JP5868170B2 - コージェネレーションシステム及びその制御方法 - Google Patents
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Description
前記エンジンの排熱により熱負荷へ供給される熱媒を加熱する排熱回収機構部と、
前記エンジンの軸動力により電力負荷へ供給される電力を発電する発電機構部とを備えたコージェネレーションシステム及びその制御方法に関する。
特に、刻々と変化する電力負荷での要求電力に対する熱負荷での要求熱量の割合(以下、「要求熱電比」(=要求熱量/要求電力(量)))に柔軟に対応して、省エネルギ性を向上するために、発電機構部の発電電力に対する排熱回収機構部の発生熱量の割合(以下、「発生熱電比」(=発生熱量/発電電力(量))を上記要求熱電比の変動に応じて変更可能とすることが望まれている。
特許文献1に記載のコージェネレーションシステムでは、一定の軸出力下においてエンジンの点火時期を遅角側に変更することで排ガスの温度が上昇するという特性を利用して、上記発生熱電比を可変としている。即ち、要求熱量が小さく上記要求熱電比率が低い場合には、エンジンの点火時期を軸出力を比較的大きくできる進角側に設定して、電力を優先して発生させる。また、要求熱量が大きく上記要求熱電比率が高い場合には、エンジンの点火時期を排ガス温度を比較的高くできる遅角側に設定して、熱を優先して発生させる。
一方、特許文献2に記載のコージェネレーションシステムでは、一定の軸出力下において混合気の空燃比を空気過剰側からストイキ側へ低下させることで排ガスの温度が上昇するという特性を利用して、同様に発生熱電比を可変としている。
かかる二次励磁発電機を用いた発電システムは、主に風力発電や揚水式発電に用いられるものであるが、エンジンを駆動源とするコージェネレーションシステムにも用いればエンジンの回転速度を自由に選択できるため運転範囲の拡大や商用周波数の異なる地域でのエンジン共通化が可能となる。
また、点火時期や空燃比を大幅に変更すると、燃焼室における燃焼状態が変化するので、安定運転を維持できない場合がある。
混合気を燃焼室にて燃焼させて回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの排熱により熱負荷へ供給される熱媒を加熱する排熱回収機構部と、
前記エンジンの軸動力により電力負荷へ供給される電力を発電する発電機構部とを備えたコージェネレーションシステムであって、
その第1特徴構成は、
前記発電機構部が、
前記電力負荷に接続された一次巻線を備える固定子と、二次巻線を備え前記エンジンの回転動力で回転する回転子とを有する二次励磁発電機と、前記二次巻線に励磁電流を印加する電力変換機とを備えて構成され、
前記熱負荷における要求熱量と前記電力負荷における要求電力とから前記エンジンの目標回転速度と目標トルクとを決定する目標値決定処理を実行する目標値決定手段を備え、
前記目標トルクに基づいて前記励磁電流を制御して、前記エンジンのトルクを前記目標トルクに設定する励磁電流制御を実行する励磁制御手段と、
前記目標回転速度に基づいて前記エンジンの出力を制御して、前記エンジンの回転速度を前記目標回転速度に設定する出力制御を実行する出力制御手段とを備えた点にある。
混合気を燃焼室にて燃焼させて回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの排熱により熱負荷へ供給される熱媒を加熱する排熱回収機構部と、
前記エンジンの軸動力により電力負荷へ供給される電力を発電する発電機構部とを備えたコージェネレーションシステムの制御方法であって、
その第1特徴構成は、
前記発電機構部を、
前記電力負荷に接続された一次巻線を備える固定子と、二次巻線を備え前記エンジンの回転動力で回転する回転子とを有する二次励磁発電機と、前記二次巻線に励磁電流を印加する電力変換機とを備えて構成し、
前記熱負荷における要求熱量と前記電力負荷における要求電力とから前記エンジンの目標回転速度と目標トルクとを決定する目標値決定処理を実行すると共に、
前記目標トルクに基づいて前記励磁電流を制御して、前記エンジンのトルクを前記目標トルクに設定する励磁電流制御と、前記目標回転速度に基づいて前記エンジンの出力を制御して、前記エンジンの回転速度を前記目標回転速度に設定する出力制御とを実行する点にある。
よって、目標値決定手段による目標値決定処理においては、要求熱量と要求電力とから、エンジンの排熱量が要求熱量に適合し且つ二次励磁発電機の発電電力が要求電力に適合してエネルギ効率の向上し得るようなエンジンの目標回転速度と目標トルクとを決定することができる。
そして、励磁制御手段による励磁電流制御では、エンジンから回転子に伝達されるトルクが上記のように決定された目標トルクになるように励磁電流の大きさを制御し、一方、出力制御手段による出力制御では、エンジンから回転子に伝達される回転速度が上記のように決定された目標回転速度になるようにエンジンの出力を制御することで、エンジンは目標回転速度で且つ目標トルクの回転動力を出力するようになる。
従って、コージェネレーションシステムにおいて、エンジンの安定運転を維持しながら、熱負荷に供給される発生熱量に対して電力負荷に供給される発電電力を適切なものに設定してエネルギ効率の向上を図る技術を確立することができる。
前記目標値決定手段が、前記要求電力の増加に伴って前記目標回転速度と前記目標トルクとの積を増加させ、且つ、前記要求熱量の増加に伴って前記目標回転速度を増加させる形態で、前記目標回転速度と前記目標トルクとを決定する点にある。
一方、エンジンでは、回転速度とトルクとの積である仕事量が一定である場合には、回転速度に比例して排熱量が決定されることから、目標値決定手段により、要求熱量の増加に伴って目標回転速度を増加させる形態で目標回転速度が決定される。そして、出力制御手段により、その目標回転速度に基づいてエンジンの出力を制御すれば、要求熱量に適合した排熱をエンジンに発生させることができる。
前記一次巻線が電力系統に接続され、
前記励磁制御手段が、前記励磁電流の周波数及び向きを制御して、前記一次巻線の出力電力の周波数を前記電力系統に同期させる同期制御を実行する点にある。
前記出力制御手段が、前記エンジンの回転速度に基づいて前記エンジンの吸気量をフィードバック制御する手段である点にある。
図1に示すように、コージェネレーションシステム100は、混合気Mを燃焼室1aにて燃焼させて回転動力を出力するエンジン1と、エンジン1の排熱により熱負荷15へ供給される熱媒を加熱する排熱回収機構部100Aと、エンジン1の軸動力により電力負荷61へ供給される電力を発電する発電機構部100Bとを備えて構成されている。
以下、夫々の基本構成について説明する。
エンジン1は、通常の4サイクル式のエンジンとして構成されている。エンジン1の燃焼室1aには、混合気Mを吸引する吸気路3、及び、エンジン1から排出される排ガスEが通流する排気路4が接続されている。吸気路3には、ミキサ8を介して、天然ガス系都市ガス13A等の燃料ガスGを供給する燃料供給路9が接続されている。
吸気路3の端部からエアークリーナ(図示せず)を通じて吸気される燃焼用空気Aは、ミキサ8において燃料供給路9から供給される燃料ガスGと混合されて、混合気Mが形成される。その混合気Mは、吸気路3において、過給機(図示せず)を通過して燃焼室1aに吸気される。燃焼室1aに吸気された混合気Mは、ピストン(図示せず)の上昇により圧縮された状態で点火プラグ(図示省略)にて点火されて燃焼・膨張することで、ピストンを押し下げて出力軸1bが回転し、回転動力が出力される。燃焼により発生した排ガスEは、燃焼室1aから排気路4に押し出され、過給機を回転させた後に、外部に排出される。
更に、このエンジン1には、出力軸1bの回転速度、即ちエンジン1の回転速度を検出する回転速度センサ1cが設けられており、回転速度センサ1cの検出情報は制御装置70に入力されるように構成されている。
即ち、出力制御において、エンジン1の回転速度が目標回転速度に対して低下傾向にある場合には、スロットルバルブ6の開度が拡大されて燃焼室1aへの混合気Mの吸気量が増加され、逆に、エンジン1の回転速度が同目標回転速度に対して上昇傾向にある場合には、スロットルバルブ6の開度が縮小されて燃焼室1aへの混合気Mの吸気量が減少される。このような出力制御により、エンジン1の出力が調整されて、エンジン1の回転速度が設定回転速度付近に維持される。
排熱回収機構部100Aは、エンジン1の排熱により熱負荷15へ供給される熱媒を加熱するものであり、具体的には、エンジン1から排出された排ガスEとの熱交換により水Wを加熱して水蒸気Sを生成する蒸気ボイラ5を備え、その蒸気ボイラ5で生成した水蒸気Sを、吸収式空調装置やその他蒸気利用部などの熱負荷15に供給するように構成されている。
蒸気ボイラ5は、排気路4を通じて排出された排ガスEを熱源として筐体内に取り入れると共に、給水路11を通じて供給された熱媒としての水Wを筐体内に配置された熱交換器12に通流させることで、排ガスEとの熱交換により水Wを加熱して水蒸気Sを生成し、その水蒸気Sを蒸気供給管13側に吐出するように構成されている。
蒸気供給管13には、水蒸気Sの供給量を調整可能な調整弁14が設けられており、その調整弁14の開度は、制御装置70により、水蒸気Sの温度が所望の温度になるように制御される。
発電機構部100Bは、エンジン1の軸動力により電力負荷61へ供給される電力を発電するものであり、具体的には、電力負荷61に接続された一次巻線(図示せず)を備える固定子2b(ステータ)と、二次巻線(図示せず)を備えエンジン1の回転動力で回転する回転子2a(ロータ)とを有する二次励磁発電機2と、二次巻線に励磁電流を印加する電力変換機としての第1電力変換機31及び第2電力変換機32とを備えて構成されており、要求電力としての定格電力に相当する発電電力を出力する。
そして、二次励磁発電機2は、電力系統60と同じ周波数(例えば、50[Hz]や60[Hz])の電力(三相の交流電力)を発電し、当該電力を、電力を消費する電力負荷61や電力系統60に供給することが可能に構成されている。尚、電力負荷61としては、例えば、冷暖房設備が備える室内機や室外機、或いは電灯等がある。
以下の説明では、固定子2bが備える一次巻線側を「二次励磁発電機の一次側」と呼び、回転子2aが備える二次巻線側を「二次励磁発電機の二次側」と呼ぶ場合がある。よって、二次励磁発電機2の一次側に発生する電力(電圧、電流)の周波数が、電力負荷61や電力系統60に供給される電力の周波数となる。
尚、第2電力変換機32と回転子2aの二次巻線との間の励磁電流の向きは、第2電力変換機32から二次巻線へ励磁電流を供給するときの供給方向Xと、二次巻線から第2電力変換機32へ励磁電流を取り出すときの取出方向Yとの間で切り替えられる。
よって、エンジン1の回転速度が変動したとしても、第2電力変換機32を制御して、電力系統60の周波数に対する回転子2aの回転速度の不足分(又は過剰分)に相当する周波数の励磁電流を二次励磁発電機2の二次巻線に供給する(又は二次巻線から取り出す)ことで、第1電力変換機31から電力系統60の周波数と同じ周波数の発電電力が取り出されることになる。
即ち、励磁電流制御において、回転子2aにかかるトルクが目標トルクに対して低下傾向にあり発電電力が一定の定格電力に対して低下傾向にある場合には、励磁電流が拡大されて発電電力が増加され、逆に、回転子2aにかかるトルクが目標トルクに対して上昇傾向にあり発電電力が一定の定格電力に対して上昇傾向にある場合には、励磁電流が縮小されて発電電力が減少される。このような励磁電流制御により、回転子2aにかかるトルクが調整されて、発電電力が要求される定格電力(要求電力)付近に維持される。
目標値決定手段71は、熱負荷15における要求熱量と電力負荷61における要求電力とからエンジン1の目標回転速度と目標トルクとを決定する。
具体的には、二次励磁発電機2の発電電力は、回転子2aにかかる回転速度とトルクとの積で決定されることから、目標値決定手段71は、要求電力の増加に伴って目標回転速度と目標トルクとの積を増加させる形態で、当該積を決定する。尚、本実施形態では、要求電力が一定の定格電力となっているため、エンジン1の仕事量に相当する目標回転速度と目標トルクとの積は一定となる。
更に、エンジン1の排熱量は、回転速度とトルクとの積である仕事量が一定である場合には、回転速度に比例して排熱量が決定されることから、目標値決定手段71は、要求熱量の増加に伴って目標回転速度を増加させる形態で目標回転速度が決定する。
即ち、エンジン1の回転速度が増加しトルクが減少すると、燃焼室1aにおける燃焼温度が上昇して排ガスEの温度が上昇するので、エンジン1の排熱量が増加し、蒸気ボイラ5で生成される水蒸気Sの量を増加させることができる。逆に、エンジン1の回転速度が減少しトルクが増加すると、燃焼室1aにおける燃焼温度が低下して排ガスEの温度が低下するので、エンジン1の排熱量が減少し、蒸気ボイラ5で生成される水蒸気Sの量を減少させることができる。
一方、このように決定された目標回転速度が、出力制御手段72に送られて出力制御で用いられるので、エンジン1から回転子2aに伝達される回転速度が当該目標回転速度になるようにエンジン1の出力が制御される。
従って、エンジン1は目標回転速度で且つ目標トルクの回転動力を出力するようになり、二次励磁発電機2は所望の定格電力の電力を発生し、エンジン1は所望の要求熱量の排熱を発生することになる。
下記表1に示すように、エンジン1の回転速度(回転数)とトルクとを、それらの積に略比例する発電電力を一定としつつ夫々を変化させることで、排ガスEの温度を変化させることができる。具体的には、エンジン1の回転速度を増加させトルクを減少させるほど、排ガスEの温度を上昇させることができる。
(1)上記実施形態においては、排熱回収機構部100Aを、エンジン1から排出された排ガスEとの熱交換により水Wを加熱して水蒸気Sを生成する蒸気ボイラ5を備えたものとして構成したが、別に、エンジンから排出された排ガス又は冷却水との熱交換により水を加熱して温水を生成するものとして構成するなど、適宜改変可能である。
1a :燃焼室
2 :二次励磁発電機
2a :回転子
2b :固定子
15 :熱負荷
31 :第1電力変換機(電力変換機)
32 :第2電力変換機(電力変換機)
60 :電力系統
61 :電力負荷
71 :目標値決定手段
72 :出力制御手段
73 :励磁制御手段
100 :コージェネレーションシステム
100A :排熱回収機構部
100B :発電機構部
E :排ガス
M :混合気
W :水(熱媒)
Claims (5)
- 混合気を燃焼室にて燃焼させて回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの排熱により熱負荷へ供給される熱媒を加熱する排熱回収機構部と、
前記エンジンの軸動力により電力負荷へ供給される電力を発電する発電機構部とを備えたコージェネレーションシステムであって、
前記発電機構部が、
前記電力負荷に接続された一次巻線を備える固定子と、二次巻線を備え前記エンジンの回転動力で回転する回転子とを有する二次励磁発電機と、前記二次巻線に励磁電流を印加する電力変換機とを備えて構成され、
前記熱負荷における要求熱量と前記電力負荷における要求電力とから前記エンジンの目標回転速度と目標トルクとを決定する目標値決定処理を実行する目標値決定手段を備え、
前記目標トルクに基づいて前記励磁電流を制御して、前記エンジンのトルクを前記目標トルクに設定する励磁電流制御を実行する励磁制御手段と、
前記目標回転速度に基づいて前記エンジンの出力を制御して、前記エンジンの回転速度を前記目標回転速度に設定する出力制御を実行する出力制御手段とを備えたコージェネレーションシステム。 - 前記目標値決定手段が、前記要求電力の増加に伴って前記目標回転速度と前記目標トルクとの積を増加させ、且つ、前記要求熱量の増加に伴って前記目標回転速度を増加させる形態で、前記目標回転速度と前記目標トルクとを決定する請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
- 前記一次巻線が電力系統に接続され、
前記励磁制御手段が、前記励磁電流の周波数及び向きを制御して、前記一次巻線の出力電力の周波数を前記電力系統に同期させる同期制御を実行する請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。 - 前記出力制御手段が、前記エンジンの回転速度に基づいて前記エンジンの吸気量をフィードバック制御する手段である請求項1〜3の何れか1項に記載のコージェネレーションシステム。
- 混合気を燃焼室にて燃焼させて回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの排熱により熱負荷へ供給される熱媒を加熱する排熱回収機構部と、
前記エンジンの軸動力により電力負荷へ供給される電力を発電する発電機構部とを備えたコージェネレーションシステムの制御方法であって、
前記発電機構部を、
前記電力負荷に接続された一次巻線を備える固定子と、二次巻線を備え前記エンジンの回転動力で回転する回転子とを有する二次励磁発電機と、前記二次巻線に励磁電流を印加する電力変換機とを備えて構成し、
前記熱負荷における要求熱量と前記電力負荷における要求電力とから前記エンジンの目標回転速度と目標トルクとを決定する目標値決定処理を実行すると共に、
前記目標トルクに基づいて前記励磁電流を制御して、前記エンジンのトルクを前記目標トルクに設定する励磁電流制御と、前記目標回転速度に基づいて前記エンジンの出力を制御して、前記エンジンの回転速度を前記目標回転速度に設定する出力制御とを実行するコージェネレーションシステムの制御方法。
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