JP5868687B2 - 空調用室内ユニット - Google Patents
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Description
しかしながら、ドレンパン内の汚れを確認するには、ドレンパンをユニット本体から取り外さなくてはならないので、一般ユーザーによる汚れ確認作業が困難である。
そこで、本出願人は、汚れが溜まり易いドレンパンの底部に透明部材を設けるとともに、ドレンパンの内側に透明部材を介して視認される反射部材を設け、当初は清浄であった透明部材が汚れることにより、反射部材が見え難くなることに基づいて、ドレンパン内が汚れているかどうかを外部から確認できるようにした空調用室内ユニットを既に出願している(特許文献1)。このようにすれば、ドレンパンを取り外すことなく、一般ユーザーでも汚れ確認作業を容易に行える。
この発明によれば、空調用室内ユニットの外部から透明部材を透過した可視光に光触媒膜が応答(励起)することにより、透明部材の内面付近の有機物が酸化分解される。これによって透明部材の内面が汚染されるのが抑制されるので、外部からのドレン容器内の汚れの視認性が低下するのを抑制できる。
したがって、用いる光触媒を可視光励起型とすることにより、透明部材に高価な材料を用いなくても、その内面に設けられた光触媒膜を確実に応答させ、上記効果を得ることができる。そして、室内照明光や太陽光からなる室内光に含まれる可視光の比率は、紫外光と比べて高いため、可視光励起型を採用することにより、紫外光励起型を採用するよりも光触媒を高効率で作動させることができる。
本発明によれば、ドレンに接触したために有機物が付着した被視物の内面の状態(例えば、色や濃さ)に基づいて、汚れの程度を把握できる。
このようにドレンポンプの吸込部が被視物を兼ねることで、別途の被視物を設けることが不要となる上、光触媒膜の作用によって透明部材の内面から剥離された汚れが、ドレンポンプの吸込部付近のドレンの流れによって洗い流されるので、透明部材の内面が汚染されるのを抑制することができる。
後者の場合、本発明の空調用室内ユニットは、室内空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、熱交換器で発生するドレンが溜まり、内部を視認可能とする透明部材を有するドレン容器と、を備えている。透明部材のドレンに対向する内面の一部には、可視光により励起される光触媒膜が設けられている。
本発明によれば、透明部材の内面において光触媒が設けられた領域と、他の領域との汚れの状態の差に基づいて、汚れの程度を把握できる。つまり、光触媒膜が設けられていない領域が上記の被視物の代わりとなるので、被視物を設ける必要がない。
さらに、光触媒膜が透明部材の内面の一部にのみ設けられることで光触媒の使用量を減らせるため、コストを抑えられる。
この発明によれば、導光部材によって光触媒膜への可視光供給量を増大させることができるので、光触媒の作動効率を高めることができる。特に、導光部材により、外部の可視光が透明部材を介さずに内面側から光触媒に供給されるようにすれば、透明部材の通過に伴う光の減衰が生じないので、光触媒膜への可視光供給量がより増大する。
さらに、光触媒膜が設けられた透明部材の内面側への可視光供給量が多いことでドレン容器内の照度が上がり、ドレン容器内の視認性が向上するので、ドレン容器内の汚れの確認が容易となる。
なお、以降の説明においては、既に説明した構成と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略または簡略する。
〔第1実施形態〕
図1、図2に示す第1実施形態の室内ユニット10は、室外ユニットおよび冷媒配管(いずれも図示省略)とともに天井設置型の空気調和機を構成している。
室外ユニットは、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒と室外空気との間で熱交換を行う室外熱交換器、および室外ファンを備えている。
冷媒配管は、室外ユニットと室内ユニット10との間で冷媒が循環するように、これらのユニット間を連結する。
ケース本体11の下部には、図示しない外装パネルが装着されている。この外装パネルの中央部には、室内空気をケース本体11内に吸い込むための吸込口が形成されており、この吸込口に隣接するその外側には、室内熱交換器12を通過した空気が吹き出される吹出口が形成されている。
なお、本実施形態における上・下は、室外ユニット10が天井に設置された状態での上・下をいうものとする。第2実施形態以降においても同様である。
底部131には、当該底部131の各所から角隅部13cに向かうにつれて次第に下る勾配が付けられている。その角隅部13cの周辺の底部131、内周壁部132、および外周壁部133によってドレン溜まり130が構成されている。ドレン溜まり130にはほぼ常時ドレン27が溜まっているため、ドレン溜まり130内は、微生物が繁殖し易い環境となっている。
透明部材20は、透光性を有しており、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン)、PS樹脂(ポリスチレン)等の合成樹脂や、ソーダガラス等のガラスから形成されている。これらの材料から形成された透明部材20は、可視光を透過させる。
この透明部材20は、ドレン27に対向する内面20aと、外装パネルに対向する外面20bとを有している。
内面20aは、可視光により励起される光触媒膜21によって覆われている。内面20aと光触媒膜21との間には、光触媒膜21を内面20aに密着させるプライマー層を介在させることができる。
透明部材20は、光触媒膜21が励起される波長領域の可視光を透過させる透光性を有していれば足り、完全な無色透明であることを要しない。
この光触媒膜21は、励起波長領域の可視光を吸収すると励起される。そのとき放出された電子および電子が抜けた正孔と、ドレン27中のO2およびH2Oとの触媒反応により、O2−(スーパーオキシドアニオン)および・OH(ヒドロキシルラジカル)が生成される。これらO2−および・OHによって、光触媒膜21上の有機物が酸化分解される。
光触媒膜21に用いることのできる光触媒(製品)としては、例えば、(株)豊田中央研究所の「V−CAT」、昭和電工(株)の「ナノチタニア」、住友化学(株)の「iLUMiO」(いずれも登録商標)がある。
この光触媒膜21を内面20aに設ける方法は任意であるが、例えば、光触媒の粒子を溶媒に分散させてなる液体やゾルを内面20aに塗布し、その後、常温で乾燥させることにより、光触媒膜21を成膜することができる。
これに加えて、同じく有機物である粘着性の排出物が分解されることにより、汚れ27が内面20aに付着し難くなる上、その汚れ28が、内面20aに接するドレン27によって内面20aから洗い流される。本実施形態では、内面20aの付近に、ドレンポンプ16の吸い込みによるドレン27の流れが生じるため、内面20aから汚れ28を洗い流す効果が高い。
以上により、透明部材20の内面20aが汚染されるのが抑制されている。
まず、外装パネルを取り外し、ドレンパン13の底部131を室内に露出させる。そして、透明部材20を介してドレン溜まり13b内の汚れ28を目視で確認する。このとき、図2に示すように、確認者の目Eには、透明部材20を介して、ドレンポンプ16の吸込部160の下端部161が見える。
なお、内面20aに対して垂直に設けられた吸込部160の下端部161は、鉛直方向と水平方向との間の斜め方向から目視した際にも視認される。
図3に、透明部材20を介して外部から視認される吸込部160の下端部161の汚れが進行していく様子を示した。ハッチング線の間隔が密になる程、汚れが進行したことを示している。図6においても同様である。
ここで、透明部材20の内面20aも次第に汚れていくが、上述した光触媒膜21の酸化分解作用によって内面20aの汚染が抑制されるため、透明部材20の内面20aの汚染は、吸込部160の下端部161の汚染よりも進行が遅くなる。
したがって、透明部材20を介してドレンポンプ16の吸込部160の下端部161を視認できる間は、その下端部161の汚れの状態(例えば、色や濃さ)に基づいて、ドレン溜まり130内の汚れ28の進行の程度を把握できる。その汚れの進行の程度に基づいて、ドレンパン13の清掃の必要性や清掃時期を適切に判断できる。
つまり、透明部材20の内面20aを長期に亘り、汚れ28の確認に支障がない程度に清浄に保てるため、透明部材20を介して、ドレン溜まり130内が汚れているか否かを判別可能な期間を長期化できる。この期間は、本実施形態では約3か月である。
本実施形態によれば、透明部材20が早期に汚れてしまうのを避けることができるので、透明部材20自体が汚れてしまって内部の状況が把握できないためにドレンパン13を天井から降ろしてその内部の汚れ28を確認するといった、透明部材20を有するドレンパン13に本来不要な作業が発生するのを防止できる。
被視物19の形状は任意であり、図示したように内面20aに沿って平行に配置される板状のものや、内面20aに対して垂直に配置される柱状のものを例示できる。
なお、被視物19や、上述したドレンポンプ16の吸込部160は、白あるいは白に近い色など、ドレン溜まり130内に入射する波長での光反射率が高い色とするのが好ましい。こうすれば、これらの被視物の外部からの視認性が向上するので、被視物の汚れの状態の把握も容易となる。
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。
第2実施形態では、透明部材25の内面25aが、その平面中心を通る中心線Cを境界に第1領域251と第2領域252とに二等分されており、第1領域251にのみ、光触媒膜21が設けられている。第2領域252は、ドレン27に直接接触する。
本実施形態では、第2領域252が被視物19の代わりとなるので、被視物19を必要としない。また、第1領域251と第2領域252とが隣接していることで両者の色の違いや濃淡の差を見分け易いので、汚れの進行程度の把握が容易となる。
その上、光触媒膜21が透明部材20の内面25aの一部(第1領域251)にのみ設けられることで光触媒の使用量を減らせるため、光触媒膜21を設けることによるコストの増加を抑えられる。
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して説明する。
第3実施形態は、室内光を透明部材20の内面20a側に導く線状の導光部材(光ファイバー等)35を備える点が上記各実施形態とは相違する。なお、図7には、本実施形態の主要構成のみ示したが、ケース本体11、室内熱交換器12、送風機14等も第1実施形態と同様に設けられている。図8においても同様である。
導光部材35は、樹脂やソーダガラス等からなり、可視光を室内からドレン溜まり130に導く。この導光部材35は、挿通孔330を介して室内に露出する一端部35aと、透明部材20の内面20aの中央部に対向する他端部35bとを有している。
この導光部材35の一端部35aから室内光が導光部材35内に取り込まれると、その可視光成分が他端部35bまで導光され、他端部35bから、内面20aに設けられた光触媒膜21に向けて出射される。これによって、ドレン溜まり130内が照明される。
また、紫外光を導光するには、その導光部材35の材料に石英ガラス等の高価な材料を用いる必要があるのに対し、可視光を導光するには、樹脂やソーダガラス等の安価な材料で足りる。この点も、可視光励起型の光触媒を採用することの利点となる。
その上、光触媒膜21が設けられた内面20a側への可視光取り込み量が多いことでドレン溜まり130内の照度が上がり、ドレン溜まり130内の視認性が向上するので、ドレン溜まり130内の汚れを容易に確認できる。
次に、本発明の第4実施形態について図8を参照して説明する。
第4実施形態は、図8(A)に示すように、室内光を透明部材20の外面20bに向けて供給する導光部材として機能する開口部45を外装パネル33に有している。
開口部45は、外装パネル33に形成されており、透明部材20に対向する位置で外装パネル33を厚み方向に貫通している。この開口部45には、透明板47が嵌め込まれている。透明板47は、透明部材20と同様に、可視光を透過させる樹脂やソーダガラス等から形成されている。
なお、この効果を得る目的において、透明板47は必須ではないが、開口部45に透明板47を設けることにより、外装パネル33の内側への塵埃の侵入を防止できる。
このようにプリズム48を用いることで、透明板47を用いた場合には捕捉し得なかった室内光Lをも取り込んで、光触媒膜21により多くの可視光を供給することができる。
なお、透明部材20の平面視において、プリズム48が設けられていない領域があり、その領域からも外部光が透明部材20に入射する。天井の表面に沿って進行する光成分だけでなく、天井の表面に直交する光成分の透明部材20への入射光量も高くするには、例えば、図8(A)の構成において、外装パネル33の開口部45の周縁部にプリズムを配置するのが好ましい。
また、本発明の透明部材は、上記各実施形態で示したものに限らず、その構成は任意である。例えば、ドレンパン13の底部131を貫通するように形成されたドレン27の排出口に着脱自在に設けられるプラグとして、本発明の透明部材を構成することができる。
11 ケース本体
12 室内熱交換器
13 ドレンパン
14 送風機
15 導風板
16 ドレンポンプ
17 ドレン配管
18 ドレンソケット
19 被視物
20,25 透明部材
20a 内面
20b 外面
21 光触媒膜
25a 内面
27 ドレン
33 外装パネル
35 線状の導光部材
45 開口部
47 透明板
48 プリズム
131 底部
160 吸込部
161 下端部
251 第1領域
252 第2領域
Claims (5)
- 室内空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器で発生するドレンが溜まり、内部を視認可能とする透明部材を有するドレン容器と、前記ドレンに接触する位置に、外部から前記透明部材を介して視認される被視物と、を備え、
前記透明部材の前記ドレンに対向する内面、および前記被視物において前記ドレンに接触する面のうち、前記透明部材の前記内面のみに、可視光により励起される光触媒膜が設けられている、
ことを特徴とする空調用室内ユニット。 - 前記被視物は、前記ドレンを吸い込んで配管へと送るドレンポンプの吸込部である、
請求項1に記載の空調用室内ユニット。 - 室内空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器で発生するドレンが溜まり、内部を視認可能とする透明部材を有するドレン容器と、を備え、
前記透明部材の前記ドレンに対向する内面の一部には、可視光により励起される光触媒膜が設けられている、ことを特徴とする空調用室内ユニット。 - 外部の可視光を前記光触媒膜に供給する導光部材を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の空調用室内ユニット。 - 前記導光部材は、外部の可視光を前記透明部材の内面側から前記光触媒に供給する、
請求項4に記載の空調用室内ユニット。
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