JP5866763B2 - モータ駆動制御装置 - Google Patents
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Description
(1)概要
図1は、ブラシレスDCモータ51と、このブラシレスDCモータ51を駆動するための本実施形態に係るモータ駆動制御装置20とを含むモータ駆動制御システム100全体の構成図である。ブラシレスDCモータ51は、ヒートポンプ装置の室外機10(図2参照)に含まれる機器の1つである室外ファン15の駆動源として用いられるファンモータである。モータ駆動制御装置20は、該室外機10内に搭載されている。
ここで、室外機10について、図2を用いて簡単に説明する。ここではヒートポンプ装置として、ヒートポンプ式給湯器の室外機を例として説明を行なう。室外機10は、主として、圧縮機11、水熱交換器12、膨張弁13、蒸発器14及び室外ファン15等の様々な機器を有している。圧縮機11、水熱交換器12、膨張弁13及び蒸発器14は、順次接続されて冷凍サイクルを構成している。圧縮機11は、冷凍サイクル内を循環する冷媒を圧縮する。水熱交換器12には、室外機10と接続された貯湯タンクユニット(図示せず)から送られてくる水が通る熱交換水路16が設けられており、熱交換水路16中を流れる水と冷媒との間で熱交換を行うことができる。膨張弁13は、電気的に制御される電動弁であって、冷凍サイクル内を循環する冷媒を減圧する。蒸発器14は、冷媒サイクル内の冷媒と空気との間で熱交換を行わせ、冷媒を蒸発させるためのものである。室外ファン15は、例えばプロペラファンであって、回転により室外機10外部からの空気を蒸発器14に案内する。
次に、ブラシレスDCモータ51について説明する。本実施形態に係るブラシレスDCモータ51は、3相モータであり、ステータ52と、ロータ53とを備えている。ステータ52は、スター結線されたU相、V相及びW相の駆動コイルLu,Lv,Lwを含む。各駆動コイルLu,Lv,Lwの一方端は、それぞれインバータ25から延びるU相、V相及びW相の各配線の駆動コイル端子TU,TV,TWに接続されている。各駆動コイルLu,Lv,Lwの他方端は、互いに端子TNとして接続されている。これら3相の駆動コイルLu,Lv,Lwは、ロータ53が回転することによりその回転速度とロータ53の位置に応じた誘起電圧を発生させる。
次いで、本時実施形態に係るモータ駆動制御装置20の構成について説明する。本実施形態に係るモータ駆動制御装置20は、図1に示すように、整流部21と、平滑コンデンサ22と、電圧検出部23と、電流検出部24と、インバータ25と、ゲート駆動回路26と、起動前回転数検出部27と、センサレス制御回路28(センサレス推定部に相当)と、マイクロコンピュータ29(制御部に相当)と、切換回路30とを備える。
整流部21は、4つのダイオードD1a,D1b,D2a,D2bによってブリッジ状に構成されている。具体的には、ダイオードD1aとD1b、D2aとD2bは、それぞれ互いに直列に接続されている。ダイオードD1a,D2aの各カソード端子は、共に平滑コンデンサ22のプラス側端子に接続されており、整流部21の正側出力端子として機能する。ダイオードD1b,D2bの各アノード端子同士は平滑コンデンサ22のマイナス側端子に接続されており、整流部21の負側出力端子として機能する。ダイオードD1a,D1b同士の接続点及びダイオードD2a,D2b同士の接続点は、それぞれ商用電源91に接続されている。即ち、ダイオードD1a,D1b同士の接続点、及びダイオードD2a,D2b同士の接続点は、それぞれ整流部21の入力の役割を担っている。
平滑コンデンサ22は、一端が整流部21の正側出力端子に接続され、他端が整流部21の負側出力端子に接続されている。平滑コンデンサ22は、整流部21から供給された直流電源、つまりは整流部21によって整流された電圧を平滑する。以下、説明の便宜上、平滑コンデンサ22による平滑後の電圧を“平滑後電圧Vfl”という。この平滑後電圧Vflは、直流電源に係る電圧よりも更にリップルの低い電圧となっており、平滑コンデンサ22の後段、即ち出力側に接続されたインバータ25に印加される。
電圧検出部23は、平滑コンデンサ22の出力側に接続されており、平滑コンデンサ22の両端電圧、即ち平滑後電圧Vflの値を検出するためのものである。特に、電圧検出部23は、ファンモータ51の起動後に電圧検出動作を行う。
電流検出部24は、平滑コンデンサ22及びインバータ25の間であって、かつ平滑コンデンサ22の負側出力端子側に接続されている。電流検出部24は、ファンモータ51の起動後、ファンモータ51に流れるモータ電流Imを検出する。
インバータ25は、平滑コンデンサ22の出力側に接続されている。インバータ25は、図1に示すように、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタという)Q3a,Q3b,Q4a,Q4b,Q5a,Q5b及び複数の還流用ダイオードD3a,D3b,D4a,D4b,D5a,D5bを含む。トランジスタQ3aとQ3b、Q4aとQ4b、Q5aとQ5bは、それぞれ互いに直列に接続されており、各ダイオードD3a〜D5bは、各トランジスタQ3a〜Q5bに、トランジスタのコレクタ端子とダイオードのカソード端子が、また、トランジスタのエミッタ端子とダイオードのアノード端子が接続されるよう、並列接続されている。インバータ25は、平滑コンデンサ22からの平滑後電圧が印加され、かつゲート駆動回路26により指示されたタイミングで各トランジスタQ3a〜Q5bがオン及びオフを行うことで、ファンモータ51を駆動するための駆動電圧SU,SV,SWを生成する。この駆動電圧SU,SV,SWは、各トランジスタQ3aとQ3b、Q4aとQ4b、Q5aとQ5bの各接続点NU,NV,NWからファンモータ51に出力される。即ち、インバータ25は、ファンモータ51に電力を供給する。
ゲート駆動回路26は、センサレス制御回路28からの指令電圧Vpwmに基づき、インバータ25の各トランジスタQ3a〜Q5bのオン及びオフの状態を変化させる。具体的には、ゲート駆動回路26は、センサレス制御回路28によって決定されたデューティを有する駆動電圧SU,SV,SWがインバータ25からファンモータ51に出力されるように、各トランジスタQ3a〜Q5bのゲートに印加するゲート制御電圧Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gzを生成する。生成されたゲート制御電圧Gu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gzは、それぞれのトランジスタQ3a〜Q5bのゲート端子に印加される。
起動前回転数検出部27は、入力がファンモータ51のW相の駆動コイル端子TWと接続されており、出力が切換回路30に接続されている。即ち、起動前回転数検出部27は、インバータ25よりも後段側に位置していると言える。この起動前回転数検出部27は、主に起動前においてファンモータ51が回転している際に、該モータ51から発生する誘起電圧Vwnに基づいて、起動前のファンモータ51の回転数を検出する。
センサレス制御回路28は、インバータ25の前段側における電圧検出部23、電流検出部24と接続されていると共に、ゲート駆動回路26、マイクロコンピュータ29及び切換回路30とも接続されている。センサレス制御回路28は、ファンモータ51をロータ位置センサレス方式にて駆動させる回路である。
マイクロコンピュータ29は、図1に示すように、主として、切換回路30及びセンサレス制御回路28と接続されている。また、図示してはいないが、マイクロコンピュータ29は、室外機10の各機器を統括して制御する室外機側制御部とも接続されている。
ここで、マイクロコンピュータ29がファンモータ51を起動する際の制御について説明する。ファンモータ51の起動前には、マイクロコンピュータ29には、必ず第1回転数信号FG1が入力される。そこで、ファンモータ51の起動前、マイクロコンピュータ29は、第1回転数信号FG1と所定回転数とを比較し、起動前のファンモータ51の回転数が所定回転数以上か否かを判断する。第1回転数信号FG1に示される回転数が所定回転数以上であれば、既に風等の影響によりファンモータ51が十分な回転数で回転しており、あえてファンモータ51を起動させずとも蒸発器14には十分な空気が送られていることから、マイクロコンピュータ29は、ファンモータ51を起動させないままの状態を保つ。つまり、この場合には、マイクロコンピュータ29からセンサレス制御回路28へは、ファンモータ51の起動指令を含む運転指令が送られないため、インバータ25の各トランジスタQ3a〜Q5bは、オフの状態を保ったままとなる。逆に、第1回転数信号FG1が所定回転数未満であれば、現時点においては蒸発器14には十分な空気が送られていないこととなるため、マイクロコンピュータ29は、ファンモータ51を起動させる。この場合には、マイクロコンピュータ29からセンサレス制御回路28へは、ファンモータ51の起動指令及び回転数指令Vfgを含む運転指令が送られ、インバータ25の各トランジスタQ3a〜Q5bは異なるタイミングでオン及びオフし出す。
ファンモータ51が起動した後、やがてマイクロコンピュータ29に入力される回転数信号は第1回転数信号FG1ではなく第2回転数信号FG2となり、マイクロコンピュータ29は、第2回転数信号FG2に基づいてファンモータ51の運転指令を出力することとなる。
切換回路30は、起動前回転数検出部27、センサレス制御回路28及びマイクロコンピュータ29と接続されたスイッチで構成されている。切換回路30は、センサレス制御回路28からの切換動作の制御に基づき、マイクロコンピュータ29への回転数信号の切換動作を行う。
ここで、切換回路30が回転数入力ポートpo1の接続先を起動前回転数検出部27側からセンサレス制御回路28側へと切り換えるタイミングについて説明する。切換回路30は、ファンモータ51が起動した後であってかつ所定のタイミングに、マイクロコンピュータ29に入力される回転数信号を第1回転数信号FG1から第2回転数信号FG2へと切り換えるが、この「所定のタイミング」としては、以下の3つのパターンが考えられる。
(パターンA)先ず、起動直後にロータ位置及び回転数の検出がなされる。その検出結果に応じて、センサレス制御回路28は、ファンモータ51に対し強制通電を行い、ロータ53の位置を所定位置に固定させる。この動作により、センサレス制御回路28は、ロータ位置を推定できるようになる。切換回路30は、センサレス制御回路28によるロータ位置の推定動作が可能となったタイミングで、回転数信号の切換動作を行う。
(パターンB)上述したパターンAにおけるロータ位置及び回転数の検出がなされることなく、センサレス制御回路28は、ファンモータ51に対し強制通電を行い、ロータ位置を所定位置に固定させる。この動作により、センサレス制御回路28は、ロータ位置を推定できるようになるため、切換回路30は、センサレス制御回路28によるロータ位置の推定動作が可能となったタイミングで、回転数信号の切換動作を行う。
(パターンC)風等の影響により既に回転している状態のファンモータ51が、あえて起動したとする。この際、既に回転している該モータ51の回転数等の状態により、センサレス制御回路28は、ロータ位置及び回転数の検出が可能な場合がある。この場合には、ファンモータ51に対する強制通電を行わずとも、センサレス制御回路28は、ロータ位置を推定できる。従って、切換回路30は、センサレス制御回路28によるロータ位置の推定動作が可能となったタイミングで、回転数信号の切換動作を行う。
次に、本実施形態のモータ駆動制御装置20の動作について、図5を用いて説明する。図5は、モータ駆動制御装置20が行う動作を示すフロー図である。初めに、切換回路30は、マイクロコンピュータ29の回転数入力ポートpo1と起動前回転数検出部27における第1回転数信号FG1の出力ポートとを接続している状態であるとする。
(4−1)
本実施形態に係るモータ駆動制御装置20によると、ファンモータ51の起動前には、起動前回転数検出部27によって検出された起動前のファンモータ51の回転数(つまり、第1回転数信号FG1)がマイクロコンピュータ29に入力される。ファンモータ51の起動後には、センサレス制御回路28によって推定された起動後のファンモータ51の回転数(つまり、第2回転数信号FG2)がマイクロコンピュータ29に入力される。このように、切換回路30によって、マイクロコンピュータ29に入力される回転数信号が切り換えられる。従って、マイクロコンピュータ29は、起動前のファンモータ51の回転数を容易に把握でき、更に起動後はロータ位置センサレス方式にて推定されたファンモータ51の回転数をファンモータ51の制御に利用することができる。従って、モータ駆動制御装置20は、起動前のファンモータ51の回転数を把握しつつ、起動後はロータ位置センサレス方式にて高性能なファンモータ51の駆動制御を行うことができる。
また、本実施形態においては、起動前回転数検出部27、センサレス制御回路28及び切換回路30が、1つの集積回路パッケージ内にパッケージングされている。これにより、モータ駆動制御装置20自体が非常にコンパクトとなるため、ひいてはモータ駆動制御装置20を搭載している室外機10の小型化が図れる。
また、本実施形態に係るモータ駆動制御装置20によると、ファンモータ51が起動している場合において、センサレス制御回路28によるロータ位置の推定の際には、ファンモータ51の制御に関する所定の数式モデルが用いられる。そのため、ロータ位置は精度良く推定され得る。
即ち、本実施形態に係るモータ駆動制御装置20によると、インバータ25の制御が行われている時のみ、センサレス制御回路28によるロータ位置が推定されるため、ロータ位置は確実に推定され得る。また、インバータ25の制御に通常用いられる電圧検出部23及び電流検出部24を、ロータ位置の推定にそのまま用いることができるため、新たな回路を追加することなくモータ駆動制御装置20を安価にかつ小型に製造することができる。
また、本実施形態では、センサレス制御回路28は、起動前のファンモータ51の回転数を推定できないが、起動前のファンモータ51の回転数を把握する機能部は“起動前回転数検出部27”として備えられている。そして、マイクロコンピュータ29によるモータ制御にて用いられる回転数信号FG1,FG2は、ファンモータ51の起動前後で切り替わる。これにより、簡単な構成によって、起動前のファンモータ51の回転数(つまり、第1回転数信号FG1)を容易に把握でき、更に起動後はロータ位置センサレス方式にて推定されたモータの回転数(つまり、第2回転数信号FG2)がモータ制御に利用されることとなる。従って、モータ駆動制御装置20は、起動前のファンモータ51の回転数を把握しつつ、起動後はロータ位置センサレス方式にて高性能なファンモータ51の駆動制御を行うことができる。
また、本実施形態に係る起動前回転数検出部27は、ファンモータ51の制御に関する所定の数式モデルを用いずに、起動前のファンモータ51の回転数の検出を行う。即ち、起動前回転数検出部27は、数式モデルを用いるような、所謂ロータ位置センサレス方式でファンモータ51の回転数を検出するものではない。そのため、起動前回転数検出部27は、ファンモータ51が起動していなくとも、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
更に、本実施形態に係る起動前回転数検出部27は、ファンモータ51に通電を行ってロータ位置を推定するような、所謂ロータ位置センサレス方式でモータの回転数を検出するものではない。そのため、起動前回転数検出部27は、ファンモータ51が起動していなくとも、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
更に、本実施形態に係る起動前回転数検出部27は、インバータ25の制御が行われていないファンモータ51の起動前においても、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
具体的に、本実施形態に係る起動前回転数検出部27は、起動前であってもファンモータ51が回転していれば発生するであろう誘起電圧Vwnに基づいて、起動前のファンモータ51の回転数を検出する。そのため、比較的簡単な構成にて、起動前のファンモータ51の回転数を検出することができる。
起動前のファンモータ51が風等の影響により既に回転している状態において、その回転数が所定回転数以上であれば、室外機10内の蒸発器14には既に十分な空気が送られており、熱交換を行なうことができる状態であるため、本実施形態に係るモータ駆動制御装置20は、あえてファンモータ51を起動させない。逆に、回転数が所定回転数未満であれば、仮にファンモータ51が回転しているとしても、室外機10内の蒸発器14に送られている空気の量は不十分であるとして、モータ駆動制御装置20はファンモータ51を起動させる。このように、起動前のファンモータ51の回転数に応じてファンモータ51の起動実行が制御されるため、ファンモータ51の起動による消費電力の量を最小限にとどめることができる。そして、当該モータ駆動制御装置20が搭載されるヒートポンプ装置としての性能を低下させることもない。また、起動直前の回転状態が限定されるため、突風などの外乱が入ったとしても、モータ電流や駆動電圧の増加が過大となることもなく、過電流や過電圧によってモータ駆動制御システム100が停止することもない。
第1回転数信号FG1から第2回転数信号FG2への信号の切換動作は、ファンモータ51の起動後であり、かつセンサレス制御回路28によるロータ位置の推定が可能となった場合に行われる。センサレス制御回路28がロータ位置を推定できるようになったということは、即ち推定したロータ位置に基づいてファンモータ51の回転数を推定可能となったことを意味する。従って、ファンモータ51は、ロータ位置センサレス方式にて、確実に駆動されることとなる。
第1回転数信号FG1の信号形式は、第2回転数信号FG2の信号形式と同一である。これにより、マイクロコンピュータ29は、該信号用の入力ポートを1つのみとすることができる。従って、第1回転数信号FG1または第2回転数信号FG2のいずれかが入力された場合であっても、入力された信号に応じて制御方式を変えずに済む。
本実施形態に係るマイクロコンピュータ29は、第1回転数信号FG1及び第2回転数信号FG2に基づいて、センサレス制御回路28における異常の有無を判断することができる。従って、モータ駆動制御装置20は、センサレス制御回路28の状態に応じて、ファンモータ51の起動を直ちに停止させたりする制御を行うことができ、高い安全性を保つことができる。
モータ51は、ヒートポンプ装置の室外機10に含まれる機器の1つである室外ファン15の駆動源である。このモータ駆動制御装置20によると、室外ファン15が風等の影響により起動前から回転していても、起動前のファンモータ51の回転数を容易に把握することができ、かつ起動後も精密にファンモータ51の駆動制御を行うことができる。
(5−1)変形例1A
上記第1実施形態では、センサレス制御回路28は、ファンモータ51の起動後のロータ位置の推定を、ファンモータ51の制御に関する所定の数式モデルを用いて行うと説明した。しかし、センサレス制御回路28は、駆動中のファンモータ51に対しロータ位置検出用の電流を流すことで、ロータ位置を推定してもよい。この手法であれば、ロータ位置は、通電状態における情報(例えば駆動電圧やモータ電流など)の利用により、精度良く推定され得る。
また、上記第1実施形態では、起動前回転数検出部27が、ファンモータ51における誘起電圧Vwmを用いてファンモータ51の回転数を検出すると説明した。しかし、起動前回転数検出部27は、起動前のファンモータ51におけるロータ位置を推定し、その結果を用いて起動前のファンモータ51の回転数の検出を行ってもよい。つまり、この場合の起動前回転数検出部27は、所謂ロータ位置センサレス方式のように起動前にはファンモータ51の回転数を検出できないような構成なのではなく、起動前のロータ位置を推定できるセンサレス方式が採用されている。これにより、起動前回転数検出部27は、ファンモータ51の起動前においても、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
上記第1実施形態では、図3に示すように、起動前回転数検出部27は、1相分の誘起電圧のみを用いて、起動前のファンモータ51の回転数の検出を行っていた。しかし、起動前のファンモータ51の回転数の検出において用いられる誘起電圧は、1相分ではなく、2相分や3相分全てであってもよい。また、図3では、起動前のファンモータ51の回転数の検出においては、W相の誘起電圧が用いられていたが、W相の代わりにU相やV相の誘起電圧が用いられても良いし、上記第1実施形態に係る検出方式に限定されるものではない。
上記第1実施形態では、第1回転数信号FG1及び第2回転数信号FG2が、パルス信号であると説明した。しかし、第1回転数信号FG1及び第2回転数信号FG2は、回転数が電圧値となって現れている、直流電圧信号であってもよい。
上記第1実施形態では、切換回路30がスイッチで構成されると説明した。しかし、切換回路30は、スイッチではなく、論理回路等で構成されていてもよい。
上記第1実施形態では、モータ駆動制御装置20が、ファンモータ51のみを駆動する場合について説明した。しかし、上述したモータ駆動制御装置は、図6に示すように、ファンモータ51が圧縮機用モータ61と並列に接続された構成において、各モータ51,61を駆動制御する場合にも適用することができる。
また、上記第1実施形態では、第1回転数信号FG1から第2回転数信号FG2への切換動作を、起動前/起動後として説明してきたが、一度所定回転数で駆動した後に駆動を停止し、減速途中の回転中に再起動を行なう場合においても、本方式に係る切換動作を適用できることは、言うまでもない。
上記第1実施形態では、マイクロコンピュータ29に入力されるファンモータ51の回転数信号FG1,FG2が、モータ51の起動前と起動後とで、切換回路30によってハード的に切り換えられる場合について説明した。本実施形態では、回転数信号の切換動作がハード的な構成によってではなく、ソフト的な構成によって行われる場合について説明する。
図7は、ブラシレスDCモータであるファンモータ51と、このファンモータ51を駆動するための本実施形態に係るモータ駆動制御装置220とを含むモータ駆動システム300全体の構成図である。モータ駆動制御装置220は、整流部221と、平滑コンデンサ222と、電圧検出部223と、電流検出部224と、インバータ225と、ゲート駆動回路226と、起動前回転数検出部227と、センサレス制御回路228(センサレス推定部に相当)と、マイクロコンピュータ229(制御部に相当)とを備える。即ち、本実施形態に係るモータ駆動制御装置220は、上記第1実施形態に係るモータ駆動制御装置20において、切換回路30を備えていない構成となっている。モータ駆動制御装置220を構成するこれらの機能部は、例えば1枚のプリント基板に実装されている。ゲート駆動回路226、起動前回転数検出部227及びセンサレス制御回路228は、例えば1つの集積回路パッケージpa201内にパッケージングされており、1つのICやHICで構成されている。
マイクロコンピュータ229は、起動前回転数検出部227及びセンサレス制御回路228と直接接続されており、起動前回転数検出部227の検出結果である第1回転数信号FG1とセンサレス制御回路228の検出結果である第2回転数信号FG2とが入力されるようになっている。即ち、マイクロコンピュータ229は、回転数信号の入力用のポートとして、2つの回転数入力ポートpo11,po12を有している。
(2−1)
本実施形態に係るモータ駆動制御装置220によると、ファンモータ51の起動前には、起動前回転数検出部227によって検出された起動前のファンモータ51の回転数(つまり、第1回転数信号FG1)がモータ制御に用いられ、ファンモータ51の起動後には、センサレス制御回路228によって推定された起動後のファンモータ51の回転数(つまり、第2回転数信号FG2)がモータ制御に用いられるように、マイクロコンピュータ229内部において信号の切換が行われる。これにより、マイクロコンピュータ229は、起動前のファンモータ51の回転数を容易に把握でき、更に起動後はロータ位置センサレス方式にて推定されたファンモータ51の回転数をモータの制御に利用することができる。従って、起動前のファンモータ51の回転数を把握しつつ、起動後はロータ位置センサレス方式にて高性能なファンモータ51の駆動制御を行うことができる。
また、本実施形態に係るモータ駆動制御装置220においても、センサレス制御回路228によるロータ位置の推定の際には、ファンモータ51の制御に関する所定の数式モデルが用いられる。そのため、ロータ位置は精度良く推定され得る。
つまり、本実施形態においても、インバータ225の制御が行われている時のみ、センサレス制御回路228によるロータ位置が推定されるため、ロータ位置は確実に推定され得る。また、インバータ225の制御に通常用いられる電圧検出部223及び電流検出部224を、ロータ位置の推定にそのまま用いることができるため、新たな回路を追加することなくモータ駆動制御装置220を安価にかつ小型に製造することができる。
また、本実施形態においても、センサレス制御回路228は、起動前のファンモータ51の回転数を推定できないが、起動前のファンモータ51の回転数を把握する機能部は“起動前回転数検出部227”として備えられている。そして、マイクロコンピュータ229によるモータ制御にて用いられる回転数信号FG1,FG2は、ファンモータ51の起動前後で切り替わる。これにより、簡単な構成によって、起動前のファンモータ51回転数である第1回転数信号FG1を容易に把握でき、更に起動後はロータ位置センサレス方式にて推定されたモータの回転数である第2回転数信号FG2がモータ制御に利用されることとなる。従って、モータ駆動制御装置220は、起動前のファンモータ51の回転数を把握しつつ、起動後はロータ位置センサレス方式にて高性能なファンモータ51の駆動制御を行うことができる。
また、本実施形態においても、起動前回転数検出部227は、ファンモータ51の制御に関する所定の数式モデルを用いずに、起動前のファンモータ51の回転数の検出を行う。そのため、起動前回転数検出部227は、ファンモータ51が起動していなくとも、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
更に、本実施形態においても、起動前回転数検出部227は、ファンモータ51に電流を流さずに、起動前のファンモータ51の回転数の検出を行う。そのため、起動前回転数検出部227は、ファンモータ51が起動していなくとも、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
更に、本実施形態においても、起動前回転数検出部227は、インバータ225の制御が行われていないファンモータ51の起動前においても、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
本実施形態においても、起動前回転数検出部227は、ファンモータ51にて発生する誘起電圧Vwnに基づいて、起動前のファンモータ51の回転数を検出する簡単な構成となっている。
本実施形態においても、起動前のファンモータ51が風等の影響により既に回転している状態において、その回転数が所定回転数以上であれば、室外機10内の蒸発器14には既に十分な空気が送られていることとなるため、モータ駆動制御装置220は、あえてファンモータ51を起動させない。逆に、回転数が所定回転数未満であれば、仮にファンモータ51が回転しているとしても、室外機10内の蒸発器14に送られている空気の量は不十分であるとして、モータ駆動制御装置220はファンモータ51を起動させる。従って、起動前のファンモータ51の回転数に応じて該モータ51の起動実行が制御されるため、ファンモータ51の起動による消費電力の量を最小限にとどめることができる。そして、当該モータ駆動制御装置220が搭載されるヒートポンプ装置としての性能を低下させることもない。また、起動直前の回転状態が限定されるため、突風などの外乱が入ったとしても、モータ電流やモータ51に印加される電圧の増加が過大となることもなく、過電流や過電圧によってシステム300が停止することもない。
切換手段229aによる第1回転数信号FG1から第2回転数信号FG2への信号の切換動作は、ファンモータ51の起動後であり、かつセンサレス制御回路228によるロータ位置の推定が可能となった場合に行われる。センサレス制御回路228がロータ位置を推定できるようになったということは、即ち推定したロータ位置に基づいてファンモータ51の回転数を推定可能となったことを意味するため、ファンモータ51は、ロータ位置センサレス方式にて、確実に駆動されることとなる。
本実施形態においても、第1回転数信号FG1の信号形式は、第2回転数信号FG2の信号形式と同一であることが好ましい。マイクロコンピュータ229は、用いる回転数信号に応じて制御方式を変更せずに済むからである。
本実施形態においても、マイクロコンピュータ229は、第1回転数信号FG1及び第2回転数信号FG2に基づいて、センサレス制御回路228における異常の有無を判断することができる。従って、モータ駆動制御装置220は、センサレス制御回路228の状態に応じて、ファンモータ51の起動を直ちに停止させたりする制御を行うことができ、高い安全性を保つことができる。
モータ51は、ヒートポンプ装置の室外機10に含まれる機器の1つである室外ファン15の駆動源である。従って、室外ファン15が風等の影響により起動前から回転していても、起動前のファンモータ51の回転数は容易に把握され、かつ起動後も高性能なファンモータ51の駆動制御が行われる。
(3−1)変形例2A
上記第2実施形態においても、上記第1実施形態に係る変形例1Aと同様、センサレス制御回路228は、駆動中のファンモータ51に対しロータ位置検出用の電流を強制的に流すことで、ロータ位置を推定してもよい。この手法を用いても、ロータ位置は精度良く推定され得る。
上記第2実施形態においても、上記第1実施形態に係る変形例1Bと同様、起動前回転数検出部227は、起動前のファンモータ51におけるロータ位置を推定し、その結果を用いて起動前のファンモータ51の回転数の検出を行ってもよい。これにより、起動前回転数検出部227は、ファンモータ51の起動前においても、確実にファンモータ51の回転数を検出することができる。
上記第2実施形態においても、上記第1実施形態に係る変形例1Cと同様、起動前のファンモータ51の回転数の検出において用いられる誘起電圧は、1相分ではなく、2相分や3相分全てであってもよい。また、W相の誘起電圧Vwnの代わりにU相やV相の誘起電圧が用いられても良いし、上記第2実施形態に係る検出方式に限定されるものではない。
上記第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、第1回転数信号FG1及び第2回転数信号FG2は、ファンモータ51の回転数に応じた周期を有するパルス信号、または信号の周波数は固定であるが該モータ51の回転数に応じたデューティを有するパルス信号であることができる。また、第1回転数信号FG1及び第2回転数信号FG2は、回転数が電圧値となって現れている直流電圧信号であることもできる。
上記第2実施形態に係るモータ駆動制御装置220は、上記第1実施形態に係る変形例1Fと同様、ファンモータ51が圧縮機用モータ61と並列に接続された構成にも適用できる。
上記第2実施形態では、マイクロコンピュータ229にて第1回転数信号FG1と第2回転数信号FG2との切り替えが行われ、当該マイクロコンピュータ229にてファンモータ51の制御が行なわれる場合を示した。しかし、当該マイクロコンピュータ229よりも更に上位の制御手段(図示していないマイクロコンピュータや制御回路。例えば室外制御部)に、切り替えた結果としての回転数信号を伝達する構成であっても良い。
また、上記第2実施形態では、第1回転数信号FG1から第2回転数信号FG2への切換動作を、起動前/起動後として説明してきたが、一度所定回転数で駆動した後に駆動を停止し、減速途中の回転中に再起動を行なう場合においても、本方式に係る切換動作を適用できることは、言うまでもない。
14 蒸発器
15 室外ファン
20 モータ駆動制御装置
21 整流部
22 平滑コンデンサ
23 電圧検出部
24 電流検出部
25 インバータ
26 ゲート駆動回路
27 起動前回転数検出部
28 センサレス制御回路
29 マイクロコンピュータ
30 切換回路
51 モータ
100 モータ駆動制御システム
61 圧縮機用モータ
Claims (17)
- 起動前のモータ(51)の回転数を検出する起動前回転数検出部(27)と、
ロータ位置センサレス方式にて起動後の前記モータのロータ位置を推定すると共に、推定した前記ロータ位置に基づいて前記モータの回転数を推定するセンサレス推定部(28)と、
前記起動前回転数検出部(27)により検出された前記モータの回転数を示す第1回転数信号(FG1)、または前記センサレス推定部(28)により推定された前記モータの回転数を示す第2回転数信号(FG2)に基づいて、前記モータの制御を行う制御部(29)と、
前記モータの起動前には前記第1回転数信号(FG1)が前記制御部に入力され、前記モータの起動後には前記第2回転数信号(FG2)が前記制御部に入力されるように、前記制御部(29)への信号の切換動作を行う切換回路(30)と、
を備え、
前記制御部(29)は、前記第1回転数信号(FG1)及び前記第2回転数信号(FG2)に基づいて、前記センサレス推定部(28)における異常の有無を判断する、モータ駆動制御装置(20)。 - 前記起動前回転数検出部(27)、前記センサレス推定部(28)及び前記切換回路(30)は、1つの集積回路パッケージ内にパッケージングされている、
請求項1に記載のモータ駆動制御装置(20)。 - 起動前のモータ(51)の回転数を検出する起動前回転数検出部(227)と、
ロータ位置センサレス方式にて起動後の前記モータのロータ位置を推定すると共に、推定した前記ロータ位置に基づいて前記モータの回転数を推定するセンサレス推定部(228)と、
前記起動前回転数検出部(227)により検出された前記モータの回転数を示す第1回転数信号(FG1)、または前記センサレス推定部(228)により推定された前記モータの回転数を示す第2回転数信号(FG2)に基づいて、前記モータの制御を行う制御部(229)と、
を備え、
前記制御部(229)は、前記モータの起動前には前記第1回転数信号(FG1)に基づいて前記モータを制御し、前記モータの起動後には前記第2回転数信号(FG2)に基づいて前記モータを制御するように、前記モータの制御の際に用いる信号の切換動作を行う切換手段(229a)を有し、前記第1回転数信号(FG1)及び前記第2回転数信号(FG2)に基づいて、前記センサレス推定部(228)における異常の有無を判断する、モータ駆動制御装置(220)。 - 前記センサレス推定部(28,228)は、前記モータの制御に関する所定の数式モデルを用いて前記ロータ位置を推定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記センサレス推定部(28,228)は、前記モータに電流を流すことで前記ロータ位置を推定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記モータに電力を供給するインバータ(25,225)、
を更に備え、
前記センサレス推定部(28,228)は、前記インバータの制御が行われている時のみ、前記ロータ位置の推定を行う、
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記センサレス推定部(28,228)は、起動前の前記モータの回転数を推定できない、
請求項1から6のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記起動前回転数検出部(27,227)は、前記モータの制御に関する所定の数式モデルを用いずに、起動前の前記モータの回転数の検出を行う、
請求項1から7のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記起動前回転数検出部(27,227)は、前記モータに電流を流さずに起動前の前記モータの回転数の検出を行う、
請求項1から8のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記モータに電力を供給するインバータ(25,225)、
を更に備え、
前記起動前回転数検出部(27,227)は、前記インバータの制御が行われていなくても、起動前の前記モータの回転数の検出を行う、
請求項1から9のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記起動前回転数検出部(27,227)は、起動前の前記ロータ位置を推定し、その結果を用いて起動前の前記モータの回転数の検出を行う、
請求項8から10のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記起動前回転数検出部(27,227)は、起動前の前記モータに発生する誘起電圧に基づいて、起動前の前記モータの回転数を検出する、
請求項8から10のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記制御部(29,229)は、
前記第1回転数信号(FG1)が所定回転数未満の場合、前記モータをロータ位置センサレス方式にて起動させ、
前記第1回転数信号(FG1)が前記所定回転数以上の場合、前記モータを起動させない、
請求項1から12のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記第1回転数信号(FG1)から前記第2回転数信号(FG2)への信号の前記切換動作は、前記センサレス推定部による前記ロータ位置の推定が可能となった場合に行われる、
請求項1から13のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記第1回転数信号(FG1)の信号形式は、前記第2回転数信号(FG2)の信号形式と同一である、
請求項1から14のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置(20,220)。 - 前記制御部は、前記第1回転数信号(FG1)と前記第2回転数信号(FG2)とが異なっている場合に、前記センサレス推定部(28,228)に異常があると判断する、
請求項1から15のいずれか一項に記載のモータ駆動制御装置(20)。 - 前記制御部は、前記第1回転数信号(FG1)が0rpm以外の回転数を示し且つ前記第2回転数信号(FG2)が0rpmの回転数を示している場合に、前記センサレス推定部(28,228)に異常があると判断する、
請求項16に記載のモータ駆動制御装置(20)。
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