JP5870423B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを用い、鋼材などの金属基材の表面へ硬質皮膜を高速で形成するための成膜装置および成膜方法に関するものである。
歯車と歯車、ベアリングとシャフト、ピストンとシリンダーなどのように相対運動が行われる摺動部位においては、摩擦に起因する動力損失や摩耗が発生する。そこでこれらの摺動部位にプラズマを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて低摩擦、硬質のダイヤモンドライクカーボンなどを成膜し、低摩擦駆動による省エネルギー化と低摩耗による長寿命化を図る技術が知られている。
一般に上記のような摺動部位は鋼材などの金属基材であり、特に低温焼戻し鋼材が広く用いられている。金属基材の表面に成膜を行う場合、プラズマにより金属基材が加熱されて金属基材の焼き戻し温度以上に加熱される場合がある。
自動車やミシン等の摺動部品に多用されている低温焼戻し鋼等の鋼材は、熱処理により焼き鈍りが進行して硬度が低下することが知られている。そこで特許文献1に示されるように、赤外線放射温度計により成膜中の金属基材の温度を測定しながら、焼き鈍りが発生しないように供給電力をフィードバック制御する方法が提案されている。このフィードバック制御により、鋼材の温度が焼戻し温度を超えないので、硬度低下が低減される。
特開平5−125548号公報
金属基材の硬度低下を起こさないように成膜するには、従来のフィードバック制御では、焼戻し温度を超えないように成膜装置への供給電力を抑制する必要があり、その結果として成膜時間が長くなるという問題があった。
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、成膜時間の短縮が可能であり、金属基材の硬度低下を低減しながら、その表面に硬質皮膜を成膜することができる成膜装置および成膜方法を提供することである。
本発明者は上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、成膜工程における金属基材の温度が、金属基材の焼戻し温度を超えても短時間であれば硬度低下が低減できることを究明した。特に、温度変化が含まれる成膜工程において、成膜工程における温度履歴を焼き戻しパラメータに変換することにより金属基材の硬度低下を低減し、短時間で成膜が可能な成膜装置、成膜方法を究明した。
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、
原料ガスと不活性ガスとを供給可能なガス供給部と、
金属基材へ前記ガス供給部により供給されたガスにより表面処理を行うためのプラズマが発生されるプラズマ発生部と、
前記プラズマ発生部へ印加電力を供給する印加電力供給部と、
前記印加電力供給部により供給される印加電力を制御する印加電力制御部と、
前記金属基材の温度を計測する温度計測部と、
前記温度計測部により計測された温度と、前記温度が計測された成膜処理経過時間とを関連付けて記憶する温度履歴記憶部と、
成膜終了までの残り時間を取得する残時間取得部と、
前記温度履歴記憶部に記憶された温度と成膜処理経過時間とから、成膜終了時までの温度過程を算出する第1算出部と、
前記第1算出部により算出された温度過程と、前記残時間取得部により取得された残り時間とから成膜終了時の焼戻しパラメータを算出する第2算出部と、
前記第2算出部により算出された成膜終了時の焼戻しパラメータと、所定の設定焼戻しパラメータとを比較する比較部と、
前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも大きいと比較された場合、成膜終了時の焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータよりも小さくなる成膜条件を設定する設定部とを備え、
前記印加電力制御部は、前記設定部により設定された成膜条件で前記成膜終了時まで印加電力を制御することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、
前記設定部は、前記プラズマ発生部において発生されるプラズマによる前記金属基材の温度上昇レートを低減する成膜条件として、前記印加電力、前記原料ガス、または前記不活性ガスの流量が変更される前記成膜条件を設定することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、
前記設定部は、前記成膜終了時の焼戻しパラメータよりも小さくなる複数の成膜条件のうち、前記残時間取得部により取得される成膜終了までの残り時間が最も短くなる成膜条件を設定することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、
前記印加電力、または前記ガスの流量と関連付けられ、前記金属基材の温度上昇レートが変更される前記成膜条件としての成膜レベルを複数記憶し、かつ、前記設定部により設定された成膜レベルを記憶する成膜レベル記憶部を備え、
前記設定部は、前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも大きいと比較された場合、前記設定部により設定された成膜レベルにおける金属基材の温度上昇レートよりも低い金属基材の温度上昇レートの成膜レベルを前記成膜条件として設定することを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、
前記設定部は、前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも小さいと比較された場合、前記成膜終了時の焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータよりも小さく、かつ前記第2算出部により算出された成膜終了時の焼戻しパラメータよりも大きくなる成膜条件を設定することを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、
前記印加電力、または前記ガス供給部により供給される原料ガス、または不活性ガスの流量と関連付けられ、前記プラズマ発生部において発生されるプラズマによる前記金属基材の温度上昇レートが変更される成膜レベルを複数記憶する成膜レベル記憶部を備え、
前記設定部は、前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも小さいと比較された場合、前記金属基材の温度上昇レートを増大する成膜レベルを前記成膜条件として設定し、
前記成膜レベル記憶部は、前記設定部により設定された成膜レベルを記憶し、
前記設定部は、前記設定部により設定された成膜レベルにおける金属基材の温度上昇レートよりも大きい金属基材の温度上昇レートの成膜レベルを前記成膜条件として設定することを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項4または6の発明において、
前記成膜レベル記憶部は、前記印加電力と前記印加電力に従い前記プラズマ発生部においてプラズマ発生した場合の温度上昇レートと成膜レートとが関連付けられた前記成膜レベルを記憶し、
前記設定部は、前記成膜終了時間までの残り時間と前記温度上昇レートとから、前記設定部により設定された成膜レベル以外の少なくとも1つの成膜レベルにおいて、成膜終了時の焼戻しパラメータを算出し、算出された前記焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータ以下であれば、前記少なくとも1つの成膜レベルのうちの1つの成膜レベルを設定することを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、
前記設定部は、前記設定部により設定された成膜レベル以外の複数の成膜レベルにおいて、成膜終了時の焼戻しパラメータを算出し、算出された焼戻しパラメータのうち、設定焼戻しパラメータ以下の範囲において最も前記設定焼戻しパラメータに近い焼戻しパラメータに対応する成膜レベルを設定することを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項1〜8の何れかの発明において、
前記印加電力制御部は、パルス電圧コントローラ、およびマイクロ波パルスコントローラを備え、
前記プラズマ発生部において発生されるプラズマは、前記パルス電圧コントローラにより、パルス電圧が前記金属基材へ印加され、前記マイクロ波パルスコントローラにより、マイクロ波パルスが前記処理容器内に供給されることにより発生され、
前記設定部は、前記パルス電圧コントローラにより印加されるパルス電圧のデューティ比、パルス電圧のピーク値、または前記マイクロ波パルスコントローラにより供給されるマイクロ波の印加ピーク電力あるいはマイクロ波をパルス状で印加するときのデューティ比の少なくとも何れか1つを変更して前記成膜条件を設定することを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項7の発明において、
前記プラズマ発生部は、前記パルス電圧を金属基材へ印加するパルス電圧印加部と、マイクロ波導入口を金属基材に近接して配置することにより、金属基材に表面波励起プラズマを生成することを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項1〜10の何れかの発明において、
前記第1算出部は、前記成膜終了時間までの温度過程として、前記金属基材が室温に降温するまでの温度過程を算出することを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項1〜11の何れかの発明において、前記ガス供給部は、前記原料ガスを供給する前に前記不活性ガスを前記処理容器内へ供給し、
前記印加電力制御部は、前記ガス供給部により前記不活性ガスが供給され、かつ前記原料ガスが供給される前に電力を供給して前記プラズマ発生部に前記プラズマを発生させ、
前記第1算出部は、前記電力の供給開始から前記成膜終了時までの温度過程を算出することを特徴とするものである。
請求項13の発明は、請求項1〜12の何れかの発明において、
前記第1算出部は、前記温度計測部により計測された前回の温度と今回の温度との差分が第1の範囲であれば第1の算出間隔で前記温度過程を算出し、
前記差分が第1の範囲よりも大きい第2の範囲であれば、第1の算出間隔よりも短い第2の算出間隔で前記温度過程を算出することを特徴とするものである。
請求項14の発明は、
原料ガスと不活性ガスとを供給可能なガス供給部とプラズマ発生部とを備えた処理容器内で、金属基材の表面に成膜する方法であって、
成膜中の前記金属基材の温度を計測し、
計測された温度から成膜終了までの残り時間と、成膜終了時までの温度過程を算出し、
算出された残り時間と、算出された温度過程とから成膜終了時の焼戻しパラメータを算出して所定の設定焼戻しパラメータと比較し、
前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも大きいと比較された場合、前記成膜終了時の焼戻しパラメータよりも小さくなる成膜条件を設定し、
設定された成膜条件で成膜を行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、金属基材の硬度低下を生じない焼戻しパラメータを予め算出して設定しておき、成膜工程中の金属基材の温度を計測しながらリアルタイムで焼戻しパラメータを推算し、設定された焼戻しパラメータを超えないように成膜条件を変更しつつ成膜を行う。これにより金属基材の硬度低下を防止しながら、金属基材の焼戻し温度以上においても硬質皮膜を高速成膜することが可能となった。
請求項1、および14記載の発明によれば、設定焼戻しパラメータよりも成膜終了時の焼戻しパラメータが小さくなる成膜条件で成膜が実行される。この結果、焼戻し温度を超える温度領域で成膜が実行されても、金属基材の硬度低下を低減しながら、より短時間で金属基材の表面に硬質皮膜を成膜することができる。
請求項2記載の発明によれば、発生されたプラズマによって加熱されてしまう金属基材の温度上昇レートを低減することができる。その結果、焼戻しパラメータを小さく出来る。従って、硬度低下が低減する設定焼戻しパラメータ以下で成膜することができる。この結果、焼戻し温度を超える温度領域で成膜が実行されても、成膜時間の短縮が可能であり、金属基材の硬度低下を低減しながら、金属基材の表面に硬質皮膜を成膜することができる。
また請求項2記載の発明によれば、水冷する機構を設けるなどの構成を必要とせず、容易に印加電力またはガス流量の変更で所望のプラズマを生成しながら温度上昇レートを抑えることができる。
請求項3記載の発明によれば、成膜終了時の焼戻しパラメータが成膜終了時の焼戻しパラメータよりも小さくなる複数の成膜条件のうち、残時間取得部により取得される成膜終了までの残り時間が最も短くなる成膜条件が設定される。この結果、成膜時間がより短縮される。
請求項4記載の発明によれば、成膜レベルが予め複数定められ、それを切り替えることで、高速成膜時の急速な温度上昇に対応できる最適な成膜条件を、その都度、成膜条件を個別に手動で入力するよりも、すばやく設定することができる。この結果、容易に所望のプラズマを生成しながら温度上昇レートを抑えることができる。
請求項5記載の発明によれば、成膜終了時の焼戻しパラメータが、設定焼戻しパラメータよりも小さいと比較された場合、成膜終了時の焼戻しパラメータが設定焼戻しパラメータよりも小さく、第2算出部により算出された成膜終了時の焼戻しパラメータよりも大きくなる成膜条件が設定される。この結果、成膜時間を短縮することができる。
請求項6記載の発明によれば、成膜レベルが予め複数定められ、それを切り替えることで、高速成膜時の急速な温度上昇に対応できる最適な成膜条件を、その都度、成膜条件を手動で入力するよりも、すばやく設定することができる。この結果、容易に所望のプラズマを生成しながら温度上昇レートを抑えつつ、成膜時間を短縮することができる。
請求項7記載の発明によれば、成膜レベル記憶部は、印加電力と印加電力に従いプラズマ発生部においてプラズマが発生された場合の温度上昇レートと成膜レートとが関連付けられる。設定部は、成膜終了時間までの残り時間と温度上昇レートとから、設定部により設定された成膜レベル以外の少なくとも1つの成膜レベルにおいて、成膜終了時の焼戻しパラメータを算出し、算出された焼戻しパラメータが設定焼戻しパラメータ以下であれば、少なくとも1つの成膜レベルのうちの1つの成膜レベルを設定する。これにより、成膜終了時の焼戻しパラメータがより正確に算出される。従って、より確実に金属基材の硬度低下を低減しながら、金属基材の表面に硬質皮膜を成膜することができる。
請求項8記載の発明によれば、設定部により設定された成膜レベル以外の複数の成膜レベルにおいて、成膜終了時の焼戻しパラメータが算出される。算出された焼戻しパラメータのうち、設定焼戻しパラメータ以下の範囲において最も設定焼戻しパラメータに近い焼戻しパラメータに対応する成膜レベルが成膜条件として設定される。この結果、成膜時間をより短縮することができる。
請求項9記載の発明によれば、プラズマ発生部において発生されるプラズマは、パルス電圧コントローラにより、パルス電圧が金属基材へ印加され、マイクロ波パルスコントローラにより、マイクロ波パルスが処理容器内に供給されることにより発生される。設定部は、パルス電圧コントローラにより印加されるパルス電圧のデューティ比、パルス電圧のピーク値、またはマイクロ波パルスコントローラにより供給されるマイクロ波の印加ピーク電力あるいはマイクロ波をパルス状で印加するときのデューティ比の少なくとも何れか1つが変更されて成膜条件が設定される。すなわち、プラズマ発生部において発生されるプラズマの電子密度が増大するので、成膜レートが増大する。この結果、成膜時間をより短縮することができる。
請求項10記載の発明によれば、プラズマ発生部において表面波励起プラズマが発生される。表面波励起プラズマの電子密度が1011〜1012cm−3という、他のプラズマ発生方法よりも高い値を示すので、より成膜時間をより短縮することができる。
請求項11記載の発明によれば、成膜終了時間までの温度過程として、金属基材が室温に降温するまでの温度過程を算出する。これにより、より正確な焼戻しパラメータが算出されるので、より確実に金属基材の硬度低下を低減しながら、金属基材の表面に硬質皮膜を成膜することができる。
請求項12記載の発明によれば、ガス供給部は、原料ガスを供給する前に不活性ガスを処理容器内へ供給し、印加電力制御部は、ガス供給部により不活性ガスが供給され、かつ原料ガスが供給される前に電力を供給してプラズマ発生部にプラズマが発生する。すわなちイオンクリーニング工程が実行される。第1算出部は、電力の供給開始から成膜終了時までの温度過程を算出する、すなわちイオンクリーニング工程を含めた焼戻しパラメータが算出される。この結果、より確実に金属基材の硬度低下を低減しながら、金属基材の表面に硬質皮膜を成膜することができる。
請求項13記載の発明によれば、第1算出部は、温度計測部により計測された前回の温度と今回の温度との差分が第1の範囲であれば第1の算出間隔で前記温度過程を算出し、差分が第1の範囲よりも大きい第2の範囲であれば、第1の算出間隔よりも短い第2の算出間隔で前記温度過程を算出する。温度差分に応じて温度計測の間隔が制御されるので、より確実に金属基材の硬度低下を低減しながら、金属基材の表面に硬質皮膜を成膜することができる。
成膜装置の実施形態を示す説明図である。 成膜装置の構成を示すブロック図である。 焼戻しパラメータを説明するグラフである。 焼戻しパラメータを説明するグラフである。 焼戻しパラメータの算出方法を説明するグラフである。 制御手順を示すフローチャートである。 制御手順を示すフローチャートである。 実施例における成膜レベルの変更を示すグラフである。 実施例の金属基材の焼戻しパラメータと硬度との関係を示すグラフである。 高速成膜を行った場合と、従来のDC電圧を印加し、焼戻し温度以下で成膜を行った場合と、成膜を行わない場合との、硬度の比較した実験結果である。
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は成膜装置100の実施形態を示す説明図であり、図2は、成膜装置100のブロック図である。成膜装置100は、処理容器1、真空ポンプ2、ガス供給部4、プラズマ発生部5、温度計測部8、パラメータ計算部10を備える。処理容器1は気密構造の処理容器である。真空ポンプ2は、この処理容器1の内部を真空排気するポンプである。処理容器1の内部には成膜対象である金属基材Mが治具3により保持されている。金属基材Mの材質は特に限定されるものではないが、この実施形態では低温焼戻し鋼である。ここで低温焼戻し鋼とは、JIS G4051(機械構造用炭素鋼鋼材)、G4401(炭素工具鋼鋼材)、G44−4(合金工具用鋼材)、マルエージング鋼材などの材料である。これらの材料は、軟化が焼戻しパラメータで算出できる金属材料である。
ガス供給部4は、処理容器1の内部に成膜用の原料ガスと不活性ガスとを供給する。具体的には、Ar、Hなどの不活性ガスとCH、C、TMS(テトラメチルシラン)などの原料ガスが供給される。本実施形態では、CH、C、TMSの原料ガスによりダイヤモンドライクカーボン成膜を行うとして説明するが、SiH4、O2、TEOS(Tetraethoxysilane)、O3などの他の原料ガスによりSiO2成膜が行われても良い。また、ガス供給部4は、後述するCPU20により原料ガス、および不活性ガスの流量、および圧力が制御されても良いし、作業者により、原料ガス、および不活性ガスの流量、および圧力が制御されても良い。
プラズマ発生部5において、処理容器1の内部に保持された金属基材Mに対して表面処理を行うためのプラズマが発生される。すなわち、プラズマ発生部5は、処理容器1の内部に保持された金属基材M近傍である。プラズマ発生部5により発生されるプラズマは、マイクロ波電源6、マイクロ波パルスコントローラ61、負電圧電源7、および負電圧パルスコントローラ71により発生される。本実施形態では、特許番号4152135号に開示されたMVP(Microwave Voltage-coupled Plasma)法により表面波励起プラズマが発生されるとして説明する。以降の記載では、MVP法を説明する。マイクロ波電源6は、パラメータ計算部10の指示に従い、マイクロ波パルスコントローラ61に電力を供給する。マイクロ波パルスコントローラ61は、パラメータ計算部10の指示に従い、デューティ比を制御し、マイクロ波電源6から供給された電力により、2.45GHzマイクロ波パルスを発生する。発生されたマイクロ波パルスは石英などのマイクロ波を透過する誘電体等から成るマイクロ波導入口62を経由し、処理容器1の内部に供給される。マイクロ波導入口62は金属基材Mに近接して配置される。負電圧電源7は、後述するパラメータ計算部10の指示に従い、負電圧パルスコントローラ71に負電圧を供給する。負電圧パルスコントローラ71は、後述するパラメータ計算部10からの指示に従い、デューティ比を制御し、負電圧電源7から供給された負電圧により、負電圧パルスを発生する。発生された負電圧パルスは、処理容器1の内部に保持された金属基材Mに供給される。発生されたマイクロ波パルス、および負電圧パルスの少なくとも一部が同一時間に印加されるように制御されることにより表面波プラズマが発生される。表面波プラズマ発生のための印加電力の制御については、後に詳述する。マイクロ波は2.45GHzに限らず、0.3GHz〜50GHzの周波数であればよい。マイクロ波電源6、および負電圧電源7が、本発明の印加電力供給部の一例である。マイクロ波パルスコントローラ61、および負電圧パルスコントローラ71が、本発明の印加電力制御部の一例である。負電圧パルスコントローラ71が、本発明のパルス電圧コントローラの一例である。尚、成膜装置100は負電圧電源7、および負電圧パルスコントローラ71を備えたが、正電圧電源、および正電圧パルスコントローラを備えても良い。
通常、表面波励起プラズマが発生する場合、ある程度以上の電子(イオン)密度におけるプラズマと、これに接する誘電体との界面に沿ってマイクロ波が供給される。供給されたマイクロ波は、この界面に電磁波のエネルギーが集中した状態で表面波として伝播される。その結果、界面に接するプラズマは高エネルギー密度の表面波によって励起され、さらに増幅される。これにより高密度プラズマが生成されて維持される。ただし、この誘電体を金属基材に換えたとしても、金属基材には概して導電性があるため、好ましい表面波の伝播及びプラズマ励起を生ずることはできない。
一方、プラズマに接する物体の表面近傍には、本質的に単一極性の荷電粒子層、いわゆるシースが形成される。物体が、負バイアス電圧を加えた金属基材の場合、シースとは電子密度が低い層、すなわち、正極性であって、マイクロ波の周波数帯においてはほぼ誘電率ε≒1の層である。このため、印加する負バイアス電圧を例えば−100Vより大きくすることによりシースの厚さを大きくでき、このシースが、プラズマとプラズマに接する物体との界面に表面波を伝播する誘電体として作用する。従って、マイクロ波導入口が金属基材に近接して配置され、負バイアス電圧を印加した金属基材に向けてマイクロ波が供給されることにより、マイクロ波はシースとプラズマとの界面に沿って表面波として伝搬する。この結果、金属基材の表面に沿って表面波に基づく高密度励起プラズマを発生する。この高密度励起プラズマが、上述した表面波励起プラズマである。
このような金属基材表面の近傍での表面波励起による高密度プラズマの電子密度は1011〜1012cm―3に達し、このMVP法を用いたプラズマCVDでは通常のプラズマCVDよりもダイヤモンドライクカーボンの成膜を行う場合は1桁から2桁高い成膜速度10〜100μm/hrが得られるので高速成膜が可能である。このMVP法では、金属基材の表面近傍に高密度プラズマを発生させるので、金属基材の温度が上昇し易い。ただし、高速成膜が可能であるので、成膜時間は通常のプラズマCVDの1/10〜1/100となる。すなわち、成膜時間を数十秒〜数分に短縮できるので、後述するように焼戻しパラメータを小さくすることができる。従って、成膜終了後の焼戻しパラメータを算出し、それが基材の軟化が始まる値以下に保たれるよう成膜条件を制御することにより、金属基材の温度が焼戻し温度を超えても金属基材の軟化を抑制することができる。このような成膜時間が短い高速成膜において、焼戻しパラメータを用いた制御が特に有効となる。
温度計測部8は、処理容器1の内部に保持された金属基材Mの温度を計測する。本実施形態では温度計測部8として、放射温度計が用いられており、処理容器1の壁面に形成された石英窓9を介して金属素材Mの温度を連続的に計測する。なお温度計測部8は、放射温度計に限らず熱電対など金属基材の温度を測定できる温度計であればよい。計測された温度は後述するパラメータ計算部10に入力される。パラメータ計算部10は、図示しないタイマを内蔵しており、温度計測部8により計測された温度と、その温度が計測された時間とに基づいて成膜条件を設定する。パラメータ計算部10は、設定された成膜条件を基に、印加電力供給部であるマイクロ波電源6、および負電圧電源7と、印加電力制御部であるマイクロ波パルスコントローラ61、および負電圧パルスコントローラ71とに制御信号を出力して印加電力を制御するとともに、ガス供給部4に流量制御命令を出力して原料ガスや不活性ガスの供給を制御する。
パラメータ計算部10は、CPU20と記憶部21を備える。CPU20は、後述する制御ステップにおいて、第1算出部、第2算出部、比較部、設定部、残時間取得部として機能する。記憶部21は、温度履歴記憶領域、温度予測テーブル記憶領域、および成膜条件テーブル記憶領域を備える。温度履歴記憶領域には、成膜工程において、温度計測部8により計測された温度が、計測された成膜処理経過時間と関連付けられて記憶される。記憶部21の温度履歴記憶領域が、本発明の温度履歴記憶部の一例である。
温度予測テーブル記憶領域には、温度履歴記憶領域に記憶された温度から成膜終了時の温度が記憶された温度予測テーブルが記憶される。この温度予測テーブルは、温度履歴記憶領域に記憶された温度から、2次関数、3次関数などのn次関数、対数関数、または指数関数を用いた近似曲線、PID法などにより成膜終了時の温度が計算されて作成される。
成膜条件テーブル記憶領域には、表1に示す膜仕様テーブル、表2に示すイオンクリーニング条件テーブル、表3に示す直前バッチデータテーブル、表4−1に示す制御間隔テーブル1、および表4−2に示す制御間隔テーブル2が記憶される。
膜仕様テーブルは、ワーク条件ごとに素材種類、設定膜厚(TH')[μm]、設定焼戻しパラメータ(P')、および設定焼戻しパラメータ狙い範囲(ΔP)が記憶される。素材種類は、金属基材Mの材質の種類である。設定膜厚(TH')は、金属基材Mに成膜されるダイヤモンドライクカーボンの膜厚である。設定焼戻しパラメータ(P')は、金属基材Mの材質により定まり、硬度低下が発生する焼戻しパラメータ(P)の上限値である。設定焼戻しパラメータ狙い範囲(ΔP')は、成膜工程における制御パラメータであり、詳細は後述する。
イオンクリーニング条件テーブルは、後述するイオンクリーニング工程で制御されるパラメータが記憶されたテーブルである。イオンクリーニング工程は、原料ガスが供給される前に、金属基材Mの表面をクリーニングすることにより、金属基材Mと硬質皮膜とをより強く接着するために行われる。イオンクリーニング工程は、DCバイアス電圧[V]、MW(Microwave)電力[W]、デューティ比[%]、ガス流量、終了基準、アーク頻度、イオンクリーニング時間(tic)[sec]、およびイオンクリーニング制御間隔(τc)[sec]が記憶される。DCバイアス電圧は、負電圧電源7から供給される電圧の値の絶対値を示す。実際に印加される電圧の値は負の値である。MW電力は、マイクロ波導入口62を通して印加されるマイクロ波の電力を示す。デューティ比は、負電圧パルス、およびマイクロ波パルスのデューティ比を示す。ガス流量は、不活性ガスであるArとHとのガス流量の比率を示す。終了基準は、イオンクリーニング工程の終了を示す基準であり、アーク頻度、またはイオンクリーニング時間である。アーク頻度は、アークされない状態が3秒間継続されることである。イオンクリーニング時間は、イオンクリーニング工程の最大クリーニング時間である。イオンクリーニング制御間隔は、イオンクリーニング時間内の制御間隔である。尚、デューティ比は、負電圧パルス、およびマイクロ波パルスのデューティ比は等しくても、一方を他方の50%等と異ならせても良い。
直前バッチデータテーブルは、成膜レベルごとに、DCバイアス電圧、バイアスデューティ比、成膜レート(THr)[μm/h]、マイクロ波電力[kW]、マイクロ波デューティ比、温度上昇レート(Tr)[K]、およびガス流量が記憶される。これらの値は、過去の成膜工程の成膜履歴から値が更新される。例えば、同一成膜条件(DCバイアス電圧、バイアスデューティ比、マイクロ波電力[kW]、マイクロ波デューティ比、およびガス流量)における過去直近の3回の平均値として成膜レート(THr)[μm/h]、温度上昇レート(Tr)[K]の値が更新される。DCバイアス電圧は、負電圧の値でありピーク値を示す。バイアスデューティ比は、負電圧パルスのデューティ比である。成膜レートは、1時間あたりに成膜される膜厚を示す。マイクロ波電力は、マイクロ波が印加されるときのピーク電力を示す。マイクロ波デューティ比は、マイクロ波パルスのデューティ比を示す。温度上昇レートは、負電圧パルス、およびマイクロ波パルスを印加した時の、金属基材Mの温度上昇を示す係数である。ガス流量は、Ar、CH、C、TMS(テトラメチルシラン)のガス流量を示す。この成膜レベルは、DCバイアス電圧、バイアスデューティ比、マイクロ波電力[kW]、マイクロ波デューティ比と関連付けられるので、プラズマ発生部5において発生されるプラズマを生成するための印加電力と関連付けられることになる。
制御間隔テーブルは、成膜予定時間(t´)から制御時間間隔(τ)が算出される制御間隔テーブル1と、温度差分から制御時間間隔(τ)が算出される制御間隔テーブル2とからなる。
[焼戻しパラメータについて]
ここで、本発明で用いる焼戻しパラメータについて説明する。熱処理条件と硬度低下との関係は焼戻しパラメータ(ラーソンミラーパラメータ)と呼ばれる数値を用いて正確に推測されることが知られている。この焼戻しパラメータPは、P=T(log10t+20)として定義される値であり、Tは温度(K)、tは熱処理時間(hr)である。さらに、同種の鋼材へ同一の熱処理を施した場合、熱処理を施された鋼材の硬度は、いかなる温度と熱処理時間の組み合わせであっても同じ硬度低下曲線を辿ることも知られている。焼戻しパラメータと硬度との関係を示す硬度低下曲線では、焼き戻しパラメータがある値までは硬度は一定のままであり、ある値を越えると、焼き戻しパラメータが増加するほど硬度が低下するという関係となる。この関係において、熱処理時間tを小さくできるほど温度Tの値が大きくなっても同じ焼戻しパラメータPの値を得ることができ、硬度低下が生じない。すなわち、熱処理時間tを数分以下にできると、高密度プラズマを用いたダイヤモンドライクカーボン成膜時の金属基材の上昇温度が焼戻し温度を超えても、焼戻しパラメータPの値を硬度低下が生じない値に保持することができる。ただし、焼戻しパラメータは、鋼材の焼戻し処理のような恒温処理を前提としており、成膜プロセスのような金属基材の温度が急速に変化するプロセスにそのまま加算して適用すると非現実的な値となってしまう。このため、成膜工程の制御には利用することができない。図3の左図に示すように、例えば700Kで10時間の熱処理を行った後、750Kで1時間の熱処理を行う場合を想定すると、焼戻しパラメータPは、700×(log1010+20)+750×(log101+20)=700×21+750×20=29700となる。この値を750Kの恒温処理に置き換えて熱処理時間tを計算すると、29700=750×(log10t+20)から、熱処理時間tは1019時間という、非現実的な結果となってしまう。そこで本発明では図3の右図に示すように、その熱処理の全過程をそれと等価な「ある一定時間だけ保持を行う焼戻し」へ変換する。すなわち、連続的温度変化を伴う熱処理を温度変化を階段状に近似し、各温度での熱処理を最大温度Tmによる恒温熱処理に変換し、その温度での処理時間tを算出する。そして算出された処理時間tの合計をΣtとして、P=Tm(log10Σt+20)の式に代入し、焼戻しパラメータPを算出する。
その計算の結果は図4の通りであり、700Kで10時間の熱処理が750Kで何時間の熱処理に相当するかを計算すると、700×(log1010+20)=750×(log10+20)の式からt=0.4(hr)となる。従って図4の右図に示すように、700Kで10時間の熱処理後に750Kで1時間の熱処理を行った場合の全熱処理工程は、750Kで1.4時間の恒温処理と等価となり、その場合の焼戻しパラメータPは、P=750×(log101.4+20)=15109となる。
図5に示すように温度が急速に変化する成膜工程においては、温度測定の測定間隔に相当する制御時間間隔τにて金属基材Mの温度を放射温度計などの温度計測部8で測定する。この場合は各測定温度Tsi(i=1,2,3,・・・)で制御時間間隔τの熱処理を行ったとして、Tsi(log10τ+20)=Tm(log10Δtxi+20)の式から、変換後の時間間隔毎のΔtxiすなわち、最大温度Tmによる恒温熱処理に変換したときの等価処理時間であるΔtxiを算出する。このΔtxiは、各測定温度Tsiにおける制御時間間隔の熱処理を最大温度Tmにおける等価な熱処理に換算した時間であり、全処理時間はΣΔtxiである。そして、最高温度Tmとする(数1)の式より、連続的に温度変化のある熱処理における焼戻しパラメータが算出可能となる。
従来は熱処理等の緩やかな温度変化に対して用いられていた焼戻しパラメータが、このように、金属基材Mの温度が急速に変化するプラズマを用いた高速成膜に対しても適応できるかは検証されていなかったが、今回初めて、このように算出した焼戻しパラメータと硬度との関係がプラズマを用いた高速成膜に対しても適用できることを実験で確認できた。実験結果は、後述する。
なお、上記のように焼戻しパラメータの算出には、成膜工程における温度上昇工程、および冷却工程の全ての熱処理過程が必要であり、成膜工程の一部を切り取って積分する方法は成立しない。なぜなら焼戻しパラメータPは熱処理工程の最高温度Tmに依存し、最高温度Tmを予測するには全ての熱処理過程の熱処理曲線を予測する必要があるからである。このため、成膜工程の熱処理過程すなわち、金属基材Mの時間に対する温度変化を予測して、記憶しておく必要がある。もちろん、成膜工程の前処理であるイオンクリーニング時の温度が最高温度Tmより低い場合には、イオンクリーニング工程における等価処理時間の合計が、イオンクリーニング工程と成膜工程と成膜後の冷却工程との全体の等価処理時間の合計と比べて無視できるほど小さいことがある。また、冷却工程の等価処理時間の合計が全体の等価処理時間の合計と比べて無視できるほど小さいことがある。これらの場合は、成膜工程の熱処理過程だけ記憶しておけばよい。
次に、図6、および図7のフローチャートに従って、本発明の成膜装置100の制御ステップを説明する。先ず、治具3に保持された金属基材Mを、処理容器1の内部に作業者がセットしてプロセスが開始される(S1)。その直後に、膜仕様の設定(S2)が行われる。具体的には、パラメータ計算部10へ金属基材Mに関する情報であるワーク情報が入力されると、入力されたワーク情報に対応するワーク条件が、表1に示す膜仕様テーブルから設定され、設定膜厚(TH')、および設定焼戻しパラメータ(P')などの膜仕様が設定される。また真空ポンプ2を起動し、処理容器1の内部を真空にする。真空状態は、1.0[Pa]程度であればよい。
次に、処理容器1内がクリーニング開始に必要な真空度に達しているか否かを確認(S3)し、達していることが確認されたらイオンクリーニングを開始する(S4)。この場合、作業者が図示されない真空計を確認し、開始確認操作をしても良いし、CPU20が真空計の値を取得して必要な真空度に達したかを判断してもよい。クリーニング条件は表2に示すクリーニング条件テーブルに設定されている。クリーニング条件テーブルに示されるガス流量の条件にて、不活性ガスが処理容器1の内部に供給される。CPU20は、DCバイアス電圧の情報を負電圧電源7に送信し、マイクロ波電力の情報をマイクロ波電源6に送信する。CPU20は、マイクロ波パルスコントローラ61、および負電圧パルスコントローラ71にデューティ比の情報を送信する。負電圧電源7は受信したDCバイアス電圧の情報に従い、負電圧パルスコントローラ71に負電圧を供給する。負電圧パルスコントローラ71は、供給された負電圧と、デューティ比の情報とから負電圧パルスを金属基材Mに供給する。マイクロ波電源6は受信したマイクロ波電力の情報に従い、マイクロ波パルスコントローラ61に電力を供給する。マイクロ波パルスコントローラ61は、供給された電力と、デューティ比の情報とからマイクロ波パルスを処理容器1に供給する。これら負電圧パルスと、マイクロ波パルスとにより、プラズマ発生部5にプラズマが発生する。クリーニング開始と同時に金属基材Mの温度の記録を開始する。金属基材Mの温度は、記憶部21の温度履歴記憶領域に記憶される。
CPU20は、イオンクリーニング条件で設定された制御間隔(τc)だけ待機し(S5)た後、イオンクリーニング終了判定(S6)を行う。この判定では、表2に示すイオンクリーニング条件テーブルに記憶されたアーキング発生頻度、またはイオンクリーニング時間により定められる終了基準を満たしているか否かの判断を行う。満たしていなければS5に戻ってクリーニングを継続し、満たしていればクリーニングを終了する。なおこの間も金属基材Mの温度計測と記録(S6−1)は継続する。温度計測は前記した放射温度計などの温度計測部8により行われる。
次に、パラメータ計算部10において、成膜レベルの設定が行われる(S7)。成膜レベルとは表3に示すように、バイアス電圧の印加条件、すなわちバイアス電圧がパルス状に印加されるときのDCバイアス電圧とデューティ比、及びマイクロ波の印加条件すなわちマイクロ波がパルス状に印加されるときの電力とデューティ比、ガス流量等の成膜条件の組を予め複数定めたものである。ここでは、成膜レベルの値が大きいほど成膜レートが高くなるように定めている。このように成膜条件の組を予め複数定めておき、それを切り替えることで、高速成膜時の急速な温度上昇に対応できる最適な成膜条件を、その都度、成膜条件を手動で入力するよりも、すばやく設定することができる。また、成膜レベルの値が大きいほど成膜レートが高くなるように定めているので、成膜レベルの値を1つ下げることで、温度上昇レートを下げる条件の中で、成膜レートが最も大きくなる成膜条件を選択することができる。パラメータ計算部10は、最大の成膜レベルを成膜条件として設定する。具体的には、表3に示す直前数バッチの結果を示す直前バッチデータテーブルの成膜レベル7を設定する。次に、ステップ2で設定された膜仕様の設定膜厚(TH')を成膜レベル7の成膜レートで除し、成膜予定時間(t')を算出する。算出された成膜予定時間(t')を真数とする自然対数に温度上昇レート(Tr)を乗し、イオンクリーニング終了時の温度(Tc)を加算する。この加算された値が、成膜終了時の最大温度(Tm)である。また、時間tに対する基材の温度T(t)は例えば、T(t)=Tr ln(t)+Tcと推測され、t=0からt=t’まで、制御時間間隔(τ)毎の基材温度T(t)が計算され、温度予測テーブルに記憶される。上述したようにTm=T(t')となる。パラメータ計算部10は、最大温度(Tm)と成膜予定時間(t')及び基材の温度変化T(t)とに基づき、焼戻しパラメータ(P)を算出する。算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より大きいか否かを判断する。算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より小さいと判断された場合、焼戻しパラメータ(P)を算出した成膜レベルを成膜条件として設定する。一方、算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より大きいと判断された場合、成膜レベルを1つ下げて、再度焼戻しパラメータ(P)を算出して、設定焼戻しパラメータ(P')との大小関係を比較する。算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より小さいと判断されるまで、大小関係の比較は継続される。適当な成膜レベルが設定されない場合は、エラー処理を実行し、処理を終了する。
焼戻しパラメータの算出は、イオンクリーニング工程、原料ガスを処理容器1の内部に供給して成膜を行う成膜工程、および冷却工程の3つの工程に渡って実行される。すなわち、イオンクリーニング工程においては、S6-1で記憶された設定時間τ毎の金属基材Mの温度、および最大温度(Tm)に基づき、イオンクリーニング時の等価処理時間とその合計が算出される。成膜工程においては、成膜予定時間(t')、および最大温度(Tm)に基づき、成膜工程における等価処理時間とその合計が算出される。冷却工程においては、最大温度(Tm)、および降温プロセス終了温度に基づき、冷却工程における等価処理時間とその合計が算出される。冷却工程における温度Tは、降温率をCr、環境温度(室温)をTeとすると、時間tに対し、例えば、T=Te+(Tm-Te)exp(-Cr t)と表される。Tが所望の降温プロセス終了温度になる時間である降温必要時間まで等価処理時間を算出する。降温プロセス終了温度は、予め作業者によって定められても良いし、室温として定められても良い。このようにイオンクリーニング工程、成膜工程、および冷却工程の3つの工程での各等価処理時間の合計を加え、上述した(数1)に示すΣΔtxiとして焼戻しパラメータを求めることができる。
次に、CPU20は、設定された成膜レベルに対応するガス流量の条件で、ガス供給部4に不活性ガス、および原料ガスを供給する流量制御命令を出力する。ガス供給部4は、流量制御命令に従い、不活性ガス、および原料ガスを処理容器1の内部に供給する。この流量制御命令は、図示しないディスプレイに各ガスの流量を表示し、表示された流量で作業者がガスを供給するように促しても良い。
次に、CPU20は、設定された成膜レベルの、DCバイアス電圧の情報を負電圧電源7に送信し、マイクロ波電力の情報をマイクロ波電源6に送信する。次に、CPU20は、設定された成膜レベルのバイアスデューティ比の情報を負電圧パルスコントローラ71に送信し、マイクロ波デューティ比をマイクロ波パルスコントローラ61に送信する。負電圧電源7は受信したDCバイアス電圧の情報に従い、負電圧パルスコントローラ71に負電圧を供給する。負電圧パルスコントローラ71は、供給された負電圧と、デューティ比の情報とから負電圧パルスを金属基材Mに供給する。マイクロ波電源6は受信したマイクロ波電力の情報に従い、マイクロ波パルスコントローラ61に電力を供給する。マイクロ波パルスコントローラ61は、供給された電力と、デューティ比の情報とからマイクロ波パルスを処理容器1に供給する。これら負電圧パルスと、マイクロ波パルスとにより、プラズマ発生部5にプラズマが発生する。
次に、CPU20は、成膜時間(t)をゼロにセットし、成膜時間(t)の自動計測を開始する。また表4に示す制御間隔テーブル1を参照し成膜予定時間t'に応じた制御時間間隔(τ)をタイマにセットする。なお表4(a)では成膜予定時間(t')が短いほど温度上昇が急になるので、温度計測の間隔を短くする必要があり、成膜予定時間(t')に対して、制御時間間隔(τ)を定めている。
次にS7で設定された制御時間間隔(τ)だけ待機する(S8)。そして成膜時間(t)に制御時間間隔(τ)を加算する。次に、制御時間間隔(τ)が加算された成膜時間(t)から成膜残り時間(t'−t)を算出し、記録する。成膜残り時間を算出する処理が、本発明の残時間取得部の一例である。
次に、CPU20は、成膜条件として設定されている成膜レベルに対応する成膜レート(THr)と成膜時間(t)から膜厚が設定膜厚(TH')に達したかを確認(S9)する。もし成膜レート(THr)×成膜時間(t)の値が設定膜厚(TH’)を超えている場合には、電源をオフとし、自然冷却にてプロセス終了温度Tc(室温)になるまで待機する。冷却完了後に、成膜工程における焼戻しパラメータP(t',T')を算出、記録してプロセスを終了(S17)する。一方、成膜レート(THr)×成膜時間(t)の値が設定膜厚(TH’)を超えていない場合には、(S10)に進み、温度計測を行い温度履歴記憶領域に記録する。そして前回測定値であるT(n−1)と今回測定値T(n)との差分である温度差分(ΔT=T(n)−T(n−1))の値を表4−2の制御間隔テーブル2(ΔTからの算出)と照合し、制御時間間隔(τ)を再設定する。すなわち、表4(b)に示す制御間隔テーブルは、温度差分ΔTが大きいほど温度計測間隔を短くする必要があるので、温度差分ΔTに対する制御時間間隔(τ)を定めている。本実施形態では、表4−2に示すように複数の制御時間間隔(τ)が制御間隔テーブル2に記憶され、温度差分ΔTにより制御時間間隔(τ)が設定される。この制御間隔テーブル2に記憶された温度差分ΔTが第1の範囲、および第2の範囲であり、複数の制御時間間隔(τ)が第1の算出間隔、および第2の算出間隔の一例である。
次に、CPU20は、第1算出部として、温度履歴記憶部12に記憶された基材温度と成膜処理経過時間とから、成膜終了時(t')までの温度過程を算出する(S11)。成膜処理経過時間をt1、そのときの基材温度をTdとすると、時間tに対する基材の温度過程T(t)は例えば実験式より、T(t)=Tr{ln(t)-ln(t1)}+Tdと推測され、t=t1からt=t’まで、制御時間間隔(τ)毎の基材温度の変化すなわち基材の温度過程T(t)が計算され、温度予測テーブルに記憶される。最大温度はTm=T(t')となる。そして算出した温度過程から最高温度(Tm)を更新する。次に、CPU20は、第2算出部として、成膜終了時、すなわち成膜予定時間(t')における焼戻しパラメータP(t')を算出する(S12)。すなわち、最大温度(Tm)と成膜予定時間(t')及び基材の温度変化T(t)とに基づき、図5で説明したように等価処理時間とその合計を算出し、成膜終了時の焼戻しパラメータ(P)を算出する。
次にCPU20は、比較部として、算出された成膜終了時(t')における焼戻しパラメータ(P(t'))を、表1に記載の設定焼戻しパラメータ(P')×設定焼戻しパラメータ狙い範囲(ΔP)の値と比較する焼戻しパラメータ算出値の下限確認を行う(S13)。設定焼戻しパラメータ狙い範囲ΔPは、100%よりも小さい値で示される。これは、算出した温度過程よりも、高温で温度が上昇した場合にも設定焼戻しパラメータを超えないように成膜を行い、金属基材Mの硬度低下を抑えるためである。もしP'×ΔP>P(t')であれば、すなわち下限を下回る場合にはS15に移行し、そうでなければ、CPU20は、比較部として、S14において、成膜終了時(t')における焼戻しパラメータP(t')と設定焼戻しパラメータ(P')とを比較する焼戻しパラメータ算出値上限確認を行う。もしP(t')>P'であれば、すなわち上限を超える場合には、S15に移行し、そうでなければS8に戻る。
S15では、CPU20は、P'×ΔP≦P(t')≦P'となる成膜レベルの算出を行う。先ず図7に示すS15−1で、CPU20は、P(t')をP'×ΔP、及びP'と比較する。P'×ΔP>P(t')であれば、すなわちそのままでは下限に達しない場合には、成膜レベルを1だけ増加させる(S15−2−1)。そして増加させたレベルにおける成膜終了時(t')における焼戻しパラメータP(t')を算出する(S15−2−2)。その値をP'×ΔP及びP'と比較し(S15−2−3)、P'×ΔP>P(t')であればS15−2−1に戻ってさらに成膜レベルを1だけ増加させる。P'×ΔP>P(t')でなければ、S15−2−4に移行する。S15−2−2で算出されたP(t')が、P(t')>P'を満たすか否かを判断する(S15−2−4)。満たすと判断すると、S15−3−1に移行する。満たすと判断された場合は、プラズマ発生部5において発生されるプラズマによる金属基材Mの温度上昇レートを増大する成膜条件、すなわち成膜レベルが設定される。具体的には、成膜レベルが上げられることにより、温度上昇レート(Tr)が上がり、以降に算出される焼戻しパラメータPが、成膜レベルを上げずに成膜した場合よりも大きくなるが成膜レートも大きくなるので、より高速成膜が可能となる。満たさないと判断すると、S15−2−1に移行する。
また、S15−1でP(t')>P'、またはS15−2−4で算出されたP'が、P(t')>P'を満たす、すなわちそのままでは設定焼戻しパラメータ(P')の上限を超えてしまう場合には、S15−3−1で成膜レベルを1だけ減少させる。そして減少させたレベルにおける成膜終了時(t')における焼戻しパラメータP(t')を算出する(S15−3−2)。その値をP'と比較し(S15−3−3)、P(t')>P'であればS15−3−1に戻ってさらに成膜レベルを1だけ減少させる。またその値がP(t')≦P'であれば、P'×ΔP≦P(t')≦P'となるので、S15−4に移行し、算出した成膜レベルでの残り時間を算出する。成膜レベルを1だけ減少させて算出された値が、P(t')≦P'であれば、プラズマ発生部5において発生されるプラズマによる金属基材Mの温度上昇レートを低減する成膜条件、すなわち成膜レベルが設定され、さらに設定焼戻しパラメータ(P')の上限を超えない範囲で成膜レートが最大となる。
このようにして、S15では、CPU20は、P'×ΔP≦P(t')≦P'となる成膜レベルの算出を行い、算出した成膜レベルでの残り時間を算出(S15−4)する。次に、CPU20は、設定部として、算出した成膜レベルを成膜装置100に設定し(S16)、成膜を行う。すなわち、S16において設定された成膜レベルは、設定焼戻しパラメータ以下の範囲において、焼戻しパラメータが、最も設定焼戻しパラメータに近い焼戻しパラメータに対応する。設定された成膜レベルは、成膜レベル記憶部としての記憶部21に記憶される。その後、S8に戻って成膜を行いながら前記のステップを繰り返し、成膜レート(THr)×成膜時間(t)の値が設定膜厚(TH’)を超えたときに電源をオフとし、自然冷却にてプロセス終了温度、例えば室温になるまで待機する。冷却完了後にプロセスにおける焼戻しパラメータP(t',T')を算出、記録してプロセスを終了(S17)する。
このように、設定部は比較部により成膜終了時の焼戻しパラメータP(t')が設定焼戻しパラメータP'よりも大きいと比較された場合、プラズマによる金属基材Mの温度上昇レートを低減する成膜条件を設定することができる。温度上昇レートを低減する具体的な成膜条件としては、プラズマ発生部5への印加電力、またはガス供給部4より供給される原料ガス、または不活性ガスの流量が変更される前記成膜条件を挙げることができる。
また設定部は、比較部により成膜終了時の焼戻しパラメータP(t')が設定焼戻しパラメータP'よりも小さいと比較された場合、設定部により新たに設定された成膜条件で成膜終了したときの焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータよりも小さく、かつ第2算出部により算出された現在の成膜条件のままで成膜終了した時の焼戻しパラメータP(t')よりも大きくなる成膜条件を設定することができる。
上記したように、本発明によれば金属基材Mの温度を常に測定しながら、成膜終了までの温度過程を予測して成膜終了時における焼戻しパラメータを算出し、算出された焼戻しパラメータが設定値を越えないように絶えず成膜条件を制御しながら成膜を行なう。このため金属基材Mの硬度低下を生じさせない範囲で最も高速で成膜を進行させることが可能となる。以下に本発明の実施例を示す。
金属基材MとしてSCM415(クロムモリブデン鋼)を用い、その表面にダイヤモンドライクカーボンの硬質皮膜を成膜した。SCM415の焼戻し温度は約200℃、浸炭焼入れ硬化深さ0.2~0.4mmである。この材料の焼戻しパラメータと硬度(HV)との関係は図9に示す通りである。
表5に、膜仕様テーブルに記憶されたワーク条件の素材種類としてSCM415(クロムモリブデン鋼)が設定された場合の各成膜レベルの数値を示す。設定焼戻しパラメータは、10800である。
表5に、各成膜レベルに対応して、温度上昇レート(Tr)、成膜レート(THr)が示されている。後述するイオンクリーニング終了時の金属基材Mの温度を基に算出した最高温度(Tm)、成膜予定時間(t')、恒温変換時間(ΣΔtx)、算出された焼戻しパラメータ(P)、およびプロセス時間(Pt)も示す。プロセス時間は、イオンクリーニング時間(tic)と成膜予定時間(t')と降温必要時間(tc)との和である。
表5に示すように、成膜レベル3において、算出された焼戻しパラメータP=10652は、設定焼戻しパラメータP'=10800を超えず、成膜レベル4において算出された焼戻しパラメータP=11908は、設定焼戻しパラメータP'を超えるので、初期値として成膜レベル3が成膜条件として設定される。なお、成膜レベル2や成膜レベル1でも設定焼戻しパラメータは越えないが、成膜レベル3で成膜が行われたほうが、成膜レベル1や2よりも成膜レートが大きいので、成膜時間が、短縮される。各値は、制御時間間隔(τ)において、後述する成膜レベルの変更に必要な項目だけ、更新されても良いし、全ての項目が更新されても良い。また成膜レベル1、および成膜レベル2においても、最高温度Tmは、SCM415の焼戻し温度である200℃を超える。
図8のグラフに示すように成膜レベル3によりイオンクリーニングを開始した。成膜開始時に算出した成膜終了時の焼戻しパラメータP(t')は10652であった。しかし金属基材Mの温度上昇率が高く、イオンクリーニング終了時(開始後10秒)においては、そのまま成膜レベル3による成膜を継続すると点線のように温度が上昇し、設定焼戻しパラメータP'を超える11153となると算出された。そこで成膜開始から4秒後に、成膜条件を成膜レベル2に変更した。この結果、実線のように温度上昇が抑えられ、成膜終了時の焼戻しパラメータP(t')は10512であり、設定焼戻しパラメータP'である10800を超えることなく、成膜を完了した。
このように成膜開始後に成膜レベルを変更する場合、前記した(S15−4)のステップで成膜時間の再計算が必要である。その様子を図8に示した。
実施例では、成膜レベル3から4秒後に成膜レベル2に成膜条件を変更した。この場合の成膜残り時間は、次のようになる。成膜残り時間=(設定膜厚:TH’−変更前成膜レート:THr×T)/変更後成膜レート=(1.5(μm)−60.5/3600(μm/s)×4(s)/55.0/3600(μm/s)=93.8(s)なお、成膜時間とは原料ガスと電力の供給から、原料ガスあるいは電力の遮断までの時間である。
図9に、SCM415の表面にダイヤモンドライクカーボンの硬質皮膜を成膜した際の、焼戻しパラメータと硬度(HV)との関係を示す。丸印が、従来の熱処理で得られている値であり、三角印は本発明で行ったプラズマ処理で得られた値である。プラズマを用いた高速成膜処理に対しても焼戻しパラメータを用いた制御が有効であることがわかる。図9に示すように、SCM415の設定焼戻しパラメータP’の値である10800より焼戻しパラメータPが大きくなると、成膜後のSCM415の硬度が低下する。これにより、設定焼戻しパラメータP’の値である10800より焼戻しパラメータPが小さくなるように成膜が行われることで、金属基材Mの硬度低下を低減しつつ、成膜することが出来る。また、表5に示すように、最高温度TmがSCM415の焼戻し温度である200℃を超える。すなわち、本発明の成膜装置100は、設定焼戻しパラメータ以下で成膜を実行すれば、焼戻し温度以上でも硬度低下を低減することが可能である。
図10に、本発明の成膜装置100を用いて、高速成膜を行った場合と、従来のDC電圧を印加し、焼戻し温度以下で成膜を行った場合と、成膜を行わない場合との、硬度の比較した実験結果を示す。図10に示すように、高速成膜、通常成膜、および未処理の金属基材は、略ロックウェル硬度が変化しない。しかし、通常成膜は1800秒で成膜が完了したのに対し、高速成膜は60秒と短い時間で成膜が完了した。また、これら成膜工程において、最高温度は450℃とSCM415の焼戻し温度以上に温度が上昇している。
前述のとおり焼戻しパラメータの算出にはイオンクリーニングなどの前工程と冷却工程などの後工程を含む熱処理全工程の履歴が必要である。しかし実施例のように前工程と後工程を含めた全行程の焼戻しパラメータ値と成膜工程のみの差が少ない場合には成膜工程のみの算出としても良い。しかし、イオンクリーニングが長時間に渡る場合や、冷却が自然冷却ではなく、ヒータ等の加熱を併用して徐々に温度を下げていく徐冷が行われる場合には、焼き戻しパラメータの算出は成膜工程のみでなく、イオンクリーニング工程などの前工程と冷却工程などの後工程を含めた全工程での算出とする必要がある。さらに、成膜工程が、イオンクリーニングの後のSiC等の中間層の成膜、ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜等複数の工程からなる場合も、各工程を含めて焼き戻しパラメータを算出する。
本実施形態の成膜装置100は、マイクロ波電源6、負電圧電源7、マイクロ波パルスコントローラ61、および負電圧パルスコントローラ71を備える。これらパルスコントローラにより、負電圧、およびマイクロ波をパルス状に印加して、パルスのデューティ比が制御され、ダイヤモンドライクカーボンの膜厚を制御できるようになっている。なお膜厚を制御するには、負電圧パルス、およびマイクロ波パルスのデューティ比のほか、負電圧パルスのピーク電圧であるバイアス電圧、マイクロ波パルスの印加電力、原料ガス、または不活性ガスのガス流量の少なくとも何れか1つを変更してもよい。
本実施形態の成膜装置100は、MVP法によりプラズマが発生されたが、これに限られない。例えば、マイクロ波が印加されなくても良い。この場合、本発明の印加電力供給部は、負電圧電源7であり、印加電力制御部は、負電圧パルスコントローラ71である。
また、マイクロ波はパルス状に印加されなくとも良い。この場合、本発明の印加電力制御部は負電圧パルスコントローラ71である。また、マイクロ波はパルス状に印加されなくとも良い。この場合、本発明の印加電力制御部は負電圧パルスコントローラ71である。また、マイクロ波が印加されず、負電圧がパルス状に印加されなくとも良い。この場合、本発明の印加電力制御部はCPU20である。
本実施形態の成膜装置100は、金属基材M近傍がプラズマ発生部5であったが、これに限られない。例えば、処理容器1の内部にプラズマが発生され、原料ガスがイオン化し、金属基材Mに成膜されても良い。すなわち、処理容器1の内部がプラズマ発生部の一例である。
本実施形態の成膜装置100は、算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より大きくなると、成膜条件テーブルに記憶された成膜レベルのうち、設定焼戻しパラメータ(P')より小さい焼戻しパラメータとなる成膜レベルが成膜条件に設定されたが、これに限られない。例えば、算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より大きくなると、DCバイアス電圧、バイアスデューティ比、マイクロ波電力、マイクロ波デューティ比、およびガス流量のうち少なくともいずれかが、予め定められた値に下げられてもよい。また、成膜装置100は、治具3に水冷機構が設けられ、算出された焼戻しパラメータ(P)が設定焼戻しパラメータ(P')より大きくなると、水冷機構に流入する水の温度を下げたり、流量を上げてもよい。
本実施形態では、P'×ΔP≦P(t')≦P'となる成膜レベルが成膜条件として設定されたが、P(t')≦P'×ΔPとなる成膜レベルが成膜条件として設定されてもよい。
なお、成膜レベルとして、バイアス電圧の印加条件、マイクロ波の印加条件及びガス流量等の組み合わせを用いたが、成膜レベルとしてその中で、最も制御しやすく成膜レート及び基材の温度変化に大きな影響を与える成膜条件のみを選んでもよい。例えば、バイアス電圧のピーク値、マイクロ波の印加電力のピーク値やガス流量等は一定のままとし、バイアス電圧及びマイクロ波電力を印加するときのデューティ比を制御すべき成膜条件としてもよい。さらに、これらを複数のレベルに分割して設定していたが、連続的に変化させても良い。成膜レートや温度上昇レートはテーブルに記憶されている値から線形補間により求めれば良いので、最大温度、成膜予定時間、焼戻しパラメータも先に説明した場合と同様に求めることができる。
1 処理容器
2 真空ポンプ
3 治具
4 ガス供給部
6 マイクロ波電源
61 マイクロ波パルスコントローラ
7 負電圧電源
71負電圧パルスコントローラ
8 温度計測部
9 石英窓
10 パラメータ計算部
20 CPU
21 記憶部

Claims (14)

  1. 原料ガスと不活性ガスとを供給可能なガス供給部と、
    金属基材へ前記ガス供給部により供給されたガスにより表面処理を行うためのプラズマが発生されるプラズマ発生部と、
    前記プラズマ発生部へ印加電力を供給する印加電力供給部と、
    前記印加電力供給部により供給される印加電力を制御する印加電力制御部と、
    前記金属基材の温度を計測する温度計測部と、
    前記温度計測部により計測された温度と、前記温度が計測された成膜処理経過時間とを関連付けて記憶する温度履歴記憶部と、
    成膜終了までの残り時間を取得する残時間取得部と、
    前記温度履歴記憶部に記憶された温度と成膜処理経過時間とから、成膜終了時までの温度過程を算出する第1算出部と、
    前記第1算出部により算出された温度過程と、前記残時間取得部により取得された残り時間とから成膜終了時の焼戻しパラメータを算出する第2算出部と、
    前記第2算出部により算出された成膜終了時の焼戻しパラメータと、所定の設定焼戻しパラメータとを比較する比較部と、
    前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも大きいと比較された場合、成膜終了時の焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータよりも小さくなる成膜条件を設定する設定部とを備え、
    前記印加電力制御部は、前記設定部により設定された成膜条件で前記成膜終了時まで印加電力を制御する
    ことを特徴とする成膜装置。
  2. 前記設定部は、前記プラズマ発生部において発生されるプラズマによる前記金属基材の温度上昇レートを低減する成膜条件として、前記印加電力、前記原料ガス、または前記不活性ガスの流量が変更される前記成膜条件を設定することを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記設定部は、前記成膜終了時の焼戻しパラメータよりも小さくなる複数の成膜条件のうち、前記残時間取得部により取得される成膜終了までの残り時間が最も短くなる成膜条件を設定することを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
  4. 前記印加電力、または前記ガスの流量と関連付けられ、前記金属基材の温度上昇レートが変更される前記成膜条件としての成膜レベルを複数記憶し、かつ、前記設定部により設定された成膜レベルを記憶する成膜レベル記憶部を備え、
    前記設定部は、前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも大きいと比較された場合、前記設定部により設定された成膜レベルにおける金属基材の温度上昇レートよりも低い金属基材の温度上昇レートの成膜レベルを前記成膜条件として設定することを特徴とする請求項2または3記載の成膜装置。
  5. 前記設定部は、前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも小さいと比較された場合、前記成膜終了時の焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータよりも小さく、かつ前記第2算出部により算出された成膜終了時の焼戻しパラメータよりも大きくなる成膜条件を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の成膜装置。
  6. 前記印加電力、または前記ガス供給部により供給される原料ガス、または不活性ガスの流量と関連付けられ、前記プラズマ発生部において発生されるプラズマによる前記金属基材の温度上昇レートが変更される成膜レベルを複数記憶する成膜レベル記憶部を備え、
    前記設定部は、前記比較部により前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも小さいと比較された場合、前記金属基材の温度上昇レートを増大する成膜レベルを前記成膜条件として設定し、
    前記成膜レベル記憶部は、前記設定部により設定された成膜レベルを記憶し、
    前記設定部は、前記設定部により設定された成膜レベルにおける金属基材の温度上昇レートよりも大きい金属基材の温度上昇レートの成膜レベルを前記成膜条件として設定することを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
  7. 前記成膜レベル記憶部は、前記印加電力と前記印加電力に従い前記プラズマ発生部においてプラズマ発生した場合の温度上昇レートと成膜レートとが関連付けられた前記成膜レベルを記憶し、
    前記設定部は、前記成膜終了時間までの残り時間と前記温度上昇レートとから、前記設定部により設定された成膜レベル以外の少なくとも1つの成膜レベルにおいて、成膜終了時の焼戻しパラメータを算出し、算出された前記焼戻しパラメータが前記設定焼戻しパラメータ以下であれば、前記少なくとも1つの成膜レベルのうちの1つの成膜レベルを設定することを特徴とする請求項4または6記載の成膜装置。
  8. 前記設定部は、前記設定部により設定された成膜レベル以外の複数の成膜レベルにおいて、成膜終了時の焼戻しパラメータを算出し、算出された焼戻しパラメータのうち、設定焼戻しパラメータ以下の範囲において最も前記設定焼戻しパラメータに近い焼戻しパラメータに対応する成膜レベルを設定することを特徴とする請求項7記載の成膜装置。
  9. 前記印加電力制御部は、パルス電圧コントローラ、およびマイクロ波パルスコントローラを備え、
    前記プラズマ発生部において発生されるプラズマは、前記パルス電圧コントローラにより、パルス電圧が前記金属基材へ印加され、前記マイクロ波パルスコントローラにより、マイクロ波パルスが前記処理容器内に供給されることにより発生され、
    前記設定部は、前記パルス電圧コントローラにより印加されるパルス電圧のデューティ比、パルス電圧のピーク値、または前記マイクロ波パルスコントローラにより供給されるマイクロ波の印加ピーク電力あるいはマイクロ波をパルス状で印加するときのデューティ比の少なくとも何れか1つを変更して前記成膜条件を設定することを特徴とする請求項1〜8の何れか記載の成膜装置。
  10. 前記プラズマ発生部は、前記パルス電圧を金属基材へ印加するパルス電圧印加部と、マイクロ波導入口を金属基材に近接して配置することにより、金属基材に表面波励起プラズマを生成することを特徴とする請求項7記載の成膜装置。
  11. 前記第1算出部は、前記成膜終了時間までの温度過程として、前記金属基材が室温に降温するまでの温度過程を算出することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の成膜装置。
  12. 前記ガス供給部は、前記原料ガスを供給する前に前記不活性ガスを前記処理容器内へ供給し、
    前記印加電力制御部は、前記ガス供給部により前記不活性ガスが供給され、かつ前記原料ガスが供給される前に電力を供給して前記プラズマ発生部に前記プラズマを発生させ、
    前記第1算出部は、前記電力の供給開始から前記成膜終了時までの温度過程を算出することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の成膜装置。
  13. 前記第1算出部は、前記温度計測部により計測された前回の温度と今回の温度との差分が第1の範囲であれば第1の算出間隔で前記温度過程を算出し、
    前記差分が第1の範囲よりも大きい第2の範囲であれば、第1の算出間隔よりも短い第2の算出間隔で前記温度過程を算出することを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の成膜装置。
  14. 原料ガスと不活性ガスとを供給可能なガス供給部とプラズマ発生部とを備えた処理容器内で、金属基材の表面に成膜する方法であって、
    成膜中の前記金属基材の温度を計測し、
    計測された温度から成膜終了までの残り時間と、成膜終了時までの温度過程を算出し、
    算出された残り時間と、算出された温度過程とから成膜終了時の焼戻しパラメータを算出して所定の設定焼戻しパラメータと比較し、
    前記成膜終了時の焼戻しパラメータが、前記設定焼戻しパラメータよりも大きいと比較された場合、前記成膜終了時の焼戻しパラメータよりも小さくなる成膜条件を設定し、
    設定された成膜条件で成膜を行うことを特徴とする成膜方法。
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