以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電源装置のブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態1における電源装置の動作を示すフローチャートである。なお、図1において太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。
図1において、電源装置11は、アイドリングストップを行う車両の主電源13と、主電源13と電気的に接続される蓄電部15と、蓄電部15と電気的に接続され、蓄電部15を充電する充電回路17と、蓄電部15と電気的に接続されるスタータ19と、蓄電部15と電気的に接続され、蓄電部電圧Vcを検出する蓄電部電圧検出回路21と、充電回路17、スタータ19、および蓄電部電圧検出回路21と電気的に接続される制御回路23と、を備える。そして、制御回路23は、蓄電部電圧Vcが、前記車両の走行状態に基いて決定される蓄電部充電電圧Vckまで、蓄電部15を充電回路17で充電し、前記車両のアイドリングストップ後に、少なくとも蓄電部15の電力でスタータ19を駆動する。
これにより、走行状態が緩やかであれば、蓄電部電圧Vcが低くなるように充電できるので、その間は蓄電部15の劣化進行を抑制することができる。従って、さらなる高信頼性を得ることができる電源装置11が実現できる。
以下、より具体的に本実施の形態1の構成、動作について説明する。
図1において、車両のエンジン(図示せず)に取り付けられる発電機25には、主電源13が電気的に接続される。主電源13は鉛蓄電池であり、車両に搭載されるスタータ19や、電装品である負荷27にも電気的に接続される。従って、発電機25が発電している間は、その電力が負荷27に供給されるとともに、主電源13を充電する。
なお、スタータ19は主電源13に対し、充電回路17とダイオード29を介して電気的に接続されるとともに、スイッチ31を介しても電気的に接続される。
ここで、充電回路17は蓄電部15を充電するためのもので、本実施の形態1では双方向DC/DCコンバータで構成される。なお、充電回路17を双方向DC/DCコンバータで構成したことにより、例えば車両の使用終了時に蓄電部15の電力が残存している場合、充電回路17により蓄電部15を放電して、主電源13の充電や、負荷27への暗電流供給を行うことができるとともに、非使用時に蓄電部15の電圧(以下、蓄電部電圧Vcという)を下げることで、蓄電部15の劣化を抑制することができる。
但し、充電回路17は双方向DC/DCコンバータに限定されるものではなく、蓄電部15を充電するだけの単方向DC/DCコンバータであってもよいし、ドロッパ回路等のDC/DCコンバータ以外の回路であってもよい。なお、これらの構成の場合は、蓄電部15を任意のタイミングで放電することができないので、蓄電部15を構成する電気二重層キャパシタの本数を増やして、前記電気二重層キャパシタ1本当たりに印加される電圧が高くならないようにして劣化を抑制したり、放電回路を別途設けたりすればよい。
また、ダイオード29はスタータ19側がカソードになるように接続される。スイッチ31は外部からオンオフ制御が可能な構成のものであり、本実施の形態1ではリレーを用いている。なお、スイッチ31はリレーに限定されるものではなく、半導体スイッチ素子を用いてもよい。また、ダイオード29を、外部からオンオフ制御が可能なリレーや半導体スイッチ素子としてもよい。この場合、制御回路23によるオンオフ制御が必要となるが、ダイオード29による損失を低減することができる。
充電回路17とダイオード29との接続点には蓄電部15が電気的に接続される。蓄電部15は定格電圧が2.5Vの電気二重層キャパシタを複数個直列に接続した構成である。ここで、蓄電部15の電力でスタータ19を駆動するために、充電回路17は蓄電部電圧Vcが最大で16Vになるように充電する。従って、前記電気二重層キャパシタを7個直列に接続することによって蓄電部15が構成される。
蓄電部15には、蓄電部電圧検出回路21が電気的に接続される。蓄電部電圧検出回路21は、蓄電部電圧Vcを検出して出力する機能を有する。
充電回路17、スタータ19、蓄電部電圧検出回路21、およびスイッチ31は信号系配線により制御回路23と電気的に接続される。制御回路23はマイクロコンピュータとメモリ等の周辺回路から構成され、車両の様々な情報を入手し制御のための信号を出力する機能を有する。すなわち、制御回路23は蓄電部電圧検出回路21から蓄電部電圧Vcを読み込む。また、制御回路23は充電回路17から、充電回路17の各部の電圧、電流や、動作状態等の情報を制御信号contにより読み込む。そして、制御回路23はスタータ19を制御するためのスタータ信号STや、スイッチ31をオンオフ制御するためのスイッチ信号SWを出力する。
さらに、制御回路23には、車速センサ33やナビゲーションシステム35とも信号系配線で電気的に接続される。従って、制御回路23は、車速センサ33より車両の車速信号Sを読み込む。また、制御回路23は、ナビゲーションシステム35との間で、様々なデータ信号dataをやり取りする。このデータ信号dataの中に、ナビゲーションシステム35が取得した渋滞情報も含まれる。
制御回路23には、上記した以外に様々な電装品が接続され、様々な制御が行なわれているが、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
次に、このような電源装置11の車両使用開始時の動作について説明する。
運転者が車両のイグニションスイッチ(図示せず)をオンにすると、制御回路23はスイッチ31をオンにするようにスイッチ信号SWを出力する。これにより、スイッチ31がオンになり、スタータ19へは主電源13の電力が直接供給される。この状態で、制御回路23はスタータ19を駆動するためのスタータ信号STを出力する。これにより、スタータ19の内蔵リレー(図示せず)がオンになるので、スタータ19は主電源13の電力で駆動され、エンジンが始動する。
この際、主電源13からはスタータ19へ大電流が流れるので、主電源13の電圧が急峻に低下する。そのため、主電源13がスタータ19を駆動している間、充電回路17は停止しており、蓄電部15の充電動作を行わないようにしている。また、蓄電部15とスタータ19の間にはダイオード29が接続されているので、主電源13からスタータ19に供給される電力により蓄電部15が充電されることもない。
このようにしてエンジンの始動が完了すると、制御回路23はスタータ19の動作を停止するようにスタータ信号STを出力するとともに、スイッチ31をオフにするようスイッチ信号SWを出力する。これにより、スタータ19は停止し、主電源13からスタータ19への直接的な電力系配線がオフとなる。
次に、車両の通常時における特徴となる動作を図2のフローチャートにより説明する。なお、図2のフローチャートは制御回路23のメインルーチン(図示せず)から車両使用中に繰り返し実行されるサブルーチンである。
図2のサブルーチンが実行されると、制御回路23は、まず車両の走行状態として、ナビゲーションシステム35からのデータ信号dataにより渋滞情報を読み込む(ステップ番号S10)。そして、制御回路23は車両が渋滞情報の位置に存在するか否か、すなわち渋滞中か否かを判断する(S11)。もし、車両が渋滞中であれば(S11のYes)、後述するS17へジャンプする。
一方、車両が渋滞中でなければ(S11のNo)、次に制御回路23は、車両の他の走行状態として、前回のアイドリングストップ後の車両の加速度(以下、前回加速度Grという)と既定加速度Gkとを比較する(S13)。
ここで、前回加速度Grは、次のようにして求められる。制御回路23のメインルーチンは、アイドリングストップが終了して車両が加速を始める毎に、その時の加速度を、車速センサ33からの車速信号Sにおける経時変化から求めて前記メモリに記憶する。これにより、制御回路23は前回加速度Grを求めて更新している。
また、既定加速度Gkは、アイドリングストップ後に車両が緩やかに加速しているか否かを判断するために予め決定された加速度である。すなわち、アイドリングストップ後の車両発進時における加速度が、既定加速度Gk以下であれば緩やかな加速によるエコ運転を、既定加速度Gkより大きければ急な加速によるスポーティな運転を、それぞれ前記運転者が行っていると判断するために、その境界となる加速度を既定加速度Gkとして予め決定し、制御回路23の前記メモリに記憶してある。
ここで、S13に戻り、前回加速度Grが既定加速度Gkより大きければ(S13のNo)、制御回路23は、前回のアイドリングストップ後に車両が急速に加速していると判断する。この際、S11でNoであったため、車両が渋滞中でもない。従って、前記運転者はスポーティな運転を行っていると判断されるので、制御回路23は、蓄電部充電電圧Vckを高蓄電部充電電圧Vcktに設定する。具体的には、前記メモリに定義された変数である蓄電部充電電圧Vckに、予め決定されている高蓄電部充電電圧Vcktの値を代入する(S15)。ここで、図2のフローチャートにおいて、判断以外の処理で、S15に示すように、Vck=高蓄電部充電電圧Vcktと記載した場合は、右辺の値を左辺の変数に代入することであると定義する。
なお、蓄電部充電電圧Vckと高蓄電部充電電圧Vcktの定義は次の通りである。
まず、蓄電部充電電圧Vckとは、これから蓄電部15を充電する際に、何ボルトまで充電するかを定めるための変数で、高蓄電部充電電圧Vcktの値、または、後述する低蓄電部充電電圧Vckeの値のいずれか一方が代入される。従って、充電回路17は、後述するように、蓄電部電圧Vcが、決定された蓄電部充電電圧Vckに至るまで、蓄電部15を充電することになる。
次に、高蓄電部充電電圧Vcktとは、蓄電部充電電圧Vckを高くしたい場合に使用される電圧値で、本実施の形態1では、高蓄電部充電電圧Vcktを16Vとしている。従って、S15の動作により、アイドリングストップ後にスタータ19を再始動する際、スタータ19には高蓄電部充電電圧Vckt(=16V)が印加されることになる。その結果、スタータ19は、より急峻に駆動され、エンジンの再始動期間が短くなる。その分、アイドリングストップ後に車両をすばやく加速することができ、スポーティな運転が可能となる。
ここで、図2に戻り、S15の後、制御回路23はS19以降の動作を行う。
一方、車両が渋滞中であるか(S11のYes)、または前回加速度Grが既定加速度Gk以下であれば(S13のYes)、前回のアイドリングストップ後に車両が緩やかに加速しているため、制御回路23は蓄電部充電電圧Vckを低蓄電部充電電圧Vckeに設定する。すなわち、制御回路23は、蓄電部充電電圧Vckに、予め決定されている低蓄電部充電電圧Vckeの値を代入する(S17)。
なお、低蓄電部充電電圧Vckeとは、蓄電部充電電圧Vckを低くしたい場合に使用される電圧値で、本実施の形態1では、低蓄電部充電電圧Vckeを14Vとしている。従って、S17の動作により、アイドリングストップ後にスタータ19を再始動する際、スタータ19には低蓄電部充電電圧Vcke(=14V)が印加されることになる。その結果、スタータ19は、緩やかに駆動され、エンジンの再始動期間が若干長くなる。しかし、車両は渋滞中か、緩やかな加速運転が行われているため、スタータ19を急峻に駆動してすばやく加速する必要はない。従って、エンジンの再始動期間が若干長くなっても運転上の制約は少ない。一方で、蓄電部電圧Vcは低蓄電部充電電圧Vckeまでしか充電されないため、蓄電部15を充電するための電気エネルギが少なくて済む。ゆえに、車両のエコ運転が可能となる。さらに、蓄電部電圧Vcが高電圧に至る期間を短くできるので、その分、蓄電部15の劣化を抑制することができる。
以上に説明したS15、またはS17の動作をまとめると、次のようになる。制御回路23は、車両が前記渋滞情報の位置に存在すれば、蓄電部充電電圧Vckを下げる。また、制御回路23は、車両が前記渋滞情報の位置に存在していない場合であっても、前回加速度Grが小さいほど、すなわち、既定加速度Gk以下であれば、蓄電部充電電圧Vckを下げる。一方、制御回路23は、車両が前記渋滞情報の位置に存在せず、かつ、前回加速度Grが既定加速度Gkより大きければ、蓄電部充電電圧Vckを上げる。
次に、S15、またはS17で蓄電部充電電圧Vckが設定された後、制御回路23は、蓄電部電圧検出回路21の出力より蓄電部電圧Vcを検出する(S19)。そして、制御回路23は蓄電部電圧Vcと蓄電部充電電圧Vckとを比較する(S21)。もし、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vck未満であれば(S21のNo)、蓄電部15が蓄電部充電電圧Vckまで充電されていないことになるので、制御回路23は蓄電部15を充電するように充電回路17へ制御信号contを出力する。これにより、充電回路17は蓄電部15の充電を行う(以上、S23)。なお、後述するS27で車両がアイドリングストップを行うか否かを判断するので、S23の時点では車両はアイドリングストップ状態ではない。従って、蓄電部15には発電機25の電力が充電される。S23の後は、S19に戻り、制御回路23は蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vckに至るまで、S19からS23までの動作を繰り返す。
一方、S21において、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vck以上となり、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vckに至れば(S21のYes)、制御回路23は蓄電部15の充電を停止するよう充電回路17に制御信号contを出力する。これにより、充電回路17は蓄電部15の充電を停止する(以上、S25)。なお、本実施の形態1では、蓄電部15の充電を停止する際に、充電回路17の動作そのものが停止するのではなく、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vckを維持するように動作する。これは、蓄電部15の内部抵抗により蓄電部電圧Vcが経時的に低下するのを防ぐための動作であり、積極的な蓄電部15の充電動作ではない。従って、蓄電部充電電圧Vckを維持する充電回路17の動作は充電動作ではないと定義する。なお、例えば蓄電部15の容量が十分に大きく、内部抵抗による蓄電部電圧Vcの低下が、後述するスタータ19の駆動に影響しない程度となる構成であれば、制御回路23が充電回路17の動作そのものを停止するようにしてもよい。
次に、制御回路23は、車両がアイドリングストップ可能であるか否かを判断する(S27)。ここで、アイドリングストップ可能の条件としては、例えば、車速が0である、ブレーキペダルが踏まれアクセルペダルが踏まれていない、アイドリングストップ中に負荷27へ十分に供給できるだけの電力が主電源13に充電されている、等の様々な条件がある。制御回路23は、これらの条件を順次判断し、アイドリングストップが可能ではないと判断すると(S27のNo)、図2のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。従って、この場合はアイドリングストップが行われない。
一方、アイドリングストップが可能であれば(S27のYes)、制御回路23は、アイドリングストップを開始する(S29)。すなわち、制御回路23はエンジンを停止する。その後、制御回路23は、アイドリングストップが終了するか否かを判断する(S31)。アイドリングストップ終了の条件としては、例えばブレーキペダルが踏み込まれなくなった、変速機が前進ギアに入っている、等の様々な条件がある。制御回路23は、これらの条件を順次判断し、アイドリングストップが終了ではないと判断すると(S31のNo)、再びS31に戻る。この動作により、アイドリングストップが終了すると判断されるまで待機する。
一方、アイドリングストップが終了であれば(S31のYes)、制御回路23はスタータ19を駆動するためにスタータ信号STを出力する。これを受け、スタータ19は蓄電部15の電力により駆動し(以上、S33)、エンジンの再始動を行う。この際、制御回路23は充電回路17の動作を完全に停止する。また、S33におけるスタータ19の駆動時にはスイッチ31がオフである。従って、主電源13からスタータ19へは、ほとんど電流が流れないので、スタータ19が駆動している間、負荷27へは主電源13から安定して電力が供給される。さらに、蓄電部15の電力が主電源13や負荷27に供給されることもないので、スタータ19の駆動も安定して行うことができる。
その後、制御回路23は、図2のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
以上の構成、動作により、制御回路23は、車両の走行状態が緩やかであると判断した場合、蓄電部充電電圧Vckを低く設定して、蓄電部電圧Vcが低くなるように蓄電部15を充電するので、その間は、蓄電部15の劣化進行を抑制することができる。従って、さらなる高信頼性を得ることができる電源装置11が得られる。
なお、本実施の形態1では車両の走行状態として、渋滞中であるか否かの渋滞情報と、前回のアイドリングストップ後の車両の加速度(前回加速度Gr)の両方を用いているが、これに限定されるものではなく、いずれか一方でもよい。
すなわち、例えばナビゲーションシステム35が搭載されていない車両であれば、前回加速度Grだけで蓄電部充電電圧Vckを設定してもよい。この場合、図2のS10、S11の動作が不要となる。
また、前回加速度Grを用いずに、渋滞情報だけで蓄電部充電電圧Vckを設定してもよい。この場合、図2のS13の動作が不要となる。
上記したいずれの場合であっても、車両の走行状態が緩やかであれば蓄電部電圧Vcが低くなるように蓄電部15を充電するので、蓄電部15の劣化進行を抑制する効果が得られる。
さらに、車両の走行状態は、渋滞情報と前回加速度Grに限定されるものではなく、車速や通常走行時の加速度、あるいはそれらの平均、推移などを基にしてもよいし、それらと渋滞情報や前回加速度Grとを含めて総合的に走行状態を得るようにしてもよい。これにより車両の走行状態が緩やかであるか否かを精度よく判断することができる。
また、本実施の形態1では、車両がアイドリングストップを行っていない場合に蓄電部15を充電する構成としているが、これは、アイドリングストップを行っておらず、かつ、車両が減速時に発電機25が発生する回生電力を蓄電部15に充電するようにしてもよい。すなわち、制御回路23は、車速信号Sの推移や、ブレーキペダルの状態から、車両が減速していると判断すれば、発電機25が発生する回生電力を蓄電部15に充電するように充電回路17を制御する。これにより、回生電力を、次回のエンジン再始動時にスタータ19へ供給することができるので、上記した蓄電部15の劣化進行に対する抑制効果に加え、効率向上を図ることが可能となる。
また、本実施の形態1においては、ダイオード29とスイッチ31を設ける構成について説明したが、車両使用開始時であっても必ず蓄電部15を充電してから、蓄電部15の電力のみでスタータ19を駆動する構成の場合、ダイオード29とスイッチ31はなくてもよい。この場合、車両使用開始時に蓄電部15を充電する期間が必要となるが、構成が簡単になる。
また、本実施の形態1では、蓄電部充電電圧Vckを高蓄電部充電電圧Vckt、または低蓄電部充電電圧Vckeの2種類としたが、これは、渋滞の程度や前回加速度Grの値に応じて多段階に設定するようにしてもよい。すなわち、例えば渋滞の距離が長いほど、あるいは前回加速度Grが小さいほど蓄電部充電電圧Vckを下げるように多段階設定する。これにより、さらに車両の走行状態に即した蓄電部充電電圧Vckの設定ができるので、その分、蓄電部電圧Vcが高電圧状態にある期間を短くできる可能性が高まり、延いては蓄電部15の劣化を抑制することが可能となる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における電源装置のブロック回路図である。なお、図3に示す電源装置11において、実施の形態1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態2における特徴となる構成は、主電源13と蓄電部15を直列に接続した点である。従って、制御回路23は、車両のアイドリングストップ後に、主電源13と蓄電部15の電力でスタータ19を駆動する。なお、これ以外の動作は実施の形態1と同じである。
これにより、走行状態が緩やかであれば、蓄電部電圧Vcが低くなるように充電されるので、その間は蓄電部15の劣化進行を抑制することができる。従って、図3の構成でも高信頼性を得ることができる電源装置11が実現できる。
なお、本実施の形態2では、主電源13と蓄電部15との両方の電力でスタータ19を駆動する構成であり、実施の形態1における蓄電部15の電力のみでスタータ19を駆動する構成と異なる。ゆえに、実施の形態1と本実施の形態2の構成をまとめて述べると、制御回路23は、車両のアイドリングストップ後に、少なくとも蓄電部15の電力でスタータ19を駆動する構成となる。
以下、より具体的に本実施の形態2の構成について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図3において、主電源13の正極には蓄電部15が直列接続される。蓄電部15は、実施の形態1と同様に、電気二重層キャパシタで構成されるが、主電源13と直列接続されるため、前記電気二重層キャパシタの本数が異なる。実際の本数は次のようにして決定する。
実施の形態1で述べたように、車両の走行状態が緩やかな場合は、スタータ19への初期印加電圧を14Vに、それ以外では、初期印加電圧を16Vに、それぞれ設定しているので、本実施の形態2でも同様に設定する。ここで、主電源13は鉛バッテリであるので、その電圧は12Vとなる。ゆえに、初期印加電圧の最大値である16Vを得るためには、蓄電部15で4V(=16V−12V)の蓄電部電圧Vcが必要となる。実施の形態1に記載したように、蓄電部15は定格電圧が2.5Vの電気二重層キャパシタを複数本、直列に接続する構成であるので、蓄電部電圧Vcを最大で4V得るためには、前記電気二重層キャパシタの本数を2本とする必要がある。このことから、本実施の形態2では、蓄電部15は前記電気二重層キャパシタが2本直列に接続された構成としている。
次に、主電源13と蓄電部15とを直列に接続したことにより、蓄電部15の両端に充電回路17が電気的に接続される。これにより、発電機25や主電源13の電力を蓄電部15に充電できる。また、充電回路17は実施の形態1と同様に双方向DC/DCコンバータとしているので、蓄電部15の残余の電力を主電源13や負荷27へ供給することもできる。
また、主電源13と蓄電部15とを直列に接続したことにより、蓄電部電圧Vcは蓄電部15の両端電圧となることから、蓄電部電圧検出回路21も充電回路17と同様に蓄電部15の両端に電気的に接続される。
さらに、主電源13と蓄電部15とを直列に接続したことにより、両者の直列回路がダイオード29を介してスタータ19に電気的に接続される。なお、ダイオード29は図3に示すように、カソードがスタータ19側になるように接続される。また、負荷27とスタータ19との間にスイッチ31が電気的に接続される。
このような構成により、実施の形態1で述べたように、車両使用開始時にはスイッチ31をオンにして、スタータ19の駆動を主電源13で行うことができる。この際、ダイオード29により、主電源13の電力が蓄電部15側へ流れることが防止される。
また、アイドリングストップ後のエンジン再始動時にはスイッチ31をオフにしておくことで、主電源13と蓄電部15の電力でスタータ19を駆動することができる。
上記以外の構成は、実施の形態1と同じである。
次に、このような電源装置11の動作について説明する。
本実施の形態2における、車両の通常時の特徴となる動作は、実施の形態1の図2とほとんど同じであるので、異なる動作についてのみ説明する。
まず、図2において、車両が渋滞中である(S11のYes)か、または、前回加速度Grが既定加速度Gk以下である(S13のYes)の場合は、S17にて蓄電部充電電圧Vckに低蓄電部充電電圧Vckeの値を代入しているが、この低蓄電部充電電圧Vckeの値が実施の形態1と異なる。すなわち、実施の形態1において、低蓄電部充電電圧Vckeの値は14Vであったが、本実施の形態2では、主電源13と蓄電部15が直列接続されるので、その合計電圧(スタータ19の始動時に印加される電圧)を14Vにするには、前記したように主電源13の電圧が12Vであるため、低蓄電部充電電圧Vckeの値は2V(=14V−12V)となる。ゆえに、S11でYes、または、S13でYesの場合、蓄電部15は2Vまで充電されることになる。
次に、図2において、車両が渋滞中でなく(S11のNo)、かつ、前回加速度Grが既定加速度Gk以下でない(S13のNo)場合は、S15にて蓄電部充電電圧Vckに高蓄電部充電電圧Vcktの値を代入しているが、この高蓄電部充電電圧Vcktの値が実施の形態1と異なる。すなわち、実施の形態1において、高蓄電部充電電圧Vcktの値は16Vであったが、本実施の形態2では、主電源13と蓄電部15が直列接続されるので、その合計電圧(スタータ19の始動時に印加される電圧)を16Vにするには、前記したように主電源13の電圧が12Vであるため、高蓄電部充電電圧Vcktの値は4V(=16V−12V)となる。ゆえに、S11でNo、かつ、S13でNoの場合、蓄電部15は4Vまで充電されることになる。
上記以外の動作は実施の形態1と同じである。従って、車両の走行状態が緩やかであれば、スタータ19への印加電圧が低くなり、エンジン再始動に若干時間がかかるものの、蓄電部15の充電電圧が低いことによる劣化進行の抑制、および省エネルギが可能となる。また、車両の走行状態がスポーティであれば、スタータ19への印加電圧が高くなり、エンジン再始動が素早くなる。
以上の構成、動作により、実施の形態1と同様に、制御回路23は、車両の走行状態が緩やかであると判断した場合、蓄電部充電電圧Vckを低く設定して蓄電部15を充電するので、その間は、蓄電部15の劣化進行を抑制することができる。従って、さらなる高信頼性を得ることができる電源装置11が得られる。
なお、本実施の形態2においても、ダイオード29とスイッチ31を設ける構成について説明したが、これは実施の形態1と同様に、これらがない構成であってもよい。この場合、車両使用開始時であっても必ず蓄電部15を充電してから、主電源13と蓄電部15の両方の電力でスタータ19を駆動する必要がある。従って、車両使用開始時に蓄電部15を充電する期間が必要となるが、構成が簡単になる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における電源装置の動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態3における構成は、図1と同じである。
図1において、電源装置11は、アイドリングストップを行う車両の主電源13と、主電源13と電気的に接続される蓄電部15と、蓄電部15と電気的に接続され、蓄電部15を充電する充電回路17と、蓄電部15と電気的に接続されるスタータ19と、蓄電部15と電気的に接続され、蓄電部電圧Vcを検出する蓄電部電圧検出回路21と、充電回路17、スタータ19、および蓄電部電圧検出回路21と電気的に接続される制御回路23と、を備える。そして、制御回路23は、蓄電部15の充電時、または放電時における蓄電部電圧Vcの変化に基いて蓄電部15の劣化度合いを求め、前記劣化度合いが、蓄電部15の劣化限界値に至る前の、既定劣化度合いに至れば、蓄電部充電電圧Vckを下げるように決定し、蓄電部充電電圧Vckまで、蓄電部15を充電回路17で充電し、前記車両のアイドリングストップ後に、少なくとも蓄電部15の電力でスタータ19を駆動する。
これにより、蓄電部15が劣化限界に至る前の、劣化しつつある場合には、蓄電部電圧Vcが低くなるように充電するので、その分、蓄電部15の劣化進行を抑制することができる。さらに、蓄電部15が劣化しつつある際に、あえて蓄電部電圧Vcが低くなるように充電するので、エンジン再始動は可能であるが、クランキング期間が長くなる。その結果、蓄電部15が劣化してエンジンの再始動ができなくなる前に、クランキング期間が長くなることで以って運転者に蓄電部15の早期交換を促すことができ、延いては高信頼性を得ることができる電源装置11が実現できる。
以下、より具体的に本実施の形態3の構成、動作について説明する。
まず、本実施の形態3の構成については、実施の形態1の図1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
次に、本実施の形態3における車両の使用開始時の動作や、ダイオード29、スイッチ31の基本的な動作については、実施の形態1と同じであるので、詳細な説明を省略する。ここでは、本実施の形態3における、車両の通常時の特徴となる動作について、図4を用いて説明する。なお、図4のフローチャートは制御回路23の前記メインルーチンから車両使用中に繰り返し実行されるサブルーチンである。
図4のサブルーチンが実行されると、制御回路23は、まず蓄電部15の内部抵抗値Rが既定内部抵抗値Rk以上であるか、または、蓄電部15の容量値Cが既定容量値Ck以下であるかを判断する(S51)。
ここで、内部抵抗値R、既定内部抵抗値Rk、容量値C、および既定容量値Ckの詳細について説明する。
まず、蓄電部15の内部抵抗値Rは、蓄電部15の劣化度合いを示す1つのパラメータとして使用される。すなわち、蓄電部15は、劣化が進行すると内部抵抗値Rが大きくなる。従って、内部抵抗値Rを後述する方法で測定することで、蓄電部15の劣化度合いを知ることができる。具体的には、蓄電部15が劣化して、スタータ19を駆動してもエンジン再始動ができなくなった場合の内部抵抗値Rを蓄電部15の劣化限界値(劣化限界内部抵抗値Rd)として実験的に求めておく。そして、測定された内部抵抗値Rが劣化限界内部抵抗値Rdにどの程度近づいたかにより、蓄電部15の劣化度合いを知ることができる。
ここで、内部抵抗値Rと劣化限界内部抵抗値Rdだけで劣化度合いを監視すると、車両の使用中に内部抵抗値Rが劣化限界内部抵抗値Rdに至った場合、その後のエンジン再始動ができなくなる可能性が高くなる。従って、本実施の形態3では、内部抵抗値Rが劣化限界内部抵抗値Rdに至る前の、既定内部抵抗値Rkを定義している。具体的には、蓄電部15が新品時の内部抵抗値Rと劣化限界内部抵抗値Rdとの差の80%の値を、新品時の内部抵抗値Rに加算した値を既定内部抵抗値Rkとして決定し、前記メモリに記憶している。なお、既定内部抵抗値Rkは上記した値に限定されるものではなく、使用する蓄電部15の特性、仕様に応じて、適宜決定すればよい。
次に、蓄電部15の容量値Cも、蓄電部15の劣化度合いを示す1つのパラメータとして使用される。すなわち、蓄電部15は、劣化が進行すると容量値Cが大きくなる。従って、容量値Cを後述する方法で測定することで、蓄電部15の劣化度合いを知ることができる。具体的には、蓄電部15が劣化して、スタータ19を駆動してもエンジン再始動ができなくなった場合の容量値Cを蓄電部15の劣化限界値(劣化限界容量値Cd)として実験的に求めておく。そして、測定された容量値Cが劣化限界容量値Cdにどの程度近づいたかにより、蓄電部15の劣化度合いを知ることができる。
ここで、容量値Cと劣化限界容量値Cdだけで劣化度合いを監視すると、車両の使用中に容量値Cが劣化限界容量値Cdに至った場合、その後のエンジン再始動ができなくなる可能性が高くなる。従って、本実施の形態3では、容量値Cが劣化限界容量値Cdに至る前の、既定容量値Ckを定義している。具体的には、蓄電部15が新品時の容量値Cと劣化限界容量値Cdとの差の80%の値を、新品時の容量値Cから減算した値を既定容量値Ckとして決定し、前記メモリに記憶している。なお、既定容量値Ckは上記した値に限定されるものではなく、使用する蓄電部15の特性、仕様に応じて、適宜決定すればよい。
なお、本実施の形態3では、劣化度合いとして、蓄電部15の内部抵抗値Rと容量値Cの2種類を用いているが、これは、どちらの値が先に既定内部抵抗値Rk、または、既定容量値Ckに至るかが、車両の使用環境や使用条件等によって異なる可能性があるためである。すなわち、2種類の値を用いることにより、蓄電部15の劣化度合いを、より確実に把握することができ、信頼性を向上することが可能となる。
以上のことより、S51の動作をまとめると、蓄電部15の劣化度合いとして測定された内部抵抗値Rと容量値Cを、既定劣化度合いとして定義される既定内部抵抗値Rkと既定容量値Ckに対してそれぞれ比較する。
そして、劣化度合いが既定劣化度合いに至れば、すなわち、内部抵抗値Rが既定内部抵抗値Rk以上であるか、または、容量値Cが既定容量値Ck以下であれば(S51のYes)、蓄電部15が劣化してスタータ19の駆動によるエンジン再始動ができなくなる手前の状態であることになる。この場合、蓄電部15のこれ以上の劣化進行を抑制するために、制御回路23は、蓄電部充電電圧Vckを下げるように決定する。具体的には、制御回路23は、変数である蓄電部充電電圧Vckに、低蓄電部充電電圧Vckeの値(ここでも実施の形態1と同様に14Vとした)を代入する。これにより、上記した蓄電部15の劣化進行を抑制できるとともに、あえて蓄電部電圧Vcを低い値(低蓄電部充電電圧Vcke=14V)までしか充電しないので、制御回路23がアイドリングストップ終了後にスタータ19を駆動する際、エンジン再始動は可能であるが、クランキング期間が長くなる。従って、制御回路23は、運転者に蓄電部15の正常時に対する違和感を与えることで、蓄電部15の交換を促すことができる。
S53の後、制御回路23は後述するS57へジャンプし、それ以降の動作を行う。
一方、劣化度合いが既定劣化度合いに至っていなければ、すなわち、内部抵抗値Rが既定内部抵抗値Rk未満であり、かつ、容量値Cが既定容量値Ckより大きければ(S51のNo)、蓄電部15は正常であるので、制御回路23は、変数である蓄電部充電電圧Vckに、高蓄電部充電電圧Vcktの値(ここでも実施の形態1と同様に16Vとした)を代入する。これにより、蓄電部15が正常であれば、クランキング期間が短い正常なエンジン再始動を行うことができる。
次に、制御回路23は、蓄電部電圧検出回路21より蓄電部電圧Vcを検出する(S57)。そして、制御回路23は、蓄電部電圧Vcと、S53、またはS55で決定された蓄電部充電電圧Vckとを比較する(S59)。もし、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vck以上であれば(S59のYes)、既に、蓄電部15にはスタータ19を駆動するための電力が蓄えられているので、後述するS87へジャンプする。
一方、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vck以上でなければ(S59のNo)、制御回路23は、蓄電部15を充電しながら、劣化度合いである内部抵抗値Rと容量値Cを測定する。その詳細な動作を以下に説明する。
まず、既にS57で現在の蓄電部電圧Vcを検出しているので、制御回路23は、その値を前記メモリの変数である第1蓄電部電圧Vc1に代入する(S61)。
次に、制御回路23は、蓄電部15を予め決定された定電流Iで充電するように充電回路17を制御する(S63)。ここで、定電流Iの値は、発電機25の発電可能電流値、充電回路17の許容電流値、蓄電部15の容量値C、蓄電部15を満充電するまでに許容される充電期間、負荷27に対する許容電圧降下値などに応じて決定される。
なお、S63の段階では、車両はアイドリングストップを行っていないので(アイドリングストップを行うのは、後述するS89以降)、蓄電部15への充電電力は主に発電機25から供給される。
こうして蓄電部15の定電流充電が開始された直後に、制御回路23はS57と同様にして、蓄電部電圧Vcを検出する(S65)。そして、制御回路23は、その値を前記メモリの変数である第2蓄電部電圧Vc2に代入する(S67)。
ここで、定電流Iで蓄電部15の充電を開始する直前直後の蓄電部電圧Vcの差は、内部抵抗値Rに比例することから、制御回路23は、まず内部抵抗値Rを次式により求める(S69)。
R=(Vc2−Vc1)/I (1)
なお、蓄電部15の充電直前の蓄電部電圧Vcの値は、第1蓄電部電圧Vc1に、充電直後の蓄電部電圧Vcの値は、第2蓄電部電圧Vc2に、それぞれ代入されている。また、定電流Iの値は上記のとおり既知である。
こうして内部抵抗値Rを測定した後、制御回路23は、容量値Cを求めるために、まず、制御回路23を構成する周辺回路の内のカウンタをスタートさせる(S71)。次に、制御回路23は、カウンタにより所定期間tsが経過したか否かを判断する(S73)。ここで、所定期間tsとは、容量値Cを求めるために必要な蓄電部電圧Vcの変化が得られる期間のことであり、必要十分な精度で容量値Cが得られる期間を予め実験的に求めて、所定期間tsとして前記メモリに記憶しておく。本実施の形態3では、所定期間tsを0.1秒とした。なお、所定期間tsは0.1秒に限定されるものではない。但し、所定期間tsが短すぎると容量値Cの精度が低下し、長すぎると所定期間tsが経過しない内に蓄電部15が満充電になる可能性が高くなる。従って、これらの要因を考慮して、最適な所定期間tsを決定すればよい。
もし、所定期間tsが経過していなければ(S73のNo)、制御回路23は、所定期間tsが経過するまでS73の動作を繰り返す。
一方、所定期間tsが経過すれば(S73のYes)、制御回路23は再度、蓄電部電圧Vcを検出し(S75)、その値を変数である第3蓄電部電圧Vc3に代入する(S77)。
こうして、蓄電部15の容量値Cを求めるための数値が得られたので、制御回路23は次式により容量値Cを求める(S79)。
C=I・ts/(Vc3−Vc2) (2)
なお、定電流Iと所定期間tsは上記のとおり既知である。従って、(2)式より蓄電部15の容量値Cを測定することができる。
以上のことから、蓄電部15の内部抵抗値Rと容量値Cは蓄電部電圧Vcの変化に基いて求めることができる。
次に、制御回路23は、蓄電部電圧Vcを検出し(S81)、その値と蓄電部充電電圧Vckとを比較する(S83)。もし、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vck以上でなければ(S83のNo)、蓄電部15はまだ蓄電部充電電圧Vckまで充電されていないので、S81に戻り、制御回路23はS81からS83の動作を繰り返す。
一方、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vck以上であれば(S83のYes)、蓄電部15は蓄電部充電電圧Vckまで充電されたので(以下、この状態を満充電という)、制御回路23は充電回路17を停止するように制御する。これにより、蓄電部15への充電が停止する(S85)。なお、蓄電部15は、その内部抵抗値Rにより、僅かずつではあるが、自己放電する。そこで、本実施の形態3では、S85の段階で、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vckを維持するように充電回路17を制御する。この動作は自己放電分を補償するためのものであり、積極的な充電動作ではないので、実施の形態1で述べたように、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vckを維持するような充電回路17の動作は、充電動作ではなく充電停止の範囲であると定義する。
次に、制御回路23は、アイドリングストップが可能であるか否かを判断する(S87)。この動作は図2のS27と同じである。もし、アイドリングストップが可能でなければ(S87のNo)、制御回路23は図4のサブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。
一方、アイドリングストップが可能であれば(S87のYes)、制御回路23はアイドリングストップを開始する(S89)。この動作は図2のS29と同じである。
その後、制御回路23は、アイドリングストップが終了するか否かを判断する(S91)。この判断動作も図2のS31と同じである。もし、アイドリングストップがまだ継続する場合は(S91のNo)、制御回路23はS91の動作に戻り、アイドリングストップが終了するまで待機する。
一方、アイドリングストップが終了すると判断されれば(S91のYes)、制御回路23はスタータ19の駆動を行なう(S93)。この動作も図2のS33と同じである。但し、本実施の形態3においては、蓄電部15の劣化度合いが既定劣化度合いに至っていれば、蓄電部充電電圧Vckを下げているので、S93において、クランキング期間が長くなる。従って、このことで以って、運転者に蓄電部15の劣化を早期に知らせることができる。なお、本実施の形態3では実施していないが、S93の段階で、制御回路23が図示しない警告灯で蓄電部15の劣化を運転者に示す動作を同時に行ってもよい。この場合、制御回路23は、より確実に運転者へ蓄電部15の劣化を知らせることが可能となる。
その後、制御回路23は図4のサブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。
以上の構成、動作により、蓄電部15が劣化しつつある場合には、蓄電部電圧Vcが低くなるように充電するので、その分、蓄電部15の劣化進行を抑制することができる。さらに、蓄電部15が劣化しつつある際に、あえて蓄電部電圧Vcが低くなるように充電するので、エンジン再始動は可能であるが、クランキング期間が長くなる。その結果、蓄電部15が劣化してエンジンの再始動ができなくなる前に、クランキング期間が長くなることで以って運転者に蓄電部15の早期交換を促すことができる。これらのことより、高信頼性を得ることができる電源装置11が得られる。
なお、本実施の形態3では、蓄電部15の劣化度合いとして内部抵抗値Rと容量値Cの両方を用いたが、これは、蓄電部15の仕様等により、容量値Cが既定容量値Ckに至るよりも先に、必ず内部抵抗値Rの方が既定内部抵抗値Rkに至ることが予め明確な場合は、内部抵抗値Rのみを劣化度合いとしてもよい。同様に、内部抵抗値Rの方が既定内部抵抗値Rkに至るよりも先に、必ず容量値Cが既定容量値Ckに至ることが予め明確な場合は、容量値Cのみを劣化度合いとしてもよい。従って、劣化度合いは、蓄電部電圧Vcの変化に基いて求めた、蓄電部15の内部抵抗値R、または容量値Cの少なくとも1つであればよい。なお、劣化度合いを内部抵抗値R、または容量値Cのいずれか1つとした場合、図4のS51の動作が簡単になる。
また、本実施の形態3では、内部抵抗値Rと容量値Cのいずれかが、それぞれの劣化時の値に至れば、蓄電部15が劣化していると判断しているが、両方の値と劣化度合いとの、予め求められた相関関係から劣化度合いを測定するようにしてもよい。例えば、内部抵抗値Rを横軸に、容量値Cを縦軸に定義した座標系において、両者の値による蓄電部15の劣化限界線を予め求めておき、測定された内部抵抗値Rと容量値Cの座標を前記座標系に当てはめた時、その座標が前記劣化限界線に至れば、蓄電部15が劣化していると判断するようにしてもよい。この場合、劣化判断を行うアルゴリズムが複雑になり、また、前記劣化限界線が非線形の場合、前記座標系において前記劣化限界線を通る座標のテーブルを持つ必要があるものの、蓄電部15の劣化判断の精度が向上する。
また、本実施の形態3では、蓄電部15の劣化度合いとして内部抵抗値Rと容量値Cを用いたが、これらに限定されるものではなく、例えば第1蓄電部電圧Vc1と第2蓄電部電圧Vc2との差や、第2蓄電部電圧Vc2と第3蓄電部電圧Vc3との差の少なくとも1つを劣化度合いとしてもよい。この場合、図4のS69とS79の動作が簡単になる。
また、本実施の形態3では、蓄電部15を定電流Iで充電しているが、この動作に限定されるものではなく、満充電近くになれば定電圧充電に切り替えるようにしてもよい。この場合、蓄電部15の充電完了時における蓄電部電圧Vcのオーバーシュートを抑制することができる。なお、本実施の形態3の場合、蓄電部15の定格電圧に対し、満充電時の蓄電部電圧Vcが低くなるようにマージンを取っているので、前記オーバーシュートが発生しても蓄電部15の劣化に影響しないようにしている。しかし、定電圧充電への切替を行う構成の方がさらなる高信頼性を得られる。但し、この場合、制御回路23は、定電圧充電に切り替える前に内部抵抗値Rと容量値Cの測定が終わるように制御する必要がある。
また、本実施の形態3では、まず内部抵抗値Rを測定し、次に容量値Cを測定しているが、これは逆の順番であってもよい。但し、内部抵抗値Rを測定する時は、充電を中断して、その際の蓄電部電圧Vcの電圧降下、または電圧上昇を検出する必要があり、制御が複雑になる。
また、本実施の形態3では、車両の使用中で蓄電部15を充電する際に、内部抵抗値Rと容量値Cを測定しているが、これは、車両使用終了時に、蓄電部15に残った電力を定電流Iで強制放電させることにより、内部抵抗値Rと容量値Cを測定するようにしてもよい。換言すれば、制御回路23は、蓄電部15の充電時、または放電時における蓄電部電圧Vcの変化に基いて蓄電部15の劣化度合いを求めればよい。この場合、(1)式において、第1蓄電部電圧Vc1と第2蓄電部電圧Vc2との差、および、(2)式において、第2蓄電部電圧Vc2と第3蓄電部電圧Vc3との差が、いずれも負となるので、負になった値の絶対値を用いて内部抵抗値Rと容量値Cを求める。なお、放電により内部抵抗値Rと容量値Cを測定すると、車両の使用終了時にしか測定されないため、内部抵抗値Rと容量値Cの精度の観点からは、蓄電部15の充電の都度、測定する本実施の形態3の動作の方が望ましい。
また、本実施の形態3では、電源装置11の構成として、図1のものと同じ場合について述べたが、これは、実施の形態2で述べた図3の構成に適用してもよい。この場合、図4のフローチャートにおいて、S53の低蓄電部充電電圧Vckeは2Vに、S55の高蓄電部充電電圧Vcktは4Vに、それぞれ変わるが、それ以外の動作は同じである。
また、本実施の形態3では、劣化度合いに基いて蓄電部充電電圧Vckを決定しているが、この動作と、実施の形態1で述べた車両の走行状態に基いて蓄電部充電電圧Vckを決定する動作を組み合わせてもよい。この場合、まず、蓄電部15の劣化度合いが既定劣化度合いに至っているか否かの判断(図4のS51)を行い、劣化度合いが既定劣化度合いに至っていれば、車両の走行状態によらず、蓄電部充電電圧Vckを低蓄電部充電電圧Vckeに決定する。劣化度合いが既定劣化度合いに至っていなければ、図2のS11からS17の動作を行い、車両の走行状態に基いた蓄電部充電電圧Vckの決定を行う。このような動作により、蓄電部15の劣化度合いと車両の走行状態の両方に基き蓄電部充電電圧Vckが決定されるので、より一層、蓄電部15の劣化を抑制できる。
同様に、本実施の形態3で述べた、劣化度合いに基いて蓄電部充電電圧Vckを決定する動作を、実施の形態2の構成と組み合わせてもよい。この場合も上記と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態3において、蓄電部充電電圧Vckを高蓄電部充電電圧Vckt、または低蓄電部充電電圧Vckeの2種類としたが、これは、劣化度合いに応じて多段階に設定するようにしてもよい。すなわち、劣化度合いが既定劣化度合いに至るほど、蓄電部充電電圧Vckを下げるように多段階設定してもよい。これにより、さらに蓄電部15の劣化度合いに即した蓄電部充電電圧Vckの設定ができるので、その分、蓄電部電圧Vcが高電圧状態にある期間を短くできる可能性が高まり、延いては蓄電部15の劣化を抑制することが可能となる。但し、このような動作を行うと、劣化度合いに応じて徐々にクランキング期間が長くなるので、運転者に対して蓄電部15の早期交換を促す効果が少なくなる可能性がある。この場合は、劣化度合いが既定劣化度合いに至るまでは蓄電部充電電圧Vckを低蓄電部充電電圧Vckeより高い電圧範囲で徐々に下げ、劣化度合いが既定劣化度合いに至れば、蓄電部充電電圧Vckをいきなり低蓄電部充電電圧Vckeに設定すればよい。このような動作によって、劣化度合いが既定劣化度合いに至れば、運転者には急にクランキング期間が長くなったと感じられるので、蓄電部15の早期交換を促すことが可能となる。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における電源装置のブロック回路図である。図6は、本発明の実施の形態4における電源装置の動作を示すフローチャートである。なお、図5に示す電源装置11において、実施の形態1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図5において、本実施の形態4における特徴となる構成は、蓄電部15と直列に、蓄電部電流検出回路37を接続した点である。また、本実施の形態4における特徴となる動作は、車両が減速時に発生する回生電力を蓄電部15に充電するように、制御回路23が充電回路17を制御するようにし、回生電力の充電中に劣化度合いを測定するようにした点である。
これにより、回生電力は蓄電部15に充電されるため、回生電力の有効活用を図ることができ、効率を向上することが可能となる。従って、実施の形態1で述べたように、走行状態が緩やかであれば、蓄電部電圧Vcが低くなるように蓄電部15を充電でき、その間の蓄電部15の劣化進行を抑制することが可能となる効果に加え、高効率な電源装置11が実現できる。
以下、より具体的に本実施の形態4の構成について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図5において、蓄電部15には、蓄電部電流検出回路37が直列接続される。蓄電部電流検出回路37は、蓄電部15に流れる蓄電部電流Icを検出して出力する機能を備える。具体的には、蓄電部電流検出回路37は電流検出素子であるシャント抵抗器と、その両端電圧を検出する回路(いずれも図示せず)とから構成される。従って、蓄電部電流検出回路37は、蓄電部電流Icが前記シャント抵抗器に流れた際の、蓄電部電流Icに比例した両端電圧を検出し、蓄電部電流Icとして出力する。蓄電部電流検出回路37は制御回路23と信号系配線で電気的に接続されているので、制御回路23は、蓄電部電流Icを読み込むことができる。
なお、蓄電部電流検出回路37の前記電流検出素子はシャント抵抗器に限定されるものではなく、ホール素子等の他の原理の前記電流検出素子であってもよい。
上記以外の構成は図1と同じである。
次に、本実施の形態4の動作について図6を用いて説明する。本実施の形態4では、実施の形態3と同様に、蓄電部15の劣化度合い(内部抵抗値Rと容量値C)を求めて、それに応じて蓄電部充電電圧Vckを決定する。従って、ここでは実施の形態3の動作と異なる点を中心に説明する。なお、車両使用開始時の動作など、図6に記載されない動作は、実施の形態1、3と同じである。また、図6に示す本実施の形態4の動作において、図4の動作と同じものには同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
まず、本実施の形態4において、蓄電部15には車両減速時に発生する回生電力が優先して充電される動作となる。従って、制御回路23の前記メインルーチンは、車速センサ33から得られた車速信号Sの変化から、車両が減速時であると判断した場合に、図6のサブルーチンを実行する。
なお、車両の減速時を判断する際に、車速信号Sだけでなく、例えばブレーキペダルの踏み込み状態を加味してもよい。この場合、ブレーキペダルが踏み込まれていなければ、車両が慣性走行して減速していても回生電力の蓄電部15への充電が行われず、満充電できない可能性がある。しかし、慣性走行距離が伸びることにより燃費の向上に繋がる。従って、車速信号Sとブレーキペダルの踏み込み状態の両方から、効率が最もよくなるように回生電力の蓄電部15への充電を判断する動作が、より望ましい。
図6のサブルーチンが実行されると、まず、S51からS61までの動作は図4と同じであるので、説明を省略する。S61の後、制御回路23は、発生している回生電力を蓄電部15に充電するように充電回路17を制御する(S91)。この際、発生する回生電力は一定ではないので、蓄電部15に充電される蓄電部電流Icも一定ではない。従って、制御回路23は、図4におけるS63の動作を行わず、発生する回生電力をできるだけ蓄電部15に充電するように充電回路17を制御する。
次に、S65、S67の動作は図4と同じである。その後、制御回路23は、蓄電部電流検出回路37から蓄電部電流Icを検出する(S93)。この動作は図4にはないが、これは、蓄電部電流Icが一定でないために行っている。
次に、制御回路23は、内部抵抗値Rを、
R=(Vc2−Vc1)/Ic (3)
により求める(S94)。なお、(3)式は、(1)式で定電流Iを蓄電部電流Icに置き換えたものである。
次に、制御回路23は、前記メモリによる変数として定義された電流積算値Isに0を代入することでクリアする(S95)。なお、電流積算値Isとは、所定期間tsの間の蓄電部電流Icの積算値を示すもので、変動する蓄電部電流Icで蓄電部15を充電した際に、容量値Cを求めるために必要となる。
次に、制御回路23は、S71、S73の動作を行う。そして、もし所定期間tsが経過していなければ(S73のNo)、制御回路23は、現時点の蓄電部電流Icを検出する(S97)。そして、蓄電部電流Icの値を電流積算値Isに加算、更新する(S99)。その後、S73に戻り、所定期間tsが経過するまで、S73、S97、およびS99の動作を繰り返す。
次に、所定期間tsが経過すれば(S73のYes)、S75、S77の動作の後、制御回路23は、(4)式により容量値Cを求める(S101)。
C=Is/(Vc3−Vc2) (4)
なお、(4)式は、(2)式における定電流Iと所定期間tsの積を、電流積算値Isに置き換えたものである。
その後のS81以降の動作は図4と同じである。但し、図6の動作では、蓄電部電圧Vcが蓄電部充電電圧Vckまで充電されるまで、S81とS83の動作を繰り返す。従って、蓄電部15を充電している間に、車両が停止したり、再加速したりして、回生電力の発生が終了した場合、S81とS83の時点ではアイドリングストップを行っていないので、燃料を消費してエンジンを駆動することにより発電機25で発電される電力が蓄電部15に充電される。しかし、この場合であっても、蓄電部15に充電される電力の一部は回生電力であるので、その分、車両全体の効率化を図ることができる。
このような図6の動作を図4の動作と比較すると、図6の動作は、車両が減速時に回生電力を発生した場合に実行されるが、図4の動作は、エンジンの動作中にメインルーチンにより繰り返し実行される。
従って、図4の動作であれば、エンジンの動作中に必ず実行されるので、回生電力の活用を十分には図れないが、蓄電部15をできるだけ早く満充電にしてアイドリングストップがいつ開始されてもよいように備える動作となる。ゆえに、アイドリングストップを行う確度が高くなる。
一方、図6の動作であれば、回生電力が蓄電部15へ一部でも充電されるので、その分の車両全体の効率が高くなるとともに、回生電力が発生するまで蓄電部電圧Vcが低いままとなるので、その間、蓄電部15の劣化を抑制することができる。しかし、回生電力だけで蓄電部15を満充電できず、その結果、アイドリングストップが可能な期間が短くなる可能性がある。
これらのことから、図4の動作も、図6の動作も、一長一短があるため、例えばアイドリングストップの頻度が高い近距離配達等の業務用車両では図4の動作を行い、アイドリングストップ頻度が低い長距離バスや長距離トラック等の車両では図6の動作を行うように、車両の用途に応じて適宜最適な動作を決定すればよい。また、一般の車両であれば、これまでの車両走行履歴に基いて、アイドリングストップ頻度が高い走行時には図4の動作を行い、高速道路などアイドリングストップ頻度が低い走行時には図6の動作を行うように切り替える構成としてもよい。
以上の構成、動作により、走行状態が緩やかであれば、蓄電部電圧Vcが低くなるように蓄電部15を充電でき、その間の蓄電部15の劣化進行を抑制することが可能になるとともに、高効率な電源装置11が得られる。
なお、本実施の形態4では、蓄電部15の充電中に回生電力の発生が終了した場合、燃料を消費してエンジンを駆動することにより発電機25で発電される電力を蓄電部15に充電して満充電としているが、このような動作に限定されるものではない。すなわち、回生電力の発生が終了すれば、制御回路23が蓄電部15への充電を停止し、その場合はアイドリングストップを行わないように制御してもよい。この場合、運転状況によってはアイドリングストップの頻度が下がる可能性があるが、蓄電部15へは回生電力のみが充電されるので、回生電力の有効活用を最大限に図ることができる。
また、本実施の形態4では、回生電力を蓄電部15に充電している間に、劣化度合いである内部抵抗値Rと容量値Cの測定を行っている。この場合、劣化度合いの測定中に回生電力の発生が終了すると、正確な劣化度合いが測定できない可能性がある。そこで、本実施の形態4では、劣化度合いを求めるための動作(図6のS57からS101)の内、最も時間がかかる所定期間tsの間の待機動作、すなわちS73、S97、S99の繰り返し動作に対し、予め必要十分な劣化度合いの精度が得られる最小の所定期間tsを実験的に求めておき、その値を前記メモリに保存している。具体的には、所定期間tsを実施の形態3と同様に0.1秒としている。前記繰り返し動作以外の動作は、極めて高速に実行されるので、上記の動作により、最小でも約0.1秒の回生電力発生期間があれば、劣化度合いを求めることができる。このような動作により、本実施の形態4においては、回生電力が発生して劣化度合いを測定している間に、回生電力の発生が終了する可能性を極めて低くしている。
但し、電源装置11の仕様によって、必要十分な劣化度合いの精度を得るための所定期間tsの値が大きくなる場合、制御回路23が回生電力の発生終了を検出すれば、劣化度合いの測定を中止し、前回の劣化度合いの値を用いるようにすればよい。
また、本実施の形態4における動作は、実施の形態3の動作を基に説明したが、これは、実施の形態1の動作に本実施の形態4の動作を組み合わせてもよい。これにより、車両の走行状態と蓄電部15の劣化度合いに基く蓄電部15の充電が可能となり、劣化を抑制できる効果に加え、回生電力の有効活用が図れる。
同様に、本実施の形態4で述べた動作、すなわち回生電力の発生時に求めた劣化度合いに基いて蓄電部充電電圧Vckを決定する動作を、実施の形態2の構成と組み合わせてもよい。これにより、上記した同様の効果が得られる。
また、実施の形態1、3、4の構成、動作を同時に備える構成としてもよい。この場合、劣化度合いは、実施の形態3では定電流充電時に、実施の形態4では回生電力発生時に、それぞれ求められている。従って、両者を組み合わせた場合、例えば、回生電力発生時の劣化度合い測定を優先し、もし所定期間tsの値が大きいために、劣化度合いの測定中に回生電力の発生が終了した場合は、制御回路23が直ちに定電流Iによる蓄電部15の充電を行い、その間に改めて、実施の形態3で述べた動作により劣化度合いを求めるようにすればよい。あるいは、車両が低速走行中などで、蓄電部15を満充電するだけの回生電力の発生が見込めない場合、制御回路23は回生電力が発生していなくても蓄電部15の充電を定電流Iで行い、劣化度合いを求めるようにすればよい。これにより、上記したような、回生時に劣化度合いが求められない事態を回避することができ、制御回路23の制御も容易になる。
同様に、実施の形態2、3、4の構成、動作を同時に備える構成としてもよい。この場合の劣化度合いの求め方、および得られる効果は、上記した実施の形態1、3、4の構成、動作を同時に備える構成の場合と同じである。
また、実施の形態1〜4では、車速が0である、すなわち車両が停止している状態であることがアイドリングストップを行う条件の1つとしているが、これは車両の走行中にもアイドリングストップを行うようにしてもよい。この場合、車両が慣性走行中、または減速中であることが、アイドリングストップを行う条件の1つとして加わる。
また、実施の形態1〜4では、蓄電部15として電気二重層キャパシタを用いたが、これに限定されるものではなく、電気化学キャパシタ等の他の大容量キャパシタや二次電池を用いてもよい。なお、二次電池を用いる場合、劣化度合いは、蓄電部電圧Vcの変化をパラメータの1つとして一般的に求められる二次電池の充電状態(SOC)や劣化状態(SOH)等とすればよい。