JP5879244B2 - アルミニウム合金 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金及びその製造方法に関する。
現在、アルミニウム(Al)合金において、マグネシウム(Mg)は、主な合金元素中の一つである。このようなマグネシウムの添加でアルミニウム合金は強度が増加し、表面処理に有利であり、耐蝕性が向上する。しかし、マグネシウムをアルミニウム溶湯(molten aluminum)内で合金化する過程中に化学的に高い酸化性を有したマグネシウムによって、酸化物や介在物がアルミニウム溶湯に混入されて溶湯品質を低下させる問題点を起こす。このようなマグネシウムの添加による酸化物または介在物の混入を抑制するために、マグネシウムの添加時、SFなどの保護ガスで溶湯表面を塗布する方法が利用されうる。
しかし、アルミニウム合金の製造工程上、大規模に添加されるマグネシウムを保護ガスで完璧に保護することは難しい。さらに、保護ガスとして使われるSFは、高価であるだけではなく、環境問題を誘発するガスであって、全世界的に次第にその使用が規制されている。
これにより、本発明は、親環境的に製造されながら、優れた合金特性を有するアルミニウム合金及びその製造方法を提供することである。また、本発明は、このようなアルミニウム合金を利用した加工製品を提供することである。このような課題は、例示的に提示され、本発明の範囲が、このような課題によって制限されるものではない。
本発明の一形態により、アルミニウム合金の製造方法が提供される。この方法は、カルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金及びアルミニウムを提供する工程と、前記マグネシウム母合金及び前記アルミニウムが溶解された溶湯を形成する工程と、前記溶湯を鋳造する工程と、を含む。
前記製造方法の一側面によれば、前記マグネシウム母合金は、純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を母材とし、前記母材にカルシウム系添加剤を添加して製造することができる。例えば、前記マグネシウム母合金は、母材を溶解して母材溶湯を形成する工程と、前記母材溶湯にカルシウム系添加剤を添加する工程と、を含んで形成することができる。他の例として、前記マグネシウム母合金は、前記母材及び前記カルシウム系添加剤をともに溶解する工程を含んで形成することができる。さらに、前記マグネシウム母合金は、前記カルシウム系添加剤の少なくとも一部を消尽させるために、前記母材溶湯を撹拌する工程をさらに含んで形成することができる。
前記製造方法のさらに他の側面によれば、前記カルシウム系添加剤は、前記マグネシウム溶湯内で還元され、前記カルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含みうる。
前記製造方法のさらに他の側面によれば、鉄(Fe)を1.0重量%以下(0超過)で添加する工程をさらに含みうる。
本発明の一形態によるアルミニウム合金は、前述した製造方法の何れか一つまたはこれらの組み合せによって製造されたアルミニウム合金であり得る。
本発明の他の形態によるアルミニウム合金は、アルミニウム基地及び前記アルミニウム基地に存在するカルシウム系化合物を含む。前記アルミニウム基地には、マグネシウムが固溶される。
前記アルミニウム合金の一側面によれば、前記アルミニウム基地は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有し、前記境界または前記領域内には、前記カルシウム系化合物の少なくとも一部が存在することができる。例えば、前記領域は、結晶粒であり、前記境界は、結晶粒界であり得る。他の例として、前記領域は、相異なる相によって限定される相領域であり、前記境界は、相境界であり得る。
前記アルミニウム合金の他の側面によれば、前記カルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含みうる。さらに、前記Mg−Ca化合物は、MgCaを含み、前記Al−Ca化合物は、AlCa及びAlCaのうち何れか一つ以上を含み、前記Mg−Al−Ca化合物は、(Mg、Al)Caを含みうる。
前記アルミニウム合金のまた他の側面によれば、鉄(Fe)が1.0重量%以下(0超過)でさらに含まれうる。
前記アルミニウム合金のさらに他の側面によれば、前記アルミニウム基地内の結晶粒または相領域の平均大きさが、同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べてさらに小さな値を表すことができる。
前記アルミニウム合金のさらに他の側面によれば、前記アルミニウム合金の引張強度は、同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べてさらに大きい値を表わすことができ、さらに、さらに大きい引張強度とともにさらに大きいか、同等なレベルの延伸率を有しうる。
本発明の実施形態によるアルミニウム合金の製造方法によれば、アルミニウム溶湯内にマグネシウムを添加する過程で、従来に使われるSFなどの保護ガスの量を顕著に減少させるか、使わない場合にも、安定的にアルミニウム鋳造工程を行うことができる。したがって、アルミニウム内に添加されるマグネシウムの含有量を容易に増加させることができながらも、環境的な側面及びコスト的な側面で長所を有しうる。
また、鋳造中に、アルミニウムの溶湯にマグネシウムの高い酸化性による酸化物または介在物の混入を防止することができるので、溶湯の清浄度を向上させて溶湯の品質を改善させることができる。
このようなアルミニウム溶湯の品質改善で、これにより鋳造されるアルミニウム合金は、従来に比べて不純物の含有量が顕著に減少してさらに優れた機械的特性を表すことができる。
また、本発明の実施形態による製造方法で製造されたアルミニウム合金は、マグネシウム母合金の添加でともに添加されるカルシウム系化合物が基地内に分散されることによって、分散強化の効果及び結晶粒の微細化の効果などを誘発して、アルミニウム合金の機械的特性を顕著に改善させることができる。
また、アルミニウム合金内にマグネシウム含有量を増加させることができるということによって、鉄の含有量を減少させる場合にも、アルミニウムダイキャスティング時に発生する焼着を防止することができて、鉄による耐蝕性及び延伸率の悪化を防止することができる。
本発明によるアルミニウム合金の製造時、アルミニウム溶湯に添加されるマグネシウム母合金の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 マグネシウム母合金の微細組職及び成分を分析した結果である。 本発明によるアルミニウム合金の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態によって、酸化カルシウム(CaO)を添加して製造した母合金を添加したアルミニウム合金(a)と純粋マグネシウムを添加したアルミニウム合金(b)との溶湯表面を観察した結果である。 本発明の一実施形態によって、酸化カルシウム(CaO)を添加して製造した母合金を添加したアルミニウム合金(a)と純粋マグネシウムを添加したアルミニウム合金(b)との鋳造材の表面を観察した結果である。 本発明の一実施形態によって、酸化カルシウム(CaO)が添加されたマグネシウム母合金を添加したアルミニウム合金(a)と純粋マグネシウムを添加したアルミニウム合金(b)との成分を分析した結果である。 本発明の一実施形態によって、酸化カルシウム(CaO)が添加されたマグネシウム母合金を添加したアルミニウム合金の組職をEPMAで観察した結果(a)、及びEPMAを利用した成分マッピング結果であって、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及び酸素のマッピング結果((b)〜(e))を示すものである。 6061合金に酸化カルシウム(CaO)が添加されたマグネシウム母合金を添加して製造したアルミニウム合金(a)及び市販のアルミニウム合金である6061合金(b)の微細組職を観察した結果である。 マグネシウム溶湯に酸化カルシウムを添加した場合、マグネシウム溶湯の上層部で酸化カルシウムが分解される過程を表わす概略図である。
以下、添付図面を参照して、本発明による望ましい実施形態を説明することによって、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、相異なる多様な側面として具現され、単に本実施形態は、本発明の開示を完全にさせ、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
本発明の一実施形態によれば、所定の添加剤が添加された母合金を製造した後、この母合金をアルミニウムに添加することによって、アルミニウム合金を製造する。この際、母合金は、純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を母材として使うことができ、これをいずれもマグネシウム母合金と指称する。
この実施形態で、純粋マグネシウムは、意図的に投入された合金元素がない状態であって、マグネシウムを製造する過程中に不可避に投入される不純物を含む実質的意味と定義する。マグネシウム合金は、マグネシウムに意図的に他の合金元素を添加して製造した合金であり、例えば、合金元素としてアルミニウムを含みうる。合金元素としてアルミニウムを含むマグネシウム合金をマグネシウム−アルミニウム合金とも指称することができる。このようなマグネシウム−アルミニウム合金は、合金元素としてアルミニウムのみを添加したものだけではなく、アルミニウムの以外の他の合金元素もともに添加されたものも含みうる。
図1は、本発明の一実施形態によるアルミニウム合金の製造方法で、マグネシウム母合金の製造方法を示すフローチャートである。マグネシウム母合金の母材としては、純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金が使われる。母材に添加されるカルシウム系添加剤としては、カルシウムを含む化合物、例えば、酸化カルシウム(CaO)、シアン化カルシウム(Ca(CN))、炭化カルシウム(CaC)、水酸化カルシウム(Ca(OH))及び炭酸カルシウム(CaCO)のうち何れか一つ以上を含みうる。図1を参照すると、マグネシウム母合金の製造方法は、マグネシウム溶湯形成工程(ステップS1)、添加剤添加工程(ステップS2)、撹拌・維持工程(ステップS3)、鋳造工程(ステップS4)及び冷却工程(ステップS5)を含みうる。
マグネシウム溶湯形成工程(ステップS1)で、マグネシウムを坩堝に入れてマグネシウムを溶融させ、マグネシウム溶湯を形成することができる。例えば、坩堝を600ないし800℃に加熱してマグネシウムを溶融させることができる。加熱温度が600℃未満であれば、マグネシウム溶湯が形成され難く、加熱温度が800℃を超過すれば、マグネシウム溶湯が発火する危険がある。
添加剤添加工程(ステップS2)では、カルシウム系添加剤を母材であるマグネシウムの溶湯に添加することができる。例えば、カルシウム系添加剤の大きさは、0.1ないし500μmであり得る。このような添加剤の大きさが0.1μm未満であることは、現実的に作り難く、コストが多くかかる。添加剤の大きさが500μmを超過する場合には、このような添加剤がマグネシウム溶湯と反応しないこともある。
例えば、カルシウム系添加剤は、マグネシウム母合金100重量部に対して0.0001ないし30重量部に添加されうる。添加剤が0.0001重量部未満である場合には、添加剤による効果(硬度増加、酸化減少、発火温度の増加及び保護ガスの減少)が小さいことがある。また、添加剤が30重量部を超過すれば、元のマグネシウムの特性が弱くなることがある。
撹拌・維持工程(ステップS3)では、マグネシウム溶湯を適切な時間の間に撹拌または維持することができる。例えば、撹拌または維持時間は、1ないし400分範囲内であり得る。撹拌・維持時間が1分未満であれば、マグネシウム溶湯に添加剤が十分に混じらず、400分を超過すれば、マグネシウム溶湯の撹拌・維持時間が無駄に長くなる。
一方、カルシウム系添加剤をマグネシウム母合金の製造過程中に投入する場合、マグネシウム溶湯の発火を防止するために、付加的に少量の保護ガスが選択的に提供されることもできる。保護ガスは、通常のSF、SO、CO、HFC−134a、NovecTM612、非活性ガス及びその等価物またはこれらの混合ガスを利用することができる。しかし、本発明で、このような保護ガスが必ずしも必要なものではなく、提供されないこともある。
前述したように、添加剤添加工程(ステップS2)及び撹拌・維持工程(ステップS3)で、カルシウム系添加剤を投入する場合には、溶湯内のマグネシウムの耐酸化性を増加させて発火温度を高めることによって、マグネシウムの溶解時に必要な保護ガスの量を著しく低減させるか、無くすことができる。したがって、このようなマグネシウム母合金の製造方法によれば、規制対象であるSFなどのような保護ガス使用を減らすか、または無くすことで環境汚染を抑制することができる。
一方、図9に示されたように、撹拌・維持工程(ステップS3)において、マグネシウム溶湯の上層部で酸化カルシウムは、酸素とカルシウムとに分解されうる。この際、分解された酸素は、ガス(O)としてマグネシウム溶湯の外に排出されるか、ドロスまたはスラッジとしてマグネシウム溶湯の上部に浮遊する。一方、分解されたカルシウムは、溶湯内で他の元素と反応して多様な化合物を形成する。なお図9において、1は坩堝であり、20は溶湯の表面であり、10は溶湯の内部を示す。
したがって、分解反応の活性化のために、カルシウム系添加剤がマグネシウム溶湯の内部に混入させるよりは、溶湯の表面で反応するように反応環境を造成することができる。このために、添加されたカルシウム系添加剤が溶湯の表面に可能な限り長期間滞留し、大気中に露出されるように維持するために、マグネシウム溶湯の上層部に対する撹拌を実施することができる。
表1は、AM60Bマグネシウム溶湯に酸化カルシウムを添加した場合、撹拌方法による酸化カルシウムの残量を測定した結果である。添加された酸化カルシウムの大きさは、70μmあり、酸化カルシウムは、5、10、15wt%が添加された。撹拌方法としては、マグネシウム溶湯の上層部の撹拌、内部の撹拌及び撹拌を行わない方法が選択された。表1からマグネシウム上層部の撹拌を行う場合に、それ以外の場合とは異なって添加された酸化カルシウムの大部分がカルシウムに還元されるということが分かる。
これにより、撹拌は、マグネシウム溶湯の表面から溶湯全体深さの20%内外の上層部でなされることができ、望ましくは、溶湯全体深さの10%内外の上層部でなされうる。撹拌が20%以上の深みでなされる場合、表面でのカルシウム系添加剤の分解が起き難くなる。
この際、撹拌のための時間は、溶湯の温度と投入される粉末の状態とによって差があり、可能な限り添加されたカルシウム系添加剤が溶湯内で完全に消尽されるまで十分に撹拌することが望ましい。ここで、消尽は、カルシウム系添加剤の分解が実質的に完了することを意味する。
このような撹拌によって、マグネシウム溶湯でカルシウム系添加剤の分解及びこのような分解によって生成されたカルシウムが、マグネシウム溶湯内で多様な化合物を形成する反応をさらに促進させることができる。
母材溶湯の撹拌・維持工程(ステップS3)が完了すれば、前記マグネシウム溶湯を鋳型に入れて鋳造し(ステップS4)、冷却させた後、鋳型から凝固された母合金を分離させる(ステップS5)。
鋳造工程(ステップS4)での鋳型の温度は、常温(例えば、25℃)ないし400℃の温度範囲を有しうる。冷却工程(ステップS5)では、鋳型を常温まで冷却させた後、母合金を鋳型から分離させることができるが、常温以前でも母合金の凝固が完了する場合には、鋳型から母合金を分離させることができる。
ここで、前記鋳型は、金型、セラミック型、グラファイト型及びその等価物のうちから選択された何れか一つを利用することができる。また、鋳造方式は、砂型鋳造(sandcasting)、ダイキャスティング(die casting)、重力鋳造、連続鋳造、低圧鋳造、スクイズキャスティング、ロストワックス鋳造(lost wax casting)、チキソキャスティング(thixo casting)などが挙げられる。
重力鋳造は、溶融状態の合金を重力を用いて鋳型に注入する方法を指称し、低圧鋳造は、溶融された合金の溶湯面にガスを用いて圧力をかけて鋳型内に溶湯を注入する方式を指称することができる。チキソキャスティングは、半溶融状態での鋳造技術であって、通常的な鋳造と鍛造との長所を融合した方式である。しかし、本発明が、鋳型の種類及び鋳造の方式を限定するものではない。
このように製造されたマグネシウム母合金は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有した基地を有しうる。この際、互いに区分される複数個の領域は、典型的に結晶粒界に区分される複数の結晶粒であり、また他の例として、2以上の相異なる相の相境界によって限定される複数の相領域であり得る。
一方、このようなマグネシウム母合金の基地には、母合金の製造過程で生成されたカルシウム系化合物が分散されて存在することができる。このようなカルシウム系化合物は、添加剤添加工程(ステップS2)で母材溶湯内に添加されたカルシウム系添加剤がマグネシウム母材内の他の元素、例えば、マグネシウム及び/またはアルミニウムと反応して生成されたものであり得る。
すなわち、マグネシウム溶湯にカルシウム系添加剤を添加して撹拌・維持する過程でカルシウム系添加剤は、カルシウムに還元される。一般的には、前述したカルシウム系添加剤は、マグネシウムより熱力学的に安定しているために、マグネシウム溶湯内で還元されてカルシウムが分離されないと予想される。しかし、本発明者による実験によれば、このようなカルシウム系添加剤は、マグネシウム溶湯内で還元されると明かされた。このように還元されたカルシウムは、母材内の他の元素、例えば、マグネシウム及び/またはアルミニウムと反応してカルシウム系化合物を形成することができる。
したがって、カルシウム系添加剤は、マグネシウム母合金内に形成されるカルシウム系化合物の形成に利用されるカルシウムの供給源であって、母合金を製造する過程で母材溶湯に添加される添加元素であり、一方、カルシウム系化合物は、このようなカルシウム系添加剤から供給されるカルシウムが母材内で他の元素と反応して新たに生成された化合物である。
カルシウムは、マグネシウムに対して所定の固溶度を有するが、本発明でのように、マグネシウム溶湯内でカルシウム系添加剤から還元されたカルシウムは、一部のみがマグネシウム基地に固溶され、大部分はカルシウム系化合物を形成すると明かされた。
例えば、マグネシウム母合金の母材が純粋マグネシウムである場合、生成可能なカルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物であり、一例として、MgCaであり得る。他の例として、マグネシウム母合金の母材がマグネシウム合金、一例として、マグネシウム−アルミニウム合金である場合、生成可能なカルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含みうる。一例として、Mg−Ca化合物は、MgCaであり、Al−Ca化合物は、AlCa及びAlCaのうち何れか一つ以上を含み、Mg−Al−Ca化合物は、(Mg、Al)2Caであり得る。
カルシウム系化合物は、このような結晶粒間の境界である結晶粒界または相領域間の境界である相境界に分布される確率が高い。このような境界部分は、結晶粒または相領域の内部に比べて開放された構造であって、相対的に高いエネルギーを有しているので、カルシウム系化合物の核生成及び成長に有利な場所を提供することができるためである。
図2には、マグネシウム−アルミニウム合金にカルシウム系化合物として酸化カルシウム(CaO)を添加して製造したマグネシウム母合金のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)分析結果が表われている。
図2を参照すると、(a)には、後方散乱電子(back scattering electron)を用いて観察したマグネシウム母合金の微細組職が表われている。図2の(a)に示されたように、マグネシウム母合金は、化合物(明るい部分)で取り囲まれた領域、すなわち、多結晶微細組職を表わす。この際、化合物(明るい部分)は、結晶粒界によって形成されている。
図2の(b)ないし(d)は、化合物(明るい部分)領域の成分をEPMAでマッピング(mapping)した結果であって、それぞれアルミニウム、カルシウム及び酸素の分布領域を表わす結果である。図2の(b)及び(c)に表わしたように、化合物では、それぞれアルミニウムとカルシウムとが検出されたが、(d)に表わしたように、酸素は検出されていない。
これにより、マグネシウム母合金の結晶粒界には、酸化カルシウム(CaO)から分離されたカルシウムが母材に含まれたアルミニウムと反応して生成されたAl−Ca化合物が分布しているということが分かる。このようなAl−Ca化合物は、金属間の化合物であるAlCaまたはAlCaであり得る。
一方、前記のEPMA結果には、Al−Ca化合物が主にマグネシウム母合金の結晶粒界に分布すると分析され、これは、結晶粒の境界部分として開放構造を有する結晶粒界の特性上、結晶粒の内部よりは結晶粒界でカルシウム系化合物の分布する確率が高いためであると解析される。但し、このような分析結果が、あらゆるカルシウム系化合物である全的に結晶粒界にのみ分布すると本発明を限定するものではなく、場合によって、結晶粒の内部にも、このようなカルシウム系化合物が発見されうる。
このように製造されたマグネシウム母合金は、アルミニウム合金に添加される用途として利用されうる。この際、前述したように、マグネシウム母合金内には、合金化の過程で添加されたカルシウム系添加剤から供給されたカルシウムがマグネシウム及び/またはアルミニウムと反応して形成されたカルシウム系化合物を含んでいる。このようなカルシウム系化合物は、金属間化合物として、いずれもアルミニウムの融点(658℃)よりさらに高い融点を有している。一例として、Al−Ca化合物であるAlCaまたはAlCaの融点は、それぞれ1079℃及び700℃としてアルミニウムの融点に比べて高い。
したがって、このようなカルシウム系化合物を含む母合金をアルミニウム溶湯に投入する場合、カルシウム系化合物は、溶湯内で溶融されずに維持され、このような溶湯を鋳造してアルミニウム合金を製造する場合、アルミニウム合金内に前記カルシウム系化合物が含まれうる。
以下、本発明の一実施形態によるアルミニウム合金の製造方法をより具体的に説明する。このような製造方法は、カルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金及びアルミニウムを提供する工程、マグネシウム母合金及びアルミニウムが溶解された溶湯を形成する工程及び前記溶湯を鋳造する工程を含みうる。
例えば、マグネシウム母合金及びアルミニウムが溶解された溶湯を形成するために、まずアルミニウムを溶解してアルミニウム溶湯を形成し、このアルミニウム溶湯にカルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金を添加して溶解することで形成することができる。他の例として、アルミニウムとマグネシウム母合金とを坩堝などのような溶解用の装置内にともに装着した後、加熱してともに溶解することで溶湯を形成することもできる。
図3は、本発明によるアルミニウム合金の製造方法の一実施形態であって、アルミニウム溶湯を先に形成した後、これにより、前述した方法で製造したマグネシウム母合金を添加して溶解する方式を利用したアルミニウム合金の製造方法のフローチャートである。
図3に示されたように、アルミニウム合金の製造方法は、アルミニウム溶湯形成工程(ステップS11)、マグネシウム母合金添加工程(ステップS12)、撹拌・維持工程(ステップS13)、鋳造工程(ステップS14)及び冷却工程(ステップS15)を含みうる。
アルミニウム溶湯形成工程(ステップS11)では、アルミニウムを坩堝に入れて600ないし900℃範囲で加熱してアルミニウム溶湯を形成する。アルミニウム溶湯形成工程(ステップS11)で、アルミニウムは、純粋アルミニウム、アルミニウム合金及びその等価物のうちから選択された何れか一つであり得る。この際、アルミニウム合金は、例えば、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系及び8000系の塑性加工用(Wrought)アルミニウムまたは100系、200系、300系、400系、500系、700系の鋳造用(Casting)アルミニウムのうちから選択された何れか一つであり得る。
ここで、アルミニウム合金についてさらに具体的に説明する。アルミニウム合金は、その使用用途によって種類も多様に開発され、アルミニウム合金の種類は、現在ほとんどの国でアメリカ・アルミニウム協会(Aluminum Association of America)の規格を採択して分類している。表2は、合金系列別に主要合金元素の構成を千単位で示しており、各合金系列に他の改良元素をさらに添加して4桁数字をさらに細分化して合金名を付ける。
最初の数字は、前記のように、主要合金元素を表わす合金系列を表示し、二番目の数字は、基本合金を0で表示し、改良した合金を1〜9という数字で表示し、独自的に開発した新たな合金は、N字を付ける。例として、2xxxは、Al−Cu系アルミニウムの基本合金であり、21xx〜29xxは、Al−Cu系基本合金を改良した合金であり、2Nxxは、協会規格の以外に開発した新たな合金の場合である。三番目と四番目の数字は、純粋なアルミニウムの場合、アルミニウムの純度を表示し、合金である場合、過去に使ったアルコア社の合金名称である。例として、純粋アルミニウムの場合、1080はアルミニウムが99.80%Al以上であり、1100は99.00%Alを表わす。このようなアルミニウム合金の主要構成は、下記表3のようである。
次いで、マグネシウム母合金添加工程(ステップS12)では、アルミニウム溶湯に前述した方法で製造したマグネシウム母合金を添加する。
この際、マグネシウム母合金添加工程(ステップS12)で利用されたマグネシウム母合金は、アルミニウム100重量部に対して0.0001ないし30重量部が添加されうる。添加されるマグネシウム母合金が0.0001重量部未満である場合には、マグネシウム母合金添加による効果(硬度、耐腐蝕性、溶接性)が小さいことがある。また、前記マグネシウム母合金が30重量部を超過すれば、元のアルミニウム合金の特性が弱くなるか、表われないこともある。
例えば、マグネシウム母合金は、塊状形態で添加されうる。他の例として、マグネシウム母合金は、粉末形態、グレニュル形態など多様な形態で添加されうる。マグネシウム母合金の大きさは、溶解条件によって適切に選択され、この実施形態の範囲を制限しない。
このようなマグネシウム母合金の添加時、マグネシウム母合金内に含まれたカルシウム系化合物もともにアルミニウム溶湯内に提供される。前述したように、アルミニウム溶湯内に提供されるカルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含みうる。
この際、マグネシウム母合金の酸化を防止するために、付加的に少量の保護ガスが提供されることがある。保護ガスは、通常のSF、SO、CO、HFC−134a、NovecTM612、非活性ガス及びその等価物、またはこれらの混合ガスを利用することができ、これを通じてマグネシウム母合金の酸化を抑制することができる。
しかし、本発明で、このような保護ガスが必ずしも必要なものではなく、提供されないこともある。すなわち、本発明の実施形態のように、カルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金を添加する場合には、マグネシウム母合金の耐酸化性の増加で耐発火抵抗性が増加し、従来のようなカルシウム系化合物を含まないマグネシウムを添加する場合に比べて溶湯に酸化物などの不純物の介在が顕著に減少する。したがって、本発明のアルミニウム合金の製造方法による時、保護ガスを使わないとしても、アルミニウム溶湯の清浄度が大きく向上して溶湯の品質を顕著に改善することができる。
次いで、撹拌・維持工程(ステップS13)では、前記アルミニウム溶湯を撹拌または維持することができる。例えば、アルミニウム溶湯は、1ないし400分間撹拌または維持されうる。ここで、撹拌・維持時間が1分未満であれば、アルミニウム溶湯にマグネシウム母合金が十分に混じらず、撹拌・維持時間が400分を超過すれば、アルミニウム溶湯の撹拌・維持時間が無駄に長くなる恐れがある。
次いで、アルミニウム溶湯の撹拌・維持工程(ステップS13)が完了すれば、アルミニウム溶湯を鋳型に入れて鋳造し(ステップS14)、冷却させた後、鋳型から凝固されたアルミニウム合金を分離させる(ステップS15)。鋳造工程(ステップS14)での鋳型の温度は、常温(例えば、25℃)ないし400℃の温度範囲を有しうる。冷却工程(ステップS15)では、鋳型を常温まで冷却させた後、アルミニウム合金を鋳型から分離させることができるが、常温以前でもアルミニウム合金の凝固が完了する場合には、鋳型からアルミニウム合金を分離させることができる。鋳造方式については、マグネシウム母合金の製造方法について詳しく説明したので、説明を省略する。
このように製造されたアルミニウム合金は、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系及び8000系の塑性加工用(Wrought)アルミニウムまたは100系、200系、300系、400系、500系、700系の鋳造用(Casting)アルミニウムのうちから選択された何れか一つであり得る。
前述したように、カルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金を添加する場合に、アルミニウム溶湯の清浄度の向上によって鋳造されるアルミニウム合金の機械的性質が顕著に向上する。すなわち、溶湯の清浄度の向上によって、これにより鋳造されるアルミニウム合金内にも、機械的特性を劣化させる酸化物や介在物のような不純物がなく、鋳造されたアルミニウム合金の内部の気泡発生も顕著に減少する。このように鋳造されたアルミニウム合金の内部が、従来のものに比べてさらに清浄な状態を有することによって、本発明によるアルミニウム合金は、従来のものに比べて優れた降伏強度及び引張強度を有するだけではなく、延伸率もさらに向上する非常に優れた機械的特性を有する。
したがって、同一のマグネシウム含有量を有するアルミニウム合金を製造しても、本発明による時、溶湯の品質を清浄にさせる効果によって鋳造されたアルミニウム合金の特性が良好になりうる。
また、アルミニウムに添加されるマグネシウムの溶湯内での損失が減少して、実際従来に比べてさらに小さな量のマグネシウムを添加しても、アルミニウム合金内に含まれるマグネシウムの含有量を実質的に同様に製造することができることによって、経済的なアルミニウム合金の製造が可能となる。
また、本発明によるマグネシウム母合金をアルミニウム溶湯に添加する場合、従来に比べてアルミニウム溶湯内でのマグネシウムの不安定性が顕著に改善されるので、マグネシウムの含量を従来に比べて容易に増加させることができる。
マグネシウムは、アルミニウムに最大15重量%まで固溶され、固溶時にアルミニウム合金の機械的特性を向上させることができる。例えば、300系または6000系のアルミニウム合金にマグネシウムを添加すれば、アルミニウム合金の強度及び延伸率が向上する。
しかし、従来には、前述したマグネシウムの高い酸化性によってマグネシウムによる酸化物及び介在物が溶湯に混入されてアルミニウム合金の品質を低下させ、このような問題は、添加されるマグネシウムの含有量が増加するほど深化されるので、たとえ保護ガスを使っても、アルミニウム溶湯に添加されるマグネシウムの含有量を安定的に増加させることが非常に難しかった。
これに比べて、本発明による時、アルミニウム溶湯内にマグネシウム母合金を安定的に添加することができるので、アルミニウム合金内にマグネシウムの含有量を従来に比べて容易に増加させ、マグネシウムの比率を増加させながらも、鋳造性を確保することができる。したがって、本発明によるマグネシウム母合金を300系または6000系のアルミニウム合金に添加することによって、酸化物や介在物の混入を抑制して鋳造性だけではなく、強度及び延伸率も向上し、さらに、現在実質的に使用できない500系または5000系のアルミニウム合金を使用可能にできる。
一例として、本発明によるアルミニウム合金は、マグネシウムの固溶量が0.1重量%以上はもとより、5重量%以上、さらに6重量%以上、さらに10重量%以上から固溶限である15%までも容易に増加させることができる。
このようなアルミニウム合金内でのマグネシウムの安定性は、アルミニウム合金の廃棄物リサイクル時にも有利に作用することができる。例えば、アルミニウム合金の製造のための廃棄物をリサイクルする過程でマグネシウムの含有量が高い状態である場合、これを要求される比率で減少させる工程(以下、ジメギング工程と称する)を経る。この際、要求されるマグネシウム含有量の比率が低いほどジメギング工程の難易度及び必要となるコストが増加する。
例えば、383アルミニウム合金の場合、マグネシウムを0.3重量%まで低めることは技術的に容易でるが、0.1重量%まで低めることは非常に難しい。また、マグネシウムの比率を低めるために塩素ガス(Cl)を使うが、このような塩素ガスの使用は、環境に有害であり、さらにコストが発生する問題点がある。
しかし、本発明によってカルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金を用いて製造されたアルミニウム合金は、マグネシウムの比率を0.3重量%以上に維持することが可能であるので、技術的、環境的、コスト的利点がある。
また、本発明によるアルミニウム合金は、前述した製造過程のうち、例えば、アルミニウム溶湯形成工程(ステップS11)または母合金添加工程(ステップS12)以後に、鉄(Fe)を少量添加する工程をさらに含みうる。この際、添加される鉄の量は、従来に比べてさらに小さな値を有しうる。すなわち、従来からアルミニウム合金を鋳造、例えば、ダイキャスティングする場合に、鉄系金属からなる金型とアルミニウム鋳造材との間の焼着発生によって金型が損傷される問題が発生し、これを解決するために、従来からアルミニウム合金のダイキャスティング時に1.0ないし1.5重量%の鉄をアルミニウム合金内に添加した。しかし、このような鉄の添加によってアルミニウム合金の耐蝕性及び延伸率が減少するまた他の問題が発生することがある。
しかし、前述したように、本発明によるアルミニウム合金は、マグネシウムの含有量を高い比率で有することができ、マグネシウムを高含量で添加時、従来に比べて顕著に少ない比率の鉄を添加しても、従来に表われた金型との焼着問題を大きく改善することができる。したがって、従来にダイキャスティングされたアルミニウム合金鋳造材に表われた耐蝕性及び延伸率の減少の問題を解決させうる。
この際、前述したアルミニウム合金を製造する過程で添加される鉄(Fe)の含有量は、アルミニウム合金に対して1.0重量%以下(0超過)、さらに嚴格には、0.2重量%以下(0超過)であり、これにより、アルミニウム合金の基地には、該当する組成範囲の鉄が含まれうる。
以下、本発明のアルミニウム合金の製造方法によって製造されたアルミニウム合金の特性について具体的に説明する。本発明の製造方法によって製造されたアルミニウム合金は、アルミニウム基地及びアルミニウム基地に存在するカルシウム系化合物を含み、この際、アルミニウム基地には、マグネシウムが固溶されている。この際、マグネシウムは、前記アルミニウム基地に0.1ないし15重量%固溶されている。また、前記アルミニウム基地には、固溶限度以下、一例として、500ppm以下のカルシウムが固溶されている。
前述したように、マグネシウム母合金内に添加されたカルシウム系添加剤から還元されたカルシウムは、大部分がカルシウム系化合物として存在し、一部のみがマグネシウム基地に固溶される。このようなマグネシウム母合金がアルミニウム溶湯内に添加される場合、前記マグネシウム母合金内に固溶されたカルシウムが希釈されることによって、実際アルミニウム合金の基地内に固溶されるカルシウムの量も固溶限度以下の小さな値を有する。
したがって、本発明によるアルミニウム合金は、アルミニウム基地に固溶限度以下、一例として、500ppm以下のカルシウムが固溶されており、前記アルミニウム基地には、カルシウム系化合物が別途に形成されている組職を有する。
この際、アルミニウム基地は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有することができ、この際、前記境界または領域の内部に、前記カルシウム系化合物が存在することができる。アルミニウム基地は、アルミニウムを主な成分とするが、他の合金元素が固溶されているか、またはカルシウム系化合物の以外の他の合金元素またはこの合金元素を含む化合物が、別個の相として形成されている金属組織体をいうものと定義されうる。
この際、互いに区分される複数個の領域は、典型的に結晶粒界に区分される複数の結晶粒であり、また他の例として、2以上の相異なる相の相境界によって限定される複数の相領域であり得る。
本発明によるアルミニウム合金の場合、マグネシウム母合金内に形成されたカルシウム系化合物から起因する機械的特性の向上効果を有しうる。既に前述したように、マグネシウム母合金がアルミニウム溶湯に添加される場合、マグネシウム母合金に含まれるカルシウム系化合物もともに溶湯に添加され、カルシウム系化合物は、カルシウムと他の金属元素とが反応して形成された金属間化合物として、いずれもアルミニウムの融点よりさらに高い融点を有している。
したがって、このようなカルシウム系化合物を含む母合金をアルミニウム溶湯に投入する場合、カルシウム系化合物は、溶湯内部で溶融されずに維持され、このような溶湯を鋳造してアルミニウム合金を製造する場合、アルミニウム合金内に前記カルシウム系化合物が含まれうる。
このようなカルシウム系化合物は、アルミニウム合金内で微細な粒子側面に分散されて分布することができる。この際、カルシウム系化合物は、金属間化合物として基地であるアルミニウムに比べて高強度物質であり、したがって、このような高強度物質の分散分布によってアルミニウム合金の強度が増加する。
一方、カルシウム系化合物は、アルミニウム合金が液相から固相に相遷移される過程で核生成が起きる場所を提供することができる。すなわち、アルミニウム合金の凝固時、液相から固相への相遷移は、核生成及び成長の形態でなされ、この際、カルシウム系化合物自体が不均一核生成座(heterogeneous nucleation site)として機能することによって、カルシウム系化合物と液相とが界面で優先的に固相への相遷移のための核生成が起こる。このように核生成された固相は、カルシウム系化合物の周辺に形成しながら成長する。
このようなカルシウム系化合物が複数個に分散されるように分布する場合、それぞれのカルシウム系化合物の界面で成長された固相が互いに合って境界を成し、このように形成された境界は、結晶粒界または相境界をなしうる。したがって、カルシウム系化合物が核生成座として機能すれば、カルシウム系化合物は、結晶粒または相領域の内部に存在し、前記結晶粒または相領域は、カルシウム系化合物が存在しない場合に比べて微細化される効果を表わせる。
また、カルシウム系化合物は、結晶粒間の境界である結晶粒界または相領域間の境界である相境界に分布されうる。このような境界部分は、結晶粒または相領域の内部に比べて開放された構造であって、相対的に高いエネルギーを有しているので、カルシウム系化合物の核生成及び成長に有利な場所を提供することができるためである。
このように、カルシウム系化合物が、アルミニウム合金の結晶粒界または相境界に分布される場合には、このようなカルシウム系化合物が、結晶粒界または相境界の移動の障害物として作用して、結晶粒界または相境界の移動を抑制して結晶粒または相境界の平均大きさを減少させることができる。
したがって、本発明によるアルミニウム合金の場合、このようなカルシウム系化合物が存在していないアルミニウム合金に比べて平均的にさらに微細であり、小さな結晶粒または相領域の大きさを有しうる。このようなカルシウム系化合物に起因した結晶粒または相領域の微細化は、アルミニウム合金の強度及び延伸率の向上効果を同時に招きうる。
また、アルミニウム基地は、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系及び8000系の塑性加工用(Wrought)アルミニウムまたは100系、200系、300系、400系、500系、700系の鋳造用(Casting)アルミニウムのうちから選択された何れか一つであり得る。
この際、本発明によるアルミニウム合金には、アルミニウム100重量部に対してカルシウムの総量は、0.0001ないし10重量部存在することができる。前記カルシウムの総量は、アルミニウム基地に固溶されたカルシウムとカルシウム系化合物内に存在するカルシウムとの量を合わせたものである。
この際、前記アルミニウム合金内に存在するカルシウムの大部分は、カルシウム系化合物の側面に存在し、アルミニウム基地相に固溶されたカルシウムの固溶量は、小さな値を有する。すなわち、前述したように、カルシウム系添加剤を添加して製造したマグネシウム母合金内でカルシウム系添加剤から還元されたカルシウムは、大部分がマグネシウム基地に固溶されずにカルシウム系化合物を形成する。したがって、アルミニウムの製造のためにマグネシウム母合金を添加する場合に、マグネシウム母合金内に固溶されたカルシウムが小さな値を示すことによって、マグネシウム母合金を通じてアルミニウム基地に固溶されるカルシウム量も非常に少ない値、一例として、500ppm以下の値を有する。
一方、アルミニウム基地は、固溶されたマグネシウムを0.1ないし15重量%、さらに5ないし15%以上、さらに6ないし15重量%、さらに10ないし15重量%を有しうる。
前述したように、本発明のアルミニウム合金の製造方法のように、カルシウム系添加剤を添加して製造したマグネシウム母合金を利用する場合には、アルミニウム溶湯中に添加されるマグネシウムの量を安定的に増加させ、したがって、アルミニウム基地内に固溶されるマグネシウムの固溶量も増加する。このようなマグネシウムの固溶量増加は、固溶強化及び熱処理によるアルミニウム合金の強度向上に大きく寄与することができ、従来の市販の合金に比べて格段に鋳造性及び優れた機械的特性を表わす。
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を提供する。但し、下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明が、下記の実施例によって限定されるものではない。
表4には、アルミニウムにカルシウム系添加剤として酸化カルシウム(CaO)を添加して製造したマグネシウム母合金を添加して製造したアルミニウム合金(実施例1)とアルミニウムにカルシウム系添加剤を添加していない純粋なマグネシウムを添加して製造したアルミニウム合金(比較例1)との鋳造特性を比較した表である。
具体的に、実施例1は、アルミニウム2750gにマグネシウム母合金305gを添加して製造したものであり、比較例1は、アルミニウム2750gに純粋マグネシウム305gを添加して製造したものである。この際、実施例1に使われたマグネシウム母合金は、母材としてマグネシウム−アルミニウム合金を利用し、母材に対する酸化カルシウム(CaO)の重量比は、0.3であった。

表4を参照すると、溶湯表面に浮かぶ不純物の量(ドロス量)が、純粋マグネシウムを添加した時(比較例1)よりマグネシウム母合金(実施例1)を添加した時が顕著に小さな値を表わすということが分かる。また、アルミニウム合金内のマグネシウム含有量は、純粋マグネシウムを添加した時(比較例1)よりマグネシウム母合金を添加した時(実施例1)にさらに多いことが分かる。これにより、本発明の製造方法による場合、純粋マグネシウムを添加する方法に比べてマグネシウムの損失が顕著に減少するということが分かる。
また、溶湯の流動性及びアルミニウム合金の硬度も純粋マグネシウムを添加した時(比較例1)よりマグネシウム母合金を添加した時(実施例1)にさらに優れたものであることが分かる。
図4には、実施例1及び比較例1による溶湯の状態を観察した結果が示されている。図4を参照すると、実施例1(a)の場合には、溶湯の状態が良好であるが、比較例1(b)の場合には、マグネシウムの酸化によって溶湯の表面が黒色に変わっていることが分かる。
図5は、実施例1及び比較例1によるアルミニウム合金の鋳造材の表面を比較した結果である。図5を参照すると、比較例1(b)の純粋マグネシウムを添加したアルミニウム合金の鋳造材より実施例1(a)のマグネシウム母合金を添加したアルミニウム合金の鋳造材の表面がさらにきれいであることを確認することができる。これは、マグネシウム母合金に添加された酸化カルシウム(CaO)によって鋳造性が向上したためである。すなわち、純粋マグネシウムが添加されたアルミニウム合金(比較例1)は、鋳造時、純粋マグネシウムの酸化によって表面に発火された痕跡が示す一方、酸化カルシウム(CaO)が添加されたマグネシウム母合金を使って鋳造されたアルミニウム合金(実施例1)の場合には、発火現象が抑制されてきれいな表面が得られる。
これにより、マグネシウム母合金を添加する場合には、純粋マグネシウムを添加する時に比べて溶湯の品質が顕著に向上して鋳造性が改善されたということが分かる。
図6は、実施例1及び比較例1によるアルミニウム合金のSEM(scanning electron microscope)を利用したEDS(energy dispersive spectroscopy)分析結果である。図6を参照すると、比較例1(b)の純粋マグネシウムを添加したアルミニウム合金では、マグネシウムとアルミニウムのみ検出される一方、実施例1(a)の酸化カルシウム(CaO)が添加されたマグネシウム母合金を添加したアルミニウム合金では、カルシウムの存在が確認され、また同一位置でマグネシウム及びアルミニウムが検出され、酸素はほとんど検出されないということが分かる。これにより、カルシウムは、酸化カルシウム(CaO)から還元された後、マグネシウム及び/またはアルミニウムと反応してカルシウム系化合物として存在するということが分かる。
図7の(a)には、実施例1のアルミニウム合金の組職をEPMAで観察した結果が表われており、(b)ないし(e)には、EPMAを利用した成分マッピング結果として、それぞれアルミニウム、カルシウム、マグネシウム及び酸素のマッピング結果が表われている。図7の(b)ないし(d)を通じて分かるように、アルミニウム基地相にカルシウムとマグネシウムとが同一位置で検出され、(e)でのように、酸素は検出されていない。
これは、図6の(a)の結果と一致するものであって、これにより、カルシウムは酸化カルシウム(CaO)から還元された後、マグネシウム及び/またはアルミニウムと反応してカルシウム系化合物として存在するということをもう一度確認することができる。
表5には、市販のアルミニウム合金である7075合金及び6061合金に酸化カルシウム(CaO)を添加したマグネシウム母合金を添加して製造したアルミニウム合金(それぞれ実施例2及び実施例3)の機械的特性を7075合金及び6061合金(それぞれ比較例2及び比較例3)と比較した表である。実施例2及び実施例3による試片は、鋳造後に圧出してT6熱処理を行い、比較例2及び比較例3のデータは、ASM規格にある値(T6熱処理データ)を参照した。

表5に表われているように、本発明の実施例によるアルミニウム合金が、引張強度及び降伏強度でさらに高い値を表わすにも延伸率は、市販のアルミニウム合金に比べて優れているか、同等であることが分かる。一般的に、合金において、強度が増加する場合には、相対的に延伸率は減少する。しかし、本発明の実施例によるアルミニウム合金は、強度の増加と相俟って延伸率も増加する特性の理想的な特性を示す。このような結果は、アルミニウム合金の溶湯の清浄度の改善と関連しているということは、前述した。
図8には、実施例3及び比較例3の微細組職を観察した結果が表われている。図8を参照すると、本発明の実施例によるアルミニウム合金の結晶粒が、市販のアルミニウム合金に比べて格段に微細になったということが分かる。本発明の実施形態によるアルミニウム合金(a)での結晶粒は、約30μmの平均大きさを有し、比較例による市販のアルミニウム(b)の結晶粒は、約50μmの平均大きさを有する。
実施例3のアルミニウム合金での結晶粒の微細化は、結晶粒界に分布するカルシウム系化合物によって結晶粒界の成長が抑制されたか、カルシウム系化合物が凝固時、核生成座として機能したためであると判断され、このような結晶粒の微細化は、本発明の実施形態によるアルミニウム合金が優れた機械的特性を表わす原因中の一つと判断される。
本発明の実施形態は下記を含む。
<1> カルシウム系化合物を含むマグネシウム母合金及びアルミニウムを提供する工程と、
前記マグネシウム母合金及び前記アルミニウムが溶解された溶湯を形成する工程と、
前記溶湯を鋳造する工程と、
を含むことを特徴とするアルミニウム合金の製造方法。
<2> 前記溶湯を形成する工程は、
前記アルミニウムを溶解してアルミニウム溶湯を形成する工程と、
前記アルミニウム溶湯に、前記マグネシウム母合金を添加して溶解する工程と、
を含むことを特徴とする<1>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<3> 前記溶湯を形成する工程は、
前記マグネシウム母合金及び前記アルミニウムを装着する工程と、
前記マグネシウム母合金及び前記アルミニウムをともに溶解する工程と、
を含むことを特徴とする<1>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<4> 前記マグネシウム母合金は、前記アルミニウム100重量部に対して0.0001〜30重量部であることを特徴とする<1>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<5> 前記マグネシウム母合金は、純粋マグネシウムまたはマグネシウム合金を母材とし、前記母材にカルシウム系添加剤を添加して製造したものであることを特徴とする<1>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<6> 前記マグネシウム合金は、アルミニウムを含むものであることを特徴とする<5>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<7> 前記マグネシウム母合金は、
前記母材を溶解して母材溶湯を形成する工程と、
前記母材溶湯に、前記カルシウム系添加剤を添加する工程と、
を含んで形成することを特徴とする<5>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<8> 前記マグネシウム母合金は、
前記母材及び前記カルシウム系添加剤をともに溶解する工程を含んで形成することを特徴とする<5>記載のアルミニウム合金の製造方法。
<9> 前記マグネシウム母合金は、
前記カルシウム系添加剤の少なくとも一部を消尽させるために、前記母材溶湯を撹拌する工程をさらに含んで形成することを特徴とする<7>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<10> 前記撹拌する工程は、
前記カルシウム系添加剤が実質的に残留されないように、前記母材溶湯の表面から溶湯の全体深さの20%以下の上層部で行われることを特徴とする<9>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<11> 前記カルシウム系添加剤は、酸化カルシウム(CaO)、シアン化カルシウム(Ca(CN))、炭化カルシウム(CaC)、水酸化カルシウム(Ca(OH))及び炭酸カルシウム(CaCO)のうち何れか一つ以上を含むことを特徴とする<6>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<12>
前記カルシウム系化合物は、前記カルシウム系添加剤から供給されるカルシウムと前記母材のマグネシウムまたはアルミニウムとが反応して生成されたものであることを特徴とする<11>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<13> 前記カルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含むことを特徴とする<12>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<14> 前記Mg−Ca化合物は、MgCaを含むことを特徴とする<13>に記載のアルミニウム合金。
<15> 前記Al−Ca化合物は、AlCa及びAlCaのうち何れか一つ以上を含むことを特徴とする<13>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<16> 前記Mg−Al−Ca化合物は、(Mg、Al)Caを含むことを特徴とする<13>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<17> 前記カルシウム系添加剤は、前記母材100重量部に対して0.0001〜30重量部の範囲で添加されることを特徴とする<5>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<18>
前記アルミニウムは、純粋アルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特徴とする<1>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<19> 鉄(Fe)を1.0重量%以下(0超過)で添加する工程をさらに含むことを特徴とする<1>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<20> 前記鉄(Fe)を0.2重量%以下で添加することを特徴とする<19>に記載のアルミニウム合金の製造方法。
<21> <1>〜<20>のうち何れか一項によるアルミニウム合金の製造方法によって製造されたアルミニウム合金。
<22> 前記アルミニウム合金は、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系及び8000系の塑性加工用(Wrought)アルミニウムまたは100系、200系、300系、400系、500系及び700系の鋳造用(Casting)アルミニウムのうちから選択された何れか一つを含むことを特徴とする<21>に記載のアルミニウム合金。
<23> アルミニウム基地と、
前記アルミニウム基地に存在するカルシウム系化合物と、を含み、
前記アルミニウム基地には、マグネシウムが固溶されたことを特徴とするアルミニウム合金。
<24> 前記マグネシウムは、前記アルミニウム基地に0.1〜15重量%固溶されたことを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<25> 前記アルミニウム基地は、カルシウムが固溶限度以下で固溶されたことを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<26> 前記カルシウムは、500ppm以下で固溶されたことを特徴とする<25>に記載のアルミニウム合金。
<27> 前記アルミニウム基地は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有し、前記境界には、前記カルシウム系化合物が存在することを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<28> 前記アルミニウム基地は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有し、前記領域内には、前記カルシウム系化合物が存在することを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<29> 前記領域は、結晶粒であり、前記境界は、結晶粒界であることを特徴とする<27>または<28>に記載のアルミニウム合金。
<30> 前記領域は、相異なる相によって限定される相領域であり、前記境界は、相境界であることを特徴とする<27>または<28>に記載のアルミニウム合金。
<31> カルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含むことを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<32> 前記Mg−Ca化合物は、MgCaを含むことを特徴とする<31>に記載のアルミニウム合金。
<33> 前記Al−Ca化合物は、AlCa及びAlCaのうち何れか一つ以上を含むことを特徴とする<31>に記載のアルミニウム合金。
<34> 前記Mg−Al−Ca化合物は、(Mg、Al)Caを含むことを特徴とする<31>に記載のアルミニウム合金。
<35> 前記アルミニウム基地は、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系及び8000系の塑性加工用(Wrought)アルミニウムまたは100系、200系、300系、400系、500系及び700系の鋳造用(Casting)アルミニウムのうちから選択された何れか一つを含むことを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<36> 鉄(Fe)を1.0重量%以下(0超過)でさらに含むことを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<37> 鉄(Fe)を0.2重量%以下でさらに含むことを特徴とする<36>に記載のアルミニウム合金。
<38> 前記領域の平均大きさが、同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べてさらに小さいことを特徴とする<27>または<28>に記載のアルミニウム合金。
<39> 引張強度が同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べてさらに大きいことを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
<40> 同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べて引張強度はさらに大きく、延伸率はさらに大きいか、同等であることを特徴とする<23>に記載のアルミニウム合金。
発明の特定実施形態についての以上の説明は、例示及び説明を目的として提供された。したがって、本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の技術的思想内で、当業者によって、前記実施形態を組み合わせて実施するなどさまざまな多くの修正及び変更が可能であることは明白である。
本発明は、アルミニウム合金及びその製造方法関連の分野に適用可能である。
1 坩堝
10 溶湯の内部
20 溶湯の表面

Claims (17)

  1. アルミニウム基地と、
    前記アルミニウム基地に存在するカルシウム系化合物と、を含み、
    前記アルミニウム基地には、マグネシウムが固溶され
    前記カルシウム系化合物は、Mg−Ca化合物、Al−Ca化合物及びMg−Al−Ca化合物のうち何れか一つ以上を含むことを特徴とするアルミニウム合金。
  2. 前記マグネシウムは、前記アルミニウム基地に0.1〜15重量%固溶されたことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  3. 前記アルミニウム基地は、カルシウムが固溶限度以下で固溶されたことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  4. 前記カルシウムは、500ppm以下で固溶されたことを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金。
  5. 前記アルミニウム基地は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有し、前記境界には、前記カルシウム系化合物が存在することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  6. 前記アルミニウム基地は、境界を成し、互いに区分される複数個の領域を有し、前記領域内には、前記カルシウム系化合物が存在することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  7. 前記領域は、結晶粒であり、前記境界は、結晶粒界であることを特徴とする請求項5または6に記載のアルミニウム合金。
  8. 前記領域は、相異なる相によって限定される相領域であり、前記境界は、相境界であることを特徴とする請求項5または6に記載のアルミニウム合金。
  9. 前記Mg−Ca化合物は、MgCaを含むことを特徴とする請求項に記載のアルミニウム合金。
  10. 前記Al−Ca化合物は、AlCa及びAlCaのうち何れか一つ以上を含むことを特徴とする請求項に記載のアルミニウム合金。
  11. 前記Mg−Al−Ca化合物は、(Mg、Al)Caを含むことを特徴とする請求項に記載のアルミニウム合金。
  12. 前記アルミニウム基地は、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系及び8000系の塑性加工用(Wrought)アルミニウムまたは100系、200系、300系、400系、500系及び700系の鋳造用(Casting)アルミニウムのうちから選択された何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  13. 鉄(Fe)を1.0重量%以下(0超過)でさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  14. 鉄(Fe)を0.2重量%以下でさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のアルミニウム合金。
  15. 前記領域の平均大きさが、同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べてさらに小さいことを特徴とする請求項5または6に記載のアルミニウム合金。
  16. 引張強度が同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べてさらに大きいことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  17. 同一条件で製造されたアルミニウム合金であって、前記カルシウム系化合物を有していないアルミニウム合金に比べて引張強度はさらに大きく、延伸率はさらに大きいか、同等であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
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