JP2016024058A - 波面計測方法および装置、面形状計測方法および装置、並びに加工装置 - Google Patents

波面計測方法および装置、面形状計測方法および装置、並びに加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】計測時にできるだけステージ駆動起因の位置姿勢誤差を低減し、かつできるだけ計測時間が比較的かからない分割計測経路によって、スティッチング計測を行う波面計測方法および装置、面形状計測方法および装置、並びに加工装置を提供する。【解決手段】ステージ駆動における駆動経路を、総駆動量、総逆走回数を含む評価関数に基づいて適正化計算により算出するステップと、算出した駆動経路にしたがってステージを駆動することにより、光波面全域を分割計測するステップと、計測した部分領域データを繋ぎ合せるステップとを含む方法により、光波面全域データを計測する。【選択図】図1

Description

本発明は、波面計測方法および装置、面形状計測方法および装置、並びに加工装置に関する。
近年のレンズ加工技術の発展に伴い、大口径レンズや非球面レンズがコンシューマー向け製品に数多く取り入れられるようになった。高精度にそれらの形状を加工するために、大口径レンズに対応した高精度な計測方法が求められている。
大口径レンズ計測技術としては、被検物より小さな基準を用いて、被検物の部分領域ごとに形状計測を繰り返し、その後、各形状データをデータ処理して繋ぎ合わせる方法が近年盛んに行われている。スティッチングと呼ばれるこの方法によって、装置の小型化やコストダウンを図ることができる。またスティッチング時に発生する誤差をデータ処理によって補正してやることで高精度に計測することができる。
干渉計におけるスティッチングの一般的な公知例として特許文献1がある。特許文献1では、各形状データ間で異なる位置誤差や姿勢誤差と計測系自体が持つ各形状データ間で共通なシステム誤差を同時に除去する方法を開示している。
また、従来の干渉計の他に、計測波面のダイナミックレンジが大きいシャック・ハルトマンセンサーを使った計測にスティッチングを取り入れた、一般的な公知例として特許文献2、非特許文献1がある。特許文献2、非特許文献1では、各部分計測データに含まれるシャック・ハルトマンセンサーの光軸上の位置誤差や姿勢誤差を除去する方法を開示している。
また特許文献3は、露光装置における露光処理領域と各処理領域における走査方向を総移動時間に関して適正又は優良な移動シーケンスを、適正化(最適化)手法を用いて決定する方法を開示している。
特許第4498672号明細書 特許第4647867号明細書 特開平10−303126号公報
J.Floriot,X.Levecq,S.Bucourt,M.Thomasset,F.Polack,M.Idir,P.Mercere,S.Brochet,and T.Moreno,「Surface metrology with a stitching Shack−Hartmann profilometric head」,Proc.of SPIE Vol.6616,66162A(2007)
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、重なり領域における位置姿勢誤差及びシステム誤差を最小化するようにソフト上で適正化(最適化)計算を行うものであり、計測時の誤差を低減するものではなく、誤差量が大きい場合には、補正残渣が大きくなるという課題があった。
また特許文献2、非特許文献1では、計6軸(X、Y、Z、θx、θy、θz)ある位置姿勢誤差のうちの一部のみをソフト上で補正する方法であり、計測時の誤差を低減するものではなく、補正しない成分の誤差量が大きい場合には計測精度が低減しない課題があった。
これら公知例のように、従来のスティッチング方法はステージ駆動誤差に起因する位置姿勢誤差を分割計測データからソフト上で補正する方法が一般的であった。しかしながら、このような補正を行っても、位置姿勢誤差を分離し、補正することはできず、誤差量が大きい程、補正残渣も大きくなる。また、スティッチングは、形状全域を計測するために複数回の駆動と計測が必要であり、計測時間がかかるという課題があった。
そこで、本発明者は、計測時にできるだけステージ駆動起因の位置姿勢誤差を低減し、かつできるだけ計測時間が比較的かからない分割計測経路によって、スティッチング計測を行う方法を見出した。
なお、特許文献3は、計測方法に関するものではなく、移動シーケンスの総移動時間に関する適正化方法であり、高精度な分割計測に適した計測シーケンスが得られるものではない。
本発明の目的は、計測時にできるだけステージ駆動起因の位置姿勢誤差を低減し、かつできるだけ計測時間が比較的かからない分割計測経路によって、スティッチング計測を行う波面計測方法および装置、面形状計測方法および装置、並びに加工装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る波面計測方法は、被検波面を複数の部分領域に分割して計測し、分割計測した部分領域データを繋ぎ合わせることによって前記被検波面全域を計測する波面計測方法において、分割計測位置を予め設定する初期設定ステップと、前記分割計測位置へ計測手段を移動する移動ステップと、を含み、前記移動ステップにおける移動経路を、
(a)前記移動ステップにおける総移動量、
(b)前記移動ステップにおける総逆走回数、
をパラメータとして含む評価関数を用いた適正化(最適化)手法によって決定することを特徴とする。
本発明によれば、分割計測時に生じうるステージ駆動に起因する位置姿勢誤差をできるだけ抑えた高精度な分割計測データを比較的短時間に得ることができる。また、得られた分割計測データに含まれる誤差を補正する場合の誤差補正量が少なくなることから、誤差補正を比較的短時間、かつ高精度に行うことができる。
実施例1の構成図である。 被計測波面を分割計測した様子の模式図である。 分割計測経路の例を示す図である。 実施例1の計測方法のステップを示すフローチャートである。 実施例2の構成図である。 差分計測時の分割計測経路の例を示す図である。 実施例3の構成図である。 サンプル駆動スティッチのステージ構成を説明する図である。 サンプル駆動スティッチにおける分割計測位置を表す図である。 実施例3の計測方法のステップを示すフローチャートである。
(実施例1)
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1は本発明の方法を行う波面計測装置の構成を示す図である。図1を用いて、本発明の実施形態に係る計測装置の構成を説明する。図1において、101は入射光波面、102はセンサーで102aはマイクロレンズアレイ、102bは撮像素子、103はセンサー102を駆動するステージ、104はセンサー102の出力のデータ処理、及びステージ103の制御を行うコンピューターである。Z軸はセンサー102に入射する波面の光軸と平行とし、Z軸と垂直にX軸とY軸を決める。なお、X軸とY軸は直交している。
センサー102は、一般的にシャック・ハルトマンセンサーと称され、多数の微小集光レンズを格子状に配列したマイクロレンズアレイ102aとCCDに代表される撮像素子102bから構成されているものである。微小集光レンズを透過した波面は微小集光レンズ毎に撮像素子102b上に集光される。センサー102に入射する波面の傾斜分布はマイクロレンズアレイ102aで集光されるスポットの位置とあらかじめ校正された位置、例えば平行光を入射したときのスポット位置との差を検出することで求められる。
全ての微小集光レンズに対して上記の処理を行うことにより、センサー102で受光される波面のX方向、及びY方向ごとの傾斜分布が計測できる。波面へはX、Y方向の波面傾斜分布を二次元積分することによって得られる。センサー102はシャック・ハルトマンセンサーでなくとも、波面が計測できるものであれば良い。したがって、例えばハルトマンプレートあるいは回折格子と、CCDで代表される受光センサーから構成される、シアリング干渉計あるいはTalbot干渉計としても良い。また、参照波面を別途用意し、光学系を介して入射波面101と重ね合わせることで計測しても良い。
ステージ103は、最低限Xステージがあれば、入射波面101を分割計測できる。入射波面101全域を計測するには、XYステージを備えることが望ましい。また、XYステージに加えて、Zステージと、X軸回りの回転ステージ、Y軸回りの回転ステージ、そして、Z軸回りの回転ステージがあってもよい。また、装置校正等のために、X、Y方向への並進移動のみでなく、Z方向への並進移動、及びX、Y、Z軸回りの回転移動を行ってもよい。
コンピューター104は、センサー102とステージ103に接続される。コンピューター104は、第一の駆動命令をステージ103に送り、ステージ103は第一の駆動位置にセンサー102を駆動する。駆動完了後、コンピューター104は、波面データの取得命令をセンサー102に送る。センサー102で取得された波面データは、コンピューター104内でデータ処理され、第一の波面データを得る。第一の駆動位置と第一の波面データは、コンピューター104内に保存される。同様の処理を第二、第三とN回繰り返すことで、コンピューター104内にはN種類のステージ位置とN種類の波面データを得る。こうして得たN種類の波面データを繋ぎ合わせれば、全体の波面データを得る。
以下、本発明の分割計測経路決定方法を、図を交えて説明する。図2(a)において、実線で描かれた円内の領域は被計測波面Tを表す。被計測波面Tは図1における入射波面101をZ軸(光軸)から見た断面と対応する。実線で示した矩形領域201はセンサー102の有効計測領域の大きさを示す。有効計測領域とは、センサー102の開口の大きさの内、実際に計測できる領域、もしくはその内で計測領域と設定した領域を指す。点線で示した領域202乃至205は、センサー102の分割計測位置を示す。領域201を分割計測位置に含めても良い。
図2(a)の領域202乃至205をそれぞれ個別に示したものが図2(b)の領域202乃至205と対応している。また、図2(a)乃至(b)における領域202乃至205に対して重なり領域を設けても良い。後述の方法により、重なり領域を設けることで分割計測データの持つ誤差を補正することができる。
図2(a)乃至(b)における領域202乃至205に対して重なり領域を設けた場合の図が図2(c)乃至(d)にそれぞれ対応している。領域202乃至205のいずれも単独では被計測波面Tの全域を計測することはできないが、領域202乃至205の全体であれば被計測波面T全域の大きさをカバーできる。この例では、領域202乃至205の各領域における被計測波面Tのデータをそれぞれ繋ぎ合わせる。
図2における分割計測位置は、入射波面Tの光束径とセンサー102の有効計測領域のサイズとの関係から決定できる。重なり領域を設けない場合には、入射波面Tの光束径の直径と有効計測領域の縦横サイズから、入射波面Tの全域をカバーするX、Y方向それぞれの分割計測位置を計算すればよい。
この例では、X、Y方向のそれぞれ2か所で計測を行えば、入射波面T全域をカバーできるため、分割計測位置は、2×2の配置と決定できる。センサー102の初期位置(すなわち領域201)を分割計測位置に含めるなら、2×2+1の配置と決まる。重なり領域を設ける場合には、予め重なり領域のサイズ、もしくは有効計測領域に対する重なり領域の面積比率を決定した上で、重なり領域を考慮に入れて、同様の手順で分割計測位置を決定できる。
次に、各分割計測位置の計測順序である分割計測経路を決定する際に必要となる経路の評価関数について説明する。分割計測位置への駆動は、センサー102に付随したステージ103によって行われる。この例では、ステージ103として、少なくともX、Yステージの2軸ステージが必要となる。
本発明では、このステージ103の総駆動量及び総逆走回数を含む関数を評価関数として構成することを特徴とする。総駆動量とは、ステージ103の分割計測経路の始点から終点までの間に駆動したステージの駆動距離の合計値である。総駆動量は、実測値でなく、駆動量として与える設定値でも良い。駆動量が増加するに従って、ピッチング、ヨーイング、ローリングといったステージ起因の位置姿勢誤差が増加する。総駆動量が多いと、分割計測にかかる時間もまた増加する。
また逆走回数とは、ステージ103が正から負方向への駆動後に負から正方向へ駆動する回数、もしくはその反対の駆動回数である。このとき、正から負方向への駆動と負から正への駆動は連続して行われなくてよい。例えばXYの2軸ステージにおいて、Xステージ負方向駆動後、Yステージ駆動を挟んで、Xステージ正方向駆動を行った場合、逆走回数は一回となる。逆走回数が多いほど、ステージのバックラッシュ誤差による位置誤差が増加する。これらの値を含む評価関数によって適正な分割計測経路を決定すれば、位置、姿勢誤差の少ない経路で比較的短時間に分割計測を行うことができる。
次に、評価関数の設定方法について説明する。評価関数をfとおくと、Lを総駆動量、Nを逆走回数とすると、数式1(数1)のように書ける。数式1における3点リーダは、他のパラメータを追加して評価関数fを構成してもよいという意味を示す。他のパラメータとしては例えば、総駆動時間等がある。この例では、簡単のため、以降の評価関数fは、総駆動量L、逆走回数Nのみで構成されるものとする。
評価関数fが各パラメータの線形結合で表わせるとした場合には、k、kをそれぞれ係数とすれば、評価関数fは数式2(数2)のように書ける。評価関数fは必ずしも線形結合で書く必要はなく、パラメータの積等で表現してもよい。このとき、パラメータL、Nの単位は異なるが、適正化(最適化)計算を行う上では単位の違いは大きな問題とはならない。単位を合わせる場合には、パラメータL、Nの単位をそれぞれ[mm]、[回]とした場合、係数k、kの単位をそれぞれ[/mm]、[/回]となるように選べばよい。また、任意の1経路に対して、L、Nの値を計算し、その値を正規化係数Lnorm、Nnormとし、数式3(数3)のようにその他の経路における評価関数を正規化したものとして計算することもできる。
係数k、kは、各パラメータの寄与を調整する役割を担う。したがって、ステージ103の性能や性能を示す各パラメータの計測誤差に対する敏感度によって調整してもよい。ここでステージの性能とは、位置決め精度、真直度、バックラッシュ量等の仕様値を意味する。例えばステージの仕様値からバックラッシュ量が小さいという前情報があれば、係数kを小さくし、評価関数fに対するバックラッシュ項の寄与を小さくできる。また、光学CAD等を使用した精度見積もり情報から位置誤差の敏感度が高いことが判明した場合には、係数kを小さくしてもよい。また、特に事前情報を基にせず、任意に設定してもよい。
以下の式に示すように、係数kとパラメータL、Nはさらにステージ各軸に分解して構成することもできる。ここで、L、LはX、Yステージのそれぞれの総駆動量、k11、k12はL、Lの係数、N、NはX、Yステージのそれぞれの総逆走回数、k21、k22はN、Nの係数を示す。
この場合もステージ各軸の性能や誤差敏感度から係数を調整することができる。例えば、X、Yステージの型番が異なり、Xステージの精度が高い場合には、k11<k12、k21<k22としてYステージの評価関数への寄与が相対的に大きくなるように調整することができる。またX、Yステージの精度が同等でも、Yステージの位置、姿勢誤差敏感度が高い場合にも同様に係数を調整してもよい。この例では、簡単のため、X、Yステージは同精度で、誤差敏感度の違いもないとし、以下の式ではなく数2で述べた式を評価関数とする。
次に、分割計測経路を例示し、評価関数による分割計測経路の選択について説明する。図3に経路例として3つの例を示す。ここで、具体的な計測経路を考える上での前提として、センサー102は入射波面Tの中心部分領域を計測するX、Yステージ位置を初期位置とし、周囲の部分領域の計測終了後、次回の計測のために初期位置へ復帰することとする。
また、ステージ駆動量はXステージ駆動量Sの方がYステージ駆動量Sよりも大きいとする。図3中の矢印はX、Yステージの駆動経路、×印はステージ逆走箇所、白抜き○はステージ初期位置、黒○はステージ最終位置を表す。ただし、ステージ初期位置(白抜き○)と最終位置(黒○)は本来一致するが、計測経路を見やすくするため、便宜上、図中では白抜き○と黒○を用いて分離して示している。
図3(a)に示した計測経路1は、一般的な2次元スキャン方法として知られるラスタースキャンを採用した計測経路である。評価関数として数式2を用い、係数は1と設定した場合、経路1の評価関数fは、図3(a)の矢印と×印の数から以下の式のように書ける。
図3(b)に示した計測経路2は、X方向へのステージ駆動を始めに行い、その後、周囲の部分領域を一周する計測経路である。経路2の評価関数fは、経路1と同様に、数式6(数6)のように書ける。したがって、f及びfの関係は、明らかにf>fとなるため、計測経路としては、経路1よりも経路2の方が適していることがわかる。
図3(c)に示した計測経路3は、Y方向へのステージ駆動を始めに行い、その後、周囲の部分領域を一周する計測経路である。経路3の評価関数fは、経路1、2と同様に、数式7(数7)のように書ける。f及びfの関係は、数式8(数8)より、f>fとなるため、計測経路としては、経路2よりも経路3の方がより適していることがわかる。このように、評価関数を用いて計測経路の優劣を決定し、分割計測に適した経路を選択することができる。
次に、適正化(最適化)手法による分割計測経路決定の方法について説明する。適用可能な適正化手法は、全数検索法、逐次適正化法、大域適正化法の3つに大別できる。全数検索法は、予め設定した分割計測位置に対し、考えられる全分割計測経路について、評価関数を計算し、最も評価関数の値の小さい経路を分割計測経路として採用する方法である。実際上、最も評価関数の小さい経路が複数得られる場合には、その中から任意に選んでも良いし、他の評価パラメータ、例えば総駆動時間を導入して最良のものを選んでも良い。
また、計測経路中に、X、Yステージの同時駆動可能部分が多いほど、駆動時間は短縮できるため、そのような箇所の数のみを比較して経路を選択することもできる。全数検索法は、理論上、適正な経路を決定できるが、実際上は、分割計測位置が複雑な配置になると、経路の組み合わせ不良が起きるため、比較的単純な分割計測位置の場合等、適用範囲は限られる。ただし、上記の経路評価例のように、限られた複数の経路候補のみをとり挙げる、つまり適当に探索領域を制限した上でなら、全数検索によって経路候補から適正な経路を選択することもできる。
逐次適正化法は、第一の分割計測位置から最終分割計測位置まで、適正な経路を順次選択していくことで一連の分割計測経路を決定する方法である。この方法では、評価関数を決めてやれば、計測経路を必然的に一つに決定することができる。
逐次適正化法の適正化手順は、まず、第一の分割計測位置から次の第二の分割計測位置の全ての候補に対して、評価関数を求め、その中で最良の評価関数値であった分割計測位置を第二の分割計測位置とする。次に、第二の分割計測位置からさらに次の第三の分割計測位置の全ての候補に対して、同様に評価関数値を求め、最良評価関数値の分割計測位置を第三の分割計測位置とする。
以上の手順を第一の分割計測位置から最終分割計測位置まで順次行うことによって適正な分割計測経路を決定することができる。評価関数の計算は、次の分割計測位置候補先のみについてだけでなく、さらにその次以降の候補先まで含めてもよい。すなわち、n−1番目の分割計測位置からn番目に計測を行う分割計測位置に関する評価関数をf、n番目までの全体の評価関数を数式9に示したfallとすると、次の駆動候補先をfallが最良となる位置とする。ただし、nを大きくする、すなわち、より先の分割計測位置まで想定して次の駆動経路を決める場合には、駆動経路候補が非常に多くなり、選定が困難となるため、小さな値を設定しておいた方が好ましい。
大域適正化法は、遺伝的アルゴリズムやシミュレイテッドアニーリング法といったメタヒューリスティックを用いて、大域的な適正解を探索することにより、適正な計測経路を決定する方法である。これらの基本的な適正化戦略は、初期解に対して評価関数に基づいた摂動を与えることを反復し、適正解に追い込んでいくというものであり、本発明の評価関数を適用することで適正な分割計測経路の探索を行うことができる。
例として、遺伝的アルゴリズムを用いた場合の適正化(最適化)手順を説明する。遺伝的アルゴリズムは、生態系の交配、自然淘汰という進化の過程を真似た適正化手法である。まず、複数の初期経路を生成する。解の探索を複数同時に進められることが遺伝的アルゴリズムの特徴である。
次に、経路同士の交配操作を行う。具体的には、経路の一部を他の経路と交換する。次に、経路集合に対して変異操作を行う。具体的には、ある小さい確率で経路内の一部分に変更を加える。次に、次計算に残して計算を反復する経路を評価関数に基づいて選別する。具体的には、評価関数の値にしきい値を設け、それ以下の経路候補は切り捨て、しきい値以上の経路候補のみを残す。以上の操作を反復して行うことで、大域的に適正な分割計測経路を計算することができる。
大域適正化法の利点は、経路候補が膨大に存在しても解が得られる、局所的な解に収束しにくい等がある。ただし、探索範囲を適切に絞らないと計算時間がかかってしまう場合もある。メタヒューリスティックに関しては、以下の非特許文献2に詳細が記載されている。
(非特許文献2)
柳浦睦憲、茨木俊秀著「組合せ最適化―メタ戦略を中心として」
次に、各分割計測位置で取得したデータの誤差補正方法について説明する。図3(a)に示したように、隣接する部分領域間で重なり領域を持つように部分領域データを取得すれば、重なり領域の誤差を最小化することにより、ステージ駆動に起因する誤差を補正することができる。
本発明は、ステージ駆動に起因する誤差を理想的に除去する方法ではなく、計測の時点で発生する誤差を低減する方法である。ソフト上での誤差補正は誤差量が大きいほど誤差補正時に残る残渣成分は大きくなるため、本提案と誤差補正を合わせて行うことで、より効果的に誤差補正を行うことができる。
以上をまとめて、本実施例のスティッチング計測フローを、図4を用いて説明する。ステップS401では、分割計測経路の計算を行う。予め入射波面Tとセンサー102の大きさの関係から分割計測位置を設定し、その分割計測位置において適正となる分割計測経路を前記の評価関数を用いた適正化(最適化)計算により計算する。
ステップS402では、ステップS401で決定した分割計測経路に従って、コンピューター104よりセンサー102付随のステージへ駆動命令を与え、分割計測位置へ駆動する。ステップS405にて計測終了判定がNoであった場合には、さらに次の分割計測位置へのステージ駆動を行う。ステップS403では、ステップS402で駆動された分割計測位置にて波面計測を行う。
ステップS404では、全ての分割計測位置にて計測が完了したかを確認する。計測が完了していなければ、ステップS402へ戻り、次の分割計測位置へステージを駆動する。計測が完了した場合には、次のステップS405へ進む。
ステップS405では、次計測に備えて、センサーステージを第一の分割計測へ復帰させる。このとき、再度計測を行っても良い。ステップS403で計測した第一の分割計測位置の部分領域データと平均したデータを改めて第一の分割計測位置のデータとすることで、ステージの復帰再現性やセンサーの計測再現性を低減することができる。第一の分割計測位置としてはセンサーのアライメントやデータ処理等を考慮すると、入射波面の中心部分領域を計測する分割計測位置とすることが望ましい。
ステップS406では、分割計測位置にて取得した各部分領域データを繋ぎ合わせる。繋ぎ合わせの際には、誤差補正を行ってもよい。繋ぎ合わせは部分領域データ間に重なり領域を設けた場合は平均演算による。
本実施例の方法によれば、適正なステージ駆動量、かつ逆走回数である分割計測経路に従って分割計測を行えるため、スティッチング計測時に生じる誤差を低減し、計測精度の向上と計測時間の短縮を図ることができる。以上で実施例の一つとしての、スティッチング計測方法の説明を終える。
(実施例2)
本実施例では、実施例1を基準波面との差分計測とする場合の計測経路決定方法を示す。本実施例における装置構成は実施例1と同様でも良い。また例えば、図5に示すように被検波面501と基準波面502を光分割素子503を介して、交互に計測するように構成しても良い。
差分計測時の分割計測経路を決定する際には、評価関数に新たなパラメータとして、基準波面及び被検波面の各部分領域の計測時間差の最大値ΔTMAXを加えても良い。基準波面と被検波面を交互に計測する必要がある差分計測では、基準波面と被検波面の各部分領域の計測時間差が大きく異なる場合、温度変化等の時間経過に伴う誤差が各部分領域によって大きく変化してしまう。したがって、ΔTMAXの評価関数への導入により、基準波面及び被検波面の分割計測経路として、各部分領域の計測時間差をも含めて適正化(最適化)された分割計測経路を選択することができる。
最もΔTMAXが小さくなる経路は、基準波面と被検波面の分割計測経路を同一経路とした場合であるのは明らかであるが、本提案方法では、計測条件によっては、基準波面と被検波面で同一経路でなくともよい。例として、図3(c)の経路を基準波面計測経路とした場合を考える。図6(a)の基準波面計測経路に対して、被検波面を同一経路とした場合の経路が図6(b)に示した被検波面計測経路1である。被検波面計測経路1に対して、まず−Y方向へ駆動後、周辺の部分領域の計測経路を逆にした経路を図6(c)に示す。
ここで、評価関数fを、経路1と経路2で総駆動量は同量であるため、便宜上、数式10とする。
計測経路1の場合の評価関数fは、経路1におけるΔTMAXをtとすると、数式11となる。計測経路2の場合の評価関数fは、経路1とのΔTMAXの差をδt(>0)とすると、数式12となる。経路2は、経路1と逆向きの経路で分割計測を行うため、計測時間差の最大値はδtだけ増加する。ただし、被検波面計測経路の最初の駆動が経路1と逆としているため、逆走回数は一回少ない。このとき、以下の数13の式の条件が満たされる計測条件の場合、被検波面の計測経路は基準波面の計測経路と同一経路とならない分割計測経路2が適正となる。係数k、kは実施例1で記載したように、任意に決めてもよいし、ステージの性能や計測誤差敏感度から与えてもよい。
また、分割計測経路に対する制約として、基準波面及び被検波面それぞれの分割計測後にセンサー初期位置へ復帰すること、部分領域の計測時間差の最大値ΔTMAXが一定値以下とすること、という条件を加えても良い。前者の初期位置復帰条件は、基準波面と被検波面で、分割計測経路として、センサー初期位置(入射波面の中心部分領域)を計測経路の始点かつ終点とすることを意味する。また、後者の条件は、差分計測時の計測時間差に上限を付加する。また、同様に評価関数に用いる他のパラメータに対しても制限値を設けても良い。これらの制約条件により、適正計測経路の探索範囲を限定でき、経路決定の計算負荷を低減できる。
前記の分割計測経路に加えて、基準波面計測時の最終分割計測位置と被検波面計測時の第一の分割計測位置を同一として分割計測経路を決定することもできる。このようにすれば、基準波面計測から被検波面計測への構成変更前後において、同一部分領域計測時にセンサーの移動させる必要がないため、同一部分領域におけるセンサーの位置姿勢誤差を計測の段階で除くことができる。
本実施例の方法によれば、基準波面と被検波面の一連の計測に対しても、適正なステージ駆動量で、逆走回数の少ない分割計測経路に従って分割計測を行えるため、スティッチング計測時に生じる誤差を低減し、計測精度の向上と計測時間の短縮を図ることができる。以上で実施例の一つとしての、差分計測時のスティッチング計測方法の説明を終える。
(実施例3)
本実施例では、レンズ等の光学素子の面形状計測における分割経路決定方法を示す。図7を用いて本実施例における装置構成を説明する。図7において、701は光源、702は集光レンズ、703はピンホール、704はハーフミラー、705は投光レンズ、706は基準レンズで一方の面706aは基準面、707は被検レンズで一方の面707aは被検面、708は基準レンズ706、及び被検レンズ707の位置と姿勢を調整する駆動手段、709は結像レンズ、710はセンサー、711はセンサー710を駆動させる手段、712は解析演算手段である。Z軸はセンサー710に入射する波面の光軸と平行とし、Z軸と垂直にX軸とY軸を決める。なお、X軸とY軸は直交している。
光源701からの光を集光レンズ702によりピンホール703に集光する。ピンホール703からの球面波はハーフミラー704を透過し、投光レンズ705により収束光になる。収束光は基準面706aあるいは被検面707aで反射し、投光レンズ705を透過後、ハーフミラー704で反射し、さらに結像レンズ709を透過し、センサー710に入射する。
光学系の結像性能を改善するために、集光レンズ702、投光レンズ705、結像レンズ709は図7に示したような単一レンズでなく、複数のレンズからなるレンズ群としても良い。また光束の直径や開口数を変更したい場合は、コリメータレンズ等を適宜挿入してもよい。
光源701は単色のレーザーあるいはレーザーダイオードあるいは発光ダイオードである。ピンホール703は空間ノイズの小さい理想的な球面波を発生させることが目的であるため、シングルモードファイバーで代替しても良い。
投光レンズ705、結像レンズ709はそれぞれ複数のレンズから構成されている。それぞれのレンズのフォーカス距離、曲率半径、直径や投光レンズ705、結像レンズ709を組み合わせた光学系の倍率は被検面707aの直径(有効径)及び曲率半径、センサー710の受光部の大きさによって決定している。さらに、凸面である被検面707aとセンサー710の共役面を近づけるためにペッツバール和が負になるように投光レンズ705、結像レンズ709を設計している。
また、被検レンズ707の非球面量が大きい場合には、一組の投光レンズでは計測可能な非球面形状の範囲が限定される。その場合には、被検面707aの設計値(有効径、曲率半径、非球面量)に応じて、例えば、投光レンズ705、結像レンズ709のどちらかあるいは両方を変更(交換)すれば良い。
被検レンズ707は被検面707aとセンサー共役面とが光軸において一致する位置に配置する。被検面707aとセンサー共役面が略一致することで、被検面707aの反射した光束において、光線の重なりがセンサー710で発生しないため、センサー710に入射する波面を精度良く計測することができる。
被検面707aには収束する球面波が照射される。被検面707aからの反射光の角度分布は面形状誤差と、被検面707aが非球面の場合には非球面量に依存し、特に非球面量が大きい場合は被検面707aへの入射角度とは大きく異なる角度となる。
基準レンズ706は被検レンズ707と同じ設計値を用いて製作されたレンズである。基準レンズ706は他の計測装置、例えばプローブ式の計測装置などにより精度良く計測しておく。基準レンズ706の面形状データは解析演算部712に格納されている。基準面706aには高精度に加工されたものを用いることが望ましい。被検レンズは基準レンズとの面形状の差が本装置の計測範囲に収まる程度に加工されたものを用いる。
基準レンズ706、及び被検レンズ707は駆動手段708によって位置と姿勢を調整する。この調整はセンサー上の波面傾斜分布に対して微分Zernikeフィッティングを施して得たZernike係数の内の傾き成分、デフォーカス成分、及びコマ収差成分の各係数が目標値以下になるように行う。
センサー710は、シャック・ハルトマンセンサーとする。シャック・ハルトマンセンサーでは、波面の光線角度分布を計測し、光線角度分布を積分して波面を算出するセンサーである。ただし、センサー710はシャック・ハルトマンセンサーでなくとも、波面が計測できるものであれば良い。したがって、例えばハルトマンプレートあるいは回折格子と、CCDで代表される受光センサーから構成される、シアリング干渉計あるいはTalbot干渉計等でも良い。
被検面707aを所望の精度で加工するためには、面形状計測データと所望形状との差から修正加工を施す横座標と修正加工量を計算し、修正加工機により修正加工することにより可能となる。
しかしながら、修正加工を行うためには、計測した光線角度分布の位置分布(横座標)はセンサー710の位置分布であるため、被検面707aの座標に変換する必要がある。このとき、基準面706aと被検面707aとのセンサー710による計測角度差は基準面706aと被検面707aとの光の反射角度差とは異なっているため、角度差に対しても変換することにより、さらに高精度に被検面形状を計測することができる。
すなわち、まず、センサー710上の光線位置分布、及び角度分布をセンサー710の共役面上の光線位置分布、及び角度分布にそれぞれ位置倍率分布、角度倍率分布を用いて変換する。そして、センサー共役面から光線追跡演算をすることで、サンプル(基準レンズ706、あるいは被検レンズ707を指す)面上の光線位置分布及び、角度分布、すなわち波面傾斜分布を求める。
求めた波面傾斜分布は、基準面706a、被検面707aのそれぞれの差分を計算し、さらに微分Zernikeフィッティング、あるいは二次元積分によって差分形状へ変換される。以上の形状回復アルゴリズムにより、センサー710面上の波面傾斜分布からサンプル面の面形状を計算できる。要求精度によっては角度倍率分布を一定として被検面707aの面形状を計算してもよい。
センサー710に入射する光束径がセンサー610の開口の大きさより大きい場合は、駆動手段711によりセンサー710を受光面(X−Y平面)内で移動して、波面傾斜分布を分割計測し、得られた波面傾斜分布をつなぎ合わせればよい。この場合は、センサーを駆動して分割計測を行うセンサー駆動スティッチである。繋ぎ合わせを高精度に行うためには、駆動手段711の駆動によって生じるセンサー710の位置姿勢誤差やセンサー710が元々持っているシステム誤差による計測への影響を除く必要がある。位置姿勢誤差には予め設定した各分割計測位置からのX方向、Y方向、Z方向の位置ずれ、及びX、Y、Z軸回りの角度ずれが含まれる。
駆動手段711は最低限XYステージがあればよいが、Zステージと、X軸回りの回転ステージ、Y軸回りの回転ステージ、そして、Z軸回りの回転機構があってもよい。また、校正やアライメント等のために、X、Y方向のみでなく、Z方向への並進移動、及びX、Y、Z軸回りの回転移動を行ってもよい。
基準面706a、もしくは被検面707aの直径がそれらに入射する光束径よりも大きい場合には、駆動手段708の駆動によって分割計測し、データを繋ぎ合わせればよい。この場合は、サンプルを駆動して分割計測を行うサンプル駆動スティッチである。サンプル駆動スティッチの駆動軸としては最低θyもしくはθz軸、及びθx軸の2軸があれば良い。
図8にサンプル駆動スティッチのサンプル駆動部の模式図を示す。図8において、SPは基準面706a、もしくは被検面707aに入射する球面波、OAは入射球面波SPの光軸、レンズ801は、図7の705に対応する投光レンズ、レンズ802は、図7の706、707に対応する基準レンズ、もしくは被検レンズを示す。サンプル駆動スティッチでは、θyもしくはθzステージによって、レンズ802を光軸OAに対して傾け、θxステージの回転によりレンズ802の円周方向に沿って部分領域に分割して計測することを反復することによって、レンズ802全域の形状を計測する。
全域の形状を分割計測したデータを光軸と直交する面内に投影した様子を図9に示す。図9において、SAは一度に計測できる部分領域、LPは全部分領域の分割計測位置、レンズ901は図8の802に対応するレンズである。サンプル駆動スティッチの際、ステージ回転中心の補正やセンサー710とサンプル間の共役関係の調整のために、X、Y、Zステージを備えてもよい。
解析演算部712はセンサー710と駆動手段708、及び駆動手段711に接続され、基準レンズ706、及び被検レンズ707のアライメントにおける駆動命令、データの入出力処理、及び演算処理を行う。また光線追跡演算やスティッチング動作時の駆動命令、及びスティッチングによって生じる誤差の補正演算を行う。スティッチング動作時には、解析演算部712は、第一の駆動命令を駆動手段708もしくは711に送り、駆動手段708は第一の駆動位置にサンプルを、駆動手段711は第一の駆動位置にセンサー710を駆動する。
駆動完了後、解析演算部712は、集光スポット強度データの取得命令をセンサー710に送る。センサー710で取得された集光スポット強度データは、解析演算部712内で処理され、第一の波面傾斜分布データを得る。第一の駆動位置と第一の波面傾斜分布データは、解析演算部712内に保存される。同様の処理を第二、第三とN回繰り返すことで、解析演算部712内にはN種類のステージ位置とN種類の波面傾斜分布データを得る。こうして得たN種類の波面傾斜分布データを繋ぎ合わせれば、全体の波面傾斜分布データを得る。得られた全域の波面傾斜分布は形状回復アルゴリズムによって、サンプル差分形状へ変換される。
以上が図7に示す計測装置の構成である。本実施例では、センサー駆動スティッチにおける計測経路に加えて、サンプル駆動スティッチにおける計測経路を決定する必要がある。ただし、センサー駆動スティッチにおける計測経路は、サンプルの各部分領域で同一なものとして、サンプル駆動スティッチにおける計測経路とは切り離して、独立に決定すれば良い。センサー駆動経路は実施例1と同様である。
サンプル駆動スティッチの場合、センサー駆動スティッチで考慮したステージとは異なり、回転ステージ2つからなる。サンプル駆動スティッチにおける分割計測経路はこの2つの回転ステージの駆動経路である。したがって、本提案の評価関数fは、例えば数式14のように書ける。ここで、Lθy、LθxはそれぞれY及びX軸(光軸)周りの回転ステージの駆動量、Nθy、NθxはそれぞれY及びX軸ステージの逆走回数を表す。
また、k、k、k1θy、k1θx、k2θy、k2θxは係数である。数式14で表される評価関数に基づいて経路を決定する。適正化(最適化)計算は実施例1と同様の手法を用いることができる。また実施例2で説明したパラメータである、基準波面及び被検波面の各部分領域の計測時間差の最大値ΔTMAXを加えても良い。
また、基準面及び被検面のそれぞれの分割計測において、第一の分割計測位置から計測を開始し、全分割計測位置での計測後に、再び第一の分割計測位置に復帰して計測を行っても良い。2回の計測データを平均化して、第一の分割計測位置データとすることで再現性を低減できる。さらに、前記の2回目の計測前にサンプルの位置姿勢を調整し直しても良い。
また、センサーの駆動スティッチにおいて、前記の分割計測経路に加えて、基準面の最終分割計測位置と被検面の第一の分割計測位置を同一として分割計測経路を決定することもできる。このようにすれば、基準面計測から被検面計測へのレンズ変更前後において、同一部分領域計測間に生じるセンサーの位置姿勢誤差を計測時に除去することができる。
以上をまとめて、本実施例のスティッチング計測フローを、図10を用いて説明する。ステップS1001では、分割計測経路の計算を行う。センサー710の大きさとそれに入射する波面の光束径から、センサー面上の分割計測位置を決定する。また、サンプルの有効径とそれに入射する波面の光束径からサンプル面上の分割計測位置を決定する。このように予め設定したセンサー面上、及びサンプル面上の分割計測位置において、適正となるセンサー面上、及びサンプル面上の分割計測経路を前記の評価関数を用いた適正化(最適化)計算により計算する。
ステップS1002では、基準レンズ706を設置し、センサー710で計測される波面から、位置、姿勢を調整する。ステップS1003では、ステップS1001で計算したサンプル面上の分割計測経路に従ってサンプルに付随した駆動手段(ステージ)708によってサンプルを駆動する。ステップS1004では、ステップS1001で計算したセンサー面上の分割計測経路に従ってセンサーに付随した駆動手段(ステージ)711によってセンサー710を駆動する。
ステップS1005では、ステップS1003及びステップS1004で駆動した先の分割計測位置におけるセンサー710入射波面を計測する。ステップS1006では、センサー面上の全分割計測位置にて分割計測を完了したかどうかを判定する。Noである場合、ステップS1004に戻り、次のセンサー面上の分割計測位置へセンサー710を付随のセンサーステージ711の駆動により移動させる。Yesである場合は次ステップへ進む。
ステップS1007では、サンプル面上の全分割計測位置にて分割計測を完了したかどうかを判定する。Noである場合、ステップS1003に戻り、次のサンプル面上の分割計測位置へサンプルを付随のサンプルステージ708の駆動により移動させる。Yesである場合は次ステップへ進む。
ステップS1008では、被検レンズ707の計測を完了したかどうかを判定する。Noである場合、ステップS1009に分岐する。ステップS1009では、基準レンズ706を外して被検レンズ707を設置し、位置、姿勢調整を行う。Yesである場合は次ステップへ進む。
ステップS1010では、センサー面上の全分割計測位置にて分割計測した各部分領域データを繋ぎ合わせる。このとき、各部分領域データの誤差補正を行っても良い。センサー面上の部分領域データは、サンプル面上の部分領域データごとに存在し、それぞれ繋ぎ合せる。ステップS1011では、サンプル面上の分割計測位置ごとに、センサー面上で繋ぎ合せたデータをそれぞれセンサー面上の波面データから、サンプル面上の差分形状データへ変換する。変換は前記の形状回復アルゴリズムによって行われる。
ステップS1012では、サンプル面上の分割計測位置ごとに存在する部分領域差分形状データを繋ぎ合わせる。このとき、各部分領域差分形状データの誤差補正を行っても良い。センサー面上の部分領域データは、サンプル面上の部分領域データごとに存在し、それぞれ繋ぎ合せる。また、繋ぎ合わせの前処理として、各差分形状データの座標変換を含んでも良い。各部分領域データを同一平面上へ投影後、繋ぎ合わせる際には座標変換を行う方がより高精度に繋ぎ合わせることができる。ステップS1013では、繋ぎ合わせた差分形状データに基準レンズ706の他手法計測データを足し合わせることで、被検レンズ707の形状を計算する。
本実施例によれば、センサー駆動スティッチ、サンプル駆動スティッチにおいて適正な分割計測経路で計測できるため、計測データに含まれる誤差が低減し、計測時間が短縮できる。
なお、本実施例では被検物はレンズとしたが、レンズには限らずレンズと同等の形状を有するもの、例えばミラーや金型であっても良い。また、本実施例では、光学系のシステム誤差を除去し、より高精度に計測可能な差分計測について説明したが、要求される精度やスループットに応じて被検面計測のみとしても良い。また、センサー駆動スティッチ、もしくはサンプル駆動スティッチのどちらか一方だけで計測対象領域の全域を計測可能な場合は、一方のスティッチだけでよく、図10において対応するステップを適宜参照して実行すればよい。以上で実施例の一つとしての、面形状のスティッチ計測方法の説明を終える。
本発明は、計測器の計測可能領域を超える入射径を持つ光波面や大口径光学素子の表面形状を、簡易かつ低コストで計測し得る方法および装置を提供することができる。
101 入射光波面、102 シャック・ハルトマンセンサー、103 ステージ、
104 コンピューター

Claims (21)

  1. 被検波面を複数の部分領域に分割して計測し、分割計測した部分領域データを繋ぎ合わせることによって前記被検波面全域を計測する波面計測方法において、
    分割計測位置を予め設定する初期設定ステップと、
    前記分割計測位置へ計測手段を移動する移動ステップと、
    を含み、
    前記移動ステップにおける移動経路を、
    (a)前記移動ステップにおける総移動量、
    (b)前記移動ステップにおける総逆走回数、
    をパラメータとして含む評価関数を用いた適正化手法によって決定することを特徴とする波面計測方法。
  2. 前記評価関数は、前記移動ステップにおける少なくとも一つの移動軸の性能、もしくはその性能から見積もられる計測誤差敏感度に応じて、前記パラメータに対して係数として重み付けを与えることを特徴とする請求項1に記載の波面計測方法。
  3. 前記分割計測方法を基準波面に対して実行し、基準波面計測結果及び被検波面計測結果から、差分波面を計測することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波面計測方法。
  4. 前記評価関数に含むパラメータとして、
    (c)前記分割計測位置ごとの基準波面及び被検波面計測時間差の最大値、を追加することを特徴とする請求項3に記載の波面計測方法。
  5. 前記評価関数に含む各パラメータに対して制限値を設けることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の波面計測方法。
  6. 前記基準波面の最終分割計測位置と前記被検波面の第一の分割計測位置とを同一とすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の波面計測方法。
  7. 前記分割計測位置の第一の分割計測位置から計測を開始し、全分割位置を計測後に再び第一の分割計測位置で計測を行い、2回の計測結果を平均化し、第一の分割計測位置における計測結果とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の波面計測方法。
  8. 前記基準波面、及び前記被検波面の分割計測は少なくとも一つの他の部分領域と重なり領域を有するように行い、部分領域データに含まれる誤差を前記重なり領域の差分を最小化するように補正することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の波面計測方法。
  9. 被検波面を計測する計測手段と、前記計測手段を相対駆動する駆動手段とを備え、前記請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の破面計測方法によって計測するように構成されたことを特徴とする波面計測装置。
  10. 光学系を介して、被検物に光を照射し、前記被検物の被検面からの波面を計測する際に、前記被検面及び前記波面のいずれか、もしくは両方を複数の部分領域に分割して計測し、分割計測した部分領域データを繋ぎ合わせることによって前記被検面全域の形状を計測する面形状計測方法において、
    分割計測位置を予め設定する初期設定ステップと、
    前記分割計測位置へ前記被検物もしくは計測手段を移動する移動ステップと、
    を含み、
    前記移動ステップにおける移動経路を、
    (d)前記移動ステップにおける総移動量、
    (e)前記移動ステップにおける総逆走回数、
    をパラメータとして含む評価関数を用いた適正化手法によって決定することを特徴とする面形状計測方法。
  11. 前記評価関数は、前記移動ステップにおける少なくとも一つの移動軸の性能、もしくはその性能から見積もられる計測誤差敏感度に応じて、前記パラメータに対して係数として重み付けを与えることを特徴とする請求項10に記載の面形状計測方法。
  12. 前記面形状計測方法を基準面に対して実行し、基準面計測結果及び被検面計測結果から、差分形状を算出することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の面形状計測方法。
  13. 前記基準面及び被検面の面形状は、前記計測手段との位置変換倍率及び角度変換倍率を用いて、前記計測手段上の波面から前記基準面及び被検面上の形状へ変換することによって算出することを特徴とする請求項12に記載の面形状計測方法。
  14. 前記評価関数に含むパラメータとして、
    (c)前記分割計測位置ごとの基準面及び被検面計測時間差の最大値、
    を追加することを特徴とする請求項12に記載の面形状計測方法。
  15. 前記評価関数に含む各パラメータに対して制限値を設けることを特徴とする請求項10乃至請求項14の何れか一項に記載の面形状計測方法。
  16. 前記基準面の最終分割計測位置と前記被検面の第一の分割計測位置とを同一とすることを特徴とする請求項10乃至請求項15の何れか一項に記載の面形状計測方法。
  17. 前記分割計測位置の第一の分割計測位置から計測を開始し、全分割位置を計測後に再び第一の分割計測位置で計測を行い、2回の計測結果を平均化し、第一の分割計測位置における計測結果とすることを特徴とする請求項10乃至請求項15の何れか一項に記載の面形状計測方法。
  18. 前記分割計測位置の第一の分割計測位置から計測を開始し、全分割位置を計測後に再び第一の分割計測位置で計測を行う際に、前記被検物の位置もしくは姿勢を調整し直すことを特徴とする請求項10乃至請求項15の何れか一項に記載の面形状計測方法。
  19. 前記分割計測は少なくとも一つの他の部分領域と重なり領域を有するように行い、部分領域データに含まれる誤差を前記重なり領域の差分を最小化するように補正することを特徴とする請求項10乃至請求項18の何れか一項に記載の面形状計測方法。
  20. 前記被検面を計測する計測手段と、前記計測手段を相対駆動する駆動手段とを備え、請求項10乃至請求項19の何れか一項に記載の面形状計測方法によって計測するように構成されたことを特徴とする面形状計測装置。
  21. 請求項20に記載の面形状計測装置によって計測した前記被検面の形状データを基に、前記被検面の加工を行うように構成されたことを特徴とする加工装置。
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