JP5888998B2 - 波面傾斜分布測定方法および波面傾斜分布測定装置 - Google Patents

波面傾斜分布測定方法および波面傾斜分布測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、被検面からの光の波面の傾斜分布を測定する方法および装置に関する。
大口径レンズ等の被検物(被検面)の形状を測定する方法として、被検物より小さな基準を用いて前記被検物の部分領域ごとに形状測定を行い、部分領域ごとに得られた形状データを繋ぎ合わせることで被検物全体の形状データを得る、いわゆるスティッチングがある。干渉計(センサ)を用いたスティッチングによる被検面の測定方法には、例えば特許文献1にて開示されたものがある。特許文献1にて開示された方法では、部分領域ごとに得られる形状データ間で異なるセンサの姿勢ばらつきに起因する誤差(姿勢ばらつき誤差)と測定系が持つ部分領域ごとの形状データ間で共通する誤差(システム誤差)とを同時に除去する。これにより、被検面の形状を精度良く測定する。
また、非球面レンズの形状を光の波面の計測結果を用いて測定(算出)する方法として、干渉計の他に、測定波面のダイナミックレンジが大きいシャック・ハルトマンセンサを用いた測定方法が提案されている。シャック・ハルトマンセンサは、形状や収差の測定に広く利用されている。例えば、特許文献2には、被検光学系の回転前後の波面収差をシャック・ハルトマンセンサで測定し、その差異を所定の多項式にフィッティングすることで被検光学系のシステム誤差を算出する方法が開示されている。
さらに、特許文献3および非特許文献1には、シャック・ハルトマンセンサを用いる測定にスティッチングを取り入れた測定方法が開示されている。この測定方法では、部分領域ごとの測定データに含まれるセンサの姿勢ばらつきに起因する誤差を除去する方法が開示されている。
特許第4498672号 特開2006−30016号公報 特表2003−503726号公報
J.Floriot,X.Levecq,S.Bucourt,M.Thomasset,F.Polack,M.Idir,P.Mercere,S.Brochet,and T.Moreno,「Surface metrology with a stitching Shack-Hartmann profilometric head」,Proc.of SPIE Vol.6616,66162A(2007)
しかしながら、計測装置には上述したシステム誤差があり、波面傾斜分布をスティッチング測定する際には、各部分領域データが持つ姿勢ばらつき誤差がある。このため、姿勢ばらつき誤差を算出する方法では、システム誤差を補正することができない。また、システム誤差の影響により、姿勢ばらつき誤差の算出精度自体も低下する。
干渉計において姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を同時に補正する方法は知られているが、シャック・ハルトマンセンサの出力のように波面の2方向(X方向とY方向)での傾斜分布データには、前記方法をそのまま適用できない。すなわち、波面のX方向とY方向での傾斜分布の2つのデータをスティッチングするために、2つのデータのそれぞれにそのまま適用すると、誤差の算出精度が低下する。
本発明は、波面傾斜分布のスティッチング測定において、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を補正して、2方向での波面傾斜分布を良好な精度で得られるようにした波面傾斜分布測定方法および波面傾斜分布測定装置を提供する。
本発明の一側面としての波面傾斜分布測定方法は、被検面からの光の波面の傾斜分布であって前記光の進行方向に直交する2方向での傾斜分布を、前記波面を複数に分割して得られた部分領域ごとに波面センサを用いて測定する。前記方法は、各部分領域を、他の少なくとも1つの部分領域との重なり領域を持つように設定するステップと、複数の部分領域での測定時における波面センサの姿勢ばらつきに起因する第1の誤差および前記波面センサを含む測定系の誤差に起因する複数の部分領域に共通する第2の誤差を算出する誤差算出ステップと、部分領域ごとに測定された傾斜分布に対して、算出された第1および第2の誤差に応じた補正を行い、補正された部分領域ごとの傾斜分布を繋ぎ合わせて波面全体の傾斜分布を算出するステップとを有する。誤差算出ステップでは、2方向のそれぞれにおいて、第1および第2の誤差を、波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表す。そして、前記線形結合における第1および第2の誤差の重み付け係数のそれぞれが、2方向での傾斜分布の間で一致したものとし、重なり領域における傾斜分布の差分を最小化するように重み付け係数を算出することを特徴とする。
なお、上記波面傾斜分布測定方法を用いて算出された結果を用いて、光学素子を加工する光学素子製造方法も、本発明の他の一側面を構成する。
また、本発明の他の一側面としての波面傾斜分布測定装置は、被検面からの光の波面の傾斜分布であって前記光の進行方向に直交する2方向での傾斜分布を、波面を複数に分割して得られた部分領域ごとに波面センサを用いて測定する。前記装置は、各部分領域を、他の少なくとも1つの部分領域との重なり領域を持つように設定する領域分割部と、複数の部分領域での測定時における波面センサの姿勢ばらつきに起因する第1の誤差および波面センサを含む測定系の誤差に起因する複数の部分領域に共通する第2の誤差を算出する誤差算出部と、部分領域ごとに測定された傾斜分布に対して、算出された第1および第2の誤差に応じた補正を行い、補正された部分領域ごとの傾斜分布を繋ぎ合わせて波面全体の傾斜分布を算出する傾斜分布算出部とを有する。誤差算出部は、2方向のそれぞれにおいて、第1および第2の誤差を、波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表す。そして、前記線形結合における第1および第2の誤差の重み付け係数のそれぞれが、2方向での傾斜分布の間で一致したものとし、前記重なり領域における傾斜分布の差分を最小化するように重み付け係数を算出することを特徴とする。
なお、上記波面傾斜分布測定装置を用いて算出された結果を用いて、光学素子を加工する光学素子製造装置も、本発明の他の一側面を構成する。
さらに、本発明の他の一側面は、被検面からの光の波面の傾斜分布であって前記光の進行方向に直交する2方向での傾斜分布を、波面を複数に分割して得られた部分領域ごとに波面センサを用いて測定するために、コンピュータに以下のステップを含む処理を実行させるコンピュータプログラムである。ステップは、各部分領域を、他の少なくとも1つの部分領域との重なり領域を持つように設定するステップと、複数の部分領域での測定時における波面センサの姿勢ばらつきに起因する第1の誤差および前記波面センサを含む測定系の誤差に起因する複数の部分領域に共通する第2の誤差を算出する誤差算出ステップと、部分領域ごとに測定された傾斜分布に対して、算出された第1および第2の誤差に応じた補正を行い、補正された部分領域ごとの傾斜分布を繋ぎ合わせて波面全体の傾斜分布を算出するステップとを有する。誤差算出ステップでは、2方向のそれぞれにおいて、第1および第2の誤差を、波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表す。そして、前記線形結合における第1および第2の誤差の重み付け係数のそれぞれが、2方向での傾斜分布の間で一致したものとし、重なり領域における傾斜分布の差分を最小化するように重み付け係数を算出することを特徴とする。
本発明によれば、波面傾斜分布のスティッチング測定において、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を同時に補正することができ、2方向での波面傾斜分布を良好な精度で算出することができる。
本発明の実施例1である波面傾斜分布測定方法を使用する波面傾斜分布スティッチング測定装置の構成を示す概略図。 実施例1において被測定波面を領域分割して測定する様子を示す模式図。 実施例1の測定装置に使用される波面傾斜分布測定方法の手順を示すフローチャート。 実施例1においてシステム誤差の非点収差成分を取り除くための方法を示す模式図。 本発明の実施例2である波面傾斜分布測定方法の手順を示すフローチャート。 本発明の実施例3である波面傾斜分布測定方法を使用する波面傾斜分布スティッチング測定装置の構成を示す概略図。 実施例3の測定装置に使用される波面傾斜分布測定方法の手順を示すフローチャート。 実施例1〜3の測定装置を用いた加工装置の構成を示す概略図。 実施例1〜3の測定装置を用いた加工装置の構成を示す概略図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である波面傾斜分布測定方法を使用する波面傾斜分布スティッチング測定装置(波面傾斜分布測定装置)の構成を示している。101は不図示の被検面を透過または反射した光(入射光)の波面を示す。102は波面センサ(以下、単にセンサという)であり、マイクロレンズアレイ102aと、CCD等の撮像素子102bとにより構成されている。103はセンサ102をx軸に平行な方向(x方向)、y軸に平行な方向(y方向)およびz軸に平行な方向(z方向)に移動させるステージである。z軸は、センサ102に入射する光(波面)の進行方向としての光軸方向と平行な軸である。また、前記z軸に対して直交し、かつ互いに直交する2軸としてx軸とy軸を設定している。104はセンサ102の出力のデータ処理やステージ103の制御を行うコンピュータである。
センサ102は、シャック・ハルトマンセンサであり、マイクロレンズアレイ102aにおいて格子状に配列された多数の微小集光レンズを透過した波面は、前記微小集光レンズごとに撮像素子102b上に集光される。センサ102に入射する波面101の傾斜分布は、微小集光レンズにより集光されるスポットの位置と、予め校正された位置、例えば平行光を入射させたときのスポット位置との差を検出することで求められる。全ての微小集光レンズに対して波面101の傾斜分布を求めることにより、センサ102で受光される波面のx方向とy方向のそれぞれでの傾斜分布を測定することができる。
なお、センサ102としては、シャック・ハルトマンセンサに限らず、波面の傾斜分布が測定できる波面センサを用いればよい。例えば、ハルトマンプレートまたは回折格子と、CCD等の受光センサとから構成されるシアリング干渉計やTalbot干渉計をセンサ102として用いてもよい。
また、ステージ103は、少なくともx方向とy方向にセンサ102を移動させるものであればよいが、後の実施例で説明するように、z軸回りでの回転が可能であれば、データの繋ぎ合わせを高精度化できる。さらに、ステージ103は、校正のためにセンサ102をz方向に移動させることが可能であるとよく、x軸およびy軸回りでセンサ102を回転させることができるように構成してもよい。
コンピュータ104は、センサ102とステージ103とに接続されている。コンピュータ104が第1の駆動命令をステージ103に送ると、ステージ103は第1の駆動位置にセンサ102を移動または回転させる。移動または回転の完了後、コンピュータ104は、集光スポット強度データの取得命令をセンサ102に送る。
センサ102は、取得した集光スポット強度データをコンピュータ104に送る。コンピュータ104は、集光スポット強度データを処理し、第1の波面傾斜分布データを得る。第1の駆動位置と第1の波面傾斜分布データは、コンピュータ104内に保存される。同様の処理をN回繰り返すことで、コンピュータ104は、N個のステージ位置とこれらステージ位置に対応するN個の波面傾斜分布データとを得る。コンピュータ104は、こうして得たN個の波面傾斜分布データを後述するように誤差補正した後に繋ぎ合わせて、被検面全体からの光の波面(つまりは波面全体)の傾斜分布データを得る。コンピュータ104は、領域分割部、誤差算出部および傾斜分布算出部として機能する。
以下、本実施例における波面傾斜分布データの誤差補正方法と繋ぎ合わせ方法について説明する。図2(a)において、実線で書かれた円内の領域は被測定波面Tを表す。点線で示した領域201〜204は、被測定波面Tを複数に分割することで設定された分割測定領域(部分領域)を示す。図2(a)の分割測定領域201〜204をそれぞれ個別に示したものが、図2(b)の分割測定領域201〜204と対応している。各分割測定領域は、他の少なくとも1つの分割測定領域との重なり領域を持つように設定されている。図2(a),(b)において各分割測定領域の大きさは、センサ102に依存する。
分割測定領域201〜204のいずれも、単独では被測定波面Tの全体を測定することはできないが、分割測定領域201〜204の全部で被測定波面Tの全体の大きさをカバーしている。この例では、分割測定領域201〜204におけるx方向およびy方向のそれぞれでの被測定波面Tの傾斜分布データを繋ぎ合わせる。
分割測定領域201〜204のそれぞれで測定された波面傾斜分布データ(以下、部分測定データともいう)には、分割測定時のセンサ102の姿勢ばらつきに起因する姿勢ばらつき誤差(第1の誤差)が含まれる。さらに、部分測定データには、センサ102を含む測定系の誤差に起因するシステム誤差(第2の誤差)も含まれる。システム誤差は、全ての分割測定領域201〜204で得られる部分測定データに対して共通の誤差である。
本実施例では、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を記述する関数を、以下のように定義する。
一般に波面を表す関数の一つとして、Zernike多項式がある。波面のx方向およびy方向のそれぞれでの一次微分である傾斜分布(以下、波面傾斜分布ともいう)を数式で表すには、Zernike多項式をx方向およびy方向にそれぞれ偏微分した関数(
以下、微分Zernike多項式という)を用いることが好ましい。Zernike多項式の第i項をZとすると、x方向において微分したZernike多項式であるDZxiと、y方向において微分したZernike多項式であるDZyiはそれぞれ、式(1)によって表される。
なお、波面傾斜分布を表す関数は、Zernike多項式の導関数に限定されず、波面を表す関数の導関数を用いればよい。
一般にZernike多項式の第1項から第4項までは各測定状態に依存する項であるため、姿勢ばらつき誤差とみなすことができる。よって、姿勢ばらつき誤差は、各測定状態に依存して係数の値が定められる項と言える。Zernike多項式の第5項以上は各測定状態に関わらず係数の値が定められるので、システム誤差とみなすことができる。したがって、システム誤差は、各測定状態に関わらず係数の値が定められる項と言える。これは、微分Zernike多項式においても同様である。
ただし、Zernike多項式において波面のピストン成分を表す第1項は微分すれば0となるが、波面傾斜分布データの場合は、波面にピストン成分が存在しても、波面の一次微分である傾斜分布には影響しないため、補正する必要はない。
以下、i番目の分割測定領域におけるx方向およびy方向での波面傾斜分布データ(部分測定データ)をS′xi,S′yiとして具体的に数式で記述する。Sxi,Syiを誤差のない波面傾斜分布データを表すものとし、a ,a をi番目の分割測定領域における波面傾斜分布データに姿勢ばらつき誤差として付加される微分Zernike多項式の第j項とする。また、bxk,bykを、システム誤差として全分割測定領域における波面傾斜分布データに付加される微分Zernike多項式の第k項とする。さらに、(x,y)はi番目の分割測定領域に対応するステージ103の駆動位置(以下、ステージ位置ともいう)とする。
以上のように定義すれば、波面傾斜分布データS′xi,S′yiは、x方向およびy方向の2方向において、波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表された姿勢ばらつき誤差およびシステム誤差を含む式(2)のように表される。ここで、Mは除去する姿勢ばらつき誤差を表す最大項数であり、Lはシステム誤差を表す微分Zernike多項式の項数の上限を表す。ただし、M+1からLまでの項の一部を姿勢ばらつき誤差の方に含めてもよい。
このとき、本実施例では、x方向およびy方向のそれぞれで別個に上述した誤差を求めるのではない。本実施例では、x方向およびy方向のそれぞれでの線形結合における姿勢ばらつき誤差の重み付け係数に相当するa ,a とシステム誤差の重み付け係数に相当するbxk,bykを、前記2方向の波面傾斜分布の間で等しい値にする(一致させる)。すなわち、a =a とするとともに、bxk=bykとしてこれらの重み付け係数を算出する。そこで、式(1)のx方向およびy方向に対応する2つの式を行列で1つの式として書くと、式(3)のようになる。
このとき、S′とDZはそれぞれ式(4)により表され、
=a =a
=bxk=byk
である。
x方向およびy方向での波面傾斜分布について上記係数を一致させずに個別に計算することも可能である。しかし、x方向の微分Zernike多項式とy方向の微分Zernike多項式のどちらか一方のみでは直交度が低く、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差に分離して精度良く推定することができない。これに対し、x方向の微分Zernike多項式とy方向の微分Zernike多項式とを同時に用いると、直交度が高くなり、より良い。したがって、上記係数を一致させることによって、x方向の微分Zernike多項式とy方向の微分Zernike多項式とを同時に用いることができ、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を分離して推定することができる。また、x方向およびy方向の波面傾斜分布は、波面をx方向およびy方向にて微分することで得られるため、波面傾斜のそれぞれを異なる係数によって誤差補正すると、波面として矛盾したものとなってしまう可能性がある。
姿勢ばらつき誤差は、微分Zernike多項式の第1項から第4項までで表されるので、M=4である。図2(a),(b)に示した分割測定領域201と分割測定領域202とが重なり合っている重なり領域での波面傾斜分布データの差分(以下、重なり誤差という)は、式(5)で表される。そして、前記重なり誤差Δ12が最小となるように(最小化するように)重み付け係数a ,bを決定すればよい。
ただし、式(5)において、「1∩2」は、図2(a)に示す分割測定領域201と分割測定領域202との重なり領域(斜線領域)DLに相当する。式(5)では、分割測定領域201と分割測定領域202の波面傾斜分布データにおける重なり誤差を低減するが、他の分割測定領域の波面傾斜分布データの重なり誤差は低減できない。このため、式(5)を全ての分割測定領域の波面傾斜分布データに拡張することで、Δを式(6)のように定義する。
ここで、Nは波面傾斜分布データ(部分測定データ)の数であり、図2(a),(b)では4である。
そして、Δが最小となるように、重み付け係数a ,bを決定すればよい。a ,bを決定する方法には、通常の最小二乗法を用いればよい。すなわち、Δを最小にするには、式(7)に示すように、Δをa で微分した値が0になり、かつΔをbで微分した値が0になればよい。
姿勢ばらつき誤差を微分Zernike多項式の第1項から第4項までとしたので(つまり、M=4としたので)、分割測定領域(i=1,2,3,4)ごとにa は4種類(j=1,2,3,4)ある。システム誤差を表現するZernike多項式の上限項数Lを36とすれば、bは32種類ある(k=5,6,・・・,36)。このため、式(7)から、48(=4×4+32)次元の連立方程式を得ることができる。ここでは、この48次元の連立方程式を式(8)のように記述する。
ただし、Yは48行1列のベクトル、Dは48行48列の行列である。Aは48行1列のベクトルである。ベクトルYと行列Dは式(3)から求めることができる。
ベクトルYを具体的に書くと、式(9)のようになる。
行列Dを具体的に書くと、式(10)のようになる。
式(10)において、上付き文字のTは転置行列を表す。Di,jはM行M列の行列であり、本実施例では4行4列の行列である。i≠jのとき、Di,jのs行t列の成分は、式(11)のように表される。
また、i=jのとき、DZi,iのs行t列の成分は、k≦Nとして、式(12)のようになる。
はM行(L−M)列の行列であり、Dのs行t列の成分は、式(13)のように表される。
は(L−M)行(L−M)列の行列であり、Sのs行t列の成分は、式(14)のように表される。
ベクトルAを具体的に記述すると、式(15)のようになる。
未知である係数ベクトルAを求めるには、式(8)を解けばよい。行列Dを特異値分解すると、式(16)を得る。
ここで、†は転置共役(アジョイント)を表し、Uはユニタリー行列、Sは対角行列である。逆行列を表すために−1を用いれば、U−1=U†の関係がある。Vには、V†Vが単位行列になるという特徴がある。特異値分解を用いれば、行列Dの一般逆行列D′を式(17)のように求めることができる。
式(17)を用いて式(8)を解くには、式(18)の計算を実行すればよい。
式(18)を用いることで、未知であった係数ベクトルAを求めることができる。すなわち、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を補正するための微分Zernike多項式の係数(以下、補正用重み付け係数という)を求めることができる。
算出した補正用重み付け係数を用いてx方向およびy方向の姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を補正するには式(19)を用いればよい。式(19)において、a′ およびb′はそれぞれ、算出した姿勢ばらつき誤差およびシステム誤差を補正するための補正用重み付け係数を表す。
ここでΨは、補正後のx方向およびy方向でのi番目の波面傾斜分布データ(部分測定データ)Ψxi,Ψyiを列方向に並べたベクトルである。
次に、最終的な波面全体の波面傾斜分布を、部分測定データの繋ぎ合わせによって求める。i番目の部分測定データにおいて、データがある領域を1とし、データがない領域を0とした関数をfとする。fを足し合わせたFを式(20)のように定義する。
例えば、F=2の領域は、2つの部分測定データが重なり合っていることを意味し、F=3の領域は、3つの部分測定データが重なり合っていることを意味する。Fを用いれば、波面全体の波面傾斜分布Ψは、式(21)で与えられる。
式(21)を用いれば、部分測定データが重なり合っている領域では、平均化効果によって、ランダムノイズや測定器の再現性誤差の影響等を低減することができる。さらに、平均化効果によって、繋ぎ合わせ部分の段差を低減することができる。
本実施例では、波面全体の波面傾斜分布を得る方法として単純な平均方法を用いたが、これに限らず、部分測定データごとに重み付けをつけて平均をとったり、平均することなく、重なり合った領域において部分測定データの1つのみを採用したりしてもよい。
図3のフローチャートには、上述した波面傾斜分布データの誤差補正方法と繋ぎ合わせ方法を用いた波面傾斜分布のスティッチング測定処理の手順を示している。この測定処理は、コンピュータ104が、コンピュータプログラムである波面傾斜分布測定プログラムに従って実行する。
ステップS301では、コンピュータ104は、事前に使用者により設定されたステージ動作命令に従って、図1に示したステージ103に第1の駆動命令を出す。ステージ103は前記第1の駆動命令を受けて、ステージ103を使用者により設定された位置(ステージ位置)に移動させる。ステージ103の移動が終了すると、コンピュータ104はセンサ102に対して集光スポット強度取得命令を出す。センサ102は、前記集光スポット強度取得命令を受けて、集光スポット強度データを取得し、前記取得した集光スポット強度データをコンピュータ104に送る。
コンピュータ104は、このようなステージ103の移動とセンサ102による集光スポット強度データの取得とをN回繰り返し、N個の集光スポット強度データを波面傾斜分布データに変換する。こうして、コンピュータ104は、N個のステージ位置、つまりはN個の分割測定領域(部分領域)のそれぞれにおける波面傾斜分布データ(部分測定データ)を取得し、前記N個の波面傾斜分布データをN個のステージ位置とともに保存する。
ステップS302(誤差算出ステップ)では、コンピュータ104は、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を求める。具体的には、式(17),(18)を用いて、各部分測定データに含まれる姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を微分Zernike多項式により表現した場合の重み付け係数を求める。
ステップS303では、コンピュータ104は、N個の部分測定データの補正を行う。すなわち、式(19)によって、ステップS302で求めた重み付け係数を用いて姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を計算し、これらの誤差を部分測定データから差し引く。
ステップS304では、コンピュータ104は、補正したN個の部分測定データを繋ぎ合わせる。すなわち、ステップS303で姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を補正した部分測定データを、式(21)を用いて繋ぎ合わせる。以上で、波面傾斜分布のスティッチング測定処理を終了する。
さらに、得られた波面全体の波面傾斜分布から波面を計算するには、積分処理を行うか、微分Zernike多項式に対してフィッティングを行ってその係数を算出すればよい。
次に、本発明の実施例2である波面傾斜分布測定方法について説明する。なお、本実施例の波面傾斜分布測定方法を使用する波面傾斜分布スティッチング測定装置の構成は、実施例1にて説明した構成と同様であり、その説明は省略する。
本実施例では、実施例1にて説明した式(3)における重み付け係数の一部を、それ以外の重み付け係数とは別の取得方法によって取得する。具体的には、実施例1にて説明した式(3)を以下の式(22)に置き換える。
通常、式(3)においては、M=4である。式(3)と式(22)との違いは、式(3)では微分Zernike多項式の第M+1項以上の項をシステム誤差とみなしているのに対して、式(22)では微分Zernike多項式の第7項以上の項をシステム誤差とみなしている点である。
そして、式(22)を用いて実施例1にて説明した式(8)を導出する。その後、式(18),(19)を用いれば、姿勢ばらつき誤差とシステム誤差を補正した部分測定データを得ることができる。ただし、本実施例では、システム誤差の成分の中で、微分Zernike多項式の第5項と第6項に依存する成分は計算しない。以下の説明では、システム誤差の成分の中で微分Zernike多項式の第5項と第6項に依存する成分を、システム誤差(第2の誤差)の非点収差成分という。つまり、本実施例では、システム誤差のうち非点収差成分に対応する重み付け係数を、前記非点収差成分以外の成分に対応する重み付け係数とは異なる取得方法によって取得する。
図4(a),(b)には、システム誤差の非点収差成分を取り出す(非点収差成分に対応する重み付け係数を取得する)ための方法の例を示している。図4(a),(b)において、Tは被測定波面であり、SEはセンサであり、図1に示したセンサ102に相当する。SAはセンサSEの回転中心軸であり、光軸(図1に示したz軸)に平行に延びてセンサSEの中心を通る軸である。
図4(a)は第1の測定状態を示し、図4(b)は第2の測定状態を示す。被測定波面TとセンサSEの向きとの関係を示すために、図4(a),(b)には被測定波面TとセンサSEのそれぞれに三角マークTR1,TR2を付している。図4(a)に示す第1の測定状態で波面傾斜分布を測定すると、センサSEの開口内での波面傾斜分布Sを求めることができる。
次に、図4(b)に示すように、センサSEを回転中心軸SA回りに角度αだけ回転させる。図4(b)には、αを90度とした場合を示している。この第2の測定状態で波面傾斜分布を測定すると、波面傾斜分布S′を得ることができる。
波面傾斜分布S,S′は、センサSEの回転による位置ずれ(ステージずれ)やセンサSEのシステム誤差があるために、互いに一致しない。
ここでもS′とSとの差分をδSとする。δSを微分Zernike多項式に対してフィッティングする。フィッティング結果の微分Zernike多項式の第5項の係数をASとし、第6項の係数をASとする。このとき、システム誤差の第5項の係数bと第6項の係数bは、式(23)により求めることができる。
ただし、αは180度の整数倍以外の角度に設定する必要がある。非点収差成分を取り出す方法は、上述した方法以外に、センサSEを複数回、横や縦にずらしたときのデータセットから算出する等の方法がある。部分測定データを補正するには、式(19)を用いればよい。
図5のフローチャートには、本実施例における波面傾斜分布のスティッチング測定処理の手順を示している。この測定処理は、コンピュータ104が、コンピュータプログラムである波面傾斜分布測定プログラムに従って実行する。
ステップS501では、コンピュータ104は、事前に使用者により設定されたステージ動作命令に従って、図1に示したステージ103に第1の駆動命令を出す。ステージ103は前記第1の駆動命令を受けて、ステージ103を使用者により設定された位置(ステージ位置)に移動させる。ステージ103の移動が終了すると、コンピュータ104はセンサ102に対して集光スポット強度取得命令を出す。センサ102は、前記集光スポット強度取得命令を受けて、集光スポット強度データを取得し、前記取得した集光スポット強度データをコンピュータ104に送る。また、コンピュータ104は、システム誤差の非点収差成分を算出するためのデータも取得する。具体的には、図4(a),(b)に示したように、センサSEを回転中心軸SA回りに回転させて、複数の回転位置での波面傾斜分布データを算出する。
ステップS502では、コンピュータ104は、ステップS501で取得した非点収差成分算出用の波面傾斜分布データからシステム誤差における非点収差成分を算出する。
ステップS503からステップS505での処理は、実施例1にて説明したステップS302からステップS304での処理と同様であるので、説明を省略する。
本実施例では、システム誤差における非点収差成分に対応する重み付け係数を、非点収差成分以外の成分に対応する重み付け係数とは異なる方法によって取得するための工程が増加する。しかし、非点収差成分に対応する重み付け係数を除いて式(22)を計算することにより、部分測定データの算出精度が向上する。
上記実施例1,2によれば、従来の測定方法に比べて以下の有利な効果が得られる。第1に、従来では波面傾斜分布データに含まれるシステム誤差を補正できなかったが、実施例によれば姿勢ばらつき誤差と同時にシステム誤差をも補正することができる。これにより、波面傾斜分布を高精度にスティッチ測定することができる。第2に、波面傾斜分布に対して姿勢ばらつき誤差とシステム誤差の補正を行うことで、波面や被検面形状への変換処理で波面傾斜分布に含まれる誤差が拡大されることを回避することができる。これにより、高精度に波面や被検面形状をスティッチ測定することができる。
図6には、球面レンズや非球面レンズからの光の波面の傾斜分布を測定し、さらに測定した傾斜分布から前記レンズの形状を算出する本発明の実施例3である波面傾斜分布スティッチング測定装置(面形状測定装置)の構成を示す。
図6において、601は光源であり、602,603はコリメータレンズである。604,605,606は投光光学系を構成するレンズである。607は被検物としての被検レンズであり、607aは被検面としてのレンズ面である。また、608はハーフミラーであり、609はセンサである。610は解析演算部である。611はセンサ609を移動させるセンサステージであり、612は被検レンズ607の位置を調整する被検レンズステージである。z軸はセンサ609に入射する光(波面)の進行方向である光軸方向に平行な軸とし、前記z軸に対して直交し、かつ互いに直交する2方向をx軸およびy軸とする。
光源601からの光は、レンズ602によって拡大された後にレンズ603によって平行光に変換され、ハーフミラー608を透過してレンズ604,605でさらに拡大され、レンズ606を透過して被検レンズ面607aに照射される。被検レンズ面607aで反射した光は、レンズ606,605,604を通ってハーフミラー608で反射され、センサ609に入射する。
光源601は、単色レーザである。また、レンズ604,605,606の焦点距離および直径は、被検レンズ面607aの直径(有効径)および曲率半径とセンサ609の受光部の大きさとによって決定される。
被検レンズ607の配置は、レンズ606と被検レンズ607との間の距離を被検レンズステージ612によって調整し、レンズ606から射出される光の波面が被検レンズ面607aにおける近軸領域の曲率中心に収束するように決定される。このとき、波面は被検レンズ面607aに対しておおよそ直交する方向から入射する。ただし、被検レンズ面607aでの光の反射角度は、前記被検レンズ面607aの非球面量(球面からの偏差量)と形状誤差とに依存して決まり、特に非球面量が大きい場合は入射角度とは大きく異なる角度となる。
センサ609は、シャック・ハルトマンセンサ等、入射波面の波面傾斜分布を測定できる波面センサである。被検レンズ面607aとセンサ609は、互いに共役な位置に配置されている。被検レンズ面607aからの光の波面の大きさがセンサ609より大きい場合は、センサ609を前記波面内で移動させて波面内の分割測定領域での波面傾斜分布を測定し、得られた波面傾斜分布データを繋ぎ合わせるスティッチングが必要となる。
センサステージ611の付近に示された矢印は、センサ609に連結されたセンサステージ611の移動方向を表す。本実施例では、センサ609をxy面内で移動させて波面傾斜分布を分割測定する。このために、センサ609に連結されたセンサステージ611を設定した複数の座標位置に移動させる。
なお、センサステージ611は、少なくともx方向とy方向にセンサ609を移動させるものであればよいが、校正のためにセンサ609をz方向に移動させることが可能であるとよい。また、x軸、y軸およびz軸回りでセンサ609を回転させることができるように構成してもよい。
図7のフローチャートには、本実施例における波面傾斜分布のスティッチング測定処理の手順を示している。この測定処理は、コンピュータにより構成される解析演算部104が、コンピュータプログラムである波面傾斜分布測定および面形状算出プログラムに従って実行する。
ステップS701からステップS704までの処理は、実施例1にて説明したステップS301からステップS304での処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS705では、解析演算部104は、センサ609上での波面傾斜分布データを、被検レンズ面607a上での波面傾斜分布データに変換する。その変換方法としては、被検レンズ面607aからの光の波面全体の波面傾斜分布データと、予め算出された被検レンズ面607aの基準面からの光の波面傾斜分布データとの相対関係に基づいて算出してもよい。具体的には、予め算出しておいたセンサ609上と被検レンズ面607a上での入射光線位置と角度との関係を表した変換テーブルを用いて、センサ609上の波面傾斜分布データを被検レンズ面607a上での波面傾斜分布データに変換する。光線位置は波面傾斜分布の位置座標に対応し、光線角度は波面傾斜分布に対して逆正接(アークタンジェント)をとったものに対応する。この変換テーブルは、被検レンズ面607aと光学系の設計値を用いた光線追跡によって算出する方法や、形状が既知である基準面からの光の波面傾斜分布をセンサ609により測定したデータから算出する方法等によって作成することができる。
ステップS706では、解析演算部104は、被検レンズ面607a上での波面傾斜分布データに対して積分処理、または微分Zernike多項式に対してフィッティングを行うことにより、被検レンズ面607aの形状データを算出する。そして、処理を終了する。
本実施例によれば、波面や形状に変換する前にセンサ609上での波面傾斜分布の分割計測時の誤差を補正することで、センサ609上での波面傾斜分布を形状に変換する際に生じ得る誤差の拡大を回避することができる。
実施例1〜3にて説明した波面傾斜分布測定方法(言い換えれば、波面傾斜分布スティッチング測定装置)により算出された結果を用いてレンズ等の光学素子を加工する光学素子製造方法について、本発明の実施例4として説明する。図8および図9には、前記光学素子製造方法によって光学素子を加工する光学素子製造装置を示している。
光学素子の製造においては、以下の3ステップを行う。第1のステップでは、実施例3では説明したが、波面傾斜分布測定方法により得られた波面全体の波面傾斜分布データから、光学素子の被検面の形状データを算出する。第2のステップでは、算出された形状データと、理想的な形状データ(設計値等)との差分をとって加工データを作成する。そして、第3のステップでは、前記加工データに基づいて、被検面(被加工面)の加工を行う。以上の3ステップを、被加工面に要求される精度が満足されるまで繰り返すことによって、高い形状精度を有する光学素子が製造される。
図8において、801はコンピュータである。803は研磨皿等、光学素子804の被加工面を加工する冶工具である。802は冶工具803の位置や姿勢を調節するよう前記冶工具803を移動させる冶工具ステージである。805は光学素子804を固定する保持具であり、806は保持具805の位置や姿勢を調節するよう前記保持具805を移動させる光学素子ステージである。
コンピュータ801は、波面傾斜分布測定方法により得られた波面全体の波面傾斜分布データから光学素子804の被検面の形状データを算出した後、それと理想形状データとの差分である加工データを生成する。そして、前記加工データに基づいて、冶工具803の位置や姿勢を調節するために冶工具ステージ802(または光学素子ステージ806)を動作させる。その後、冶工具803の加工面と光学素子804の被加工面とを接触させながら冶工具803と光学素子804の相対位置を変化させることで、光学素子804の被加工面が加工される。
また、図9において、901はコンピュータである。903は光学素子904の被加工面に接触してその形状を局所的に加工する冶工具である。902は冶工具903の位置や姿勢を調節するよう前記冶工具903を移動させる冶工具ステージである。905は光学素子904を固定する保持具であり、906は保持具905の位置や姿勢を調節するよう前記保持具905を移動させる光学素子ステージである。
コンピュータ901は、図8に示した製造装置と同様に、波面傾斜分布測定方法により得られた波面全体の波面傾斜分布データから光学素子904の被検面の形状データを算出した後、それと理想形状データとの差分である加工データを生成する。そして、前記加工データに基づいて、冶工具903の位置や姿勢を調節するために冶工具ステージ902(または光学素子ステージ906)を動作させる。その後、冶工具903の加工部と光学素子904の被加工面とを局所的に接触させながら冶工具903と光学素子904の相対位置を変化させることで、光学素子904の被加工面が加工される。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
本発明によれば、波面傾斜分布のスティッチング測定において、波面傾斜分布を良好な精度で得られる測定方法および測定装置を提供できる。
101 入射光の波面
102 シャック・ハルトマンセンサ
104 コンピュータ
201〜204 分割測定領域
T 被測定波面
DL 重なり領域

Claims (7)

  1. 被検面からの光の波面の傾斜分布であって前記光の進行方向に直交する2方向での傾斜分布を、前記波面を複数に分割して得られた部分領域ごとに波面センサを用いて測定する方法であって、
    前記各部分領域を、他の少なくとも1つの部分領域との重なり領域を持つように設定するステップと、
    前記複数の部分領域での測定時における前記波面センサの姿勢ばらつきに起因する第1の誤差および前記波面センサを含む測定系の誤差に起因する前記複数の部分領域に共通する第2の誤差を算出する誤差算出ステップと、
    前記部分領域ごとに測定された前記傾斜分布に対して、前記算出された第1および第2の誤差に応じた補正を行い、補正された前記部分領域ごとの傾斜分布を繋ぎ合わせて前記波面全体の傾斜分布を算出するステップとを有し、
    前記誤差算出ステップにおいて、
    前記2方向のそれぞれにおいて、前記第1および第2の誤差を、前記波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表し、
    前記線形結合における前記第1および第2の誤差の重み付け係数のそれぞれが、前記2方向での傾斜分布の間で一致したものとし、前記重なり領域における傾斜分布の差分を最小化するように前記重み付け係数を算出することを特徴とする波面傾斜分布測定方法。
  2. 前記重み付け係数のうち、前記第2の誤差における非点収差成分に対応する係数を、前記非点収差成分以外の成分に対応する係数とは異なる取得方法を用いて取得することを特徴とする請求項1記載の波面傾斜分布測定方法。
  3. 前記被検面からの光の波面全体の傾斜分布と、予め算出された基準面からの光の波面の傾斜分布との相対関係に基づいて、前記被検面の形状を算出するステップをさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の波面傾斜分布測定方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の波面傾斜分布測定方法を用いて算出された結果を用いて、光学素子を加工することを特徴とする光学素子製造方法。
  5. 被検面からの光の波面の傾斜分布であって前記光の進行方向に直交する2方向での傾斜分布を、前記波面を複数に分割して得られた部分領域ごとに波面センサを用いて測定する波面傾斜分布測定装置であって、
    前記各部分領域を、他の少なくとも1つの部分領域との重なり領域を持つように設定する領域分割部と、
    前記複数の部分領域での測定時における前記波面センサの姿勢ばらつきに起因する第1の誤差および前記波面センサを含む測定系の誤差に起因する前記複数の部分領域に共通する第2の誤差を算出する誤差算出部と、
    前記部分領域ごとに測定された前記傾斜分布に対して、前記算出された第1および第2の誤差に応じた補正を行い、補正された前記部分領域ごとの傾斜分布を繋ぎ合わせて前記波面全体の傾斜分布を算出する傾斜分布算出部とを有し、
    前記誤差算出部は、
    前記2方向のそれぞれにおいて、前記第1および第2の誤差を、前記波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表し、
    前記線形結合における前記第1および第2の誤差の重み付け係数のそれぞれが、前記2方向での傾斜分布の間で一致したものとし、前記重なり領域における前記傾斜分布の差分を最小化するように前記重み付け係数を算出することを特徴とする波面傾斜分布測定装置。
  6. 請求項5に記載の波面傾斜分布測定装置を用いて算出された結果を用いて、光学素子を加工することを特徴とする光学素子製造装置。
  7. 被検面からの光の波面の傾斜分布であって前記光の進行方向に直交する2方向での傾斜分布を、前記波面を複数に分割して得られた部分領域ごとに波面センサを用いて測定するために、コンピュータに以下のステップを含む処理を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記各部分領域を、他の少なくとも1つの部分領域との重なり領域を持つように設定するステップと、
    前記複数の部分領域での測定時における前記波面センサの姿勢ばらつきに起因する第1の誤差および前記波面センサを含む測定系の誤差に起因する前記複数の部分領域に共通する第2の誤差を算出する誤差算出ステップと、
    前記部分領域ごとに測定された前記傾斜分布に対して、前記算出された第1および第2の誤差に応じた補正を行い、補正された前記部分領域ごとの前記傾斜分布を繋ぎ合わせて前記波面全体の前記傾斜分布を算出するステップとを有し、
    前記誤差算出ステップにおいて、
    前記2方向のそれぞれにおいて、前記第1および第2の誤差を、前記波面を表す関数を偏微分した関数の線形結合として表し、
    前記線形結合における前記第1および第2の誤差の重み付け係数のそれぞれが、前記2方向での傾斜分布の間で一致したものとし、前記重なり領域における傾斜分布の差分を最小化するように前記重み付け係数を算出することを特徴とする波面傾斜分布測定プログラム。
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