以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(レンズ駆動装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の平面図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1〜図3に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、全体として扁平な略四角柱状に形成されている。具体的には、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態では、レンズ駆動装置1の下端側に撮像素子2が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体3と、可動体3を光軸方向へ移動可能に保持する固定体4と、可動体3を光軸方向へ駆動するための駆動機構5とを備えている。可動体3は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ7を保持するスリーブ8を備えている。また、可動体3には、上下方向に略直交する一方向へ可動体3を付勢するための2個の付勢用磁石9が取り付けられている。
固定体4は、レンズ駆動装置1の上端側の前後左右の側面を構成するカバー部材10と、レンズ駆動装置1の下端側の前後左右の側面を構成するベース部材11と、可動体3を光軸方向へ案内するための第1ガイド部材としてのガイド軸12と、ガイド軸12を中心とする可動体3の回動を防止するための第2ガイド部材としてのガイド軸13と、ガイド軸12、13の下端側が固定される軸固定部材14と、撮像素子2を保持するとともにレンズ駆動装置1の下端面を構成する保持部材15とを備えている。
レンズホルダ7は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ7の内周側には、上下方向から見たときの形状が略円形状となる複数のレンズが固定されている。
スリーブ8は、略筒状に形成されている。スリーブ8の内周面は、上下方向から見たときの形状が略円形状となるように形成されている。スリーブ8の内周面には、レンズホルダ7が固定されている。スリーブ8の外周面は、上下方向から見たときの形状が略六角形状となるように形成されている。具体的には、上下方向から見たときのスリーブ8の外周面は、上下方向から見たときに、右前端の角部と左前端の角部と右後端の角部と左後端の角部とを有する略四角形から、レンズ駆動装置1の一方の対角線上に配置される右前端の角部と左後端の角部とが面取りされて形成された略六角形状に形成されている。スリーブ8の右前端の角部および左後端の角部に形成される側面は、スリーブ8の前後左右に形成される側面に対して約45°傾いている。
スリーブ8には、ガイド軸12が挿通される第1ガイド孔としてのガイド孔8aと、ガイド軸13が挿通される第2ガイド孔としてのガイド孔8bとが形成されている。ガイド孔8a、8bは、上下方向から見たときのレンズ駆動装置1の他方の対角線上に配置される左前端の角部および右後端の角部の近傍に形成されている。本形態では、ガイド孔8aがスリーブ8の左前端の角部の近傍に形成され、ガイド孔8bがスリーブ8の右後端の角部の近傍に形成されている。また、ガイド孔8a、8bは、上下方向でスリーブ8を貫通するように形成されており、上下方向におけるスリーブ8の全域に形成されている。
ガイド孔8aは、上下方向から見たときの形状が円形状となる丸孔状に形成されている。後述のように、ガイド軸12は円柱状に形成されており、ガイド孔8aの内径は、ガイド軸12の外径と略等しくなっている。具体的には、ガイド孔8aの内径は、ガイド孔8aにガイド軸12が圧入されないように、ガイド軸12の外径よりもわずかに大きくなっている。
ガイド孔8bは、上下方向から見たときの形状が長円形状となる長孔状に形成されている。図1に示すように、上下方向から見たときにガイド軸12の軸中心C1とガイド軸13の軸中心C2とを結ぶ線を仮想線SLとすると、上下方向から見たときのガイド孔8bの形状は、仮想線SLの方向に長い長円形状となっている。本形態では、仮想線SLは、スリーブ8の左前端と右後端とを結ぶ他方の対角線と一致しており、この仮想線SLは、光軸Lと交差している。
後述のように、ガイド軸13は円柱状に形成されており、仮想線SLの方向に直交する方向におけるガイド孔8bの幅は、ガイド軸13の外径と略等しくなっている。具体的には、仮想線SLの方向に直交する方向におけるガイド孔8bの幅は、ガイド孔8bにガイド軸13が圧入されないように、ガイド軸13の外径よりもわずかに大きくなっている。一方、仮想線SLの方向におけるガイド孔8bの幅は、ガイド軸13の外径よりも大きくなっており、仮想線SLの方向におけるガイド孔8bの両端とガイド軸13との間には隙間が形成されている。
スリーブ8の後ろ側面および右側面には、付勢用磁石9を固定するための固定用溝8c、8dが形成されている。固定用溝8cは、スリーブ8の後ろ側面の右端側に形成されている。具体的には、固定用溝8cは、左右方向においてガイド孔8bよりもわずかに左側に形成されている。固定用溝8dは、スリーブ8の右側面の後端側に形成されている。具体的には、固定用溝8dは、前後方向においてガイド孔8bよりもわずかに前側に形成されている。固定用溝8c、8dは、上下方向から見たときの形状が長方形状となる角溝状に形成されている。また、固定用溝8c、8dは、スリーブ8の上端面から下端面までの間に形成されている。すなわち、固定用溝8c、8dは、上下方向におけるスリーブ8の全域に形成されている。また、固定用溝8cと固定用溝8dとは、上下方向から見たときに、仮想線SLに対して(すなわち、スリーブ8の左前端の角部と右後端の角部とを結ぶ対角線に対して)略線対称に形成されている。
付勢用磁石9は、扁平な直方体状に形成されている。付勢用磁石9の上下方向の長さは、固定用溝8c、8dの上下方向の長さよりも短くなっている。すなわち、付勢用磁石9の上下方向の長さは、スリーブ8の上下方向の長さよりも短くなっている。付勢用磁石9は、上下方向における固定用溝8c、8dの中心と付勢用磁石9の中心とが略一致するように、固定用溝8c、8dに固定されている。また、付勢用磁石9は、付勢用磁石9の側面がスリーブ8の後ろ側面および右側面よりも突出しないように、固定用溝8c、8dに固定されている。付勢用磁石9の外周側に配置される側面は、駆動機構5を構成する後述の駆動用コイル16の内周面に対向している。
付勢用磁石9は、外周側に配置される側面の磁極と内周側に配置される側面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、付勢用磁石9は、外周側に配置される側面の全体がN極またはS極となるように単極着磁されている。
上述のように、固定用溝8cは、スリーブ8の後ろ側面に形成され、固定用溝8dは、スリーブ8の右側面に形成されているため、付勢用磁石9は、スリーブ8の、互いに略直交する2つの側面であって、右後端の角部で交わる2つの側面のそれぞれに取り付けられている。また、固定用溝8cは、スリーブ8の後ろ側面の右端側に形成され、固定用溝8dは、スリーブ8の右側面の後端側に形成されているため、付勢用磁石9は、スリーブ8の右後端の角部の近くに配置されている。
カバー部材10は、磁性材料で形成されている。また、カバー部材10は、上下方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に形成されている。カバー部材10の上下方向の長さは、スリーブ8の上下方向の長さよりも長くなっている。カバー部材10は、可動体3および駆動機構5の外周側の全体を覆っている。
軸固定部材14は、非磁性材料で形成されている。また、軸固定部材14は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成されている。この軸固定部材14は、カバー部材10の下端側に取り付けられている。軸固定部材14の中心には、上下方向に貫通する貫通孔14aが形成されている。軸固定部材14の左後端側には、上下方向に貫通する貫通孔14bが形成されている。貫通孔14a、14bは、上下方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されている。貫通孔14aの大きさは、貫通孔14bの大きさよりも大きくなっている。また、上下方向から見たときに、貫通孔14aの大きさは、撮像素子2の大きさよりも大きくなっている。
ガイド軸12、13は、非磁性材料で形成されている。また、ガイド軸12、13は、円柱状に形成されており、上下方向を軸方向として配置されている。本形態では、ガイド軸12の外径とガイド軸13の外径とが等しくなっており、かつ、ガイド軸12の長さとガイド軸13の長さとが等しくなっている。ガイド軸12、13の下端は、軸固定部材14に圧入等によって固定されている。また、ガイド軸12は、軸固定部材14の左前端の角部に固定され、ガイド軸13は、軸固定部材14の右後端の角部に固定されている。本形態では、ガイド軸12、13の上端がカバー部材10の上端よりもわずかに下側に配置されるように、ガイド軸12、13の長さが設定されている。なお、ガイド軸12の外径とガイド軸13の外径とが異なっていても良い。
駆動機構5は、カバー部材10の内周面に固定される駆動用コイル16と、スリーブ8の外周面に固定される2個の駆動用磁石17とを備えている。駆動用コイル16は、上下方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に導線が巻回されることで形成されている。駆動用コイル16の上下方向の長さは、スリーブ8の上下方向の長さと略等しくなっている。
駆動用磁石17は、上下方向から見たときの形状が略二等辺三角形となる略三角柱状に形成されており、互いに略直交する2個の平面状の第1側面部17aと、2個の第1側面部17aを繋ぐ平面状の第2側面部17bと、平面状の上端面および下端面とを備えている。この駆動用磁石17は、スリーブ8の右前端の角部および左後端の角部に形成される側面に固定されている。具体的には、第2側面部17bがスリーブ8の右前端の角部と左後端の角部に形成される側面に固定されており、駆動用磁石17は、レンズ駆動装置1の右前端の角部と左後端の角部とに配置されている。駆動用磁石17の上下方向の長さは、スリーブ8の上下方向の長さと略等しくなっており、駆動用磁石17付きの可動体3は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる扁平な略四角柱状に形成されている。
駆動用磁石17の第1側面部17aは、所定の隙間を介して、駆動用コイル16の右前端の角部の内周面または左後端の角部の内周面に対向している。また、第1側面部17aは、駆動用コイル16を介して、カバー部材10の内周面と対向しており、第1側面部17aの全体は、カバー部材10によって覆われている。本形態のカバー部材10は、駆動機構5の磁気回路を形成するためのヨークの機能を果たしている。
駆動用磁石17は、第1側面部17aの磁極と第2側面部17bの磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、駆動用磁石17は、第1側面部17aの全体がN極またはS極となるように単極着磁されている。本形態では、付勢用磁石9の外周側に配置される側面の磁極と、第1側面部17aの磁極とが一致し、付勢用磁石9の内周側に配置される側面の磁極と、第2側面部17bの磁極とが一致している。また、上述のように、付勢用磁石9の外周側に配置される側面および第1側面部17aは、駆動用コイル16の内周面と対向している。すなわち、駆動用磁石17の、駆動用コイル16との対向面と、付勢用磁石9の、駆動用コイル16との対向面とは同じ磁極に着磁されている。
ベース部材11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成されている。ベース部材11の厚みは、軸固定部材14の厚みよりも厚くなっている。ベース部材11は、軸固定部材14の下面に取り付けられている。ベース部材11の中心には、上下方向に貫通する貫通孔11aが形成されている。ベース部材11の左後端側の上面には、下方向へ窪む凹部11bが形成され、ベース部材11の左前端側の上面および右後端側の上面には、下方向へ窪む凹部11cが形成されている。
貫通孔11aは、上下方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されている。この貫通孔11aは、その下端側が上端側よりも前後左右方向へ広がる段付孔となっている。上下方向から見たときに、貫通孔11aの大きさは、撮像素子2の大きさよりも大きくなっている。貫通孔11aの段差部には、赤外光を透過させず可視光を透過させるIRカットフィルタ19が固定されている。
凹部11bは、上下方向から見たときの形状が軸固定部材14の貫通孔14bと略同形状の略長方形状となるように形成されている。凹部11bおよび貫通孔14bには、上下方向における可動体3の位置を検出するための位置センサ20が固定されている。位置センサ20は、たとえば、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサである。位置センサ20の上面は、スリーブ8の左後端の角部の側面に固定される駆動用磁石17の下面に対向している。
凹部11cは、上下方向から見たときの形状が略円形状となるように形成されている。この凹部11cは、ガイド軸12、13とベース部材11との干渉を防止するための逃げ部となっている。
保持部材15は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる平板状に形成された回路基板である。この保持部材15は、ベース部材11の下端に取り付けられている。撮像素子2は、保持部材15の上面に実装されている。保持部材15の上面に実装された撮像素子2は、ベース部材11の貫通孔11aの下端側の中に配置されている。
上述のように、付勢用磁石9は、スリーブ8の後ろ側面および右側面に固定されており、駆動用コイル16を介してカバー部材10の内周面と対向している。スリーブ8の後ろ側面に固定される付勢用磁石9とカバー部材10の後ろ側面との間には、磁気的吸引力が生じており、この磁気的吸引力によって、可動体3は、図1の矢印V1で示す後ろ方向へ付勢されている。また、スリーブ8の右側面に固定される付勢用磁石9とカバー部材10の右側面との間にも、磁気的吸引力が生じており、この磁気的吸引力によって、可動体3は、図1の矢印V2で示す右方向へ付勢されている。
スリーブ8の後ろ側面に固定される付勢用磁石9とカバー部材10の後ろ側面との間に生じる磁気的吸引力の大きさと、スリーブ8の右側面に固定される付勢用磁石9とカバー部材10の右側面との間に生じる磁気的吸引力の大きさとはほぼ等しくなっている。また、上述のように、固定用溝8cと固定用溝8dとは、上下方向から見たときに、仮想線SLに対して略線対称に形成されており、矢印V1の方向と矢印V2の方向とは、上下方向から見たときに、仮想線SLに対して略線対称となっている。
そのため、本形態では、スリーブ8の後ろ側面に固定される付勢用磁石9とカバー部材10の後ろ側面との間に生じる磁気的吸引力と、スリーブ8の右側面に固定される付勢用磁石9とカバー部材10の右側面との間に生じる磁気的吸引力との合力によって、可動体3は、図1の矢印V3で示す右後ろ方向へ付勢されている。すなわち、可動体3は、この合力によって、仮想線SL上の一方向である右後ろ方向へ付勢されている。また、上述のように、ガイド孔8aの内径はガイド軸12の外径と略等しくなっており、かつ、仮想線SLの方向におけるガイド孔8bの両端とガイド軸13との間には隙間が形成されているため、この合力によって、可動体3は、ガイド軸12に押し付けられている。また、上述のように、仮想線SLの方向に直交する方向におけるガイド孔8bの幅は、ガイド軸13の外径と略等しくなっており、ガイド孔8bとガイド軸13とによって、ガイド軸12を中心とする可動体3の回動が防止されている。
なお、スリーブ8の右前端の角部の側面に固定される駆動用磁石17の第1側面部17aとカバー部材10との間にも、磁気的吸引力が発生しており、この磁気的吸引力によって、可動体3は、右前方向へ付勢されている。また、スリーブ8の左後端の角部の側面に固定される駆動用磁石17の第1側面部17aとカバー部材10との間にも、磁気的吸引力が発生しており、この磁気的吸引力によって、可動体3は、左後ろ方向へ付勢されている。スリーブ8の右前端の角部の側面に固定される駆動用磁石17の第1側面部17aとカバー部材10との間の磁気的吸引力によって可動体3に生じる右前方向への付勢力と、スリーブ8の左後端の角部の側面に固定される駆動用磁石17の第1側面部17aとカバー部材10との間の磁気的吸引力によって可動体3に生じる左後ろ方向への付勢力とは、ほぼ釣り合っている。
上述のように、上下方向において、カバー部材10の長さは、スリーブ8の長さよりも長くなっており、駆動用磁石17の長さは、スリーブ8の長さと略等しくなっている。また、上下方向において、スリーブ8の長さは、付勢用磁石9の長さよりも長くなっている。本形態では、可動体3の可動範囲(上下方向の可動範囲)において、付勢用磁石9とカバー部材10との対向面積は一定であり、また、駆動用磁石17の第1側面部17aとカバー部材10との対向面積は一定である。
以上のように構成されたレンズ駆動装置1では、駆動用コイル16に電流が供給されると、可動体3が上下方向へ移動する。上述のように、付勢用磁石9の付勢力によって、可動体3に右後ろ方向への付勢力が生じているため、可動体3は、右後ろ方向へ付勢された状態でガイド軸12、13に沿って上下方向へ移動する。また、可動体3が目標停止位置まで移動して停止すると、駆動用コイル16への電流の供給が停止される。本形態では、駆動用コイル16への電流の供給が停止されたときには、付勢用磁石9の付勢力でスリーブ8のガイド孔8aとガイド軸12との間に生じる摩擦力によって、可動体3が目標停止位置で停止している状態が維持される。
ここで、駆動用コイル16への電流の供給が停止されているときの振動や衝撃等の影響で、可動体3が目標停止位置から上下方向へずれることがある。本形態では、可動体3が目標停止位置から上下方向へずれると、目標停止位置からのずれ量が位置センサ20によって検出され、位置センサ20での検出結果に基づいて、駆動用コイル16に電流が供給されて、可動体3が目標停止位置へ戻される。すなわち、本形態では、位置センサ20での検出結果に基づいて、駆動用コイル16に供給される電流がフィードバック制御される。このフィードバック制御は、図示を省略する制御部によって実行される。制御部は、たとえば、回路基板である保持部材15に実装されている。
なお、本形態では、レンズ駆動装置1の右前端の角部および左後端の角部は、第1角部であり、レンズ駆動装置1の左前端の角部および右後端の角部は、第2角部である。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、可動体3は、付勢用磁石9の付勢力によって右後ろ方向へ付勢されており、ガイド軸12に押し付けられた状態で、ガイド軸12、13に沿って上下方向へ移動する。そのため、本形態では、上下方向へ移動する可動体3のがたつきを抑制することが可能になる。
また、本形態では、可動体3は、仮想線SL上の一方向である右後ろ方向へ付勢されており、ガイド軸12には押し付けられているが、仮想線SLの方向におけるガイド孔8bの両端とガイド軸13との間に隙間が形成されているため、可動体3が上下方向へ移動する際の上下方向に対する可動体3の傾き(チルト)を抑制することが可能になる。すなわち、たとえば、仮想線SLに対して傾いている右前方向または左後ろ方向へ可動体3が付勢されている場合、ガイド孔8aの側面とガイド軸12とが所定の接触圧で接触するとともに、ガイド孔8bの側面とガイド軸13とが所定の接触圧で接触するため、可動体3とガイド軸12との間の摩擦力と、可動体3とガイド軸13との間の摩擦力とのバランスが崩れると、可動体3が上下方向へ移動する際に、仮想線SLに対して直交する方向を軸方向として可動体3が回動して傾く。これに対して、本形態では、仮想線SLの方向において、ガイド孔8aの側面とガイド軸12とは所定の接触圧で接触するが、ガイド孔8bの側面とガイド軸13とが接触しないため、可動体3とガイド軸12との間の摩擦力と、可動体3とガイド軸13との間の摩擦力とのバランスが崩れるといった問題が生じない。その結果、本形態では、可動体3が上下方向へ移動する際の可動体3の上下方向に対する傾きを抑制することが可能になる。
特に本形態では、仮想線SLの方向におけるガイド孔8bの両端とガイド軸13との間に隙間が形成されているため、仮想線SLに対して傾いている右前方向または左後ろ方向へ可動体3が付勢されていると、可動体3とガイド軸12との間の摩擦力と、可動体3とガイド軸13との間の摩擦力とのバランスが崩れたときに、可動体3が大きく傾きやすくなるが、本形態では、可動体3の傾きを抑制することが可能になる。
本形態では、可動体3に付勢用磁石9が設けられている。そのため、駆動用磁石17の第1側面部17aの全体をカバー部材10が覆っていても、可動体3を右後ろ方向へ付勢する付勢力が生じる。したがって、可動体3を右後ろ方向へ付勢しつつ、2個の駆動用磁石17の第1側面部17aのそれぞれと対向する駆動用コイル16を通過する磁束の密度のバランスを取ることが可能になり、その結果、2個の駆動用磁石17の第1側面部17aのそれぞれと駆動用コイル16との間に生じる駆動力のバランスを取ることが可能になる。そのため、本形態では、上下方向へ可動体3を適切に移動させることが可能になる。
本形態では、駆動用磁石17と付勢用磁石9とが別体で形成されている。そのため、本形態では、駆動機構5による可動体3の駆動力の調整、および、付勢用磁石9による可動体3の付勢力の調整が容易になる。また、本形態では、駆動用磁石17は、レンズ駆動装置1の右前端の角部と左後端の角部とに配置され、付勢用磁石9は、スリーブ8の右後端の角部の近くに配置されている。すなわち、本形態では、駆動用磁石17と付勢用磁石9とが比較的離れた位置に配置されている。そのため、駆動用磁石17が発生させる磁力と付勢用磁石9が発生させる磁力とが干渉しにくくなる。その結果、本形態では、駆動機構5による可動体3の駆動力の調整、および、付勢用磁石9による可動体3の付勢力の調整がより容易になり、駆動機構5による可動体3の駆動力を適切に設定しつつ、付勢用磁石9による可動体3の付勢力を適切に設定することが可能になる。また、駆動用磁石17が発生させる磁力と付勢用磁石9が発生させる磁力とが干渉することで生じうる可動体3の駆動力の低下を抑制することが可能になる。
本形態では、付勢用磁石9の付勢力によって右後ろ方向へ可動体3が付勢されており、付勢用磁石9の付勢力でスリーブ8のガイド孔8aとガイド軸12との間に生じる摩擦力によって、可動体3が目標停止位置で停止している状態が維持される。そのため、本形態では、可動体3を保持するための板バネ等の保持用の部材が不要になる。なお、板バネによって可動体3が保持される場合、板バネの付勢力に釣り合うだけの駆動機構5の駆動力が生じるように駆動用コイル16に電流を供給して、可動体3を目標停止位置に停止させる必要があるが、本形態では、その必要がない。そのため、本形態では、レンズ駆動装置1の消費電力を低減させることが可能になる。
本形態では、略三角柱状に形成される駆動用磁石17が、上下方向から見たときの形状が略正方形状となるレンズ駆動装置1の右前端の角部と左後端の角部とに配置されている。そのため、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置1の角部に駆動用磁石17を配置することが可能になる。また、本形態では、ガイド軸12、13が、レンズ駆動装置1の左前端の角部と右後端の角部とに配置されており、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置1の角部にガイド軸12、13を配置することが可能になる。したがって、本形態では、レンズの径方向へレンズ駆動装置1を小型化することが可能になる。あるいは、レンズの径方向でレンズ駆動装置1を大型化させることなく、レンズの径を大きくすることが可能になる。
本形態では、ガイド孔8bは、上下方向から見たときの形状が長円形状となる長孔状に形成されている。そのため、本形態では、ガイド軸12、13の取付位置がばらついても、ガイド軸12、13に対する可動体3の引っ掛かりを防止して、上下方向へ可動体3を円滑に移動させることが可能になる。
本形態では、ガイド軸12、13は、非磁性材料で形成されている。そのため、固定体4を構成するガイド軸12、13と、可動体3に固定される付勢用磁石9および駆動用磁石17との間に磁気的吸引力が発生しない。したがって、ガイド軸12、13と可動体3との間の摩擦力を低減させることが可能になり、駆動機構5の駆動力を小さくしても可動体3を適切に光軸方向へ移動させることが可能になる。その結果、本形態では、駆動機構5の構成を簡素化することが可能になる。
本形態では、駆動用磁石17の、駆動用コイル16との対向面と、付勢用磁石9の、駆動用コイル16との対向面とは同じ磁極に着磁されている。そのため、駆動用磁石17と駆動用コイル16とによって生じる可動体3の駆動力と同方向への駆動力が付勢用磁石9と駆動用コイル16とによっても生じる。したがって、本形態では、可動体3の駆動力を高めることが可能になる。
本形態では、可動体3が目標停止位置から上下方向へずれると、ずれ量が位置センサ20によって検出され、位置センサ20での検出結果に基づいて、駆動用コイル16に電流が供給されて、可動体3が目標停止位置へ戻される。すなわち、本形態では、可動体3が目標停止位置から上下方向へずれると、可動体3が目標停止位置へ自動的に戻される。そのため、本形態では、可動体3とガイド軸12との間に生じる摩擦力によって可動体3が停止していても、可動体3の目標停止位置を維持することが可能になる。
本形態では、可動体3の可動範囲において、付勢用磁石9のカバー部材10との対向面積は一定である。そのため、本形態では、可動体3の可動範囲において、可動体3の付勢力を一定に保つことが可能になる。また、本形態では、可動体3の可動範囲において、駆動用磁石17の第1側面部17aとカバー部材10との対向面積が一定であるため、可動体3の可動範囲において、第1側面部17aとカバー部材10との間に生じる磁束の量を一定に保つことが可能になる。
本形態では、固定用溝8c、8dの上下方向の長さは、付勢用磁石9の上下方向の長さよりも長くなっている。そのため、本形態では、付勢用磁石9の上下方向の長さを変えることが可能になり、その結果、可動体3の付勢力を変えることが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、ガイド孔8aは、上下方向から見たときの形状が円形状となる丸孔状に形成され、ガイド孔8bは、上下方向から見たときの形状が長円形状となる長孔状に形成されている。この他にもたとえば、ガイド孔8aが形成される部分とガイド孔8bが形成される部分とが分割されるようにスリーブ8が形成されている場合には、ガイド孔8bは、ガイド孔8aと同様の丸孔状に形成されても良い。この場合には、レンズ駆動装置1の組立時に、ガイド軸12、13に対して可動体3が引っ掛かからないように、ガイド孔8aが形成される部分とガイド孔8bが形成される部分との固定位置を調整した状態で、ガイド孔8aが形成される部分とガイド孔8bが形成される部分とを互いに固定して一体化すれば良い。
また、この場合には、可動体3を右後ろ方向へ付勢する付勢用磁石9の付勢力によってガイド軸12またはガイド軸13の一方と可動体3とが接触すると、それ以上、可動体3が右後ろ方向へ移動しない。したがって、仮想線SLの方向において、可動体3は、ガイド軸12またはガイド軸13のいずれか一方とは、所定の接触圧で接触するが、ガイド軸12またはガイド軸13のいずれか他方と可動体3との接触圧を低減させることが可能になる。そのため、この場合であっても、可動体3とガイド軸12との間の摩擦力と、可動体3とガイド軸13との間の摩擦力とのバランスが崩れるといった問題が生じにくくなり、その結果、可動体3が上下方向へ移動する際の可動体3の上下方向に対する傾きを抑制することが可能になる。なお、この場合には、ガイド軸13は、ガイド軸12を中心とする可動体3の回動を防止する機能に加え、可動体3を上下方向へ案内する機能を果たす。
上述した形態では、付勢用磁石9と駆動用磁石17とは別体で形成されているが、付勢用磁石9と駆動用磁石17とが一体で形成されても良い。たとえば、図4に示すように、レンズ駆動装置1の右前端の角部に配置される駆動用磁石17の後端に繋がるように付勢用磁石9が駆動用磁石17と一体で形成され、レンズ駆動装置1の左後端の角部に配置される駆動用磁石17の右端に繋がるように付勢用磁石9が駆動用磁石17と一体で形成されても良い。この場合であっても、可動体3は、図4の矢印V3で示す右後ろ方向へ付勢されるため、上下方向へ移動する可動体3のがたつきを抑制することが可能になるといった効果や、可動体3が上下方向へ移動する際の可動体3の上下方向に対する傾きを抑制することが可能になるといった効果等の上述の効果を得ることができる。また、この場合には、レンズ駆動装置1の部品点数を削減することができる。
上述した形態では、ガイド孔8aは、上下方向におけるスリーブ8の全域に形成されているが、ガイド孔8aは、上下方向におけるスリーブ8の両端側部分のみに形成されても良い。たとえば、図5(A)に示すように、スリーブ8の左前端の角部の、上下方向における中間部分が切り欠かれることで、上下方向におけるスリーブ8の両端側部分にガイド孔8aが形成されても良い。この場合には、ガイド軸12が挿通されるガイド孔8aが上下方向におけるスリーブ8の両端側のみに形成されるため、ガイド軸12とガイド孔8aの内周面との接触面積が小さくなる。したがって、ガイド軸12とガイド孔8aの内周面との間の摩擦抵抗を軽減することが可能になる。また、ガイド孔8aが上下方向におけるスリーブ8の両端側のみに形成されるため、ガイド孔8aの内周面の表面粗さのばらつきを小さくすることが可能になり、その結果、ガイド軸12とガイド孔8aの内周面との間の摩擦抵抗のばらつきを低減することが可能になる。また、この場合には、スリーブ8を軽量化することが可能になる。なお、この場合には、スリーブ8の左前端の角部の、上下方向の両端部分8fは、第1ガイド孔であるガイド孔8aが形成される第1ガイド部である。
また、たとえば、図5(B)に示すように、スリーブ8の左前端の角部の近傍にガイド軸12の外径よりも内径の大きな貫通孔8gが、上下方向でスリーブ8を貫通するように形成されるとともに、貫通孔8gの上端側および下端側に、ガイド軸12の外径と略等しい内径を有する円筒状の軸受(より具体的には、滑り軸受)22が固定されても良い。この場合には、ガイド軸12が挿通される第1ガイド孔としてのガイド孔22aが軸受22の内周側に形成されている。この場合であっても、ガイド軸12が挿通されるガイド孔22aが上下方向におけるスリーブ8の両端側のみに形成されるため、ガイド軸12とガイド孔22aの内周面との接触面積が小さくなる。したがって、ガイド軸12とガイド孔22aの内周面との間の摩擦抵抗を軽減することが可能になる。また、ガイド孔22aが上下方向におけるスリーブ8の両端側のみに形成されるため、ガイド孔22aの内周面の表面粗さのばらつきを小さくすることが可能になり、その結果、ガイド軸12とガイド孔22aの内周面との間の摩擦抵抗のばらつきを低減することが可能になる。なお、この場合には、軸受22は、第1ガイド孔であるガイド孔22aが形成される第1ガイド部である。
上述した形態では、ガイド孔8bは、上下方向におけるスリーブ8の全域に形成されているが、ガイド孔8bは、上下方向におけるスリーブ8の一部に形成されても良い。たとえば、図6に示すように、スリーブ8の右後端の角部の、上下方向における両端部分が切り欠かれることで、上下方向におけるスリーブ8の一部にガイド孔8bが形成されても良い。この場合には、スリーブ8を軽量化することが可能になる。なお、この場合には、スリーブ8の右後端の角部の、上下方向の中間部分8hは、第2ガイド孔であるガイド孔8bが形成される第2ガイド部である。
上述した形態では、付勢用磁石9が、スリーブ8の後ろ側面の右端側とスリーブ8の右側面の後端側とに配置され、可動体3は、右後ろ方向へ付勢されている。この他にもたとえば、付勢用磁石9が、スリーブ8の前側面の左端側とスリーブ8の左側面の前端側とに配置されて、可動体3が左前方向へ付勢されても良い。
上述した形態では、駆動用磁石17は、第1側面部17aの全体がN極またはS極となるように単極着磁されている。この他にもたとえば、第1側面部17aの上下方向の一方側がN極となり、第1側面部17aの上下方向の他方側がS極となるように、第1側面部17aが二極に着磁されても良い。この場合には、たとえば、第1側面部17aの上下方向の一方側の外周面に対向する駆動用コイルと、第1側面部17aの上下方向の他方側の外周面に対向する駆動用コイルとの2個の駆動用コイルがカバー部材10の内周面に固定される。この場合の2個の駆動用コイルは、たとえば、駆動用コイル16と同様に略四角筒状に導線が巻回されることで形成される。
また、第1側面部17aが二極着磁される場合には、略長方形の平板状に導線が巻回されて形成された駆動用コイルが直角に折り曲げられた状態で、レンズ駆動装置1の右前端の角部および左後端の角部において、カバー部材10の内周面に固定されても良い。この場合には、略長方形状に巻回された駆動用コイルの長辺の一方が第1側面部17aの上下方向の一方側の外周面に対向し、かつ、駆動用コイルの長辺の他方が第1側面部17aの上下方向の他方側の外周面に対向するように、2個の駆動用コイルがカバー部材10の内周面に固定される。
上述した形態では、駆動用コイル16は、導線が巻回されることで形成されている。この他にもたとえば、駆動用コイル16は、フレキシブルプリント基板(FPC)上に導体パターンが形成されたFPコイルであっても良い。
上述した形態では、レンズ駆動装置1の右前端の角部および左後端の角部に略三角柱状に形成された駆動用磁石17が配置されている。この他にもたとえば、駆動用磁石17に代えて、レンズ駆動装置1の右前端の角部に、平板状に形成された2枚の駆動用磁石が互いに略直交するように配置され、かつ、レンズ駆動装置1の左後端の角部に、平板状に形成された2枚の駆動用磁石が互いに略直交するように配置されても良い。また、駆動用磁石17に代えて、レンズ駆動装置1の右前端の角部および左後端の角部のそれぞれに、略L形状に形成された駆動用磁石が配置されても良い。
上述した形態では、ガイド軸12、13は、非磁性材料で形成されているが、ガイド軸12、13は、磁性材料で形成されても良い。また、上述した形態では、2個の付勢用磁石9によって、可動体3が付勢されているが、3個以上または1個の付勢用磁石によって、可動体3が付勢されても良い。
上述した形態では、仮想線SLは、スリーブ8の左前端と右後端とを結ぶ他方の対角線と一致しており、仮想線SLは、光軸Lと交差している。この他にもたとえば、仮想線SLは、スリーブ8の左前端と右後端とを結ぶ他方の対角線と一致していなくても良い。すなわち、仮想線SLは、光軸Lと交差していなくても良い。
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状となるように形成されても良い。