JP5876881B2 - エレベータ安全システムおよび方法 - Google Patents

Description

例示的な実施例は、エレベータ装置の技術に関し、特に、エレベータの安全システムに関する。

エレベータ装置は、下部のピットのすぐ上から上階まで昇降路に沿ってエレベータかごを移動および停止させる動作制御／駆動装置（コントローラ）、モータおよびブレーキを含む。エレベータ装置は、典型的に安全チェーンとして構成された種々の安全装置を含む。安全チェーンは、出力端子が直列に配列された複数の安全装置を含む。いくつかの安全装置は、過速度ガバナなどのエレベータマシン設備の近傍に配置されており、スイッチやロックなどの他の装置はエレベータかごドアに関連して設けられており、さらに他の装置は昇降路およびピットに配置されている。典型的に、安全チェーンは、モータとブレーキへの電力制御系統に接続されている。安全チェーンに沿った装置が作動すると、コントローラによりモータとブレーキが主電源から切り離される。エレベータブレーキの解除には、電力が必要である。よって、安全装置の作動によってブレーキがかかるとともに駆動マシンから電力が取り除かれ、エレベータかごの移動が妨げられる。

一般に、エレベータ装置は、上階以上の高さ、典型的には機械室に配置されたコントローラを含む。修理を容易にするために安全チェーン装置を監視することやエレベータ安全規定を満たすために安全装置を有効にバイパスすることは、安全チェーンの各々の安全装置からコントローラまで延びる個々の導線を要する。よって、非常に多くの線が昇降路に沿ってピットからコントローラまで延びるとともに、移動ケーブル内でエレベータかごからコントローラまで延び、多くの場合中間階からコントローラまで延びている。

コントローラと、エレベータ昇降路のピット部に設けられた昇降路安全ノードと、を含むエレベータ安全システムが開示されている。昇降路ノードは、エレベータピットに設けられたピット安全装置と昇降路下部装置の一方に動作可能に接続されている。第１のバスが、昇降路ノードとコントローラとを接続する。第１のバスは、昇降路ノードからコントローラに通信信号を直接送る。かごノードが、エレベータかごに設けられている。かごノードは、エレベータかごに設けられたかご安全装置に動作可能に接続されている。第２のバスが、かごノードとコントローラとを接続する。第２のバスは、かごノードからコントローラに通信信号を直接送る。

エレベータ装置においてエレベータ安全情報を通信する方法も開示されている。この方法は、エレベータピットに設けられた昇降路ノードにおいて安全装置から情報を収集し、この情報を昇降路ノードにおいて処理して通信信号とし、この通信信号を第１のバスを介して昇降路ノードからコントローラに直接送り、エレベータかごに設けられたかごノードにおいてかご安全装置から追加情報を収集し、この追加情報をかごノードにおいて処理して別の通信信号とし、この別の通信信号を第２のバスを介してかごノードからコントローラに直接送ることを含む。

以下の説明は、決して限定的なものと考えるべきではない。図面では、相当する要素には同様の符号が付されている。

例示的な実施例に係るエレベータ制御システムを示すブロック図である。

図面を参照して、開示された装置および方法の１つまたは複数の実施例の詳細を限定的でなく例示的に説明する。

例示的な実施例によるエレベータ制御システムの全体を図１に２として示している。エレベータ制御システム２は、推進システム１０と動作可能に接続されたコントローラ４を含む。推進システム１０は、昇降路（図示省略）に沿ってエレベータかご１４を移動させるモータ１２と、エレベータかご１４を停止させるブレーキ１３と、を含む。コントローラ４は、さらに、安全制御ノード２４と動作可能に接続されている。安全制御ノード２４は、安全上の問題が発生したときに推進システム１０への電力を切るように構成および配置された電源切断装置（ｐｏｗｅｒ ｄｉｓｃｏｎｎｅｃｔ）２６を含む。コントローラ４は、昇降路に沿った所望の位置にエレベータかご１４を位置付けるように推進システム１０を動作させ、安全制御ノード２４は、機械室および昇降路上部の安全装置２７を監視する。

エレベータ制御システム２は、昇降路の下部すなわちピット部に配置された昇降路安全ノードを含む。昇降路安全ノード３０は、種々の構造上の必要条件／制約に従って、昇降路内で昇降路のピット部の上方に、または昇降路に隣接して配置することができる。昇降路安全ノード３０は、エレベータの保守時に整備員が推進システム１０を動作不能とすることを可能にするピットスイッチ３３などを含むピット／昇降路下部装置３２に接続されている。ピット／昇降路下部装置３２は、また、ピット点検装置、整備や保守作業中にエレベータを制御された遅い速度で移動させる手動制御装置、昇降路下部アクセスキーおよび整備や保守のためにピット領域へのアクセスを可能にするように昇降路のホール側からエレベータを移動させる制御装置の１つまたは複数を含みうる。ピット／昇降路下部装置３２は、さらに、緩衝器スイッチ、つり合車スイッチ、ガバナ張り車スイッチ、防跳び装置スイッチなどを含むローカルな規定機関によって要求されるスイッチを含みうる。エレベータ制御システム２は、３５として示すように追加の昇降路安全ノードを含むこともできる。追加の昇降路安全ノード３５は、上述と同様な方法で追加のピット安全／昇降路下部装置３７に接続されている。

例示的な実施例によると、昇降路安全ノード３０は、第１のバス４０を介してコントローラ４に直接接続されている。第１のバス４０は、昇降路安全ノード３０で発生した通信信号をコントローラ４に直接送る。第１のバス４０は、階床ボタンからコントローラ４への信号などの安全に関連しない信号を送る非安全ノード４２に接続されてもよい。コントローラ４は、昇降路安全ノード３０に運行前点検指令を送信し、エレベータの次の走行の開始前に全ての安全信号の点検を可能とするとともに、下部アクセスキースイッチへの電力供給をオンにする任意の指令を送信する。“直接接続された”とは、第１のバスを通過する通信信号がコントローラ４に到達する前に他のノードを通過しないことを意味する。例示的な実施例の一形態では、第１のバス４０はシリアルバスであるが、他の種類の通信バスを使用することもできる。

さらに、例示的な実施例によると、エレベータ制御システム２は、エレベータかご１４をコントローラ４に直接接続する第２のバス５５を含む。より具体的には、第２のバス５５は、かごゲートスイッチ、非常止めスイッチ、非常脱出スイッチ、かご内非常停止スイッチ、ドアゾーンセンサ、終端階強制減速装置センサ、終端階減速停止装置センサなどローカルな規定機関によって要求されるスイッチを含みうる、かご安全装置６４に接続されたかご安全ノード６０からの通信信号を伝達する。通信は、さらに、エレベータの次の走行の開始前に全ての安全信号の点検を可能にするかごノード６０への運行前点検指令を含みうる。例示的な実施例の一形態によると、バス５５は、かご電子機器、はかりセンサ、およびドアコントローラを含みうる非安全ノード６９にも接続されている。例示的な実施例の他の形態によると、第２のバス５５は、エレベータかご１４とともに昇降路内で選択的に移動可能な第２のエレベータかご９０からの信号を伝達する。第２のバス５５は、上述と同様な方法でかご安全ノード９２で発生した通信信号をコントローラ４および／または推進システム１０および動作制御システムに伝達する。かご安全ノード９２は、かご安全装置９４を含む。バス５５は、非安全ノード９６に接続可能であり、非安全ノードは、例えば、かご電子機器、はかりセンサおよび／またはドア状態センサなどを含む。

例示的な実施例の他の形態によると、第２のバス５５は、コントローラ４と直接通信するのに加えて、エレベータかご１４を電源切断装置２６に直接接続するように構成されてもよい。これにより、安全上の潜在的な問題は、推進システム１０に直接作用してエレベータかご１４を制御する。すなわち、かごノード６０から発せられる安全上の問題が発生したとき、第２のバス５５はコントローラ４をバイパスして推進システム１０に直接信号を送ってエレベータかご１４の動作を停止することができる。

例示的な実施例のまた他の形態によると、第１のバス４０は、昇降路安全ノード３０を電源切断装置２６に直接接続するように構成することができる。これにより、安全上の潜在的な問題を示す信号は、コントローラ４からの入力すなわち遅延を要せずに推進システム１０に直接送られ、エレベータかご１４の動作に作用する。すなわち、昇降路安全ノード３０から発せられる安全上の問題が発生したときに、第１のバス４０は、コントローラ４をバイパスして推進システム１０に直接信号を送ってエレベータかご１４の動作を停止することができる。

昇降路安全ノード、コントローラおよび推進システムの間の直接的な接続路により、潜在的なピットおよび／または昇降路下部の安全に関連する信号の処理時間が減少する。さらに、直接的な接続路は、昇降路および移動ケーブルを通る導線の数および長さを最小化する。同様に、エレベータかご、コントローラ、推進システムおよび動作制御装置の間の直接的な接続路により、潜在的なかご安全信号の処理時間が減少する。さらに、直接的な接続路は、移動ケーブルを通る導線の数を減少させる。移動ケーブルの導線の数を最小化することで、昇降路を通過する装置全体の重量が減少する。

本発明を例示的な実施例を参照して説明したが、当業者であればわかるように、種々の変更が可能であり、本発明の範囲から逸脱することなくその要素を同等物に代えることができる。また、本発明の実質的な範囲から逸脱せずに、本発明の教示に特定の状況や材料を適用するために多くの改良が可能である。よって、本発明は、本発明の最も好適な実施形態として開示した特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に含まれる全ての実施例を含むものである。

Claims (15)

1. コントローラと、
   エレベータ昇降路のピット部に設けられ、エレベータピットに設けられたピット安全装置と昇降路下部装置の一方と動作可能に接続され、かつ前記のピット安全装置と昇降路下部装置の一方から情報を収集するとともにこの情報を処理して通信信号とする昇降路安全ノードと、
   昇降路安全ノードとコントローラとを接続し、昇降路安全ノードからコントローラに昇降路安全ノードで処理された通信信号を直接送る第１のバスと、
   エレベータかごに設けられ、エレベータかごに設けられたかご安全装置に動作可能に接続され、かつかご安全装置から情報を収集するとともにこの情報を処理して通信信号とするかごノードと、
   かごノードとコントローラとを接続し、かごノードからコントローラにかごノードで処理された通信信号を直接送る第２のバスと、
   エレベータかごをエレベータ昇降路に沿って移動させるように構成されたモータと、昇降路内でエレベータかごの移動を停止するように構成および配置されたブレーキと、を含む推進システムと、
   推進システムに動作可能に接続された電源切断装置と、を有し、第２のバスが電源切断装置を介して推進システムに接続されており、かごノードが、安全上の事象が発生したときに、かごノードで処理された通信信号を電源切断装置に直接送って推進システムを動作不能とするように構成および配置されていることを特徴とするエレベータ安全システム。
2. 第１のバスが電源切断装置を介して推進システムに直接接続されており、昇降路安全ノードが、安全上の事象が発生したときに、昇降路安全ノードで処理された通信信号を電源切断装置に直接送って推進システムを動作不能とするように構成および配置されていることを特徴とする請求項１記載のエレベータ安全システム。
3. 第１のバスがシリアルバスであることを特徴とする請求項１記載のエレベータ安全システム。
4. 第２のバスがシリアルバスであることを特徴とする請求項１記載のエレベータ安全システム。
5. エレベータ昇降路のピット部に設けられた別の昇降路安全ノードをさらに有し、この別の昇降路安全ノードは、エレベータピットに設けられたピット安全装置と昇降路下部装置の一方に動作可能に接続されていることを特徴とする請求項１記載のエレベータ安全システム。
6. エレベータ装置におけるエレベータ安全情報通信方法であって、
   エレベータピットに設けられた昇降路安全ノードにおいて安全装置から情報を収集し、
   昇降路安全ノードにおいて前記情報を処理して通信信号とし、
   前記通信信号を第１のバスを介して昇降路安全ノードからコントローラに直接送り、
   エレベータかごに設けられたかごノードにおいてかご安全装置から情報を収集し、
   かごノードにおいて前記かご安全装置からの情報を処理して通信信号とし、
   かごノードにおいて処理された通信信号を第２のバスを介してかごノードからコントローラに直接送り、
   前記かご安全装置からの情報をかごノードから電源切断装置を介してエレベータ装置の推進システムに直接送り、
   かご安全装置の作動を感知し、
   かご安全装置の作動に応答して、電源切断装置を介してかごノードによって推進システムへの電力供給を中断することを含むことを特徴とするエレベータ安全情報通信方法。
7. 第１のバスを介して少なくとも１つの非安全ノードからコントローラに情報を送ることをさらに含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。
8. 昇降路安全ノードから推進システムに動作可能に接続された電源切断装置に情報を直接送ることをさらに含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。
9. ピット安全装置の作動を感知し、
   ピット安全装置の作動に応答して、電源切断装置を介して昇降路安全ノードによって推進システムへの電力供給を中断することをさらに含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。
10. 昇降路安全ノードにおいて情報を処理して通信信号とすることは、情報を処理してシリアル通信信号とすることを含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。
11. かご安全装置からの情報を処理して通信信号とすることは、かご安全装置からの情報を処理してシリアル通信信号とすることを含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。
12. エレベータピットに設けられた別の昇降路安全ノードにおいて安全装置から情報を収集することをさらに含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。
13. 前記別の昇降路安全ノードにおいて情報を処理して通信信号とすることをさらに含むことを特徴とする請求項１２記載のエレベータ安全情報通信方法。
14. 前記別の昇降路安全ノードからの通信信号を第１のバスを介してコントローラに直接送ることをさらに含むことを特徴とする請求項１３記載のエレベータ安全情報通信方法。
15. 別のエレベータかごに設けられた別のかごノードにおいてかご安全装置からの情報を収集することをさらに含むことを特徴とする請求項６記載のエレベータ安全情報通信方法。

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