JP5880344B2 - 極低温用厚鋼板とその製造方法 - Google Patents

極低温用厚鋼板とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5880344B2
JP5880344B2 JP2012176770A JP2012176770A JP5880344B2 JP 5880344 B2 JP5880344 B2 JP 5880344B2 JP 2012176770 A JP2012176770 A JP 2012176770A JP 2012176770 A JP2012176770 A JP 2012176770A JP 5880344 B2 JP5880344 B2 JP 5880344B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
temperature
steel plate
cryogenic
residual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012176770A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014034708A (ja
Inventor
崇之 加賀谷
崇之 加賀谷
川畑 友弥
友弥 川畑
祥晃 新宅
祥晃 新宅
玄樹 猪狩
玄樹 猪狩
孝浩 加茂
孝浩 加茂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2012176770A priority Critical patent/JP5880344B2/ja
Publication of JP2014034708A publication Critical patent/JP2014034708A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5880344B2 publication Critical patent/JP5880344B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

本発明は、極低温用厚鋼板とその製造方法に関する。なお、極低温用とは、−60℃以下の低温領域、とりわけ−165℃以下の低温環境での用途を意味する。また、厚鋼板とは、3mm以上の厚みを有する鋼板、とりわけ5〜50mmの厚みを有する鋼板を意味する。
極低温用厚鋼板は、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、LNG(Liquefied Natural Gas)などの液化ガスを極低温域で貯蔵する貯蔵タンクなどに用いられる。極低温用厚鋼板としては、半世紀に亘り、9%Ni鋼が用いられてきたが、最近、LNG貯槽に対するコスト意識が高まっており、より安価な鋼材が求められている。
非特許文献1には、使用材料の経済性を考慮して、9%Ni鋼と同等の性能を有する、Ni低減型鋼材が提案されている。
特許文献1には、アレスト性および溶接部のCTOD特性が優れた低温用Ni含有鋼が提案されている。また、特許文献2には、歪時効後の脆性破壊発生抑止特性に優れた極低温用厚鋼板が提案されている。
特開2002−129280号公報 特開2011−219849号公報
川畑ほか、日本高圧力技術協会秋季講演会概要集(2005),PP.12−13
引用文献1の発明は、各特性(引張強度TS、延性脆性破面遷移温度vTs、溶接継ぎ手FL部限界CTOD値)の目標値をNi含有量毎に定め、それぞれの目標値を満足させるというものである。しかし、特許文献1に記載される9%未満のNiを含む鋼は、9%Ni鋼と同等の性能を有するとは言い難い。
ここで、脆性破壊が生じると、瞬時に構造物全体が崩壊し甚大な被害が想定されるため、貯蔵タンク等の建造物は、脆性破壊の発生を避ける設計がなされている。しかし、設計を上回る外力の作用や施工に起因する欠陥など、設計者の想定を超える事態に起因して、脆性破壊が発生することがある。
厚肉高張力鋼板は、巨大な力を支える構造物に使用されることが多いので、脆性破壊が生じると大事故に発展しかねない。このため、潜在的な亀裂(例えば、溶接欠陥)から脆性破壊が発生しても、その伝播を厚肉高張力鋼板において停止させる特性、すなわち、脆性破壊伝播停止特性を有することが求められる。
LPG、LNGなどの貯蔵用タンクは、円筒型形状であり、その製作時には、素材としての厚鋼板を冷間で塑性加工し、厚鋼板端部を互いに溶接されるのが通常である。このような冷間での塑性加工を施された後の厚鋼板は、塑性歪を受けることで性能が極端に低下する場合もある。
特許文献2では、歪時効後の脆性き裂発生抑止特性を評価しているが、塑性歪を受けた際の性能の低下しやすさ、塑性歪に対する安定性について検討されていない。
本発明は、このような状況に鑑み、脆性破壊発生防止の設計基準に従い、降伏強度が590MPa以上であり、かつ、極低温環境下でも9%Ni鋼並みの耐破壊安全性に優れた、すなわち、塑性歪を受けたときの性能の低下がなく、塑性歪に対する安定性に優れたNi低減型の極低温用厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、実際に極低温環境下における塑性歪に対する安定性について研究した結果、以下の(a)〜(d)の知見を得た。
(a)鋼板中の残留オーステナイト(以下、オーステナイトのことを「γ」という。)を体積分率で4.0%以上含有させれば、極低温環境下で高い靭性を得ることができると考えられる。残留γの体積分率はX線回折法により評価できる。
(b)残留γは、塑性歪付与によりマルテンサイト変態する。不安定な残留γは、容易に変態し靭性に悪影響を及ぼす。残留γの塑性歪に対する安定性は、化学組成、寸法および形状の影響を受けると考えられる。化学組成については、オーステナイト安定化元素、特に炭素濃度の含有量の影響が大きい。そして、炭素濃度は格子定数が大きいほど高く、塑性歪に対する安定性は高いと推定される。残留γの格子定数はX線回折法により算出できる。
(c)残留γは、寸法、具体的には「平均円相当径」が小さいほど、塑性歪に対する安定性が向上する。
(d)塑性歪に対して安定な金属組織を有する鋼を得るためには、特に、加熱工程では、鋼塊を低温加熱することが好ましく、また加熱時間は短いことが好ましい。
本発明は、上記の知見を基礎としてなされたものであり、下記の極低温用厚鋼板および極低温用厚鋼板の製造方法をその要旨とする。
(A)降伏強度が590MPa以上の極低温用厚鋼板であって、質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.4〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Ni:5.0%を超え7.5%未満、sol.Al:0.002〜0.080%およびN:0.0050%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、1/4t位置(t:板厚)において、残留γ含有量が4.0〜25.0体積%、残留γの平均円相当粒径が1.0μm以下、平均円相当粒径が0.2μm以下の残留γ粒子が1.0×10個/mm以上で、かつ残留γの格子定数が0.3585nm以上である、極低温用厚鋼板。
上記(A)の極低温用厚鋼板は、Feの一部に代えて、さらに、質量%で、Cu:2.0%以下、Cr:1.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下、B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、Sn:0.50%以下、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下から選択される1種以上を含有させてもよい。
(B)上記(A)の極低温用厚鋼板を製造する方法であって、上記の化学組成を有する鋼塊を下記の(1)および(2)式を満足する条件で加熱し、熱間圧延した後、2.0℃/s以上の平均冷却速度で350℃以下の温度域まで冷却し、下記の(3)および(4)式を満たす条件で焼戻す工程を備える、極低温用厚鋼板の製造方法。
×exp(T /270000000)≦580 (1)
Ac≦T (2)
540≦P≦610 (3)
P=T(1−Aexp[−(Bexp[−Q/R(T+273)]t]) (4)
ただし、(1)〜(4)式中、Tは鋼塊の加熱温度(℃)を、tは鋼塊がTで安定した後の加熱時間(時間)を、Acはフェライトからオーステナイトへの変態が完了する温度を、Tは焼戻温度(℃)、tは焼戻保持時間(秒)を意味し、各定数項は、それぞれA=0.07、B=150000、Q=155000(J/mol)、R=8.31(J/mol・K)、n=1.1である。
上記(B)の極低温用厚鋼板の製造方法においては、上記焼戻しに先立って、(Ac+20℃)〜(Ac−20℃)の温度に再加熱した後、焼入れしてもよい。
ただし、Acはフェライトからオーステナイトへの変態が開始する温度を意味する。
本発明に係る極低温用厚鋼板は、5.0%を超え7.5%未満という低いNi含有鋼板でありながら、常温での降伏強度が590MPa以上であり、極低温環境下でも優れた耐破壊安全性を有している。
以下、本発明に係る極低温用厚鋼板およびその製造方法に関して、その要件毎に詳細に説明する。なお、含有量に関する「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
A.化学組成
C:0.01〜0.12%
Cは、鋼板の強度の向上に有効である。その含有量が0.01%未満では、焼入性が不足し、降伏強度を590MPa以上とすることが難しく、また靭性も十分ではない。一方、その含有量が0.12%を超えると、母材の靭性および脆性亀裂伝播停止性能が低下し、また、HAZの硬さが上昇して、溶接低温割れ感受性が高くなる。よって、Cは、0.01〜0.12%含有させる。好ましい下限は、0.03%であり、好ましい上限は、0.09%である。
Si:0.01〜0.30%
Siは、脱酸に有効な元素であり、特に、最終脱酸におけるAlの歩留まりを向上する。鋼中のSi量は、脱酸時に消費されなかったSiが鋼中に残存した量を指すが、意図的に残存させなくてもよい。ただし、その含有量が0.01%未満では必要とする強度を確保することができない。鋼中に残存したSiは強度上昇に有効であるが、0.30%を超えると、母材およびHAZの靭性を低下させる。よって、Siは、0.01〜0.30%含有させる。好ましい下限は、0.02%であり、好ましい上限は、0.15%である。
Mn:0.4〜2.0%
Mnは、鋼板の焼入性を向上し、強度を高める効果を有する。その含有量が0.4%未満では、強度を確保することが困難である。一方、2.0%を超えると、母材およびHAZともに靭性が低下する。よって、Mnは、0.4〜2.0%含有させる。好ましい下限は、0.6%であり、好ましい上限は、1.1%である。
P:0.05%以下
Pは、不純物として鋼中に存在する。0.05%を超えると、粒界に偏析して靭性を低下させるのみならず、溶接時に高温割れを招く。よって、Pの含有量は、0.05%以下とする必要がある。Pは少ないほど好ましい。好ましい上限は、0.03%である。
S:0.008%以下
Sは、不純物として鋼中に存在する。その量が多すぎると、中心偏析を助長したり、延伸したMnSが多量に生成したりするので、母材およびHAZの機械的性質が劣化する。よって、Sの含有量は、0.008%以下とする。Sは少ないほど好ましい。好ましい上限は、0.003%である。
Ni:5.0%を超え7.5%未満
Niは、高強度厚肉鋼板の低温靭性、脆性破壊伝播停止性能および溶接性の改善に不可欠の元素である。特に、脆性破壊伝播停止性能の向上のためには、5.0%を超えて含有させることが必要である。また、Niを含有させると、微細マルテンサイトとベイナイトの混合組織中に数%の安定残留オーステナイトが混在した組織になり、低温靭性および脆性破壊伝播停止性能が飛躍的に向上する。一方、7.5%以上含有させると、コスト上昇の割に効果の向上代が小さくなり、また、二回焼入れ−焼戻し処理によって生成する残留オーステナイトの量が増加して降伏強さが低下することがある。よって、Niは、5.0%を超え7.5%未満含有させる。好ましい下限は、6.0%であり、好ましい上限は7.5%未満である。
sol.Al:0.002〜0.08%
sol.Al(酸可溶Al)は、脱酸に働いた量を超えるAlが溶鋼中に残存したものであり、意図的に残存させる場合と脱酸のみを目的として含有させたAlの余剰分が残存する場合の両方がある。本発明では両方の場合を含む。またsol.Alは、凝固後にNと結合してAlNを形成するか、または固溶Alとなる。よって、sol.Alは、0.002%以上必要である。しかし、その含有量が0.08%を超えると、特にHAZにおいて靱性が劣化しやすくなる。これは、粗大なクラスター状のアルミナ系介在物粒子が形成されやすくなるためと考えられる。よって、sol.Alは、0.002〜0.08%含有させる。好ましい下限は、0.005%であり、好ましい上限は、0.04%である。
N:0.0050%以下
Nは、不純物として鋼中に存在する元素であり、その含有量は少ないほどよい。特に、0.0050%を超える場合には母材およびHAZの靭性低下が著しくなる。よって、Nの含有量は、0.0050%以下とする。好ましい上限は、0.0040%である。
本発明に係る極低温用厚鋼板は、上記の化学組成を有し、残部はFeおよび不純物からなるものであるか、必要に応じて、下記の元素をそれぞれ規定される範囲内で含有させてもよい。なお、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。
Cu:2.0%以下
Cuは、焼入性を向上させる効果があるので、鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が2.0%を超えると、母材およびHAZの靭性を損ない、また、熱間延性が大きく低下する。よって、Cuを含有させる場合には、その含有量を2.0%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.1%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.2%であり、好ましい上限は、1.3%である。
Cr:1.5%以下
Crは、焼入性を向上し、焼戻しの際の析出硬化によって強度と靭性を向上させる効果があるので、鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が1.5%を超えると、強度を過度に高めて母材およびHAZの靭性を損なう。よって、Crを含有させる場合には、その含有量を1.5%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.05%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.1%であり、好ましい上限は、1.0%である。
Mo:0.5%以下
Moは、同じ量で比較してCrよりも焼入性向上効果および析出硬化が大きく、とくにBと共存した場合、焼入性を向上させる効果があるので、鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が0.5%を超えると、表層部で“焼き”が入りすぎ表層部の靭性が劣化する。よって、Moを含有させる場合には、その含有量を0.5%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.02%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.05%であり、好ましい上限は、0.3%である。
V:0.1%以下
Vは、焼戻し時に析出して、析出硬化により焼戻し軟化抵抗を増加させ、高温での焼戻しを可能とし、強度と靭性のバランスを向上させるので、鋼材に含有させてもよい。しかし、0.1%未満では、その効果は十分ではない。よって、Vを含有させる場合には、その含有量を0.1%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.015%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.02%であり、好ましい上限は、0.08%である。
B:0.005%以下
Bは、焼入性を向上させて強度を高める作用があるので、鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が0.005%を超えると、強度を高める効果が飽和するし、母材、HAZともに靱性劣化の傾向が著しくなる。したがって、Bを含有させる場合には、その含有量を0.005%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.0003%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.0005%であり、好ましい上限は、0.004%である。
Nb:0.1%以下
Nbは、オーステナイトの低温域で微細なNb炭窒化物を形成して、オーステナイト粒を微細化し、微細なマルテンサイト組織を厚肉鋼板の表層部から中心部にわたって形成させる。その結果、厚肉高張力鋼板の靭性、とりわけ表層部の低温靭性および脆性破壊伝播停止特性を向上させる。よって、Nbを鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が0.1%を超えると、溶接時に溶接金属に横割れを発生させるだけでなく、母材の低温靭性および脆性破壊伝播停止特性をかえって低下させる。したがって、Nbを含有させる場合には、その含有量を0.1%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.01%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.01%であり、好ましい上限は、0.08%である。
Ti:0.1%以下
Tiは、AlおよびMnとともに酸化物相を形成させて組織を微細化する効果がある。その結果、熱影響部の低温破壊靭性を向上させる。よって、Tiを鋼材に含有させてもよい。しかし、0.1%を超えて含有させた場合には、形成される酸化物がTi酸化物、あるいはTi−Al酸化物となって分散密度が低下し、特に小入熱溶接部熱影響部における組織を微細化する能力が失われる。したがって、Tiを含有させる場合には、その含有量を0.1%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.005%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.01%であり、好ましい上限は、0.07%である。
Sn:0.50%以下
Snは、鋼中で、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高飛来塩分環境における耐候性を向上させる。よって、Snを鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が0.50%を超えると、これらの効果は飽和する。したがって、Snを含有させる場合には、その含有量を0.50%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.03%以上含有させるのがよい。好ましい下限は0.05%であり、好ましい上限は0.20%である。
Ca:0.004%以下
Caは、鋼中のSと反応して溶鋼中で酸・硫化物(オキシサルファイド)を形成する。この酸・硫化物は、MnSなどと異なって圧延加工で圧延方向に伸びることがなく圧延後も球状であるため、延伸した介在物の先端などを割れの起点とする溶接割れおよび水素誘起割れを抑制する作用がある。このため、Caを鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が0.004%を超えると、靱性の劣化を招くことがある。したがって、Caを含有させる場合には、その含有量を0.004%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.0003%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.0005%であり、好ましい上限は、0.003%である。
Mg:0.002%以下
Mgは、微細なMg含有酸化物を形成させて、γ粒を微細化する効果がある。その結果、熱影響部の低温破壊靭性を向上させる。よって、Mgを鋼材に含有させてもよい。しかし、その含有量が0.002%を超えると、酸化物が多くなりすぎて延性低下をもたらす。したがって、Mgを含有させる場合には、その含有量を0.002%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.0002%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.0003%であり、好ましい上限は、0.001%である。
REM:0.002%以下
REMは、溶接熱影響部の組織の微細化およびSの固定に寄与するので、鋼材に含有させてもよい。REMによって形成される介在物は、比較的靱性の劣化への影響が小さいが、その含有量が過剰な場合、介在物となって清浄度を低下させ、母材の靱性を低下させることがある。したがって、REMを含有させる場合には、その含有量を0.002%以下とするのがよい。上記の効果を得るには0.0002%以上含有させるのがよい。好ましい下限は、0.0003%であり、好ましい上限は、0.001%である。
なお、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は上記元素の合計量を意味する。
B.金属組織
本発明に係る極低温用厚鋼板は、上記の化学組成を有し、且つ、1/4t位置(t:板厚)において、下記(1)〜(3)の条件を満足する金属組織を有している必要がある。なお、1/4t位置における金属組織を評価するのは、板厚全域の平均的な位置での評価をするためである。
(1)残留γ含有量:4.0〜25.0体積%
厚鋼板中の残留γは、厚鋼板の脆性き裂伝ぱ停止特性を向上させるので、低温環境下での靭性を向上させる効果が期待できる。この効果を得るには、鋼中の残留γ含有量が4.0体積%以上であることが必要である。一方、残留γ量が25.0体積%を超えると、降伏応力が低下するおそれがある。よって、残留γ含有量は4.0〜25.0体積%以下とする。好ましい下限は5.5体積%、好ましい上限は20.0体積%である。
(2)残留γの平均円相当粒径:1.0μm以下、平均円相当粒径が0.2μm以下の残留γ粒子:1.0×10個/mm以上
残留γは、細かい粒子ほど塑性歪に対し安定である。よって、残留γの平均円相当粒径は1.0μm以下とする必要がある。ただし、残留γの平均円相当粒径を1.0μm以下である鋼材であっても、0.2μm以下の粒子数が十分でない場合には、優れた耐破壊特性を鋼材に付与することができない。よって、残留γの平均円相当径が1.0μm以下とするとともに、0.2μm以下の残留γ粒子を1.0×10個/mm以上とすることが必要である。なお、γ粒子の平均円相当径および粒子密度は、適切なエッチングをした供試鋼のSEM観察写真を画像解析することにより、算出することができる。
残留γの平均円相当粒径の下限は特に定めないが、本発明の製造方法で鋼板を製造した場合、通常残留γの平均円相当粒径は、0.20μm以上となる。また、平均円相当粒径が0.2μm以下の残留γ粒子の個数は、多ければ多いほどよいが、本発明の製造方法で鋼板を製造した場合、通常平均円相当粒径が0.2μm以下の残留γ粒子は15.0×10個/mm以下となる。
(3)残留γの格子定数:0.3585nm以上
格子定数が大きいγほど、オーステナイト安定化元素である炭素の濃度が高く、化学的に安定になる。残留γの格子定数が0.3585nm未満の場合、塑性歪に対して不安定であり、破壊抑制に有効ではない。よって、残留γの格子定数は、0.3585nm以上とする。残留γの格子定数は、大きければ大きいほどよいが、本発明の製造方法で鋼板を製造した場合、通常残留γの格子状数は、0.3605nm以下となる。なお、格子定数は供試鋼のX線回折パターンからγ相の(111)(200)(220)の面間隔を算出し、最小二乗法により求めることができる。
C.製造方法に関して
本発明に係る極低温用厚鋼板の製造方法は、上記の金属組織を付与できるものであれば、特に制約はないが、例えば、以下に示す方法を採用することができる。
なお、鋼塊については、格別にその鋳造条件を規定するものではない。造塊−分塊スラブを鋼塊として用いてもよいし、連続鋳造スラブを用いてもよい。製造効率、歩留りおよび省エネルギーの観点からは、連続鋳造スラブを用いることが好ましい。
<加熱工程>
加熱工程は、鋼の組織を最も左右する工程であり、厳密な制御が必要である。特に、加熱工程は、鋼塊の加熱温度Tr(℃)および加熱時間t(hr)が下記の(1)および(2)式を満足する条件で行うのがよい。
×exp(T /270000000)≦580 (1)
Ac≦T (2)
ただし、式中、Tは鋼塊の加熱温度(℃)を、tは鋼塊がTで安定した後の加熱時間(時間)を、Acはフェライトからオーステナイトへの変態が完了する温度をそれぞれ表す。
具体的には、鋼塊の加熱温度Tr(℃)は、加熱炉における均熱帯の温度を用いればよく、加熱時間t(hr)は鋼塊が均熱帯に在炉している時間を用いればよい。なお、Ac点は、下記の(a)式に基づいて計算した値を用いればよい。
Ac点=897.3−271.1×C+43.7×Si−17×Mn+117.8×P+15.95×S−40.8×Cu−22.3×Ni−6.5×Cr+6.5×Mo+65.8×V+145.2×Nb+56.9×Al+88.5×Ti−17968.4×B+121.8×N (a)
ただし、上記式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
加熱工程は、厚鋼板の組織を大きく左右する。前述のように加熱温度が高温ほど組織の粗大化が進むので、高い加熱温度は好ましくない。通常、加熱工程では、加熱炉に挿入後徐々に鋼塊温度が上昇し、均熱帯の温度を超えた後、鋼塊温度が均熱帯の温度に定常化する、いわゆるオーバーシュートが起こりうる。オーバーシュートの発生で鋼塊温度が均熱帯の温度より50℃超となると、鋼塊の組織の粗大化が進み意図する組織が得られなくなる場合がある。このため、オーバーシュートする温度を50℃以下に制御することが好ましい。すなわち、加熱工程では、鋼塊がTr(℃)で安定する前の鋼塊の最高到達温度TOS(℃)を[Tr+50]以下に抑制することが好ましい。
一方、加熱温度は、組織をオーストナイト変態させるためAc点以上とする必要がある。加熱温度は850℃以上にすることが好ましい。850℃以上の鋼塊は変形抵抗が小さく、次工程である熱間圧延工程で使用するロールへの負荷はそれほど大きくならないからである。上記の(2)および(3)式を満足する条件であれば、加熱温度を低く、または加熱炉の占有時間を短くするような制御が可能であるので、製造コストの低下を見込むことができ、かつ温室効果ガス排出を抑制することができる。加熱温度は1000℃以下にすることが好ましい。1000℃以下での加熱であれば、十分な加熱時間を確保することができ、より均熱化した鋼塊を得ることができるからである。
<熱間圧延工程>
熱間圧延工程では、加熱した鋼塊の圧延を行う。具体的には、粗圧延と仕上圧延に分けて圧延すればよい。粗圧延においては、粗圧延終了時の鋼塊厚さが成品厚さ(厚鋼板厚さ)の3〜8倍になるまで圧下するのが好ましい。粗圧延終了後の鋼塊厚さを成品厚さの3倍以上となるように圧下すると、続く仕上圧延において十分な圧下をすることができるので、成品厚鋼板の靱性を向上させることができる。一方、粗圧延終了後の鋼塊厚さを成品厚さの8倍以下となるように圧下すると、続く仕上圧延での仕上圧延温度(仕上圧延が終了する温度)を650℃以上に制御しやすくなる。
仕上圧延では、このようにして粗圧延が行われた鋼塊に対し、冷却することなく引き続き、圧下を行って所定の板厚の成品とするのがよい。この仕上圧延では、仕上圧延温度が850℃以下となるようにして圧延を行うのがよい。仕上圧延温度を850℃以下とするのは、圧延時に変形帯を積極的に組織中に導入することにより最終組織の有効結晶粒径を微細化するためである。また、仕上圧延温度は650℃以上とするのがよい。仕上圧延温度が650℃以上であれば、変形抵抗が小さく圧延し易いからである。なお、圧延中の温度は被圧延材である鋼塊または厚鋼板の表面温度を測定すればよい。
<冷却工程>
冷却工程は、仕上圧延をした圧延後の厚鋼板を冷却する工程である。厚鋼板は、圧延工程を通してある程度自然冷却されているので、厚鋼板の組織が粗大化することはない。圧延後の冷却速度が遅すぎると、最終組織の有効結晶粒径が粗大化するので、圧延後の冷却速度はできるだけ速いことが好ましい。具体的には、厚鋼板の板厚tの中心部、すなわち、1/2t位置(t:板厚)での平均冷却速度を2.0℃/s以上とする。例えば、圧延工程後に製造ラインから外し(すなわち、オフラインで)、そのまま放冷してもよいし、製造ライン上で(すなわち、オンラインで)、加速冷却してもよい。このとき、350℃以下の温度域まで冷却することが好ましい。冷却停止温度が350℃を超える場合、590MPa以上の降伏強度が得られず、靭性の確保をすることができない。
<焼入工程>
焼入工程は、必須ではないが、組織の微細化のために実施してもよい。焼入工程は、(Ac+20℃)〜(Ac−20℃)の温度に再加熱した後に行うのがよい。(Ac点+20℃)以上とすることによって残留γの増加を見込むことができる一方、焼入温度が高くなると組織が粗大化するので、(Ac点−20℃)以下とするのがよい。なお、焼入処理の方法は、スプレー法など手段を問わない。また、焼入れ停止温度は、200℃以下とすることが好ましい。なお、Ac点は、下記の(b)式に基づいて計算した値を用いればよい。
Ac点=712+20.1×Si−17.8×Mn−19.1×Ni+11.9×Cr−9.8×Mo (b)
ただし、上記式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
<焼戻工程>
焼戻工程では、熱間圧延後または更に焼入工程によって生じたマルテンサイト中の歪除去を行う。これによりマルテンサイト組織を高靭性化させ、残留γ量を増加させる。焼戻しの温度が低すぎると、歪み除去が十分に行われない。一方、焼戻しの温度が高すぎると、焼戻処理後、冷却した際に新たにマルテンサイトが生成され、靭性に悪影響を及ぼす。また、高温で長時間加熱すると、合金成分が希薄になり、γの安定性が低下する。よって、焼戻しは、下記の(3)および(4)式を満たす条件で行うのがよい。
540≦P≦610 (3)
P=T(1−Aexp[−(Bexp[−Q/R(T+273)]t]) (4)
ただし、上記式中、Tは焼戻温度(℃)、tは焼戻保持時間(秒)を意味し、各定数項は、それぞれA=0.07、B=150000、Q=155000(J/mol)、R=8.31(J/mol・K)、n=1.1である。
表1に示す化学組成を有する41種類の鋼塊(厚さ:300mm)を準備し、表2に示す条件で、加熱、熱間圧延および熱処理を行って厚鋼板を製造した。製造後の厚鋼板の板厚は6〜50mmの厚鋼板である。
Figure 0005880344
Figure 0005880344
Figure 0005880344
Figure 0005880344
得られた各厚鋼板から試験片を採取し、各種測定を行った。その結果を表3に試験結果を示す。
<残留γ量>
厚鋼板の1/4t(t:板厚)の位置から試験片を採取し、X線回折法により測定した。なお、いずれの厚鋼板においても、主たる金属組織がマルテンサイト組織で構成されていたため、面心立方構造を有する残留γと体心立方構造を有するマルテンサイトの格子構造の違いを利用して、X線ピークの積分強度比から残留γ量を測定した。
<平均円相当径>
厚鋼板の1/4t(t:板厚)の位置から採取した試験片を、走査型電子顕微鏡(SEM)内に設置し、該試験片に電子線を照射し、スクリーン上に投影された電子像をコンピュータで画像解析した(倍率5000倍)。得られた5個の視野の電子像それぞれについて、残留γ粒子を50個以上観察した。観察した全γ粒子について面積を求め、その面積を円相当径に換算し、それを平均化した値を「平均円相当径」として定義した。また、「γ粒子密度」は、円相当径が0.2μm以下のγ粒子数を算出し、画像視野面積で割った値として定義した。
<残留γの格子定数>
格子定数は供試鋼のX線回折パターンからγ相の(111)(200)(220)の面間隔を算出し最小二乗法により求めることができる。
<機械的強度>
厚鋼板の1/4t(t:板厚)の位置から、JISZ2241に規定される4号引張試験片、Vノッチシャルピー衝撃試験片を採取した。方向は圧延方向である。これらの試験片を用い、常温での引張試験と、−196℃での破面の単位面積あたりのシャルピー吸収エネルギーvE−196(J/mm)(3本の平均値)を調べた。
なお、強度の良否の判断基準は以下の通りである。
常温における降伏強度YS:590MPa以上、
常温における引張強度TS:690MPa以上、
単位面積あたりのVノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196:2.0J/mm以上。
Figure 0005880344
Figure 0005880344
表3に示すように、本発明で規定される条件を全て満足するNo.1〜3、9および11〜44は、常温における降伏強度が590MPa以上、引張強度TSが690MPa以上であるともに、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mm以上と高い値を示し、耐破壊安全性に優れていた。
これに対して、化学組成は、本発明で規定される範囲内であるが、残留γ量、平均円相当径、粒子密度および格子定数のいずれか一つ以上の条件を満たさなかったNo.4〜8および10、ならびに化学組成が本発明で規定される範囲を外れるNo.45〜50は、常温で降伏強度およびVノッチシャルピー吸収エネルギーの一方または両方が劣っていた。
No.4は、加熱温度が高く、長時間の加熱をし、(2)式を満たさなかったため、残留γ量及び靭性が低下したと考えられる。No.5は、(4)式を満足せずに厚鋼板の製造を行った。このため、γ粒子の平均円相当径が1.0μm以上、0.2μm以下の粒子密度が1.0×10mm以下と粗大なγ粒が形成された。この結果、降伏強さYSが590MPa以上を満足せず、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mmを下回った。
No.6は、焼入温度が(Ac−20)℃を超えており、残留γ量が4.0%未満となった。この結果、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mmを下回った。No.7、圧延後の冷却速度が3.0℃/sを下回り、残留γ量が4.0%未満となった。この結果、降伏強さYSが590MPa以上を満足せず、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mmを下回った。十分な冷却が行われず十分なマルテンサイト組織が得られなかったためと考えられる。
No.8は、圧延後の冷却時の水冷停止温度が350℃を超えており、残留γ量が4.0%未満となった。この結果、降伏強さYSが590MPa以上を満足せず、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mmを下回った。この例でも、No.7と同様に十分な冷却が行われず十分なマルテンサイト組織が得られなかったためと考えられる。
No.10は、(4)式を満足せずに厚鋼板の製造を行ったため、γの格子定数が0.3585nm未満となった。この結果、降伏強さYSが590MPa以上を満足せず、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mmを下回った。
No.45〜47および49および50は、降伏強度が590MPaは満たしているもののVノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196が2.0J/mmを満足しなかった。No.48は、Ni含有量が多く、Vノッチシャルピー吸収エネルギーvE−196は高いものの、降伏強度が590MPaを下回っていた。
本発明に係る極低温用厚鋼板は、5.0%を超え7.5%未満という低いNi含有鋼板でありながら、常温での降伏強度が590MPa以上であり、極低温環境下でも優れた耐破壊安全性を有している。

Claims (7)

  1. 降伏強度が590MPa以上の極低温用厚鋼板であって、
    質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.4〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Ni:5.0%を超え7.5%未満、sol.Al:0.002〜0.080%およびN:0.0050%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、
    1/4t位置(t:板厚)において、
    残留γ含有量が4.0〜25.0体積%、
    残留γの平均円相当粒径が1.0μm以下、
    平均円相当粒径が0.2μm以下の残留γ粒子が1.0×10個/mm以上で、かつ
    残留γの格子定数が0.3585nm以上であることを特徴とする極低温用厚鋼板。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、Cu:2.0%以下、Cr:1.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下から選択される1種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の極低温用厚鋼板。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.1%以下およびTi:0.1%以下の一方または両方を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の極低温用厚鋼板。
  4. Feの一部に代えて、質量%で、Sn:0.50%以下を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の極低温用厚鋼板。
  5. Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下から選択される1種以上を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の極低温用厚鋼板。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の極低温用厚鋼板を製造する方法であって、
    請求項1から5までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を下記の(1)および(2)式を満足する条件で加熱し、熱間圧延した後、
    2.0℃/s以上の平均冷却速度で350℃以下の温度域まで冷却し、
    下記の(3)および(4)式を満たす条件で焼戻す工程を備えることを特徴とする極低温用厚鋼板の製造方法。
    ×exp(T /270000000)≦580 (1)
    Ac≦T (2)
    540≦P≦610 (3)
    P=T(1−Aexp[−(Bexp[−Q/R(T+273)]t]) (4)
    ただし、(1)〜(4)式中、Tは鋼塊の加熱温度(℃)を、tは鋼塊がTで安定した後の加熱時間(時間)を、Acはフェライトからオーステナイトへの変態が完了する温度を、Tは焼戻温度(℃)、tは焼戻保持時間(秒)を意味し、各定数項は、それぞれA=0.07、B=150000、Q=155000(J/mol)、R=8.31(J/mol・K)、n=1.1である。
  7. 上記焼戻しに先立って、(Ac+20℃)〜(Ac−20℃)の温度に再加熱した後、焼入れすることを特徴とする請求項6に記載の極低温用厚鋼板の製造方法。
    ただし、Acはフェライトからオーステナイトへの変態が開始する温度を意味する。
JP2012176770A 2012-08-09 2012-08-09 極低温用厚鋼板とその製造方法 Active JP5880344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012176770A JP5880344B2 (ja) 2012-08-09 2012-08-09 極低温用厚鋼板とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012176770A JP5880344B2 (ja) 2012-08-09 2012-08-09 極低温用厚鋼板とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014034708A JP2014034708A (ja) 2014-02-24
JP5880344B2 true JP5880344B2 (ja) 2016-03-09

Family

ID=50283883

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012176770A Active JP5880344B2 (ja) 2012-08-09 2012-08-09 極低温用厚鋼板とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5880344B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101997381B1 (ko) * 2015-03-27 2019-10-01 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 고강도 강 및 그 제조 방법, 그리고 강관 및 그 제조 방법
CN109694987B (zh) * 2017-10-20 2021-02-23 鞍钢股份有限公司 一种超低温压力容器用高镍钢及其制造方法
JP6852805B2 (ja) 2017-10-26 2021-03-31 日本製鉄株式会社 低温用ニッケル含有鋼
US11371127B2 (en) 2017-10-26 2022-06-28 Nippon Steel Corporation Nickel-containing steel for low temperature
JP6852806B2 (ja) 2017-10-26 2021-03-31 日本製鉄株式会社 低温用ニッケル含有鋼
EP3702484B1 (en) * 2017-10-26 2022-01-26 Nippon Steel Corporation Nickel-containing steel for low temperature
WO2019087318A1 (ja) * 2017-10-31 2019-05-09 新日鐵住金株式会社 低温用ニッケル含有鋼板およびそれを用いた低温用タンク
KR102075206B1 (ko) 2017-11-17 2020-02-07 주식회사 포스코 충격인성이 우수한 저온용 강재 및 그 제조방법
KR102043523B1 (ko) 2017-12-24 2019-11-12 주식회사 포스코 용접부 인성이 우수한 저온용 강재 및 그 제조방법
CN110129676A (zh) * 2019-05-27 2019-08-16 南京钢铁股份有限公司 一种LNG储罐用7Ni钢板及生产工艺
KR102480707B1 (ko) * 2020-11-12 2022-12-23 현대제철 주식회사 고인성 니켈 강재 및 그 제조방법
US20240002985A1 (en) * 2020-12-03 2024-01-04 Jfe Steel Corporation Steel plate
WO2022118592A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09 Jfeスチール株式会社 鋼板
CN112779472B (zh) * 2020-12-28 2022-01-07 东北大学 一种低温韧性优异的1GPa级海洋工程用钢板及其制备方法
CN114657464A (zh) * 2022-03-03 2022-06-24 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种LNG接收站用稀土节镍型7Ni钢板及其生产方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0860237A (ja) * 1994-08-11 1996-03-05 Sumitomo Metal Ind Ltd 伸び特性に優れた含Ni低温用鋼材の製造法
JP5494167B2 (ja) * 2010-04-14 2014-05-14 新日鐵住金株式会社 極低温用厚鋼板およびその製造方法
JP5513254B2 (ja) * 2010-05-17 2014-06-04 新日鐵住金株式会社 低温用厚鋼板およびその製造方法
JP4975888B2 (ja) * 2010-07-09 2012-07-11 新日本製鐵株式会社 Ni添加鋼板およびその製造方法
JP5594329B2 (ja) * 2012-07-23 2014-09-24 Jfeスチール株式会社 低温靱性に優れたNi含有厚鋼板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014034708A (ja) 2014-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5880344B2 (ja) 極低温用厚鋼板とその製造方法
JP5513254B2 (ja) 低温用厚鋼板およびその製造方法
JP5494166B2 (ja) 極低温用厚鋼板およびその製造方法
JP5494167B2 (ja) 極低温用厚鋼板およびその製造方法
JP5673399B2 (ja) 極低温用鋼材およびその製造方法
JP6883107B2 (ja) 低温での破壊開始及び伝播抵抗性に優れた高強度鋼材及びその製造方法
JP6989606B2 (ja) 低温での破壊開始及び伝播抵抗性に優れた高強度鋼材、及びその製造方法
JP7077801B2 (ja) 低降伏比厚鋼板
JP7045459B2 (ja) 低温での耐破壊特性に優れた極地環境用高強度鋼材及びその製造方法
WO2017104599A1 (ja) 極低温靭性に優れた厚鋼板
JP5741260B2 (ja) 歪付与後のctod特性に優れた極低温用鋼材およびその製造方法
JP6852805B2 (ja) 低温用ニッケル含有鋼
JP6492862B2 (ja) 低温用厚鋼板及びその製造方法
WO2014175122A1 (ja) H形鋼及びその製造方法
WO2020136829A1 (ja) ニッケル含有鋼板
JP2011214099A (ja) 強度および低温靭性と脆性亀裂伝播停止特性に優れた低温用Ni含有鋼およびその製造方法
JP6852806B2 (ja) 低温用ニッケル含有鋼
KR102309124B1 (ko) 저온용 니켈 함유 강
JP7221476B6 (ja) 水素誘起割れ抵抗性に優れた鋼材及びその製造方法
JP5742750B2 (ja) 厚鋼板及びその製造方法
JP5176847B2 (ja) 低降伏比低温用鋼、およびその製造方法
JP2008169440A (ja) 薄肉低降伏比高張力鋼板およびその製造方法
JP7163777B2 (ja) ラインパイプ用鋼板
JP6926247B2 (ja) フラックス入りワイヤ用冷延鋼板及びその製造方法
JP7396507B2 (ja) 鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150519

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150716

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160118

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5880344

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350