JP2007173561A - 発光装置の製造方法 - Google Patents

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拓磨 橋本
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真也 石崎
Satoru Mori
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Abstract

【課題】気泡の発生を抑制した信頼性の高い発光装置を提供することである。
【解決手段】凹部2を有する基板1の凹部2底面に発光素子3を載置して硬化後に凹部2を完全に満たさない程度の適量の封止用樹脂4を凹部2に充填し、充填した封止用樹脂4を硬化させた後、封止用樹脂4の上に固着用樹脂5を介在させて光学部材6を載置することで基板1に固着させる。又、光学部材6を基板1に固着する際は、光学部材6の底面における周縁の一点を基板1に傾けて接地させ、徐々に光学部材6を水平にして載置することで基板1に固着させる。
【選択図】図1

Description

本願発明は、光源として発光素子を用いた発光装置の製造方法に関するものである。
従来から、特開2005−116817号公報(特許文献1)に示されるように、光源として発光素子を用いた発光装置は知られている。この発光装置は、図6に示すように、凹部2を有する基板1と、基板1の凹部2底面に載置された発光素子3と、基板1の凹部2に充填する封止用樹脂4と、凹部2を覆うように基板1に固着された光学部材6とからなっている。光学部材6は、環境温度の変化による封止用樹脂4の膨張収縮に対応するための剰余分収納部8を有している。
したがって、この発光装置は、高温時には膨張により過剰となった封止用樹脂4を剰余分収納部8に収納し、低温時には収縮により不足となった封止用樹脂4を剰余分収納部8から補給するため、環境温度の変化による発光装置の性能劣化を防ぐことができる。
特開2005−116817号公報
しかしながら、上記従来例である光学装置にあっては、基板1に光学部材6を固着する際に、封止用樹脂4周辺の空気を巻き込むことで、光学部材6の底面と基板1の凹部2に充填された封止用樹脂4との界面に気泡が発生するという問題が生じる。この気泡は封止用樹脂4の硬化収縮によって発生するものであり、特に光学部材6の底面の中央部付近は、剰余分収納部8から充分に封止用樹脂4が補給されないため気泡が発生しやすくなる。発生した気泡は環境温度の変化に伴い膨張収縮し、これを繰り返すことで光学部材6が剥離して多大な光量損失を生じるなど、発光装置の信頼性を低下させる原因となる。
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、気泡の発生を抑制した信頼性の高い発光装置の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、凹部を有する基板の凹部底面に発光素子を載置して硬化後に凹部を完全に満たさない程度の適量の封止用樹脂を凹部に充填し、充填した封止用樹脂を硬化させた後、封止用樹脂の上に固着用樹脂を介在させて光学部材を載置することで基板に固着させている。
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発光装置の製造方法において、光学部材の底面に固着用樹脂を塗布し、塗布した固着用樹脂を介在させて光学部材を載置することで基板に固着させることを特徴としている。
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発光装置の製造方法において、光学部材の底面における周縁の一点を基板に傾けて接地させ、徐々に光学部材を水平にして載置することで基板に固着させることを特徴としている。
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1記載の発光装置の製造方法において、光学部材の底面には、底面の周縁まで通じる溝部が設けられており、光学部材を載置する時に、光学部材と固着用樹脂との間の空気が溝部から排気されるようになしたことを特徴としている。
本願請求項1記載の発明の発光装置の製造方法においては、封止用樹脂を凹部に充填して硬化させた後、封止用樹脂の硬化収縮分を補う少量の固着用樹脂を封止用樹脂の上に介在させており、樹脂の充填を二段階に分けて行っている。したがって、一度に凹部を満たす多量の樹脂を充填させる場合に比べて、硬化収縮量を減少させることができ、固着用樹脂と光学部材との界面である固着界面での気泡の発生を抑制することができる。このように、気泡の発生を抑制することで、光学部材の剥離による光量損失等の問題を解決している。
又、本願請求項2記載の発明の発光装置の製造方法においては、あらかじめ固着用樹脂を光学部材の底面に確実に塗布させてから載置しているため、固着界面に気泡が発生するのをより抑制することができる。これは、光学部材を直接、固着用樹脂に載置して固着させる場合に、光学部材の底面と固着用樹脂との濡れ性が悪いために、固着界面に気泡が発生するという問題を解決するものである。
又、本願請求項3記載の発明の発光装置の製造方法においては、光学部材の底面における周縁の一点を基板に傾けて接地させ、徐々に光学部材を水平にすることで固着させているため、固着用樹脂又は封止用樹脂周辺の空気は光学部材に巻き込まれることなく発光装置の外側へと排気され、気泡の発生を更に抑制することができる。
又、本願請求項4記載の発明の発光装置の製造方法においては、光学部材の底面には、底面の周縁まで通じる溝部が設けられているため、光学部材を固着させる際に凹部から溢れた固着用樹脂は溝部の周縁に向かって追い出され、これに伴い固着用樹脂周辺の空気も溝部から外部へと排気される。したがって、固着界面での気泡の発生をより抑制することができる。更に、光学部材の載置後においても、固着界面又は固着用樹脂内に発生した気泡を溝部から排気させることができる。
図1、2は、本願請求項1、3に対応した第一の実施形態である発光装置の製造方法を示している。この発光装置の製造方法は、まず、凹部2を有する基板1の凹部2底面に発光素子3を載置して硬化後に凹部2を完全に満たさない程度の適量の封止用樹脂4を凹部2に充填する。次に、充填した封止用樹脂4を硬化させた後、硬化した封止用樹脂4の上に固着用樹脂5を塗布する。最後に、光学部材6の底面における周縁の一点を基板1に傾けて接地させ、徐々に光学部材6を水平にして載置することで基板1に固着させる。
以下、この実施形態の発光装置の製造方法を、より具体的詳細に説明する。図1に示すように、この発光装置は、発光素子3と、基板1と、固着用樹脂5並びに封止用樹脂4と、光学部材6とからなっている。発光素子3は、SiC単結晶板上に形成されたGaN系化合物系半導体からなるLEDチップであり、基板1は略直方体形状のアルミナから成り、基板1の中央部分には略円錐台状の凹部2が形成されている。この凹部2には正極と負極の電極が形成されており、発光素子3の底面に形成されたP型電極と正極とが半田付けされており、発光素子3の上面に形成されたN型電極と負極とが金ワイヤ9により接続されている。固着用樹脂5並びに封止用樹脂4は同じゲル状のシリコーン樹脂を使用しており、光学部材6としては一般的な凸レンズを用いている。
この発光装置の製造方法は図2に示すように、まず、基板1に設けられた凹部2の底面に発光素子3を半田付けした後、封止用樹脂4を凹部2から盛り上がる程度に充填させる。封止用樹脂4の硬化前界面10を図2(a)に示す。硬化前界面10まで充填された封止用樹脂4は、硬化後には凹部2を完全に満たさない程度にまで硬化収縮する。次に、硬化後の封止用樹脂4の上から固着用樹脂5を塗布し、凹部2から固着用樹脂5が少しはみ出した盛り上がった状態にする(図2(b))。最後に、光学部材6の底面における周縁の一点を基板1に傾けて接地させ、徐々に光学部材6を水平にして載置することで基板1に固着させる(図2(c)(d))。
したがって、この実施形態の発光装置の製造方法は、封止用樹脂4を凹部2に充填して硬化させた後、封止用樹脂4の硬化収縮分を補う少量の固着用樹脂5を封止用樹脂4の上に介在させており、樹脂の充填を二段階に分けて行っている。したがって、一度に凹部2を満たす量の樹脂を充填させる場合に比べて、硬化収縮量を減少させることができ、固着用樹脂5と光学部材6との界面である固着界面11での気泡の発生を抑制することができる。このように、気泡の発生を抑制することで、光学部材6の剥離による光量損失等の問題を解決している。
又、光学部材6の底面における周縁の一点を基板1に傾けて接地させ、徐々に光学部材6を水平にすることで固着させているため、固着用樹脂5又は封止用樹脂4周辺の空気は光学部材6に巻き込まれることなく発光装置の外側へと排気され、気泡の発生を更に抑制することができる。
なお、この実施形態では、光学部材6の取り付け方法として上記の方法を用いているが、単純に光学部材6を水平にしたまま、固着用樹脂5の上に載置して固着させる場合であっても、請求項1記載の効果のみで充分に固着界面11での気泡の発生を抑制することができるものである。
又、この実施形態においては、図3(a)に示すように光学部材6として底面に円錐状の凸部12が設けられた凸レンズを用いてもよい。この場合、光学部材6を固着用樹脂5の上に載置する際に、凸部12が塗布された固着用樹脂5内に挿入され、固着用樹脂5の一部が凸部12の中央から外側へと押し出される。したがって、固着用樹脂5が押し出されるのに伴って固着用樹脂5周辺の空気も外側へと排気されるので、固着界面11での気泡の発生を抑制することができる(図3(b))。
図4は、本願請求項1〜3に対応した第二の実施形態である発光装置の製造方法を示している。なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この発光装置の製造方法は、あらかじめ固着用樹脂5を光学部材6の底面に塗布した後、塗布した固着用樹脂5と硬化した封止用樹脂4とを付き合わすことで、光学部材6を基板1に固着させる。
したがって、あらかじめ固着用樹脂5を光学部材6の底面に確実に塗布させてから載置しているため、固着界面11に気泡が発生するのをより抑制することができる。これは、光学部材6を直接、固着用樹脂5に載置して固着させる場合に、光学部材6の底面と固着用樹脂5との濡れ性が悪いために、固着界面11に気泡が発生するという問題を解決するものである。
図5は、本願請求項1、4に対応した第三の実施形態である発光装置の製造方法を示している。なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この発光装置の製造方法は、図5に示すように底面に溝部7を有する光学部材6を用いている。具体的な光学部材6の底面の構造は、図5(a)に示すように、底面において外周における一定の長さの弧から凸型に伸びた部分が四箇所等間隔に底面として残っており、他の部分が溝部7となっている。又、図5(b)に示すように、図5(a)同様に凸型に伸びた部分が二箇所等間隔に底面として残っており、他の部分が溝部7となった構造でもよい。図5(c)に光学部材6の図5(a)及び(b)のA1−A2での断面図を示す。図5(c)に示すように光学部材6に設けられた溝部7は一様に底面の中心部分から外周にいくほど溝が深くなっている。
したがって、この場合は、光学部材6を固着させる際に凹部2から溢れた固着用樹脂5は溝部7の周縁に向かって追い出され、これに伴い固着用樹脂5周辺の空気も溝部7から外部へと排気されるため、固着界面11での気泡の発生を抑制することができる。更に、光学部材6の載置後においても、固着界面11又は固着用樹脂5内に発生した気泡を溝部7から排気させることができる。
なお、この実施形態では請求項3記載の効果は奏しない。
本願発明の第一の実施形態である発光装置を示す断面図。 本願発明の第一の実施形態である発光装置の製造方法の(a)〜(d)各過程を示す断面図。 本願発明の第一の実施形態である発光装置を示す(a) 光学部材の斜視図、(b)断面図。 本願発明の第二の実施形態である発光装置の製造方法を示す断面図。 本願発明の第三の実施形態である発光装置を示す(a)光学部材の底面図、(b)光学部材の底面図、(c)断面図。 従来例である発光装置を示す断面図。
符号の説明
1 基板
2 凹部
3 発光素子
4 封止用樹脂
5 固着用樹脂
6 光学部材
7 溝部
8 剰余分収納部
9 金ワイヤ
10硬化前界面
11固着界面
12凸部

Claims (4)

  1. 凹部を有する基板の凹部底面に発光素子を載置し、硬化後に凹部を完全に満たさない程度の適量の封止用樹脂を凹部に充填し、充填した封止用樹脂を硬化させた後、封止用樹脂の上に固着用樹脂を介在させて光学部材を載置することで基板に固着させる発光装置の製造方法。
  2. 光学部材の底面に固着用樹脂を塗布し、塗布した固着用樹脂を介在させて光学部材を載置することで基板に固着させることを特徴とする請求項1記載の発光装置の製造方法。
  3. 光学部材の底面における周縁の一点を基板に傾けて接地させ、徐々に光学部材を水平にして載置することで基板に固着させることを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置の製造方法。
  4. 光学部材の底面には、底面の周縁まで通じる溝部が設けられており、光学部材を載置する時に、光学部材と固着用樹脂との間の空気が溝部から排気されるようになしたことを特徴とする請求項1記載の発光装置の製造方法。
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