JP5152131B2 - 六ホウ化物微粒子分散体の製造方法、熱線遮蔽成形体とその製造方法、熱線遮蔽成分含有マスターバッチとその製造方法、並びに熱線遮蔽積層体 - Google Patents
六ホウ化物微粒子分散体の製造方法、熱線遮蔽成形体とその製造方法、熱線遮蔽成分含有マスターバッチとその製造方法、並びに熱線遮蔽積層体 Download PDFInfo
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合すると、透明樹脂成形体の物性、特に耐衝撃強度や靭性が低下するという強度面からの問題も有している。
種類によって分散性が異なるという新たな課題が見出されたのである。
さらに、前記凝集防止剤には、炭化水素溶剤に可溶でメチルメタクリレートを主成分とする単量体に対する相溶性を有し、かつ、六ホウ化物微粒子の表面に吸着効果のある官能基を持たない、アクリル高分子化合物を用い、表面被覆された六ホウ化物微粒子が凝集防止剤中に分散した六ホウ化物微粒子分散体を製造する構成、
を用いることにより、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に溶解させラジカル重合開始剤存在下、鋳型内で重合させる場合であっても、六ホウ化物微粒子の凝集体が形成されることなく分散性が改善された熱線遮蔽成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
一般式XB6(ただし、元素Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、SrまたはCaから選択される少なくとも1種以上の元素である。)で表される六ホウ化物微粒子を、炭化水素溶剤中に分散させスラリーを得る工程と、
該スラリーにエステル基を有する高分子化合物として、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、および、4−ヒドロキシドデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸と、6ヒドロキシへキサン酸とを繰り返し単位としたポリカルボニルアルキレンオキシ鎖を側鎖に有し、構造中にアミノ基を有するグラフト共重合体を添加した後、解砕して、該エステル基を有する高分子化合物で表面被覆された前記六ホウ化物微粒子の分散液を得る工程と、
得られた該分散液に凝集防止剤を添加した後、前記炭化水素溶剤を揮散して残留物を得る工程と、
該炭化水素溶剤を揮散する工程と並行して、または、該炭化水素溶剤を揮散する工程の後に、該残留物を解砕して分散体を得る工程と、を具備する六ホウ化物微粒子分散体の製造方法であって、
前記凝集防止剤は、前記炭化水素溶剤に可溶で、且つ、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に対する相溶性を有し、且つ、前記六ホウ化物微粒子の表面に吸着効果のある官能基を持たない、アクリル高分子化合物であることを特徴とする六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
前記六ホウ化物微粒子の分散液を得る工程において、前記六ホウ化物微粒子を平均粒径500nm以下にまで解砕することを特徴とする第1の発明に記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
前記六ホウ化物微粒子の分散液を得る工程において、平均粒径1μm以上の六ホウ化物微粒子を媒体攪拌ミルにより解砕することを特徴とする第1の発明に記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
前記炭化水素溶剤として、溶解度パラメータが8.5〜9.1cal(1/2)/cm(3/2)
である炭化水素溶剤を用いることを特徴とする第1〜第3の発明のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
前記エステル基を有する高分子化合物の添加量を、前記六ホウ化物微粒子1重量部に対して、0.01〜5重量部とすることを特徴とする第1〜第4の発明のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
前記凝集防止剤として、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であるアクリル高分子化合物を用いることを特徴とする第1〜第5の発明のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
前記凝集防止剤の添加量を、前記六ホウ化物微粒子1重量部に対して1.0〜50重量部とすることを特徴とする第1〜第6の発明のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法である。
第1〜第7の発明のいずれかに記載の製造方法で得られた六ホウ化物微粒子分散体と、ラジカル重合開始剤とを、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に溶解させて分散液を得る工程と、
該分散液を、鋳型内で重合させることにより成形体を得る工程と、を具備することを特徴とする熱線遮蔽成形体の製造方法である。
第8の発明に記載の製造方法で得られた成形体であって、可視光透過率が60%以上で、ヘイズが5%以下であることを特徴とする熱線遮蔽成形体である。
第1〜第7の発明のいずれかに記載の製造方法で得られた六ホウ化物微粒子分散体と、ポリカーボネート樹脂と、を溶融混練して得られることを特徴とする熱線遮蔽成分含有マスターバッチの製造方法である。
第10の発明に記載の熱線遮蔽成分含有マスターバッチの製造方法で得られることを特徴とする熱線遮蔽成分含有マスターバッチである。
第11の発明に記載の熱線遮蔽成分含有マスターバッチを、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂により希釈・溶融混練し、かつ所定の形状に成形することによって得られることを特徴とする熱線遮蔽成形体である。
第11の発明に記載の熱線遮蔽成分含有マスターバッチにおけるポリカーボネート樹脂の末端基がt−ブチル基であり、かつ、請求項13に記載の熱線遮蔽成形体におけるポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂の末端基もt−ブチル基であることを特徴とする熱線遮蔽成形体である。
第9、第12、または第13のいずれかの発明に記載の熱線遮蔽成形体が、他の透明成形体上に積層されていることを特徴とする熱線遮蔽積層体である。
さらに、前記凝集防止剤には、炭化水素溶剤に可溶でメチルメタクリレートを主成分とする単量体に対する相溶性を有し、かつ、六ホウ化物微粒子の表面に吸着効果のある官能基を持たない、アクリル高分子化合物を用い、表面被覆された六ホウ化物微粒子が凝集防止剤中に分散した六ホウ化物微粒子分散体を製造する構成、
を用いることにより、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に溶解させラジカル重合開始剤存在下、鋳型内で重合させる場合であっても、六ホウ化物微粒子の凝集体が形成されることなく分散性が改善された熱線遮蔽成形体が得られる。
本発明に係る六ホウ化物微粒子分散体の製造方法は、六ホウ化物微粒子(以下、(A)
という符号を付与する場合がある)を炭化水素溶剤(以下、(B)という符号を付与する場合がある)中に分散させスラリーを得る工程と、該スラリーにエステル基を有する高分子
化合物(以下、(C)という符号を付与する場合がある)を添加した後、解砕して、エステル基を有する高分子化合物(C)で表面被覆された六ホウ化物微粒子(A)の分散液を得る工程と、得られた該分散液に凝集防止剤(以下、(D)という符号を付与する場合があ
る。)を添加し、その後、前記炭化水素溶剤(B)を揮散して残留物を得る工程と、該炭
化水素溶剤(B)を揮散する工程と並行して、または、該炭化水素溶剤(B)を揮散する工程の後に、該残留物を解砕して六ホウ化物微粒子分散体を得る工程と、を具備するものである。上記のように、炭化水素溶剤(B)を揮散した後の残留物は、六ホウ化物微粒子が凝集防止剤(D)中に均一に分散している状態としては、六ホウ化物微粒子分散体と変わらず、解砕されていないため、六ホウ化物微粒子分散体とは外形状が異なっているものである。
本発明で用いる六ホウ化物微粒子(A)は、熱線遮蔽効果を発現する成分であり、一般式がXB6で表されるものである。ここで、元素Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、SrおよびCaから選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。具体的には、六ホウ化ランタンLaB6、六ホウ化セリウムCeB6、六ホウ化プラセオジムPrB6、六ホウ化ネオジムNdB6、六ホウ化ガドリニウムGdB6、六ホウ化テルビウムTbB6、六ホウ化ディスプロシウムDyB6、六ホウ化ホルミウムHoB6、六ホウ化イットリウムYB6、六ホウ化サマリウムSmB6、六ホウ化ユーロピウムEuB6、六ホウ化エルビウムErB6、六ホウ化ツリウムTmB6、六ホウ化イッテルビウムYbB6、六ホウ化ルテチウムLuB6、六ホウ化ランタンセリウム(La,Ce)B6、六ホウ化ストロンチウムSrB6、六ホウ化カルシウムCaB6などがその代表的なものとして挙げられる。
効果が得られる。尤も、該六ホウ化物微粒子(A)において、結晶性が低くX線回折でブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、微粒子内部の基本的な結合が各金属とホウ素の結合から成り立っているものであるならば熱線遮蔽効果を発現するため、本発明において適用することが可能である。
上記の六ホウ化物微粒子(A)は、エステル基を有する高分子化合物(C)によって表面が被覆されていることが肝要である。
本発明で用いる凝集防止剤(D)は、炭化水素溶剤(B)に可溶性を有し、メチルメタクリレートを主成分とする単量体(E)に対する相溶性を有し、且つ、六ホウ化物微粒子(A)表面に対し吸着効果のある官能基を有さない、アクリル高分子化合物である。
本発明に用いるメチルメタクリレートを主成分とする単量体(E)としては、メチルメタクリレート単独又はメチルメタクリレートの割合が50重量%以上、好ましくは70重量%以上であって、該メチルメタクリレートと共重合可能な不飽和単量体の混合物がある。そして、メチルメタクリレートは、全単量体中50〜99.995重量部を占めていることが好ましい。
どのエポキシ基含有単量体:ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルなどのアルキレンオキサイド基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン、エチレンなどの単官能単量体がある。これらの単量体は、2種以上併用することができる。
本発明において、六ホウ化物微粒子分散体を製造するには、まず、六ホウ化物微粒子(A)を炭化水素溶剤液(B)中に分散させたスラリーを得る。そして、該スラリーにエステル基を有する高分子化合物(C)を添加した後、媒体攪拌ミルで解砕して、エステル基を有する高分子化合物(C)で表面被覆された六ホウ化物微粒子(A)の分散液を得ることが必要である。
使用しているエステル基を有する高分子化合物(C)の炭化水素溶剤(B)への溶解性が確保出来るため、エステル基を有する高分子化合物で被服された六ホウ化物微粒子の微粒子分散液を製造する工程において、該六ホウ化物微粒子(A)を所望の粒径まで解砕することが容易であり好ましい。
本発明においては、解砕前の平均粒径が1μm以上の六ホウ化物微粒子(A)を、炭化水素溶剤(B)中に混合分散してスラリー化する。該スラリーに、エステル基を有する高分子化合物(C)を添加し、媒体攪拌ミル等を用いて解砕して、エステル基を有する高分子化合物(C)で表面が被覆された六ホウ化物微粒子(A)を含む分散液が得られる。
上記分散液に凝集防止剤(D)を添加混合した後、得られた混合液から炭化水素溶剤(B)を揮散させて残留物を得る。そして、該炭化水素溶剤(B)を揮散するのと並行して、または、該炭化水素溶剤(B)を揮散した後、該残留物を解砕してエステル基を有する高分子化合物で表面被覆された六ホウ化物微粒子の分散体を得る。
には、常圧で80〜200℃、好ましくは120〜180℃まで溶液で加熱、留出させる方法が適している。留出時間は、特に制限はないが通常1〜5時間とする。工業的には、上記所定温度範囲まで昇温した後、その温度を維持して0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間保ち、反応を完結させればよい。該製造方法により、エステル基を有する高分子化合物(C)で表面が被覆された六ホウ化物微粒子(A)が凝集防止剤(D)中に均一に分散した六ホウ化物微粒子分散体を、多量かつ効率的に得ることができる。
本発明に係る熱線遮蔽成形体は、上記製造方法で得られた、エステル基を有する高分子化合物(C)で表面が被覆された六ホウ化物微粒子(A)が凝集防止剤(D)中に均一に分散した六ホウ化物微粒子分散体を、メチルメタクリレートを主成分とする単量体(E)に溶解させた後、ラジカル重合開始剤(以下、(F)という符号を付与する場合がある。)存在下で、鋳型内にて重合させることで得られる。
本発明に係る熱線遮蔽成分含有マスターバッチは、上記製造方法で得られた、エステル基を有する高分子化合物(C)で表面が被覆された六ホウ化物微粒子(A)が凝集防止剤(D)中に均一に分散した六ホウ化物微粒子分散体を、ポリカーボネート樹脂と溶融混練してなるマスターバッチである。
本発明の成形体は、上記ポリカーボネート樹脂を含むマスターバッチが、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂により希釈
・溶融混練され、かつ所定の形状に成形されてなる熱線遮蔽成形体である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂成形材料としては、この分野で使用されているポリカーボネート樹脂であれば特に制限されない。
ここで、二価のフェノール系化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類;4,4−ビフェノール等を挙げることができる。この他に、例えばレゾルシン、および3−メチルレゾルシン、3−エチルレゾルシン、3−プロピルレゾルシン、3−ブチルレゾルシン、3−t−ブチルレゾルシン、3−フェニルレゾルシン、3−クミルレゾルシン、2,3,4,6−テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6−テトラブロムレゾルシン等の置換レゾルシン;カテコール;ハイドロキノン、及び3−メチルハイドロキノン、3−エチルハイドロキノン、3−プロピルハイドロキノン、3−ブチルハイドロキノン、3−t−ブチルハイドロキノン、3−フェニルハイドロキノン、3−クミルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン、2,3,5,6−テトラブロムハイドロキノンなどの置換ハイドロキノン等、及び2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビス(1H−インデン)−7,7’ジオール等を用いることもできる。これらの二価のフェノール系化
合物は、単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いても良い。
溶融法で用いるカーボネート前駆体である炭酸ジエステルとしては、トリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。これらカーボネート前駆体もまた、単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いても良い。
一方、界面法で用いるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライドまたはハロホルメート等が挙げられる。
従来六ホウ化物微粒子を均一に分散させた分散体を、上記界面法で得られる末端官能基がt−ブチル基のポリカーボネート樹脂と溶融混練した場合、上記樹脂中に六ホウ化物微粒子の凝集体を形成しやすく分散性が不十分となり、このマスターバッチを用いた成形体では優れた熱線遮蔽能は有しているものの、ヘイズ(曇り度)が高くなり意匠性が低下してしまうという課題があった。しかし、上記本発明の六ホウ化物微粒子分散体を用いることにより、上記界面法で得られる末端官能基がt−ブチル基のポリカーボネート樹脂であ
っても、六ホウ化物微粒子の凝集体が形成されることなく分散性が改善されヘイズの低い熱線遮蔽成形体が得られる。
(5)熱線遮蔽積層体
本発明の熱線遮蔽成形体を、他の透明成形体上に積層することによって、優れた熱線遮蔽能を有し、ヘイズも低く良好な熱線遮蔽積層体を得ることができる。
解砕前の六ホウ化物微粒子(A)として粒径1〜3μmの六ホウ化ランタン粉末260gと、炭化水素溶剤(B)としてトルエン1688gとをマグネチックスターラーを使用して、常温で300rpmで回転攪拌混合した。ここへ、さらにエステル基を有する高分子化合物(C)としてS24000GR(日本ルーブリゾール製)52gを添加し、スラリーを調製した。このスラリーをビーズとともに媒体攪拌ミルに投入し、スラリーを循環させて解砕分散処理を行い、エステル基を有する高分子化合物(C)で被覆された平均粒径が90nmの六ホウ化ランタンの分散液を得た(以下、「α液」と略称する。)。
%となるように溶解させることで得られた液(以下、「β液」と略称する。)を調製した。
上記α液10gに、上記β液を3.9g添加混合し実施例1と同様の方法で、アクリル高分子化合物系の凝集防止剤(D)中にエステル基を有する高分子化合物(C)で被覆された六ホウ化ランタンを均一に分散させた分散体を得た。該分散体は、六ホウ化物微粒子(A)1重量部に対して、凝集防止剤(D)0.9重量部を含有している。
上記α液10gに、上記β液を178g添加混合し、実施例1と同様の方法で、アクリル高分子化合物系の凝集防止剤(D)中にエステル基を有する高分子化合物(C)で被覆された六ホウ化ランタンを均一に分散させた分散体を得た。該分散体は、六ホウ化物微粒子(A)1重量部に対して、凝集防止剤(D)55重量部を含有している。
エステル基を有する高分子化合物(C)としてS32000(日本ルーブリゾール製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
凝集防止剤(D)としてBR−116(三菱レイヨン製)を使用した以外は、実施例1
と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
六ホウ化物微粒子分散体は実施例1と同様の方法で得た。更に、末端基がt−ブチル基のポリカーボネート樹脂ペレット(出光製)に対して六ホウ化物微粒子含有量が0.27重量%になるように上記分散体を加え、均一に混合した後、二軸押出機(東洋精機製作所製)で溶融混練し、押し出された直径3mmのストランドをペレット状にカットし、六ホウ化物微粒子と末端基がt−ブチル基のポリカーボネート樹脂を主成分とするマスターバッチを得た。
実施例2と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例3と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例4と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例5と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、
実施例7と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、実施例8と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、実施例9と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、実施例10と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
メチルメタクリレートを主成分とする単量体(E)に対する相溶性を有し、且つ、六ホウ化物微粒子(A)である六ホウ化ランタン表面に対して吸着効果がある官能基を有さないものの、炭化水素溶剤(B)であるトルエンに不溶であるアクリル高分子化合物系の凝集防止剤(D)としてJDX−C3000(東亞合成製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
エステル基を有する高分子化合物(C)を添加しない以外は、実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
エステル基を有する高分子化合物(C)を添加しない以外は、実施例5と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
アクリル高分子化合物系の凝集防止剤(D)を添加しない以外は、実施例1と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
アクリル高分子化合物系の凝集防止剤(D)を添加しない以外は、実施例4と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
比較例1と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
比較例2と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
比較例3と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
比較例4と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
比較例5と同様の方法で得た六ホウ化物微粒子分散体を使用する以外は、実施例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、比較例6と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、比較例7と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、比較例8と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、比較例9と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
末端基がフェノール性水酸基のポリカーボネート樹脂(GEP製)を使用する以外は、比較例10と同様の方法でシート状成形体を得た。得られたシート状成形体の光学特性(ヘイズ、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%))を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1〜5では、アクリル高分子化合物系の凝集防止剤(D)中にエステル基を有する高分子化合物(C)で被覆された六ホウ化ランタンを均一に分散させた分散体を、ラジカル重合開始剤(F)を添加した、メチルメタクリレートを主成分とする単量体(E)であるメチルメタクリレート単量体(関東化学製)に加え、キャスト法で、シート状成形体を得た。表1に示すように、実施例1〜5ではいずれも、優れた熱線遮蔽能を有し、ヘイズ(曇り度)が低く意匠性に優れた熱線遮蔽成形体が得られている。
Claims (14)
- 一般式XB6(ただし、元素Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、SrまたはCaから選択される少なくとも1種以上の元素である。)で表される六ホウ化物微粒子を、炭化水素溶剤中に分散させスラリーを得る工程と、
該スラリーにエステル基を有する高分子化合物として、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、および、4−ヒドロキシドデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸と、6ヒドロキシへキサン酸とを繰り返し単位としたポリカルボニルアルキレンオキシ鎖を側鎖に有し、構造中にアミノ基を有するグラフト共重合体を添加した後、解砕して、該エステル基を有する高分子化合物で表面被覆された前記六ホウ化物微粒子の分散液を得る工程と、
得られた該分散液に凝集防止剤を添加した後、前記炭化水素溶剤を揮散して残留物を得る工程と、
該炭化水素溶剤を揮散する工程と並行して、または、該炭化水素溶剤を揮散する工程の後に、該残留物を解砕して分散体を得る工程と、を具備する六ホウ化物微粒子分散体の製造方法であって、
前記凝集防止剤は、前記炭化水素溶剤に可溶で、且つ、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に対する相溶性を有し、且つ、前記六ホウ化物微粒子の表面に吸着効果のある官能基を持たない、アクリル高分子化合物であることを特徴とする六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。 - 前記六ホウ化物微粒子の分散液を得る工程において、前記六ホウ化物微粒子を平均粒径500nm以下にまで解砕することを特徴とする請求項1に記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。
- 前記六ホウ化物微粒子の分散液を得る工程において、平均粒径1μm以上の六ホウ化物微粒子を媒体攪拌ミルにより解砕することを特徴とする請求項1に記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。
- 前記炭化水素溶剤として、溶解度パラメータが8.5〜9.1cal(1/2)/cm(3/2)である炭化水素溶剤を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。
- 前記エステル基を有する高分子化合物の添加量を、前記六ホウ化物微粒子1重量部に対して、0.01〜5重量部とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。
- 前記凝集防止剤として、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であるアクリル高分子化合物を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。
- 前記凝集防止剤の添加量を、前記六ホウ化物微粒子1重量部に対して1.0〜50重量部とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の六ホウ化物微粒子分散体の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた六ホウ化物微粒子分散体と、ラジカル重合開始剤とを、メチルメタクリレートを主成分とする単量体に溶解させて分散液を得る工程と、
該分散液を、鋳型内で重合させることにより成形体を得る工程と、を具備することを特徴とする熱線遮蔽成形体の製造方法。 - 請求項8に記載の製造方法で得られた成形体であって、可視光透過率が60%以上で、ヘイズが5%以下であることを特徴とする熱線遮蔽成形体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた六ホウ化物微粒子分散体と、ポリカーボネート樹脂と、を溶融混練して得られることを特徴とする熱線遮蔽成分含有マスターバッチの製造方法。
- 請求項10に記載の熱線遮蔽成分含有マスターバッチの製造方法で得られることを特徴とする熱線遮蔽成分含有マスターバッチ。
- 請求項11に記載の熱線遮蔽成分含有マスターバッチを、ポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂により希釈・溶融混練し、かつ所定の形状に成形することによって得られることを特徴とする熱線遮蔽成形体。
- 請求項11に記載の熱線遮蔽成分含有マスターバッチにおけるポリカーボネート樹脂の末端基がt−ブチル基であり、かつ、請求項13に記載の熱線遮蔽成形体におけるポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂の末端基もt−ブチル基であることを特徴とする熱線遮蔽成形体。
- 請求項9、12、または13のいずれかに記載の熱線遮蔽成形体が、他の透明成形体上に積層されていることを特徴とする熱線遮蔽積層体。
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