JP5887889B2 - 光照射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光照射装置に関する。
例えば、ヘッドからインクを吐出して印刷を行なう印刷装置(例えばプリンター)において、インクとして光(例えば紫外線(UV))の照射によって硬化するインク(例えばUVインク)を使用し、ヘッドよりも後段に光を照射する光照射装置を備えるようにしたものが知られている。
また、このような、光照射装置として、光源から照射された光を集光するための凸型(半球面形状)のガラスレンズを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011-146646号公報
しかしながら、上記の光照射装置では、光源から照射された光が、ガラスレンズの界面(光源側の面)で反射して、装置の内部で反射を繰り返す可能性がある。この場合、光が効率的に出力されなくなり、光出力が低下するおそれがあった。
本発明は、光出力の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、光を照射する光源と、前記光源を封入するための封入部を有するパッケージと、前記封入部に注入され、前記光源を前記封入部に封止するシリコンモールド材と、シリコン接着剤によって前記シリコンモールド材と接着されたシリコンレンズと、を備えたことを特徴とする光照射装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
プリンター1の全体構成のブロック図である。 印刷領域周辺の概略図である。 照射部42の構成を示す斜視図である。 第1実施形態の照射部42の構成を示す断面図である。 図5A〜図5Dは、LEDモジュール43の製造方法の概略説明図である。 第2実施形態の比較例のLEDモジュール43を示す断面図である。 第2実施形態のLEDモジュール43の構成を示す断面図である。 第3実施形態のLEDモジュール43の構成を示す断面図である。 第3実施形態において、シリコンレンズ49の取り付け位置がずれた場合を示した図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
光を照射する光源と、前記光源を封入するための封入部を有するパッケージと、前記封入部に注入され、前記光源を前記封入部に封止するシリコンモールド材と、シリコン接着剤によって前記シリコンモールド材と接着されたシリコンレンズと、を備えたことを特徴とする光照射装置が明らかとなる。
このような光照射装置によれは、光源から照射された光がレンズ界面で反射しないようにすることができる。よって光出力の向上を図ることができる。
かかる光照射装置であって、前記光源は、シリコンのダイアタッチ材を介して前記封入部に配設されていることが望ましい。
このような光照射装置によれば、光を効率的に出力させることができる。また、ダイアタッチ材にクラックが発生するのを防止することができる。
かかる光照射装置であって、前記シリコンレンズは、前記シリコンモールド材に接着される側の面が凸形状に形成されていることが望ましい。
このような光照射装置によれば、シリコン接着剤に気泡が混入するのを防止することができる。これにより、光出力の向上を図ることができる。
かかる光照射装置であって、前記シリコンレンズの直径は、前記封入部の開口幅よりも小さいことが望ましい。
このような光照射装置によれば、レンズを小さくすることで熱処理時の応力を小さくでき、ダイアタッチ材のクラックの発生を防止できる。
かかる光照射装置であって、前記シリコンレンズは、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が80以下であることが望ましい。
このような光照射装置によれば、ダイアタッチ材のクラックの発生を防止できる。
かかる光照射装置であって、前記シリコン接着剤は、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が40以下であることが望ましい。
このような光照射装置によれば、ダイアタッチ材のクラックの発生を防止できる。
かかる光照射装置であって、前記シリコンレンズは、当該シリコンレンズの厚さの1/4以上の側面が前記シリコン接着剤により覆われていることが望ましい。
このような光照射装置によれば、シリコンモールド材の露出を抑えることができ、光出力の低下を抑えることができる。
かかる光照射装置であって、前記光は、紫外線であり、前記光源は、前記紫外線を照射することが望ましい。
このような光照射装置によれば、光源から照射された紫外線がシリコンで吸収されないので、紫外線の出力の向上を図ることができる。
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)に本発明の光照射装置を適用した場合を例に挙げて説明する。
===プリンターの構成について===
図1は、プリンター1の全体構成のブロック図である。また、図2は、印刷領域周辺の概略図である。
プリンター1は、紙、布、フィルム等の被印刷媒体に画像を印刷する印刷装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。なお、被印刷媒体としては、ロール紙(以下、用紙Sとする)を用いている。
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置(不図示)にユーザーインターフェイスを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、CD−ROMなどの記録媒体(コンピューター読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーは、インターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
そして、コンピューター110は、プリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
プリンター1は、液体の一例として、紫外線(光の一種、以下、UVともいう)の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(以下、UVインクともいう)を吐出することにより、被印刷媒体に画像を印刷する装置である。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、UVの照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。このように、UVの照射によりUVインクを瞬時に硬化させることが可能なので、UVインクを用いると、被印刷媒体のインク吸収性に依存せずに、画像を形成することができる。
図1に示すようにプリンター1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40)を制御して、印刷データに従って被印刷媒体(用紙S)に画像を印刷する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを搬送方向に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、搬送モーター(不図示)と、上流側搬送ローラー対21、及び、下流側搬送ローラー対22を有する。また、上流側搬送ローラー対21は、上流側搬送ローラー21aと従動ローラー21bを有する。下流側搬送ローラー対22は、下流側搬送ローラー22aと従動ローラー22bを有する。
不図示の搬送モータが回転すると、上流側搬送ローラー21a及び下流側搬送ローラー22aが回転(図の矢印方向に回転)する。これにより、各従動ローラーも回転し、用紙Sが搬送方向に搬送される。
ヘッドユニット30は、用紙SにUVインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット30は、搬送中の用紙Sに対して各ヘッドからUVインクを吐出することによって、用紙Sにドットを形成する(すなわち用紙Sに画像を印刷する)。図2に示すように、プリンター1にはヘッドユニット30として搬送方向の上流側から順に、シアンのUVインクを吐出するシアンインクヘッド31C、マゼンダのUVインクを吐出するマゼンダインクヘッド31M、イエローのUVインクを吐出するイエローインクヘッド31Y、ブラックのUVインクを吐出するブラックインクヘッド31Kが設けられている。
なお、プリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット30の各ヘッドの紙幅方向(搬送方向と交差する方向)の長さは、印刷対象となる用紙Sの最大幅と同じかそれよりも長くなっている。そして、ヘッドユニット30の各ヘッドは紙幅分のドットを一度に形成することができる。
照射ユニット40は、UVを用紙Sに向けて照射するものである。用紙S上に形成されたドットは、照射ユニット40からのUVの照射を受けることにより硬化する。照射ユニット40は、照射部42を備えている。
照射部42は、ヘッドユニット30の各ヘッドよりも搬送方向下流側に設けられている。そして、照射部42は、各ヘッドによって用紙Sに形成されたドットにUVを照射する。なお、照射部42の紙幅方向の長さはヘッドと対応しており、印刷対象となる用紙Sの最大幅と同じか、それよりも長くなっている。
また、照射部42は、UVの光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備えている。なお、照射部42の構成については後述する。
検出器群50には、ロータリー式エンコーダー(不図示)などが含まれる。ロータリー式エンコーダーは、上流側搬送ローラー21aや下流側搬送ローラー22aの回転量を検出する。このロータリー式エンコーダーの検出結果に基づいて、用紙Sの搬送量を検出することができる。
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
印刷を行うとき、コントローラー60は、搬送ユニット20に用紙Sを搬送方向に沿って搬送させる。そして、コントローラー60は、媒体Sを搬送させながら、ヘッドユニット30の各ヘッドからUVインクを吐出させて媒体上にドットを形成させると共に、照射部42からUVを照射させてUVインクで形成されたドットを硬化させる。
===第1実施形態===
<照射部の構成について>
図3は、照射部42の構成の一例を示す斜視図である。なお、図3では、紙幅方向に沿って設けられた照射部42のうちの一部分を示している。
図に示すように照射部42は、LEDモジュール43(光照射装置に相当する)と、支持基板431と、放熱フィン432と、ファン433を備えている。
LEDモジュール43は、支持基板431の一方の面に格子状に複数配置されている。これらのLEDモジュール43は用紙Sに対向するように設置され、それぞれ用紙SにUVを照射する。なお、LEDモジュール43の詳細については後述する。
支持基板431は、各LEDモジュール43を支持するものである。また支持基板431の内部には、後述するように熱伝導率の高い銅(Cu)による配線が形成されている。
放熱フィン432は、支持基板431においてLEDモジュール43とは反対側の面(他方の面)に形成されている。この放熱フィン432は、LEDモジュール43がUVを照射する際に発生する熱を放熱させるためのものである。
ファン433は、放熱フィン432に送風を行ない、放熱フィン432による放熱を促進させる。
図4は、第1実施形態の照射部42の構成の一例を示す断面図である。なお、以下の説明において、図の上側を上方向とし、図の下側を下方向とする。
図に示すように、LEDモジュール43は、支持基板431上に形成されている。なお、支持基板431には、熱伝導率の高い銅(Cu)を用いたCu配線部435と、Cu配線部435と接続された柱状(例えば円柱状)のCuポスト436が形成されている。Cu配線部435は、支持基板431の下部に形成されており、放熱フィン432と接続されている。Cuポスト436は、はんだ437によってLEDモジュール43(より具体的には、後述するCuポスト453)と接合されている。
<LEDモジュール43について>
本実施形態のLEDモジュール43は、パッケージ45と、LEDチップ46と、シリコンモールド材47と、シリコンレンズ49を備えている。
パッケージ45は、マウント基板45aと、枠体45bとを有して構成されている。
マウント基板45aは、例えばセラミックで形成されており、中央部には円柱状のCuポスト453が貫通して形成されている。また、マウント基板45aの側面と、下面の外周部分には導電パターン451が形成されている。
枠体45bは、例えばセラミックで形成されており、マウント基板45aの上面に配置されている。枠体45bは、中央部分に開口部450(封入部に相当する)を有している。この開口部450は、上面側ほど(すなわち、シリコンレンズ49に近づくほど)開口が大きくなるような傾斜面で形成されている。このような形状にすることによって、LEDチップ46から照射されるUVが、傾斜面で反射して上方に射出されるようになる。よって、UV出力の指向性を向上させることができる。また、枠体45bの側面及び下面(マウント基板45aとの接続面)にも導電パターン451が形成されている。
LEDチップ46は、UVを照射する光源であり、シリコン製のダイアタッチ材461を介して枠体45bの開口部450内に配設されている(具体的には、マウント基板45aのCuポスト453上に設けられている)。また、LEDチップ46の不図示の2つの電極(アノード、カソード)は、それぞれボンディングワイヤ462によって導電パターン451と接続されている。
シリコンモールド材47は、LEDチップ46を開口部450内に封止するためのものであり、開口部450内に注入されている。なお、モールド材として、他の材料(例えばエポキシ樹脂)のものを用いてもよいが、その場合、LEDチップ46から照射されたUVがモールド材で吸収されてしまうおそれがある。これにより、UV出力が低下するおそれがある。本実施形態では、モールド材の材料としてUVを吸収しないシリコンを用いているので、UVの出力の低下を防止することができる。
シリコンレンズ49は、LEDチップ46が照射するUVを集光するための凸型の半球面のレンズである。シリコンレンズ49は、シリコン接着剤48によってシリコンモールド材47上に接着されている。なお、シリコンレンズ49としては、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が80以下のもの(より好ましくは、ゴム硬度が70以下のもの)を使用するのが望ましい。さらに、シリコンレンズ49とシリコンモールド材47を接着するシリコン接着剤48には、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が40以下のものを用いるのが望ましい。シリコン接着剤48とシリコンレンズ49をこのような特性(ゴム硬度)にすることで、シリコンモールド材47とシリコンレンズ49との接着時の応力(熱処理時の変形による応力)を緩和することができ、ダイアタッチ材461のクラック(後述する)の発生を防止することができる。
以上の構成により、例えばコントローラー60から、導電パターン451、ボンディングワイヤ462を介してLEDチップ46に電力が供給されると、LEDチップ46はUVを照射する。LEDチップ46から照射されたUVは、シリコンモールド材47、シリコン接着剤48、シリコンレンズ49等を通過して外部(図の上方)に出力される。
また、LEDチップ46はUVを照射する際に発熱する。本実施形態では、LEDチップ46によって発生した熱は、ダイアタッチ材461、Cuポスト453、Cuポスト436、及びCu配線部435を介して放熱フィン432に伝達(熱伝導)される。これにより、LEDチップ46の発熱を抑えることができる。
<LEDモジュール43の製造方法について>
図5A〜図5Dは、LEDモジュール43の製造方法の概略説明図である。
なお、ここでは、パッケージ45にLEDチップ46を配設するとき以降の工程を示しており、マウント基板45aや支持基板431などの記載を省略している。
まず、図5Aに示すように、LEDチップ46を、ダイアタッチ材461を介して枠体45bの開口部450内に配設する(マウント基板45aのCuポスト453上に配置する)。
次に、図5Bに示すように、LEDチップ46の不図示の2つの電極(アノード、カソード)と、枠体45bの下面に形成された導電パターン451とをそれぞれボンディングワイヤ462で接続する。
そして、図5Cに示すように、開口部450内にシリコンモールド材47を注入する。このように開口部450にシリコンモールド材47を注入して、LEDチップ46を開口部450に封止する。
その後、図5Dに示すように、シリコン接着剤48によってシリコンレンズ49をシリコンモールド材47上に接着させる。具体的には、シリコン接着剤48を開口部450の中心に垂らし、その上にシリコンレンズ49を配置する。その後、シリコン接着剤48を乾燥させるため、例えば150℃で1時間の熱処理を行なう。こうして、LEDモジュール43が製造される。
なお、本実施形態では、図に示すように、シリコンレンズ49の直径bを、枠体45bの上面における開口部450の幅a(開口幅に相当する)よりも小さくしている。これは、シリコンレンズ49を小さくすることによって、シリコンレンズ49を接着する際の熱処理時のクラック(後述するダイアタッチ材461のクラック)を発生しにくくすることができるからである。なお、シリコンレンズ49を小さくしてもUV出力の大きさにはほとんど影響はない。さらに、シリコンレンズ49の直径bを、開口部450の幅aよりも小さくすると、シリコンレンズ49をシリコン接着剤48によってシリコンモールド材47に接着させるときに、レンズの取り付け位置を調整しやすくなる。
仮に、シリコンレンズ49の直径bが開口部450の幅aよりも大きいとすると、シリコンレンズ49を接着する際に取り付け位置がずれた場合、シリコンレンズ49がその位置(ずれた位置)のまま接着されてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態のようにシリコンレンズ49の直径bが開口部450の幅aよりも小さければ、シリコン接着剤48の表面張力により、自動的にシリコンレンズ49の位置調整が行われるようになる(セルフアライメント)。例えば、シリコン接着剤48を開口部450の中央に垂らして、その上にシリコンレンズ49を配置すると、シリコンレンズ49の取り付け位置が多少ずれても、シリコン接着剤48の厚みの大きいところ(開口部450の中央)にシリコンレンズ49が引き寄せられる。このように、シリコンレンズ49の取り付け時の位置調整を簡易に行うことができる。
また、前述したように本実施形態では、LEDモジュール43の集光用のレンズとしてシリコンレンズ49を用いている。もし仮に、シリコンレンズ49ではなくガラスレンズを用いると、LEDチップ46から照射されたUVが、ガラスレンズとシリコンの界面(ガラスレンズの下面)で反射して、パッケージ45内で反射を繰り返すおそれがある。これにより、UVの出力が低下するおそれがある。本実施形態では、シリコンモールド材47及びシリコン接着剤48と同じ材料のシリコンレンズ49を用いているので、レンズとの界面における反射を低減させることができ、UVを効率的に射出することができる。すなわちUV出力の向上を図ることができる。
また、ガラスレンズを用いると、前述した熱処理の際にダイアタッチ材461にクラックが発生するおそれがある。ダイアタッチ材461にクラックが発生すると、Cuポスト453への熱の伝導性が悪化する。これにより、LEDチップ46の発熱が冷却されなくなり、故障などの原因になるおそれがある。以下、ガラスレンズを用いた場合に、ダイアタッチ材461にクラックが発生しやすくなる理由について説明する。
本実施形態の枠体45bの開口部450内は、ほぼシリコンで形成されている。ガラスレンズを用いる場合、このシリコン上にガラスが配置されることになる。また、ガラスレンズをシリコン接着剤48で接着する際にも、前述したような熱処理が必要である。
ところで、シリコンとガラスとでは熱膨張率が異なる。具体的には、ガラスの膨張率よりもシリコンの膨張率の方が大きい。すなわち、上記の熱処理の際に、開口部450の上部の変形量(レンズの径方向への伸び量)は小さく、開口部450の下部(ダイアタッチ材461側)の変形量(伸び量)は大きい。つまり、開口部450の上部と下部との変形量の差が大きくなる。その後、熱処理後の冷却の際に、変形量の差に応じた応力がダイアタッチ材461にかかり、ダイアタッチ材461にクラックが発生すると考えられる。
これに対し、本実施形態のようにシリコンレンズ49を用いると、熱処理の際に開口部450の上部と下部との変形量の差が低減されるため、クラックの発生を防止することができる。なお、クラックを確実に防止するには、前述したように、シリコンレンズ49として、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が80以下のもの(より好ましくは、ゴム硬度が70以下のもの)を使用することが望ましい。さらに、シリコン接着剤48には、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が40以下のものを用いることが望ましい。また、シリコンレンズ49の大きさ(直径b)を小さくすることが望ましい。
以上説明したように、本実施形態のLEDモジュール43は、UVを照射するLEDチップ46と、LEDチップ46を封入するための開口部450を有するパッケージ45と、開口部450に注入され、LEDチップ46を開口部450に封止するシリコンモールド材47と、シリコン接着剤48によってシリコンモールド材47と接着されたシリコンレンズ49とを備えている。
こうすることにより、LEDチップ46から照射されたUVがレンズの界面で反射するのを防止することができ、シリコンモールド材47、シリコン接着剤48、及びシリコンレンズ49を介して効率的にUVを取り出す(射出させる)ことができる。よってUV出力の向上を図ることができる。
===第2実施形態===
<比較例について>
第2実施形態について説明する前に比較例について説明する。
図6は、比較例のLEDモジュール43を示す断面図である。この比較例のLEDモジュール43は第1実施形態と同じ構成であるが、シリコン接着剤48に気泡が混入している。このように、シリコンレンズの下面が平面(直線状)の場合、シリコン接着剤48によってシリコンレンズ49をシリコンモールド材47に接着させる際に、シリコン接着剤48の内部に気泡が混入するおそれがある。
もし、図6のようにシリコン接着剤48に気泡が混入すると、LEDチップ46から照射されたUVが気泡部分(空気とシリコンの界面)で反射してしまおそれがある。このため、外部に射出されるUVが減少し、UV出力が低下してしまうおそれがある。
そこで、第2実施形態では、シリコン接着剤48への気泡の混入を防止するようにしている。
<第2実施形態のLEDモジュール>
第2実施形態では、シリコンレンズ49の形状が第1実施形態と異なる。
図7は、第2実施形態のLEDモジュール43の構成を示す断面図である。なお、図7において第1実施形態(図4)と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態のLEDモジュール43は、シリコンレンズ49´を有している。シリコンレンズ49´は、図に示すように、下面(言い換えると、シリコンモールド材47と接着される側の面)が曲面形状(凸形状)になっている。このような形状のシリコンレンズ49´を用いることにより、シリコン接着剤48でシリコンレンズ49´をシリコンモールド材47と接着させる際に、シリコン接着剤48の内部に気泡が混入しにくくなる。よって、シリコン接着剤48への気泡の混入を防止することができ、これにより、LEDチップ46から照射されるUVの出力の向上を図ることができる。
===第3実施形態===
第3実施形態では、シリコン接着剤48の使用量が前述の実施形態よりも多くなっている。
図8は、第3実施形態のLEDモジュール43の構成を示す断面図である。図8において、前述の実施形態と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、第3実施形態では、シリコンレンズ49の下部の側面にシリコン接着剤48が盛り上がるように形成されている。具体的には、シリコン接着剤48の盛り上がり高さ(図に示すh)が、シリコンレンズの高さ(厚さ)hの1/4以上になるようにシリコン接着剤48の量が定められている。このように、第3実施形態では、シリコン接着剤48の量を前述の実施形態よりも多くしている。そして、シリコンレンズ49の下部(下端からレンズ厚さの1/4以上の部分)の側面をシリコン接着剤48によって覆うようにしている。
図9は、第3実施形態において、シリコンレンズ49の取り付け位置がずれた場合を示した図である。図では、シリコンレンズ49の取り付け位置が左側にずれている。このように、シリコンレンズ49の取り付け位置がずれると、シリコン接着剤48の量が多いため、図8と比べて、ずれた方向と反対側(図では右側)のシリコン接着剤48がさらに盛り上がった形状になる。この場合、シリコン接着剤48もやや曲面を持った形状(凸形状)になり、UVを集光させることができる。このように、第3実施形態では、シリコン接着剤48の量を多くすることにより、シリコンレンズ49の取り付け位置がずれても、シリコンモールド材47の露出を抑えることができ、UV出力の低下を抑えることができる。
なお、本実施形態では、下面(シリコンモールド材47と接着される側の面)が平らなシリコンレンズ49を用いていたが、第2実施形態のシリコンレンズ49´を用いてもよい。この場合、シリコン接着剤48への気泡の混入を防止できる。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<照射部について>
前述した実施形態では、照射部42(LEDモジュール43)をラインプリンターに適用していたが、これには限られず他のプリンター(例えば、シリアルプリンター)に適用してもよい。また、プリンター以外の機器(例えば、医療機器や半導体製造装置など)に、照射部42(LEDモジュール43)を用いても良い。
<UVについて>
前述した実施形態では、照射部42はUVを照射していたが、照射する光はUVには限られない。例えば可視光を照射してもよい。この場合、例えばモールド材として他の材料(エポキシ樹脂など)を用いてもよい。なお、前述した実施形態では、LEDチップ46(光源)がUVを照射し、モールド材等にUV光を吸収しないシリコンを用いているので光出力の向上を図ることができる。
<ダイアタッチ材について>
前述した実施形態では、シリコン製のダイアタッチ材461を用いていたがこれには限られない。例えば、ダイアタッチ材461としてエポキシ系の材料を用いてもよい。ただし、ダイアタッチ材461がエポキシ系の材料の場合、LEDチップ46の側面や底面から出力されるUVが吸収されてしまうおそれがある。このためUV出力が低下するおそれがある。よって、シリコン製のダイアタッチ材461を用いるのが効果的である。また、ダイアタッチ材461にシリコンを用いた場合、シリコンレンズ49を配置した後の熱処理の際に、開口部450の上部と下部における変形量の差が小さくなるので、ダイアタッチ材461のクラックを防止することができる。
1 プリンター、
20 搬送ユニット、21 上流側搬送ローラー対、21a 上流側搬送ローラー
21b 従動ローラー、22下流側搬送ローラー対、22a 下流側搬送ローラー
22b 従動ローラー、
30 ヘッドユニット、31C シアンインクヘッド、31M マゼンダインクヘッド、
31Y イエローインクヘッド、31K ブラックインクヘッド、
40 照射ユニット、42 照射部、43 LEDモジュール、45 パッケージ、
45a マウント基板、45b 枠体、46 LEDチップ、
47 シリコンモールド材、48 シリコン接着剤、49 シリコンレンズ、
50 検出器群、60 コントローラー、61 インターフェイス部、
62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、110 コンピューター、
431 支持基板、432 放熱フィン、433 ファン、
435 Cu配線部、436 Cuポスト、437 はんだ、
450 開口部、451 導電パターン、453 Cuポスト、
461 ダイアタッチ材、462 ボンディングワイヤ

Claims (8)

  1. 光を照射する光源と、
    前記光源を封入するための封入部を有するパッケージと、
    前記封入部に注入され、前記光源を前記封入部に封止するシリコンモールド材と、
    シリコン接着剤によって前記シリコンモールド材と接着されたシリコンレンズと、
    を備え
    前記シリコンレンズの直径は、前記封入部の開口幅よりも小さい、
    ことを特徴とする光照射装置。
  2. 請求項1に記載の光照射装置であって、
    前記光源は、シリコンのダイアタッチ材を介して前記封入部に配設されている、
    ことを特徴とする光照射装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光照射装置であって、
    前記シリコンレンズは、前記シリコンモールド材に接着される側の面が凸形状に形成されている、
    ことを特徴とする光照射装置。
  4. 請求項1〜の何れかに記載の光照射装置であって、
    前記シリコンレンズは、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が80以下である、
    ことを特徴とする光照射装置。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の光照射装置であって、
    前記シリコン接着剤は、ゴム硬度(デュロメーター:タイプA)が40以下である、
    ことを特徴とする光照射装置。
  6. 光を照射する光源と、
    前記光源を封入するための封入部を有するパッケージと、
    前記封入部に注入され、前記光源を前記封入部に封止するシリコンモールド材と、
    シリコン接着剤によって前記シリコンモールド材と接着されたシリコンレンズと、
    を備え、
    前記シリコンレンズは、当該シリコンレンズの厚さの1/4以上の側面が前記シリコン接着剤により覆われている、
    ことを特徴とする光照射装置。
  7. 請求項6に記載の光照射装置であって、
    前記シリコンレンズの直径は、前記封入部の開口幅よりも小さい、
    ことを特徴とする光照射装置。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の光照射装置であって、
    前記光は、紫外線であり、
    前記光源は、前記紫外線を照射する
    ことを特徴とする光照射装置。
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