JP5880376B2 - 複合タングステン酸化物微粒子分散液 - Google Patents
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Description
一方、本出願人は特許文献13において、表面修飾による複合タングステン酸化物微粒子の表面性状を最適化する技術を開示した。
一方、透明成形体表面に、金属または金属酸化物を直接蒸着してなる熱線遮蔽板も数多く提案されている。しかし、当該熱線遮蔽板の製造に際しては、高真空で精度の高い雰囲気制御を要する装置が必要となるため、量産性が悪く汎用性に乏しいという問題を有していた。
具体的には、注型重合で製造されて得られる成形体が、優れた熱線遮蔽機能を有してはいるものの、ヘイズ(曇り度)が高くなり意匠性が低下してしまうという課題を見出したものである。勿論、意匠性の観点から、注型重合で製造されて得られる成形体においても、ヘイズが低いことが求められる。
アクリル樹脂を注型重合で成形する場合、原料となるアクリル単量体中に上述の複合タングステン酸化物の微粒子を均一に分散させることが、ヘイズが低く意匠性に優れた成形体を製造するためには重要である。即ち、本発明者らは、複合タングステン酸化物微粒子を、アクリル単量体中で分散性の良いものとすること、ならびに、アクリル単量体と容易に混合する形態での複合タングステン酸化物微粒子の提供が求められることに想到した。
特許文献13は、複合タングステン酸化物微粒子分散体の製造方法、および当該分散体を用いた成形体の製造方法、並びに成形体を開示している。そして、特許文献13の開示により、複合タングステン酸化物の微粒子の分散性が改善された成形体を得ることが出来、意匠性の改善を図ることが出来た。
本発明者らは、当該溶解操作を行う為に、複合タングステン酸化物分散液に想到した。そして、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液を調製したが、含有する複合タングステン酸化物微粒子の凝集や、含有するアクリル単量体の自然重合により、保存安定性に欠けるという課題も見出した。
即ち、本発明が解決しようとする課題は、優れた熱線遮蔽能を有しながら、ヘイズが低く意匠性に優れた成形体を、注入重合により製造でき、保存安定性にも優れた複合タングステン酸化物微粒子分散液を提供することである。
そして、注入重合されたアクリル樹脂成形体においてヘイズが高くなるのは、複合タングステン酸化物の微粒子に対し吸着効果のある官能基を有するアクリル高分子化合物分散剤と、複合タングステン酸化物の微粒子とを均一に分散させた分散粉を、メチルメタクリレート単量体に溶解させて溶解物とした後に、当該溶解物を鋳型へ注入して重合した為であることに想到した。つまり、当該注入重合の過程において、複合タングステン酸化物の微粒子の凝集体が形成され、分散性が不十分となった為であると推論したものである。
そして、メチルメタクリレートを主溶媒とし、複合タングステン酸化物の微粒子と、ポリアルキルイミン型高分子化合物とに加えて、メチルメタクリレートを主成分とする単量体との相溶性を有するアクリル高分子化合物を含有した複合タングステン酸化物微粒子分散液であれば、注型重合の過程においても前記複合タングステン酸化物の微粒子の凝集体が生成せず、分散性が保持されることを見出した。
さらに当該複合タングステン酸化物微粒子分散液におけるメチルメタクリレート含有量を所定範囲とし、添加量を所定範囲とした重合禁止剤を混合することで、複合タングステン酸化物微粒子分散液の長期保存安定性が、優れたものになることをも知見し、本発明を完成するに至った。
一般式CsxWyOz(但し、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物の微粒子と、メチルメタクリレートを主成分とする単量体と、重合禁止剤と、ポリアルキルイミン型高分子化合物と、アクリル高分子化合物とを含み、
前記メチルメタクリレートを主成分とする単量体の含有量が、前記複合タングステン酸化物1重量部に対して1.5重量部〜5000重量部であり、
前記重合禁止剤の含有量が、前記メチルメタクリレートを主成分とする単量体に対して5ppm〜100ppmであり、
ラジカル重合開始剤を含まないことを特徴とする複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物の微粒子の分散粒子径が、500nm以下であることを特徴とする第1の発明に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
第3の発明は、
前記重合禁止剤が、ヒドロキノン、メトキノン、6−tert−ブチル−2,4−キシレノールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
第4の発明は、
前記ポリアルキルイミン型高分子化合物が、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、4−ヒドロキシドデカン酸から選択される少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸と、6ヒドロキシへキサン酸とを、繰り返し単位としたポリカルボニルアルキレンオキシ鎖を側鎖に有し、構造中にアミノ基を有するグラフト共重合体であることを特徴とする第1〜第3の発明のいずれかに記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
第5の発明は、
前記ポリアルキルイミン型高分子化合物の添加量が、前記複合タングステン酸化物1重量部に対して0.01重量部〜5重量部であることを特徴とする第4の発明に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
第6の発明は、
前記アクリル高分子化合物が、(メタ)アクリル酸と、炭素数1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、スチレンとの共重合体であることを特徴とする第1〜第5の発明のいずれかに記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
第7の発明は、
前記アクリル高分子化合物の添加量が、前記複合タングステン酸化物1重量部に対して、0.46重量部〜50重量部であることを特徴とする第6の発明に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液である。
本発明に用いる複合タングステン酸化物の微粒子(A)は、熱線遮蔽効果を発現する成分であり、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物の微粒子である。
上述した複合タングステン酸化物の微粒子(A)は、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)によって表面が被覆されていることが必要である。
ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)の添加量が、複合タングステン酸化物の微粒子(A)1重量部に対して、0.01重量部以上あれば、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)によって複合タングステン酸化物の微粒子(A)の表面が被覆され、複合タングステン酸化物の微粒子(A)を均一に分散することができ好ましい。また、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)の添加量が、複合タングステン酸化物の微粒子(A)1重量部に対して、5重量部以下であれば、製造される成形体におけるヘイズ値の上昇を回避出来る。
具体的には、まず、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、及び4−ヒドロキシドデカン酸から選択される少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸と、6ヒドロキシへキサン酸とを繰り返し単位としたポリカルボニルアルキレンオキサイドを合成する。
次に、当該ポリカルボニルアルキレンオキサイドへ、ポリエチレンイミンを加え、ポリエチレンイミンのアミノ基と、ポリカルボニルアルキレンオキサイドのカルボキシル基との、脱水反応を利用することで、酸アミド結合を有するポリアルキルイミン型高分子化合物(B)の1例である、ポリカルボニルアルキレンオキシ鎖を側鎖に有し、構造中にアミノ基を有するグラフト共重合体を得ることが出来る。
本発明に用いるアクリル高分子化合物(C)は、上述したポリアルキルイミン型高分子化合物(B)に相溶性を有し、後述するメチルメタクリレートを主成分とする単量体との相溶性を有する凝集防止剤である。
本発明者等は、上記凝集防止剤を含む樹脂組成物を用いた製造した成形体は、屋外で使用中に受ける雨水などに対する耐候性も良好であることを知見した。これは、上記アクリル高分子化合物(C)が、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)に相溶性を有していることで、上記分散体中において、複合タングステン酸化物の微粒子(A)が凝集体を形成し難くなって分散性が向上した結果であると考えられる。
さらに、上記アクリル高分子化合物(C)が、後述するメチルメタクリレートを主成分とする単量体と相溶性を有していることで、上記樹脂組成物を用いた成形体のヘイズ(曇り度)が抑制され、製造される成形体の意匠性が高まることを知見した。
本発明において、メチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)とは、メチルメタクリレート単独、または、メチルメタクリレート50〜100重量部に対し、メチルメタクリレートと共重合可能な不飽和単量体を50〜0重量部含む混合物のことを示す。
例えば、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートのごとき、アルキルジオールジアクリレートやアルキルジオールジメタクリレート類、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートのごとき、多価アルコールのメタクリレートやメタクリレート類、
ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートのごとき芳香族多官能単量体、
アリルグリジシルエーテル、グリジシルアクリレート、グリジシルメタクリレートなどの、エポキシ基含有単量体、などがある。これらの単量体は、2種以上併用することも出来る。
また、当該メチルメタクリレートを主成分とする単量体の含有量が1.0重量部を超えて、好ましくは1.5重量部以上あれば、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の長期保管においても、上記複合タングステン酸化物の凝集を抑制し、製造される成形体におけるヘイズ値の上昇を回避出来る。さらに複合タングステン酸化物微粒子分散液の粘度が高くなることも回避出来、取り扱いが容易になる観点からも好ましい。
本発明に用いる重合禁止剤(E)としては、ヒドロキノン、メトキノン、6−tert−ブチル−2,4−キシレノールなどを挙げることが出来る。これら重合禁止剤を2種類以上併用することも出来る。
本発明では重合禁止剤(E)の含有量を、メチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)の重量に対して、5ppm〜100ppmの添加量とすることが好ましい。
重合禁止剤(E)の含有量がメチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)に対して5ppmよりも多ければ、メチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)の自然重合を抑制し、複合タングステン酸化物微粒子分散液における粘度の急激な増加を回避出来る。この結果、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の長期保管が可能となった。
重合禁止剤(E)の含有量がメチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)に対して100ppmよりも少なければ、複合タングステン酸化物微粒子分散液におけるヘイズの上昇を回避出来る。複合タングステン酸化物微粒子分散液におけるヘイズの上昇を回避出来れば、製造される成形体におけるヘイズ値の上昇を回避出来る。
従って、複合タングステン酸化物微粒子分散液を低いヘイズの状態で保存する必要性を示している。
さらに、重合禁止剤(E)の含有量がメチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)に対して100ppmよりも少ないことで、複合タングステン酸化物微粒子分散液を用いて成形体を作製した際に、太陽光線に含まれる紫外線により成形体が劣化し易くなる事態を回避出来る。具体的には紫外線により成形体が黄変し、意匠性を損なう事態を回避出来好ましい。
メチルメタクリレートを主成分とする単量体(D)中へ、複合タングステン酸化物(A)ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)およびアクリル高分子化合物(C)を添加、混合しても、本発明に係る複合タングステン酸化物分散液を得ることは出来ない。
上述したポリアルキルイミン型高分子化合物(B)で被覆された複合タングステン酸化物の微粒子の分散液へ、炭化水素溶剤に可溶でメチルメタクリレートを主成分とする単量体との相溶性を有するアクリル高分子化合物(C)を添加混合し、混合液とする。
そして、得られた当該混合液から前記炭化水素溶剤を揮散させる。このとき、得られた混合液から炭化水素溶剤)を揮散する工程と並行して、または、当該炭化水素溶剤を揮散する工程の後に、らいかい機等の汎用的に用いられる粉砕・解砕機を用いて残留物を解砕することにより、粉状の複合タングステン酸化物微粒子分散体を得ることが出来る。
なお、上述した炭化水素溶剤として、トルエン、キシレン等を例示することが出来る。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を、メチルメタクリレートを主成分とする単量体で希釈し、ラジカル重合開始剤を加えて鋳型内で注入重合させることで、本発明に係るアクリル樹脂成形体を得ることが出来る。
当該アクリル樹脂の成形体では、複合タングステン酸化物の微粒子(A)1重量部に対し、アクリル樹脂が、例えば5000重量部となるように、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を、メチルメタクリレートを主成分とする単量体で希釈する。
当該注入重合による成形方法は、公知の方法でよい。尤も、板状の成形体を製造するのであれば、セルキャスト、連続セルキャストなどのキャスト重合法が便宜である。具体的には、セル鋳型として2枚のガラス板とガスケットとで作製されたガラスセル、またはステンレス板のような金属製の2枚のエンドレスエンドレスベルトとガスケットとで作製された連続スチールセルなどを用いる方法である。
さらに、必要に応じて当該添加混合物へ、成形体の耐久性や強度の向上を目的としてメチルメタクリレートを主体とする多官能性単量体、ヒンダードフェノール系、リン系等の安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、トリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート等の紫外線吸収剤、リン酸エステル系、フェノール系等の酸化防止剤、ヒンダートアミン系光安定剤、カップリング剤、界面活性剤、帯電防止剤、離型剤、難燃化剤等を添加混合しても良い。
このため、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を使用することで、優れた熱線遮蔽能を有する、本発明に係る成型体を得ることが出来る。
本発明に係る成型体は、複合タングステン酸化物の微粒子(A)の分散性が良好であり、さらに、アクリル高分子化合物(C)を使用していることから、屋外で使用中に受ける雨水などに対する耐候性も良好である。したがって、建築物の屋根材、壁材、自動車、電車、航空機などの開口部に使用される窓材、アーケード、天井ドーム、カーポート等に広く利用されるアクリル樹脂成形体に優れた熱線遮蔽能に加えて意匠性を付与することが出来るため、幅広い分野で利用することが出来る。
本実施例において得られた成形体の光学特性評価に関し、ヘイズH(単位:%)は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製)を使用し、JIS K 7136に準拠して測定した。また、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)は、光路長1mmの石英セルを使用し、分光光度計U−4000(日立製作所製)を使用して測定した。
複合タングステン酸化物の微粒子(A)として粒径1〜3μmの複合タングステン酸化物Cs0.33WO3170gと、炭化水素溶剤としてトルエン1762gとを、攪拌して混合物とした。当該混合物へ、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)としてS24000GR(日本ルーブリゾール社製)68gを添加し、スラリーを調製した。このスラリーをビーズとともに媒体攪拌ミルに投入し、スラリーを循環させて粉砕分散処理を行い、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)で被覆された複合タングステン酸化物の微粒子分散液を得た(以下、α液と略記する)。当該ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)で被覆された複合タングステン酸化物の微粒子の分散粒子径は90nmであった。
上記α液10gと、β液5.53gとを混合した。そして、得られた混合液からトルエンを揮散させて、アクリル高分子化合物(C)中に、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)で被覆された複合タングステン酸化物の微粒子(A)が均一に分散している分散体を得た(以下、γ液と略記する)。
上記γ液からの炭化水素溶剤の揮散は、当該炭化水素溶剤の沸点以下の温度で加熱しながら5kPa以下の雰囲気下で減圧蒸留し、当該炭化水素溶剤を揮散させた。
当該分散体には複合タングステン酸化物の微粒子(A)1重量部に対して、ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)が0.4重量部、アクリル高分子化合物(C)が2.6重量部含有されている。そして、当該複合タングステン酸化物微粒子分散体をらいかい機で解砕し粉状物にした。
重合禁止剤(E)としてヒドロキノンを50ppm含有するメチルメタクリレート単量体へ、上記合タングステン酸化物微粒子分散体を溶解させ溶解物を得た。当該メチルメタクリレート単量体(D)の添加量は、当該溶解物中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が1質量%になるように調整し、複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。
当該溶解物を真空脱気した後、2枚のガラス板とポリ塩化ビニルのガスケットとで作製したキャスト用セルに注入した。そして、当該キャスト用セルを65℃の湯浴中で6時間保持して溶解物を重合させ、さらに、120℃の空気浴中で2時間重合させ、60×50×2mmのシート状成形体を得た。
尚、上述した、溶解物中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量を0.06質量%としたのは、当該得られたシート状成形体の可視光透過率を75%となるように設定する為である。得られたシート状成形体における複合タングステン酸化物含有量は、0.06質量%であった。
得られた成形体の光学特性として、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)、ヘイズH(単位:%)を評価した。当該評価結果を、表2に示す。
複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が5質量%になるようにメチルメタクリレート単量体(D)の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が10質量%になるようにメチルメタクリレート単量体(D)の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が12.5質量%になるようにメチルメタクリレート単量体(D)の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が15質量%になるようにメチルメタクリレート単量体(D)の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が17.5質量%になるようにメチルメタクリレート単量体(D)の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
重合禁止剤(E)としてメトキノンを5ppm含有するメチルメタクリレート単量体(D)を使用した以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
重合禁止剤(E)として6−tert−ブチル−2,4−キシレノール(トパノールA)を5ppm含有するメチルメタクリレート単量体(D)を使用した以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
アクリル高分子化合物(C)としてダイヤナールBR−87を使用した以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
ポリアルキルイミン型高分子化合物(B)としてS32000を使用し、アクリル高分子化合物(C)としてダイヤナールBR−87を使用した以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
実施例1のα液作製時のポリアルキルイミン型高分子化合物(B)の添加量を680gに変更してα’液を得て、α’液10gと、β液137.5gを混合した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
実施例1のα液作製時のポリアルキルイミン型高分子化合物(B)の添加量を59.5gに変更してα’’液を得て、α’’液1gと、β液0.85gを混合した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
アクリル高分子化合物(C)を使用しない以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の微粒子(A)の含有量が20質量%になるようにメチルメタクリレート単量体(D)の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
重合禁止剤(E)としてヒドロキノンを200ppm含有するメチルメタクリレート単量体(D)を使用した以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
重合禁止剤(E)としてヒドロキノンを3ppm含有するメチルメタクリレート単量体(D)を使用した以外は実施例2と同様にして複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。ヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を実施例1と同様に評価した。当該評価結果を、表1に示す。
さらに、25℃の暗室で1ヶ月保管した複合タングステン酸化物微粒子分散液を使用して、実施例1と同様にしてシート状成形体を作製し、得られた成形体のヘイズH(単位:%)、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)を評価した。当該評価結果を、表2に示す。
本発明の範囲内である実施例1〜12に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液では、メチルメタクリレートを主成分とする単量体と混合して希釈した場合、72.4〜74.4%の可視光透過率を示す一方、32.5〜34.2%の日射透過率を示し、優れた日射遮蔽機能を示した。そして、このときのヘイズは0.9〜1.1%に留まり、1ヶ月の保管の後にもヘイズおよび粘度の変化が少ない、長期安定性に優れた分散液が得られている。
Claims (7)
- 一般式CsxWyOz(但し、Csはセシウム、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物の微粒子と、メチルメタクリレートを主成分とする単量体と、重合禁止剤と、ポリアルキルイミン型高分子化合物と、アクリル高分子化合物とを含み、
前記メチルメタクリレートを主成分とする単量体の含有量が、前記複合タングステン酸化物1重量部に対して1.5重量部〜5000重量部であり、
前記重合禁止剤の含有量が、前記メチルメタクリレートを主成分とする単量体に対して5ppm〜100ppmであり、
ラジカル重合開始剤を含まないことを特徴とする複合タングステン酸化物微粒子分散液。 - 前記複合タングステン酸化物の微粒子の分散粒子径が、500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液。
- 前記重合禁止剤が、ヒドロキノン、メトキノン、6−tert−ブチル−2,4−キシレノールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液。
- 前記ポリアルキルイミン型高分子化合物が、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、4−ヒドロキシドデカン酸から選択される少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸と、6ヒドロキシへキサン酸とを、繰り返し単位としたポリカルボニルアルキレンオキシ鎖を側鎖に有し、構造中にアミノ基を有するグラフト共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液。
- 前記ポリアルキルイミン型高分子化合物の添加量が、前記複合タングステン酸化物1重量部に対して0.01重量部〜5重量部であることを特徴とする請求項4に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液。
- 前記アクリル高分子化合物が、(メタ)アクリル酸と、炭素数1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、スチレンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液。
- 前記アクリル高分子化合物の添加量が、前記複合タングステン酸化物1重量部に対して、0.46重量部〜50重量部であることを特徴とする請求項6に記載の複合タングステン酸化物微粒子分散液。
Priority Applications (1)
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