JP5868923B2 - 遠位脛骨平板固定装置 - Google Patents

Description

本発明は、概して骨折した骨を創内固定する外科装置及び方法に関し、特に、骨プレート、ファスナー及びそれに用いる工具に関する。

遠位脛骨の骨折としては、脛骨の天蓋部（又はピロン（pilon））骨折及び足首骨折が挙げられる。通常、これら「高エネルギー」骨折は、転倒、自動車事故及びスポーツによる足関節の軸方向荷重によって発生する。通常、より一般的な足首骨折はネジ止め固定法によって修復される。しかし、あらゆる種類の関節内骨折がそうであるように、遠位脛骨骨折は治療が困難であることが良く知られており、合併症の高い発生率を伴う。

脛骨の天蓋部骨折は、比較的まれ（骨折全体の１％未満）である。それでも、年間に数千人に起こっている。骨折の種類は、粉砕及び変位の程度によって異なる。天蓋骨折の治療としては、創外固定法、平板固定術及び釘固定法が挙げられる。

他のあらゆる骨折に関する創内固定法の同様の４つの基本的な原理が、遠位脛骨の骨折に適用される。これら４つの原理とは、正しい解剖学的整復、安定な固定、血液供給の維持及び早期の活発なモビリゼーションである。遠位脛骨を平板固定する前に、外科医は、軟部組織が治癒し腫れがひくまで、負傷後数日待つのが普通である。遠位の腓骨も骨折している場合、外科医は通常、遠位の腓骨を直ちに平板固定するであろう。遠位脛骨を平板固定した後、数日間は体重負荷を許可されないのが普通である。

現在、脛骨天蓋部の取り扱いに関して、創内平板固定術を使用すべきか、創外固定法を使用すべきかについて、整形外科医の間で議論となっている。平板固定術に伴う合併症のために、近年では傾向が創外固定法に傾いている。主な合併症としては皮膚の腐肉形成及び感染が挙げられる。これらは、骨折に伴う軟部組織の重大な損傷に関連している。その他の一般的ではない合併症としては、非癒合、癒合不良、骨関節炎及び関節固定が挙げられる。

その傾向を覆す試みとして現行のプレートが開発された。プレートとしては、Ｓｙｎｔｈｅｓ社製のＬＣＰ Ａｎｔｅｒｏｌａｔｅｒａｌ ａｎｄ Ｍｅｄｉａｌ Ｄｉｓｔａｌ Ｔｉｂｉａ Ｐｌａｔｅ ３．５、Ｓｍｉｔｈ ＆ Ｎｅｐｈｅｗ社製のＰｅｒｉ−Ｌｏｃ Ａｎｔｅｒｏｌａｔｅｒａｌ ａｎｄ Ｍｅｄｉａｌ Ｔｉｂｉａ Ｌｏｃｋｉｎｇ Ｐｌａｔｅ、及びＺｉｍｍｅｒ社製Ｐｅｒｉａｒｔｉｃｕｌａｒ Ｄｉｓｔａｌ Ｔｉｂｉａ Ｌｏｃｋｉｎｇ Ｐｌａｔｅが挙げられる。現行のプレートはステンレス鋼から作られる。プレートは不特定の骨のために事前に輪郭が作られているが、装置にはそれぞれのプレートの穴を通って延伸できる曲げ工具、又はプレートを外部から保持してプレートを更に曲げるグリッププライヤーが提供されている。しかし、このような曲げはプ
レートを骨から外して行わなければならず、この方法ではかなりの試行錯誤を経ずにプレートの形状を特定の骨に近似させることは困難である。加えて、現行の遠位脛骨固定装置の内側プレートでは、関節面の軟骨下骨を支持するには限界がある。更に、このような支持は、ねじ穴に挿入された固定角度のねじを使用した所定の固定角度であるか、又は可変角度で圧迫されている。外科医は骨折を支持するために固定角度構造を有する遠位脛骨平板固定装置を使用したい場合、固定角度構造は解剖学的構造に合致しないか、又は遠位脛骨骨折を支持するために必要な強度を有さない。このように、これらのプレート装置はそれらの限界のため受け入れられない。

本発明による遠位脛骨平板固定装置は、遠位脛骨骨折の創内固定法における改善を提供する。本平板固定装置は、前外側プレート及び内側プレートを含む。それぞれのプレートは、近位の柄部部分及び遠位の頭部部分を含む。頭部部分は、複数のねじ付きの第１の穴、及びねじの切られていない第２の穴を備えている。ねじ付きの第１の穴のそれぞれは、複数の種類のファスナーの内の少なくとも１つを受容するよう構成されており、好ましくはファスナーの頭部が穴内に低く収まることが可能なように面取りされている。それぞれのファスナー穴は、ファスナー穴と軸方向に位置合わせされた状態でドリルを骨の中に誘導し、必要に応じて１対の曲げ器具の一方の部材に使用するように構成された事前に組み立てられたドリルガイドを備えていることが好ましい。

前外側プレートは、長手方向の軸を定める柄部及び横方向に延伸する遠位の頭部を含む薄型のプレートである。柄部は、長さに沿ってねじ付きの第１のファスナー穴及び圧迫スロットを含む。頭部は、長手方向の軸を横切って配置された４つのねじ付きのファスナー穴の第１の列、ねじの切られていない圧縮ねじ穴、及び複数の遠位タブを含む。それぞれのタブは、単一のねじ付きのファスナー穴を有するリング、及びリングをプレートの遠位端に連結するブリッジを含む。それぞれのタブ内の穴は必ずしも面取りされていないが、タブ内の穴はねじ付きファスナー穴の第１の列と同様のファスナーを受容することができる。タブ内の穴は、ねじ穴の第２の列を定めるように位置合わせされている。ねじ穴の第１の列及び第２の列はほぼ平行であり、第１の列のねじ穴の軸は第２の列のねじ穴の軸に
対して互い違いに配列されている。タブは、ファスナーが中を挿通することで耐荷重スカフォールドを形成して遠位脛骨の関節面を支持した状態で、第１の列のねじ穴の軸が収束して第２の列のねじ穴の軸の間を通過するように優先的に配向されている。それぞれのタブのブリッジは、タブのファスナー穴の軸が遠位の頭部部分の第１の列内のファスナー穴の軸と交差しないように、所望の方向に優先的に曲がるように構成されている。このようにすれば、プレートが骨上にある間に、例えば、脛骨の遠位縁を捕らえる、特定の骨片又はバトレスを捕らえて所望の部位を支持するため、タブのうち１つ以上をプレートの残部に対して容易に再構成できる。これは、プレートが骨の上にある間、又は骨から外れている間に、曲げ器具をドリルガイドに連結し、相対力を加えてブリッジを中心にタブを曲げることによって、行われる。また、タブは、曲げ工具を使用してブリッジ部品がきれいに破断されるまでタブを逆に折り曲げることで容易に除去できる。

内側プレートは、柄部及び比較的拡大された遠位頭部を含む薄型のプレートである。柄部は、長さに沿ってねじ付きファスナー穴及び圧迫スロットの両方を含む。最も遠位のスロットは遠位のアンダーカットを含む。頭部は、好ましくは３つずつ近位−遠位に平行な２列に配置され、最後の穴がプレートの長手方向の軸に沿ってこの２列の間に位置した、好ましくは平行軸を有する好ましくは７つのねじ付きファスナー穴を含む。頭部の遠位端において、頭部は、ねじの切られていない非円形の穴を備えた伸張された部分を含む。

それぞれのプレートは、骨片の仮固定用及びプレートの位置の蛍光透視による確認用のＫ鋼線を受容する固定角度のＫ鋼線位置合わせ穴を更に含む。Ｋ鋼線は、プレートに使用する装置に備わっていることが好ましい。

プレートに連結して低侵襲の外科的切開部を通して皮下においてプレートを操作するプレートホルダーもまた提供されている。プレートホルダーは、近位のハンドル、遠位の取付台、及びハンドルと取付台との間を延伸するアームを含む。取付台は、一方のプレートの柄部上のスロット内にある第１の部分、及び先細の近位側を含む、柄部が連結した第２の部分を含む。第１の部分及び第２の部分を通って止めねじ穴が備わり、その中に止めねじが備わっている。第１の部分をプレートの柄部の圧迫スロット内に収めて止めねじを打って取り付けると、止めねじが取付台をプレートの柄部に固定する。プレートホルダーのアームはプレートの頭部にぴったりと取り付くが、プレートの頭部部分内のドリルガイドを避けるように輪郭を描いている。プレート保持用工具は、プレートの経皮的な誘導、骨表面上におけるプレート位置決め、及び第１のファスナーが挿入されるときのプレートの保持を容易にする。

それぞれのファスナーは、骨に食い込むシャンク部分を含み、このシャンク部分は、皮質骨のねじ山、海綿骨のねじ山、ねじの切られていない部分及びこれらの組み合わせの内の１つを有してよい。ファスナーの頭部部分は、固定角度のロッキングヘッド、ノンロッキング圧縮ヘッド及び多方向ロッキングヘッドの内の１つを有してよい。

上記を考慮して、本装置は、治癒期間中にプレートが荷重を骨と分担するための関節面の軟骨下の支持を容易にする。本装置は、関節内骨片を捕らえて固定することができるように、骨に狙いを定めて骨にプレートの形状を合わせることも容易にする。本装置は、軟組織の損傷及び患者の苦痛を最小限に抑えるように、薄型の方法でこれを達成する。

添付の図と共に理解される詳細な説明を参照することによって、当業者には本発明の追加的目的及び利点が明白となるであろう。

本発明の遠位脛骨装置の前外側プレートの上面斜視図。 図１の前外側プレートの底面斜視図。 図１の前外側プレートを複数のファスナーによって取り付けた遠位脛骨の後面透視図。 図１の前外側プレートにドリルガイドを取り付けて示した上面斜視図。 本発明の遠位脛骨装置の前外側プレートと共にドリルガイド及び曲げ工具を示した別の実施形態の斜視図。 前外側プレートの遠位の頭部の構造及び曲げ工具のガイドへの取り付けを図示した拡大断面図。 本発明の遠位脛骨平板固定装置の内側プレートの上面斜視図。 図７の内側プレートの底面斜視図。 内側プレートにドリルガイドを取り付けて示した遠位拡大上面斜視図。 複数のファスナーによって図７の内側プレートを遠位脛骨に取り付けた内部の透視図。 複数のファスナーによって図７の内側プレートを遠位脛骨に取り付けた後面透視図。 本発明の遠位脛骨平板固定装置に使用するドリルガイドの上面斜視図。 図１２のドリルの側面図。 本発明によるプレートホルダーの斜視図。 図１４のプレートホルダーの遠位端拡大切欠図。 前外側プレート及びプレートホルダーアセンブリーの前外側図。 図１６のアセンブリーの遠位斜視図。 図１６のアセンブリーの前外側プレートの長手方向の軸を通る断面図。 プレートホルダーの継手を通って前外側プレートに至る拡大断面図。 内側プレート及びプレートホルダーアセンブリーの内部の図。 図２０のアセンブリーの遠位斜視図。 図２０のアセンブリーの、内側プレートの長手方向の軸を通る断面図。 プレートホルダーの継手を通って内側プレートに至る拡大断面図。 本発明の遠位脛骨装置の骨プレートに使用する固定角度皮質骨ロッキングスクリューの側面図。 本発明の遠位脛骨装置の骨プレートに使用する固定角度海綿骨ロッキングスクリューの側面図。 本発明の遠位脛骨装置の骨プレートに使用する多方向ロッキングスクリューの斜視図。 本発明の遠位脛骨装置の骨プレートに使用する多方向圧縮ファスナーの側面図。

下記の通り、本発明による遠位脛骨平板固定装置は、前外側プレート１０（図１〜６）、内側プレート１１０（図７〜１１）、ドリルガイド２００（図１２〜１３）、曲げ工具３００（図５〜６）、プレートホルダー４００（図１４〜２３）、ファスナー５００、６００、７００、８００（図２４〜２７）及びＫ鋼線を含む。

［前外側プレート］
図１及び図２を参照して、本発明による遠位脛骨平板固定装置の前外側プレート１０を示す。前外側プレート１０は、長手方向の軸１４を有する柄部１２、遠位の頭部１６、骨接触下面１８及び反対側上面２０を含む。

柄部１２は、遠位脛骨の前外側骨表面に合致するように、長手方向の軸１４を中心にねじれている。柄部１２は、約１１ｍｍ〜１２．２ｍｍの幅２２を有して柄部の外形を最小限に抑えている。柄部１２は、その長さに沿って長手方向に配置されたねじ付きファスナー穴２４及び細長い圧迫スロット２６を共に有する。柄部１２は、ねじ付きファスナー穴２４及びスロット２６の、好ましくは交互の配置を備えている。ねじ付きファスナー穴２４及び圧迫スロット２６の数は、一般に柄部１２の長さによって決定され、柄部１２の長さは治療中の骨折の長さ及び必要とされる安定性によって異なることができる。ねじ付きファスナー穴２４は、プレートの近位端に備わっていることが好ましい。これにより、特定の長さのプレートでは、プレートが近位端にねじ付きファスナー穴２４を２つ続けて有
する結果となる場合がある（例えば、図５のプレート１０ａを参照）。ねじ付きファスナー穴２４は、好ましくは３倍リードのテーパー形状穴であり、下記のファスナーのヘッドがプレート１０内に低い位置に収まることを可能とするように２８において面取りされている。柄部の近位端３０は、幅が先細になっており、プレートの経皮的な低侵襲性の挿入を容易にする。

遠位の頭部１６は、柄部１２に比べて広がっており、横方向の延伸部３２に移行する。

頭部１６は、好ましくは、解剖学的見地によって幅約３３．５〜３８．５ｍｍの大きさで設けられ、最小限の外形で十分な支持を提供する。頭部１６の下面１８は、内側横方向に湾曲して遠位脛骨に巻きつくことが好ましい。頭部１６は、ねじの切られていない圧縮ねじ穴３４、及び穴２４と同様のねじ山構造を有する好ましくは４つのねじ付きファスナー穴３６の第１の列を含む。遠位の頭部には、複数の遠位タブ３８（好ましくは２つ又は３つのタブ）が連結されている。それぞれのタブは、穴２４及び３６と同様のねじ山構造を有するねじ穴４０を有する。穴４０は、共に位置合わせされてねじ付きファスナー穴の第２の列を定める。ねじ穴３６、４０の第１の列及び第２の列は、ほぼ平行であり、第２の列のねじ穴４０は第１の列のねじ穴３６に対して（長手方向の軸１４に対して横に）互い
違いに配列されている。第１の列及び第２の列の軸方向の配置は、第２の列のねじ穴を通るねじ山の軸４２が、第１の列のねじ穴を通るねじ山の軸４４に対して、プレートの骨接触面１８の下の近位−遠位方向に収束し、また、第２の列を通るこのようなねじ山の軸４２が第１の列を通るねじ山の軸４４の間を通過するようになっている。図３を参照して、このねじ山の軸の配置は、ねじ山の軸４２、４４に沿って挿入されたファスナー５００（一般にファスナー５００であるが、本明細書内で述べる固定角度足首ファスナーのいずれか）が耐荷重スカフォールドを形成して遠位脛骨４８の関節面４６を足の距骨に対して支持することを可能とする。第１の列のねじ穴は、好ましくは面取りされており、ファスナー５００のヘッド５０２をプレート１０内の低い位置に収めることができる。下記に更に述べるように、タブ３８は、プレートの頭部１６の残部よりも薄い構造となっている。タブ３８内のねじ穴４０は、好ましくは面取りされておらず、タブは選択されたファスナーと係合するのに十分な構造的支持を有する。

図４を参照して、それぞれのねじ付きファスナー穴は、ドリルをファスナー穴と軸方向に位置合わせして骨の中に誘導するように構成された、図１２及び図１３に関してより詳細に下記に説明する事前に組み立てられたドリルガイド２００を備えることができる。図５及び図６を参照して、それぞれのドリルガイド２００は、これも下記に更に詳細に説明するように、１対の曲げ工具３００の一方に対して連結して、外科医がタブの構成を配向し直すように構成されている。第２の列内のこのようなそれぞれのファスナー穴４０はドリルガイド２００を備え、その他のファスナー穴は必要に応じてこのようなドリルガイドを備えることが好ましい。

図１〜３及び図６を参照して、それぞれの遠位タブ３８は、リング形状をしており、ブリッジ５０によってプレート１０の頭部１６の遠位端と接続されている。タブ３８は、遠位脛骨４８の関節面４６の耐荷重支持をカスタマイズするように優先的に曲げ可能である。それぞれのタブ３８のブリッジ５０は、ｙ軸を中心に優先的に回転して曲がるように構成されている。そのためには、それぞれのブリッジ５０は、厚さよりも幅が広い方形の断面を有することが好ましい。加えて、ブリッジは幅方向に低い凹部５２を含んでよい。曲がった場合、ファスナー穴４０の新たなねじ山の軸４２は、頭部部分にある第１の列のねじ付きファスナー穴３６のねじ山の軸４４と交差しないであろう。曲げるためには、１つがタブ３８内に位置し、１つが第１の列のねじ穴３６内に位置する２つの近接したドリルガイド２００を覆って（図示の通り）又はその中に曲げ工具３００を嵌め込む。曲げ工具３００の近位端に力を加えて、プレート１０の頭部部分１６に対してタブ３８を曲げる。このように、例えば、脛骨の遠位縁を捕らえるため、あるいは特定の骨片又はバットレスを捕らえて所望の部位を支持するために、プレートに対してタブ３８のうち１つ以上を容易に再構成することができる。プレートが骨の上にある間に、タブを容易に曲げることができる。更に、ブリッジ５０よりも厚いファスナー穴４０の周りにタブ３８の部位を設計することで、タブ３８を所望の配向に曲げるときに穴４０及びそのねじ山が変形しないことが保証される。更に、低い凹部５２もまた、ブリッジ５０がきれいに破断するまで、曲げ工具３００によってタブ３８を逆に曲げることでタブ５０の除去を容易にする。タブ３
８は、２．２６〜２．８２Ｎ−ｍ（２０〜２５インチ重量ポンド）の力の印加によって、即ち、それぞれのタブ３８を下方に約３０度曲げ、上方に約３０度曲げ戻すことで破断するように意図的に設計されている。

前外側プレートは、骨片を仮固定し、プレートの位置を蛍光透視で確認するＫ鋼線を受容するＫ鋼線位置合わせ穴５６、５８、６０を含む。第１の位置合わせ穴５６は好ましくはプレートの頭部部分の第１の列のねじ穴３８間に備わり、第２の位置合わせ穴５８はねじ穴３８の第１の列と圧縮穴３４との間に備わり、第３の位置合わせ穴６０はプレート１０の近位端３０に備わっている。それぞれのＫ鋼線位置合わせ穴は、その中に挿入されるＫ鋼線に固定角度の位置合わせを提供することが好ましい。下記の通り、Ｋ鋼線（図示せず）には前外側プレート１０並びに内側プレート１１０に使用する装置が備わっていることが好ましい。

[内側プレート]
図７〜９を参照して内側プレート１１０は、長手方向の軸１１４を有する柄部１１２、及び比較的広い遠位の頭部１１６を含む。柄部１１２は、長手方向の軸を横切る浅い曲率半径を有する。この浅い半径は、柄部が競合するプレートよりも約２５％薄い厚さを有することを可能にする。柄部１１２は、前外側プレート１０と同様に、その長さに沿ってねじ付きファスナー穴１２４及び圧迫スロット１２６の両方の配置を含む。ねじ付きファスナー穴１２４は、３倍リードのテーパー形状のねじ穴であることが好ましい。プレートの近位端１３０は、連続したねじ付きファスナー穴を含んでよい。最も遠位のスロット１２８ａは、下記に詳述する周辺部のアンダーカット１３３ａを含む。

プレート１１０の頭部１１６は、穴１２４と同様の穴及びねじ山構造を有する好ましくは７つのねじ付きファスナー穴１３６を含む。穴１３６は、好ましくは平行な軸を有し、好ましくは３つの穴の実質的に平行な２つの近位−遠位の列１３５、１３７及び２列の間に位置する中央の穴１３６ａに配置されている。頭部の遠位端において、伸張部分１３９は、圧縮ねじを軸１４３に沿って中央穴１３６ａのねじ山の軸１４５の方向に向けるために使用することのできるねじの切られていない非円形の穴１４１を備えている（図１１）。それぞれのねじ穴は、前外側プレート１０にあるねじ穴と同様の寸法及び構造であることが好ましい。加えて、少なくとも頭部１１６にあるねじ穴のそれぞれは、ドリルを誘導するドリルガイド２００を備えていることが好ましい。ドリルガイド２００については、図１２及び図１３に関して下記に詳述する。

第１のＫ鋼線位置合わせ穴１５６は中央穴１３６ａと非円形穴１４１との間に備わり、第２のＫ鋼線位置合わせ穴１６０は柄部１１２の近位端１３０に備わっており、骨の上のプレートの位置合わせ及び仮位置決めを容易にする。図１０及び図１１は、遠位脛骨４８の内側１６０上に埋め込まれた内側プレートを示す。

本装置のそれぞれのプレート１０、１１０は、ステンレス鋼、チタン、及びＴｉ−６Ａｌ−４Ｖなどのチタン合金を含む、当該技術分野において既知の数多くの材料の内の任意の１つから形成してよい。より好ましくは、それぞれのプレートは十分にアニールした状態のＴｉ−６Ａｌ−４Ｖ−ＥＬＩの固体丸棒から機械加工するのが好ましい。それぞれのプレートは、最小限の加工硬化を保証するために、それぞれの解剖学的形状に合わせて機械加工される。機械加工後、部品は研磨され陽極酸化される。その結果として得られるプレート材料は十分に「軟らかく」、プレートの破断を招かずにタブにおいて、又は長手方向の軸に対してプレートを曲げる性能を可能とする。一般に、本明細書内で説明したプレートのそれぞれは同種の破断について現在入手可能なプレートよりも大幅に薄く、しかも骨折した骨の創内固定法のための適切な剛性を有する。

[ドリルガイド]
図１２及び図１３を参照して、円筒体２０２、近位端２０４、及び遠位端２０６を有するドリルガイド２００を示す。ドリルガイド２００はまた、軸２０５、及び従来の骨ドリルを誘導する大きさの長手方向の内腔２０８をも有する。内腔２０８内には、近位端２０４の付近に複数の内部駆動要素２１０が形成されている。この実施形態において、複数の内部駆動要素２１０は、従来の骨ねじ用ドライバー工具の六角形の遠位先端部を受容する６つの内部駆動要素２１０を含むものの、その他の構成及び数の内部駆動要素２１０も可能である。

ドリルガイド２００の遠位端２０８は、軸２０５がテーパー形状のねじ穴の軸と同一線上にあるように前外側骨プレート又は内側骨プレートの双方のテーパー形状のねじ穴とねじによって係合するように構成されたテーパー形状のねじ付きの部分２１２を備えている。

円筒体２０２は、近位からねじ部２１２の始まりまで約９ｍｍの長さ、及び約５ｍｍの外径を有することが好ましい。

骨プレート１０、１１０は、骨プレートのそれぞれのテーパー形状のねじ穴にドリルガイドが既に事前に組み立てられた（又は選択されたねじ穴の中にガイドが事前に組み立てられた）状態で外科医に提供できるので、従来の骨平板固定装置で通常行われるように手術中に外科医又は助手がそれぞれの穴にドリルガイドを取り付ける必要がない。このようにすれば、外科医は、それぞれの穴の軸が穴のねじ山の軸と完全に位置合わせされるように数個の骨穴を迅速に開けることができる。次に、外科医は、六角形の先端のドライバーを使用してドリルガイドを取り外し、ロッキングファスナーのねじ付きヘッドがねじ穴と容易に係合するように骨ロッキングファスナーを挿入することができる。骨プレートへのドリルガイドの事前の組み立てについては、共同所有の米国公開特許出願第２００６０１４９２５０Ａ１号に述べられており、このようなドリルガイドを使用したプレートの曲げについては、共同所有の米国公開特許出願第２００６０１６１１５８Ａ１号、同第２００７０２３３１１１Ａ１号、及び同第２００７０２３３１１２Ａ１号に述べられており、これらは参照により全文が本明細書に組み込まれる。

ドリルガイドは、外科医及びスタッフにとってプレートが右の骨用か左の骨用かの目印となるように色分けされていることが好ましい。例えば、ガイドは、左用途が緑色で右用途が赤であってよい。

[プレートホルダー]
図１４及び図１５を参照して、低侵襲の外科的切開部を通して皮下でプレートを操作するために、プレート１０、１１０に連結できるプレートホルダー４００もまた提供される。プレートホルダー４００は、ハンドル４０２、取付台４０４及びハンドル４０２と取付台４０４との間を延伸するアーム４０６を含む。取付台４０４は、どちらかのプレートの柄部上の最も遠位の圧迫スロット内に収まるリップ４０８を有する第１の部分４０６、及びアームが恒久的に固定された第２の部分４１０を含む。第２の部分４１０は、軟組織下への挿入を容易にするテーパー形状の近位側４１２を含む。第１の部分及び第２の部分を通って止めねじ穴４１４が備わっており、その中に止めねじ４１６が備わっている。プレートの柄部のスロット内に第１の部分４０６を収めて止めねじ４１６を打って取り付ける
と、止めねじが第１の部分４０６をプレート柄部の圧迫部の中に打ち込んでホルダー４００及びプレートをアセンブリー内に固定する。プレートホルダー４００のアーム４０６は、それぞれのプレートの頭部にぴったりと取り付くが、プレートの頭部部分にあるドリルガイド２００を避けるように輪郭を描いている。プレートホルダーは、骨表面上のプレートの位置決め、及び第１のファスナーが挿入される間のプレートの保持を容易にする。

より具体的には、図１６〜１９を参照して、前外側プレート１０に連結したプレートホルダー４００を示す。正面図において、ホルダー４００のアーム４０６の近位部分４０６ａ（ハンドルに隣接）は、プレート１０の柄部１２の長手方向の軸１４と同一平面上を延伸している。アームの遠位部分４０６ｂ（プレートに隣接）は、ドリルガイド２００と干渉せずにプレートの付近まで延伸する（図１８の垂直寸法（vertical dimension）を参照）ように頭部の周りに輪郭を描いており、プレートの挿入時の軟組織との干渉を限定する。取付台４０４がプレートに対して連結すると、リップ４０８はプレート１０の圧迫スロット２６の下に延伸しない。止めねじ４１６は第１の部分４０６の遠位の壁４１８をスロットの壁に押し付けてホルダー４００をプレートに対して係合させる。ホルダー４００は、止めねじを緩めることでプレートから外すことができる。適切な圧迫を与え、プレートが埋め込み部位に至った後でもドライバーによって容易にアクセスされるように、止めねじ穴４１４と止めねじ４１６との角度は約３５度である。

図２０〜２３を参照して、内側プレート１１０に取り付けられた同様のプレートホルダー４００を示す。アーム４０６の近位端４０６ａもまた柄部の軸１１４と同一平面上にあり、遠位端４０６ｂはドリルガイド２００と干渉せず、プレートの厚さを薄く（low profile to the plate）保つように頭部１１６の周りに輪郭を描いている。内側プレートの遠位の圧迫スロット１２６ａは、アンダーカット１１３ａを含む。スロット１２６ａに取付台の第１の部分を挿入すると、リップ４０８がアンダーカット１３３ａで係合してホルダーをプレート１１０に更に固定する。

プレートホルダー４００は、左プレート用及び右プレート用に色分け（例えば左が緑で右が右（right-right））され、ドリルガイドの色と一致させて正しいプレートとの係合を容易にすることができる。

[ファスナー]
プレート１０、１１０の両方のそれぞれのねじ穴は、前外側プレート又は内側プレートの頭部又は柄部に拘らず、全て同種のファスナーを受容できる。したがって、本装置のファスナーはプレート間で互換可能である。一般に、それぞれのファスナーは、骨に食い込むシャンク部分を含み、このシャンク部分は、皮質骨ねじ山、海綿骨ねじ山、ねじの切られていない部分及びこれらの組み合わせの内の１つを有してよい。それぞれのファスナーの種類はファスナー穴と係合するヘッド部分を更に含み、このヘッド部分は固定角度ロッキングヘッド、ノンロッキング圧縮ヘッド及び多方向ロッキングヘッドの内の１つを有してよい。

図２４〜２７に固定角度の骨ファスナーの４つの実施形態を示す。図２４は、ドライバー用凹部（図示せず）を有するテーパー形状のねじ付きヘッド５０２、及びねじ付きシャフト５０４を含む固定角度ロッキングスクリュー５００の側面図である。ピッチを有する柄部のねじ山は皮質骨に係合するように構成される。ねじ５００は、穴のねじ山の軸によって予め決められた固定角度で骨プレートのテーパー形状のねじ穴に挿入して固定することができる。図２５は、ねじ５００と実質的に同様の固定角度ロッキングスクリュー６００の側面図であるが、シャフト６０４のねじ山は海綿骨と係合するように構成された比較的大きなピッチを有する。

図２６は、多方向ロッキングスクリュー７００の側面図である。ねじ７００は、正方形の駆動用凹部７０６を有するヘッド７０２、及びシャフト７０４を含む。ねじ７００は、ねじの軸が穴のねじ山の軸と０〜１５度の範囲の角度を形成するようにどちらかのプレート内に固定できる。ねじ７００は、チタン合金であってよいプレート材料よりもかなり硬いコバルトクロム合金から形成できる。このような多方向ロッキングスクリューは、参照によってその全文が本明細書に組み込まれる、米国公開特許出願第２００７００８８３６０Ａ１号に詳細に述べられている。

ファスナーの実施形態５００、６００、及び７００について、シャフトは別の方法として長さの全体又は一部が平坦である。

図２７は、多方向圧縮ファスナー８００であって、ねじ８００とも呼ぶ。ねじ８００は、ねじ付きシャフト８０４及び遠位先端部８０８を含む。ねじ８００は、正方形の駆動用凹部を伴う近位面８１０を有するヘッド８０２を更に含むものの、その他の駆動用凹部の構成も可能である。ヘッド８０２は、本体８０４に取り付けられた小径端８４０及び近位面８１０の周縁部８１４を形成する大径端８４２を有する平坦な円錐台形部分８１２を含む。円錐台形部分８１２は、ねじの軸８２０を中心にした開先角度（Ａによって指示）を有する。周縁部８１４は、外半径を有してよい。ねじのシャフト８０４のねじ山は、海綿骨又は皮質骨のどちらのものでもよく、必要に応じて、シャフト８０４の長さの一部のみに沿って形成してよい。

当業者であれば理解できるように、本明細書内で述べた本装置は、本明細書内で述べた両方の骨プレートに含まれる同一のテーパー形状のねじ穴に、標準圧縮ねじ（図示しないが、ねじの切られていない穴に通して使用するものである）、固定角度ロッキングスクリュー（ねじ５００、６００）、多方向ロッキングスクリュー（ねじ７００）又は多方向圧縮スクリュー（ねじ８００）の内の何れか１つを使用する好都合な選択肢を外科医に提供する。加えて、ねじ６００、６００、７００、８００のそれぞれは、ねじのヘッドが骨プレートの上面に対する盛り上がりが最小限となるようにテーパー形状のねじ穴に挿入可能であるので、軟組織の炎症による患者の苦痛及び合併症を最小限に抑える。

上述を考慮して、本装置は、遠位脛骨の関節面の骨幹、骨幹端及び軟骨下の支持を容易にするので、治癒期間中にプレートが荷重を骨と分担する。本装置は、関節内骨片を捕らえて固定することができるように、骨に狙いを定めて骨にプレートの形状を合わせることを容易にする。本装置は、軟組織の損傷及び患者の苦痛を最小限に抑えるように、薄型の方法でこれを達成する。

本明細書内で、遠位脛骨平板固定装置のプレートの幾つかの実施形態を説明し記載した。本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明はこれらに限定する意図のものではなく、本発明の範囲は当該技術分野が許す限り広く、本明細書も同様に読まれることを意図するものである。本明細書内で「近似させる」、「約」又は「実質的に」という言葉を使用しているが、このような言葉は文脈によって決定され、所定の数字、量、又は相対的位置若しくは場所の±２０％として定義されるものである。したがって、請求の趣旨及び範囲から逸脱せずに提供された発明に更に他の変更を施すことができることは、当業者によって理解されるであろう。

Claims (9)

1. 遠位脛骨用の遠位脛骨プレート装置において、
   ａ）前記遠位脛骨の内側用に構成された内側プレートであって、
   ｉ）長手方向の軸を有する、前記軸に対して長手方向に変位した複数のテーパー形状の３倍リードの第１のねじ穴及び複数の細長い圧迫スロットを含む柄部であって、前記ねじ穴及び前記圧迫スロットのそれぞれが、それぞれの骨ファスナーを受容し、前記柄部は、幅が先細になった近位端を有する、柄部と、
   ｉｉ）平行な軸を備えた７つのテーパー形状の３倍リードの第２のねじ穴の配置、及び近位の方向を向いたねじの切られていない長楕円形の穴を備えた遠位の延伸部を含む、前記柄部より幅の広い遠位の頭部と、
   を含む、内側プレートと、
   ｂ）前記第１のねじ穴又は前記第２のねじ穴のどちらかの中で係合する寸法のテーパー形状のねじ付きヘッド、及びシャフトを有する、固定角度ファスナーと、
   ｃ）前記内側プレートよりも硬い材料から作られ、前記第１のねじ穴又は前記第２のねじ穴のどちらかと係合する寸法のねじ付きヘッド、及びシャフトを有する、多方向ロッキングファスナーと、
   ｄ）前記第１のねじ穴又は前記第２のねじ穴のどちらかに受容される寸法の円錐台形のヘッド、及びシャフトを有する、圧縮ファスナーと、を備える、装置。
2. 前外側プレートであって、前記前外側プレートは、
   ａ）長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸を中心にねじれた柄部であって、前記柄部は前記軸に関して長手方向に変位した複数のねじ穴及び複数の細長い圧迫スロットを含み、前記ねじ穴及び前記圧迫スロットのそれぞれが、それぞれの骨ファスナーを受容し、前記柄部は、幅が先細になった近位端を有する、柄部と、
   ｂ）前記柄部に対して幅が広がり、前記柄部の一側だけに延出する横方向の延伸部に移行する遠位の頭部であって、前記頭部は、近位のねじの切られていない穴、及び４つのねじ穴の第１の列を含み、前記ねじ穴のうち２つは前記延伸部に配置されている、遠位の頭部と、
   ｃ）前記遠位の頭部の遠位端に接続された複数の遠位タブであって、前記タブのそれぞれが、ねじ穴を含み、変形可能なブリッジによって前記頭部の前記遠位端に接続されており、前記タブは、前記ねじ穴が画定されたリング部分を含み、前記リング部分が、第１の厚さを有し、前記遠位の頭部が前記第１の厚さよりも大きな第２の厚さを有している、遠位タブと、
   を含む、前外側プレートを更に備え、
   前記タブ内の前記ねじ穴が、前記第１の列の前記ねじ付きファスナー穴と同様のファスナーを受容することができるねじ穴の第２の列を共に定め、前記第１の列及び第２の列が、ほぼ平行であり、前記第２の列の前記ねじ付きファスナー穴が、前記第１の列の前記ねじ穴に対して、前記長手方向の軸を横切って交互になるように互い違いに配列されており、前記第１の列及び第２の列の配置は、前記第２の列の前記ファスナー穴を通るねじ山の軸が前記第１の列の前記ファスナー穴を通るねじ山の軸に対して前記プレートの骨接触面の下で近位−遠位の方向に収束し、また、前記第２の列の前記ファスナー穴を通るこのようなねじ山の軸が耐荷重足場を形成するように前記遠位脛骨の関節面の為の支持を形成するために前記第１の列を通る前記ファスナー穴の前記ねじ山の軸の間を通過するようになっている、
   請求項１に記載の遠位脛骨平板固定装置。
3. 複数の異なるガイドを更に備え、前記遠位の頭部にある前記ねじ穴のそれぞれが、ドリルを誘導するための前記異なるガイドの内の１つと事前に組み立てられる、請求項１に記載の遠位脛骨平板固定装置。
4. 請求項１に記載の遠位脛骨平板固定装置において、
   ハンドル、プレート取付台、及び前記ハンドルと前記取付台との間にあるアームを含む、前記圧迫スロットの内の１つと連結可能なプレートホルダーを更に備え、
   前記取付台が、圧迫スロットの中に延伸可能な第１の部分及びその上に延伸する第２の部分を含み、前記第１の部分及び第２の部分を通ってねじ付き止めねじ穴がある角度で画定され、前記止めねじ穴に止めねじが備わっており、
   前記アームが、前記ハンドルに隣接した第１の長さ及び前記取付台に隣接した第２の長さを含み、前記プレートホルダーが前記内側プレートに連結されたとき、前記第１の長さが前記内側プレートの前記長手方向の軸と共通の平面上を延伸する、装置。
5. 前記アームの前記第２の長さが、前記プレートの前記遠位の頭部にある前記ねじ穴の周りに、ドリルガイドと干渉せずに前記プレートの付近まで延伸するように輪郭を描く、請求項４に記載の遠位脛骨平板固定装置。
6. 前記第１の部分が、前記内側プレートの前記柄部にある最も遠位のスロットの遠位縁の下に収まる遠位リップを含む、請求項４に記載の遠位脛骨平板固定装置。
7. 前記第２の部分が近位のテーパーを含む、請求項４に記載の遠位脛骨平板固定装置。
8. 前記角度が約３５度である、請求項４に記載の遠位脛骨平板固定装置。
9. プレートホルダーを更に備え、前記プレートホルダーは、ハンドルと、プレート取付台であって、前記取付台において前記ホルダーがどちらかのプレートに着脱可能に連結可能である、プレート取付台と、及び前記ハンドルと前記取付台との間に延伸するアームとを含む、請求項２に記載の遠位脛骨用の遠位脛骨プレート装置。

Images