JP5884514B2 - 静電荷像現像用トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Description
即ち、請求項1に係る発明は、
円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が15個数%以上である光輝性顔料を含み、前記光輝性顔料が金属粉末であり、前記光輝性顔料の体積平均粒子径が3μm以上20μm以下である静電荷像現像用トナーである。
前記光輝性顔料の含有量が、10質量%以上40質量%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む現像剤である。
請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジである。
請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを収容すると共に、前記静電荷像現像用トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えるプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電荷像を形成する潜像形成装置と、
前記静電荷像を請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、本実施形態のトナーと称することがある)は、円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が15個数%以上である光輝性顔料を含むトナーである。
静電気力を利用し画像を形成する電子写真技術において、電荷注入を防ぐためにトナー表面は絶縁体であることが必要である。光輝性顔料は電気伝導率が高いため、トナーの顔料として使用する際に当該顔料を絶縁体の樹脂で被覆することが必要である。従来の光輝性顔料は、原料を粉砕する工程由来で顔料の縁が角張った形をしている。縁の角張った顔料を使用したトナーは、顔料の縁の凹部に樹脂が偏在し、顔料の縁の凸部は樹脂被覆が充分ではないか、又は顔料が露出することがある。このようなトナーを実機、特に高温高湿下で低印字面積のような、現像剤に対してストレスのかかる条件下で使用した際、樹脂被覆が充分でないか、又は顔料が露出した箇所から電荷注入が発生し、転写効率が悪化するという問題があった。
図1(A)において、トナー粒子2には円形度の低い顔料粒子4が含有されるため、図1(B)に示すように、顔料粒子4の凸部がトナー粒子2から露出する。この部分から電荷注入が発生し、転写効率が悪化するという問題が生ずることがある。一方、図1(C)において、トナー粒子2には円形度の高い顔料粒子4が含有されるため、顔料粒子4には目立った凸部が存在せず、顔料粒子の凸部に起因する顔料粒子のトナー粒子からの露出の発生が防がれ、その結果として転写効率の悪化が抑制される。
円形度が0.90以上0.94以下の顔料粒子の縁は滑らかで、結着樹脂などが偏在するスペースがない。そのため、上記顔料を使用したトナーは、結着樹脂が光輝性顔料を均一に被覆するため、被覆不足による電荷注入および電荷注入から生じる転写効率の悪化が抑制されると推察される。
まず、光輝性顔料1質量部、イオン交換水4質量部、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR)0.01質量部を混ぜ光輝性顔料分散液を作製する。次に、上記分散液をフロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス株式会社製)を用い、光輝性顔料分散液の円形度を測定する。最後に、画像解析で円形度が0.90以上、0.94以下の粒子を選択する。画像解析前後の解析粒子数から円形度が規定の範囲の光輝性顔料粒子の全体に占める割合を算出できる。
一方、比(A/B)が100以下であれば、反射光を視認し得る視野角が狭くなり過ぎず、角度によって黒っぽく見えてしまう現象の発生が防止される。
ここで、まず入射角および受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°および+30°するのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm2にて、トナー載り量が4.5g/cm2のベタ画像を形成する。尚、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業社製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。尚、反射率Aおよび反射率Bは、400nmから700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
本実施形態のトナーは、前述の比(A/B)を満たす観点から下記(1)乃至(2)の要件を満たすことが好ましい。
(1)トナー粒子の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い。
(2)トナー粒子の厚さ方向への断面を観察した場合に、トナー粒子の該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の割合が、観察される全顔料粒子のうち60%以上である。
図2に示すトナー粒子2は、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナー粒子であり、鱗片状の顔料粒子4を含有している。
そのため、このトナー粒子中に含有される鱗片状の顔料粒子のうち上記(2)に示される「トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす顔料粒子は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されるため、前述の比(A/B)の範囲が達成されるものと考えられる。
本実施形態のトナーに用いられる、光輝性を有する着色剤(光輝性顔料)としては、例えば、以下のものが用いられる。アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛などの金属粉末、酸化チタンや黄色酸化鉄を被覆した雲母、硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩などの被覆薄片状無機結晶基質、単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、酸オキシ塩化ビスマス、天然グアニン、薄片状ガラス粉、金属蒸着された薄片状ガラス粉など、光輝性を有するものならば特に制限はない。
光輝性顔料の体積平均粒子径を測定する方法は、以下のとおりである。
まず、光輝性顔料1質量部、イオン交換水4質量部、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR)0.01質量部を混ぜ光輝性顔料分散液を作製する。上記光輝性顔料分散液を電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後にコールターマルチサイザーII型(コールター社製)を用いて、体積平均粒子径の測定を行った。
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂を用いることが光輝性顔料とのなじみの良さ、光輝性を安定して提供できる点で好ましい。
以下においては、特に好ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸が1種または2種以上用いられる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造される。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
本実施形態のトナーには、必要に応じて離型剤を含有してもよい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。
本実施形態のトナーには、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
・平均最大厚さCおよび平均円相当径D
前記(1)に示すとおり、本実施形態のトナーは、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いことが好ましい。尚、平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)が0.001以上0.5以下の範囲にあることがより好ましく、0.010以上0.2以下の範囲が更に好ましく、0.05以上0.1以下の範囲が特に好ましい。
比(C/D)が0.001以上であることにより、トナーの強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生する転写効率の低下が抑制される。一方0.5以下であることにより、優れた光輝性が得られる。
トナー粒子を平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1000個のトナー粒子について、カラーレーザ顕微鏡「VK−9700」(キーエンス社製)により1000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
前記(2)に示すとおり、トナー粒子の厚さ方向への断面を観察した場合に、トナー粒子の該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の割合(個数基準)が、観察される全顔料粒子のうち60%以上であることが好ましい。更には、上記割合が70%以上95%以下であることがより好ましく、80%以上90%以下であることが特に好ましい。
上記の割合が60%以上であることにより優れた光輝性が得られる。
まず、トナー粒子をビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤とを用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばLEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。
上述の方法により得られた観察用サンプルを用い、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。体積D50vを体積平均粒径D50とする。
本実施形態のトナーは、湿式法や乾式法など公知の方法により作製されてもよいが、特に湿式法で製造することが好ましい。該湿式法としては、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等が挙げられ、乳化凝集法にて製造することが好ましい。
次に、原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を合一する合一工程とを経て、トナー粒子を得る。なお、コア粒子と、このコア粒子を被覆するシェル層とを有するいわゆるコアシェル構造型のトナーを作製する場合には、凝集粒子形成工程を終えた後の原料分散液に、樹脂粒子分散液を添加して(トナー化した際にコア粒子となる)凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させて(トナー化した際にシェル層となる)被覆層を形成する被覆層形成工程を実施し、その後に合一工程を実施する。なお、被覆層形成工程に用いる樹脂成分は、コア粒子を構成する樹脂成分と同一であっても異なっていてもよい。
−乳化工程−
凝集粒子形成工程に用いる原料分散液を準備するために、乳化工程では、トナーを構成する主要な材料を、水系媒体中に分散させた分散液を調製する。以下、樹脂粒子分散液や、着色剤分散液、離型剤分散液等について説明する。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上1μm以下であってもよく、0.03μm以上0.8μm以下であってもよく、0.03μm以上0.6μmであってもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。一方、体積平均粒径が上記範囲内であれば前記欠点がない上、トナー粒子間の組成偏在が減少し、トナー粒子中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。
着色剤分散液を調整する際の分散方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用してもよく、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用して着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して着色剤の有機溶剤分散液を調製したりしてもよい。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いてもよい。
離型剤分散液は、離型剤を水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、離型剤の融解温度以上に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調製される。これにより、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を分散させる。また、離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂に用いる分散媒と同様のものを用いてもよい。
凝集粒子形成工程(凝集粒子分散液調製工程)においては、樹脂粒子分散液の他に、通常は着色剤分散液及び離型剤分散液を加え、必要に応じて添加されるその他の分散液を少なくとも混合して得られた原料分散液に対して、凝集剤を更に添加して加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、結晶性樹脂の融解温度付近(±20℃)の温度で、且つ、融解温度以下の温度にて加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
なお、本実施形態において「室温」とは25℃をいう。
また、凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば被覆層形成工程を実施してもよい。被覆層形成工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、被覆層形成用の樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコアシェル構造を有するトナーが得られる。
凝集粒子形成工程、あるいは、凝集粒子形成工程および被覆層形成工程を経た後に実施される合一工程では、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
凝集粒子の合一工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液でトナー粒子に付着した分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などで洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が用いられる。
まず光輝性顔料を準備し、該光輝性顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合する。これを転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、樹脂で被覆された光輝性の顔料粒子を形成する。ここにその他の組成物(例えば離型剤、シェル用樹脂等)を添加し、さらに凝集剤を添加し、攪拌しながら温度を樹脂のガラス転移温度(Tg)の近くまで上昇させ、凝集粒子を形成する。この工程において、例えば2枚パドルを有した層流を形成する攪拌翼を使用し、攪拌速度を高速度にして(例えば500rpm以上1500rpm以下)攪拌することで、光輝性の顔料粒子が凝集粒子中で長軸方向の向きを揃え、且つ、凝集粒子も長軸方向に向かって凝集し、トナーの厚さが小さくなる(即ち前記(1)の要件を満たす)。最後に粒子安定化のためにアルカリ性にした後、温度をトナーのガラス転移温度(Tg)以上融解温度(Tm)以下まで上昇させ、凝集粒子を合一させる。この合一工程において、より低温(例えば60℃以上80℃以下)で合一させることで、材料の再配置に伴う移動を小さくし、顔料の配向性が保たれ、前記(2)の要件を満たすトナーが得られる。
本実施形態においては、トナー粒子表面に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、カーボンブラック等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子等、公知の粒子が使用し得る。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよく、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
図3は、本実施形態のトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態の画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を被転写体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性および電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が好ましい。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zをトナー像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が被転写体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙28上のトナー像が定着され、画像が得られる。
図4は、本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。本実施形態のプロセスカートリッジは、前述の本実施形態のトナーを収容すると共に、該トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴としている。
なお、図4において符号300は被転写体を表す。
ボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径15μm)250部、ミネラルスピリット1200部、およびオレイン酸25部からなる配合物を充填し、直径3mmのガラスビーズ(比重2.6)1500部を用い、60rpmで3時間摩砕した。摩砕終了後、ミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過し、濃縮して、加熱残分80%のケーキを得た。得られたケーキを縦型ミキサー内に移し、所定量のソルベントナフサを加え、15分混合後、乾燥し、加熱残分98%、円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が33個数%であるアルミニウム顔料を得た。
着色剤分散液1における光輝性顔料の体積平均粒子径は10.2μmであった。
摩砕時間を1.5時間とした以外は<着色剤分散液1の調製>と同様にして円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が17個数%であるアルミニウム顔料(光輝性顔料)を分散した着色剤分散液2を調製した。
着色剤分散液2における光輝性顔料の体積平均粒子径は13.5μmであった。
摩砕時間を2.5時間とした以外は<着色剤分散液1の調製>と同様にして円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が26個数%であるアルミニウム顔料(光輝性顔料)を分散した着色剤分散液3を調製した。
着色剤分散液3における光輝性顔料の体積平均粒子径は12.4μmであった。
摩砕時間を4時間とし、ボールミルの回転速度を100rpmとした以外は<着色剤分散液1の調製>と同様にして円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が37個数%であるアルミニウム顔料(光輝性顔料)を分散した着色剤分散液4を調製した。
着色剤分散液4における光輝性顔料の体積平均粒子径は8.9μmであった。
摩砕時間を7時間とし、ボールミルの回転速度を120rpmとした以外は<着色剤分散液1の調製>と同様にして円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が42個数%であるアルミニウム顔料(光輝性顔料)を分散した着色剤分散液5を調製した。
着色剤分散液5における光輝性顔料の体積平均粒子径は7.6μmであった。
摩砕時間を1時間とした以外は<着色剤分散液1の調製>と同様にして円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が13個数%であるアルミニウム顔料(光輝性顔料)を分散した着色剤分散液6を調製した。
着色剤分散液6における光輝性顔料の体積平均粒子径は15.4μmであった。
メタシャインMC2080PS(日本板硝子株式会社製)100部とイオン交換水400部とアニオン界面活性剤(第一工業薬社製、ネオゲンR)1.5部とを2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合し、得られた分散液を着色分散液7とした。
着色剤分散液7における円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合は6個数%であった。また、着色剤分散液7における光輝性顔料の体積平均粒子径は15μmであった。
・ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物 :216部
・エチレングリコール :38部
・テトラブトキシチタネート(触媒) :0.037部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち攪拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
・結着樹脂 :160部
・酢酸エチル :233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N) :0.1部
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160 ):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
<トナー1の作成>
・樹脂粒子分散液:380部
・離型剤分散液:72部
・着色剤分散液1:140部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.4部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの攪拌翼を用いた攪拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、攪拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2乃至3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
次に、樹脂粒子分散液:100部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、0.1℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.2μmであった。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.5部を、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を作成した。
「比(A/B)」、「トナー粒子の平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)」、「トナー粒子の厚さ方向への断面を観察した場合に、観察される全顔料粒子のうち、トナー粒子の該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の割合(以下単に「±30°にある顔料の割合」と称す)」を、前述の方法により測定した。結果を下記表1に示す。
・フェライト粒子(体積平均粒径:35μm) :100部
・トルエン :14部
・パーフルオロオクチルエチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体(臨界表面張力:24dyn/cm、共重合比2:8、重量平均分子量77000) :1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下) :0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径:0.3μm、トルエン不溶) :0.3部
まず、パーフルオロオクチルエチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これに架橋メラミン樹脂粒子を加えて10分間スターラーで分散し、被覆層形成液を調合した。次いでこの被覆層形成液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
トナー1:36部とキャリア:414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間攪拌し、その後212μmで篩分して現像剤1を作製した。
(転写効率)
富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の改造機を用いて転写効率の評価を行った。前記改造機は、1つの現像機に現像剤が入っていれば、作動し、トナー転写前に強制的にマシンを停止させ、感光体上、中間転写体上、紙上(未定着)のトナー量を測定できるようにしたものである。また定着ロール表面温度を130℃にしたものである。
転写効率の評価では、30℃80%RHの環境で、富士ゼロックス社製C2紙を用いて、画像濃度3%、二次転写電圧1kVの条件で10000枚印刷後、5cm×5cmのパッチを描き、トナー重量を測定し、下記式により2次転写効率を算出し、下記基準に沿って評価した。2次転写効率は、評価が2以上を許容レベルとした。得られた結果を表1に示す。
2次転写効率=(紙上未定着トナー重量)/(中間転写体上トナー重量)
4:二次転写効率97%以上
3:二次転写効率94%以上
2:二次転写効率88%以上
1:二次転写効率88%未満
以下の方法によりベタ画像を形成した。
試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm2にて、トナー載り量が4.5g/cm2のベタ画像を形成した。
得られたベタ画像に関し、JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて下記基準に基づき光輝性を評価した。なお評価は、粒子感(キラキラと輝く光輝性の効果)、光学的効果(見る角度による色相の変化)を評価し、下記段階とした。2以上が実際に使用可能なレベルである。得られた結果を表1に示す。
4:優れた光沢感
3:普通の光沢感
2:ややぼやけた光沢感
1:光沢感がない
着色剤分散液1に替えて着色剤分散液2を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1に替えて着色剤分散液3を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1に替えて着色剤分散液4を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1に替えて着色剤分散液5を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1を70部用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1を340部用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1を50部用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1を400部用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1に替えて着色剤分散液6を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
着色剤分散液1に替えて着色剤分散液7を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
4 顔料粒子
20 感光体ドラム
21 帯電装置
22 露光装置
24 転写装置
25 クリーニング装置
28 記録紙
30 現像装置
31 現像ハウジング
32 現像用開口
33 現像ロール
34 電荷注入ロール
40 トナー
107 感光体(像保持体)
108 帯電ローラ
111 現像装置(現像手段)
112 転写装置
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
115 定着装置(定着手段)
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(被転写体)
Z 静電潜像
Claims (6)
- 円形度が0.90以上0.94以下の光輝性顔料粒子の光輝性顔料粒子全体に占める割合が15個数%以上である光輝性顔料を含み、前記光輝性顔料が金属粉末であり、前記光輝性顔料の体積平均粒子径が3μm以上20μm以下である静電荷像現像用トナー。
- 前記光輝性顔料の含有量が、10質量%以上40質量%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む現像剤。
- 請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジ。
- 請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを収容すると共に、前記静電荷像現像用トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電荷像を形成する潜像形成装置と、
前記静電荷像を請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。
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