JP2012246473A - 成型体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法安定性に優れた成型体の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)100質量部と平均粒径1〜1000μmの無機フィラー(B)0.1〜300質量部とを予め溶融混練して押出組成物(C)を製造し、該押出組成物(C)100質量部を、単量体(D)10〜1000質量部に溶解させ、注型重合することを特徴とする成型体の製造方法を採用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、成型体及びその製造方法に関する。
太陽電池のトップシート部材にはガラス材料が用いられている。ガラス材料からなるトップシート部材は透明性、寸法安定性や難燃性に優れる利点があるが、軽量化に限界があり、また衝撃を受けた場合には太陽電池モジュールが破損する等、耐衝撃性を十分に確保できない問題があった。
そこで、太陽電池トップシートに透明樹脂材料を用いることが検討されている。例えば、樹脂に対して無機フィラーなどを添加し均一分散させた複合樹脂からなる成型体を採用することにより、耐衝撃性、剛性、寸法安定性、難燃性、吸水性など種々の特性を改善することが図られている。
しかし、このように無機フィラーを樹脂に添加する際、無機フィラーの樹脂中での均一分散が十分に成されず、その結果、複合樹脂の反りが生じやすくなり、寸法安定性が劣化する問題がある。さらに、無機フィラーと樹脂界面とが剥離したりするなどの問題もしばしば生じる。
ここで、樹脂に無機フィラーを添加し、シート部材を製造するための方法としては、例えば、ガラスクロスを樹脂原料に含浸し注型重合する製造方法がある(特許文献1)。しかしながら、この文献の製造方法においては、複合樹脂の透明性について言及されているが、粒子状の無機フィラーを用いた場合の樹脂中での均一分散方法について考慮されていない。樹脂中でフィラーの均一分散が成されていないと、寸法安定性に劣る。また、この文献において、目的のシート部材を得るためには、無機フィラーの形状がガラスクロスやガラス不織布などの連続体フィラーに限られる。
また、無機フィラーを分散させた樹脂シート部材の製造方法として、予め無機フィラーと樹脂を溶融混練することによって複合ペレットを作製し、それを重合性単量体に溶解させ注型重合させる方法がある(特許文献2)。しかしながら、この文献では、無機フィラーの粒径が0.1〜20μmに限られており、またその添加量も重合性単量体に対して0.02〜10ppmの範囲に限られていた。したがって、得られたシート部材の寸法安定性が不十分であった。
特開2004−231934号公報 特開2004−351649号公報
本発明の目的は、上記課題に鑑み、無機フィラーと樹脂界面との剥離や、成型体の反りの発生を抑制し、優れた寸法安定性を有する成型体及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下の通りである。
[1]熱可塑性樹脂(A)100質量部と平均粒径1〜1000μmの無機フィラー(B)0.1〜300質量部とを予め溶融混練して押出組成物(C)を製造し、該押出組成物(C)100質量部を、単量体(D)10〜1000質量部に溶解させ、注型重合する成型体の製造方法。
[2]前記熱可塑性樹脂(A)が、(メタ)アクリル樹脂である[1]に記載の成型体の製造方法。
[3]前記無機フィラー(B)が、フレーク状ガラスである[1]〜[2]の何れか一項に記載の成型体の製造方法。
[4]前記単量体(D)が、(メタ)アクリル酸エステルである[1]〜[3]の何れか一項に記載の成型体の製造方法。
[5]前記無機フィラー(B)の平均粒径が100〜1000μmである[1]〜[4]の何れか一項に記載の成型体の製造方法。
[6][1]〜[5]の何れか一項に記載の製造方法によって製造された成型体。
[7][6]の成型体を用いた太陽電池用トップシート
[8][6]の成型体を用いた太陽電池モジュール
以上説明したように、本発明によれば、注型重合法により成型体を製造する方法において、重合性原料(単量体)中に混合した無機フィラーが凝集せずに均一に分散し、これにより成型体の反りを低減することができる。さらに重合後の、無機フィラーと樹脂界面での剥離も抑制することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明にかかる成型体の製造方法においては、熱可塑性樹脂(A)100質量部と平均粒径1〜1000μmの無機フィラー(B)0.1〜300質量部とを予め溶融混練することにより押出組成物(C)を製造する。そして、この押出組成物(C)100質量部を、単量体(D)10〜1000質量部に溶解させ、注型重合する
以下、本発明の成型体の製造方法について詳細に説明する。
まず、熱可塑性樹脂(A)及び無機フィラー(B)について説明する。
<熱可塑性樹脂(A)>
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)としては、高透明性を有する種々の透明熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン系樹脂、MS樹脂等の(メタ)アクリル酸メチル単位および/またはスチレン単位を含有する樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂およびオレフィン系樹脂等が挙げられ、単独、または2種以上を用いることができる。
なお、これらの中でも、無機フィラー(B)との屈折率差が小さく、得られる成型体の透明性が高いことから、熱可塑性樹脂(A)として(メタ)アクリル樹脂を用いることが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂は、代表的には、(メタ)アクリル酸メチルを少なくとも含む単量体を重合して得られる樹脂であるが、(メタ)アクリル酸メチルと他の単量体とを共重合して得られる樹脂であってもよい。中でもメタクリル酸メチルを主成分とすることが好ましい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチルと共重合可能なことが知られている種々のビニル系単量体を使用できる。ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルや、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。
ここで、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルの総称である。
<無機フィラー(B)>
本発明に用いる無機フィラー(B)としては、押出機や混練装置等によって樹脂と溶融混練可能な無機フィラーであれば形状および種類などは特に制限はない。無機フィラー(B)の種類としては、例えば、ガラスフィラー、リラストナイト、ロックウール、珪酸アルミニウム、アルミナ、炭化珪素、ステンレス繊維、銅繊維、窒化珪素、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、グラファイトなどが挙げられる。また、無機フィラー(B)は、熱可塑性樹脂(A)との接着性を改良するために、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤で表面処理してもよい。また、無機フィラー(B)としては、本発明の目的を損なわない範囲内で他の形態や種類の無機フィラーを混合して用いることができる。これらは単独でも二種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、これら無機フィラー(B)の中でも、成型体の反り低減効果の点から、板状のフィラーが好ましい。板状のフィラーとしては、例えばフレーク状ガラス、板状タルク、板状マイカ、グラファイトが挙げられる。また、成型体の透明性に優れる点からフレーク状ガラスが最も好ましい。
このようなフレーク状ガラスとしては、日本板硝子社製「ガラスフレーク」が挙げられる。
フレーク状ガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、クオーツ、低誘電率ガラス、高誘電率ガラスなどが挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル樹脂の屈折率に近いことから、Cガラスを用いることが好ましい。このように、Cガラスを採用することにより、透明性に優れた成型体を得ることができる。
また、本発明に用いる無機フィラー(B)の平均粒径は1μm以上1000μm以下である。平均粒径が1μm以下であっても用いることができるが、成型体の反り低減の効果が少ない。平均粒径が1000μm以上であると、成型体内で無機フィラー(B)が沈降しやすくなり、成型体の反りが生じやすくなる。なお、成型体の反り低減効果をより効率的に享受し、より優れた寸法安定性を得るためには、平均粒径を10μm以上800μm以下とすることが好ましく、優れた光学特性を得るためには100μm以上800μm以下がより好ましく、100μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。
ここで、無機フィラー(B)の平均粒径は、粒度分布測定装置(LA−910:堀場社製)を用いて測定した数平均粒子径を指す。
<押出組成物(C)>
本発明にかかる製造方法では、上述した熱可塑性樹脂(A)100質量部と、平均粒径1〜1000μmの無機フィラー(B)0.1〜300質量部とを予め溶融混練して押出組成物(C)を製造する。このときの熱可塑性樹脂(A)と無機フィラー(B)の質量比は溶融混練処理の操作性の点で、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して無機フィラー(B)5〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく、10〜60質量部が特に好ましい。
無機フィラー(B)を0.1質量部以上とすることにより、成形体の反り低減効果を十分発揮させることができる。また、無機フィラー(B)を300質量部以下とすることにより、後述する押出組成物(C)の単量体(D)への溶解を行う際、無機フィラー(B)の凝集させずに均一に分散させることができる。これにより、得られた成型体の反りを低減することができる。
熱可塑性樹脂(A)に無機フィラー(B)を溶融混錬する方法としては、従来より知られる各種技術を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂(A)と無機フィラー(B)を予めヘンシェルミキサー、ブレンダー等の混合装置を用いて混合し、その混合物を一軸、二軸、四軸押出機などの多軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の混錬装置を用いて溶融混練する方法がある。溶融混錬時の溶融温度は、使用する熱可塑性樹脂(A)の組成等に応じて適宜決定すればよい。熱可塑性樹脂(A)が(メタ)アクリル樹脂の場合は、溶融温度は220〜280℃が好ましい。
また、無機フィラー(B)と熱可塑性樹脂(A)の他に、無機フィラー(B)の分散性を向上させる分散助剤や、溶融混錬時の流動性を改善する流動性改良材等の従来より知られる各種の添加剤を添加してもよい。
次に、本発明においては、上記押出組成物(C)100質量部を、単量体(D)10〜1000質量部に溶解させ、その後に注型重合する。
<単量体(D)>
本発明に用いる単量体(D)としては、熱可塑性樹脂(A)を溶解させることができれば特に制限はない。
例えば、熱可塑性樹脂(A)に(メタ)アクリル樹脂を選択した場合、種々のビニル系単量体を使用できる。ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸メチル以外の重合性官能基を一つ有する単官能の(メタ)アクリル酸エステルや、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
また、単量体(D)中に、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)クリレート等の重合性官能基を複数有する多官能(メタ)アクリレートエステル等を含有していてもよい。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂(A)に(メタ)アクリル樹脂を選択した場合、単量体(D)として(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。特に光学特性に優れる点から、(1)(メタ)アクリル酸メチル、または(2)(メタ)アクリル酸メチルを主成分とし(メタ)アクリル酸メチルと他の共重合可能な単量体を含む混合物より好ましい。
また、単量体(D)に熱可塑性樹脂を溶解させたものに、押出組成物(C)、熱可塑性樹脂、またはその両方を溶解させてもよい。
そして、押出組成物(C)100質量部を、単量体(D)10〜1000質量部に溶解させ、その後に注型重合する。
単量体(D)を10質量部以上とすることにより押出組成物(C)を単量体(D)に容易に溶解することができる。また、単量体(D)を1000質量部以下とすることにより、重合性原料(シラップ)の粘度を適当なものとすることができ、その後の注型重合が行いやすい。押出組成物(C)と単量体(D)の質量比は、押出組成物(C)100質量部に対し単量体(D)150〜400質量部が好ましい。
押出組成物(C)を、単量体(D)に溶解させる方法としては、従来より知られる各種の技術を用いることができる。例えば、攪拌翼を備えた攪拌装置、ホモジナイザー等の攪拌装置、マグネッチックスターラー上で撹拌子を用いて撹拌、あるいは超音波装置を用いることができる。単量体(D)には押出組成物(C)に加えて熱可塑性樹脂(A)を溶解してもよい。
注型重合としては、例えば、2枚のガラス板あるいは鏡面研磨されたステンレス鋼板と、ポリ塩化ビニル製の無端ガスケットとからなる鋳型の空間部に、押出組成物(C)を溶解させた単量体(D)に更に重合開始剤を溶解させた重合性原料を注入し、この重合性原料を熱または活性エネルギー線などによって重合硬化させ、形成された板状重合体を鋳型から剥離して成型体として取り出す重合製板法が挙げられる。なお、重合方法としては、熱重合または光重合を例示できる。成型体の透明性及び反りを良好にし、無機フィラー(B)の沈降及び剥離を抑制する点で、成型体中の無機フィラー(B)の含有量は1〜50質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
なお、上記重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤などの熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができる。また、それ以外にも、例えば、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤、難燃剤、帯電防止剤、樹脂板の鋳型との剥離を容易にする離型剤等の従来より知られる各種の添加剤を添加してもよい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。評価は以下の方法で行った。
(a)無機フィラー(フレーク状ガラス)(B)の平均粒径測定
無機フィラー(B)の平均粒径(数平均粒子径)は、粒度分布測定装置(LA−910:堀場社製)を用いて無機フィラー(B)30個の測定を行い、その単純平均により求めた。
(b)アクリル樹脂板の反り測定
鋳型から取り出したアクリル樹脂板から4cm×4cmのサンプルを採取し、その反り量を測定した。なお、反り量は、平板の上にサンプルをおき、平板から反ったサンプルまでの距離を測定した。なお、反りの評価方法は以下のような基準にて行った。
○:いずれの隅においても反りは0.1mm未満
△:4隅のうち最も反りの大きいものにおいて、平板中心からの反り量が0.1mm以上0.5mm未満
×:4隅のうち最も反りの大きいものにおいて、平板中心からの反り量が0.5mm以上
(c)全光線透過率
ヘイズメーター(NDH2000:日本電色工業社製)を用い、D65光源にて、アクリル樹脂板の全光線透過率を測定した。
(d)剥離
アクリル樹脂板の断面をハイロックス社製 デジタルマイクロスコープ KH−3000によって75倍の倍率で観察して以下のような基準にて評価を行った。
○:樹脂と無機フィラーとの境界が不明瞭であった。
×:樹脂と無機フィラーとの境界が明瞭に観察可能であった。
(実施例1)
ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズ(三菱レイヨン社製 VHK000)100質量部に対し、平均粒径57μmのフレーク状ガラス(B)(日本板硝子社製 ガラスフレークRCF−015)40質量部を加え、ドライブレンドした。そして、ドライブレンドした混合物を単軸押出機(30mmΦ単軸押出機 サーモ・プラステイックス工業社製)を用いて押出温度を250℃として溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、ポリメタクリレート樹脂とフレーク状ガラス(B)を主成分とする押出組成物(C)を得た。次に、メタクリル酸メチルモノマー(三菱レイヨン社製 アクリエステルM MMA)300質量部に、得られた押出組成物(C)140質量部を添加し、8時間撹拌し溶解させた。そして、重合開始剤(日本油脂社製 パーヘキシルPV)を0.84質量部、離型剤(三井サイアナミッド社製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 商品名「エアロゾルOT−100」)を0.022質量部添加後、減圧脱気し、重合性原料を得た。
次に、縦100mm、横100mm、厚み3.3mmのガラス板2枚を、その周囲のポリ塩化ビニル製の無端チューブを介して配置した構成である鋳型の中に、得られた重合性原料を注入した。そして、この鋳型を80℃温水浴中にて加熱することにより重合性原料を30分重合(初期重合)させ、ついで130℃の空気浴にて30分間静置して重合(最終重合)を完結させ、フレーク状ガラス複合アクリル樹脂板を得た。鋳型から取り出したアクリル樹脂板(厚み3mm)について上記評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
フレーク状ガラス(B)の種類および添加量、メタクリル酸メチルモノマー(MMA)及びポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズの添加量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に行い、フレーク状ガラス複合アクリル樹脂板を得た。
得られたアクリル樹脂板について上記評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
メタクリル酸メチルモノマー(三菱レイヨン社製 アクリエステルM MMA)400質量部に対し、ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズ(三菱レイヨン社製 VHK000)100質量部を添加し、8時間撹拌し溶解させた。得られたメタクリル酸メチルモノマー/ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズ溶液500質量部に、平均粒径57μmのフレーク状ガラス(B)(日本板硝子社製 ガラスフレークRCF−015)50質量部、重合開始剤(日本油脂社製 パーヘキシルPV)を0.95質量部、離型剤(三井サイアナミッド社製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 商品名「エアロゾルOT−100」)を0.025質量部添加し、30分間撹拌しながら減圧脱気し、重合性原料を得た。
次に、縦100mm、横100mm、厚み3.3mmのガラス板2枚を、その周囲のポリ塩化ビニル製の無端チューブを介して配置した構成である鋳型の中に、得られた重合性原料を注入した。そして、この鋳型を80℃温水浴中にて加熱することにより重合性原料を30分重合させ、ついで130℃の空気浴にて30分かけて重合を完結させ、フレーク状ガラス複合アクリル樹脂板を得た。得られたアクリル樹脂板(厚み3mm)について上記評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2〜4)
フレーク状ガラス(B)の種類および添加量を表1のように変更した以外は、比較例1と同様に行い、フレーク状ガラス複合アクリル樹脂板を得た。得られたアクリル樹脂板について評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2012246473
表1に示す実験結果から明らかなように、溶融混練により押出組成物(C)である無機フィラー樹脂複合ペレットを作製し、それを重合性単量体であるメタクリル酸メチルモノマーに溶解させた後、注型重合する製造方法によって得られる成型体(実施例1〜4)は、重合性原料に直接無機フィラーを添加し注型重合する製造方法によって得られる成型体と比較し、反りまたは無機フィラーと樹脂界面の剥離が少ないことが判明した。
一方、比較例1〜4は、樹脂と無機フィラーを溶融混練によって複合化させていないため、注型重合後、樹脂と無機フィラーとの界面に剥離が観察された。さらに、比較例2〜4においては、成型体内の無機フィラーの沈降による反りが観察された。
また、実施例2〜4は、平均粒径が100〜1000μmの無機フィラーを用いることで、比較例2〜4とそれぞれ比較し、全光線透過率が大きく向上した。
以上より、実施例1〜4の成型体は寸法安定性に優れ、かつ、界面の剥離が抑制されることから、太陽電池用トップシートおよび太陽電池モジュールに好適である。
本発明により、無機フィラーが均一に分散した、寸法安定性に優れた成型体の製造が可能である。このような成型体は、透明板、光学レンズ、液晶表示素子用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、太陽電池基板、太陽電池トップシート部材、太陽電池バックシート部材、タッチパネル、光学素子、光導波路、LED封止材等に好適に用いられる。つまり、高品質の工業製品を製造することが可能となり、産業上の利用可能性を十分に有する。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂(A)100質量部と平均粒径1〜1000μmの無機フィラー(B)0.1〜300質量部とを予め溶融混練して押出組成物(C)を製造し、該押出組成物(C)100質量部を、単量体(D)10〜1000質量部に溶解させ、注型重合する成型体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)が、(メタ)アクリル樹脂である請求項1に記載の成型体の製造方法。
  3. 前記無機フィラー(B)が、フレーク状ガラスである請求項1または2に記載の成型体の製造方法。
  4. 前記単量体(D)が、(メタ)アクリル酸エステルである請求項1〜3の何れか一項に記載の成型体の製造方法。
  5. 前記無機フィラー(B)の平均粒径が100〜1000μmである請求項1〜4の何れか一項に記載の成型体の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法によって製造された成型体。
  7. 請求項6の成型体を用いた太陽電池用トップシート
  8. 請求項6の成型体を用いた太陽電池モジュール
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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