JP5888642B2 - 押出成形用乾燥装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を押出成形する際に用いる押出成形用乾燥装置に関するものである。
パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料(特許文献1参照)は、生分解性を有し、環境負荷低減に貢献する為、多様な成形形状への適用が期待されている。
ところで、これまでパルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を用いた射出成形は、例えば特許文献2に示すように種々検討されているが、同成形材料を押出成形に用いた例はない。
特許第3084216号公報 特許第4444201号公報
本発明は、パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を押出成形して良質な成形品を得ることができる押出成形用乾燥装置を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を、金型1を通過させて押出成形する際に用いる押出成形用乾燥装置であって、前記金型1の成形材料導出口2の近傍に設けられ、前記成形材料導出口2から導出された前記成形材料が通過する流路3を有し、また、この流路3を加熱する加熱部4が設けられ、更に、前記流路3には拡開部5が設けられ、この拡開部5は前記流路3の側面全体が下流側程鉛直方向に拡開しており、更に、この拡開部5の前記成形材料が接する面は前記成形材料の流動抵抗が減少するように、摩擦係数を小さくする処理が施されていることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
また、請求項1記載の押出成形用乾燥装置において、前記摩擦係数を小さくする処理は被膜形成処理であることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
また、請求項2記載の押出成形用乾燥装置において、前記被膜形成処理は、フッ素樹脂,ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK樹脂),セラミック系窒化物,チタン系窒化物,クロム系窒化物若しくはDLCによる滑り被膜処理であることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の押出成形用乾燥装置において、前記拡開部5は、前記流路3の始端若しくはその近傍からその下流側の任意の位置まで設けられていることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の押出成形用乾燥装置において、前記拡開部5の終端には前記流路3の側面の鉛直方向長さが一定の非拡開部12が連設されていることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の押出成形用乾燥装置において、前記拡開部5の前記成形材料が接する面には凹凸形成処理が施された後に、前記摩擦係数を小さくする処理が施されていることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
また、請求項6記載の押出成形用乾燥装置において、前記凹凸形成処理はショットブラスト処理であることを特徴とする押出成形用乾燥装置に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含有する成形材料による良質な押出成形品が得られることになる。
本実施例を示す説明正面図である。 本実施例を示す図1におけるX−X指示線断面図である。 フラット流路による実験で乾燥温度を変化させた場合の押出成形品の水分率測定結果を示したグラフである。 フラット流路による実験での押出成形品の断面図である。 拡開流路による実験で乾燥温度を変化させた場合の押出成形品の水分率測定結果を示したグラフである。 拡開流路による実験での押出成形品の断面図である。 拡開流路における滑り被膜処理の有無による実験において、乾燥温度を変化させた場合の押出成形品の水分率の変化を示したグラフである。 拡開流路における滑り被膜処理の有無による実験において、乾燥温度を変化させた場合の押出成形品の厚みを示したグラフである。 押出速度の影響確認実験における押出成形機のスクリュ回転数と押出速度との関係を示した図である。 押出速度及びショットブラスト処理の影響確認実験で乾燥温度を変化させた場合の押出成形品の水分率測定結果を示したグラフである。 押出速度及びショットブラスト処理の影響確認実験において、乾燥温度140℃、スクリュ回転数2rpmで脱気処理した押出成形品の断面図である。 押出速度及びショットブラスト処理の影響確認実験において、乾燥温度140℃、スクリュ回転数2rpmで脱気処理した押出成形品の表面状態を示した図である。 押出速度及びショットブラスト処理の影響確認実験において、乾燥温度140℃、スクリュ回転数2rpmで脱気処理した押出成形品の滑動方向の表面形状計測結果を示した図である。 拡開流路の傾斜角度の最適化及び乾燥装置の多段化の確認実験において、乾燥温度を変化させた場合の押出成形品の水分率測定結果を示したグラフである。 拡開流路の傾斜角度の最適化及び乾燥装置の多段化の確認実験において、傾斜角度0.11°、乾燥温度140℃、スクリュ回転数5rpmで脱気処理した押出成形品の断面図である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料により射出成形する際、成形材料を金型内に充填後、金型開閉を繰り返して加熱・乾燥させ、形状を固定化させている。
押出成形においても、同様に成形材料を乾燥させることが必要となり、金型1の材料導出口2から導出された成形材料を加熱した流路3に通過させる構成では、加熱により発生する水蒸気圧により成形材料は流路3面に押し付けられ、水蒸気が外部に導出(脱気)されず、流動中は成形材料に空隙が生じず、高い内部圧力を背景に押出成形用乾燥装置の出口で一気に膨張して脱気し、内部に空隙を生成することを確認した。
また、押出成形は成形材料が所定速度で移動する為、成形材料の表面が流路3面に付着し固化してしまうと、流路3面に対する成形材料表面と成形材料内部との相対速度に差が生じ、成形品のひび割れ等の原因となる。
従って、金型1から成形材料への伝熱は必要条件であることを前提に、成形材料の厚さ(高さ)方向(鉛直方向)において流路3面との間に相対速度差があってはならない。即ち、成形材料への伝熱は維持しつつ、成形材料は流路3面に対して成形材料厚さ(高さ)方向(鉛直方向)のどの部位においても良好に滑動(流動)する必要がある。
本発明は、脱気を保証し且つ成形材料の厚さ(高さ)方向(鉛直方向)の任意の部位の流路3面に対する相対速度差をゼロにすべく下流側程拡開する拡開部5を設けたから、水蒸気は乾燥が進行する下流側へ送り出され、且つ成形材料は厚さ(高さ)方向(鉛直方向)に膨出して流れ、更に、拡開部5における成形材料が接する面は摩擦係数が小さい為、成形材料の流動抵抗は減少して成形材料の滑動(流動)は一層円滑となり、よって、形状が保持されたまま脱気され、乾燥が良好に進行し、空隙が可及的に減少した水分含有率が所定の良質な押出成形品が得られることになる。
本発明の具体的な実施例について図1〜図15に基づいて説明する。
本実施例は、パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を、金型1を通過させて押出成形し、板形状や、L字形状若しくは円筒形状など異形断面形状の押出成形品を得る際に用いる押出成形用乾燥装置であって、前記金型1の材料導出口2の近傍に設けられ、前記材料導出口2から導出された前記成形材料が通過する流路3を有し、また、この流路を加熱する加熱部4が設けられ、更に、前記流路3には下流側程拡開する拡開部5が設けられ、この拡開部5の前記成形材料が接する面は前記成形材料の流動抵抗が減少するように、摩擦係数を小さくする処理が施されたもので、金型1に連設されるものである。
成形材料としては、パルプ繊維:60wt%,澱粉(水溶性結合剤):30wt%,ポリビニルアルコール(以下、PVAと称す。):10wt%に水分を加えて30wt%の水分率となるように調合したものが採用されている。尚、澱粉ではなく糊化澱粉を採用しても良く、この場合には、例えばパルプ繊維:60wt%,糊化澱粉:30wt%,PVA:10wt%に水分を加えて30wt%の水分率となるように調合する。
紙繊維としては、木材、木綿、亜麻、麻、藁等より得られる製紙用パルプ材の状態、あるいは、使用済み新聞紙、雑誌、段ボール等の紙類、板紙、裁断屑紙、製紙工程で発生する破紙、損紙、落とし紙、使用済み廃紙等のような故紙の状態のものが使用でき、これらを微粉砕したものは、成形材料として配合した場合でも分散し易く、成形品の表面が平滑性に秀れたものとなり、効果的である。
結合剤としての澱粉系結合剤(若しくは澱粉結合剤)は、紙繊維と極めて類似性を有する分子構造になっているので、紙繊維を強固に接着結合することができ、また、成形品の肉厚が薄い場合でも、高強度で高剛性を示して反りが発生し難くなる。
また、PVAの分子構造は、紙繊維及び澱粉とは異なるものであるが、分子内に澱粉と同じ程度の親水基を有するので、澱粉と相溶して紙繊維を結合させる機能を有し、更に、長鎖状高分子で澱粉のように分岐構造ではないので、靭性が高く、澱粉と混合して結合剤に使用すると成形体に靭性を付与することができる。そこで、澱粉の10wt%〜50wt%をPVAにより置換してPVAを複合させた澱粉系結合剤を用いると秀れた靭性を示し、ひび割れがない成形品を得ることができる。
また、澱粉系結合剤,水,紙繊維の配合比率としては、紙繊維50部〜90部、澱粉または澱粉の10部〜50部をPVAにより置換した澱粉系結合剤10部〜50部の混合物100部に、水60部〜120部を加えて、固形成分:水の割合を、10:4〜10:12とし、更に、この混合物100部に非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を0.2部〜2.0部添加したものが好ましい。
本実施例に係る押出成形用乾燥装置は金型1に連結される。即ち、金型1で昇温・成形された成形材料が成形材料導出口2から導出し、直ちに本実施例に係る押出成形用乾燥装置に導入される。この本実施例に係る押出成形用乾燥装置(1ユニット分)の構造概略を図1に示す。
本実施例に係る押出成形用乾燥装置は、加熱した流路3内に成形材料を通過させて乾燥させるもので、流路3を加熱する加熱部4には棒状ヒーターを採用し、この棒状ヒーターによってブロック全体を加熱している。
尚、金型1(通常100℃以下)と本実施例に係る押出成形用乾燥装置(通常120℃以上)とは、金型1の出口領域の昇温とそれによる成形材料の乾燥固化を防ぐために、金型1と押出成形用乾燥装置との間に断熱板6を設けた構成とし、この断熱板6を介して連結される構成としている。
また、本実施例に係る押出成形用乾燥装置は、流路3を延長できるように、複数の押出成形用乾燥装置を直列に連結できる構造としており、具体的には、押出成形用乾燥装置の入口を凹状に形成して凹状入口部7を設け、出口を凸状に形成して凸状出口部8を設け、この入口となる凹状入口部7と出口となる凸状出口部8とを凹凸嵌合連結する構造としている。
また、本実施例に係る押出成形用乾燥装置は、流路3形状を変更できるように流路3を形成している流路形成部9を入れ子構造としている。
また、成形材料を金型1へ導入する単軸押出機には、GM40(スクリュ径φ40mm,(株)ジー・エム・エンジニアリング社製)を使用し、この単軸押出機に、流路中央部に絞り部を設置した流量調整ブロック及び吐出形状2×80mmのフラット金型1を取り付け、このフラット金型1の出口部となる成形材料導出部2に本実施例に係る押出成形用乾燥装置を連結する構造である。
従って、上記成形材料は、90℃程度の温度に加熱され、約90℃に保持される金型1に導入され、成形材料導出口2から本実施例に係る押出成形用乾燥装置(金型温度より高温で加熱乾燥)に導入される。
次に、本実施例に係る押出成形用乾燥装置の上記流路3について詳述する。
<フラット流路による実験>
成形材料導出口と同様の断面形状を有した流路(フラット流路)により押出成形実験を行った。流路表面にはショットブラスト処理が施されている。
また、成形材料は、パルプ60wt%、澱粉30wt%、PVA10wt%の混合材料に水を30wt%加えて混練・調整したものを用いた。
この実験では、前述した単軸押出機は、スクリュ回転数を10rpmに固定し成形材料の押出速度を約180mm/分の一定速度に設定し、金型設定温度は90℃に固定した条件とし、押出成形用乾燥装置の温度を120℃,130℃,140℃と変化させて、各条件で乾燥させた押出成形品の水分率を計測した。尚、前記水分率は押出成形用乾燥装置を通過直後の押出成形品と絶乾状態まで乾燥させた押出成形品の重量差から算出している。
このフラット流路を採用した押出成形用乾燥装置で乾燥温度を変化させて成形材料を乾燥させた際の押出成形品の水分率を図3に示す。同図から、乾燥装置の乾燥温度が高くなるに従って押出成形品の水分率が僅かながら低下する傾向が示されている。
しかしながら、成形材料の乾燥後の水分率は、最終的には押出成形品重量が平衡水分(水分率10wt%以下)となるまで水分率を低下させる必要があるので、このような僅かな脱気効果では、たとえ本実施例に係る押出成形用乾燥装置を複数ユニット連結させた構成としても、押出成形された押出成形品を製品化するための十分な乾燥・固化処理を行うことができないことが確認できた。
尚、上記平衡水分とは、押出成形品と周囲の環境条件との水分状態が平衡状態となり、相互間で水分移動が無い状態となる場合の水分率を意味し、この値は環境条件によって異なるものであり、上記水分率10wt%以下は我が国(日本)における平均的な温湿度条件下での値である。
図4はマイクロフォーカスX線CT装置SMX−130CT((株)島津製作所社製)による乾燥温度140℃における押出成形品の断面観察結果の一例である。この断面観察結果では、空隙がほとんど生成されない領域(白丸で囲った部分)と大きな亀裂とが確認された。
亀裂は、押出成形品が押出成形用乾燥装置の凸状出口部から押し出される際の内層部蒸気圧の開放と膨張に起因すると考えられ、亀裂生成部の押出成形品表面には膨らみの生成も確認された。
一方、亀裂のない領域では空隙の生成が殆ど見られなかった。本実施例のような成形材料においては、射出成形のように型開閉動作を実施しないと、このような極端に空隙が少ない成形品、即ち水分率が高い成形品になることが明らかになっており(前記特許文献2参照)、本実験では、このような状態を回避するために流路に一般的なショットブラスト処理を施したにもかかわらず、流路表層面を介した脱気が不十分であったものと推察された。
即ち、流路の高さ(鉛直方向)寸法が一定のフラット流路を採用した場合、乾燥が促進されず押出成形品の水分率が減少しないことが確認された。
尚、フラット流路において流路面に脱気用の孔加工を施したが、良好な脱気は達成されなかった。
<拡開流路による実験>
上記のとおり、フラット流路では脱気が不十分であった。こうした結果は、発生する水蒸気圧により成形材料表面が流路表面に強く押し付けられ、加熱によって生成した水蒸気が外部に脱気できないからであると考えられた。成形材料表面と流路表面との間に隙間を確保することで脱気を促進することも可能と考えられるが、隙間が大きいと形状の変形が懸念される。
そこで、形状変形を抑制しつつ脱気を保障し、また、成形材料が流路表面に付着することで成形材料厚さ方向(鉛直方向)において相対速度差が生じないようにするために、流路を徐々に拡開する形状(拡開部を有する流路:拡開流路)とした。
この実験では、拡開流路は、凹状入口部の導入口の高さ(鉛直方向寸法)を2mmに設定し、一方、終端となる凸状出口部の導出口の高さ(鉛直方向寸法)を3mmに設定し、凹状入口部から凸状出口部に向って高さ方向(鉛直方向)へ拡開する形状(傾斜角度0.21°)に形成した。
また、この流路の凸状出口部の端部から30mm上流側までの区間では、成形材料の幅方向(水平方向)へ両側各1mm拡大する形状に形成している。
尚、厚み(高さ)方向(鉛直方向)の拡開及び幅方向(水平方向)の拡開は段部などの無い連続的な拡開が望ましい。また、流路始端にわずかにフラット部分(約5mm)を設け、このフラット部分を介して上記拡開部を設ける構成としても良い。
また、上記拡開流路表面には、ショットブラスト処理(処理後の凹部深さ約19μm)とともに、スプレーによる膜厚5μm〜10μm程度のフッ素樹脂コーティングを施し(ショットブラスト処理による凹凸は残存している。)、その他の条件(成形材料の押出速度,金型温度,ショットブラスト処理など)は前述したフラット流路での実験条件と同様にして行った。
この拡開流路を採用した押出成形用乾燥装置で乾燥温度を変化させて成形材料を乾燥させた際の押出成形品の水分率を図5に示す。同図から、押出成形用乾燥装置の乾燥温度が高くなるに従って押出成形品の水分率がフラット流路を採用した場合と比較して大きく減少してゆく傾向が示されており、乾燥温度140℃では水分率20%以下にまで達することが確認された。
図6はマイクロフォーカスX線CT装置SMX−130CT((株)島津製作所社製)を用いて、拡開流路を採用した場合の乾燥温度140℃における押出成形品の断面観察結果の一例である。この断面観察結果では、フラット流路を採用した場合と比べると、内部全体に比較的小さい空隙の生成が多数確認され、空隙が殆ど生成されない領域や大きな亀裂などの生成は確認されなかった。
また、この拡開流路を採用した際の押出成形品の厚さは、拡開流路の形状を凹状入口部の導入口の高さ(鉛直方向寸法)2mm、凸状出口部の導出口の高さ(鉛直方向寸法)3mmと徐々に高さ方向(鉛直方向)に拡開する形状に形成したにも関わらず、厚さ約2.0mm〜2.2mmとほぼこの押出成形用乾燥装置に導入された時点の厚さを保持する結果となった。
このような良好な結果が得られた理由としては、成形材料は流路入口で発泡状に膨らみ(厚さが拡大し)、下流側へ良好に滑動(流動)し、拡開する流路表面と成形品表面とが離れ微小な隙間が形成され、この隙間を通して脱気が十分に行われ、更に、この狭い隙間を通した輻射伝熱により、フラット流路に比べて大幅に乾燥が促進したことによるものと考える。
このように、流路を拡開流路とすることで、押出成形用乾燥装置1ユニットでも水分率18wt%(乾燥温度140℃の場合)の水分率が低い押出成形品を得ることができ、且つ押出成形品の形状も良好なものとなる。
したがって、このような拡開流路を採用した押出成形用乾燥装置を複数連結することで、最終的には押出成形品重量が平衡水分(水分率10%以下)となる水分率まで低下させることが可能となる。
<拡開流路における摩擦係数を小さくする処理(滑り被膜処理)の有無による実験>
拡開流路表面に滑り被膜処理を施さない流路を採用した場合と、滑り被膜処理を施した流路を採用した場合とにおける押出成形比較実験を行った。また、流路は双方ともショットブラスト処理された拡開流路を採用した。尚、本実験に用いた装置(押出成形機及び押出成形用乾燥装置)は上述した実験に用いたものと同様のものを使用した。
また、実験条件(成形材料、押出速度、金型の形状、金型設定温度など)は上述した実験と同様の条件で行った。
また、滑り被膜処理を施した流路では、ショットブラスト処理を施した流路表面にフッ素樹脂を塗布し厚さ5μm〜10μmのフッ素樹脂被膜を形成した。本実験では、スプレーによりフッ素樹脂被膜を形成した(FC−103 ファインケミカルジャパン(株)社製を使用)。
また、本実験では、拡開流路表面に滑り被膜処理を施さない流路を採用した場合と、滑り被膜処理(以下、本実験においては滑り被膜処理をフッ素樹脂被膜形成処理と称す。)を施した流路を採用した場合とで、押出成形用乾燥装置の温度を120℃,130℃,140℃と変化させて、各条件における押出成形品の水分率を計測した。尚、水分率は上述した実験同様、押出成形用乾燥装置を通過直後の押出成形品と絶乾状態まで乾燥させた押出成形品の重量差から算出している。
図7は拡開流路表面にフッ素樹脂被膜形成処理を施さない流路を採用した場合と、フッ素樹脂被膜形成処理を施した流路を採用した場合による乾燥温度を変えた場合の押出成形品の水分率の変化を示したものである。同図では、押出成形用乾燥装置の乾燥温度が高くなるに従って、フッ素樹脂被膜形成処理を施しても施さなくても押出成形品の水分率が低下する傾向が示されているが、フッ素樹脂被膜形成処理を施した流路を採用したほうが水分率の低下が著しいことがわかる。
具体的には、フッ素樹脂被膜形成処理を施さない流路を採用した場合は、乾燥温度を140℃と高くしても乾燥前の水分率30wt%に対して乾燥後の水分率は約28wt%と僅かな減少に止まっているが、フッ素樹脂被膜形成処理を施した流路を採用した場合は、乾燥温度を140℃にした場合、乾燥前の水分率約27wt%に対して乾燥後の水分率は18wt%まで大きく減少した。
成形材料(押出成形品)の乾燥後の水分率は、最終的には押出成形品重量が平衡水分(水分率10%以下)となるまで水分率を低下させる必要があるので、フッ素樹脂被膜形成処理を施さない流路を採用した場合には、乾燥温度を上げたり乾燥時間を長くしたりする必要がある。
また、図8はフッ素樹脂被膜形成処理を施さない流路を採用した場合と、フッ素樹脂被膜形成処理を施した流路を採用した場合との乾燥温度を変えて比較した乾燥処理後の押出成形品の厚みを示したものである。本実験では成形材料導出口の形状を高さ(鉛直方向寸法)2mm×幅(水平方向寸法)80mmの方形状に形成した金型を採用しているので、押出成形品として求められる厚みは2mmとなる。
乾燥後の押出成形品の厚み(高さ)は、乾燥温度に関わりなく、フッ素樹脂被膜形成処理を施した流路を採用した場合では、2.0mm〜2.2mmと設計通り若しくは僅かに厚みが厚くなるという結果であったが、フッ素樹脂被膜形成処理を施さない流路を採用した場合では、拡開流路の出口側高さ(鉛直方向寸法)と略同等である3mmに近い厚みまで成形材料の厚さが増大する結果となった。
このようにフッ素樹脂被膜形成処理を施さない流路を採用した場合では、成形材料が流路表面と付着し易く、成形材料から生成される水蒸気によって流路内圧力が上昇し、この成形材料が厚さ方向(流路の鉛直方向)に充満されつつ押出されるために、上述したように成形材料の厚さが厚くなったものと考える。
<押出速度の確認実験及びショットブラスト処理の必要性の確認実験>
本実験は、押出成形用乾燥装置内の成形材料の滑動(流動)速度(押出速度)によって脱気(乾燥)作用にどの程度の影響を及ぼすかを確認すると共に、ショットブラスト処理の必要性、即ち、このショットブラスト処理の有無によってパルプ押出成形での脱気・乾燥の促進に与える影響度を確認した実験である。
この二つの確認実験においては、前述した実験に使用した実験装置を同様の構成で用い、実験条件(成形材料、金型設定温度など)も同じ条件とし、流路は拡開流路を採用し、この拡開流路は、ショットブラスト処理の必要性を確認するために、拡開流路表面にショットブラスト処理を施さないで滑り被膜処理のみを施した流路と、ショットブラスト処理と滑り被膜処理との両方を施した流路との二種類の拡開流路を用いた。
具体的には、ショットブラスト処理を施さない滑り被膜処理のみの拡開流路は、機械加工面にフッ素樹脂を塗布し厚さ5μm〜10μmのフッ素樹脂被膜を形成した構成とし、ショットブラスト処理と滑り被膜処理との両方を施した拡開流路は、機械加工面にショットブラスト処理を施し、このショットブラスト処理した流路表面にフッ素樹脂を塗布し厚さ5μm〜10μmのフッ素樹脂被膜を形成した構成としており、本実験では、スプレー(FC−103 ファインケミカルジャパン(株)社製を使用)によりフッ素樹脂被膜を形成した(以下、本実験においては滑り被膜処理をフッ素樹脂被膜形成処理と称す。)。
また、本実施例に係る押出成形用乾燥装置自体には成形材料を押し出す押出手段は無く、実際には押出成形機側の成形材料の押出速度、即ち、スクリュの回転数を変化させることで押出成形用乾燥装置からの押出速度を変化させて実験を行った。
図9は押出成形機のスクリュ回転数と押出速度との関係を示した図である。同図より、スクリュ回転数と押出速度とには、略比例関係があることが分かる。
本実験では、拡開流路表面にショットブラスト処理を施さないでフッ素樹脂被膜形成処理のみを施した流路と、ショットブラスト処理とフッ素樹脂被膜形成処理との両方を施した流路との夫々の場合で、押出成形機のスクリュ回転数を2rpm,5rpm,10rpm,15rpmに設定を変更して押出速度を変化させるとともに、押出成形用乾燥装置の温度を120℃,130℃,140℃と変化させた各条件における押出成形品の水分率を計測した。尚、水分率は前述した実験同様、押出成形用乾燥装置を通過直後の押出成形品と絶乾状態まで乾燥させた押出成形品の重量差から算出している。
このスクリュ回転数を2rpm,5rpm,10rpm,15rpmに設定を変更して押出速度を変化させるとともに、押出成形用乾燥装置の温度を120℃,130℃,140℃と変化させて成形材料を乾燥処理した際の押出成形品の水分率を図10に示す。同図からスクリュ回転数が低回転ほど、即ち押出速度がゆっくりなほど水分率の減少が顕著な傾向になることが示され、特に、スクリュ回転数を2rpmとした条件では、乾燥温度130℃以上で押出成形品の水分率10wt%以下が達成されることが確認された。
これは、低回転による押出速度の低速化によって押出成形用乾燥装置内での滞留時間が長くなり、押出成形用乾燥装置1ユニットでも平衡水分にほぼ相当する充分な乾燥レベルが輻射伝熱で実現されることを示している。
また、ショットブラスト処理を施さないで機械加工面にフッ素樹脂被膜形成処理のみを施した流路と、ショットブラスト処理とフッ素樹脂被膜形成処理との両方を施した流路とでは、水分率が高い一部の条件で差異が認められるものの、全体的には水分率に殆ど差がないことが確認された。
即ち、この結果からパルプ押出成形での脱気・乾燥の促進にはショットブラスト処理の必要がなく、拡開流路の表面にフッ素樹脂被膜形成処理などの滑り被膜処理のみを施すことで十分な効果が得られることが確認された。
図11は乾燥温度140℃、スクリュ回転数2rpmでの押出成形品をマイクロフォーカスX線CT(SMX−130CT (株)島津製作所社製)を用いた断面観察結果である。同図から、水分蒸発による大きな空隙の形成が確認される。即ち、成形材料中に含有する水分が十分に脱気されたことを示すものである。
また図12は傾斜照明による押出成形品の表面状態を観察した結果、図13は押出成形品の流動方向の表面形状計測結果である。水蒸気の膨張と脱気に対応して、高さ60μm程度の大きなうねり(膨れ)が点在している様子が観察された。尚、本実験では、表面形状計測に表面粗さ測定機サーフテスト701((株)ミツトヨ社製)を用いた。
<拡開流路の傾斜角度の最適化及び乾燥装置の多段化の確認実験>
前述までの実験結果より、押出成形用乾燥装置1ユニットのみでは、水分率が10wt%以下に到達し十分に乾燥した押出成形品が得られる押出速度はスクリュ回転数が2rpmのときのみであった。
スクリュ回転数が2rpmでは押出速度が遅く、生産性の観点から更なるスループットの向上が必要であるが、スクリュ回転数を上げると、即ち、押出速度を速くしてスループットを向上させると、押出成形用乾燥装置1ユニットでは乾燥時間が短くなり乾燥不足が生じてしまうことが確認されている。
そこで、押出成形用乾燥装置を2ユニットに連結して押出成形用乾燥装置の流路を延長することで乾燥時間を長くして、押出速度を速くしても十分に乾燥した押出成形品が得られるかどうかの確認実験を行った。
また、本実験では、上記実験と同時により乾燥効率の向上を目的として、拡開流路の傾斜角度を変えた場合の影響度を確認し拡開流路の傾斜角度の最適化を図る実験も合わせて行った。
本実験の実験装置は、押出成形用乾燥装置を2ユニット連結した構成とし、1ユニット目(一段目)に拡開流路を採用した押出成形用乾燥装置、2ユニット目(二段目)に流路に拡開部を有しないフラット流路を採用した押出成形用乾燥装置を配設した構成とした。
具体的には、1ユニット目となる拡開流路を採用した押出成形用乾燥装置は、前述までの結果より、拡開流路表面はショットブラスト処理を施さず機械加工面に滑り被膜処理を施した構成、具体的には、フッ素樹脂を塗布し厚さ5μm〜10μmのフッ素樹脂被膜を形成した構成とし、傾斜角度は0.11°と0.056°との2条件とした。
また、傾斜角度を変えることで拡開流路の出口側高さ(鉛直方向寸法)も変化し、本実験では拡開流路長を80mmに設定したので、傾斜角度が0.11°の拡開流路は出口側高さ(鉛直方向寸法)は2.8mmとなり、0.056°の拡開流路は出口側高さ(鉛直方向寸法)は2.4mmとなる。
また、2ユニット目となる流路に拡開部を有しないフラット流路を採用した押出成形用乾燥装置は、1ユニット目の出口で排出された水蒸気を速やかに外部に排出する必要があることから、流路の幅方向(水平方向)にスリット状の溝を長さ方向に所定の間隔をあけて並設し、このスリット状の溝を通じて流路内の水蒸気を外部に排出する構成とした。
また、成形材料、金型の形状、金型設定温度は上述した実験と同様の条件で行い、乾燥温度を130℃,140℃,150℃,170℃、スクリュ回転数を5rpm,10rpm,15rpmと変化させて、各傾斜角度条件において得られた押出成形品の水分率を測定した。尚、水分率は前述した実験同様、押出成形用乾燥装置を通過直後の押出成形品と絶乾状態まで乾燥させた押出成形品の重量差から算出している。
図14は押出成形用乾燥装置を多段(二段)に連設した構成とした際の、各傾斜角度での押出成形品の水分率測定結果を示した図である。この結果から、押出成形用乾燥装置1ユニットのみで乾燥する際は水分率が10wt%以下に到達し十分乾燥した押出成形品を得ることができる条件はスクリュ回転数が2rpmのときのみであったが、押出成形用乾燥装置を2ユニット連結し流路を延長して乾燥時間を長くすることで、スクリュ回転数5rpmでも乾燥温度が140℃以上であれば水分率10wt%以下を実現でき、また、スクリュ回転数10rpmでも乾燥温度を170℃以上にすれば水分率10wt%以下の十分乾燥した押出成形品を得ることができることを確認した。
また、拡開流路の傾斜角度に関しては、傾斜角度が小さいほど水分率が低下する結果が得られたことより、傾斜角度が小さい方が乾燥効率が向上することが確認された。これは、拡開流路の傾斜角度が小さくなると離隔するまでの時間が長くなること、離隔後の押出成形品表面と流路壁面間の隙間が小さいことから、より加熱され乾燥が促進されたものと推察する。
また、図15は乾燥温度140℃、スクリュ回転数5rpm、傾斜角度0.11°の条件で乾燥処理した押出成形品をマイクロフォーカスX線CT(SMX−130CT (株)島津製作所社製)を用いて観察した断面観察結果である。同図から、水分蒸発による大きな空隙の生成が確認された。即ち、成形材料中に含有する水分が十分に脱気されたことが確認できた。
本実験の結果より、2ユニット目となる流路に拡開部を有しないフラット流路を採用した押出成形用乾燥装置の輻射伝熱効果による押出成形品の乾燥促進及び水蒸気排出用の脱気溝の有効性が確認された。また、流路長を長くして乾燥時間を確保することでスクリュ回転数を高くしても、即ち、押出速度を速くしても十分乾燥した押出成形品が得られることが確認された。これより、拡開流路は押出成形品を加熱しつつ、加熱によって生じた水蒸気を排出する機能を併せ持っており、押出成形品は流路壁面に接触して加熱され、拡開流路によって加熱・膨張する押出成形品の表面が流路壁面から離れることで流路壁面と押出成形品表面間に微小な隙間を形成して脱気が促進され、押出成形品が壁面と離隔した後は輻射伝熱効果によって加熱されるものと推察する。
金型1の成形材料導出口2に連設される本実施例に係る押出成形用乾燥装置は、これらの実験結果をもとに構成されたもので、凹状入口部7の導入口7aから前記したフラット部分を介して凸状出口部8の導出口8aまで下流側程拡開する拡開部5を有し、この拡開部5の内面(機械加工面)にフッ素樹脂,PEEK樹脂,セラミック系窒化物,チタン系窒化物,クロム系窒化物若しくはDLCなどの滑り被膜処理を施した押出成形用乾燥装置を一段目に配し、更に、この一段目の押出成形用乾燥装置の下流に、即ち、二段目に拡開部5を有しないフラット流路(非拡開部12)を有する押出成形用乾燥装置が連設されたものである。
具体的には、本実施例の押出成形用乾燥装置は、拡開部5の内面に、滑り被膜処理としてフッ素樹脂を塗布し厚さ5μm〜10μmのフッ素樹脂被膜を形成した構成としている。従って、拡開部5において良好な乾燥が達成され、その後、非拡開部12において形状の固定化が達成されることになる。
尚、この拡開部5の内面は、ショットブラスト処理を施した後に滑り被膜処理を施した構成としても良い。このショットブラスト処理を施すことで、拡開部5表面に凹凸が形成され表面積が増すことで、フッ素樹脂膜やセラミック系窒化物などの滑り被膜の密着性が向上し、この滑り被膜が剥がれることなく良好な乾燥処理の継続が維持される。
また、拡開部5を有しないフラット流路(非拡開部12)には、適当間隔をおいて脱気部10が設けられている。この脱気部10は、例えば流動方向に直交あるいは斜交する幅1mm〜2mmの溝や直径1mm〜3mmの貫通孔であり、本実施例においては、幅2mm、深さ5mmのスリット状の溝を流動方向に10mmピッチで並設している。尚、脱気部10として、流動方向に沿う溝としても良い。
この脱気部10は共通の脱気路11に連通した構成とし、脱気部10から取り込まれた水蒸気は、脱気路11を介してから外部に排出される。尚、例えばこの脱気路11に強制排気手段を連設して強制的に流路内に発生した水蒸気を排出する構成としても良い。
本実施例は上述のように構成したから、金型1を通過し成形材料導出口2から導出された成形材料が、加熱部4によって加熱された流路3を通過することで加熱乾燥され、この成形材料に含有する水分が脱気されて、良質な押出成形品が得られることになる。
また、前記流路3に入口側から出口側に向って拡開する拡開流路を設けたから、この拡開流路表面と成形材料との間に隙間ができ、この隙間が成形材料から放出された水蒸気の通路となり逐次外部に排出されることとなるので、流路3内での脱気作用がスムーズに行われ、脱気不十分となることなく成形材料を十分に乾燥・固化することができ、また更に、成形材料の厚さ(高さ)方向(鉛直方向)の流路3面に対する相対速度差を可及的に低減することができ、よって、良好(良質)な押出成形品を得ることができる。
また、流路3表面にはフッ素樹脂コーティングなどの滑り被膜処理を施したから、このフッ素樹脂の特性、即ち、摩擦係数が非常に小さいこと、撥水性が非常に高いことから、成形材料の滑動(流動)を助長し上記拡開部5を設けたことによる厚さ方向(鉛直方向)の相対速度差の減少を助長し、且つ、成形材料から脱気された水蒸気が流路3表面に付着せずスムーズに排出されるので、流路3表面に水分が付着して滑動の抵抗となったり、水分の再吸着がなされるといった不具合が生ぜず、流路3内の成形材料が円滑に乾燥しながら滑動することができる秀れた効果をもたらすこととなる。
本実施例に係る押出成形用乾燥装置においては、拡開部5は実験において乾燥効率が良好であった傾斜角度0.056°の拡開度合としたが、拡開部5の距離、位置及び拡開度合は、成形材料、成形材料水分率、乾燥温度、成形材料送り速度、流路表面性状、流路表面滑り被膜材料、流路素材などによって適宜調整する。例えば、拡開流路の上流側(例えば金型1内や拡開流路の上流側のフラット部分)に圧力センサーを設けるか、あるいは流路長さ方向に適当な間隔で圧力センサーを設け、圧力を測定することにより、最適な拡開部5の距離、位置及び拡開度合などを確知できる。
尚、上記した脱気、形状保持、成形材料への伝熱を考慮したとき、フラット流路では良質な成形品は作出できないことは明らかであり、本実施例に係る拡開流路を採用した押出成形用乾燥装置を用いることにより、パルプと澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を押出成形することによって作出する押出成形品を十分に脱気・固化した所定の水分率の良好な製品とすることができる。
また、流路3面にショットブラスト処理を施す場合は、実験結果より、処理後の凹部深さを20μm程度とすることが好ましい。
また、本実施例では、フッ素樹脂被膜の厚さは5μm〜10μmとしているが、このフッ素樹脂被膜などの滑り被膜の膜厚は、ショットブラスト処理の有無や度合い、成形材料、成形材料水分率、乾燥温度、成形材料送り速度などによって適宜調整するものとする。
この点、詳述すると、金型1から導出された成形材料は、加熱された拡開部5での伝熱により内層部の蒸気圧が高まり膨張しようとする。この膨張による圧縮応力を緩和し、流路3表面との滑動(流動)を実現する上で、膨張と調和した拡開部5が必要となる。フッ素樹などの滑り被膜形成処理も成形材料の滑動保持に大きく寄与する。滑動とともに、流路3表面に沿った水蒸気の通路を確保する上で、適度な傾斜角度の設定が必要であるが、表面形状の変形を抑制し、また、押出成形品に十分な熱を与えるためには、滑動(流動)を保証しつつ傾斜角度を可能な限り小さくする必要がある。脱気保証と変形抑制効果が最大限となる傾斜角度と傾斜パターンは存在する。従って、押出速度、熱流量、膨張速度とのバランスを取りつつ傾斜角度と形状の最適化を図ることが重要である。
即ち、拡開部5の表面のフッ素樹脂などの被膜は流路3表面と成形材料との滑動抵抗を減少させ、充満を抑制して水蒸気の排出通路を確保し、乾燥促進と良好な表面特性の実現に有効である。従って、本実施例に係る押出成形用乾燥装置を用いることで押出成形品の水分率を10wt%以下とし、十分に乾燥・固化された製品の実現化を図ることが可能となる。
1 金型
2 成形材料導出口
3 流路
4 加熱部
5 拡開部
12 非拡開部

Claims (7)

  1. パルプ及び澱粉を主成分とし水分を含む成形材料を、金型を通過させて押出成形する際に用いる押出成形用乾燥装置であって、前記金型の成形材料導出口の近傍に設けられ、前記成形材料導出口から導出された前記成形材料が通過する流路を有し、また、この流路を加熱する加熱部が設けられ、更に、前記流路には拡開部が設けられ、この拡開部は前記流路の側面全体が下流側程鉛直方向に拡開しており、更に、この拡開部の前記成形材料が接する面は前記成形材料の流動抵抗が減少するように、摩擦係数を小さくする処理が施されていることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
  2. 請求項1記載の押出成形用乾燥装置において、前記摩擦係数を小さくする処理は被膜形成処理であることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
  3. 請求項2記載の押出成形用乾燥装置において、前記被膜形成処理は、フッ素樹脂,ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK樹脂),セラミック系窒化物,チタン系窒化物,クロム系窒化物若しくはDLCによる滑り被膜処理であることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の押出成形用乾燥装置において、前記拡開部は、前記流路の始端若しくはその近傍からその下流側の任意の位置まで設けられていることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の押出成形用乾燥装置において、前記拡開部の終端には前記流路の側面の鉛直方向長さが一定の非拡開部が連設されていることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の押出成形用乾燥装置において、前記拡開部の前記成形材料が接する面には凹凸形成処理が施された後に、前記摩擦係数を小さくする処理が施されていることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
  7. 請求項6記載の押出成形用乾燥装置において、前記凹凸形成処理はショットブラスト処理であることを特徴とする押出成形用乾燥装置。
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