JP5888769B2 - 相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の簡便な検出法 - Google Patents
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Description
[1]次の工程(1)〜(3):
(1)多能性幹細胞に、遺伝子改変された染色体断片を有する人工染色体を導入し、遺伝子改変されたと推定される多能性幹細胞クローンからなる集団を作製する工程、
(2)前記集団の多能性幹細胞クローンについて、SNPアレイを用いて、前記導入された人工染色体の一部または全体のコピー数を測定する工程、
(3)前記コピー数が、人工染色体が導入されていない野生型細胞のコピー数と同等であるまたは減少している多能性幹細胞クローンを、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として選択する工程、
を含むことを特徴とする、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の製造方法。
[2]前記工程(1)の遺伝子改変が内在性配列を保持したまま細胞ゲノムに外因性DNA断片を挿入することからなる組込みを含む、[1]に記載の方法。
[3]外因性DNAが選択マーカーをコードするDNAであって、該選択マーカーが陽性であるクローンを選択する工程をさらに含む、[2]に記載の方法。
[4]多能性幹細胞クローンの該遺伝子改変対象であるアレルの数が、相同組換えをしていない野生型細胞の該アレル数と比較して低下しているクローンを選択する工程をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記多能性幹細胞がヒト多能性幹細胞である、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記人工染色体がBACクローンである、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記選択マーカーが薬剤耐性マーカーである、[3]に記載の方法。
[8]相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の製造において、SNPアレイを用いて組換え領域のコピー数を測定し、該コピー数が、相同組換えをしていない野生型細胞のコピー数と同等であるまたは減少している多能性幹細胞クローンを、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として検出する工程を含むことを特徴とする、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の検出方法。
[9]前記遺伝子改変が、内在性配列を保持したまま細胞ゲノムの外因性DNA断片を挿入することからなる組込みである、[8]に記載の方法。
[10]前記外因性DNAが選択マーカーをコードするDNAあって、該選択マーカーが陽性であるクローンを相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として検出する工程をさらに含む、[9]に記載の方法。
[11]多能性幹細胞クローンの該遺伝子改変対象であるアレルの数が、相同組換えをしていない野生型細胞の該アレル数と比較して低下しているクローンを相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として検出する工程をさらに含む、[8]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記多能性幹細胞がヒト多能性幹細胞である、[8]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13]前記選択マーカーが薬剤耐性マーカーである、[10]に記載の方法。
本発明は、次の工程(1)〜(3):
(1)多能性幹細胞に、遺伝子改変された染色体断片を有する人工染色体を導入し、遺伝子改変されたと推定される多能性幹細胞クローンからなる集団を作製する工程、
(2)前記集団の多能性幹細胞クローンについて、SNPアレイを用いて、前記導入された人工染色体の一部または全体のコピー数を測定する工程、
(3)前記コピー数が、人工染色体が導入されていない野生型細胞のコピー数と同等であるまたは減少している多能性幹細胞クローンを、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として選択する工程、
を含むことを特徴とする、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の製造方法を提供する。
本発明において、人工染色体としては、複製起点、セントロメアおよびテロメアなどの宿主細胞において複製に必要な機能を有する人工的に作製された染色体であり、大腸菌由来のBACベクター(Shizuya et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 89:8794-8797)、P1ファージ由来のPACベクター(Ioannou et al.(1994)Nature Genetics 6:84-89;Pierce et al.(1992)Meth.Enzymol.216:549-574;Pierce et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:2056-2060;米国特許5300431号および国際PCT出願WO92/14819号)、酵母由来のYACベクター(Burke et al.(1987)Science 236:806-812)、およびヒト由来のHACベクター(WO1998/008964)などが例示される。これらの人工染色体は、外因性DNAを含む巨大なサイズのゲノム断片を保有したまま宿主細胞内で増殖することが可能である。人工染色体は、好ましくは、染色体断片を有する人工染色体、より好ましくは、ヒト染色体の断片を有する人工染色体である。DNA断片の大きさは、人工染色体が安定的に宿主内で複製が可能な大きさであり、BACまたはPACの場合は、通常、約300kb以内であり、YACの場合は1Mb以内であり、HACの場合は1Mb以上でも可能である。
本発明において、SNP(一塩基多型)アレイとは、アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いるSNPタイピング用のアレイであり、好ましくは、アレイシグナルの定量的特性を利用して、ゲノムコピー数を検出できるものである。好ましくは、コピー数多型を測定するためのオリゴヌクレオチドプローブを有し、2.5kb〜7kb の平均プローブ間隔であるアレイである。例えば、アフィメトリクス(Affymetrix)SNPアレイ 6.0、イルミナ CNV370-DuoおよびBead Chipsなどが例示される。
本発明では、上記のとおりSNPアレイを用いてコピー数を測定することで相同組換えの有無を判定可能であるが、補助的に選択マーカーを利用することも可能である。
さらに本発明では、アレル数測定による補助的選別法を行うことができる。この方法では、遺伝子改変された染色体断片を有する人工染色体を多能性幹細胞に導入後、該細胞の染色体(もしくは、ゲノム)において、遺伝子改変されていない野生型の配列を有するアレルが1つ確認できる場合、または野生型の配列を有するアレルを確認できない場合、該細胞を相同組換えにより遺伝子改変されたクローンとして選別することができる。好適には、多能性幹細胞クローンの遺伝子改変対象であるアレル数が、相同組換えをしていない野生型細胞の該アレル数と比較して低下している、好ましくは1/2である、クローンを相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として検出する。常染色体上の野生型の遺伝子は通常2アレルであるが、一方の遺伝子に対して改変を行うことで野生型の遺伝子は1アレルになる。従って、野生型細胞の半数になっている場合、目的の遺伝子座において改変が行われていることが確認できる。ここで、野生型の配列を有するアレル数を測定する方法として、組換えを施した多能性幹細胞から抽出した染色体DNAを基に遺伝子を改変させた部位を含む領域をPCR法により増幅し、野生型の配列を有する場合、該配列に特徴的な大きさのPCR産物の量を測定し、野生型細胞としての遺伝子改変されていない多能性幹細胞と比較する方法が例示される。他の実施形態として、遺伝子改変された多能性幹細胞から抽出した染色体を任意の制限酵素により切断し、遺伝子が改変されることで生じる特異的な大きさのDNA断片をサザンブロット法により測定する方法が例示される。
<多能性幹細胞>
多能性幹細胞を分化させることによってドーパミン産生神経前駆細胞を含有する細胞集団を用意する場合、使用可能な多能性幹細胞は、生体に存在するすべての細胞に分化可能である多能性を有し、かつ、増殖能をも併せもつ幹細胞であり、それには、特に限定されないが、例えば胚性幹(ES)細胞、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹(ntES)細胞、精子幹細胞(「GS細胞」)、胚性生殖細胞(「EG細胞」)、人工多能性幹(iPS)細胞、培養線維芽細胞や骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)などが含まれる。好ましい多能性幹細胞は、ES細胞、ntES細胞、およびiPS細胞である。
ES細胞は、ヒトやマウスなどの哺乳動物の初期胚(例えば胚盤胞)の内部細胞塊から樹立された、多能性と自己複製による増殖能を有する幹細胞である。
精子幹細胞は、精巣由来の多能性幹細胞であり、精子形成のための起源となる細胞である。この細胞は、ES細胞と同様に、種々の系列の細胞に分化誘導可能であり、例えばマウス胚盤胞に移植するとキメラマウスを作出できるなどの性質をもつ(M. Kanatsu-Shinohara et al. (2003) Biol. Reprod., 69:612-616; K. Shinohara et al. (2004), Cell, 119:1001-1012)。神経膠細胞系由来神経栄養因子(glialcell line-derived neurotrophic factor (GDNF))を含む培養液で自己複製可能であるし、またES細胞と同様の培養条件下で継代を繰り返すことによって、精子幹細胞を得ることができる(竹林正則ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊),41〜46頁,羊土社(東京、日本))。
胚性生殖細胞は、胎生期の始原生殖細胞から樹立される、ES細胞と同様な多能性をもつ細胞であり、LIF、bFGF、幹細胞因子(stem cell factor)などの物質の存在下で始原生殖細胞を培養することによって樹立しうる(Y. Matsui et al. (1992), Cell, 70:841-847; J.L. Resnick et al. (1992), Nature, 359:550-551)。
人工多能性幹(iPS)細胞は、特定の初期化因子を、DNAまたはタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126:663-676; K. Takahashi et al. (2007), Cell, 131:861-872; J. Yu et al. (2007), Science, 318:1917-1920; Nakagawa, M.ら,Nat. Biotechnol. 26:101-106 (2008);国際公開WO 2007/069666)。初期化因子は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-cording RNAまたはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-cording RNA、あるいは低分子化合物によって構成されてもよい。初期化因子に含まれる遺伝子として、例えば、Oct3/4、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Klf4、Klf2、c-Myc、N-Myc、L-Myc、Nanog、Lin28、Fbx15、ERas、ECAT15-2、Tcl1、beta-catenin、Lin28b、Sall1、Sall4、Esrrb、Nr5a2、Tbx3またはGlis1等が例示され、これらの初期化因子は、単独で用いても良く、組み合わせて用いても良い。初期化因子の組み合わせとしては、WO2007/069666、WO2008/118820、WO2009/007852、WO2009/032194、WO2009/058413、WO2009/057831、WO2009/075119、WO2009/079007、WO2009/091659、WO2009/101084、WO2009/101407、WO2009/102983、WO2009/114949、WO2009/117439、WO2009/126250、WO2009/126251、WO2009/126655、WO2009/157593、WO2010/009015、WO2010/033906、WO2010/033920、WO2010/042800、WO2010/050626、WO 2010/056831、WO2010/068955、WO2010/098419、WO2010/102267、WO 2010/111409、WO 2010/111422、WO2010/115050、WO2010/124290、WO2010/147395、WO2010/147612、Huangfu D, et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26: 795-797、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 2: 525-528、Eminli S, et al. (2008), Stem Cells. 26:2467-2474、Huangfu D, et al. (2008), Nat Biotechnol. 26:1269-1275、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3, 568-574、Zhao Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3:475-479、Marson A, (2008), Cell Stem Cell, 3, 132-135、Feng B, et al. (2009), Nat Cell Biol. 11:197-203、R.L. Judson et al., (2009), Nat. Biotech., 27:459-461、Lyssiotis CA, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:8912-8917、Kim JB, et al. (2009), Nature. 461:649-643、Ichida JK, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:491-503、Heng JC, et al. (2010), Cell Stem Cell. 6:167-74、Han J, et al. (2010), Nature. 463:1096-100、Mali P, et al. (2010), Stem Cells. 28:713-720、Maekawa M, et al. (2011), Nature. 474:225-9.に記載の組み合わせが例示される。
この他にも、血清を含有しない培地を用いて培養する方法も例示される(Sun N, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:15720-15725)。さらに、樹立効率を上げるため、低酸素条件(0.1%以上、15%以下の酸素濃度)によりiPS細胞を樹立しても良い(Yoshida Y, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:237-241またはWO2010/013845)。
nt ES細胞は、核移植技術によって作製されたクローン胚由来のES細胞であり、受精卵由来のES細胞とほぼ同じ特性を有している(T. Wakayama et al. (2001), Science, 292:740-743; S. Wakayama et al. (2005), Biol. Reprod., 72:932-936; J. Byrne et al. (2007), Nature, 450:497-502)。すなわち、未受精卵の核を体細胞の核と置換することによって得られたクローン胚由来の胚盤胞の内部細胞塊から樹立されたES細胞がnt ES(nuclear transfer ES)細胞である。nt ES細胞の作製のためには、核移植技術(J.B. Cibelli et al. (1998), Nature Biotechnol., 16:642-646)とES細胞作製技術(上記)との組み合わせが利用される(若山清香ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊), 47〜52頁)。核移植においては、哺乳動物の除核した未受精卵に、体細胞の核を注入し、数時間培養することで初期化することができる。
Muse細胞は、WO2011/007900に記載された方法にて製造された多能性幹細胞であり、詳細には、線維芽細胞または骨髄間質細胞を長時間トリプシン処理、好ましくは8時間または16時間トリプシン処理した後、浮遊培養することで得られる多能性を有した細胞であり、SSEA-3およびCD105が陽性である。
OSR1遺伝子座から86.3kb上流および89.8kb下流を含むヒトBACクローン(RP11-458J18)は、BACPAC Resources Center (Oakland, CA)より購入した。Lee, E.C. et al. (2001) Genomics 73, 56-65に記載の方法で組換えを行った。簡潔には、hOSR1-EGFP-S: TCTTCTTTTCTTTGCAGATCCGGATTGAGAAGCCACTGCAACTACCGAACACCATGGTGAGCAAGGGCGAGGA (配列番号1)およびhOSR1-PNL-AS: GTTCACTGCCTGAAGGAAGGAGTAGTTGGTGAGCTGCAGGGAAGGGTGGAGTCGACGGCGAGCTCAGACG(配列番号2) のプライマーを用いてPCRにより5’および3’側にホモロジーアームを有するEGFP-polyA-LoxP-PGK-Neo-LoxP(EGFP-pA-PNL)カセットを作製した。このカセットおよびヒトBACクローンを大腸菌DH10Bへ導入し、相同組換えのためにリコンビナーゼを活性化させ、ヒトBACクローン中のOSR1の開始コドン直後の配列をEGFP-pA-PNLカセットを挿入した(図1中のrecomninant BAC clone)。
上述した方法で作製した組換えヒトBACクローンを制限酵素で切断し、一本鎖DNAとした。30μg一本鎖DNAをY27632(Wako)およびトリプシンで処理したヒトiPS細胞(201B7)にエレクトロポレーション(250 V, 500 mF単回パルス)により導入した。導入2時間後、iPS細胞を薬剤選択用培地中で培養した。
得られた130個の薬剤耐性クローンiPS細胞から染色体DNAを抽出し、OSR1F(5’-GGATTGAGAAGCCACTGCAACT-3’(配列番号3))およびOSR1R(5’-CCGTTCACTGCCTGAAGGA-3’(配列番号4))のプライマーを用いて定量PCRを行った(図2A)。この結果、3D36、3D45、3F3および3I49の4つクローンにおいてOSR1の開始コドン付近が欠損していることが確認された。
染色体DNAを抽出し、GeneChipTM Mapping 250K NSP arrays (Affymetrix)を用いて得られたデータをソフトウェア(CNAG/AsCNAR)により対立遺伝子特異的コピー数解析を3D36、3D45、3F3、3I49および3D12に対して行った。GeneChipに含有された各プローブの検出値からCNAG/AsCNAR 解析により得られたプローブ領域のコピー数を縦軸に、該プローブの遺伝子上での位置を横軸にとりプロットした(図2B)。その結果、3D36、3D45、3F3および3I49は、OSR1の遺伝子座の領域が2コピー含有することが示された。このことは、相同組換えにより、EGFP-pA-PNLカセットが挿入されたことを示している。一方、3D12 は、OSR1領域が3コピー含有することが示された。このことは、組換えヒトBACクローンが相同組換えではなく、染色体にランダムに組み込まれたことを示唆している。以上より、相同組換えによりEGFP-pA-PNLカセットが所望の位置にノックインされたヒトiPS細胞(3D36、3D45、3F3および3I49)が得られた。また、解析領域を拡大して調べたところ、3I49には第9番染色体にコピー数多型を有している事が確認された。これより、培養中または遺伝子改変の際に、3I49は第9染色体において異常な遺伝子の重複が起きたと考えられる。
Gバンド解析により核型解析を行ったところ、3D45は正常の核型を有していることが確認された。
OSR1がタゲーゲティングされたヒトiPS細胞(3D36、3D45、3F3および3I49)を10μM Y27,632添加培地で1日培養した後、トリプシン処理により分離させ、エレクトロポレーションによりCre発現ベクターを導入した。導入後、loxP配列を挟むようにGFP配列部位およびOSR1遺伝子の開始コドン以降に設計された図1に記載のプライマーで染色体DNAをPCRしたところ、全てのクローンにおいてPGK-Neo-pAが除外されたことが確認された。
Claims (11)
- 次の工程(1)〜(3):
(1)多能性幹細胞に、遺伝子改変された染色体断片を有する人工染色体を導入した後、
該人工染色体が組み込まれた細胞を選択マーカーによって選別し、遺伝子改変されたと推定される多能性幹細胞クローンからなる集団を作製する工程、
(2)前記集団の多能性幹細胞クローンについて、SNPアレイを用いて、前記導入された人工染色体の一部または全体のコピー数を測定する工程、
(3)前記コピー数が、人工染色体が導入されていない野生型細胞のコピー数と同等であるまたは減少している多能性幹細胞クローンを、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として選択する工程、
を含むことを特徴とする、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の製造方法。 - 前記工程(1)の遺伝子改変が内在性配列を保持したまま細胞ゲノムに外因性DNA断片を挿入することからなる組込みを含む、請求項1に記載の方法。
- 多能性幹細胞クローンの該遺伝子改変対象であるアレルの数が、相同組換えをしていない野生型細胞の該アレル数と比較して低下しているクローンを選択する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記多能性幹細胞がヒト多能性幹細胞である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記人工染色体がBACクローンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記選択マーカーが薬剤耐性マーカーである、請求項1に記載の方法。
- 相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の製造において、遺伝子改変された染色体断片を有する人工染色体を導入した後、選択マーカーによって選別した該人工染色体が組み込まれた多能性幹細胞クローンについて、SNPアレイを用いて組換え領域のコピー数を測定し、該コピー数が、相同組換えをしていない野生型細胞のコピー数と同等であるまたは減少している多能性幹細胞クローンを、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として検出する工程を含むことを特徴とする、相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞の検出方法。
- 前記遺伝子改変が、内在性配列を保持したまま細胞ゲノムに外因性DNA断片を挿入することからなる組込みである、請求項7に記載の方法。
- 多能性幹細胞クローンの該遺伝子改変対象であるアレルの数が、相同組換えをしていない野生型細胞の該アレル数と比較して低下しているクローンを相同組換えにより遺伝子改変された多能性幹細胞として検出する工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
- 前記多能性幹細胞がヒト多能性幹細胞である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記選択マーカーが薬剤耐性マーカーである、請求項7に記載の方法。
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