JP5873009B2 - ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、例えば特許文献2には、モノカルボン酸(塩)モノエチレン性不飽和単量体等からなる単量体成分を、アルカリ物質の存在下で、重合触媒を使用しかつ高濃度で水溶液重合させる方法であって、前記重合触媒として過硫酸塩および過酸化水素を併用し、かつ、前記アルカリ性物質の全使用量は前記単量体成分の全酸基を中和するのに必要な量の99mol%以下とするとともに、前記過酸化水素の滴下を前記単量体成分の滴下終了時間よりも10分以上早く終了するようにすることを特徴とする、低分子量(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造方法が開示されている。
また、例えば特許文献3には、α、βモノエチレン性不飽和カルボン酸の重合体等に対し、これらの100部当たり1〜70部の範囲でカルシウム等を含む化合物を反応させ、pH4以上に維持した重合体が開示されている。
例えば、特許文献1に開示の製造方法によって得られた重合体は、残存単量体量を低減することができると共に、得られる重合体の分子量分布を狭くすることができ、更に良好な炭酸カルシウムの分散能を示すことができるとされている。特許文献2に開示の製造方法によって得られた重合体は、良好な顔料の分散能を示すとされている。また、特許文献3に開示の重合体は、少量の添加で良好な顔料分散効果を示すとされている。
しかしながら、例えば近年の顔料塗工機の高度化、精密化に伴い、従来より厳しい顔料の分散能、とりわけ経時変化の少ない分散性を発現する重合体の要求が高まってきた。
更に、例えば紙処理用顔料スラリーの分散剤用途に使用する場合、上記性能に加えて、紙の白色度に影響しないように、着色の少ない重合体組成物が要求されている。
しかしながら、例えば近年のスラリー塗工機の高速化、精密化に伴い、従来より厳しい無機粒子スラリーの分散性、とりわけ経時変化の少ない粘性を発現する無機粒子スラリーの要求が高まってきた。
そこで、本発明は、無機物の分散性等に優れ、充分な経時的な分散性を示す重合体(水溶液)、また、更には経時的に良好な色調をも有する重合体(水溶液)、及びそれら重合体(水溶液)を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
また本発明は、高い無機粒子濃度及び良好な粘性を示し、充分な経時的な粘度安定性を有し、乾燥時の着色が少なく、高pHを維持可能な無機粒子スラリー及びその無機粒子スラリーを簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明にかかるポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液であって、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比が100:10〜100:75であり、かつ、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に対して1000〜10000ppmであることを特徴とする水溶液である。
すなわち、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液であって、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比が100:10〜100:75であり、かつ、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に対して1000〜10000ppmであり、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、(i)酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液をアルカリ金属塩で中和する工程と、(ii)酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を有機アミンで中和する工程とを必須として製造されることを特徴とするポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液もまた、本発明の一つである。
すなわち、本発明にかかる無機粒子スラリーは、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む無機粒子スラリーであって、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、上記無機粒子スラリーに含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比が100:10〜100:75であり、上記無機粒子スラリーに含まれる、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、上記無機粒子スラリーに対して100〜400ppmであり、上記無機粒子スラリーに含まれる無機粒子は、全無機粒子100質量%に対して、粒径が2μm以下の粒子が90〜100質量%含まれ、上記無機粒子スラリーの固形分濃度が75質量%以上であることを特徴とする無機粒子スラリーである。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の製造方法によれば、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を効率良く簡便に製造することができる。
また、本発明の無機粒子スラリーは、無機粒子含有量が高く、低い粘性と経時的な粘性変化が低いという特徴を有している為、優れた無機粒子の成形性を発現する。したがって、製紙工業分野やセラミック工業分野において、特に紙塗工用の顔料スラリーとして好ましく使用される。
本発明の無機粒子スラリーの製造方法によれば、優れた粘性及び経時的粘度安定性を有する無機粒子スラリーを効率良く製造することができる。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液(本発明の重合体水溶液とも言う。)は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体とは、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造を含んでいる重合体を表し、該(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造とは、(メタ)アクリル酸(塩)がラジカル重合することにより形成される構造であって、−CH2CR(COOM)−、で表される構造である。該構造中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。上記金属原子としては、Li、Na、K等のアルカリ金属原子、Ca、Mg等のアルカリ土類金属原子等が例示される。
上記(メタ)アクリル酸(塩)とは、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸、メタクリル酸塩を表し、これらの中でも、アクリル酸、アクリル酸塩が好ましい。これら(メタ)アクリル酸(塩)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸(塩)における塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましく、より好ましくは、ナトリウム塩である。これら(メタ)アクリル酸(塩)における塩は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基の、酸型のカルボキシル基/有機アミンで中和されたカルボキシル基(有機アミン塩型カルボキシル基)/有機アミン塩型カルボキシル基以外のカルボキシル基の塩の割合は、特に限定されないが、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン及び有機アミン塩(本明細書においては、「有機アミン(塩)」とも表する。)に由来する構造とのモル比が100:10〜100:75であることが重要である。好ましくは、100:15〜100:70であり、100:20〜100:65であることがより好ましい。
ここで、添加された有機アミン(塩)が反応して形成された構造としては、例えば(i)酸型及び/又は部分中和型のポリアクリル酸系重合体を含む水溶液に有機アミン(塩)を添加することにより形成された、有機アミンで中和されたカルボキシル基の塩に含まれる構造や、(ii)予め(メタ)アクリル酸等の単量体を有機アミンで中和した、有機アミン塩が重合することにより形成される構造、(iii)添加された有機アミン(塩)がポリアクリル酸系重合体以外の酸性物質と反応して形成された構造が例示される。
経時的な顔料分散性能が向上する傾向にあることから、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は無機塩等の量を極力低減させた形態であることが好ましく、そのため上記有機アミン(塩)に由来する構造は、重合体に含まれる、有機アミンで中和されたカルボキシル基であることが好ましい。したがって、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基100モル%に対する、有機アミンで中和されたカルボキシル基(有機アミン塩型カルボキシル基)の割合は、10〜75モル%であることが好ましく、15〜70モル%であることがより好ましく、20〜65モル%であることが特に好ましい。
その他の単量体としては、具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−メチレングルタル酸、及びそれらの塩等の(メタ)アクリル酸以外のカルボキシル基含有単量体及びその塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルである、アルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体及びそれらの塩;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他官能基含有単量体類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドが1〜300モル付加した構造を有する単量体等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;等が挙げられる。これらその他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ここで、酸型換算とは、塩型の単量体を対応する酸型単量体として質量割合を計算することをいい、例えば(メタ)アクリル酸ナトリウム由来の構造であれば、(メタ)アクリル酸由来の構造として質量割合を計算する。その他の単量体も同様に酸型換算で計算する。
なお、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
なお、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の分子量分布の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
本発明の重合体水溶液中には、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体が必須に含まれる。このほか、未反応の(メタ)アクリル酸(塩)、未反応のその他の単量体、未反応の重合開始剤、重合開始剤分解物等が含まれうる。
上記重合体水溶液中に存在する未反応の単量体の含有量((メタ)アクリル酸(塩)とその他の単量体との合計の含有量)は、使用する単量体の種類によっても異なるが、重合体水溶液の固形分100質量%に対して1質量%未満が好ましい。より好ましくは0.5質量%未満であり、更に好ましくは0.1質量%未満である。
また、本発明の重合体水溶液における、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の含有量は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液100質量%に対して、16〜66質量%が好ましく、20〜62質量%がより好ましく、25〜55質量%が更に好ましい。
上記硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンとしては、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン等が例示される。
上記重合体水溶液は、後述する有効成分値を35〜45%に調整したときの硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が上記範囲になるようにすることが好ましい。
なお、粘度は、B型粘度計を使用し、測定条件としては、ローターNo.4、60rpm、5分間で測定した値をいう。
なお、APHAは、色差計等により測定することができる。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、乾燥、又は、その他の溶剤で置換・希釈して使用することもできる(ポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物という)。本発明のポリアクリル酸系重合体水溶液を乾燥後水に再溶解したり、乾燥後に他の任意な成分を添加したものも本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物に含まれる。
なお、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物に含まれる未反応の単量体の含有量、溶媒や有機溶剤の含有量、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の含有量、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度、粘度、pH、及びAPHAは、それぞれ上述した本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液と同様であることが好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)を必須として重合することにより製造されることが好ましい。本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)に加えて、上述したその他の単量体を共重合することにより製造しても構わない。本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体((メタ)アクリル酸(塩)とその他の単量体との合計をいう)100質量%に対する(メタ)アクリル酸(塩)の割合は、酸型換算で80質量%以上であることが好ましい。80質量%以上であれば、得られる重合体水溶液の経時的な顔料分散性能が向上する傾向にある。より好ましくは90質量%以上である。
ここで、上記の通り、酸型換算とは、塩型の単量体を対応する酸型単量体として質量割合を計算することをいい、例えば(メタ)アクリル酸ナトリウムであれば、(メタ)アクリル酸として質量割合を計算する。その他の単量体も同様に酸型換算で計算する。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体(水溶液)の製造方法としては、(メタ)アクリル酸(塩)として、アクリル酸、アクリル酸塩を使用することが好ましい。
上記有機アミン以外のその他の中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属塩、アンモニア等が挙げられる。
ただし、製造工程の簡略化を目的として、(メタ)アクリル酸の有機アミン塩を必須として重合を行うことによってポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を製造しても構わない。この場合、着色が大きくなり、洗剤添加物や顔料分散剤としては使用し難くなる場合がある。
また、工程N1に要する時間は、使用するアルカリ金属塩の種類や使用量に応じて適宜選択すればよいが、通常、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下が更に好ましい。
また、工程N2に要する時間は、使用する有機アミンの種類や使用量に応じて適宜選択すればよいが、通常、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下が更に好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)を必須として含む単量体組成物を、重合開始剤(開始剤とも言う)の存在下に重合して得ることができる。
上記重合開始剤としては、通常重合開始剤として用いられているものを使用することができ、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。重合体の分子量分布が小さくなる傾向にあるので、1種のみを使用することが好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、全単量体成分1モルに対して、15g以下であることが好ましい。より好ましくは0.1〜12gである。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法においては、重合開始剤の他に、連鎖移動剤を使用することも可能である。この際使用できる連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、通常連鎖移動剤として用いられているものを使用することができる。具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、及びそれらの水和物等;亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びそれらの塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物及びそれらの塩等が挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記連鎖移動剤の添加量は、特に制限されないが、全単量体成分1モルに対して、1〜20gであることが好ましい。より好ましくは2〜15gである。1g未満であると、分子量の制御ができないおそれがあり、逆に、20gを超えると、連鎖移動剤が残留したり、重合体純分が低下したりするおそれがある。
次亜リン酸塩、亜硫酸塩、及び/又は亜硫酸水素塩の使用量が全単量体1モルに対して、上記上限を超えると、連鎖移動に寄与しない次亜リン酸塩、亜硫酸塩、及び/又は亜硫酸水素塩(重合体末端に取り込まれない次亜リン酸塩、亜硫酸塩、及び/又は亜硫酸水素塩)が増加し、無機陰イオン量が増加することに起因して、経時的な分散力が低下したり、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の色相が悪化したりするおそれがある。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法は、重合開始剤等の他に、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物(反応促進剤ともいう)を使用(重合系に添加)してもよい。
なお、本明細書において、重金属イオンとは、比重が4g/cm3以上の金属を意味する。
上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが組み合わされていてもよい。
なお、上記重金属塩を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造において、重合反応を著しく妨げるものでなければ、重金属塩の溶解性を損ねない範囲で使用できる。
重合系に添加する、重金属化合物を溶解してなる水溶液又は水性溶液中の重金属化合物の濃度は、0.1質量%〜10質量%とすることが好ましい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、溶液重合で製造することが好ましい。この際使用できる溶媒は、全溶媒に対して50質量%が水である混合溶媒又は水であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。また、上記連鎖移動剤を使用する場合には、連鎖移動効率を高め(連鎖移動剤を重合体末端により多く取り込む)、不純物である無機陰イオンを低減するために、溶剤自体は連鎖移動しにくいものが好ましい。その観点から、溶媒としては水のみを使用するか、有機溶剤を併用する場合にはその使用量を極力低減することが好ましい。
上記観点から、例えば、有機溶剤を使用する場合であっても、重合終了後の反応液100質量%に対して、30質量%以下にすることが好ましく、20質量%以下にすることがより好ましく、10質量%以下にすることが更に好ましい。特に好ましくは、5質量%以下にすることであり、最も好ましくは、1質量%以下にすることである。
有機溶剤を使用する場合、脱溶剤工程が必要となるが、脱溶剤工程における圧力、温度、時間等の条件は、得られるポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の着色を低く抑えることができるように、使用する有機溶媒の種類や使用量に応じて、適宜選択することができ、例えば、脱溶剤時の圧力としては、常圧でもよく、減圧でもよく、加圧でもよく、温度は30〜150℃が好ましく、40〜130℃がより好ましく、50〜110℃が特に好ましい。また脱溶剤に要する時間は10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、3時間以下が特に好ましい。
ここで重合の際、水とともに使用できる溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;グリセリン;ポリエチレングリコール;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、回分式(バッチ式)、連続式、半連続式のいずれの重合方法も採用することができる。本発明のポリアクリル酸系重合体を製造する条件は、上記の方法の他、特に断りの無い限りは、重合方法として通常知られている方法又はそれを修飾した方法が使用できる。
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体組成物(以下、本発明の重合体等とも言う)は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(又は洗剤組成物)等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用等、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
本発明の重合体等は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
本発明の重合体等は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物及び界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体(組成物)を含む。
本発明の重合体等(重合体、重合体水溶液、重合体組成物)は、顔料分散剤に用いることができる。すなわち、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体(水溶液)を含む顔料分散剤もまた、本発明の一つである。
本発明の重合体等は単独で顔料分散剤として使用することができるが、本発明の顔料分散剤には、必要に応じて、水等の溶媒や、他の配合剤として、縮合リン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
本発明によれば、低粘度で粘性の経時安定性を有し、かつ高濃度の製紙用顔料スラリーを提供することが可能となる。ひいては、該スラリーを用いて塗工した際に塗工欠陥を抑制し、良好な原紙被覆性、印刷光沢、耐ブリスター性、ムラのない印刷面感を与え、かつ顔料が本来持つ白色度、不透明度、インキ受理性の有意点を備えた印刷用塗工紙を提供することが可能となる。
なお、上記顔料スラリー粘度は、B型粘度計を使用し、測定条件としては、ローターNo.4、60rpm、5分間で測定した値をいう。
本発明の重合体等は、洗剤組成物にも添加しうる。
洗剤組成物における本発明の重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、本発明の重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において通常知られている知見が適宜参照されうる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、更に好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、充分な洗浄力を発揮できなくなるおそれがあり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下するおそれがある。
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗剤組成物は、本発明の重合体等に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩等のアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
上記添加剤と他の洗剤用ビルダーの合計の配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜40質量%であり、更に好ましくは0.3〜35質量%であり、特に好ましくは0.4〜30質量%であり、最も好ましくは0.5〜20質量%以下である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、充分な洗剤性能を発揮できなくなるおそれがあり、50質量%を超えると経済性が低下するおそれがある。
なお、上記洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、更に好ましくは0.5〜65質量%であり、更により好ましくは0.7〜60質量%であり、特に好ましくは1〜55質量%であり、最も好ましくは1.5〜50質量%である。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、当該洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは150mg/L以下であり、更に好ましくは120mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下であり、最も好ましくは50mg/L以下である。
また、本発明の重合体等を洗剤ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは400mg/L以下であり、更に好ましくは300mg/L以下であり、特に好ましくは200mg/L以下であり、最も好ましくは100mg/L以下である。カオリン濁度の値としては、以下の手法により測定される値を採用するものとする。
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色工業社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記洗剤組成物は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い硬水(例えば、100mg/L以上)の地域中で使用しても、塩の析出が少なく、優れた洗浄効果を有する。この効果は、洗剤組成物が、LASのようなアニオン界面活性剤を含む場合に特に顕著である。
また、本発明の重合体等(重合体、重合体水溶液、重合体組成物)は、無機粒子スラリーに用いることができる。すなわち、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む無機粒子スラリーもまた、本発明の一つである。
本発明の無機粒子スラリーに含まれるポリ(メタ)アクリル酸系重合体としては、上述したものと同様のものを用いることができる。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基の、酸型のカルボキシル基/有機アミンで中和されたカルボキシル基(有機アミン塩型カルボキシル基)/有機アミン塩型カルボキシル基以外のカルボキシル基の塩の割合は、特に限定されず、上述した割合と同様とすることができるが、本発明の無機粒子スラリーに含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比が100:10〜100:75であることが重要である。好ましくは、100:15〜100:70であり、100:20〜100:65であることがより好ましい。
無機粒子スラリーの経時的な粘度安定性が向上する傾向にあることから、本発明の無機粒子スラリーは無機塩等の量を極力低減させた形態であることが好ましく、そのため上記有機アミン(塩)に由来する構造は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基の有機アミン塩として存在する構造であることが好ましい。したがって、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基100モル%に対する、有機アミンで中和されたカルボキシル基(有機アミン塩型カルボキシル基)の割合は、10〜75モル%であることが好ましく、15〜70モル%であることがより好ましく、20〜65モル%であることが特に好ましい。
ここで、酸型換算とは、上述したとおりである。
なお、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
なお、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の分子量分布の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
本発明の無機粒子スラリーは、無機粒子を含むものであるが、用いられる無機粒子としては、特に制限されず、例えば、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム、プラスティックピグメント等が挙げられる。
本発明の無機粒子スラリーは、無機粒子スラリー100質量%に対し、無機粒子を70質量%以上含有することが好ましい。無機粒子スラリーに含まれる無機粒子が70質量%未満であれば、例えば、紙塗工用顔料スラリーとして使用した場合に、紙の生産性が低下するおそれがある。より好ましくは73質量%以上であり、更に好ましくは75質量%以上である。特に好ましくは78質量%以上である。また、無機粒子の含有量の上限は例えば85質量%である。
なお、固形分濃度は後述する測定方法により測定される値である。
上記硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンとしては、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン等が例示される。
本発明の無機粒子スラリーの粘度は、特に制限はされず、スラリー濃度により大きく異なるが、無機粒子スラリーの固形分濃度を75質量%に調整した直後に、1000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは900mPa・s以下である。
なお、無機粒子スラリーの粘度は、B型粘度計を使用し、測定条件としては、ローターNo.4、60rpm、5分間で測定した値をいう。
本発明の無機粒子スラリーの製造方法は、(i)(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とを含むポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液及び無機粒子を混合する工程を必須として製造する方法、(ii)ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含むポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液と、有機アミン(塩)と、無機粒子とを混合する工程を必須として製造する方法、のいずれかである。(ii)の製造方法の場合、3つの成分の内2つを予め混合してから残りの1つと混合してもよいし、3つを同時に混合しても構わない。
なお、本発明の無機粒子スラリーの製造方法は、上記混合工程を含む限り、溶媒や他の配合剤を混合する工程を含んでいてもよい。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液としては、上述した本発明の重合体水溶液と同様のものを用いることができる。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比が100:10〜100:75であることが好ましい。別途ポリ(メタ)アクリル酸系重合体や有機アミン(塩)を添加することにより無機粒子スラリーの(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比が上記範囲になるように調整することも可能であるが、無機粒子スラリーの生産効率の点で、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比を上記範囲に設定することが好ましい。そのような範囲に設定することにより、無機粒子スラリーの経時的な粘度の安定性を顕著に発現することが可能となる。より好ましくは、100:15〜100:70であり、100:20〜100:65であることが更に好ましい。
なお、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる有機アミン(塩)に由来する構造としては、例えば(i)酸型及び/又は部分中和型のポリアクリル酸系重合体を含む水溶液に有機アミンを添加することにより形成された、有機アミンで中和されたカルボキシル基の塩に含まれる構造や、(ii)予め(メタ)アクリル酸等の単量体を有機アミンで中和した、有機アミン塩が重合することにより形成される構造、(iii)未反応の有機アミンとして存在する構造等が例示される。
無機粒子スラリーの経時的な粘度安定性が向上する傾向にあることから、上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は無機塩等の量を極力低減させた形態であることが好ましく、そのため有機アミン(塩)由来の構造は、カルボキシル基の有機アミン塩として存在する構造であることが好ましい。上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の有するカルボキシル基100モル%に対する、有機アミンで中和されたカルボキシル基の割合は、無機粒子スラリーにおける態様と同様である。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体(水溶液)を製造する方法としても、上述した本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体(水溶液)の製造方法と同様の方法により製造することができる。
本発明の無機粒子スラリーの製造方法としては、通常無機粒子スラリーを製造する際に用いられる製造方法が適宜参照される、又は、組み合わされることにより行うことができるが、典型的には、一次分散を行い、それを湿式粉砕処理する方法が挙げられる。この方法は、低粘度であり、かつ分散安定性に優れた高濃度の顔料スラリーを得ることができる点で好適である。無論、本発明における無機粒子スラリー調整方法は、この湿式粉砕処理法に限定されるものではなく、湿式粉砕処理を施さない調整方法をとることもなんら制限されるものではない。上記無機粒子スラリーの調整方法において、一次分散の方法は特に制限されるものではないが、ミキサーで混合することが好ましく、例えば、高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、コーレスミキサー、撹拌式ディスパー等の剪断力の高いものを用いることが好適である。
本発明の無機粒子スラリーは、紙塗工用、紙加工用、セラミック成型用、繊維処理用、エマルション塗料用等に用いることができる。
また、本発明の重合体の重量平均分子量、数平均分子量、未反応の単量体の定量、重合体水溶液及び重合体組成物の固形分量、重合体水溶液の有効成分値は、下記の方法に従って測定した。
窒素雰囲気下、110℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を2時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
有効成分値は重合して得られたポリマーのカルボキシル基濃度として平沼産業社製 自動滴定装置COM−1500にて測定、算出した。まず1N NaOH水溶液で完全にポリマー中のカルボン酸を中和した後、1N HCl水溶液にて滴定曲線を作成し、その曲線の第二変曲点と第一変曲点の差(1N HCl溶液量)から以下のように算出した。
有効成分値(%)=9.4×(第2変曲点での1N HCl量(質量)−第1変曲点での1N HCl量(質量))×HCl力価/分析物量(質量)。
なお、上記分析物量とは、分析したポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の質量を表す。
重合体の重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、下記条件で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて行った。
装置:日立製作所社製 L−7000シリーズ
検出器:HITACHI RI Detector L−2490
カラム:東ソー社製 TSK−GEL G3000PWXL
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min
検量線:創和科学社製 POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
該単量体の測定は、下記条件にて液体クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:日立製作所社製 L−7000シリーズ
検出器:日立製作所社製 UV検出器 L−7400
カラム:昭和電工社製 SHODEX RSpak DE−413
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min。
陰イオン濃度分析は、下記条件にてイオンクロマト分析を行った。
装置 :Metrohm社製 762 Interface
検出器 :Metrohm社製 732 IC Detecter
イオン分析方式:サプレッサー法
カラム :Shodex IC SI−90 4E
ガードカラム :Shodex SI−90 G
カラム温度 :40℃
溶離液 :NaHCO3水(2gを水で2000gに希釈)
流速 :1.0mL/min。
下記実施例で得られた重合体水溶液を分析したところ、過硫酸ナトリウム由来の硫酸イオンと次亜リン酸ナトリウム由来の次亜リン酸イオンとが検出された。
空気雰囲気下、150℃に加熱したオーブンで無機粒子スラリーを0.5時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)を算出した。
市販の丸尾カルシウム社製、重質炭酸カルシウム粉体200質量部を500mlSUS製容器に投入し、保温材を巻いたガラス製四つ口セパラブルフラスコの蓋上部の一番広い口に撹拌シールを取り付けたものに3段ピンを装着したSUS製攪拌翼を装着、残りの口はシリコーンゴム栓で蓋をして、SUS製容器とガラス製蓋上部を固定用の止め具で2箇所固定する。このSUS製攪拌翼と強力な撹拌モーターを接続し、粉砕途中で緩まないように容器全体を支柱にしっかりと固定した。
続いて、四つ口セパラブルフラスコのシリコーンゴム栓の一つを開けて、ロートを差し込み、撹拌モーターを200〜300rpm程度の低速回転の状態で撹拌しながら、ここから、有効成分値10%に調整した(水で希釈又は濃縮等)ポリマー水溶液8質量部と純水46質量部を混合したものと、2mmセラミックビーズ500質量部を順に少しずつ投入していった。すべて投入後、一気に1000rpmまで回転数を上昇させ、ビーズの状態を確認後、更に1500rpmまで回転数をあげた。粉砕開始40分後に10%ポリマー水溶液を4質量部、更に70分後と90分後に2質量部ずつ投入した。この状態で2μm以下の粒径が90%以上に到達するまで粉砕を継続した。最終的には重質炭酸カルシウムに対し0.80質量%のポリマー添加量となった。粉砕後、内容物をセラミックと分離し、回収した。
粒径は日立製作所社製 レーザー式粒度分布測定装置LA−910にて分析した。
スラリーの粘度をB型粘度計で、回転子No.4、60rpm、5分後の粘度を測定し(直後のスラリー粘度)、比較した。なお、回収したスラリーは、測定直前まで25℃の環境下で保存した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、還流冷却装置を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。まずイオン交換水362質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常温下、外部ジャケットにより水溶液の温度を還流するまで昇温させた。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)925質量部を180分間と、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)49質量部を185分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)を17質量部、20分間と更に続いて70質量部を160分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。
その後、48質量%水酸化ナトリウム水溶液600質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和し、続いて、モノエタノールアミン(以下、「MEA」とも称する)175質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和した。以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(1)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(1)という)の固形分値は52.7%、有効成分値は44.7%であった。重合体水溶液(1)のブルックフィールド粘度は850mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5200、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は2.15であった。重合体水溶液(1)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、5900ppmであった。
当該重合処方と分析結果を表1に、評価結果を表2に示した。表2において、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度をイオン濃度合計と記した。
重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕終了1時間後のスラリー粘度は950mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3380mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(2)を得た。得られた水溶液中(重合体水溶液(2)という)の固形分値は59.0%、有効成分値は45.4%であった。また重合体水溶液(2)のブルックフィールド粘度は990mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5400、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.14であった。当該重合処方と分析結果を表1に、重合体の評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は630mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2090mPa・sであった。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、外部循環冷却装置(外部反応液循環経路及び除熱装置)を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。イオン交換水515質量部、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)16質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常温下、外部ジャケットにより水溶液の温度を82℃まで昇温させた。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)900質量部、45%SHPを67質量部、および15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)67質量部をそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより、80%AAおよび45%SHPは150分間に亘って、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して155分間に亘って(すなわち、80%AAの滴下終了5分後まで)滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行った。
その後、48質量%水酸化ナトリウム水溶液583質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和し、続いて、モノエタノールアミン171質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和した。なお、重合体を中和する間、常に反応液を外部循環させながら、除熱装置によって当該反応液を冷却した。
以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(3)を得た。得られた水溶液(3)(重合体水溶液(3)という)の固形分値は52.4%、有効成分値は40.2%であった。重合体水溶液(3)のブルックフィールド粘度は800mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。当該重合処方と分析結果を表1に、重合体の評価結果を表2に示した。
重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1000mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3450mPa・sであった。
重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、実施例3と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム水溶液(4)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(4)という)の固形分値は56.9%、有効成分値は40.3%であった。重合体水溶液(4)のブルックフィールド粘度は950mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5700、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.18であった。当該重合処方と分析結果を表1に、得られた重合体の評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は890mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2210mPa・sであった。
実施例1と同様に重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(5)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(5)という)の固形分値は46.6%、有効成分値は44.5%であった。重合体水溶液(5)のブルックフィールド粘度は900mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5900、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.30であった。当該重合処方と分析結果を表1に、得られた重合体の評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1800mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4700mPa・sであった。
実施例3と同様に重合条件を表1に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(6)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(6)という)の固形分値は43.3%、有効成分値は41.3%であった。重合体水溶液(6)のブルックフィールド粘度は780mPa・s、重量平均分子量は(Mw)5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.20であった。当該重合処方と分析結果を表1に、得られた重合体の評価結果を表2に示した。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1400mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3800mPa・sであった。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、外部循環冷却装置(外部反応液循環経路及び除熱装置)を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。まずイオン交換水362質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常圧下、外部ジャケットにより水溶液の温度を還流するまで昇温させた。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)925質量部を180分間と、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)49質量部を185分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)を17質量部、20分間と更に続いて70質量部を160分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。15%NaPSの滴下終了後、水溶液が還流した状態を保持したまま30分間熟成した。このときの水溶液の温度は103℃を示した。
その後、外部冷却循環装置を用いて、水溶液の温度を65℃まで冷却し、水溶液の温度が65〜80℃を維持するようにして、48質量%水酸化ナトリウム水溶液600質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に60分かけて滴下して、重合体を中和し(工程N1)、続いて、モノエタノールアミン(以下、「MEA」とも称する)175質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に30分かけて滴下して、重合体を中和した(工程N2)。工程N1と工程N2に要した時間の合計は90分であった。以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(7)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(7)という)の固形分値は52.7%、有効成分値は44.7%であった。重合体水溶液(7)のブルックフィールド粘度は850mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5200、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。重合体水溶液(7)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、5900ppmであった。
また、重合体水溶液(7)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は60であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは140であった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。表3において、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度をイオン濃度合計と記した。
重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕終了1時間後のスラリー粘度は950mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3380mPa・sであった。
重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、実施例5と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(8)を得た。得られた水溶液中(重合体水溶液(8)という)の固形分値は59.0%、有効成分値は44.7%であった。また重合体水溶液(8)のブルックフィールド粘度は990mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5400、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.14であった。重合体水溶液(8)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6100ppmであった。また、重合体水溶液(8)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は70であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは150であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は630mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2090mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、外部循環冷却装置(外部反応液循環経路及び除熱装置)を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。イオン交換水515質量部、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)16質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常温下、外部ジャケットにより水溶液の温度を82℃まで昇温させた。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)900質量部、45%SHPを67質量部、および15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)67質量部をそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより、80%AAおよび45%SHPは150分間に亘って、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して155分間に亘って(すなわち、80%AAの滴下終了5分後まで)滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行った。15%NaPSの滴下終了後、水溶液の還流を保持した状態で30分間熟成した。
その後、外部循環冷却装置を用いて、水溶液の温度を65℃まで冷却し、水溶液の温度が65〜80℃を維持するようにして、48質量%水酸化ナトリウム水溶液583質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に60分かけて滴下して、重合体を中和し(工程N1)、続いて、モノエタノールアミン171質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に30分かけて滴下して、重合体を中和した(工程N2)。工程N1と工程N2に要した時間の合計は90分であった。
以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(9)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(9)という)の固形分値は52.4%、有効成分値は40.2%であった。重合体水溶液(9)のブルックフィールド粘度は800mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。重合体水溶液(9)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6400ppmであった。また重合体水溶液(9)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は60であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは140であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1000mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3450mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、実施例7と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム水溶液(10)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(10)という)の固形分値は56.9%、有効成分値は40.3%であった。重合体水溶液(10)のブルックフィールド粘度は950mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5700、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.18であった。重合体水溶液(10)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6500ppmであった。また重合体水溶液(10)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は75であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは150であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は890mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2210mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、外部循環冷却装置(外部反応液循環経路及び除熱装置)、溶媒留去装置を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。イオン交換水350質量部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」とも称する)200質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常圧下、外部ジャケットにより混合溶液が還流するまで昇温させた(混合溶媒の温度は80℃であった)。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)900質量部、45%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)83質量部、および15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)67質量部をそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより、80%AAおよび45%SHPは150分間に亘って、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して155分間に亘って(すなわち、80%AAの滴下終了5分後まで)滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行った。15%NaPSを滴下終了後、混合溶液の還流を保持した状態で30分間熟成を行った。
熟成終了後、重合釜内のIPAが無くなるまでIPAと水の混合物を80〜103℃の温度で120分かけて留去(工程D)した後、イオン交換水220質量部を重合釜内に投入して水溶液の温度が70℃になるようにした。外部循環冷却装置を用いて、水溶液の温度が70〜85℃を維持するようにして、48質量%水酸化ナトリウム水溶液583質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に60分かけて滴下して、重合体を部分中和(工程N1)した後、続いて、モノエタノールアミン171質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に30分かけて滴下して、重合体を中和(工程N2)した。工程N1と工程N2に要した時間の合計は90分であった。以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(11)を得た。
得られた水溶液(重合体水溶液(11)という)の固形分値は52.5%、有効成分値は40.3%であった。重合体水溶液(11)のブルックフィールド粘度は600mPa・s、重量平均分子量(Mw)は4500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。また、重合体水溶液(11)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6500ppmであった。また、重合体水溶液(11)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は70であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは150であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は900mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3400mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、外部循環冷却装置(外部反応液循環経路及び除熱装置)、溶媒留去装置を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。イオン交換水350質量部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」とも称する)200質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常圧下、外部ジャケットにより混合溶液が還流するまで昇温させた(混合溶媒の温度は80℃であった)。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)900質量部、45%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)83質量部、および15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)67質量部をそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより、80%AAおよび45%SHPは150分間に亘って、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して155分間に亘って(すなわち、80%AAの滴下終了5分後まで)滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行った。15%NaPSを滴下終了後、混合溶液の還流を保持した状態で30分間熟成を行った。
熟成終了後、外部循環冷却装置を用いて、混合溶液の温度が65℃になるまで冷却し、混合溶液の温度が65〜80℃を維持するようにして、48質量%水酸化ナトリウム水溶液583質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に60分かけて滴下して、重合体を部分中和(工程N1)した後、続いて、モノエタノールアミン171質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に30分かけて滴下して、重合体を中和(工程N2)した。工程N1と工程N2に要した時間の合計は90分であった。
次に、重合釜内のIPAが無くなるまでIPAと水の混合物を80〜103℃で120分かけて留去(工程D)した後、イオン交換水220質量部を重合釜内に投入して、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(12)を得た。
得られた水溶液(重合体水溶液(12)という)の固形分値は52.6%、有効成分値は40.4%であった。重合体水溶液(12)のブルックフィールド粘度は620mPa・s、重量平均分子量(Mw)は4600、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。また、重合体水溶液(12)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6400ppmであった。また、重合体水溶液(12)の、有姿での色相(APHA)は90であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは160であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は920mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3450mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
実施例5と同様に重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(13)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(13)という)の固形分値は46.6%、有効成分値は44.5%であった。重合体水溶液(13)のブルックフィールド粘度は900mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5900、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.30であった。また、重合体水溶液(13)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、5800ppmであった。また、重合体水溶液(13)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は60であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは130であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1800mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4700mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
実施例7と同様に重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(14)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(14)という)の固形分値は43.3%、有効成分値は41.3%であった。重合体水溶液(14)のブルックフィールド粘度は680mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.20であった。また、重合体水溶液(14)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6200ppmであった。また、重合体水溶液(14)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は70であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは140であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1700mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4800mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
実施例9と同様に重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(15)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(15)という)の固形分値は43.1%、有効成分値は41.1%であった。重合体水溶液(15)のブルックフィールド粘度は650mPa・s、重量平均分子量(Mw)は4500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.20であった。また、重合体水溶液(15)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、6400ppmであった。また、重合体水溶液(15)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は75であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは160であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1400mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4200mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
実施例5と同様に重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(16)を得た。なお、重合液の熟成時及び中和時(工程N1及び工程N2)には、水溶液が還流した状態を保持し、このときの水溶液の温度は103℃であった。得られた水溶液(重合体水溶液(16)という)の固形分値は53.2%、有効成分値は44.9%であった。重合体水溶液(16)のブルックフィールド粘度は900mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.17であった。また、重合体水溶液(16)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、5500ppmであった。また、重合体水溶液(16)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は80であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは250であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1000mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3500mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
実施例6と同様に重合条件を表3に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(17)を得た。なお、重合液の熟成時及び中和時(工程N1及び工程N2)には、水溶液が還流した状態を保持し、このときの水溶液の温度は103℃であった。得られた水溶液(重合体水溶液(17)という)の固形分値は59.2%、有効成分値は44.9%であった。重合体水溶液(17)のブルックフィールド粘度は1100mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.19であった。また、重合体水溶液(17)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、5600ppmであった。また、重合体水溶液(17)の、製造直後の有姿での色相(APHA)は80であり、室温(25℃)で1ヶ月経過後のAPHAは300であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は800mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2700mPa・sであった。当該重合処方及び重合体の分析結果を表3に、評価結果を表4に示した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、還流冷却装置を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。まずイオン交換水362質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常温下、外部ジャケットにより水溶液の温度を還流するまで昇温させた。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)925質量部を180分間と、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)49質量部を185分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)を17質量部、20分間と更に続いて70質量部を160分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。
その後、48質量%水酸化ナトリウム水溶液600質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和し、続いて、モノエタノールアミン(以下、「MEA」とも称する)175質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和した。以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(18)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(18)という)の固形分値は52.7%、有効成分値は44.7%であった。重合体水溶液(18)のブルックフィールド粘度は850mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5200、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。重合体水溶液(18)中の硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度(主として硫酸イオンと次亜リン酸イオンが検出された)の合計は、5900ppmであった。
評価例に従い、重合体水溶液(18)を使用して本発明の無機粒子スラリー(重質炭酸カルシウムスラリー(18))を得た。重質炭酸カルシウムスラリー(18)の2μm以下の無機粒子の割合は90.1質量%、固形分濃度は77.6質量%であった。
重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕終了1時間後のスラリー粘度は950mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3380mPa・sであった。
重合処方及び重合体の分析結果を表5に、評価結果を表6に示した。
重合条件を表5に記載の方法に変更する以外は、実施例11と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(19)を得た。得られた水溶液中(重合体水溶液(19)という)の固形分値は59.0%、有効成分値は45.4%であった。また重合体水溶液(19)のブルックフィールド粘度は990mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5400、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.14であった。
評価例に従い、重合体水溶液(19)を使用して本発明の無機粒子スラリー(重質炭酸カルシウムスラリー(19))を得た。重質炭酸カルシウムスラリー(19)の2μm以下の無機粒子の割合は90.2質量%、固形分濃度は77.4質量%であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は630mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2090mPa・sであった。
重合処方及び重合体の分析結果を表5に、評価結果を表6に示した。
バッチ型重合釜(SUS製、容積5m3)と、当該重合釜に備えられた温度計、攪拌器(パドル翼)、外部留出物循環経路及び、ジャケット、供給経路(重合用組成物用及び中和剤用)、並びに、外部循環冷却装置(外部反応液循環経路および除熱装置)を有する反応装置を用い、以下に示す重合処方・条件で重合を行った。イオン交換水515質量部、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下、「45%SHP」とも称する)16質量部を仕込んだ。その後、重合釜内の水溶液を撹拌しながら、常温下、外部ジャケットにより水溶液の温度を82℃まで昇温させた。
次に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する)900質量部、45%SHPを67質量部、及び15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する)67質量部をそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより、80%AA及び45%SHPは150分間に亘って、15%NaPSは80%AAと同時に滴下を開始して155分間に亘って(すなわち、80%AAの滴下終了5分後まで)滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行った。
その後、48質量%水酸化ナトリウム水溶液583質量部(AA中和率70%分)をその供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和し、続いて、モノエタノールアミン171質量部(AA中和率28%分)を別の供給経路を通じて先端ノズルより重合釜内に滴下して、重合体を中和した。なお、重合体を中和する間、常に反応液を外部循環させながら、除熱装置によって当該反応液を冷却した。
以上のようにして、ポリアクリル酸ナトリウム・モノエタノールアミン塩水溶液(20)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(20)という)の固形分値は52.4%、有効成分値は40.2%であった。重合体水溶液(20)のブルックフィールド粘度は800mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.15であった。
評価例に従い、重合体水溶液(20)を使用して本発明の無機粒子スラリー(重質炭酸カルシウムスラリー(20))を得た。重質炭酸カルシウムスラリー(20)の2μm以下の無機粒子の割合は90.3質量%、固形分濃度は77.5質量%であった。
重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1000mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3450mPa・sであった。
重合処方及び重合体の分析結果を表5に、評価結果を表6に示した。
重合条件を表5に記載の方法に変更する以外は、実施例13と同様にしてポリアクリル酸ナトリウム水溶液(21)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(21)という)の固形分値は56.9%、有効成分値は40.3%であった。重合体水溶液(21)のブルックフィールド粘度は950mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5700、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.18であった。
評価例に従い、重合体水溶液(21)を使用して本発明の無機粒子スラリー(重質炭酸カルシウムスラリー(21))を得た。重質炭酸カルシウムスラリー(21)の2μm以下の無機粒子の割合は90.5質量%、固形分濃度は77.7質量%であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は890mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は2210mPa・sであった。
当該重合処方及び重合体の分析結果を表5に、評価結果を表6に示した。
実施例11と同様に重合条件を表5に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(22)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(22)という)の固形分値は46.6%、有効成分値は44.5%であった。重合体水溶液(22)のブルックフィールド粘度は900mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5900、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.30であった。
評価例に従い、重合体水溶液(22)を使用して本発明の無機粒子スラリー(重質炭酸カルシウムスラリー(22))を得た。重質炭酸カルシウムスラリー(22)の2μm以下の無機粒子の割合は90.2質量%、固形分濃度は77.3質量%であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1800mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は4700mPa・sであった。
当該重合処方及び重合体の分析結果を表5に、評価結果を表6に示した。
実施例13と同様に重合条件を表5に記載の方法に変更する以外は、同様の方法でポリアクリル酸ナトリウム水溶液(23)を得た。得られた水溶液(重合体水溶液(23)という)の固形分値は43.3%、有効成分値は41.3%であった。重合体水溶液(23)のブルックフィールド粘度は780mPa・s、重量平均分子量(Mw)は5500、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.20であった。
評価例に従い、重合体水溶液(23)を使用して本発明の無機粒子スラリー(重質炭酸カルシウムスラリー(23))を得た。重質炭酸カルシウムスラリー(23)の2μm以下の無機粒子の割合は90.1質量%、固形分濃度は77.6質量%であった。
実施例1と同様に、重質炭酸カルシウムのスラリー粘度を上述の方法で評価したところ、粉砕直後のスラリー粘度は1400mPa・sで、1週間後のスラリー粘度は3800mPa・sであった。
当該重合処方及び重合体の分析結果を表5に、評価結果を表6に示した。
表5において「構造のモル比」とは、「ポリ(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比((メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造/有機アミン(塩)に由来する構造)」を表す。表5において、重合体水溶液に含まれる硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度をイオン濃度合計と記した。
また、表6において「構造のモル比」とは、「無機粒子スラリーに含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造と有機アミン(塩)に由来する構造とのモル比((メタ)アクリル酸(塩)に由来する構造/有機アミン(塩)に由来する構造)」を表す。表6において、無機粒子スラリーに含まれる硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度をイオン濃度合計と記した。
Claims (15)
- ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を含む無機粒子分散剤を製造する方法であって、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、過硫酸塩をポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して0.1g以上、1.9g以下用い、次亜リン酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩の少なくとも1種を、その使用量の合計がポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して、1.0g以上、5.0g以下となるように使用して製造されたものであり、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体に含まれる全単量体由来の構造100質量%に対して、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造を酸型換算で80質量%以上含み、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、
該水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)がラジカル重合することにより形成される構造であって、−CH2CR(COOM)−(Rは、水素原子又はメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。)、で表される構造のモル数と、水溶液に添加された有機アミン(塩)が反応して形成された構造のモル数及び未反応のままで存在する有機アミン(塩)のモル数の合計とのモル比が100:10〜100:75であり、
該水溶液に含まれる、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、該水溶液に対して1000〜10000ppmであることを特徴とする無機粒子分散剤の製造方法。 - 前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液は、(i)酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液をアルカリ金属塩で中和する工程と、(ii)酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を有機アミンで中和する工程とを必須として製造されることを特徴とする請求項1に記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- 前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液は、APHAが200以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- 前記酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液をアルカリ金属塩で中和する工程は、40〜100℃で行われることを特徴とする請求項2に記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- 前記酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を有機アミンで中和する工程は、40〜100℃で行われることを特徴とする請求項2又は4に記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- 前記無機の陰イオンは、硫酸イオンと次亜リン酸イオンとを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- 前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液は、固形分濃度を35〜70質量%に調整したときのpHが4.0〜9.0であることを特徴とする請求項2、4〜6のいずれかに記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- 請求項1に記載のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を製造する方法であって、該製造方法は、過硫酸塩をポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して0.1g以上、1.9g以下使用し、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩を、その使用量の合計がポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して、1.0g以上、5.0g以下となるように使用してポリ(メタ)アクリル酸系重合体を製造する工程と、酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を、有機アミンで中和する工程を含むことを特徴とするポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法。
- 請求項2に記載のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を製造する方法であって、該製造方法は、過硫酸塩をポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して0.1g以上、1.9g以下使用し、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸塩を、その使用量の合計がポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して、1.0g以上、5.0g以下となるように使用してポリ(メタ)アクリル酸系重合体を製造する工程と、(i)酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液をアルカリ金属塩で中和する工程と、(ii)酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を有機アミンで中和する工程とを必須として含むことを特徴とするポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法。
- 前記酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を有機アミンで中和する工程は、40〜100℃で行われることを特徴とする請求項9に記載のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法。
- 前記酸型及び/又は部分中和型のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液をアルカリ金属塩で中和する工程は、40〜100℃で行われることを特徴とする請求項9に記載のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法。
- 前記製造方法は、溶媒として水のみを使用した溶液重合によりポリ(メタ)アクリル酸系重合体を製造する工程を含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法。
- 前記無機粒子分散剤は、顔料分散剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無機粒子分散剤の製造方法。
- ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む無機粒子スラリーを製造する方法であって、
該製造方法は、無機粒子に、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を添加して無機粒子を粉砕する工程を含み、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、過硫酸塩をポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して0.1g以上、1.9g以下用い、次亜リン酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩の少なくとも1種を、その使用量の合計がポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して、1.0g以上、5.0g以下となるように使用して製造されたものであり、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体に含まれる全単量体由来の構造100質量%に対して、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造を酸型換算で90質量%以上含み、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、
該無機粒子スラリーに含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)がラジカル重合することにより形成される構造であって、−CH2CR(COOM)−(Rは、水素原子又はメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。)、で表される構造のモル数と、水溶液に添加された有機アミン(塩)が反応して形成された構造のモル数及び未反応のままで存在する有機アミン(塩)のモル数の合計とのモル比が100:10〜100:75であり、
該無機粒子スラリーに含まれる、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、該無機粒子スラリーに対して100〜400ppmであり、
該無機粒子スラリーに含まれる無機粒子は、全無機粒子100質量%に対して、粒径が2μm以下の粒子が90〜100質量%含まれ、
該無機粒子スラリーの固形分濃度が75質量%以上であることを特徴とする無機粒子スラリーの製造方法。 - 無機粒子に、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含む水溶液を添加して無機粒子を粉砕する工程を含む無機粒子スラリーを製造する方法であって、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、過硫酸塩をポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して0.1g以上、1.9g以下用い、次亜リン酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩の少なくとも1種を、その使用量の合計がポリ(メタ)アクリル酸系重合体の製造に用いる全単量体1モルに対して、1.0g以上、5.0g以下となるように使用して製造されたものであり、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体に含まれる全単量体由来の構造100質量%に対して、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造を酸型換算で90質量%以上含み、
該ポリ(メタ)アクリル酸系重合体のカルボキシル基の少なくとも一部は有機アミンで中和されており、
該水溶液に含まれる、(メタ)アクリル酸(塩)がラジカル重合することにより形成される構造であって、−CH2CR(COOM)−(Rは、水素原子又はメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム塩、有機アミン塩を表す。)、で表される構造のモル数と、水溶液に添加された有機アミン(塩)が反応して形成された構造のモル数及び未反応のままで存在する有機アミン(塩)のモル数の合計とのモル比が100:10〜100:75であり、
該水溶液に含まれる、硫黄原子又はリン原子を含む無機の陰イオンの濃度が、該水溶液に対して1000〜10000ppmであることを特徴とする無機粒子スラリーの製造方法。
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