以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下においては、本発明の電動補助車両の一例として3輪の電動補助自転車について説明する。本発明の実施形態における左右、前後、上下とは、電動補助自転車10のシート92に乗員がそのハンドル82に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電動補助自転車10を示す側面図である。電動補助自転車10は、自転車本体(車両)12および荷物運搬用台車14(以下、台車14と略記する)を含む。図1は、自転車本体12と台車14とが接続されている状態を示している。
自転車本体12は、前後方向に延びるフレーム16を有する。フレーム16は、ヘッドチューブ18、ダウンチューブ20、シートチューブ22、ブラケット部24、チェーンステイ26、シートステイ28、および後輪支持ユニット30を含む。
ヘッドチューブ18は、フレーム16の前端部に設けられている。ダウンチューブ20は、ヘッドチューブ18から後方斜め下方に向かって延びるように設けられている。シートチューブ22は、ダウンチューブ20の後端部から上方斜め後方に向かって延びるように設けられている。ブラケット部24は、ダウンチューブ20の後端部およびシートチューブ22の下端部から後方に向かって延びるように設けられている。
シートステイ28は、シートチューブ22の上端部から後方斜め下方に向かって延びるように設けられている。シートステイ28の下端部は、チェーンステイ26に接続されている。
ヘッドチューブ18には、ハンドルステム80が回転自在に挿通されている。ハンドルステム80の上端部には、ハンドル82が固定されている。ハンドル82には、図示しないブレーキレバーが設けられており、乗員は、ブレーキレバーを操作することによって電動補助自転車10にブレーキをかけることができる。ハンドルステム80の下端部には、フロントフォーク84が固定されている。フロントフォーク84の下端部には、前輪86が車軸を介して回転可能に支持されている。電動補助自転車10においては、ハンドル82を左右に切ることによって、前輪86が左右に向きを変える。それによって、電動補助自転車10の向きを変えることができる。
シートチューブ22には、シートパイプ90が挿入されている。シートパイプ90の上端部には、シート92が設けられている。ブラケット部24には、駆動ユニット94が設けられている。駆動ユニット94は、ペダルクランク96、ペダル98a、98b、ドライブスプロケット100および電動モータ102を含む。乗員がペダル98a、98bを踏み込むことによって、ペダルクランク96が回転する。
ドライブスプロケット100は、ペダルクランク96の一方向の回転に従って回転するように、一方向クラッチ93(図5)を介してペダルクランク96に取り付けられている。ドライブスプロケット100は、無端状のチェーン104を介して後輪支持ユニット30の下部に設けられる回転シャフト356(図2)に連結されている。電動モータ102は、ドライブスプロケット100の後方斜め下方に設けられ、ペダルクランク96の回転を補助するためのトルクを発生する。シートチューブ22よりも後方において、駆動ユニット94には、電動モータ102の駆動等に用いられる電力を蓄えるためのバッテリ106が設けられている。また、駆動ユニット94には、電動補助自転車10の動作を制御するコントローラ120(図5)が設けられている。
図1に示す電動補助自転車10では、後輪支持ユニット30は、チェーンステイ26に対してローリング可能である。また、台車14の積載部374の前端374aは、左後輪108および右後輪114(図2)の前端よりも前方に位置している。
図2は、自転車本体12と台車14とが接続されていない状態での自転車本体12の後部を示す平面図である。チェーン104は左後輪108と伝達機構Tを介して連結されている。なお、チェーンステイ26およびシートステイ28としては、公知の種々の3輪自転車に用いられているチェーンステイおよびシートステイを利用できるので、チェーンステイ26およびシートステイ28の詳細な説明は省略する。
伝達機構Tは、回転シャフト356およびチェーン358を含む。チェーン104は、回転シャフト356の右端部に連結される。チェーン358は、回転シャフト356の左端部と左後輪108とを連結する。このような構成によって、伝達機構Tを介してチェーン104から左後輪108に回転が伝達される。なお、伝達機構Tは、左後輪108および右後輪114の両方に回転を伝達してもよい。伝達機構Tとしては、公知の種々の3輪自転車に用いられている伝達機構を利用できるので、伝達機構Tの詳細な説明は省略する。
後輪支持ユニット30は、車軸110を介して左後輪108を回転可能に支持するためのブラケット360、362と、車軸116を介して右後輪114を回転可能に支持するためのブラケット364、366と、ブラケット360とブラケット364とを連結する支持チューブ368と、支持チューブ368に取り付けられる一対の連結ユニット370、372とを含む。後輪支持ユニット30は、チェーンステイ26を中心としてローリングできるように、チェーンステイ26に接続されている。なお、ブラケット360、362、364、366、支持チューブ368、および連結ユニット370、372以外の後輪支持ユニット30の構成としては、公知のローリングタイプの後輪支持ユニットの構成を利用できるので、後輪支持ユニット30の詳細な説明は省略する。
連結ユニット370は、平面視略U字形状のブラケット370aおよび左右方向に延びる円筒状のカラー370bを有する。ブラケット370aの両端部は、左右方向に拡がるように斜め後方に向かって延びている。カラー370bは、ボルト370cおよびナット370dを介してブラケット370aに支持されている。連結ユニット372は、連結ユニット370の左右対称となる構成を有し、ブラケット370aおよびカラー370bと同様のブラケット372aおよびカラー372bを有する。カラー372bは、ボルト372cおよびナット372dを介してブラケット372aに支持されている。
図3および図4は、台車14を示す側面図である。図3は、スタンド部材382が接地状態に設定されている状態の台車14を示す図である。図4は、スタンド部材382が非接地状態に設定されている状態の台車14を示す図である。スタンド部材382は、台車14の左側および右側にそれぞれ配置される一対の補助輪428を含む。本実施形態において、スタンド部材382の接地状態とは、スタンド部材382の一対の補助輪428が地面に接触している状態をいい、スタンド部材382の非接地状態とは、一対の補助輪428が地面に接触していない状態をいう。
台車14は、積載部374、積載部374から上方に延びるように設けられる柵部376、積載部374の後部に設けられる一対のキャスタ378、積載部374の略中央部に設けられるロック機構380を含む。ロック機構380に設けられたスタンド部材382は、上後方に向かって腕状に延びるハンドル部432を含む。
積載部374は、左右に並んで配置されかつ前後方向に延びる一対のサイドフレーム384、および一対のサイドフレーム384を連結するように左右方向に延びるクロスメンバ386、388、390、392を有する。
クロスメンバ386とクロスメンバ388との間において各サイドフレーム384に、前後方向に延びかつ積載部374よりも下方に突出するブラケット394が設けられている。各ブラケット394は、例えば、サイドフレーム384の内側の側面に溶接されている。
クロスメンバ388の中央部から後方斜め下方に延びるようにブラケット395が設けられている。ブラケット395は、例えば、クロスメンバ388に溶接されている。ブラケット395は、ワイヤ470を支持している。
各キャスタ378は、車輪400および車輪400を回転可能に支持する支持フレーム402を含む。支持フレーム部402は、その上端部に、上下方向に延びる軸部402aを有する。軸部402aは、ベアリングユニット(図示せず)に回転可能に支持されている。これにより、キャスタ378が積載部374に対して軸部402aを中心として回動可能となる。
柵部376は、一対のサイドフレーム384の前端部に接続されかつ上方に延びる一対の第1ハンドルフレーム404、一対の第1ハンドルフレーム404を連結するクロスメンバ406、408、一対のサイドフレーム384の後端部に接続されかつ上方に延びる第2ハンドルフレーム410、第2ハンドルフレーム410の上部において左右方向に延びるように設けられるクロスメンバ412を含む。柵部376はさらに、一対の第1ハンドルフレーム404と第2ハンドルフレーム410とを連結する一対のサイドフレーム416、および一対のサイドフレーム416と一対のサイドフレーム384とを連結する複数の縦フレーム418を有する。第2ハンドルフレーム410の上端部には、レバー420が設けられる。
ロック機構380は、第1ユニット448、一対の第2ユニット450を含む。第2ユニット450は、台車14の左側および右側にそれぞれ配置される。第1ユニット448は、一対のブラケット394を連結するように設けられている。第2ユニット450は、図示しない締結部材(たとえば、ボルトおよびナット等)によってブラケット394に固定されている。
次に、自転車本体12と台車14との連結方法について説明する。台車14を自転車本体12に連結する際には、まず、後輪支持ユニット30(図2)のカラー370bおよび372bが一対の第2ユニット450の凹部482(図3)に嵌るように、台車14を自転車本体12側に移動させる。次に、ハンドル部432のレバー446を操作することによって、スタンド部材382の補助輪428が地面から離れ、スタンド部材382が非接地状態になる。また、台車14の左側および右側のそれぞれ設けられたスタンド部材382の一対の鉤状部422(図4)がカラー370bおよび372bの前方に移動し、カラー370bおよび372bが凹部482から抜け出てしまうことが防止されている。すなわち、自転車本体12と台車14とが切り離されてしまうことが防止される。これにより、自転車本体12と台車14とが連結される。
なお、自転車本体12と台車14とを切り離す際には、上記と反対の動作を行うことによって、スタンド部材382を非接地状態から接地状態にすればよい。この動作に伴い、スタンド部材382の鉤状部422はカラー370bおよび372bの下方に移動し、カラー370bおよび372bを凹部482から切り離すことができる。
次に、図5を用いて、電動補助自転車10における電動モータ102によるアシスト制御を行う際の信号の授受及び動力の伝達について説明する。図5は、電動補助自転車10の構成要素を示すブロック図である。
電動補助自転車10のコントローラ120は、乗員のペダル踏力に応じて電動モータ102を駆動制御することによってアシスト制御を行う。コントローラ120は、ペダルクランク96のトルクを検出するトルクセンサ97から出力されるトルク値に基づいて、乗員のペダル踏力を検知する。コントローラ120は、検知したペダル踏力に応じて電動モータ102の出力を制御する。また、コントローラ120は、電動補助自転車10の変速段及びアシストモード(詳細は後述する)も考慮して電動モータ102の出力を制御する。
コントローラ120は、踏力検知部122、補助力演算部123、変速段検知部124、メモリ121、モータ制御部125を有する。踏力検知部122は、トルクセンサ97によって検出されたペダルクランク96のトルクに基づいて、乗員のペダル踏力を求める。変速段検知部124は、電動モータ102の回転数及び前輪86の車速に基づいて、現在の変速段を検知する。台車接続検知センサ140は、自転車本体12と台車14の接続の有無を検出する。
補助力演算部123は、踏力検知部122によって検知されたペダル踏力、変速段検知部124によって検知された変速段、アシストモード、クランク回転センサ95によって検出されたペダルクランク96の回転数、台車接続検知センサ140によって検出された接続の有無に基づいて、電動モータ102に要求される駆動力を求める。メモリ121は、複数種類のアシスト比に関する情報を記憶しており、ペダル踏力、変速段及びアシストモードに応じた駆動力に関するデータを記憶している。補助力演算部123は、ペダル踏力、変速段及びアシストモードに応じて、メモリ121から必要なデータを読み出すことにより、上記駆動力を求める。なお、メモリ121はコントローラ120外部に設けられていてもよい。
モータ制御部125は、補助力演算部123によって求められた必要な駆動力を電動モータ102が出力するように、電動モータ102の駆動を制御する。また、モータ制御部125は、アシストモードの変更操作に応じて電動モータ102による駆動力を変更する。電動補助自転車10のアシストモードの一例としては、"強"、"標準"、"オートエコ"、"切"の4モードがある。電動モータ102の駆動力は、同じペダル踏力に対して、"強"、"標準"、"オートエコ"の順に小さくなる。
アシストモードが"標準"の場合、電動モータ102は、電動補助自転車10が発進、平坦路走行および上り坂走行等の際に駆動力を発生させる。アシストモードが"強"の場合、電動モータ102は、"標準"の場合と同様、電動補助自転車10が発進、平坦路走行および上り坂走行等の際に駆動力を発生させる。電動モータ102は、アシストモードが"強"の場合には、同じペダル踏力に対して"標準"の場合よりも大きな駆動力を発生させる。アシストモードが"オートエコ"の場合、電動モータ102は、電動補助自転車10が発進または上り坂走行の際に、同じペダル踏力に対して"標準"の場合よりも小さな駆動力を発生する。アシストモードが"切"の場合、電動モータ102は、駆動力を発生しない。
このように、上述のアシストモードに応じて、乗員のペダル踏力に対する電動モータ102のアシスト比が変わる。アシスト比とは、乗員のペダル踏力に対する電動モータ102の駆動力の比である。本実施形態では、アシストモードを4段階に切り替えている。しかしながら、アシストモードの切替えは3段階以下であってもよいし、5段階以上であってもよい。
図5に示すように、モータ制御部125によって駆動制御される電動モータ102の回転数は、モータ回転センサ105によって検出される。モータ回転センサ105によって検出されたモータ回転数は、コントローラ120の変速段検知部124に信号として入力される。この変速段検知部124には、上述のように、前輪86の車速に関する情報も入力される。前輪車速センサ87は、例えば前輪86の回転軸近傍に設けられ、検出した車速に関する情報を変速段検知部124に出力する。
コントローラ120のモータ制御部125によって駆動制御された電動モータ102の出力は、減速機(ギア)103によって減速される。その後、電動モータ102から出力された駆動力は、一方向クラッチ113を介してチェーン104に伝達される。そして、チェーン104によって、電動モータ102の駆動力は、回転シャフト356(図2)に伝達される。そして、回転シャフト356からチェーン358を介して後輪108の駆動軸110に伝達される。
一方、乗員がペダル98a、98bを回転させたときにペダルクランク96に加わるペダル踏力は、一方向クラッチ93を介して、チェーン104に伝達される。乗員のペダル踏力は、チェーン104、回転シャフト356、チェーン358を介して後輪108の駆動軸110に伝達される。
このように、電動モータ102の駆動力及び乗員のペダル踏力は、後輪108の駆動軸110に伝達される。すなわち、電動モータ102の駆動力及び乗員のペダル踏力は、チェーン104によって足し合わされて、電動補助自転車10の動力となる。
図5に示す例では、駆動軸110に変速機構111が設けられている。伝達された回転動力は、変速機構111によって設定された変速比で変速される。変速機構111は、ハンドル82等に設けられた変速操作器83を乗員が操作することにより、変速比を変更する。後輪108には、一方向クラッチ112を介して動力が伝達される。なお、後輪108および114の両方に一方向クラッチ112を介して動力が伝達されてもよい。
次に、図6を用いて、台車接続検知センサ140が自転車本体12と台車14の接続の有無を検出する動作を説明する。図6(a)は、自転車本体12と台車14は接続されずに互いに離れている状態を示し、図6(b)は、自転車本体12と台車14が接続されている状態を示している。台車接続検知センサ140は例えば非接触センサであり、図6に示す例では、台車接続検知センサ140は自転車本体12の連結ユニット370に設けられており、台車14の第2ユニット450に設けられた信号出力部141から出力される信号を台車接続検知センサ140が受信できたか否かで自転車本体12と台車14の接続の有無を検出する。
図6(a)のように、台車接続検知センサ140と信号出力部141とが離れている状態では、台車接続検知センサ140は、信号出力部141が出力する信号を受信できず、これにより、自転車本体12と台車14とが接続されていないことが検出される。一方、図6(b)のように、自転車本体12と台車14とが接続されている状態では、台車接続検知センサ140と信号出力部141とは近接し、台車接続検知センサ140は信号出力部141が出力する信号を受信することができ、これにより、自転車本体12と台車14とが接続されていることが検出される。コントローラ120は、台車接続検知センサ140から接続の有無の検出結果を受け取り、接続の有無に基づいて電動モータ102に要求される駆動力を求める。
台車接続検知センサ140としては、接続の有無を検出可能なセンサであれば任意の様々なセンサを用いることができる。例えば、台車接続検知センサ140がリードスイッチを有し、信号出力部141が磁石である場合は、磁気が出力信号に相当し、リードスイッチに磁石が近接することによりリードスイッチがショートし、これにより、自転車本体12と台車14とが接続されていることを検出することができる。また、例えば、台車接続検知センサ140がホールICを有し、信号出力部141が磁石である場合は、ホールICに磁石が近接することによりホールICに誘起電圧が発生し、これにより、自転車本体12と台車14とが接続されていることを検出することができる。また、例えば、台車接続検知センサ140が光センサを有し、信号出力部141が発光素子である場合は、光センサに発光素子が近接することにより、発光素子が出力する光が光センサに受光され、これにより、自転車本体12と台車14とが接続されていることが検出される。また、例えば、信号出力部141の出力信号は、レーザ、音、超音波等であってもよく、信号出力部141の出力信号を台車接続検知センサ140が受信することにより、接続を検出することができる。
また、台車接続検知センサ140は接触式であってもよく、例えば、台車14側のカプラが自転車本体12の連結ユニット370に嵌ることにより、連結ユニット370側のスイッチが押下されたり、回路がショートしたりすることにより、接続を検出してもよい。また、台車接続検知センサ140として、チートインターロックスイッチやフォトインタラプタ等を用いてもよい。
また、台車14が通信機能およびバッテリ等を備えていてもよく、台車接続検知センサ140はそれらとの接続により、自転車本体12と台車14との接続を検出してもよい。
次に、図7を用いて、自転車本体12と台車14とが接続されている場合及び接続されていない場合のそれぞれにおけるアシスト比を変動させる動作について説明する。
図7は、電動補助自転車10の車速とアシスト比との関係を示す図であり、横軸は車速(km/h)を示し、縦軸はアシスト比を示している。自転車本体12と台車14とが接続されていない場合のアシスト比を変動させる範囲の上限を点線152で示し、接続されている場合のアシスト比を変動させる範囲の上限を実線153で示している。
上述したように、アシスト比とは、乗員の踏力と電動モータ102の補助動力との比である。例えば、本実施形態において、アシスト比1:2とは、踏力と補助動力の大きさの比が1:2であることを表し、これは補助動力が踏力の2倍であることを意味している。また、例えば、アシスト比1:3とは、踏力と補助動力の大きさの比が1:3であることを表しており、これは補助動力が踏力の3倍であることを意味している。また、アシスト比1:0とは、補助動力を発生させていない状態を示している。
自転車本体12と台車14とが接続されていない場合、コントローラ120の補助力演算部123は、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:2以下に設定する。すなわち、補助動力の大きさが踏力の2倍以下になるように設定する。乗員がペダルを漕ぎ始めて踏力が検出されると、補助力演算部123は、踏力検知部122によって検知されたペダル踏力、変速段検知部124によって検知された変速段、アシストモード、クランク回転センサ95によって検出されたペダルクランク96の回転数、前輪車速センサ87によって検出された電動補助自転車10の速度に基づいて、アシスト比を1:0より大きく且つ1:2以下の範囲内にして電動モータ102の補助動力を決定する。すなわち、それら複数の検出情報に応じて図7のドットで示す領域152aの範囲内でアシスト比を変動させながら乗員をアシストする。この例では、時速0km/hから10km/hまでは、アシスト比1:2を上限として補助動力を発生させる。時速10km/h以上では、速度に比例してアシスト比の上限は漸減していき、時速24km/h以上ではアシスト比は1:0、すなわち補助動力はゼロになる。これにより、自転車本体12と台車14とが接続されていない状態に対して適切な補助動力が提供され、乗員は快適に電動補助自転車10を運転することができる。
一方、自転車本体12に台車14が接続されている場合、走行負荷が増加することになる。例えば、台車14のようにキャスタ378を備えた台車を接続した場合は、台車の重量に関係なく、コーナーリング時等において走行負荷が増加することになる。そのため、台車が接続されていない状態に基づいて設定されたアシスト比のままでは、補助動力が不足することになる。
そこで、自転車本体12と台車14とが接続されている場合は、コントローラ120の補助力演算部123は、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:2より大きく設定する。例えば、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:3以下に設定する。すなわち、補助動力の大きさが踏力の3倍以下になるように設定する。自転車本体12と台車14とが接続されていない場合よりもアシスト比の上限を大きくし、アシスト比を変動させる範囲を変えることで、自転車本体12と台車14とが接続されている状態に対して適切な補助動力を提供することができる。乗員がペダルを漕ぎ始めて踏力が検出されると、補助力演算部123は、踏力検知部122によって検知されたペダル踏力、変速段検知部124によって検知された変速段、アシストモード、クランク回転センサ95によって検出されたペダルクランク96の回転数、前輪車速センサ87によって検出された電動補助自転車10の速度に基づいて、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:3以下として電動モータ102の補助動力を決定する。この場合、上記複数の検出情報に応じて図7のドットで示す領域152aと斜線で示す領域153aとを合わせた範囲内でアシスト比を変動させながら乗員をアシストする。この例では、時速0km/hから10km/hまでは、アシスト比の上限を1:3以下として補助動力を発生させる。時速10km/h以上では、速度に比例してアシスト比を変動させる範囲の上限は漸減していき、時速24km/h以上ではアシスト比は1:0、すなわち補助動力はゼロになる。これにより、自転車本体12と台車14とが接続されている状態に対して適切な補助動力が提供され、乗員は快適に電動補助自転車10を運転することができる。
なお、上記の例では、自転車本体12と台車14とが接続されている場合において、時速10km/h以上においてアシスト比を変動させる範囲の上限が漸減していく例を示したが、時速10km/h未満において、アシスト比を変動させる範囲の上限の漸減を開始してもよい。図8は、一例として、時速5km/h以上においてアシスト比を変動させる範囲の上限が漸減していく例を示している。最大のアシスト比を1:3以下に設定した場合、電力消費量が大きくなることが考えられる。そのため、台車14の接続時において最も補助動力を必要とする低速域(例えば時速5km/h未満)では、アシスト比最大1:3までの補助動力を発生させ、それ以上の速度域では漸減させていくことにより、乗員に必要な補助動力を提供しながら電力消費量を小さくすることができる。
コントローラ120は、接続の検出結果が接続無しから有りに変化したとき、または、検出結果が接続有りから無しに変化したとき、接続の有無の変化後の状態に合うアシスト比を変動させる範囲に自動的に変更する。あるいは、接続の有無の変化のみで自動的にアシスト比の変動範囲を変更するのではなく、接続の有無の変化はあくまでも一つの条件であり、さらに他の条件を伴って初めてアシスト比の変動範囲を変更するようにしてもよい。この場合の他の条件とは、例えば、乗員による駐車ブレーキの解除等、任意の操作の有無を条件としてもよい。
コントローラ120は、接続の検出結果が接続無しから有りに変化したとき、または、検出結果が接続有りから無しに変化したとき、接続の有無の変化後の状態に合うアシスト比を変動させる範囲内になるように、自動的にアシスト比を変更する。
あるいは、コントローラ120は、乗員からアシスト比を変更する指示を受けた場合にのみ、アシスト比を変動させる範囲内で、任意にアシスト比を変更してもよい。例えば、台車14を接続することにより、アシスト比を変動させる範囲の上限が1:3とされる。しかし、乗員がバッテリの残量が減っていることを知っている場合、電力消費を抑えてアシスト有りでの航続距離を伸ばすことを優先したいと考える。このような場合は、乗員の指示に基づき(あるいは、指示しないことにより)、アシスト比を変更することなく、電力消費を抑えて航続距離を伸ばすことができる。
なお、上記のアシスト比および速度の値は一例であり、別の値が設定されてもよい。
図9は、電動補助自転車10のハンドル82に取り付けられる表示装置160を示す図である。表示装置160は、例えばハンドル82の左グリップの近傍に取り付けられ、コントローラ120と情報の送受信を行い、乗員に各種情報を提示する。表示装置160は例えば液晶パネルを有し、表示部161には、電動補助自転車10の速度、バッテリ106の残容量、アシスト比を変動させる範囲に関する情報、アシストモード、台車14の接続の有無及びその他の走行情報を含む情報が表示される。また、乗員が表示装置160のアシストモード操作部162を操作することにより、アシストモードを変更することができる。
表示部161は、速度表示部161a、バッテリ残容量表示部161b、アシスト比変動範囲表示部161c、アシストモード表示部161d及び台車の接続情報を報知する台車接続情報表示部161eを有する。表示部161は、それらの情報等を乗員に報知する報知部として機能し、この例では情報を表示するが、音声を出力して乗員に報知してもよい。
速度表示部161aには、電動補助自転車10の速度が数字で表示される。本実施形態の場合、電動補助自転車10の速度は、前輪車速センサ87によって検出される。
バッテリ残容量表示部161bには、バッテリ106からコントローラ120に出力される電池残容量の情報に基づいて、バッテリ106の残容量がセグメントによって表示される。これにより、バッテリ106の残容量を直感的に把握することができる。
アシスト比変動範囲表示部161cには、コントローラ120が設定したアシスト比を変動させる範囲がセグメントによって表示される。また、その変動範囲において現在実行中のアシスト比をさらに表示してもよい。
アシストモード表示部161dには、乗員がアシストモード操作部162を操作して選択したアシストモードが表示される。アシストモードが“強”、“標準”、“オートエコ”のうちいずれか一つの場合には、アシストモード表示部161dは、各モードに対応する表示部分を表示する。
台車接続情報表示部161eには、自転車本体12と台車14とが接続されている場合、台車14の接続を知らせる台車マークが表示され、乗員は台車14が接続されていることを認識することができるとともに、台車14が接続されている場合のアシスト比でアシストを受けることを認識することができる。自転車本体12と台車14とが接続されていない場合、台車マークは表示されず、これにより乗員は台車14が接続されていないことを認識することができるとともに、台車14が接続されていない場合のアシスト比でアシストを受けることを認識することができる。
また、表示装置160は、乗員に必要な情報を音により発信する報知部163をさらに備える。報知部163は、台車14の接続の有無の検出結果の変化およびアシスト比を変動させる範囲の変化のうちの少なくとも一方が発生した場合にそのことを乗員に報知する。例えば、自転車本体12と台車14とが接続された状態での走行中に、自転車本体12から台車14が外れたことが検出された場合、台車14が外れたことを乗員に音で報知することで、乗員はそのことを素早く認識することができる。また、コントローラ120がアシスト比を変動させる範囲を変化させたとき、そのことを乗員に音で報知することで、乗員は表示装置160を目視しなくても、アシスト比を変動させる範囲が変化したことを素早く認識することができる。
(実施形態2)
次に、図10から図15を用いて、本発明の実施形態2に係る電動補助自転車10を説明する。実施形態1に係る電動補助自転車10と共通の構成要素には同じ参照符号を付し、同じ説明の繰り返しは省略する。
本実施形態では、台車接続検知センサ140は、自転車本体12に接続された台車14の種類を検出する。コントローラ120は、検出した台車14の種類に応じて、アシスト比を変更する。また、検出した台車14の種類に応じて、アシスト比を変動させる範囲を変更する。例えば、検出した台車14の種類に応じてアシスト比を変動させる範囲の上限を変更する。
例えば、台車14の種類は、台車14の最大積載量によって区別される。最大積載量が異なると、荷物を積載した台車14の総重量も異なることになる。台車14の最大積載量に関わらずアシスト比が同じである場合、乗員は適切なアシストを得られない場合がある。例えば、最大積載量が大きい台車14に基づいてアシスト比を設定すると、最大積載量が小さい台車14が接続されたときの補助動力が過剰になってしまうことになる。また、例えば、最大積載量が小さい台車14に基づいてアシスト比を設定すると、最大積載量が大きい台車14が接続されたときの補助動力が不足することになる。
本実施形態では、台車接続検知センサ140は、自転車本体12に接続された台車14の最大積載量を検出する。コントローラ120は、検出した最大積載量に応じてアシスト比を変更する。このとき、コントローラ120は、検出した台車14の最大積載量が小さい場合よりも大きい場合におけるアシスト比を大きく設定する。
例えば、コントローラ120の補助力演算部123(図5)は、最大積載量が大きい台車14が接続された場合は、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:3以下に設定し、最大積載量が小さい台車14が接続された場合は、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:2.5以下に設定する。これら設定した上限以下で、コントローラ120はアシスト比を変動させる。これにより、台車14の最大積載量に応じた適切な補助動力を提供することができる。
また、例えば、自転車本体12に台車14が接続されたときに、アシスト比を変動させる範囲の上限を1:3と設定する構成の場合は、その上限が1:3という条件の下で、最大積載量に応じてアシスト比を異ならせてもよい。例えば、最大積載量が大きい台車14が接続された場合は、アシスト比を1:2.9に設定し、最大積載量が小さい台車14が接続された場合は、アシスト比を1:2.5に設定してもよい。
なお、上記のアシスト比の値は一例であり、別の値が設定されてもよい。
次に、台車接続検知センサ140が台車14の種類を検出する動作を説明する。図10は、自転車本体12と台車14との連結動作を示す図である。図10(a)は、台車14のスタンド部材382の鉤状部422が、自転車本体12の連結ユニット370のカラー370b(図2、図4)をロックしていない状態を示している。図10(b)は、使用者がハンドル部432(図4)を操作することによって、スタンド部材382の補助輪428が地面から離れるとともに、鉤状部422がカラー370bの前方に移動し、カラー370bが凹部482(図3)から抜け出てしまわないようにカラー370bをロックした状態を示している。スタンド部材382は、スタンド部材382における台車14の左側部分と右側部分とを接続するクロスメンバ382aを備える。
台車14は、最大積載量に対応した固有情報を有しており、台車接続検知センサ140は、その固有情報に基づいて最大積載量を検出する。例えば、台車14は、最大積載量に対応した電気抵抗値を有しており、台車接続検知センサ140は、その電気抵抗値を検出することにより最大積載量を検出する。
例えば、図10に示すように、スタンド部材382のクロスメンバ382aに抵抗器231が設けられ、台車接続検知センサ140は連結ユニット370のブラケット370aに設けられる。抵抗器231は最大積載量に対応した固有の抵抗値を有している。
図10(b)に示す自転車本体12と台車14をロックした状態では、抵抗器231の端子232は台車接続検知センサ140と電気的に接続され、台車接続検知センサ140は、抵抗器231の抵抗値に応じた電圧値を検出することにより、台車14の最大積載量を検出することができる。
なお、台車接続検知センサ140および抵抗器231の配置位置は一例であり、台車14の接続時に互いに電気的に接続される位置関係であればよい。また、抵抗器231と接続されるセンサは、台車接続検知センサ140とは別に設けられてもよい。
図11(a)は、抵抗値R1の抵抗器231を備えた台車14が自転車本体12に接続された状態を示している。図11(b)は、抵抗値R2の抵抗器231を備えた台車14aが自転車本体12に接続された状態を示している。図11(c)は、抵抗値R3の抵抗器231を備えた台車14bが自転車本体12に接続された状態を示している。台車14、14aおよび14bは互いに最大積載量が異なっており、それに応じて抵抗値R1、R2、R3も互いに異なっている。
図11の回路例では、抵抗器231の一端は台車接続検知センサ140の抵抗器145に接続され、他端はGNDに接続される。抵抗器145の他端には電圧Vが印加される。
抵抗器231の抵抗値をRn(nは1以上の整数)とし、抵抗器145の抵抗値をR0とすると、検出電圧Vrは以下の式(1)で表される。
図12は、抵抗器231の抵抗値Rnと検出電圧Vrとの関係を示す図である。図12の例では、抵抗値R0を10(kΩ)、印加電圧Vを5(V)としている。図12に示すように、抵抗値Rnが異なれば検出電圧Vrも異なる値となる。このため、最大積載量に応じて抵抗値Rnを異ならせることにより、検出電圧Vrから最大積載量を把握することができる。
なお、台車が有する最大積載量に対応した固有情報は可変であってもよい。例えば、抵抗器231は可変抵抗器であってもよい。図13(a)から図13(c)は、可変抵抗器231を備えた台車14、14aおよび14bを示す図である。
台車に積む荷物の量は多いときもあれば少ないときもある。最大積載量に対応したアシスト比は、例えば荷物の量が多い場合を想定したアシスト比であり得る。このアシスト比を荷物が少ない場合に適用すると、補助動力が過剰になる可能性がある。そのため、荷物が少ないときは、使用者が可変抵抗器231を操作することにより抵抗値を変更し、アシスト比を任意に調整してもよい。
また、台車14が有する最大積載量に対応した固有情報は、静電容量であってもよく、台車接続検知センサ140は、その静電容量を検出することにより最大積載量を検出してもよい。
図14(a)は、静電容量C1のコンデンサ233を備えた台車14が自転車本体12に接続された状態を示している。図14(b)は、静電容量C2のコンデンサ233を備えた台車14aが自転車本体12に接続された状態を示している。図14(c)は、静電容量C3のコンデンサ233を備えた台車14bが自転車本体12に接続された状態を示している。台車14、14aおよび14bは互いに最大積載量が異なっており、それに応じて静電容量C1、C2およびC3も互いに異なっている。
コンデンサ233は、例えば、図11に示す抵抗器231の代わりに、スタンド部材382のクロスメンバ382aに設けられる。自転車本体12と台車14をロックしたときに、コンデンサ233は台車接続検知センサ140と電気的に接続され、台車接続検知センサ140は、コンデンサ233の静電容量に応じた電圧値を検出することにより、台車14の最大積載量を検出することができる。
図14の回路例では、コンデンサ233の一端は台車接続検知センサ140の抵抗器145に接続され、他端はGNDに接続される。抵抗器145の他端にはスイッチ素子147を介して電圧Vが印加される。
コンデンサ233の静電容量をCnとし、抵抗器145の抵抗値をR0とし、電圧Vの印加時間をtとすると、検出電圧Vc(t)は以下の式(2)で表される。
図15は、コンデンサ233の静電容量Cnと検出電圧Vc(t)との関係を示す図である。図15の例では、抵抗値R0を10(kΩ)、印加電圧Vを5(V)としている。図15に示すように、静電容量Cnが異なれば検出電圧Vc(t)の変化の仕方も異なる。このため、最大積載量に応じて静電容量Cnを異ならせることにより、検出電圧Vc(t)から最大積載量を把握することができる。
また、台車14の種類は、台車14に載せる荷物の種類によって区別されてもよい。この場合、例えば、抵抗値Rnおよび静電容量Cnは、荷物の種類に応じて異なる値が設定されてもよい。荷物の種類は、例えば、通常荷物、冷蔵の荷物、精密機器等である。台車接続検知センサ140は、抵抗値Rnまたは静電容量Cnに基づいて台車14に載せる荷物の種類を検出し、コントローラ120は、検出した荷物の種類に応じてアシスト比あるいはアシスト比を変動させる範囲の上限を変更する。これにより、荷物の種類に応じた適切な補助動力を提供することができる。
なお、上記の説明では、最大積載量が互いに異なる3種類の台車14、14a、14bを例示したが、台車の種類は2種類であってもよいし、4種類以上であってもよい。この場合も、最大積載量に応じて抵抗値Rnまたは静電容量Cnを異ならせることにより、検出電圧から最大積載量を把握することができる。
上記の最大積載量を検出する回路では、台車14が備える電子部品は抵抗器またはコンデンサ1個であり、自転車本体12が備える電子部品は抵抗器1個または抵抗1個とスイッチ回路1個であるため、シンプルな構成で、且つ低コストおよび小スペースの構成で最大積載量を検出することができる。上記回路では、部品点数が少なく、また、半田接合部も少ないので、故障の発生頻度が少なくなり、信頼性を高めることができる。また、台車14側の端子をテスタで測定すれば故障の判定が可能であるため、メンテナンスも容易である。
(実施形態3)
次に、図16から図25を用いて、本発明の実施形態3に係る電動補助自転車10を説明する。実施形態1および2に係る電動補助自転車10と共通の構成要素には同じ参照符号を付し、同じ説明の繰り返しは省略する。
本実施形態では、自転車本体12には複数の台車14が接続され、コントローラ120は、接続された複数の台車14の最大積載量を合計した値に応じてアシスト比を変更する。また、その最大積載量を合計した値に応じて、アシスト比を変動させる範囲を変更する。例えば、その最大積載量を合計した値に応じて、アシスト比を変動させる範囲の上限を変更する。
図16は、本実施形態に係る台車14の上面図であり、図17は、その台車14の側面図である。台車14は、台車同士を連結する連結器241を備える。連結器241を支持するブラケット243が台車14のクロスメンバ390および392に固定されている。
連結器241は軸部245を中心に回動可能なようにブラケット243に支持されている。このため、図18に示すように、連結器241の未使用時は上方向に折りたたんでおくことで、連結器241が邪魔にならないようにすることができる。
連結器241の端部には連結ユニット370および372が設けられている。この連結器241の連結ユニット370および372は、図2に示す自転車本体12の連結ユニット370および372と同じ構成を有している。このため、図19に示すように、連結器241の連結ユニット370および372を、他の台車14の第2ユニット450の凹部482に嵌めることで、台車14同士を接続することができる。
台車14同士をロックする機構および動作は、自転車本体12と台車14をロックする機構および動作と同じである。このため、複数の台車14のそれぞれは、単独で自転車本体12に接続して使用することもできるし、互いに連結して使用することもでき、用途に応じて自由に使い分けることができる。
また、図20の連結器241の上面図のように、連結器241は、軸部247を中心にスイング可能であってもよく、これにより、連結時の走行安定性を向上させることができる。
本実施形態では、台車14の抵抗器231(図10)は、同じ台車の連結器241の連結ユニット370に設けられた台車接続検知センサ140に電気的に接続される。これにより、自転車本体12に複数の台車14が接続されたとき、複数の台車14の抵抗器231は互いに電気的に接続される。自転車本体12の台車接続検知センサ140は、互いに電気的に接続された複数の抵抗器231の合成抵抗値に応じて、接続された複数の台車14の最大積載量を合計した値を検出することができる。
図21は、抵抗器231を備えた複数の台車14、14−2、・・・、14−nが自転車本体12に連結された状態を示している。例えば、台車14、14−2、・・・、14−nは互いに最大積載量が異なっており、それに応じて抵抗値R1、R2、・・・、Rnも互いに異なっている。例えば、台車14、14−2、・・・、14−nのそれぞれの最大積載量をM1(kg)、M2(kg)、・・・、Mn(kg)としたとき、それぞれの抵抗値を1/M1、1/M2、・・・、1/M1の比の抵抗値とすることで、検出電圧Vrから、最大積載量の合計値を把握することができる。
検出電圧Vrは以下の式(3)で表される。
M1+M2+・・・+Mnは連結された台車の合計の最大積載量であり、最大積載量の合計値をMaで表すと、検出電圧Vrは以下の式(4)で表わすことができる。
図22は、最大積載量の合計値Maに対応する抵抗値と検出電圧Vrとの関係を示す図である。図22の例では、抵抗値R0を0.1(Ω)、印加電圧Vを5(V)としている。図22に示すように、最大積載量の合計値Maが異なれば検出電圧Vrも異なる値となる。このため、検出電圧Vrから最大積載量の合計値Maを把握することができる。
なお、連結する台車14の最大積載量が互いに同じである場合は、抵抗器231の抵抗値を同じ値にしておくことで、複数の抵抗器231の合成抵抗値に応じた検出電圧Vrから台車の接続台数を検出することができる。この場合は、コントローラ120は、検出した台車14の台数に応じてアシスト比を変更する。また、検出した台数に応じてアシスト比を変動させる範囲を変更する。例えば、検出した台数に応じてアシスト比を変動させる範囲の上限を変更する。このとき、コントローラ120は、検出した台数が少ない場合よりも多い場合におけるアシスト比あるいはアシスト比を変動させる範囲の上限を大きく設定する。例えば、検出した台車14の台数がh(hは1以上の整数)台の場合よりもh+1台の場合におけるアシスト比あるいはアシスト比を変動させる範囲の上限を大きく設定する。これにより、台車14の接続台数に応じた適切な補助動力を提供することができる。
なお、抵抗器231は可変抵抗器であってもよい。図23は、可変抵抗器231を備えた台車14、14−2、・・・、14−nを示す図である。各台車に積む荷物の量は多いときもあれば少ないときもある。最大積載量の合計値に対応したアシスト比は、例えば荷物の量が多い場合を想定したアシスト比であり得る。このアシスト比を荷物が少ない場合に適用すると、補助動力が過剰になる可能性がある。そのため、荷物が少ないときは、使用者が可変抵抗器231を操作することにより抵抗値を変更し、アシスト比を任意に調整してもよい。
また、台車14が有する最大積載量に対応した固有情報は、静電容量であってもよく、台車接続検知センサ140は、その静電容量の合成容量を検出することにより最大積載量の合計値を検出してもよい。
図24は、コンデンサ233を備えた複数の台車14、14−2、・・・、14−nが自転車本体12に連結された状態を示している。例えば、台車14、14−2、・・・、14−nは互いに最大積載量が異なっており、それに応じて静電容量C1、C2、・・・、Cnも互いに異なっている。例えば、台車14、14−2、・・・、14−nのそれぞれの最大積載量をM1(kg)、M2(kg)、・・・、Mn(kg)としたとき、それぞれの静電容量をそれに比例した値とすることで、検出電圧Vrから、最大積載量の合計値を把握することができる。
コンデンサ233は、例えば、図10に示す抵抗器231の代わりに、スタンド部材382のクロスメンバ382aに設けられる。本実施形態では、台車14のコンデンサ233は、同じ台車の連結器241の連結ユニット370に設けられた台車接続検知センサ140に電気的に接続される。これにより、自転車本体12に複数の台車14が接続されたとき、複数の台車14のコンデンサ233は互いに電気的に接続される。
検出電圧Vc(t)は、以下の式(5)および式(6)で表される。
M1+M2+・・・+Mnは連結された台車の合計の最大積載量であり、最大積載量の合計値をMaで表すと、検出電圧Vc(t)は以下の式(7)で表わすことができる。
図25は、最大積載量の合計値Maに対応する静電容量と検出電圧Vc(t)との関係を示す図である。図25の例では、抵抗値R0を10(kΩ)、印加電圧Vを5(V)としている。図25に示すように、静電容量が異なれば検出電圧Vc(t)の変化の仕方も異なる。このため、検出電圧Vc(t)から最大積載量の合計値Maを把握することができる。
なお、上記説明では、最大積載量が互いに異なるn台の台車が連結される例を示したが、連結される台車の台数は2台であってもよい。この場合も、合成抵抗値または合成容量に応じた検出電圧から最大積載量の合計値Maを把握することができる。
上記の最大積載量の合計値を検出する回路では、1台の台車14が備える電子部品は抵抗器またはコンデンサ1個であり、自転車本体12が備える電子部品は抵抗器1個または抵抗1個とスイッチ回路1個であるため、シンプルな構成で、且つ低コストおよび小スペースの構成で最大積載量の合計値を検出することができる。上記回路では、部品点数が少なく、また、半田接合部も少ないので、故障の発生頻度が少なくなり、信頼性を高めることができる。また、台車14側の端子をテスタで測定すれば故障の判定が可能であるため、メンテナンスも容易である。
また、複数の台車を連結した場合でも、シンプルな1次式で電圧値を計算できるため、最大積載量の合計等の算出をシンプルな回路構成および/またはソフトウェアで行うことができる。
なお、上記実施形態1から3の説明において、電動補助車両として3輪の自転車を例示したが、本発明はそれに限定されず、例えば2輪の電動補助車両であってもよいし、4輪以上の電動補助車両であってもよい。
また、上記実施形態1から3の説明において、台車の一例として、リヤカーのように車両の後方に接続される形態を示したが、本発明はそれに限定されず、例えばサイドカーのように車両の側方に接続されてもよい。あるいは、車両の前方に接続されてもよい。
また、上記実施形態1から3の説明において、荷物運搬台車を例示したが、本発明はそれに限定されず、例えば台車に人(または動物)等の荷物以外のものが乗ってもよい。
また、上記実施形態1から3の説明で示したアシスト比の制御および接続検出等の動作は、ハードウエアによって実現されてもよいしソフトウェアによって実現されてもよいし、それらの組み合わせによって実現されてもよい。そのような動作を実行させるコンピュータプログラムは、例えば電動補助自転車10に設けられたメモリに記憶され、コントローラ120(コンピュータ)によって動作が実行される。また、そのようなコンピュータプログラムは、それが記録された記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)から電動補助自転車10へインストールしてもよいし、インターネット等の電気通信回線を介してダウンロードしてもよい。また、無線通信を介してそのようなコンピュータプログラムを電動補助自転車10へインストールしてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明した。上述の実施形態の説明は、本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。また、上述の実施形態で説明した各構成要素を適宜組み合わせた実施形態も可能である。本発明は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において、改変、置き換え、付加および省略などが可能である。