JP5885414B2 - 光周波数変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光と、ミリ波帯からテラヘルツ波帯(30GHz〜30THz)の周波数領域の電磁波成分を含むテラヘルツ波とを周波数変換する為の光周波数変換素子、及びそれを用いた装置に関する。特には、非線形光学結晶へのレーザ光照射により前記周波数帯のフーリエ成分を含む電磁波の発生、または検出を行う素子、及びそれを用いたテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)によるトモグラフィ装置などに関する。
テラヘルツ波の周波数領域には、生体材料・医薬品・電子材料などの多くの有機分子について、構造や状態に由来した吸収ピークが存在する。また、テラヘルツ波は、紙・セラミック・樹脂・布と言った材料に対して高い透過性を有する。近年、この様なテラヘルツ波の特徴を活かしたイメージング技術やセンシング技術の研究開発が行われている。例えば、X線装置に代わる安全な透視検査装置や、製造工程におけるインラインの非破壊検査装置などへの応用が期待されている。テラヘルツ波の発生方法としては、非線形光学結晶を用いる方法が広く知られている。非線形光学結晶の代表的なものとしては、LiNbOx(以後、LNとも言う)、LiTaOx、NbTaOx、KTP、DAST、ZnTe、GaSe、GaP、CdTeなどがある。テラヘルツ波の発生には2次の非線形現象を用いており、周波数差を持つ2つのレーザ光の入射による差周波発生(Difference-Frequency Generation: DFG)が知られている。また、光パラメトリック過程による単色テラヘルツ波発生、フェムト秒パルスレーザ光を用いた光整流によるテラヘルツパルス発生が知られている。
この様な非線形光学結晶からテラヘルツ波を発生する過程として、電気光学的チェレンコフ放射が最近注目されている。これは、図8に示す様に、励起源であるレーザ光2の伝播群速度が、発生するテラヘルツ波の伝播位相速度よりも速い場合に、衝撃波の様にテラヘルツ波1が円錐状に放出される現象である。光とテラヘルツ波の媒質(非線形光学結晶)中の屈折率の比により、テラヘルツ波の放射角θcは次式で決まる。
cosθc=vTHz/vg=ng/nTHz
ここで、vg、ngは夫々励起光の群速度、群屈折率、vTHz、nTHzは夫々テラヘルツ波の位相速度、屈折率を表す。これまでに、このチェレンコフ放射現象を用いて、波面を傾斜させたフェムト秒レーザ光をLNに入射させ光整流により高強度のテラヘルツパルスを発生させるという報告がある(非特許文献1参照)。また、波面傾斜の必要をなくす為に、発生するテラヘルツ波の波長よりも十分小さい厚さを持つスラブ導波路を用いて、DFG方式により単色テラヘルツ波を発生させるという報告がある(特許文献1、非特許文献2参照)。
この様な特許文献及び非特許文献の例は、進行波励起によるテラヘルツ波発生である為、異なる波源から発生したテラヘルツ波が放射方向で位相整合して強め合うことで取り出し効率を向上させるという提案に係る。この放射方式の特徴としては、非線形光学結晶を用いたものでは比較的高効率にできて高強度のテラヘルツ波を発生できる事、結晶特有のフォノン共鳴によるテラヘルツ領域の吸収を高周波側に選ぶことでテラヘルツ波の帯域を広くできる事などが挙げられる。これらの技術は、光伝導素子によるテラヘルツ発生に比べて発生帯域を広くでき、光整流を用いるテラヘルツパルス発生の場合にはパルス幅を狭くでき、例えばテラヘルツ時間領域分光装置に利用する場合に装置性能を向上できることが期待されている。
特開2010−204488号公報
J.Opt.Soc.Am.B,vol.25,pp.B6−B19,2008. Opt.Express,vol.17,pp.6676−6681,2009.
しかしながら、非特許文献1に記載の手法では、円錐状にチェレンコフ放射されたテラヘルツ波を、効率良く集光して取り回すことが容易とは言い難い。例えば、非特許文献2に開示された基板上に形成したスラブ導波路を用いた場合、全方位に放射されるテラヘルツ波のうち、基板の上方向の成分しか実質的に利用できない為、変換効率の向上には限界がある。また、数μm程度の薄い非線形光学結晶薄膜からなるスラブ導波路へ励起光を高効率で結合させることは容易ではなく、励起光による非線形分極は入射電界の自乗に比例するので、効率面で改善の余地があると言える。
上記課題に鑑み、本発明の一側面としての光周波数変換素子は、導波路と結合部を備える。前記導波路は、光の波長域における屈折率がn1,光の非線形光学結晶で構成されたコアと、光の波長域における屈折率n2,光がn1,光より小さい材料で構成され前記コアを被覆して配置されたクラッドとを含む。前記結合部は、テラヘルツ波の波長域における屈折率n3, THzがn1,光より大きい材料で構成され、前記クラッドと接して配置され、前記導波路を伝播する前記光の非線形光学効果により放射される前記テラヘルツ波を空間に取り出す。そして、前記結合部は前記クラッドを被覆している。被覆については、後述の定義を参照されたい。
また、上記課題に鑑み、本発明の光周波数変換素子は、導波路と結合部を備える。前記導波路は、光の波長域における屈折率がn1,光の非線形光学結晶で構成されたコアと、光の波長域における屈折率n2,光がn1,光より小さい材料で構成され前記コアと接して配置されたクラッドとを含む。前記結合部は、テラヘルツ波の波長域における屈折率n3, THzがn1,光より大きい材料で構成され、前記クラッドと接して配置され、前記導波路を伝播する前記光の非線形光学効果により放射される前記テラヘルツ波を空間に取り出す。そして、前記クラッドの厚さが、前記クラッドと前記結合部との界面における光の強度が前記コアを伝播する光の強度1/e(eは自然対数の底)以下となる厚さ以上で、前記クラッドにおけるテラヘルツ波の等価波長の1/10となる厚さ以下の範囲に設定される。
また、上記課題に鑑み、本発明のテラヘルツ時間領域分光装置は、テラヘルツ波を発生する為の発生手段と、前記発生手段から放射されたテラヘルツ波を検出する為の検出手段と、遅延部とを備える。前記遅延部は、前記発生手段におけるテラヘルツ波発生時と前記検出手段におけるテラヘルツ波検出時との間の遅延時間を調整する。そして、前記発生手段、及び、検出手段の少なくとも一方に、上記光周波数変換素子を含む。
本発明の一側面によれば、非線形光学結晶のコアと接して低屈折率のクラッドを設けたファイバ状等の導波路を伝播する光の非線形光学効果で全方位に円錐状に放射されるテラヘルツ波を、クラッドと接した結合部により効率良く空間に取り出すことを可能とする。
本発明による光周波数変換素子に係る実施形態1の構造図。 実施形態1の変形例の構造図。 実施形態1の他の変形例の構造図。 本発明による分光装置に係る実施形態2を説明する図。 導波路への励起光の入射方法の例を説明する構造図。 本発明による光周波数変換素子に係る実施形態3を説明する構造図。 本発明による光周波数変換素子に係る実施形態4を説明する構造図。 電気光学的チェレンコフ放射の概念図。 実施形態1の他の変形例の構造図。 本発明による光周波数変換素子に係る実施形態5の構造図。
本発明の光周波数変換素子は、テラヘルツ波を効率良く取り出せる様に、非線形光学結晶のコアを被覆して設けられたクラッドを含む導波路から光の非線形光学効果で放射されるテラヘルツ波を空間に取り出す結合部がクラッドを被覆していることを特徴とする。或いは、非線形光学結晶のコアと接して配置されたクラッドを含む導波路から光の非線形光学効果により放射されるテラヘルツ波を空間に取り出す結合部を備え、クラッドの厚さが、テラヘルツ波を効率良く放射する様な範囲に設定されることを特徴とする。こうした考え方に基づき、本発明の光周波数変換素子は、上述した課題を解決するための手段のところで述べた様な基本的な構成を有する。また、同じ構成で逆過程によりテラヘルツ波を検出することができる。
以下、図を用いて実施形態及び実施例を説明する。
(実施形態1)光周波数変換素子
本発明の実施形態1である光周波数変換素子100について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、実施形態1の構造図であり、(a)は素子の概観斜視図、(b)は素子のA−A’断面図、(c)は素子のB−B’断面図である。本実施形態の光周波数変換素子100は、コア101とコア表面を被覆して形成されたクラッド102とからなる導波路103と、クラッド102を被覆した結合部104とから構成される。本実施形態では、導波路103は、断面が円形のファイバ構造であり、本構造に入射した励起光は導波路103内に閉じ込められ、x軸に沿って伝播する。
コア101は非線形光学結晶から構成される。本実施形態では、図1(b)に図示した通り、z軸が非線形光学定数d33の結晶軸と一致するMgをドーピングしたニオブ酸リチウム(LN)単結晶を用いた。即ち、2次非線形過程に関与する光波(テラヘルツ波と励起光)の波数ベクトルの間に位相整合条件が成り立つ様に、結晶軸が設定されている。この場合、導波路103に、z軸に平行な偏波が励起光として入射すると、非線形光学定数d33により2次の非線形効果が生じる。従って、周波数差がテラヘルツ波の周波数程度となる2つのレーザ光が励起光であれば差周波発生が生じ、励起光がフェムト秒パルスレーザ光であれば光整流が生じて、テラヘルツ波が放射される。コア径aは、電気光学的チェレンコフ放射の位相整合条件を満たす為に、空間に放射するテラヘルツ波のうち最も周波数の高いテラヘルツ波成分の導波路103における等価波長の1/2以下に設定されている。この時、コア101の径に相当する位相ずれが、発生したテラヘルツ波の等位相面において反転して打ち消し合いが生じない程度の厚さ以下であると言うことが出来る。コア径aは、より好ましくは、この等価波長の1/10程度以下に設定されることが望ましい。この様に、本実施形態は、非線形光学効果により電気光学的チェレンコフ放射がもたらされる様に構成されている。
クラッド102は、励起光の波長領域でコアより低屈折率の材料、即ちn1,光>n2, 光を満たす材料、で少なくとも構成される。ここで、n1,光は励起光の波長領域におけるコア101の屈折率、n2, 光は励起光の波長領域におけるクラッド102の屈折率である。例えば、コア101がMgをドーピングしたLNである場合には、クラッド102は、LN単結晶や、Mgイオン拡散処理又はプロトン交換処理をしたLN、ポリエチレンテレフタラート(PET)やエポキシなどの樹脂材料が好適である。クラッド102は、コア101を被覆している。ここで、被覆するとは、素子100の或る断面を見た時に、クラッド102がコア101の外周を略覆っている状態を指す。この低屈折率のクラッド102により、コア101内に励起光が閉じ込められる。また、コア101内の非線形光学効果で、位相整合条件を満たし円錐状に放射されるテラヘルツ波を、ほぼ余すことなく導波路103の外部、即ちクラッド102を被覆する結合部104、に取り出すことができる。クラッド102の厚さd(導波路103の径rを用いるとd=(r−a)/2と表せる)は、クラッド102と結合部104との界面における、放射されたテラヘルツ波の多重反射や損失の影響が無視できる程度の厚さ以下に設定されることが望ましい。この為、厚さdは、クラッド102内におけるテラヘルツ波の等価波長の1/2以下の薄さであることが望ましい。より好ましくは、厚さdは、空間に放射する最も高い周波数のテラヘルツ波成分のクラッド102における等価波長の1/10程度以下の厚さであるとよい。これは、波長の1/10程度以下のサイズの構造体は、一般的にその波長の電磁波に対して反射、散乱、屈折などの影響が無視できると看做されるからである。
また、厚さdは、励起光が導波路103内を低損失で伝播可能な程度の厚さであることが望ましい。即ち、クラッド102と結合部104との界面における励起光強度が、コア101内の励起光強度の1/e(eは自然対数の底)程度以下となる厚さ以上であることが望ましい。これにより、導波路103内における励起光の低損失伝送が実現される。なお、前記望ましい厚さの範囲外であっても、本発明の光周波数変換素子でテラヘルツ波を発生することは可能であることは言うまでもない。
結合部104は、導波路103を伝播する励起光の非線形光学効果で放射されるテラヘルツ波を空間に取り出す為の部材であり、プリズム、回折格子、ホトニック結晶等が用いられる。本実施形態では、その一例として、結合部104としてプリズムを回転した構造体(円錐プリズム)を用いている。プリズムは、広帯域にわたるテラヘルツ波を取り出せるので、結合部104として好ましい形態である。結合部104には、屈折率がn1,光<n3, THzを満たし、テラヘルツ波で損失が少ない材料が好適に用いられる。ここでn3, THzは結合部104のテラヘルツ波の波長領域における屈折率である。このとき、結合部104とクラッド102との界面における多重反射やロスが抑制され、導波路103でチェレンコフ放射されたテラヘルツ波を外部に取り出すことができる。本実施形態の結合部104は、クラッド102と接して配置されており、クラッド102を被覆する構造を備えている。ここで、被覆するとは、素子100の或る断面を見た時に、結合部104がクラッド102の外周を略覆っている状態を指す。これにより、コア101において角θcの円錐状でもって放射されたテラヘルツ波は、クラッド102外周を被覆する構造である結合部104に角θ3(図1(b)参照)の円錐状で全方位に向かって伝播される。なお、結合部104は、クラッド102の全周を必ずしも完全に被覆する必要は無い。例えば、テラヘルツ波を放射したい方向にのみ結合部104を配置する様な構成であってもよい。
本実施形態では、結合部104は、結合部104と空間との界面において円錐面を有した構造を少なくとも備えている。この時、結合部104内を円錐状に伝播するテラヘルツ波は、空間との界面における全反射ロスが抑制されて、空間に取り出される。なお、結合部104は、導波路103から全方位に放射されるテラヘルツ波を取り出せる構造であればよく、円錐面以外に回転放物面や球面などの回転面を有していてもよい。この場合、回転面の軸は、励起光の伝播方向と一致することが望ましい。
また、図1(b)において、結合部104がθ=90−θ3となる直角三角形の断面形状を有する構造であれば、或る方向(例えば図1(b)の矢印の方向)で、位相面が揃ったテラヘルツ波を低損失で空間に取り出すことができる。更に、後述する実施形態2で詳しく説明するが、図4(b)に示す様な円錐面を有する集光部106を用いれば、空間中にほぼ全方位に放射されたテラヘルツ波の位相と方向を揃えたビームを取り出すことが可能となる。なお、集光部106は、結合部104から放射されるテラヘルツ波の集光と取り回しができればよく、円錐面以外に回転放物面や球面などの回転面を有していてもよい。この場合も、回転面の軸は、励起光の伝播方向と一致することが望ましい。
上記の様な構成のとき、ファイバ構造の導波路103に入射した励起光は低損失で伝播し、コア101における非線形光学効果の位相整合条件が満たされることで、放射角θcの円錐状にテラヘルツ波がチェレンコフ放射される。コア101から全方位に放射されたテラヘルツ波は、コア101を被覆した薄い低屈折率のクラッド102と、クラッド102を被覆した結合部104により、導波路103の外部、即ち結合部104に取り出される。結合部104に取り出されたテラヘルツ波は、結合部104の備えた円錐面と集光部106などにより、方向と位相の揃ったビームとして空間に取り出すことができる。従って、本実施形態の光周波数変換素子では、円錐状にチェレンコフ放射されたテラヘルツ波の集光や取り回しについての従来の懸案が解決される。特に本実施形態では、テラヘルツ波をほぼ全方位に亘って余すことなく取り出すことが可能なので、従来に比べて変換効率の更なる向上が見込まれる。例えば、背景技術のスラブ導波路とシリコンプリズムを用いた構成では、図1(b)、(c)のy方向には、全反射の為、2×臨界角=2×Sin−1(1/n3, THz)=35°以上の放射成分は空間に取り出すことができない。一方、本実施形態の様にクラッド102を結合部104で被覆した構成であれば、テラヘルツ波をほぼ全方位から取り出すことができるので、一桁程度の出力向上が見込まれる。
更に、本実施形態の様にファイバ構造の導波路103を用いれば、励起光と導波路103の結合や伝送に、通信波長帯で広く用いられる光ファイバの高効率な結合技術や伝送技術を応用できる。非線形分極が励起光の電界強度の自乗に比例することを考慮すれは、本実施形態により、励起光強度の向上による変換効率の改善も期待される。
本実施形態の変形例を説明する。図2は実施形態1の変形例の構造図であり、(a)は素子400の概観斜視図、(b)は素子400のE−E’断面図である。この光周波数変換素子400の様に、これまで説明してきた素子100を多段に接続した構成にすることもできる。図2の例では、導波路のコア401を覆うクラッド402に、404a、404b、404c、404dの4つの結合部が接続されている。この場合は、特に、励起光として2つの異なる発振周波数ν1、ν2を持つレーザ光を入射させ、差周波に相当する単色のテラヘルツ波を出射する方式に有効である。レーザ光源としては、Nd:YAGレーザ励起のKTP-OPO(Optical-Parametric-Oscillator)光源や、2台の波長可変レーザダイオードを用いることができる。この様に、結合部404と接する導波路長を例えば4mmと延長する形態は、全体の容積は小さいままで、放射されるテラヘルツ波の出力を増やしつつ、テラヘルツ波が結合部404を透過する距離を減らして損失を低減できるので、効率が良い。
また、本実施形態の他の変形例として、図3に示した光周波数変換素子600の様な構成も考えられる。図3(a)は、図1(b)と同様な断面での断面図、図3(b)は素子600のG−G’断面図である。素子600は、コア601をクラッド602a、602bでサンドイッチした平行平板型の導波路603を含み、2つの結合部604a、604bで導波路603をサンドイッチした構成となっている。ここで、コア601、クラッド602a、602b、結合部604a、604bは、上述した屈折率や厚さなどの条件を満たした材料や構造となっている。この様な構成は、全方位に放射されるテラヘルツ波のうち、上下方向(図3(a)のz方向)に放射されるテラヘルツ波を選択的に空間に取り出す場合に有効である。
以上の説明において、コアを構成する非線形光学媒質として、非線形光学結晶であるLN結晶を用いた例を説明してきた。しかし、その他の例として、背景技術のところで述べたLiTaOx、NbTaOx、ZnTe、GaSe、GaP、CdTeなどを用いることもできる。また、KTP、DAST、MNA(2−メチルー4−ニトロアニリン)や、mNA(メタニトロアニリン)、POM(3−メチルー4−ニトロピリジン−1−オキサイド)などの有機非線形光学材料を用いてもよい。LNではテラヘルツ波と励起光に対して背景技術で説明した屈折率差がありノンコリニアで発生するテラヘルツ波が取り出せるが、他の結晶では必ずしも差が大きくないので、取り出しが難しい場合もあり得る。しかし、非線形光学結晶よりも大きい屈折率を持つプリズム(たとえばSi)を用いれば、チェレンコフ放射の条件(vTHz<vg)を満たし、テラヘルツ波を外部に取り出すことができる。また、本発明は、コアが一般的な非線形光学結晶である場合以外に、コアが二次の非線形光学効果が生じる構造のような非線形光学媒質である場合においても適用出来る。
また、クラッド102の材料としては、屈折率がn1,光>n2, 光を満たし、テラヘルツ帯における吸収係数が小さい材料であれば何でもよく、SiOやTiOなどの無機膜や、BCBやエポキシ樹脂、ポリエチレンなどの有機樹脂材料などを用いてもよい。コアの非線形光学結晶の屈折率に応じて、適宜選択すればよい。結合部104は、屈折率がn1,光<n3, THzを満たし、テラヘルツ波で損失が少ない材料が好ましい。例えば、Si、Ge、ダイヤモンド、GaAs、InP、InGaAs、GaP、GaN、ZnTe、ZnSe、GaSeなどの屈折率が比較的高い材料が好適に用いられる。また、前述の条件から、結合部104とクラッド102の材料は、屈折率がn2, 光<n3, THzを満たすような材料を選択することが好ましい。このため、n2, THzをクラッド102のテラヘルツ波の波長領域における屈折率とすると、n2, THz<n3, THzを満たすような材料を選択すれば、上述の条件を満たしやすいと言える。また、図9に示したように、結合部804を、円筒状のファイバ構造の先端部をテーパー状に形成した構造にすることで、比較的容易に本発明の構成を作製することが出来る。図9において、800は光周波数変換素子、801はコア、802はコア表面を被覆して形成されたクラッド、803は導波路である。なお、図1に示す本実施形態は、コア101を軸とした回転体である結合部104がクラッド102の全表面を被覆した構成によりほぼ全方位にテラヘルツ波を放射する例であった。しかし、勿論、クラッド102の任意の位置のみを結合部104で被覆し、残りの領域は他の材料でマスクすることで、任意の方向にのみテラヘルツ波を取り出せる様な構成にしてもよい(不図示)。
(実施例1)
上記実施形態1に対応するより具体的な実施例1を説明する。本実施例では、図1に示した素子構造において、コア101は、径aが4μmで、z軸がd33の結晶軸と一致する5mol%Mgドープニオブ酸リチウム単結晶である。励起光(1.55μm)の波長帯におけるその屈折率n1,光は約2.2である。クラッド102は、厚さdが3μmのPET層(ポリエチレンテレフタラート)であり、光の波長帯における屈折率n2,光は約1.2である。導波路103は、径rが10μmの円形状断面のファイバ構造となっている。この様な構成の導波路103においては、励起光はほぼHE11のシングルモードで伝播する。厚さdは次の様になっている。即ち、素子100が7THzまで対応すると、自由空間での波長はおよそ43μmになる。そして、等価波長をクラッド102の屈折率1.3で除した値と仮定すると、上記実施形態1で説明した通りλ/10(=43/1.3/10)の厚さ以下になる様な3μmとしている。また、本実施例では、PET層102は、導波路103と結合部104である高抵抗シリコンとの接着層としても作用している。
結合部104は、図1(b)のθが約41度の直角三角形のプリズムを1回転した円錐状の構造をしており、中心部はくり抜かれて導波路103が配置されている。結合部104の径xは約500μmで、約1mmの長さに亘り、接着層でもあるクラッド102を介して導波路103と接している。ここで、コア102にLNを用いた場合、光とテラヘルツ波の屈折率差から、導波路103でチェレンコフ放射されたテラヘルツ波を空間に取り出す際のチェレンコフ放射角は約65度となる。従って、結合部104が上記の如きプリズムの場合、導波路103で放射されたテラヘルツ波を全反射せずに空気中に取り出せる材料としては、テラヘルツ波で損失の少ない高抵抗シリコンが好適である。この場合、クラッド102と結合部104とが接する界面と結合部104に入射するテラヘルツ波とのなす角θ3は約49度となる。ここで、高抵抗シリコンのテラヘルツ波の波長域における屈折率n3,THzは約3.4であり、上記実施形態1で説明した屈折率の関係n1,光<n3, THzを満たしている。
また、シリコンは、半導体材料として、エッチング、成膜、接合、研磨・研削など精度の高い材料加工技術とノウハウが多く蓄積されている為、本発明の構成を実現する作製面でも大変有用な材料である。本実施例では、ほぼθ=θとなる為、テラヘルツ波は結合部104の傾斜面からほぼ垂直に出射される。ただし、θについては必ずしもほぼθ=θを満たす必要は無く、また、空間に放射されるテラヘルツ波の出射方向も垂直である必要は無い。また、後述の実施形態2で説明する集光部106を備えれば、取り出したテラヘルツ波の方向と位相を揃えることができる。ここで、集光部106は、例えば、表面をAgで被覆したアルミで構成され、円錐面を有する構造であり、空間に取り出されたテラヘルツ波は、方向と位相面が図4(c)の様に揃えられて放物面鏡などに集光される。
(実施形態2)分光装置
本発明の光周波数変換素子をテラヘルツ波の発生に用いれば、位相と方向の揃った高出力のテラヘルツ波を利用した分光装置やトモグラフィ装置等を提供することが可能となる。以下、一例を説明する。図4(a)は、本発明の光周波数変換素子をテラヘルツ波発生素子として用いて構成したテラヘルツ時間領域分光システム(THz-TDS)によるトモグラフィックイメージング装置の例を示す。図4(b)は集光部106を配置した発生素子200の概観図であり、図4(c)はCーC’断面図である。
励起光源として光ファイバを含むフェムト秒レーザ20を用い、分岐器21を介してファイバ22及びファイバ23から出力を取り出す。典型的には、中心波長1.55μmで、パルス幅20fs、繰り返し周波数50MHzのものを用いたが、波長は1.06μm帯などでもよく、パルス幅、繰り返し周波数もこれらの値に限らない。出力段のファイバ22、23は、最終段の高次ソリトン圧縮の為の高非線形ファイバや、テラヘルツ発生器及び検出器までに至る光学素子等による分散を補償する為のプリチャープを行う分散ファイバを含んでいてもよい。これらは偏波保持ファイバであることが望ましい。テラヘルツ波発生側のファイバ22からの出力は、図4(c)に示す様に、前述した本発明の光周波数変換素子100を用いたテラヘルツ波発生素子200の導波路103にレンズ107を用いて結合させる。光の結合には、光ファイバの先端にセルフォックレンズを集積化させたり、先端を加工したピッグテール型としたりして、出力が素子200の導波路103の開口数(NA)以下になる様に構成して結合効率を上げることが望ましい。勿論、これらの場合に、それぞれの端部に無反射コーティングを施せば、フレネルロスの低減、不要な干渉ノイズの低減につながる。若しくは、ファイバ22と素子200の導波路103のNA及びモードフィールド径が近くなる様に設計すれば、突き当てによる直接結合(バットカップリング)として接着してもよい。この場合は、接着剤を適切に選ぶことで、反射による悪影響を低減することができる。なお、図4(c)に示す様に、導波路103から出射される励起光はダンパーなどによって吸収されテラヘルツ波に混じらない様にされている。
ここで、光周波数変換素子はファイバ構造の導波路を備える為、比較的整合性良く光ファイバに実装することが可能である。例えば、図5(a)の様に、コア111とクラッド112からなる光ファイバ110のコアの一部をくり貫いた凹部に、発生素子100の導波路103を凸部として嵌合させてもよい。この場合、コア111の先端を研磨により凸形状とし、屈折率整合剤113を注入することで、反射ロスが低減される。特に、光ファイバとしてコア径が数μm程度の単一モードファイバを用いた場合に有効である。また、図5(b)の様に、コア121とクラッド122の先端がテーパー状の構造となった光ファイバ120の先端に発生素子100を嵌合する様にして接続してもよい。この場合、コア径の違いによるインピーダンス不整合が緩和され易い。また、図5(c)の様に、クラッド132で覆われたコア131の先端が凹状となった光ファイバ130に、屈折率整合剤133とともに、発生素子100を嵌合する様な構成であってもよい。なお、前段のファイバ22やファイバレーザ20で、偏波保持でないファイバ部分が含まれる場合、インライン型の偏波コントローラにより素子100への入射光の偏波を安定化させることが望ましい。ただし、励起光源はファイバレーザに限るものではなく、その場合には、偏波の安定化などの為の対策は軽減される。
本発明の素子200から発生するテラヘルツ波は、ニアフィールド(集光部106直後)ではドーナツ状のビーム形状であるが、素子200はmmオーダでありビームが十分に広がるファーフィールド(例えば放物面鏡26a)では影響はほぼ無くなると考えてよい。
発生したテラヘルツ波は、図4(a)に示した周知のTHz-TDS法による構成によって検出される。即ち、放物面鏡26aによって平行ビームにされてビームスプリッタ25で分岐され、一方は、放物面鏡26bを介してサンプル30に照射される。サンプル30から反射されたテラヘルツ波は放物面鏡26cで集光され、光伝導素子による検出器29に到達し受信される。光伝導素子は、典型的には低温成長GaAsにダイポールアンテナを形成したものを用い、光源20が1.55μmであれば、不図示のSHG結晶を用いて倍波を生成して検出器29のプローブ光とする。このとき、パルス形状を維持する為に、0.1mm程度の厚さのPPLN(周期的極性反転リチウムナイオベイト)を用いることが望ましい。光源20が1μm帯の場合には、InGaAs単層或いはMQWで構成した光伝導素子の検出器29において、倍波を生成することなく基本波をプローブ光に利用することが可能である。
本実施形態では、検出器29から増幅器34を介して検出信号を取得する信号取得部32を用いて同期検波できる様に組まれている。データ処理・出力部33では、PCなどを用いて、遅延部である光学遅延器27を移動させながらテラヘルツ信号波形を取得する様になっている。遅延部は、発生手段である発生素子200におけるテラヘルツ波発生時と検出手段である検出器29におけるテラヘルツ波検出時との間の遅延時間を調整できれば、どの様なものでもよい。
本装置は、検出器が、発生素子から放射されサンプルで反射されて来たテラヘルツ波を検出し、サンプルからの反射光を分析することでサンプルの内部構造をイメージングするトモグラフィ装置として構成されている。本装置を用いて、サンプル30の内部に材料の不連続部があれば、取得する信号において、不連続部に相当する時間位置に反射エコーパルスが現れる。サンプル30を1次元でスキャンすれば断層像が得られ、2次元スキャンすれば3次元像を得られる。本装置によれば、比較的高出力のテラヘルツパルスを得ることができるので、奥行き分解能を向上させられる。更に、ファイバを用いた励起レーザを用いるので、装置の小型、低コスト化が可能となる。
本実施形態では、励起光として2つの異なる発振周波数ν1、ν2を持つレーザ光を入射させ、差周波に相当する単色のテラヘルツ波を出射する方式を用いてもよい。この場合、入射する光の周波数差を0.5THzから7THzとしたとき、その範囲で放射テラヘルツ波の周波数を可変にできる。こうした形態では、特定のテラヘルツ帯の周波数で検査やイメージングを行う応用、例えば、医薬品の特定物質の吸収スペクトルに周波数を合わせてその物質の含有量を調べるなどの検査が可能となる。
(実施形態3)光周波数変換素子
図6は、本発明による光周波数変換素子に係る実施形態3を説明する構造図であり、(a)は素子300の外観図、(b)はD−D’断面図である。本実施形態は、図6に示した様に、円柱状の結合部306の表面をクラッド301、コア302、クラッド303の順で被覆した円環状などの環状の断面を有する導波路305の表面に、別の結合部304を被覆する様に配置した構成を有する。本実施形態では、励起光を円環状にしてコア302に入射させたり、複数の励起光をコア302の異なる箇所に入射させたりすればよい。この場合、コア302を伝播する励起光の非線形効果で位相整合条件を満たせば、内側の結合部306側にもテラヘルツ波が放射される。中心部からもテラヘルツ波が放射されるので、ニアフィールドにおけるビーム中心部の黒点の影響は低減される。ここで、結合部306を含む導波路305の先端部(図6の右側端部)に、セルフォックレンズ、ARコート層、円錐面を含むプリズム構造などを配置すれば結合部306からもテラヘルツ波を空間に取り出せる。
(実施形態4)ファイバプローブ
本発明による実施形態4として、テラヘルツ波ファイバに接合する部材であるカプラ500として光周波数変換素子100を用いたファイバプローブについて図7を用いて説明する。図7(a)は素子の断面図、(b)は素子のF−F'断面図、(c)は本実施形態のファイバプロ−ブを説明する図である。光周波数変換素子100は、図1などで説明した形態のものを用いている。また、光ファイバ110と素子100との接続は、図5(a)の接続方法を用いている。従って、コア111とクラッド112からなる光ファイバ110のコアの一部をくり貫いた凹部に、素子100を凸部として嵌合させている。また、コア111の先端を凸形状とし、屈折率整合剤113を注入することで、反射ロスを低減している。
中空ファイバ506は、Agからなる金属層508、TPXからなる誘電体層507、直径1mmの空洞の中空コア509から構成される。中空ファイバ506は、肉厚43μmの誘電体層507からなる直径1mmの樹脂チューブの内表面をAgめっきで被覆したものであり、中空ファイバの左側先端部が、素子100からのテラヘルツ波を集光する集光部となっている。誘電体層507としては、樹脂の代わりにガラスなどを用いてもよい。
この様な構成をとることで、光ファイバ110からの光を、カプラ500である本発明の光周波数変換素子100を介してテラヘルツ波に変換し、テラヘルツ波ファイバに導波することが可能となる。図(c)は、カプラ500を用いたファイバプローブの一例を示す。光ファイバからの励起光をカプラ500でテラヘルツ波に変換し、テラヘルツ波ファイバで導波して試料530に照射する。そして、テラヘルツ波と試料530との相互作用などを反射波などを使ってセンシングする。本装置は、ファイバ形態である為、生体内や微小な構造体などの狭い場所や隙間などに対するテラヘルツ波を用いた検査や分光に適しており、例えば、内視鏡システムなどへ応用することが可能である。また、中空ファイバ506にガス、液体を詰めたガスセンサや液体センサなどとして用いることもできる。
(実施形態5)
本実施形態は、実施形態1とほぼ同構造の素子をテラヘルツ波の検出素子として機能させたものである。素子700は、図10に示すように、非線形光学結晶からなるコア701とコア701の表面を被覆したクラッド702とからなる導波路703と、クラッド702を被覆した結合部704とから構成される。ここで、本実施形態では、超短パルスレーザ光はこれまでの実施形態とは反対側の面から、結晶のz軸からy軸方向に傾けた偏波(例えば45度)を入射させる。本構造に入射したレーザ光は、導波路703内をx軸方向に伝搬し、反対の面から出射される。出射されたレーザ光709は、非線形光学結晶の複屈折性によって電界のz軸成分とy軸成分に位相差が生じて、出射された空間では楕円偏波となって伝播する。このような自然複屈折による位相差は結晶の種類や入射偏波方向、導波路長さによって異なり、位相差ゼロの構成にすることもできる。
ここで、本実施形態では、結合部704からテラヘルツ波が入射される構造となっている。Siの円錐プリズムからなる結合部704から、例えば偏波の主軸がz軸のテラヘルツパルスを入射すると、テラヘルツ波発生の逆過程が生じるので、導波路を伝播するレーザ光とテラヘルツ波の相互作用を導波路全体に渡って行わせることが可能となる。相互作用としては、例えば、テラヘルツ電磁界が非線形光学結晶に与える二次の非線形過程の一種であるポッケルス効果により、導波路703のz軸の屈折率が変化して伝播光の偏波状態が変化する。より具体的には、レーザ光の電界のz軸成分とy軸成分の位相差が誘導複屈折により変化し、楕円偏波の楕円率や主軸の方向が変化する。このレーザ光の伝播状態の変化を外部の偏光素子710および光検出器711、712で検出することで、テラヘルツ波の電界振幅の大きさを検出可能となる。例えば、本実施形態では、偏光素子710としてウォラストンプリズムを用いて2つの偏光を分離し、2つの光検出器711、712の差動増幅によりS/N比を向上させている。ただし、差動増幅は必須のものではなく、710を偏光板として1つの光検出器のみで強度を検出してもよい(不図示)。また、前記自然複屈折の補償のために位相補償板(λ/4板など、不図示)を出射端と偏光素子710との間に追加してもよい。
本素子を用いて、これまでの実施形態で説明したようなテラヘルツ時間領域分光装置、およびトモグラフィ装置を構築することができる。その際の発生素子は、本発明のようなチェレンコフ型の位相整合方式を使用した素子でもよいし、従来の光伝導素子等を用いた発生素子など、何でもよい。本実施形態では、光入射を、発生とは逆側の端部より行ったが、発生と同じ側から入射してもよい。その場合は整合する長さが小さくなるため信号強度が小さくなる。また、パルスレーザ光でテラヘルツパルスを検出する事例について説明したが、実施形態1で説明したように、2つの周波数のレーザ光を入射させてその差周波成分の単色のテラヘルツ波を検出することもできる。その場合は、差周波を変化させれば、所望の周波数のテラヘルツ波をフィルタのように切り出して電界振幅を検出することができる。また、テラヘルツ波の検出の仕方としては、結合したテラヘルツ波によるポッケルス効果で光の偏波状態が変化するのを検出する方式について述べた。しかし、光の伝播状態の変化として導波路を伝播する光の位相変化や、導波路を伝播する光の周波数と結合したテラヘルツ波の周波数の差周波の光信号を検出する、すなわち光のビート信号を検出する方式でもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
100…光周波数変換素子、101…コア、102…クラッド、103…導波路、104…結合部

Claims (7)

  1. 光の波長域における屈折率がn1,光の非線形光学媒質で構成されたコアと、光の波長域における屈折率n2,光がn1,光より小さい材料で構成され前記コアを被覆して配置されたクラッドとを含み、断面が環状である導波路と、
    テラヘルツ波の波長域における屈折率n3, THzがn1,光より大きい材料で構成され、前記クラッドと接して配置され、テラヘルツ波の波長域において前記導波路と空間とを結合する為の結合部と、
    を備え、
    前記結合部は前記クラッドを被覆していることを特徴とする光周波数変換素子。
  2. 前記クラッドの厚さが、前記クラッドと前記結合部との界面における光の強度が前記コアを伝播する光の強度の1/e(eは自然対数の底)以下となる厚さ以上で、前記クラッドにおけるテラヘルツ波の等価波長の1/10となる厚さ以下の範囲に設定されることを特徴とする請求項に記載の光周波数変換素子。
  3. 前記結合部は、前記クラッドと接し、前記環状の導波路の中心軸を軸とした回転体の少なくとも一部を備える構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光周波数変換素子。
  4. 前記結合部により空間または前記導波路に結合されるテラヘルツ波の方向と位相を揃える為の、前記環状の導波路の中心軸を軸とした回転体の内表面が反射面とされた集光部を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光周波数変換素子。
  5. 非線形光学効果により電気光学的チェレンコフ放射がもたらされる様に構成されたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光周波数変換素子。
  6. テラヘルツ波を発生する為の発生手段と、
    前記発生手段から放射されたテラヘルツ波を検出する為の検出手段と、
    前記発生手段におけるテラヘルツ波発生時と前記検出手段におけるテラヘルツ波検出時との間の遅延時間を調整する為の遅延部と、
    を備えたテラヘルツ時間領域分光装置であって、
    前記発生手段、又は、前記検出手段の少なくともどちらかが、請求項1乃至の何れか1項に記載の光周波数変換素子を含むことを特徴とする装置。
  7. サンプルからの反射光を分析することでサンプルの内部構造をイメージングするトモグラフィ装置として構成されていることを特徴とする請求項に記載の装置。
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