JP2021164191A - モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法 Download PDF

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    • H02P6/185Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements using inductance sensing, e.g. pulse excitation

Abstract

【課題】1シャント電流検出方式において、磁極位置の推定精度を確保すること。【解決手段】通電パターンに従って、全アームのうちの一部のアームをオンすることで、ロータが停止又は極低速の状態のモータを通電させるインバータと、前記インバータの直流側に接続される電流検出器と、前記一部のアームのオンにより前記電流検出器に流れる電流が電流閾値に到達すると、前記全アームをオフさせ、前記全アームのオフ後の前記電流の減少期間において前記一部のアームと同じアームをオンさせることで前記電流を測定し、前記電流の通電パターン毎の測定値の違いに基づいて、前記状態での前記ロータの磁極位置を推定する初期位置推定部と、を備える、モータ制御装置。【選択図】図1

Description

本開示は、モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法に関する。
従来、定電流制御状態において同期電動機の各相のスイッチング素子のゲートを遮断した後に同期電動機の各相に流れる減衰中の電流を検出し、検出された減衰中の電流に基づいて、回転子の初期磁極位置を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−19454号公報
しかしながら、従来の技術は、同期電動機の各相に流れる電流を検出するタイプのため、いわゆる1シャント電流検出方式には適用できない。また、減衰中の電流のみに基づいて初期磁極位置を推定するため、その推定精度を確保することが難しいことがある。
本開示は、1シャント電流検出方式において、磁極位置の推定精度を確保可能なモータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法を提供する。
本開示の一実施の形態に係るモータ制御装置は、
通電パターンに従って、全アームのうちの一部のアームをオンすることで、ロータが停止又は極低速の状態のモータを通電させるインバータと、
前記インバータの直流側に接続される電流検出器と、
前記一部のアームのオンにより前記電流検出器に流れる電流が電流閾値に到達すると、前記全アームをオフさせ、前記全アームのオフ後の前記電流の減少期間において前記一部のアームと同じアームをオンさせることで前記電流を測定し、前記電流の通電パターン毎の測定値の違いに基づいて、前記状態での前記ロータの磁極位置を推定する初期位置推定部と、を備える。
本開示によれば、1シャント電流検出方式において、磁極位置の推定精度を確保できる。
本開示の実施の形態1に係るモータシステムの構成例を示す図である。 電圧ベクトルの一例を示す図である。 2相通電パターンに対して印加される電圧の位相を示す表である。 3相通電パターンに対して印加される電圧の位相を示す表である。 通電パターン毎の電圧ベクトル方向のイメージ図である。 ステップ電圧印加時の電流応答特性の一例を示す図である。 初期位置推定部の構成及び動作の一例を示す図である。 一比較例のインダクティブセンシングを説明するためのタイミングチャートである。 本開示に係るインダクティブセンシングを説明するためのタイミングチャートである。
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態に係るモータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法について詳細に説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係るモータシステム1−1の構成例を示す図である。図1に示されるモータシステム1−1は、モータ4の回転動作を制御する。モータシステム1−1が搭載される機器は、例えば、コピー機、パーソナルコンピュータ、冷蔵庫、ポンプ等であるが、当該機器は、これらに限られない。モータシステム1−1は、モータ4と、モータ制御装置100−1とを少なくとも備える。
モータ4は、複数のコイルを有する永久磁石同期モータである。モータ4は、例えば、U相コイルとV相コイルとW相コイルとを含む3相コイルを有する。モータ4の具体例として、3相のブラシレス直流モータなどが挙げられる。モータ4は、少なくとも一つの永久磁石が配置されるロータと、ステータとを有する。モータ4は、ロータの磁石の角度位置(磁極位置)を検出する位置センサを使用しないセンサレス型のモータである。モータ4は、例えば、送風用のファンを回すファンモータである。
モータ制御装置100−1は、3相ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を3相のPWM信号を含む通電パターンに従いオンオフ(ON、OFF)制御することで、直流を3相交流に変換するインバータを介してモータを駆動する。モータ制御装置100−1は、インバータ23、電流検出部27、電流検出タイミング調整部34、駆動回路33、通電パターン生成部35、キャリア発生部37、及びクロック発生部36を備える。
インバータ23は、直流電源21から供給される直流を複数のスイッチング素子のスイッチングによって3相交流に変換し、3相交流の駆動電流をモータ4に流すことによって、モータ4のロータを回転させる回路である。インバータ23は、通電パターン生成部35によって生成される複数の通電パターン(より具体的には、通電パターン生成部35内のPWM信号生成部32によって生成される3相のPWM信号)に基づいて、モータ4を駆動する。PWMとは、Pulse Width Modulation(パルス幅変調)を意味する。
インバータ23は、3相ブリッジ接続された複数のアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnを有する。上アームUp,Vp,Wpは、それぞれ、直流電源21の正極側に正側母線22aを介して接続されるハイサイドスイッチング素子である。下アームUn,Vn,Wnは、それぞれ、直流電源21の負極側(具体的には、グランド側)に接続されるローサイドスイッチング素子である。複数のアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnは、それぞれ、上述の通電パターンに含まれるPWM信号に基づいて駆動回路33から供給される複数の駆動信号のうち、対応する駆動信号に従って、オン又はオフとなる。以下では、複数のアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnを、特に区別しない場合には、単にアームと称する場合がある。
U相上アームUpとU相下アームUnとの接続点は、モータ4のU相コイルの一端に接続される。V相上アームVpとV相下アームVnとの接続点は、モータ4のV相コイルの一端に接続される。W相上アームWpとW相下アームWnとの接続点は、モータ4のW相コイルの一端に接続される。U相コイルとV相コイルとW相コイルとのそれぞれの他端は、互いに接続されている。
アームの具体例として、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。しかしながら、アームは、これらに限られない。
電流検出器24は、インバータ23の直流側に接続され、インバータ23の直流側に流れる電流の電流値に対応する検出信号Sdを出力する。図1に示される電流検出器24は、負側母線22bに流れる電流の電流値に対応する検出信号Sdを発生させる。電流検出器24は、例えば、負側母線22bに配置される電流検出素子であり、より具体的には、負側母線22bに挿入されるシャント抵抗である。シャント抵抗等の電流検出素子は、自身に流れる電流の電流値に対応する電圧信号を検出信号Sdとして発生する。
電流検出部27は、通電パターン生成部35によって生成される複数の通電パターン(より具体的には、3相のPWM信号)に基づいて、検出信号Sdを取得することによって、モータ4に流れるU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。より詳細には、電流検出部27は、複数の通電パターン(より具体的には、3相のPWM信号)に同期する取得タイミングで検出信号Sdを取得することによって、モータ4に流れるU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。検出信号Sdの取得タイミングは、電流検出タイミング調整部34により設定される。
例えば、電流検出部27は、電流検出器24で発生するアナログ電圧の検出信号Sdを、電流検出タイミング調整部34により設定される取得タイミングでAD(Analog to Digital)変換器に取り込む。当該AD変換器は、電流検出部27に設けられている。そして、電流検出部27は、取り込んだアナログの検出信号Sdをデジタルの検出信号SdにAD変換し、AD変換後のデジタルの検出信号Sdをデジタル処理することによって、モータ4のU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。電流検出部27により検出された各相の相電流Iu,Iv,Iwの検出値は、通電パターン生成部35に供給される。
クロック発生部36は、内蔵する発振回路により所定周波数のクロックを生成し、生成したクロックをキャリア発生部37へ出力する回路である。なお、クロック発生部36は、例えば、モータ制御装置100−1の電源が投入されると同時に、動作を開始する。
キャリア発生部37は、クロック発生部36により生成されるクロックに基づいて、キャリアCを生成する。キャリアCは、レベルが周期的に増減する搬送波信号である。
通電パターン生成部35は、インバータ23を通電させるパターン(インバータ23の通電パターン)を生成する。インバータ23の通電パターンは、モータ4を通電させるパターン(モータ4の通電パターン)と言い換えてもよい。インバータ23の通電パターンには、インバータ23を通電させる3相のPWM信号が含まれる。通電パターン生成部35は、電流検出部27により検出されるモータ4の相電流Iu,Iv,Iwの検出値に基づいて、モータ4が回転するようにインバータ23を通電させる3相のPWM信号を生成するPWM信号生成部32を有する。
通電パターン生成部35は、インバータ23の通電パターンをベクトル制御により生成する場合、ベクトル制御部30を更に有する。なお、本実施の形態においてはベクトル制御によってインバータの通電パターンを生成しているが、これに限らず、vf制御等を用いて各相の相電圧を求めてもよい。
ベクトル制御部30は、外部からモータ4の回転速度指令ωrefが与えられると、モータ4の回転速度の測定値又は推定値と、回転速度指令ωrefとの差分に基づいて、トルク電流指令Iqrefと励磁電流指令Idrefを生成する。ベクトル制御部30は、モータ4のU,V,W各相の相電流Iu,Iv,Iwに基づいて、ロータ位置θを用いたベクトル制御演算により、トルク電流Iq及び励磁電流Idを算出する。ベクトル制御部30は、トルク電流指令Iqrefとトルク電流Iqとの差分に対して例えばPI制御演算を行い、電圧指令Vqを生成する。ベクトル制御部30は、励磁電流指令Idrefと励磁電流Idとの差分に対して例えばPI制御演算を行い、電圧指令Vdを生成する。ベクトル制御部30は、電圧指令Vq,Vdを上記のロータ位置θを用いてU,V,W各相の相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する。ロータ位置θは、モータ4のロータの磁極位置を表す。
PWM信号生成部32は、ベクトル制御部30により生成される相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を、キャリア発生部37により生成されるキャリアCのレベルと比較することによって、3相のPWM信号を含む通電パターンを生成する。PWM信号生成部32は、上アーム駆動用の3相のPWM信号を反転させた下アーム駆動用のPWM信号も生成し、必要に応じてデッドタイムを付加した後、生成したPWM信号を含む通電パターンを駆動回路33に出力する。
駆動回路33は、与えられたPWM信号を含む通電パターンに従い、インバータ23に含まれる6つのアームUp,Vp,Wp,Un,Vn,Wnをスイッチングさせる駆動信号を出力する。これにより、3相交流の駆動電流がモータ4に供給され、モータ4のロータが回転する。
電流検出タイミング調整部34は、キャリア発生部37から供給されるキャリアCと、PWM信号生成部32により生成されるPWM信号を含む通電パターンとに基づいて、電流検出部27がキャリアCの1周期内で3つ相の相電流のうちのいずれかの相の相電流を検出するための取得タイミングを決定する。
電流検出部27は、電流検出タイミング調整部34により決定される複数の取得タイミングで検出信号Sdを取得することによって、相電流Iu,Iv,Iwを検出する。電流検出部27は、一つの電流検出器24から複数の相電流を検出する方式(いわゆる、1シャント電流検出方式)で、相電流Iu,Iv,Iwを検出する。
ところで、センサレス型の永久磁石同期電動機が停止しているときにロータの磁極位置(初期位置)を推定する方法として、インダクティブセンシングと呼ばれる手法がある。インダクティブセンシングとは、永久磁石同期モータのロータ磁石の磁極位置をインダクタンスのロータ位置依存性を利用して検出する手法である。この位置検出手法は、モータの誘起電圧を使用しないため、モータのロータが停止又は極低速の状態でもロータ磁石の磁極位置を検出できる。ロータが極低速の状態とは、モータ制御装置が誘起電圧を検出できない程度にロータが低速で回転している状態をいう。本明細書では、説明の便宜上、"ロータが停止又は極低速の状態"を、単に、"ロータの停止状態"という。
本実施の形態1に係るモータ制御装置100−1は、インダクティブセンシングによって、モータのロータの停止状態での磁極位置である初期位置θsを推定する初期位置推定部38を備える。通電パターン生成部35は、初期位置推定部38により推定された初期位置θsを用いて、モータ4のロータを回転させるPWM信号を含む通電パターンを駆動回路33に出力する。
インダクティブセンシングは、インダクタンスの違いを検出することによって磁極の初期位置を検出するが、インダクタンスそのものを直接求めて磁極位置情報を取り出す手法ではない。インダクティブセンシングは、停止中のモータをRL直列回路とみなし、モータに所望の位相に対しステップ形状の電圧を印加したときにモータに流れる電流の応答から磁極位置情報を取り出す手法である。
所望の位相に対し電圧を印加するとは、モータに印加する電圧をベクトルで考え、その方向を所望の位相に合わせることである。例えば3相インバータのW相上アームWpとU相下アームUnをオンすると、図2のような電圧ベクトルが印加される。すなわち、30度方向に電圧が印加されたことになる。この時に発生する電流ベクトル(W相コイルに流れる電流とU相コイルに流れる電流との合成電流のベクトル)及び磁束ベクトル(W相コイルで発生した磁束とU相コイルで発生した磁束との合成磁束のベクトル)も、電圧ベクトルとほぼ同じ位相に発生する。ただし、磁束ベクトルは、コイルの巻き方向によっては、180度逆方向の場合もある。
したがって、初期位置推定部38は、図3及び図4に示す12個の通電パターンp1〜p12に従って各アームをオン又はオフにする駆動信号を駆動回路33に順番に出力させることによって、30度毎の12種類の位相に電圧を印加できる(図5参照)。図3は、2相通電パターンp1〜p6に対して印加される電圧の位相を示す表である。図4は、3相通電パターンp7〜p12に対して印加される電圧の位相を示す表である。図5は、通電パターン毎の電圧ベクトル方向のイメージ図である。
例えば図3において、初期位置推定部38は、通電パターンp2に従って、上アームWp及び下アームVnをオンし且つ残りの4つのアームをオフする駆動信号を駆動回路33に出力させると、U相コイルに対して90度の方向に電圧を印加できる(図5参照)。図3に示す他の2相通電パターンも同様に、各方向に電圧を印加できる。
例えば図4において、初期位置推定部38は、通電パターンp9に従って、上アームUp,Wp及び下アームVnをオンし且つ残りの3つのアームをオフする駆動信号を駆動回路33に出力させると、U相コイルに対して120度の方向に電圧を印加できる(図5参照)。図4に示す他の3相通電パターンも同様に、各方向に電圧を印加できる。
なお、マイコンの汎用ポートを使ってオン又はオフのみの出力の場合、通電パターンは上述の12種類であるが、マイコンのPWM機能を用いると、PWMタイマの分解能を許す限り、より細かい位相に電圧を印加できる。
次に、インダクティブセンシングにおいて、ステップ形状の電圧(ステップ電圧)を印加したときにモータに流れる電流の応答から磁極位置情報を取り出すことについて図6を参照して説明する。
図6は、ステップ電圧印加時の電流応答特性の一例を示す図である。RL直列回路の電流の過渡現象より、モータに流れる電流iは、印加された5Vのステップ電圧Eに対して、図6のように応答する。Rはコイルの抵抗値、Lはコイルのインダクタンスを表す。
この時の電流の立ち上がり時間は、コイルの抵抗値RとインダクタンスLに依存し、ロータ位置が変わると、ロータ位置に応じて異なる値となるインダクタンスLのみに応じて変化する。つまり、インダクタンスが大になるほど(磁気抵抗が小になるほど)、時定数L/Rは大になるので、電流iはゆっくり応答する。逆に、インダクタンスが小になるほど(磁気抵抗が大になるほど)、時定数L/Rは小になるので、電流iは素早く応答する。
以上のようなインダクタンスと電流応答の関係を利用して、初期位置推定部38は、磁極の初期位置を推定する。まず、初期位置推定部38は、所望の位相に対してステップ形状の電圧を印加してから、モータ4(電流検出器24)に流れる電流iが所定の電流値(電流閾値)に到達するまでの立ち上がり時間Trを計測する。そして、初期位置推定部38は、その立ち上がり時間Trの通電パターン毎の計測値の違いを少なくとも利用することで、ロータ位置に依存したインダクタンスの大小関係や分布を読み取り、磁極位置情報を取り出す。
なお、初期位置推定部38は、2相通電パターンで計測された立ち上がり時間Tr同士を比較し、3相通電パターンで計測された立ち上がり時間Tr同士を比較する。2相通電と3相通電との間では、時定数はほとんど変わらないものの、立ち上がってから収束する電流値は変わるため、立ち上がり時間Trを単純に比較できないからである。
次に、初期位置推定部38が実行する本開示に係るインダクティブセンシングを説明する前に、初期位置推定部38が実行する本開示に係るインダクティブセンシングと比較するため、図8を参照して、一比較例のインダクティブセンシングについて説明する。
図8は、一比較例のインダクティブセンシングを説明するためのタイミングチャートである。一比較例のインダクティブセンシングは、モータに流れる電流が電流閾値に到達するまで通電を行い、通電開始からカウントを始めるタイマカウンタのカウンタ値を通電終了時に読み出して、他の通電パターンで同様に計測されたカウンタ値と比較する。磁気飽和特性を利用する一比較例のインダクティブセンシングは、カウンタ値が最小となる通電パターンで決まる方向に磁極位置が存在すると推定する。図8に示す例では、カウンタ値Cp2がカウンタ値Cp1に比べて小さいので、上アームWp及び下アームVnがオン且つ残りのアームがオフとなる通電パターンp2(図3参照)で決まる90度方向付近に、磁極位置が存在すると推定される。
ここで、磁極が存在する場合と磁極が存在しない場合との間で立ち上がり時間Trの差が大きいほど、磁極位置の推定精度が高まると考えられる。例えばモータに流す電流を高くするほど、インダクタンスによる過渡応答の傾斜が変わるので、カウンタ値に大きな差が生じる結果、インダクタンスの違い(つまり、立ち上がり時間Trの違い)を捉えやすくなる。しかしながら、電流が大きいと、モータから異音が発生しやすく、快適性が損なわれる場合がある。
確かに、インダクタンス差による電流上昇時の傾斜変化は、比較的低い電流をモータに流す場合でも発生する。しかしながら、低い電流値ほどカウンタ値の差が小さくなり、タイマカウンタを利用してカウンタ値の差を捉えても、磁極位置が推定困難な場合もある。このため、消費電流の低減の観点からも、インダクティブセンシングのためにモータに流す電流の値は小さいほうが好ましい。
また、ファンモータなど、摩擦が小さく、低い電流(小さいトルク)で回転するようなアプリケーションの場合、アプリケーションの状態に与える影響をできる限り小さくするため、インダクティブセンシングのためにモータに流す電流の値は小さい方が好ましい。
初期位置推定部38が実行する本開示に係るインダクティブセンシングは、比較的低い電流値でも磁極位置の推定精度を確保可能な手法である。以下、その手法について説明する。
図9は、本開示に係るインダクティブセンシングを説明するためのタイミングチャートである。電流検出器24に流れる電流iが電流閾値に到達してからモータ4の通電をオフした後も、電流iの減少時の挙動は、モータ4のコイルのインダクタンスの影響を受ける。この特徴を利用して、本開示に係るインダクティブセンシングは、通電時の電流挙動と通電オフ後の電流挙動とを組み合わせてインダクタンスの違いを測定する。これにより、上述の一比較例のように通電時の電流挙動のみに基づいてインダクタンスの違いを測定する場合に比べて、インダクタンスの違いを捉えることが容易になり、比較的低い電流値でも磁極位置の推定精度を確保できる。
ただし、通電オフの期間ではワンシャント電流検出方式では電流検出を行うことができない。そこで、図9に示すように、通電オフの期間に一時的に電流検出のための通電を行う期間(例えば、2μs程度)が設けられる。図9には、電流検出のための一時的な通電期間として、期間t3−t4及び期間t7−t8が例示されている。
本開示に係るインダクティブセンシングを実現するにあたり、本開示に係る初期位置推定部38は、以下の工程S1〜S4に従って、停止状態でのロータの磁極位置を推定する。
(工程S1) 初期位置推定部38は、複数の通電パターンの中から選択された一の通電パターンに従って、インバータ23の全アームのうちの一部のアームをオンさせることで、ロータが停止状態のモータ4を通電させる。
(工程S2) 初期位置推定部38は、工程S1で一部のアームをオンさせることより、インバータ23の直流側に接続される電流検出器24に流れる電流iが電流閾値に到達すると、インバータ23の全アームをオフさせる。
(工程S3) 初期位置推定部38は、工程S2で全アームをオフさせた後の電流iの減少期間において工程S1でオンさせた一部のアームと同じアームを一時的にオンさせることで電流iを測定する。
(工程S4) 初期位置推定部38は、電流iの通電パターン毎の測定値の違いに基づいて、停止状態でのロータの磁極位置を推定する。
初期位置推定部38は、上記の工程S1〜S4に従って、停止状態でのロータの磁極位置を推定することで、通電時の電流挙動と通電オフ後の電流挙動とを組み合わせてインダクタンスの違いを測定できる。よって、1シャント電流検出方式において、電流閾値を比較的小さく設定しても磁極位置の推定精度を確保できる。また、電流閾値を下げることができるので、インダクティブセンシング時にモータが発する異音のレベルを下げることができる。
初期位置推定部38は、このような本開示に係るインダクティブセンシングを行うことで、通電する電流を大きくしなくても、通電オフ期間での検出電流値(図9の例では、ip1とip2)の大小に基づいて磁極位置を推定できる。磁気飽和が顕在化しているほど、コイルのインダクタンスの低下度合いが大きい。そのため、電流iが電流閾値に到達した直後の通電オフ期間では、ロータの磁極位置が存在する方向では、ロータの磁極位置が存在しない方向に比べて、電流iが低下しやすい。したがって、図9に示す例では、検出電流値ip2が検出電流値ip1よりも低いので、初期位置推定部38は、上アームWp及び下アームVnがオン且つ残りのアームがオフとなる通電パターンp2(図3参照)で決まる90度方向付近に、磁極位置が存在すると推定する。
図9には、2種類の通電パターンしか示されていないが、3種類以上の通電パターンを用いてロータ磁石の初期位置を推定してもよい。例えば、初期位置推定部38は、工程S4にて、複数の通電パターンのうち電流iの測定値が最小の通電パターンで決まる方向に、停止状態でのロータの磁極位置が存在すると推定する。
初期位置推定部38が工程S1で一部のアームをオンさせてから工程S3で当該一部のアームを一時的にオンさせるまでの経過時間は、複数の通電パターン間で同じであることが好ましい。これにより、初期位置推定部38は、工程S1で一部のアームをオンさせてから、複数の通電パターンに共通の一定時間の経過タイミングで電流iを工程S3で測定できる。したがって、初期位置推定部38は、複数の通電パターンに共通のタイミングで測定された電流iの測定値同士を比較できるので、磁極位置の推定精度が向上する。例えば図9に示す例では、t1からt3までの経過時間(期間t1−t3)とt5からt7までの経過時間(期間t5−t7)は、互いに同じである。
初期位置推定部38は、工程S3で一部のアームを一時的にオンさせる期間は、当該一部のアームをオンさせてから電流iが電流閾値に到達するまでの時間よりも短くする。電流検出用に当該一部のアームを一時的にオンさせる期間をこのように短くすることで、モータ4に流れる電流の一時的な増加による異音の増大を抑制できる。
図7は、初期位置推定部の構成及び動作の一例を示す図である。初期位置推定部38は、モータ4にステップ電圧を印加させてから(工程S1で一部のアームをオンさせてから)、電流検出器24に流れる電流iが電流閾値に到達するまでの立ち上がり時間Trを表すタイマカウント値をメモリに記録する。
初期位置推定部38は、例えば、閾値電圧生成回路39、コンパレータ40及びタイマカウンタ41を有する。閾値電圧生成回路39は、メモリに予め記憶されたデジタルの電流閾値IthをD/A(Digital to Analog)変換することで、電流閾値Ithに対応するアナログの電圧閾値Vthを生成する。コンパレータ40は、電流検出器24に接続される電流検出部27(図1参照)のAD変換器と並列に接続されている。コンパレータ40は、負側母線22bに直列に挿入される電流検出器24に流れる電流iに応じて発生する電圧vを、電圧閾値Vthと比較し、その比較結果を出力する。コンパレータ40は、電圧vが電圧閾値Vthに到達すると、その出力を反転させる。タイマカウンタ41は、12個の通電パターンのうち一の通電パターン(例えば、通電パターンp1)でパルス状のステップ電圧を一部のアームに印加し始めるタイミングでカウントを開始し、コンパレータ40の出力が反転するまでカウントを継続する。初期位置推定部38は、コンパレータ40の出力反転時(カウント停止時)のタイマカウント値をメモリに記録し、他の通電パターンで順次計測されたタイマカウント値もメモリに記録する。これにより、初期位置推定部38は、立ち上がり時間Tr(図9の例では、t1−t2,t5−t6)を測定できる。このようにすると、期間t1−t3(期間t5−t7)を確実に期間t1-t2(期間t5−t6)以上の時間に設定することができる。これにより、立ち上がり時間Trが上がりきる前に電流iを測定してしまい、間違った値を検出することを防ぐことができる。
初期位置推定部38は、コンパレータ40の出力反転時(タイマカウンタ41のカウント停止の第1の割り込み信号の発生時)に、工程S1でオンさせた一部のアームを全てオフさせる。一方、タイマカウンタ41は、複数の通電パターンのうち一の通電パターンで一部のアームを工程S1でオンさせてから、複数の通電パターンに共通の一定時間が経過したタイミングで第2の割り込み信号を発生させる。初期位置推定部38は、第1の割り込み信号の発生後に第2の割り込み信号が発生すると、一旦オフさせた当該一部のアームを一時的にオンさせる。初期位置推定部38は、この一時的にオンさせた期間に、電流検出器24に発生した電圧から、電流減少期間での電流iの測定値(図9の例では、ip1又はip2)を検出する。例えば、初期位置推定部38は、複数の通電パターンのうち電流iの測定値が最小の通電パターンで決まる方向に、停止状態でのロータの磁極位置が存在すると推定する。
なお、電流検出部27、通電パターン生成部35、電流検出タイミング調整部34及び初期位置推定部38の各機能は、不図示の記憶装置に読み出し可能に記憶されるプログラムによってCPU(Central Processing Unit)が動作することにより実現される。例えば、これらの各機能は、CPUを含むマイクロコンピュータにおけるハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
以上、モータ制御装置、モータシステム及びモータ制御方法を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
例えば、インバータの直流側に流れる電流の電流値に対応する検出信号を出力する電流検出器は、正側母線に流れる電流の電流値に対応する検出信号を出力するものでもよい。また、電流検出器は、CT(Current Transformer)等のセンサでもよい。
1−1 モータシステム
4 モータ
21 直流電源
22a 正側母線
22b 負側母線
23 インバータ
24 電流検出器
27 電流検出部
30 ベクトル制御部
32 PWM信号生成部
33 駆動回路
34 電流検出タイミング調整部
35 通電パターン生成部
36 クロック発生部
37 キャリア発生部
38 初期位置推定部
100−1 モータ制御装置
Up,Vp,Wp,Un,Vn,Wn アーム

Claims (6)

  1. 通電パターンに従って、全アームのうちの一部のアームをオンすることで、ロータが停止又は極低速の状態のモータを通電させるインバータと、
    前記インバータの直流側に接続される電流検出器と、
    前記一部のアームのオンにより前記電流検出器に流れる電流が電流閾値に到達すると、前記全アームをオフさせ、前記全アームのオフ後の前記電流の減少期間において前記一部のアームと同じアームをオンさせることで前記電流を測定し、前記電流の通電パターン毎の測定値の違いに基づいて、前記状態での前記ロータの磁極位置を推定する初期位置推定部と、を備える、モータ制御装置。
  2. 前記一部のアームがオンしてから、前記減少期間において前記同じアームがオンするまでの経過時間は、複数の通電パターン間で同じである、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記同じアームがオンする期間は、前記一部のアームがオンしてから前記電流が前記電流閾値に到達するまでの時間よりも短い、請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータと、を備える、モータシステム。
  5. モータ制御装置が行うモータ制御方法であって、
    通電パターンに従って、インバータの全アームのうちの一部のアームをオンすることで、ロータが停止又は極低速の状態のモータを通電させ、
    前記一部のアームのオンにより、前記インバータの直流側に接続される電流検出器に流れる電流が電流閾値に到達すると、前記全アームをオフさせ、
    前記全アームのオフ後の前記電流の減少期間において前記一部のアームと同じアームをオンさせることで前記電流を測定し、
    前記電流の通電パターン毎の測定値の違いに基づいて、前記状態での前記ロータの磁極位置を推定する、モータ制御方法。
  6. 前記減少期間においてアームがオンされる時間は、前記一部のアームがオンしてから、前記電流が前記電流閾値に到達するまでの時間よりも短い、請求項5に記載のモータ制御方法。
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