JP5880129B2 - 欠陥箇所予測装置,欠陥箇所予測プログラムおよび欠陥箇所予測方法 - Google Patents
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Description
[1]リソグラフィ工程のシミュレーション
予測対象のレイアウトパターンにおけるリソグラフィ工程自体をシミュレートすることにより、ホットスポットの発生する可能性の高い箇所が予測される。しかし、シミュレーションによる予測精度は高いが、微細化の進んだレイアウトパターンを対象とする予測処理には多大な時間がかかる。一つのCPU(Central Processing Unit)を用いてシミュレーションを行なうと、予測処理に数週間かかる場合もある。このため、予測は並列処理によって行なうことが前提となるが、CPU等のリソースは限られているので、実際の設計段階で並列処理によるシミュレーションの実行頻度は低くすることが望ましい。
[2−1]グラフによるマッチング
ホットスポットの発生することが既知である、複数種類の局所的ホットスポットパターンが、予めグラフによって定義される。例えば、各ホットスポットパターンを成す各図形(矩形)の中心点を結ぶ平面グラフが予め生成される。一方、ホットスポットが発生するか否かが未知の予測対象レイアウトパターンがグラフによって表現される。例えば、予測対象レイアウトパターンを成す各図形(矩形)の中心点を結ぶ平面グラフが生成され、予測対象レイアウトパターンの平面グラフと各ホットスポットパターンの平面グラフとが比較される。そして、予測対象レイアウトパターンの平面グラフにおいて複数のホットスポットパターンの平面グラフと一致する部分が、欠陥箇所として抽出される。上述したグラフによるマッチングでは、[1]のシミュレーションよりも高速に欠陥箇所が予測される。しかし、上述したグラフによるマッチングでは、複数のホットスポットパターンの平面グラフと完全一致する部分しか、欠陥箇所として抽出することができない。このため、複数のホットスポットパターンに類似しておりホットスポットの発生する可能性の高い箇所を抽出することができない。従って、[1]のシミュレーションよりも欠陥箇所の予測精度は低くなる。
機械学習によるマッチングは、[2−1]のホットスポットパターンに含まれない全く未知のパターンについて、ホットスポットの有無を識別することが可能であり、近年、主流になっている。機械学習によるマッチングとしては、例えば、以下に説明するピクセル方式および頂点・線分方式が用いられる(非特許文献2,非特許文献3)。
ピクセル方式では、ホットスポットの有無が既知である複数の局所的パターン(サンプルパターン)のそれぞれから、例えば図17(A)および図17(B)に示すピクセル毎の密度や周囲長を特徴量として含む特徴ベクトルが抽出される。ここで、密度は、配線パターンが各ピクセル内で占める面積の割合であり、周囲長は、例えば、各ピクセルにおける配線パターンの辺の長さである。図17(A)および図17(B)に示す例では、各局所的パターンが4×4のピクセルに分割され、16個のピクセルそれぞれの密度d1〜d16や周囲長が抽出される。この後、複数の局所的パターンについて抽出された特徴ベクトルに基づき、予測対象レイアウトパターンにおけるホットスポットの有無を識別する識別モデルが生成される。そして、予測対象レイアウトパターンから、前記局所的パターンのサイズに応じたパターンが分割され、分割後パターンにおける16個のピクセルから特徴ベクトルが抽出される。抽出された特徴ベクトルと上記識別モデルとに基づき、分割後パターンにおけるホットスポットの有無が識別される。なお、図17(A)および図17(B)において、網掛け部分は配線パターンを示している。
頂点・線分方式では、ホットスポットの有無が既知である複数の局所的パターンのそれぞれから、例えば図18(A)〜図18(D)に示す特徴量を含む特徴ベクトルが抽出される。このとき、図18(A)に示すように、各局所的パターンを成す図形の各辺が、同図形の頂点を通る線分で分割され、分割された線分の順序関係が、当該局所的パターンの中心に相当する線分F0を基準として表現される。当該局所的パターンの中心は、リソグラフィ工程における露光用光源からの照射光の中心に対応する。また、図18(B)に示す線分の頂点の凹凸属性が特徴量として抽出される。図18(B)において、CVは凸属性を示し、CCは凹属性を示す。さらに、図18(C)に示す配線パターン外の隣接線分間の距離が特徴量として抽出される。同様に、図18(D)に示す配線パターン内の隣接線分間の距離が特徴量として抽出される。この後、複数の局所的パターンについて抽出された特徴量に基づき、予測対象レイアウトパターンにおけるホットスポットの有無を識別する識別モデルが生成される。そして、予測対象レイアウトパターンから、前記局所的パターンのサイズに応じたパターンが分割され、分割後パターンから図18(A)〜図18(D)と同様の特徴ベクトルが抽出される。抽出された特徴ベクトルと上記識別モデルとに基づき、分割後パターンにおけるホットスポットの有無が識別される。なお、図18(A)〜図18(D)において、網掛け部分は配線パターンを示している。
上述した機械学習によるマッチングによれば、以下の課題[A]および[B]がある。
[A]ピクセル方式では、図19(A)および図19(B)に示すように、同一パターンであっても、メッシュの位置によって、特徴量として抽出されるピクセル毎の密度や周囲長が変わってしまう。同様に、頂点・線分方式では、図20(A)および図20(B)に示すように、同一パターンであっても、当該パターンの中心に指定される線分F0の位置によって、特徴量として抽出される頂点・線分情報が変わってしまう。つまり、いずれの方式でも、パターンの基準位置のズレによって特徴量が変動し、特徴ベクトルがばらついてしまう。このため、ホットスポットの識別精度が低下し、擬似エラーが増大する。擬似エラーは、ホットスポットでない箇所をホットスポットであると識別したり、逆にホットスポットである箇所をホットスポットでないと識別したりするエラーである。ホットスポットでない箇所をホットスポットであると識別する擬似エラーが増大すると、OPCにより補正の不必要なパターンまで補正され、無駄なコストや時間が費やされる。逆に、ホットスポットである箇所をホットスポットでないと識別する擬似エラーが増大すると、補正の必要なパターンを補正することができず、ショートや断線といった欠陥が発生する。なお、図19(A)〜図20(B)において、網掛け部分は配線パターンを示している。
〔1〕本実施形態の欠陥箇所予測装置の構成
図1は、一実施形態の欠陥箇所予測装置1のハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
図1に示す欠陥箇所予測装置1は、LSI等の集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所の位置、特にリソグラフィ工程で光近接効果により生じる欠陥箇所を予測する。以下では「欠陥箇所」を「ホットスポット」という場合がある。
欠陥箇所予測装置1は、一般的なパーソナルコンピュータ等の計算機から構成され、処理部10および記憶部20を有するほか、設計者によって操作され各種情報を本装置1に入力するマンマシンインタフェース(図示略)を有している。処理部10は、CPU等であり、記憶部20は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive)等の内部記憶装置であってもよいし、外部記憶装置であってもよい。
記憶部20は、上述した欠陥箇所予測プログラムを記憶するほか、後述するサンプルパターン21,学習データ22,ホットスポット識別モデル23,予測対象パターン24およびホットスポット位置情報25を記憶する。
第1抽出部11は、記憶部20に記憶された複数のサンプルパターン21のそれぞれから、各サンプルパターン21を成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出する機能を有している。ここで、相対位置関係に関する特徴量は、各サンプルパターン21を成す図形の頂点を結んで得られる複数の三角形、より具体的には、前記頂点に対するドロネー三角分割(Delaunay triangulation)により生成される複数の三角形に基づき抽出される。
(1) 頂点の数(ノード数)
(2) 複数の三角形の辺の数(エッジ数)
(3) 複数の三角形の面積の平均,標準偏差,最大値および最小値
(4) 複数の三角形のうち面積の小さい所定数の三角形の重心のそれぞれと各サンプルパターン21の中心との間の前記所定数の距離。この項目(4)の距離は、各サンプルパターン21における細かい図形が、パターン中心に近い箇所に存在するか、パターン中心から遠い箇所に存在するかを示す指標となる。
また、上述した例において、第1抽出部11は、ドロネー図から特徴量を抽出しているが、各サンプルパターン21を成す図形の頂点に対し生成されるボロノイ図(図3(B)参照)における多角形に基づき、相対位置関係に関する特徴量を抽出してもよい。この場合もドロネー図から抽出される特徴量と同様、例えば以下の(11)〜(14)を含む。
(12) 複数の多角形の辺の数(エッジ数)
(13) 複数の多角形の面積の平均,標準偏差,最大値および最小値
(14) 複数の多角形のうち面積の小さい所定数の多角形の重心のそれぞれと各サンプルパターン21の中心との間の前記所定数の距離。
前述したように、ホットスポットの識別に際して、中心領域の図形と周辺領域の図形とを同程度に考慮すると周辺領域の図形に係る特徴量がノイズになる。そこで、本実施形態では、以下に説明するパターン階層化が行なわれ、階層化されたパターン毎に、特徴ベクトルの抽出や識別モデルの生成などの処理が実行される。
第1例では、図4(B)および図4(C)に示すように、パターン中心を中心とする半径r0の円内が中心領域であり、パターン中心を中心とする半径r0の円と半径r1の円との間が周辺領域(1)である。同様に、パターン中心を中心とする半径r1の円と半径r2の円との間が周辺領域(2)であり、パターン中心を中心とする半径r2の円の外側が周辺領域(3)である。
第2例では、図5(A)に示すように、上述した第1例と同様、パターン中心を中心とする半径r0の円内が中心領域であり、パターン中心を中心とする半径r0の円と半径r1の円との間が周辺領域(1)である。同様に、パターン中心を中心とする半径r1の円と半径r2の円との間が周辺領域(2)であり、パターン中心を中心とする半径r2の円の外側が周辺領域(3)である。第1抽出部11は、図5(A)に示す中心領域に存在するパターンを中心パターンとして扱う。また、第1抽出部11は、図5(A)に示す周辺領域(1)に存在するパターンを周辺パターン(1)として扱う。同様に、第1抽出部11は、図5(A)に示す周辺領域(2)に存在するパターンを周辺パターン(2)として扱い、図5(A)に示す周辺領域(3)に存在するパターンを周辺パターン(3)として扱う。
図6(A)〜図6(C)は、本実施形態におけるパターン階層化の具体例を示す図、図6(D)〜図6(F)はそれぞれ図6(A)〜図6(C)に示すパターンに対し生成されるドロネー図である。なお、図6(A)〜図6(C)において、網掛け部分は配線パターンを示している。
第1抽出部11は、階層化されたパターン毎に抽出した特徴ベクトルを、各サンプルパターン21について予め既知であるホットスポット情報とともに、例えば図7に示す学習データ22として記憶部20に格納する。なお、ホットスポット情報は、前述した通り、対応パターンにホットスポットが有るか無いかを示す情報であり、ホットスポットが有る場合に“1”、ホットスポットが無い場合に“0”となる。
生成部12は、第1抽出部11により抽出された第1特徴ベクトルを含む学習データ22に基づき、ホットスポットの有無を識別するホットスポット識別モデル23を生成し、記憶部20に格納する。生成部12は、第1中心パターンおよび1以上の第1周辺パターンのそれぞれから抽出された第1特徴ベクトル(図7参照)に基づき、第1中心パターンおよび1以上の第1周辺パターンのそれぞれについてホットスポット識別モデルを生成する。例えば、第1周辺パターンが2階層でありサンプルパターンを3階層に分けて第1特徴ベクトルを抽出した場合、生成部12は、複数のサンプルパターンにおける中心パターンから抽出された複数の第1特徴ベクトルに基づき識別モデル0を生成する。同様に、生成部12は、複数のサンプルパターンにおける周辺パターン(1)から抽出された複数の第1特徴ベクトルに基づき識別モデル1を生成するとともに、複数のサンプルパターンにおける周辺パターン(2)に基づき識別モデル2を生成する。生成部12は、生成した識別モデル0〜2をホットスポット識別モデル23として記憶部20に格納する。
記憶部20には、適当なタイミングで、ホットスポットの発生を予測しそのホットスポットの位置を推定すべき予測対象パターン24のレイアウトデータが格納される。予測対象パターン24のレイアウトデータは、図2に示すサンプルパターン21のレイアウトデータと同様の頂点座標リストである。ただし、予測対象パターン24は、当然、ホットスポットの有無が未知であるので、ホットスポットの有無に関するホットスポット情報を含んでいない。また、各サンプルパターン21は、ホットスポットを一つだけ含む局所的パターンであるのに対し、予測対象パターン24は、複数のホットスポットを含みうる、局所的パターンよりも大きいパターンである。
条件(21): 第1中心パターンについて生成された識別モデル0と分割後パターンにおける第2中心パターンから抽出された第2特徴ベクトルとに基づき、分割後パターンが複数のサンプルパターンのうちホットスポットが有るものの少なくとも一つに一致または類似する判断した場合。
条件(22): 1以上の第1周辺パターンについて生成された識別モデル1,2,…と分割後パターンにおける1以上の第2周辺パターンから抽出された第2特徴ベクトルとに基づき、分割後パターンが複数のサンプルパターンのうちホットスポットが有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合。
条件(23): 第1中心パターンについて生成された識別モデル0と分割後パターンにおける第2中心パターンから抽出された第2特徴ベクトルとに基づき、分割後パターンが複数のサンプルパターンのうちホットスポットが無いものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合。
条件(24): 1以上の第1周辺パターンについて生成された識別モデル1,2,…と分割後パターンにおける1以上の第2周辺パターンから抽出された第2特徴ベクトルとに基づき、分割後パターンが複数のサンプルパターンのうちホットスポットが無いものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合。
次に、上述のごとく構成された本実施形態の欠陥箇所予測装置1の具体的な動作について、図10〜図14を参照しながら説明する。
〔2−1〕欠陥箇所予測装置による処理の概略
図10に示すフローチャート(ステップS1〜S3)に従って、本実施形態の欠陥箇所予測装置1による処理を概略的に説明する。
図10に示すように、欠陥箇所予測装置1による処理は、識別モデル生成処理と検出処理との二つに分けられる。識別モデル生成処理は、ホットスポットの有無が既知である複数のサンプルパターン21に基づきホットスポット識別モデルを生成する処理であり、特徴ベクトル抽出処理(ステップS1)とホットスポット識別モデル生成処理(ステップS2)とを含む。検出処理は、生成されたホットスポット識別モデルを用いて予測対象パターンにおけるホットスポットの位置を予測・検出する処理であり、ホットスポット検出処理(ステップS3)を含む。
特徴ベクトル抽出処理(ステップS1)において、記憶部20から読み出された各サンプルパターン21は、第1抽出部11により、第1中心パターンと1以上の第1周辺パターン(1),(2),…とに分けられる。そして、第1抽出部11により、第1中心パターンと1以上の第1周辺パターン(1),(2),…とのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルが抽出される。抽出された第1特徴ベクトルは、各サンプルパターン21のホットスポット情報とともに、学習データ22(図7参照)として記憶部20に格納される。第1抽出部11による特徴ベクトル抽出処理については、図11および図12に示すフローチャートを参照しながら後述する。
次に、第1抽出部11による特徴ベクトルの抽出処理について、図11および図12に示すフローチャートに従って説明する。なお、図11は中心パターンの特徴ベクトル抽出処理を説明するフローチャートであり、図12は周辺パターンの特徴ベクトル抽出処理を説明するフローチャートである。
第1抽出部11は、選択したパターンpiの中心領域内に存在するq個の頂点(配線パターンの頂点)を抽出し、頂点集合V=(v1,v2,v3,…,vq)を得る(ステップS12)。中心領域は、例えば図5(A),図5(B)および図6(A)を参照しながら前述した通り、選択したパターンpiの中心を中心とする半径r0の円内の領域、もしくは、辺長2xr0の正方形内の領域である。なお、qは、中心領域内に存在する頂点の数を示す自然数である。
そして、第1抽出部11は、ステップS13で得られたドロネー図から、選択したパターンpiの中心領域における図形間の相対位置関係に関する特徴量、即ち、上述した特徴量(1)〜(4)を算出し、これらの特徴量を要素とする中心パターン用特徴ベクトルFiを取得する(ステップS14)。
第1抽出部11は、k個のサンプルパターンの中から未選択のサンプルパターンpiを選択する(ステップS21)。
第1抽出部11は、選択したパターンpiの周辺領域(1)内に存在するq個の頂点を抽出し、頂点集合V=(v1,v2,v3,…,vq)を得る(ステップS22)。
そして、第1抽出部11は、ステップS23で得られたドロネー図から、選択したパターンpiの周辺領域(1)における図形間の相対位置関係に関する特徴量、即ち、上述した特徴量(1)〜(4)を算出し、これらの特徴量を要素とする、周辺パターン(1)用の特徴ベクトルF1iを取得する(ステップS24)。
従って、以上の処理により、中心パターン用特徴ベクトルの集合{F1,F2,…,Fk}と、周辺パターン(1)用特徴ベクトルの集合{F11,F12,…,F1k}と、… 周辺パターン(j)用特徴ベクトルの集合{Fj1,Fj2,…,Fjk}とが取得され、記憶部20に格納される。つまり、全部でk×(j+1)個の特徴ベクトルが抽出される。このとき、jは周辺パターンの階層数である。
次に、生成部12によるホットスポット識別モデルの生成処理について、図13に示すフローチャート(ステップS31〜S38)に従って説明する。
まず、生成部12は、ホットスポットの有無が既知のサンプルパターンから抽出された特徴ベクトルと、中心領域や周辺領域を規定する領域サイズr0,r1,r2,…と、擬似エラー率による判定基準である所定値(閾値)αとを読み込む(ステップS31)。このとき、ホットスポットの有るサンプルパターンの数(ホットスポット数)をn、ホットスポットの無いサンプルパターンの数(ノンホットスポット数)をm、全サンプルパターンの数をn+mとする。mおよびnはそれぞれ自然数である。
次に、第2抽出部13および予測部14によるホットスポットの検出処理について、図14に示すフローチャート(ステップS41〜S51)に従って説明する。
まず、第2抽出部13は、予測対象パターン24を各サンプルパターン21に応じたサイズに分割することにより、上述したサンプルパターン21と同一または略同一のサイズおよび形状を有する、複数の分割後パターンを取得する(ステップS41)。各分割後パターンは、ホットスポットの有無が未知のレイアウトパターンであり、GDSフォーマット等の図形データとして与えられる。また、第2抽出部13は、生成部12によって生成された識別モデル0,1,2,…,L(Lは自然数)を取得する(ステップS41)。本項で説明する例においては、階層化パターンつまり周辺パターンの段階数がLであり、L+1個の識別モデル0〜Lが取得されているものとする。
一方、予測部14は、分割後パターンにおける全ての段階の周辺パターンについてホットスポットが有ると識別すると(ステップS49のYESルートおよびステップS50のYESルート)、現在処理対象の分割後パターンにはホットスポットが有ると識別する。
図19(A)〜図20(B)に示したように、ピクセル方式や頂点・線分方式では、パターンの基準位置のズレによって特徴量が変動し特徴ベクトルがばらつく。これに対し、本実施形態の第1抽出部11や第2抽出部13により抽出される、特徴量(1)〜(4)または(11)〜(14)は、図形間の相対位置関係に関する値であるため、各パターンの中心位置(基準位置)が多少ずれたとしても、大きく変動することがない。このため、各サンプルパターン21を成す図形の絶対位置による特徴量のばらつき、つまりは特徴ベクトルのばらつきの発生を抑止することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。
以上の本実施形態を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所を予測する処理部と、
前記欠陥箇所の有無が既知である複数のサンプルパターンを記憶する記憶部とを有し、
前記処理部は、
前記記憶部に記憶された前記複数のサンプルパターンのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記欠陥箇所の有無を識別する識別モデルを生成し、
生成された前記識別モデルに基づき、予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測することを特徴とする、欠陥箇所予測装置。
前記処理部は、
前記各サンプルパターンを、前記各サンプルパターンの中心領域に属する第1中心パターンと、前記各サンプルパターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第1周辺パターンとに分け、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから前記第1特徴ベクトルを抽出し、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて前記識別モデルを生成する、付記1記載の欠陥箇所予測装置。
前記処理部は、
前記予測対象パターンを前記各サンプルパターンに応じたサイズに分割するとともに、各分割後パターンを、前記各分割後パターンの中心領域に属する第2中心パターンと、前記各分割後パターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第2周辺パターンとに分け、
前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンおよび前記1以上の第2周辺パターンのそれぞれから、各パターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第2特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第2特徴ベクトルと、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて生成された前記識別モデルとに基づき、前記各分割後パターンにおける前記欠陥箇所の有無を識別することにより、前記予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する、付記2記載の欠陥箇所予測装置。
前記処理部は、
前記第1中心パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断し、且つ、前記1以上の第1周辺パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記1以上の第2周辺パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合、前記各分割後パターンに前記欠陥箇所が有ると識別する、付記3記載の欠陥箇所予測装置。
前記処理部は、
前記第1中心パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が無いものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合、または、前記1以上の第1周辺パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記1以上の第2周辺パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が無いものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合、前記各分割後パターンに前記欠陥箇所が無いと識別する、付記3または付記4に記載の欠陥箇所予測装置。
前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所があるサンプルパターンの中心位置は、前記欠陥箇所の位置に対応し、
前記処理部は、
前記各分割後パターンに前記欠陥箇所が有ると識別した場合、前記各分割後パターンの中心位置を、前記予測対象パターンにおける前記欠陥箇所の位置として予測する、付記3〜付記5のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測装置。
前記識別モデルは、
前記第2特徴ベクトルに含まれる特徴量の値に基づく条件判定を行なうことにより、前記各分割後パターンを、前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つ、または、前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が無いものの少なくとも一つに分類する分類木として構成される、付記3〜付記6のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測装置。
前記処理部は、
前記1以上の第1周辺パターンのうちi番目(iは自然数)の第1周辺パターンについて生成された前記識別モデルによる識別結果の擬似エラー率を算出し、
前記擬似エラー率が所定値以上である場合、前記i番目の第1周辺パターンよりも外側のi+1番目の第1周辺パターンについて前記識別モデルを生成する一方、
前記擬似エラー率が前記所定値未満である場合または前記擬似エラー率が減少しなくなった場合、前記識別モデルの生成を終了する、付記2〜付記7のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測装置。
前記相対位置関係に関する特徴量は、
前記各パターンを成す図形の頂点を結んで得られる複数の三角形に基づき抽出される、付記1〜付記8のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測装置。
前記複数の三角形は、
前記頂点に対するドロネー三角分割(Delaunay triangulation)により生成される三角形である、付記9記載の欠陥箇所予測装置。
前記相対位置関係に関する特徴量は、
前記頂点の数と、
前記複数の三角形の辺の数と、
前記複数の三角形の面積の平均,標準偏差,最大値および最小値と、
前記複数の三角形のうち面積の小さい所定数の三角形の重心のそれぞれと前記各パターンの中心との間の前記所定数の距離と、
を含む、付記9または付記10に記載の欠陥箇所予測装置。
前記相対位置関係に関する特徴量は、
前記各パターンを成す図形の頂点に対し生成されるボロノイ図における多角形に基づき抽出される、付記1〜付記8のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測装置。
集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所を予測するコンピュータに、
前記欠陥箇所の有無が既知である複数のサンプルパターンのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記欠陥箇所の有無を識別する識別モデルを生成し、
生成された前記識別モデルに基づき、予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する
処理を実行させる、欠陥箇所予測プログラム。
前記各サンプルパターンを、前記各サンプルパターンの中心領域に属する第1中心パターンと、前記各サンプルパターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第1周辺パターンとに分け、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから前記第1特徴ベクトルを抽出し、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて前記識別モデルを生成する
処理を前記コンピュータに実行させる、付記13記載の欠陥箇所予測プログラム。
前記予測対象パターンを前記各サンプルパターンに応じたサイズに分割するとともに、各分割後パターンを、前記各分割後パターンの中心領域に属する第2中心パターンと、前記各分割後パターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第2周辺パターンとに分け、
前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンおよび前記1以上の第2周辺パターンのそれぞれから、各パターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第2特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第2特徴ベクトルと、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて生成された前記識別モデルとに基づき、前記各分割後パターンにおける前記欠陥箇所の有無を識別することにより、前記予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する
処理を前記コンピュータに実行させる、付記14記載の欠陥箇所予測プログラム。
前記第1中心パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断し、且つ、前記1以上の第1周辺パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記1以上の第2周辺パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合、前記各分割後パターンに前記欠陥箇所が有ると識別する
処理を前記コンピュータに実行させる、付記15記載の欠陥箇所予測プログラム。
前記相対位置関係に関する特徴量は、
前記各パターンを成す図形の頂点を結んで得られる複数の三角形に基づき抽出される、付記13〜付記16のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測プログラム。
コンピュータにより、集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所を予測する欠陥箇所予測方法であって、
前記欠陥箇所の有無が既知である複数のサンプルパターンのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記欠陥箇所の有無を識別する識別モデルを生成し、
生成された前記識別モデルに基づき、予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する、欠陥箇所予測方法。
前記各サンプルパターンを、前記各サンプルパターンの中心領域に属する第1中心パターンと、前記各サンプルパターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第1周辺パターンとに分け、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから前記第1特徴ベクトルを抽出し、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて前記識別モデルを生成する、付記18記載の欠陥箇所予測方法。
前記相対位置関係に関する特徴量は、
前記各パターンを成す図形の頂点を結んで得られる複数の三角形に基づき抽出される、付記18または付記19に記載の欠陥箇所予測方法。
10 処理部(コンピュータ,CPU)
11 第1抽出部
12 生成部
13 第2抽出部
14 予測部
20 記憶部
21 サンプルパターン(レイアウトデータ,ホットスポット情報,頂点座標リスト)
22 学習データ(特徴ベクトル,ホットスポット情報)
23 ホットスポット識別モデル(識別モデル,分類木)
24 予測対象パターン(レイアウトデータ)
25 ホットスポット位置情報
Claims (7)
- 集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所を予測する処理部と、
前記欠陥箇所の有無が既知である複数のサンプルパターンを記憶する記憶部とを有し、
前記処理部は、
前記記憶部に記憶された前記複数のサンプルパターンのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記欠陥箇所の有無を識別する識別モデルを生成し、
生成された前記識別モデルに基づき、予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測することを特徴とする、欠陥箇所予測装置。 - 前記処理部は、
前記各サンプルパターンを、前記各サンプルパターンの中心領域に属する第1中心パターンと、前記各サンプルパターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第1周辺パターンとに分け、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから前記第1特徴ベクトルを抽出し、
前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれから抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて前記識別モデルを生成する、請求項1記載の欠陥箇所予測装置。 - 前記処理部は、
前記予測対象パターンを前記各サンプルパターンに応じたサイズに分割するとともに、各分割後パターンを、前記各分割後パターンの中心領域に属する第2中心パターンと、前記各分割後パターンの前記中心領域よりも外側の1以上の周辺領域に属する1以上の第2周辺パターンとに分け、
前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンおよび前記1以上の第2周辺パターンのそれぞれから、各パターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第2特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第2特徴ベクトルと、前記第1中心パターンおよび前記1以上の第1周辺パターンのそれぞれについて生成された前記識別モデルとに基づき、前記各分割後パターンにおける前記欠陥箇所の有無を識別することにより、前記予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する、請求項2記載の欠陥箇所予測装置。 - 前記処理部は、
前記第1中心パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記第2中心パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断し、且つ、前記1以上の第1周辺パターンについて生成された前記識別モデルと前記各分割後パターンにおける前記1以上の第2周辺パターンから抽出された前記第2特徴ベクトルとに基づき、前記各分割後パターンが前記複数のサンプルパターンのうち前記欠陥箇所が有るものの少なくとも一つに一致または類似すると判断した場合、前記各分割後パターンに前記欠陥箇所が有ると識別する、請求項3記載の欠陥箇所予測装置。 - 前記相対位置関係に関する特徴量は、
前記各パターンを成す図形の頂点を結んで得られる複数の三角形に基づき抽出される、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の欠陥箇所予測装置。 - 集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所を予測するコンピュータに、
前記欠陥箇所の有無が既知である複数のサンプルパターンのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記欠陥箇所の有無を識別する識別モデルを生成し、
生成された前記識別モデルに基づき、予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する
処理を実行させる、欠陥箇所予測プログラム。 - コンピュータにより、集積回路のパターン形成工程で生じる欠陥箇所を予測する欠陥箇所予測方法であって、
前記欠陥箇所の有無が既知である複数のサンプルパターンのそれぞれから、各サンプルパターンを成す図形間の相対位置関係に関する特徴量を含む第1特徴ベクトルを抽出し、
抽出された前記第1特徴ベクトルに基づき、前記欠陥箇所の有無を識別する識別モデルを生成し、
生成された前記識別モデルに基づき、予測対象パターンにおける前記欠陥箇所を予測する、欠陥箇所予測方法。
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