい。
(3)(1)又は(2)に記載するエアフィルタにおいて、前記マントルの中空部の底位置に、開閉弁が設けられていること、前記開閉弁は、空気が供給されているときは閉弁し、空気が供給されていないときは開弁すること、を特徴とすることが好ましい。
(4)(1)又は(2)に記載するエアフィルタにおいて、前記フィルタエレメントの下方に水貯蔵部と油貯蔵部が設けられていること、を特徴とすることが好ましい。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載するエアフィルタにおいて、前記フィルタエレメントの外周下方に前記異物を捕集するメッシュが設けられていること、を特徴とすることが好ましい。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載するエアフィルタにおいて、前記マントルは、円筒部材が二重構造であり、前記円筒部材の間に濾材が挟まれ、前記円筒部材の内周に油分凝集部材が配置されていること、を特徴とすることが好ましい。
(7)(6)に記載するエアフィルタにおいて、前記円筒部材は樹脂製であること、を特徴とすることが好ましい。
上記(1)又は(2)の態様によれば、空気は装置内を外側から内側へ流れ、フィルタエレメントを先に通過し、その後にマントルを通過する。これにより、1台の装置で、オイルミストフィルタとエアフィルタの2台の装置の役割を果たすことができる。同時に、空気はフィルタエレメントを先に通過するため、異物がマントルに到達することがなく、マントルにおける目詰まりの発生を低減することができる。また、設置面積の低減を実現し、配管の作業効率を向上することができる。
上記(7)の態様によれば、マントルとフィルタエレメントが一体化することにより、全体として、強度が確保されているため、ステンレス板と比較して、コストダウンを実現することができる。
<第1実施形態>
(エアフィルタの構成)
図1に、本発明の第1実施形態におけるエアフィルタ1の断面図を示す。図2は、図1の一点鎖線で囲った部分(S部)の拡大図であり、フィルタエレメント12とマントル13の構造を示す。図3は、マントル13の円筒部材21の斜視図を示し、図4は、マントルの構造を示し、図5は、ルーバ11の斜視図を示す。
また、ボディ25の下部には、上面が開口されている円筒状のボウル18が嵌入され、ボウル18を覆うようにボウルガード19が配設されている。ボウル18は水滴等を貯蔵する機能を有し、十分な空間を有している。ボウル18の上端部外側には、ボディ25とボウル18との間から外部へ漏れることを防止するためのOリング26が装着されている。ボウル18の上端部内側には、ボディ25に設置されたルーバ11が配置されている。ルーバ11は、空気に旋回流を発生させる機能を有する。図5に示すように、ルーバ11の外周端には多数の羽根11a、11a、…、11aが形成され、これらの羽根11a、11a、…、11aの間のスリット11b、11b、…、11bを空気が通過することにより、旋回流を発生させる。
次に、エアフィルタ1の作用について説明する。
第1工程として、空気流入口16より供給された空気が、フィルタエレメント12を通過して水滴・異物が除去される工程を説明する。
図1に示すように、図中左上の空気流入口16から供給された空気(矢印Aで示す)は、入口通路27から下方(矢印Bで示す)へ流れ、ルーバ11の入口側の円環状通路28に流入する。次に、ルーバ11によって、図5に示すように、羽根11aの間のスリット11bを通り抜けることにより、空気の流れは矢印Bから点線矢印B’へ方向を変え、旋回流となり、旋回流通路29へ流入する。ここでは、遠心分離により、空気に含まれる比重の大きい水滴・異物が外周部へ移動する。
第1工程において微細な異物が濾過された空気は、外側から内側(矢印Cで示す)へ移動しつつ、マントル13により、空気に含まれる油分を除去する。図4に示すように、矢印C方向に空気がマントル13を通過する際、空気に含まれる約0.01〜0.8μmの油分粒子50は、ランダムな無数の微細な濾材22に直接衝突、捕集、凝縮され、油滴化する。さらに、油分凝集部材23により、濾材22で捕獲された油分が凝集され、大きな液滴となる。油分凝集部材23に油分が凝集されることにより、空気流によって再び飛散することを防ぐとともに、油分が油滴化し、ある程度の大きさになると自重によってマントル13の中空部の底位置通路38に落下する。なお、図4では、円筒部材21は、補強材としての機能を有し、油分を除去する機能はないため、省略している。
第1工程と第2工程により、圧縮空気中の水滴・異物・油分は取り除かれて清浄な空気となり、清浄な空気を必要としている機器に対して供給される。
第1工程により、外周部に移動した水滴・異物は、ボウル18の内壁を伝って落下し、バッフル15の隙間15aを介してボウル18内の底に溜まる。ボウル18内の底に溜まった水滴・異物は、バッフル15によりそれより上方へ舞い上がることが防止され、旋回流通路29に逆流することはない。
続いて、エアフィルタ1の設置・交換をする方法について説明する。
作業者は、エアフィルタ1に設置されているインジケータまたは差圧計により、エアフィルタ1の目詰まり状態を判断する。フィルタ通過前と通過後との圧力差が大きいほど、フィルタは空気を通過させず目詰まり状態であると判断される。
フィルタが目詰まり状態であると判断された場合、作業者は、一体化したフィルタエレメント12とマントル13を交換する。また、新たに設置する場合には、1台のエアフィルタ1を交換するだけでよい。これにより、従来は同じ外観形状の装置が別々に存在していたため、本来の配置とは逆に配置される恐れがあったが、一体化したフィルタエレメント12及びマントル13、又は1台のエアフィルタ1を交換するだけでよいため、正確かつ容易に交換することができ、配管の作業効率性を向上することができる。
また、円筒部材21が二重構造であり、円筒部材21の間に濾材22が挟まれ、円筒部材21の内周に油分凝集部材23が配置されていること、を特徴とするため、マントル13の強度が確保される。さらに、円筒部材21は樹脂製であること、を特徴とするため、マントル13とフィルタエレメント12が一体化することにより、全体として、強度が確保され、ステンレス板と比較して、コストダウンを実現することができる。
<第2実施形態>
(エアフィルタの構成)
図6に、第2実施形態に係るエアフィルタ2の断面図を示す。
本発明の第2実施形態に係るエアフィルタ2は、エアフィルタ1と主な構成は同じである。よって、異なる構成のみ説明する。なお、エアフィルタ2の構成物のうち、エアフィルタ1と同じ構成物であるものは、同じ番号で記載することで、説明を割愛する。また、エアフィルタ2の主な構成の作用は、エアフィルタ1と同じであるため、説明を割愛する。また、装置の設置、交換方法はエアフィルタ1と同じであるため、説明を割愛する。
エアフィルタ2がエアフィルタ1と相違する点は、フィルタエレメント12の外周下方、すなわち、バッフル15の外周にメッシュ36が設けられている点である。メッシュ36は、線材としての樹脂細線からなり、上下方向に直線状に延びる多数本の樹脂細線と、その樹脂細線に交差する方向に延びる多数本の樹脂細線とを網目状に編み込むことにより構成される。これにより、メッシュ36は水滴を通しつつ、異物を捕集することができる。
第1工程により、外周部に移動した水滴・異物は、ボウル18の内壁を伝って落下しつつ、メッシュ36により異物は取り除かれ、水滴のみボウル18に蓄えられる。続いて第2工程により油分がボウル18に蓄えられる。第1工程・第2工程によりボウル18に溜まった水滴・油分を排出機構20から排出するとき、異物はメッシュ36によりすでに除去されているため、弁体43と弁座部材42の間に挟まる恐れがない。
(エアフィルタの構成)
図7に、第3実施形態に係るエアフィルタ3の断面図を示す。
本発明の第3実施形態に係るエアフィルタ3は、エアフィルタ1と主な構成は同じである。よって、異なる構成のみ説明する。なお、エアフィルタ3の構成物のうち、エアフィルタ1と同じ構成物であるものは、同じ番号で記載することで、説明を割愛する。また、エアフィルタ3の主な構成の作用は、エアフィルタ1と同じであるため、説明を割愛する。また、装置の設置、交換方法はエアフィルタ1と同じであるため、説明を割愛する。
エアフィルタ3がエアフィルタ1と相違する主な点は、除去された水滴、異物、油分を貯蔵する構成である。
まず、水滴、異物を貯蔵する構造として、フィルタエレメント12の下方にバッフル15が配置され、バッフル15の外周には隙間15aが設けられている。バッフル15の下方には、水滴を貯蔵する円環状の水貯蔵部37が設けられている。旋回流通路29と水貯蔵部37は、隙間15aを介して連通している。水貯蔵部37の下面には水を排出するための水排出機構35が設けられている。
第1工程により、外周部に移動した水滴・異物は、ボウル18の内壁を伝って落下し、バッフル15の隙間15aを介して水貯蔵部37に溜まる。次に、第2工程により、マントル13において油滴化され落下する油分は、油分通路39を通って油貯蔵部33に蓄えられる。第1工程、第2工程を経て、除去された水滴、異物、油分のうち、水滴・異物は水貯蔵部37に、油分は油貯蔵部33に蓄えられ、それぞれ水排出機構35と油排出機構34から別々に排出することができる。このとき、油のみ産業廃棄物として効率よく処理することができるため、水滴、異物、油分が混じりあった状態で廃棄するよりもコストを低減することができる。
(エアフィルタの構成)
図8に、第4実施形態に係るエアフィルタ4の断面図を示す。
本発明の第4実施形態に係るエアフィルタ4は、エアフィルタ3と主な構成は同じである。よって、異なる構成のみ説明する。なお、エアフィルタ4の構成物のうち、エアフィルタ3と同じ構成物であるものは、同じ番号で記載することで、説明を割愛する。また、エアフィルタ4の主な構成の作用は、エアフィルタ3と同じであるため、説明を割愛する。また、装置の設置、交換方法はエアフィルタ1と同じであるため、説明を割愛する。
エアフィルタ4がエアフィルタ3と相違する点は、フィルタエレメント12の外周下方、すなわち、バッフル15の外周にメッシュ36が設けられている点である。すなわち、フィルタエレメント12の下方にバッフル15が配置され、バッフル15の外周にはメッシュ36が設けられている。
例えば、エアフィルタ1では、手動排出機構20を用いているが、水滴等が一定量貯まったときに、ボウルに内蔵されている自動排出弁が開く自動排出機構を用いても良いし、空気圧を消費するときの圧力変化を利用して、排出弁を断続的に開閉する差圧排出機構を用いても良い。
11 ルーバ
12 フィルタエレメント
13 マントル
14 開閉弁
15 バッフル
16 空気流入口
17 空気流出口
18 ボウル
20 手動排出機構
21 円筒部材
22 濾材
23 油分凝集部材
33 油貯蔵部
34 油排出機構
35 水排出機構
36 メッシュ
37 水貯蔵部
Claims (5)
- 空気流入口、空気流出口、空気に含まれる水滴と異物を遠心力によって除去するため空気を旋回流にするルーバ、前記旋回流で除去できなかった異物を除去する中空状のフィルタエレメントを有し、
前記フィルタエレメントの内周に、油分を除去する中空状のマントルが配置されていること、
前記フィルタエレメントの下方に貯蔵した水滴と異物が吹き上がることを防止するバッフルと、
前記バッフルの下方に前記旋回流によって除去した水滴と異物を貯蔵するボウルと、
前記ボウルの下面に貯蔵した水滴と異物を排出する排出機構とを有すること、
前記マントルの中空部の底位置に、開閉弁が設けられていること、
前記開閉弁は、空気が供給されているときは閉弁し、空気が供給されていないときは開弁すること、
を特徴とするエアフィルタ。 - 請求項1に記載するエアフィルタにおいて、
前記フィルタエレメントの下方に水貯蔵部と油貯蔵部が設けられていること、
を特徴とするエアフィルタ。 - 請求項1又は請求項2に記載するエアフィルタにおいて、
前記バッフルの外周に前記異物を捕集するメッシュが設けられていること、
を特徴とするエアフィルタ。 - 請求項1乃至3のいずれか1つに記載するエアフィルタにおいて、
前記マントルは、円筒部材が二重構造であり、前記円筒部材の間に濾材が挟まれ、前記円筒部材の内周に油分凝集部材が配置されていること、
を特徴とするエアフィルタ。 - 請求項4に記載するエアフィルタにおいて、
前記円筒部材は樹脂製であること、
を特徴とするエアフィルタ。
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