JP5882796B2 - 振動体の駆動方法、振動装置、該振動装置を有する駆動装置、及び光学機器 - Google Patents
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Description
特に、カメラ、ファクシミリ、スキャナー、プロジェクター、複写機、レーザビームプリンター、インクジェットプリンター、レンズ、双眼鏡、画像表示装置などの光学機器に関する。また、このような光学機器の塵埃除去装置に用いる振動装置、振動によって被駆動体を駆動させる駆動装置に関する。
これにより、画像の品質が大きく損なわれるという問題が生じる。
これらの塵埃を人手によって拭き取ることで画像品位は回復するが、使用中に付着した埃は撮影後に確認する他ない。
振動装置300は、受光した被写体像を電気信号に変換して画像データを作成する撮像素子301に設けられている。
波形Eはこれら2つの振動が重ね合わされた振動装置300の変位を示す。
波形Gは波形Eの時間位相30°前の振動装置300の変位を示している。
波形Fは振動装置300における正規化された変位速度を示している。
塵埃除去装置を動作させた場合には、光学素子302の表面に付着した塵埃は、光学素子302が塵埃を面外(図14〜図17の縦軸の正の向き)に突き上げる時、光学素子302の表面の法線方向の力を受けて弾かれるように移動していく。
図14〜図17を見てみると、光学素子302の位置60から300において、振動の1周期の間では、横軸の負の向きに塵埃を移動させる振動の量より、正の向きに塵埃を移動させる振動の量が相対的に多い。
そのため、塵埃は横軸の正の向きに移動させることが可能になっている。
特許文献1による振動装置300では、駆動に用いる二つの振動モードの共振周波数の付近に多数の振動モードがある。駆動に用いる振動モードを大きくするために、この共振周波数の付近の振動を励起すると、その他の不要な振動モードも応答(励起、又は励振ともいう)してしまう。
不要な振動モードにおける振幅がない節位置(変位しない位置)では、不要な振動モードの振動の影響を受けることなく、良好な振動状態を実現できる。しかし、それ以外の位置では不要な振動モードの振動の影響を受けるため、振幅分布や位相分布が乱れてしまう。
前記合成振動の振幅分布を変化させるべく、前記少なくとも2つの駆動電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方を変化させる振動体の駆動方法に関する。
前記合成振動の振幅分布を変化させるべく、前記少なくとも2つの駆動電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方を変化させる制御手段に関する。
図1は光学機器のカメラである。11はカメラ本体で、12はレンズ筐体である。
本実施形態の振動装置は、塵埃を移動させて除去する塵埃除去装置として機能する。また塵埃除去装置は、光学機器の光路上に配置される。
この伸縮力の位相の分布は、面外10次曲げ振動モード(第1の振動モード)の変位分布7による圧電素子2の伸縮の変形の位相の分布とほぼ合致する。
このため、面外10次曲げ振動モード(第1の振動モード)の大きな振動を得ることが可能となっている。
E(差)による面外11次曲げ振動(第2の振動モード)では、左の圧電素子2aによって励起される振動と、右の圧電素子2bによって励起される振動とが、大きさが等しく逆位相であるため、これらが打ち消し合って大きさがほぼゼロとなる。このため、E(差)では面外11次曲げ振動モード(第2の振動モード)の振動は発生しない。
E(和)による面外10次曲げ振動(第1の振動モード)では、左の圧電素子2aによって励起される振動と、右の圧電素子2bによって励起される振動とが、大きさが等しく逆位相であるため、これらが打ち消し合って大きさがほぼゼロとなる。このため、E(和)では面外10次曲げ振動モード(第1の振動モード)の振動は発生しない。
V(差)=X(1)/α(1) ・・・式(1)
θ(差)=φ(1)−β(1) ・・・式(2)
同様に、第2の振動モードの振動は、大きさX(2)と時間位相φ(2)とするためのV(和)とθ(和)が、下記の式(3)(4)のように求められる。大きさX(2)は、第2の振動モードの変位分布の中で、最大変位の箇所の振幅の値である。時間位相φ(2)は、変位が正の箇所の応答位相の値である。
V(和)=X(2)/α(2) ・・・式(3)
θ(和)=φ(2)−β(2) ・・・式(4)
また、駆動電圧E(1)は、E(和)とE(差)を足したものとなり、E(2)は、E(和)からE(差)を引いたものとなり、V(1)、θ(1)、V(2)、θ(2)は、下記の式(5)〜(8)で求められる。
V(1)=[{V(和)×cosθ(和)+V(差)×cosθ(差)}2+{V(和)×sinθ(和)+V(差)×sinθ(差)}2]0.5・・・式(5)
θ(1)=TAN−1[{V(和)×sinθ(和)+V(差)×sinθ(差)}/{V(和)×cosθ(和)+V(差)×cosθ(差)}]
・・・式(6)
V(2)=[{V(和)×cosθ(和)−V(差)×cosθ(差)}2+{V(和)×sinθ(和)−V(差)×sinθ(差)}2]0.5・・・式(7)
θ(2)=TAN−1[{V(和)×sinθ(和)−V(差)×sinθ(差)}/{V(和)×cosθ(和)−V(差)×cosθ(差)}]
・・・式(8)
これらは、第1の振動モードDや第2の振動モードEと変位の分布が異なり、生成される振動の振幅分布や位相分布を変化させる振動モードである。
第3の振動モードFの変形形状は、第1の振動モードDの変形形状に加えて上下方向(第2の方向B)にも変形がある。このため、第3の振動モードは、第1の振動モードDよりもやや高い固有振動数を有する。
第3の振動モードFの振動が特に大きくなる理由について、ここで述べる。
第1の振動モードDの振動と第2の振動モードEの振動を発生させるために、圧電素子2a及び2bに駆動電圧を印加して、左右方向(第1の方向A)に伸縮力を発生させ、振動体3の方向の曲げ変形力を発生させている。
前述したように、分割電極9の分割位置は、第1の振動モードD及び第2の振動モードEの節線の位置に近くなっている。
このため、第3の振動モードFの振動が大きくなる。さらに、圧電素子2では、上下方向(第2の方向B)も分極方向と直交した方向であり、この方向にも伸縮力を発生して、振動体3に対して曲げ変形力を発生する。
同様に、図5中のGに振動の大きさを示している左右方向(第1の方向A)の曲げ次数が第2の振動モードと同じ面外11次曲げ変形となり、かつ、上下方向(第2の方向B)に面外1次曲げ変形となる振動モード(第4の振動モード)の振動も、特に大きくなる。第4の振動モードは、上下方向(第2の方向B)の中央部と上下端部において、応答ゲインの最大値を持ち、Gはこの応答ゲインの最大値のE(和)が単位電圧(1V)の場合の大きさを示している。図5(B)中のプロットGは、E(和)に対する第4の振動モードの振動の応答位相を示している。
第4の振動モードGの変形形状は、第2の振動モードEの変形形状に加えて上下方向(第2の方向B)にも変形がある。このため、第4の振動モードGは、第2の振動モードEよりもやや高い固有振動数を有する。
X(10、b)=α(10、b)×V(差) ・・・式(11)
α(10、b)=[{α(1)×sinθ(1)+α(3、b)×sinθ(3、b)}2+{α(1)×cosθ(1)+α(3、b)×cosθ(3、b)}2]0.5・・・式(12)
φ(10、b)=β(10、b)+θ(差) ・・・式(13)
β(10、b)=tan−1[{α(1)×sinθ(1)+α(3、b)×sinθ(3、b)}/{α(1)×cosθ(1)+α(3、b)×cosθ(3、b)}]
・・・式(14)
X(11、b)=α(11、b)×V(和) ・・・式(15)
α(11、b)=[{α(2)×sinθ(2)+α(4、b)×sinθ(4、b)}2+{α(2)×cosθ(2)+α(4、b)×cosθ(4、b)}2]0.5・・・式(16)
φ(11、b)=β(11、b)+θ(和) ・・・式(17)
β(11、b)=tan−1[{α(2)×sinθ(2)+α(4、b)×sinθ(4、b)}/{α(2)×cosθ(2)+α(4、b)×cosθ(4、b)}]
・・・式(18)
駆動電圧E(1)及びE(2)の周波数は、E(差)とE(和)の大きさが同じであった場合に、第1及び第2の振動モードの振動が同じ大きさとなる周波数であり、図5(A)中ではfとしている。E(1)及びE(2)の周波数がfであると、E(差)とE(和)の周波数もfとなる。
また、E(差)に対する第1の振動モードDの応答位相β(1)は−165°で、E(和)に対する第2の振動モードEの応答位相β(2)は−15°となっている。E(差)に対する第3の振動モードFの応答位相β(3、b)は、図6(a−1)中の第1の方向Aに平行な二つの節線Cに挟まれる領域では−157°で、その外側では反転した23°となっている。
ここで、従来技術に基づく、具体的な電圧設定と振動状態を述べる。
式(1)にα(1)=1を代入すると、V(差)=X(1)となる。式(3)にα(2)=1を代入すると、V(和)=X(2)となる。これらと式(9)から、V(差)=V(和)となる。
式(2)にβ(1)=−165°を代入すると、θ(差)=φ(1)+165°となる。式(4)にβ(2)=−15°を代入すると、θ(和)=φ(2)+15°となる。これらと式(10)から、θ(差)−θ(和)=240°となる。ここで、θ(差)を時間位相の基準としてθ(差)=0°とすると、θ(和)=−240°となる。
上下方向(第2の方向B)の中心部の10次振動と11次振動の応答は、式(11)〜(14)と、上述のV(差)=V(和)とθ(差)=0°とθ(和)=−240°と、α(3、b)=0.5とβ(3、b)=−165°とα(4、b)=0.25とβ(4、b)=−12°から求められる。これらから、X(10、b)=150、φ(10、b)=−162°、X(11、b)=125、φ(11、b)=−254°となる。このように、X(10、b)とX(11、b)は同じ大きさとなっておらず、かつ、φ(10、b)とφ(11、b)は90°時間位相差にもなっておらず、塵埃を移動させる能力が低くなってしまっている。また、X(10、b)とX(11、b)は設定すべき振幅の大きさX(0)=100と大きく異なってしまっている。
図8に示した値と式(12)(14)(16)(18)から、各々の交番電圧の設定に用いる、α(10、b)、β(10、b)、α(11、b)、β(11、b)の値は図9(A)に示すとおりとなる。図9(A)に示した値と式(11)(13)(15)(17)(19)(20)から、V(差)、θ(差)、V(和)、θ(和)は図9(B)に示すとおりとなる。図9(B)に示した値と式(5)〜(8)から、V(1)、θ(1)、V(2)、θ(2)は図9(C)に示すとおりとなる。また、電圧振幅比εと時間位相差δの値も図9(C)に示す。第1から第5の電圧振幅比εは、互いに異なった値となっている。第1から第5の時間位相差δも、互いに異なった値となっている。
各々の領域で、対応する交番電圧の設定の算出に用いた箇所は、X(10)=X(11)=X(0)=100、かつ、φ(1)−φ(2)=90°となっており、最良の振動状態となっている。ここから離れる程に、振動状態は悪化していき、領域内では、領域の境界(以下、領域境界)が最も振動状態が悪い状態となっている。
これまで述べてきたとおり、塵埃などを効率よく移動させる最良の振動状態は、10次振動と11次振動が、同じ大きさで、かつ90°時間位相差となっている状態である。この指標として、X(10、b)/X(11、b)の値と、φ(10、b)−φ(11、b)の値を用いることができる。X(10、b)/X(11、b)が1に近いほど良く、併せてφ(10、b)−φ(11、b)が90°に近いほど良い。
さらに、駆動電圧同士の電圧振幅比や時間位相差を時系列で変化させる際は、なだらかに変化させてもよいし、瞬時に切替え(スイッチ)してもよい。
2、2a、2b、2c、2d 圧電素子
3 振動体
4 撮像素子
5 光学有効範囲(光学有効部)
6 振動モードの変位分布
7 第1の振動モードの変位分布
8 第2の振動モードの変位分布
9 分割電極
10 導電性塗料
100 制御回路
101 電源
Claims (11)
- 振動体に備えられた電気機械エネルギ変換素子に少なくとも2つの駆動電圧を印加し、前記振動体に、次数が互いに異なる複数の定在波を時間位相差を設けて発生させることにより前記複数の定在波が合成された合成振動を生成させる振動体の駆動方法であって、
前記合成振動の振幅分布を変化させるべく、前記少なくとも2つの駆動電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方を変化させることを特徴とする振動体の駆動方法。 - 前記合成振動の振幅分布及び位相分布を変化させるべく、前記駆動電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方を変化させることを特徴とする請求項1に記載の振動体の駆動方法。
- 前記振動体を第1〜第n(nは2以上の整数)の領域に仮想的に分割し、
前記第1の領域に対して設定された、少なくとも2つの交番電圧同士の電圧振幅比を第1の電圧振幅比とし、少なくとも2つの交番電圧同士の時間位相差を第1の時間位相差とし、
前記第nの領域に対して設定された、少なくとも2つの交番電圧同士の電圧振幅比を第nの電圧振幅比とし、少なくとも2つの交番電圧同士の時間位相差を第nの時間位相差とした場合、
前記駆動電圧同士の電圧振幅比を、前記第1の電圧振幅比から前記第nの電圧振幅比まで時系列で順次変化させる制御と、
前記駆動電圧同士の時間位相差を、前記第1の時間位相差から前記第nの時間位相差まで時系列で順次変化させる制御と、
のうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動体の駆動方法。 - 前記駆動電圧同士の電圧振幅比を、前記第1の電圧振幅比から前記第nの電圧振幅比まで、所定時間単位で時系列に順次切り替える制御と、
前記駆動電圧同士の時間位相差を、前記第1の時間位相差から前記第nの時間位相差まで、所定時間単位で時系列に順次切り替える制御と、
のうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の振動体の駆動方法。 - 振動体の電気機械エネルギ変換素子に少なくとも2つの駆動電圧を印加し、前記振動体に、次数が互いに異なる複数の定在波を時間位相差を設けて発生させることにより前記複数の定在波が合成された合成振動を生成させる制御手段であって、
前記合成振動の振幅分布を変化させるべく、前記少なくとも2つの駆動電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方を変化させることを特徴とする制御手段。 - 前記合成振動の振幅分布及び位相分布を変化させるべく、前記駆動電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方を変化させることを特徴とする請求項5に記載の制御手段。
- 前記制御手段には、前記振動体の第1〜第n(nは2以上の整数)の領域毎に、少なくとも2つの交番電圧同士の電圧振幅比と時間位相差とのうち少なくとも一方が設定されており、
前記第1の領域に対して設定された、前記交番電圧同士の電圧振幅比を第1の電圧振幅比とし、前記交番電圧同士の時間位相差を第1の時間位相差とし、
前記第nの領域に設定された、前記交番電圧同士の電圧振幅比を第nの電圧振幅比とし、前記交番電圧同士の時間位相差を第nの時間位相差とした場合、
前記制御手段は、
前記駆動電圧同士の電圧振幅比を、前記第1の電圧振幅比から前記第nの電圧振幅比まで時系列で順次変化させる制御と、
前記駆動電圧同士の時間位相差を、前記第1の時間位相差から前記第nの時間位相差まで時系列で順次変化させる制御と、
のうち少なくとも一方を行う
こと特徴とする請求項5又は6に記載の制御手段。 - 前記制御手段は、前記駆動電圧同士の電圧振幅比を、前記第1の電圧振幅比から前記第nの電圧振幅比まで所定時間単位で時系列に順次切り替える制御と、
前記駆動電圧同士の時間位相差を、前記第1の時間位相差から前記第nの時間位相差まで所定時間単位で時系列に順次切り替える制御と、
のうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の制御手段。 - 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の制御手段と、前記振動体と、被駆動体と、を有し、
前記振動装置によって前記被駆動体が駆動されることを特徴とする駆動装置。 - 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の制御手段と、前記振動体と、を有し、前記合成振動により、前記振動体上の塵埃を移動させて塵埃を除去する塵埃除去装置。
- 前記振動体が光路上に設けられた請求項10に記載の塵埃除去装置と、前記振動体を透過した光が入射する撮像素子と、を有することを特徴とする光学機器。
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