JP6651188B1 - 電動機の減磁検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】惰性回転時の誘起電圧から減磁量及び界磁温度を検出して永久磁石界磁の磁気的寿命を監視することで、低コストで汎用性が高く、長期運用時の信頼性を向上させた電動機の減磁検出手法を提供する。【解決手段】制御回路は、電動機を通電制御された回転状態から非通電として惰性回転させて一相のコイル電圧変動幅ΔV及び電気角周期tを測定し、得られた電気角周期t内のコイル電圧変動幅ΔVと電気角周期tを乗算して得られた値を拡張誘起電圧定数KVとして記憶し、予め所望の一つ或いは複数の拡張誘起電圧定数を閾値KVthとして設定しておき、電動機を惰性回転させて得られた拡張誘起電圧定数KVが閾値KVth以下なら減磁発生と判定する。【選択図】図3

Description

本開示は、例えば永久磁石界磁型電動機などの減磁検出方法及びこれに付随する界磁温度検出方法に関する。
従来、永久磁石界磁型電動機(例えば三相DCモータ等)は、高効率で制御性に優れることから小型から大型まで民生産業用を問わず普及しており、構造的にはブラシレスDCモータ・ブラシ付きDCモータ・ステッピングモータ等に大別される。図13に代表的なモータ例としてセンサレス三相ブラシレス直流(BLDC)モータの構成を示す。回転子軸1を中心に回転する回転子2にはS極とN極で一対の永久磁石界磁3が設けられている。固定子4には120°位相差で設けられた極歯に電機子巻線(コイル)u,v,wが配置され、中性点Cを介してスター結線される。
図14にBLDCモータの駆動回路ブロック図を示す。MOTORはセンサレス三相BLDCモータである。MPU51はマイクロコントローラ(制御回路)で、上位コントローラ50からの回転指令RUNを受けてモータの回転停止制御を行い、また誘起電圧ゼロクロス検出回路(セロクロスコンパレータ:ZERO55)の出力に応じて励磁を切り替える位置センサレス駆動を行う。INV52は、三相ハーフブリッジ型インバータ回路(モータ出力回路)である。
図15にBLDCモータの駆動方式の一例として120°通電のタイミングチャートを示す。区間1はU相からV相に、区間2はU相からW相に、区間3はV相からW相に、区間4はV相からU相に、区間5はW相からU相に、区間6はW相からV相に、矩形波通電される。破線は誘起電圧波形である。HU〜HWはホールセンサ出力波形である。
これらのDCモータはいずれも、界磁に用いている永久磁石が減磁するという欠点があり、減磁は出力低下や発熱増加或いは位置センサレス駆動の始動不安定化といった問題を引き起こす。減磁には種々あるが主に、永久磁石の温度が上昇するほど磁力が低下する熱減磁と、高温あるいは低温の限度を超えると不可逆的に磁力が低下し元に戻らない不可逆減磁、の二種類がある。図1に減磁曲線模式図を示す。横軸は温度T℃で縦軸は磁束密度βである。Loは低温側、Hiは高温側の使用許容温度である。磁束密度βは、温度変化に応じてa−b間を推移し、一度でも温度が限度を超えると不可逆減磁してc−d間を推移する。
小型DCモータでは減磁検出はほとんど行われていないが、高出力モータ(電動自動車の主モータや家電用コンプレッサーモータ)は、保磁力の大きなネオジム磁石が用いられ高温で不可逆減磁しやすいことから磁気回路あるいは駆動回路の両面から減磁を低減する方法が研究されており、ロータ構造や界磁温度モニタリング等に関する技術が多数提案されている。
例えば モータ駆動時の永久磁石界磁の温度をリアルタイムでモニタリングし減磁を防止する方法として以下の文献が存在する。特許文献1(特開2017−28804号公報
)は、駆動用の交流電力に測定用交流電力を重畳させ、インピーダンスを測定し永久磁石の温度を推定するものである。特許文献2(特開2013−255570号公報)は、モータの熱抵抗等からなる熱回路を用いて永久磁石の温度を演算するものである。特許文献3(特開2003−19197号公報)は、コイル電流から誘起電圧を推定し磁極位置の温度変化を補償するものである。上記以外にも例えば減磁による電流増加を検出する方法なども提案されている。
特開2017−28804号公報 特開2013−255570号公報 特開2003−19197号公報
先行技術は減磁を検出してリアルタイムに減磁防止動作を行うものがほとんどであり駆動回路の複雑化と高コスト化を招いており、コスト要求が厳しい小型DCモータシステムには導入しにくいという実情がある。
また不可逆減磁は多くの場合長期間かけて非常にゆっくりと進行するため、リアルタイムで減磁を防止する必要性はそれほど高くない。しかし単に磁気的寿命を判定するだけであっても確実に動作するためには測定系に長期間にわたって高い安定度と高精度が要求され、従来の複雑な推定演算による方法では精度的に厳しいことが多い。永久磁石界磁型電動機の不可逆減磁による磁気的劣化は、多くのアプリケーションにおいて検出されておらず、永久磁石界磁の磁気的寿命を超えても使われ続け出力低下や発熱増大を招いている。
永久磁石界磁の減磁を検出するために永久磁石の温度を測定する方法は、間接的であり直接減磁を検出しているわけではないためコイル電流が増加し界磁あるいは電動機外装の温度が異常に上昇しないと減磁していることを検出できない。従って、永久磁石の温度ではなく磁力の低下即ち減磁量を直接検出する方法が望ましい。
また小型DCモータはブラシレスDC(BLDC)モータをはじめブラシ付きDCモータやステッピングモータまで多種多様であり、さらに相数・極数や着磁パターンあるいは回路構成等についても様々な種類があることから、それらすべてのモータシステムに適用できる汎用性が必要である。
さらにモータ温度を温度センサなしで検出できることが望ましい。例えば上位コントローラはモータ温度を表示したり、冷却ファンの回転数を自動調整したりすることも可能となる。
このように減磁検出を高出力モータだけでなく小型DCモータにまで適用範囲を広げようとすると様々な課題がある。要約すると、リアルタイム性は要求されない用途あるいはすでにリアルタイムで減磁対策を行っているシステムの補助手段として、モータ構造や通電方式に依存することのない高い汎用性を備え、しかも界磁温度も検出することができる減磁検出手法を、低価格で簡単なハード・ソフトにて実現することが求められる。
以下に述べるいくつかの実施形態に適用される開示は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、低価格で汎用性が高く高精度な永久磁石界磁の減磁検出方法並びに界磁温度検出手法を提供し、それにより永久磁石界磁の磁気的寿命を監視して安全性を向上させ更には界磁温度表示を可能とすることにある。
永久磁石界磁を備えた回転子と電機子コイルを有する固定子を備えた電動機と、前記回転子の回転を付勢するように前記電機子コイルへ通電する出力回路と上位コントローラからの指令を受けて前記出力回路による前記電機子コイルへの通電を制御する制御回路と、前記電機子コイルに発生したコイル電圧を測定して前記制御回路へ送出する測定回路と、を有する電動機の減磁検出方法であって、前記制御回路は、前記電動機を通電制御された回転状態から非通電として惰性回転させて多相コイルのうち任意の一相のコイルを接地電位あるいは電源電位に接続し他相を開放としてから、開放相の一相のコイル電圧変動幅ΔV及び電気角周期tを測定し、得られた電気角周期t内のコイル電圧変動幅ΔVと電気角周期tを乗算して得られた値を拡張誘起電圧定数KVとして記憶し、予め所望の一つ或いは複数の拡張誘起電圧定数を閾値KVthとして設定しておき、電動機を惰性回転させて得られた拡張誘起電圧定数KVが前記閾値KVth以下なら減磁発生と判定することを特徴とする。
本発明にかかる減磁検出方法は、基本的にモータの通電期間(RUN)ごとに1回だけ減磁を検出することとしている。リアルタイムに出力を制御して減磁を防止することは想定していない。そこで、通電期間(RUN)直後に数msの短い出力オフ期間を設け、ブレーキをかけることなくモータを惰性回転させ開放状態のコイル電圧を測定する。このタイミングであればモータ駆動に影響を与えず、回転数も高く等速惰性回転とみなすことができ測定精度も確保できる。
Vc=コイル電圧、I=コイル電流、R=コイル抵抗、L=コイルインダクタンス、E=誘起電圧とすると、モータコイルの電圧方程式はVc=IR+Ldi/dt+Eである。上記電圧方程式はI=0のときVc=Eと簡略化される。このとき負荷電流変動もコイル温度特性も無視できるので誘起電圧の検出は容易でしかも誤差がない。そこでI=0を実現するために測定時はコイル通電を遮断し惰性回転させることとする。出力を遮断することで電源ラインと直接的には接続されなくなりコイル電圧は誘起電圧そのものとして扱える。また、誘起電圧E=βlvである(β=磁束密度、l=導体長、v=速度)。従って誘起電圧Eは磁束密度βに比例し、誘起電圧Eにより減磁を検出することができる。惰性回転時の誘起電圧Eは、任意相における通電区間内のコイル電圧変動幅ΔVとして観測され、コイル電圧変動幅ΔVを扱えば中性点電位の検出は不要となる。
さらに誘起電圧Eを回転数Nで除算すれば誘起電圧定数Keとなり、誘起電圧定数Keを扱えば回転数Nに依存しないで減磁を検出できる。誘起電圧E=KeN、N=1/t、(但しt=電気角周期)よりE=Ke/tと表すことができ、変形してKe=Etとなる。さらに前述により惰性回転時の誘起電圧E=コイル電圧変動幅ΔVであるから、Ke=ΔVt、つまり惰性回転時の誘起電圧定数Keはコイル電圧変動幅ΔV×電気角周期tで求めることができ、誘起電圧定数Keも磁束密度βに比例するから減磁を検出することができる。
なおブラシ付きDCモータは出力回路にて直流を印可するとモータ内部のブラシにより整流されてコイルには交流が印可される。従って惰性回転時にコイルに発生する誘起電圧は、ブラシにより整流され直流に近い脈流(以下、整流波形という)となって観測されるため、誘起電圧定数Keを求めようとすると演算負荷が大きくなり、しかもブラシノイズなどの影響で測定精度も悪化する。そこで本検出方法では誘起電圧の振幅を推定せず、単にコイル電圧波形の変動幅ΔVだけを扱いそれを拡張誘起電圧定数KVと表記することとする。
誘起電圧定数Keと似ているが波形によっては全く異なる値となるので注意が必要である。拡張誘起電圧定数もKV=ΔVtで求めることができる。整流波形も磁束密度を反映するから拡張誘起電圧定数KVを用いて減磁を検出できる。惰性回転時のコイル電圧波形を、拡張誘起電圧定数KVとして扱うことで歪んだ概正弦波や概矩形波から整流波形まで波形を無視して適用することができる。
また、予め所望の一つの拡張誘起電圧定数を閾値KVthとして設定しておくことで、1レベルの減磁発生を判定できる。
さらに予め複数の拡張誘起電圧定数を想定し複数の閾値KVth1〜nとして設定しておくことで、より精細な減磁判定を行うことが可能となる。例えば、予防安全のための減磁限界値より小さな閾値KVth1と、寿命判定のための減磁限界値と等しい閾値KVth2と、緊急事態に対処するための減磁限界値より大きな閾値KVth3の3段階を設定しておく。これにより測定した拡張誘起電圧定数KVが、KVth3を越えたら「高温・減磁警報」、KVth2を超えたら「モータ交換警告」、KVth1を超えたら「減磁注意報」、を制御回路は発令することができる。
前記電動機を非通電として惰性回転させ、多相コイルの任意の一相のコイルを接地電位あるいは電源電位に接続し他相を開放としてから、開放相の一相のコイル電圧変動幅ΔV及び電気角周期tを測定することが好ましい。
通常、駆動回路の出力部にはFET(Field Effect Transistor)ゲートをプリドライブするための昇圧回路(チャージポンプ、ブートストラップ回路)やスイッチングノイズ除去フィルタ、あるいはセンサレス駆動の場合は中性点検出用の抵抗ネットワークなどが接続される。そのためコイルにはわずかな電流が流れ、非通電時のコイル端子は高インピーダンス状態となることから大きな電位が発生して中性点電位は電源電圧の1/2の値から大きく外れ、また回転数が高いと誘起電圧は電源電圧範囲を超えること、などから誘起電圧はFETボディーダイオードにより電源ラインにクランプされる。
これらの中性点電位変動や誘起電圧振幅変化を避けて正確に線間誘起電圧を測定するためには、コイル線をリレーなどで出力手段から切り離したうえで計測アンプによる差動入力で受ける必要がある。リレーやMOSスイッチ(SSR)などは動作時間が遅いあるいはON抵抗が大きいといった欠点がある。さらに計測アンプを動作させるためには+側電源及び−側電源を設けなければならずアンプの電源電圧はモータ電源電圧の2倍必要となるが、高電圧動作アンプは製造が困難であることからモータ電源電圧が12Vを超える場合などは各相の入力部に分圧抵抗を設けて測定電圧を下げる必要がある。従って測定手段が非常に大がかりとなり誤差要因が増えコストもかさむ。
そこで、測定相以外の任意の一相を出力手段により接地電位あるいは電源電位に短絡させたうえでコイル電圧測定をする。これによりコイル全体は電源ラインに対しコイル直流抵抗成分だけとなり低インピーダンスとなることから、出力手段に接続されている各種の抵抗やコンデンサやダイオードなどの影響をほとんど受けなくなる。従って、コイル線をリレー等により遮断することなく駆動回路とコイルを接続したまま測定しても、出力手段に付加した構成部品にほとんど影響されることがなく誘起電圧を正確に測定でき測定手順及び測定回路が大幅に簡略化できる。
例えば一相を短絡相として接地電位GNDに接続する(短絡する)ことにより、他の開放相端子には誘起電圧がGNDを中心に正負に発生する。誘起電圧波形は、負電圧側の半サイクルは出力手段FETのボディーダイオードを経由してGND電位にクランプされるため半波整流波形となり、負電圧の整流期間は誘起電圧を検出できない。しかし正電圧の半サイクルはクランプされないため誘起電圧を検出でき、コイル電圧変動幅ΔVから短絡相と開放相との合成誘起電圧の正ピーク電圧即ち線間誘起電圧(0toPEAK)が検出できる。
測定タイミングは、開放二相がともに正電圧となるおおむね120°の区間である。この区間に必ず正電圧ピークが存在するので確実にピーク電圧を検出できる。
以上の方法によれば正電圧側の誘起電圧はクランプされることなく測定でき、誤差の少ない線間誘起電圧(0toPEAK)を測定できるのですでに述べてきた方法で拡張誘起電圧定数KVを求めることができ高精度で減磁を検出可能である。
未減磁状態で標準温度時の拡張誘起電圧定数KVあるいは前記閾値KVthと、今回測定した拡張誘起電圧定数KVとの差分から減磁量を検出してもよい。
これにより、減磁量を検出することで、減磁量を表示したり外部機器の制御に反映させたりすることができ、また減磁曲線(図1参照)の減磁量変化に照らし合わせて、減磁発生の要因が熱減磁によるものか、不可逆減磁によるものかを特定することができる。
前記電動機の設計段階で使用最高温度を設定し、電動機運用前に前記永久磁石界磁が使用最高温度のときの拡張誘起電圧定数KVを推定若しくは測定し、前記制御回路は得られた値を閾値KVthとして記憶しておくことが好ましい。
界磁マグネットは使用初期に減磁しそれから安定する性質をもっているため、閾値は初期減磁を見込んで設定しなければならない。そこでいったん使用最高温度にして初期減磁を発生させてしまえば電動機運用時は初期減磁を考慮する必要がなくなり、閾値の設定が非常に簡単に行える。
前記制御回路は、電動機運用前に少なくとも3点以上の複数の界磁温度にて拡張誘起電圧定数KVを推定若しくは測定して記憶しておき、前記界磁温度と前記拡張誘起電圧定数KVとの関係を表す関数(近似式)を求めて前記制御回路に記憶し、電動機運用時において拡張誘起電圧定数KVの測定時に前記関数を用いて界磁温度を推定することが好ましい。
実測により拡張誘起電圧定数KVと界磁温度Tの関係を表す関数を求めることができ、図3のように近似曲線MOTを描く。従って、測定によって拡張誘起電圧定数KVが得られたときは、近似式を用いて界磁温度を求めることができる。関数は二次近似式でも実用になるので最低3点の拡張誘起電圧定数KVを測定すれば演算用の二次関数を決定することができる。
前記制御回路は、電動機運用前に永久磁石界磁の標準温度にて拡張誘起電圧定数KVを推定若しくは測定して記憶しておき、電動機運用時に再び前記標準温度で拡張誘起電圧定数KVを測定し、今回測定値と運用前に記憶した拡張誘起電圧定数KVとの差分に基づいて上述で求めた関数の切片が補正された新たな関数を求めて前記制御回路に記憶し、拡張誘起電圧定数KVの測定時に前記補正された新たな関数を用いて界磁温度を推定することが好ましい。
不可逆減磁が発生するとオフセット誤差が生じ実際より高い温度に演算されるが、不可逆減磁量が判ればオフセットを補償できる。そこで、電動機運用前に標準温度で初期の拡張誘起電圧定数KVを求めて記憶しておき、電動機運用時に必要に応じて再度、標準温度
にて拡張誘起電圧定数KVを測定し、初期の標準温度での拡張誘起電圧定数KVとの差分
を不可逆減磁とみなして上述で求めた関数の切片が異なる新たな関数をオフセット補償として用いる。
オフセット補償は温度推定についてだけ行い、減磁判定に関してはオフセット補償しないでおけば減磁判定は不可逆減磁まで含めて行われ安全性は確保できる。
よって、モータ運用時にモータを標準温度にして拡張誘起電圧定数KVを測定し、それに基づいて上述で求めた関数の切片を補正して不可逆減磁によるオフセットを補償し、補正された新たな関数にて界磁温度の演算を行うことで、不可逆減磁が発生しても正確に界磁温度を検出することができる。
上述した電動機の減磁検出方法を用いれば、永久磁石界磁の減磁及び界磁温度を高精度で検出でき、出力低下や過熱を予防することができる。上位コントローラは減磁判定結果や界磁温度情報を受信し、減磁アラームを出力し界磁温度を表示することができる。あるいは界磁温度に応じて外部機器を制御することができる。また減磁判定に際して負荷電流・コイル抵抗温度特性・回転数には依存しない。BLDCモータ・ステッピングモータ・ブラシ付きDCモータなどを含む幅広い電動機に適用することができる。また、アルゴリズムが明快で低コストで既存回路に組み込んで実用化することができる。
減磁曲線である。 各種モータのコイル電圧波形模式図である。 拡張誘起電圧定数の温度特性図である。 測定タイミングの説明図である。 本案によるセンサレスBLDCモータの駆動回路ブロック図である。 拡張誘起電圧定数の検出フローチャートである。 非減磁BLDCモータのコイル電圧実測波形である。 減磁BLDCモータのコイル電圧実測波形である。 ステッピングモータの駆動回路ブロック図である。 ステッピングモータのコイル電圧実測波形である ブラシ付きDCモータの駆動回路ブロック図である。 ブラシ付きDCモータのコイル電圧実測波形である センサレスBLDCモータの構成例である。 従来のセンサレスBLDCモータの駆動回路ブロック図である。 120°通電のタイミングチャートである。 コイルを開放してモータを惰性回転したときの線間誘起電圧波形である。 一相を接地電位に接続してモータを惰性回転したときのコイル電圧波形である。 駆動回路(ECU)と接続された外部測定回路のブロック構成図である。
以下、本発明に係る永久磁石界磁型電動機の減磁検出方法の実施形態について、3タイプの電動機(ブラシレスDCモータ、ステッピングモータ、ブラシ付きDCモータ)を例示し、添付図面を参照しながら説明する。
(実施例1:ブラシレスDCモータ)
電動機の一例として三相ブラシレスDCモータを例示して説明する。三相ブラシレスDCモータは、回転子2に永久磁石界磁3を備え、固定子4に巻き線を120°位相差で配置してスター結線され、相端がモータ出力回路に接続されており、以下では近年利用が拡大しているセンサレスBLDCモータを用いて説明する。
図13にセンサレスBLDCモータが例示されているので同図を援用して説明する。図13は一例として2極永久磁石界磁3と3スロットを設けた固定子4を備えた三相ブラシレスDCモータを例示している。極数及び相数は任意である。界磁配置はインナーロータ型でもアウターロータ型でもいずれでもよい。また永久磁石埋め込み型(IPM)モータや表面永久磁石型(SPM)モータのいずれであってもよい。回転子軸1には回転子2が一体に設けられ、界磁として2極の永久磁石が設けられている。固定子4には120°位相差で極歯U,V,Wが永久磁石界磁3に対向して配置されている。固定子4の各極歯U,V,Wに電機子巻線(コイル)u,v,wを設けて相間をコモンCでスター結線して後述するモータ出力回路にu,v,wが配線される三相ブラシレスDCモータとなっている。
図5にセンサレスBLDCモータのモータ駆動回路のブロック構成図を例示する。通電方式は正弦波駆動でも矩形波駆動でもよいがここでは120°通電を例示する。図14を援用し共通部分の符号は同じものを用いる。例示した従来のセンサレス駆動回路と本案との相違点は1相分のコイル電圧をADコンバータ(ADC54)にて測定する部分であり、抵抗2個で構成される1相分の分圧手段(DIV)が追加されている。
MOTORは三相センサレスモータである。MPU51はマイクロコントローラ(制御回路)である。MPU51は、三相コイルU,V,Wに対する6通りの通電パターンと各通電パターンに対応する120°通電の励磁切り替え区間(区間1〜区間6:図15参照)を指定する界磁位置情報を記憶している。MPU51は上位コントローラ50からのトルク指令に応じて後述する出力回路(INV52)をスイッチング制御し、三相コイルへの励磁状態を任意に切り替えるPWM(Pulse Width Modulation)制御回路(PWM53)及びコイル電圧を測定可能なADコンバータ(Analog-to-Digital Converter(測定回路):以下「ADC54」と表記する)を内蔵する。
出力回路(INV52)は、三相コイルに通電し、モータトルクを制御するために励磁相切り替えあるいはPWM制御などのスイッチング動作を行う。上記出力回路(INV52)は、スイッチング素子として電界効果トランジスタ及びこれに逆並列に接続されるダイオードを備え、正極電源ライン及び接地電源ラインに任意に接続可能なハーフブリッジ型スイッチング回路が3相分設けられている。
また、非通電区間の中間で誘起電圧の正負が切り替わるいわゆるゼロクロス点が発生する。センサレスモータではこのゼロクロス点をゼロクロスコンパレータ(ZERO55)により検出してタイマーを用いて電気角で30°遅延を設けて励磁切り替えを行う位置センサレス駆動が用いられている。
ADコンバータ(ADC54)は、分圧回路(DIV)を介してコイル出力の任意の1相が接続され、制御回路(MPU51)からの測定開始命令によりサイクリックにコイル電圧をサンプリングし、順次アナログ・デジタル変換し、変換結果を制御回路(MPU51)に送出する。通常ADコンバータ(ADC54)は制御回路(MPU51)に内蔵されており、最大入力電圧が低いため抵抗による分圧回路(DIV)を設けて入力レンジのスケーリングを行うことが望ましい。
(拡張誘起電圧定数による減磁検出)
前述したようにモータコイルの電圧方程式は、Vc=IR+LdI/dt+Eである。但しVc=コイル電圧、I=コイル電流、R=コイル抵抗、L=コイルインダクタンス、E=誘起電圧とする。上記電圧方程式はI=0のときVc=Eと簡略化される。このとき負荷電流変動もコイル温度特性も無視できるので誘起電圧の検出は容易でしかも誤差がない。
I=0を実現するためにコイル電圧測定時はコイル通電を遮断し惰性回転させることとする。通電を遮断したコイルは開放相となり、開放相コイル電圧Vzには直流成分の中性点電位とそれに重畳して交流成分の誘起電圧が発生する。
誘起電圧E=βlvである。但しβ=磁束密度、l=導体長、v=速度。よって誘起電圧は磁束密度に比例し、誘起電圧から減磁を検出できる。
誘起電圧定数Ke=誘起電圧E/回転数Nである。またN=1/t、但しt=電気角周期、よりKe=E・tである。誘起電圧定数Keは回転数Nに依存しないことから、誘起電圧定数Keを扱うことによりコイル電圧測定時の回転数の制約を無くす。
さらに本検出方法は開放相コイル電圧の交流成分として正弦波だけでなく整流波形などの脈流にまで拡張することとする。そこで、電気角内のコイル電圧変動幅をΔVとし電気角周期をtとしたとき、ΔV×tあるいはΔV/Nにて定数化した交流成分を拡張誘起電圧定数KVと定義する。
ゆえにKV=ΔV・t、あるいはKV=ΔV/N
本検出方法はこのように拡張誘起電圧定数KVを用いることで中性点電位の検出を不要としまた開放相コイル電圧波形の制約を無くす。以下に具体的な波形を例示して説明する。
図2に各種モータの惰性回転時のコイル電圧波形模式図を示す。横軸は時間Time、縦軸は電圧Vである。開放相コイル電圧Vzは中性点電位に誘起電圧が重畳する。ΔVは電気角内のコイル電圧変動幅、tは電気角周期である。A図はサイン波着磁ブラシレスDCモータの波形例、B図は矩形波着磁ブラシレスDCモータの波形例、C図はステッピングモータの波形例、D図はブラシ付きDCモータの波形例である。
各波形のΔV×tの矩形波面積が拡張誘起電圧定数KVに相当し、図から波形への依存性が無いことが判る。また誘起電圧定数Keは中性点電位を基準とする0 to Peak値であるが、拡張誘起電圧定数KVは中性点電位と無関係であり値も誘起電圧定数Keと異なる。例えばA図ブラシレスモータはKV=2Ke、D図ブラシ付きモータはKV=0.232Keとなる。
各相の電気的特性と熱的特性は対称性があると考えてよいため、コイル電圧の測定は1相についてだけ行う。これにより相数の制約を無くす。
具体的な測定方法は、1相のコイル電圧について惰性回転時にADコンバータ(ADC54)でサイクリックに高速サンプリングし、1電気角に相当するコイル電圧測定データ群から最大値と最小値を選び出し、最大値と最小値の差分をとって電圧変動幅ΔVを抽出する。またコイル電圧測定データ群から電気角周期tも抽出する。コイル電圧変動幅ΔV×電気角周期tにより拡張誘起電圧定数KVを求める。
予め減磁を見込んだ適切な閾値を設定しておき、得られた拡張誘起電圧定数KVと大小比較すれば、減磁量が大きくなり磁束密度が閾値以下に低下したかどうか、即ち磁気的寿命となったか判定できる。また、得られた拡張誘起電圧定数KVと閾値との差分から減磁量を検出できる。さらには未減磁状態で標準温度時の拡張誘起電圧定数KVあるいは前記閾値KVthと、今回測定した拡張誘起電圧定数KVとの差分から減磁量を検出してもよい。これにより、減磁量を検出することで、減磁量を表示したり外部機器の制御に反映させたりすることができ、また減磁曲線(図1参照)の減磁量変化に照らし合わせて、減磁発生の要因が熱減磁によるものか、不可逆減磁によるものかを特定することができる。
本検出方法は上述の手法を用いることで、モータ構造・通電方式・負荷電流・コイル抵抗等に影響されず、相数・電源電圧・測定回転数・コイル電圧波形等の制約もなく、極めて高い汎用性と安定性そして高精度を実現できる。
(閾値の決定方法)
以下では、拡張誘起電圧定数KVの限界値を閾値KVthと表記するものとする。電動機の使用最高温度Tmaxはマグネット減磁特性あるいは内蔵センサの耐熱温度等からあらかじめ設計段階で決定される。そこで実際に運用に供する駆動回路にてモータを回転させ、恒温槽を使うなどしてモータ内部温度を使用最高温度Tmaxにまで昇温した状態にて拡張誘起電圧定数KVを測定し、測定値を閾値KVthとしてもよい。マグネットは使用初期に減磁しそれから安定する性質をもっているため、閾値は初期減磁を見込んで設定しなければならず減磁量推定を困難にしている。しかし上述の方法で閾値を決定すれば初期減磁まで含んだ適正な値に設定することができる。なお使用最高温度Tmaxは自己発熱も含んだ温度である。一般的にモータ内部温度はジュール熱によりモータ外装温度より高くなるので、許容雰囲気温度は使用最高温度Tmaxより自己発熱分低くなる。
図3に拡張誘起電圧定数KVの温度特性図を示す。横軸は温度T℃、縦軸は拡張誘起電圧定数KVである。KVは減磁率を判りやすくするため20℃の標準温度での値を基準値1としている。
図3左上の矢印範囲は安全動作領域を示している(例えば0℃〜80℃)。破線MAGはマグネット減磁特性(例えば−0.10%/℃)から推定した拡張誘起電圧定数KV温度特性カーブ、ドットDATAはモータによる拡張誘起電圧定数KV実測値、実線MOTは拡張誘起電圧定数KV実測値の近似曲線で図3右上に近似式を表示した。実線MOT′は不可逆減磁時の近似曲線でありMOTを下方に平行移動したものである。Tmaxは使用最高温度(例えば100℃)、閾値KVthは使用最高温度Tmax時の拡張誘起電圧定数KVである。
仮に電動機運用時間が数千時間から数万時間経過し不可逆減磁が発生すると、近似曲線の切片が変わりMOTはMOT′へシフトし、より低い温度で閾値KVthと交差し減磁と判定される。減磁判定点(丸印)は、閾値KVth水平線上を左方向へ移動し判定温度は当初の100℃から不可逆減磁時は約60℃に低下している。これは不可逆減磁成分も減磁判定に寄与することを意味しており、本検出方法が経時変化しても安全側に動作することを担保する重要な特性である。図3は減磁量が5%の場合を例示してあるが、仮に10%減磁した場合は20℃で減磁と判定され過熱事故を未然に防ぐことができる。
それに対し従来の温度を検出する方式では、不可逆減磁時には検出点は使用最高温度Tmax垂直線上の△印となり、拡張誘起電圧定数KVは低下しそれにともなってコイル電流が増加し、電流の二乗で発熱も増えるため安全性は低下する。高温状態が長時間継続すると減磁量は50%に達する場合もあり発熱は非常に大きくなり部品焼損や火災の恐れもある。
マグネット減磁特性は、使用するマグネット材質とパーミアンス係数からシミュレーションにより求められる。しかしコイル電圧を測定するとき駆動回路の影響を受けて波形歪が発生するかあるいは整流されて正側波形しか出力されない場合等があり、閾値はマグネット減磁特性のシミュレーションだけでは決定できないため、最終的にはモータと駆動回路を組み合わせた電動機システムにより実際に動作させて拡張誘起電圧定数KVを実測し、実測データに基づき閾値KVthを決定することが望ましい。
(測定タイミング)
本検出方法は基本的にモータの通電期間(RUN)終了ごとにコイル電圧と電気角周期を測定し減磁を検出することとしている。通電時にリアルタイムに減磁量を検出してコイル出力を制御し減磁を防止することは想定していない。
通電期間(RUN)直後に短い出力オフ期間を設け、ブレーキをかけることなくモータを惰性回転させ測定する。このタイミングであればモータ駆動に影響を与えず、回転数も高く等速惰性回転とみなすことができ測定精度も確保できる。
図4を参照して測定タイミングについて説明する。横軸は経過時間Time、縦軸は回転数Nである。RUNは通電期間である。出力オフ直後の丸印MEASUREが測定期間である。
なおRUN(通電回転時)でも瞬間的に出力オフすることが許されるならば任意のタイミングで測定可能であり、複数測定を行って減磁検出の応答性を改善できる。例えば24時間連続運転される冷蔵庫のコンプレッサー用モータなら1時間に1回程度測定すればよい、出力オフ時間は20ms程度でありモータ運転に与える影響はわずかである。
また、モータ始動後、目標速度近傍に到達したら測定してもよい。これによりすでに減磁しているモータでも回転開始時に減磁を検出して直ちにアラームを出力しあるいはコイル出力を停止するなどの安全対策を講じることができる。
また停止中に一瞬モータを回し惰性回転させコイル電圧を測定してもよい。あるいは外力で回転している場合は任意タイミングでコイル電圧を測定して減磁をセンシングしてもよい。
(減磁量の検出)
ここまで拡張誘起電圧定数KVと閾値KVthの大小比較により減磁発生をデジタル的に検出する方法を中心に説明したが、さらに未減磁状態にて標準温度での拡張誘起電圧定数KVあるいは前記閾値KVthと、今回測定した拡張誘起電圧定数KVとの差分を演算してアナログ値の減磁量を検出可能である。
減磁量を検出することで、制御動作を高度化できる。例えば減磁量の数値表示や多段階の警報レベル設定等が可能となり、あるいは上位コントローラは減磁量に応じて外部機器の制御を行うことができる。
さらに例えば室温が一定といった条件下では、始動直後に拡張誘起電圧定数KVの測定を行うなどしてモータ運転による熱減磁の影響を回避し、時系列で減磁量を比較することで不可逆減磁量を検出できる。不可逆減磁量が急激に増加した時は、異常事態と判定してモータ出力停止などの安全対策を講じることができる。
(界磁温度の推定)
引き続き界磁温度の推定方法について説明する。本検出方法は、図3に例示したとおり実測等により拡張誘起電圧定数KVと界磁温度Tの関数(近似式)を求めることができる。従って電動機運用時に測定により拡張誘起電圧定数KVが得られたときは、関数を使って界磁温度を演算により求めることができる。関数は二次近似式で充分実用になるので最低3点の界磁温度にて拡張誘起電圧定数KVを測定すれば関数を決定できる。
そこで、電動機運用前に3点以上の複数の界磁温度で拡張誘起電圧定数KVを推定あるいは測定し、拡張誘起電圧定数KVと界磁温度の関数を求めMPU51(制御回路)に記憶しておき、電動機運用時は拡張誘起電圧定数KVの測定時に関数にて界磁温度を演算する。モータの温度を知りたい場面は多々あるがコストと信頼性から温度センサを設けることは許されないことも多い。また永久磁石界磁の温度を検出すること自体困難である。従って温度センサなしで界磁温度が判る効果は大きく、さらにモータを温度センサとして利用する新しい用途も広がる。
例えば医療器具用モータは高温殺菌処理されるが、もし電動機外装だけが冷えて内部はまだ熱い状態で使用されるとトルク不足となり好ましくないが界磁温度が表示されれば安全に運用できる。あるいはレンジフードや天井・屋根裏に設置される換気扇の温度を測定することで雰囲気温度を推定し自動的に換気扇の回転数を調整することなどが可能となり、さらには異常高温を検知して火災警報を出力するなどの応用も考えられる。
(界磁温度推定の補正方法)
ただし不可逆減磁が発生するとオフセット誤差が生じ実際より高い温度に演算される。この誤差に関しては不可逆減磁量が判ればオフセットを補償することで解消できる。そこで運用前に標準温度で初期のKVを求めて記憶しておき、運用時に必要に応じて再度、標準温度にてKVを測定し、初期の標準温度でのKVとの差分を不可逆減磁成分とみなして関数の切片に加算する。
よって運用時にモータを標準温度にしてKVを測定し、それに基づいて関数の切片を補正して不可逆減磁によるオフセットを補償し、補正した関数にて界磁温度の演算を行う。
以上の操作を行うことで不可逆減磁が発生しても正確に温度を検出することができる。なおオフセット補償は温度推定についてだけ行い、減磁判定に関してはオフセット補償しないでおけば減磁判定は不可逆減磁まで含めて行われ安全性は確保できる。
図6のフローチャートを参照しながら減磁判定ルーチンの一例について説明する。以下の一連の手順で拡張誘起電圧定数KVを検出し、減磁判定することができる。尚、拡張誘起電圧定数閾値KVthは予め設定されているものとする。コイル電圧測定はADコンバータを使用する。電気角周期の測定はタイマーでもよいが、本例ではサンプリング周期の回数から求めている。
減磁判定ルーチンを開始する。先ず、コイル出力をオフにし、モータを惰性回転させる。このとき、コイル通電遮断によるスパイクノイズが収束するまで待つ(惰性回転:STEP1)。次に、電気角周期の測定を開始する。1回目のコイル電圧測定を行い初回値としてMPU51に記憶する。AD変換時間は数usであり以後ほぼこの周期で測定する(コイル電圧測定1:STEP2)。2回目のコイル電圧測定を行い2回目の値としてMPU51に記憶する(コイル電圧測定2:STEP3)。
初回コイル電圧測定値と2回目のコイル電圧測定値から初回勾配符号を求めMPU51に記憶する(2−1勾配検出:STEP4)。3回目以降のコイル電圧測定を行って測定値をMPU51に記憶する(コイル電圧測定n:STEP5)。前回コイル電圧測定値(n−1)と今回コイル電圧測定値(n)を比較し差分をとって勾配符号を検出する(勾配検出:STEP6)。今回コイル電圧測定値が初回のコイル電圧測定値及び勾配符号と一致するか否かを判定する(測定完了判定:STEP7)。不一致ならまだ電気角分のコイル電圧測定が済んでいないのでSTEP5に戻る。一致していれば電気角分の測定が完了したのでSTEP8に進む。
次に通電区間である電気角周期tを演算する(周期演算:STEPS8)。具体的には、電気角周期=サンプリング周期×測定回数で算出する。次いで全コイル電圧測定値から最大値Vmaxと最小値Vminiを抽出する(振幅抽出:STEP9)。次いでコイル電圧測定値の振幅(コイル電圧変動幅)ΔVをΔV=Vmax−Vminiから算出する(振幅演算:STEP10)。次いで、拡張誘起電圧定数KVをKV=ΔV×tから算出する(KV演算:STEP11)。
次に、拡張誘起電圧定数KVとその閾値KVthを大小比較して減磁判定する(減磁判定:STEP12)。拡張誘起電圧定数KVが閾値KVthより大きければ、必要に応じてブレーキ操作などの出力復帰動作を行って、メインルーチンへ戻る(出力復帰動作:STEP13)。拡張誘起電圧定数KVが閾値KVthより小さければ減磁(磁気的寿命)と判定し、減磁処理へ移行する(STEP14)。
以上の手順により拡張誘起電圧定数KVが求められ、閾値KVthとの大小比較により減磁判定が行われる。減磁判定ルーチンの実行のタイミングは任意であるが回転数が高いほどコイル電圧も大きくなるので高速回転時が有利である。拡張誘起電圧定数KVの検出回数はオンサイクルあたり最低限1回であるが例えば熱的時定数周期で複数回繰り返してもよい。
減磁発生時の減磁処理(STEP14)は特に規定しないが、警告表示、メモリーへエラーコード記憶、等が考えられる。さらに重篤さを考慮して出力を停止することなども考えられる。
なお、モータ駆動回路の構成や制御プログラム構成は様々考えられ、本実施例に開示された態様に限定されるものではなく、本案主旨を逸脱しない範囲で電子回路技術者あるいはプログラマー(当業者)であれば当然なし得る回路構成の変更やプログラム構成の変更も含まれる。
以下では、ブラシレスDCモータのコイル電圧実測波形を示す。
図7は未減磁の例であり、三相ブラシレスDCモータを標準温度20℃にて定速回転させ途中で非通電状態とした時の1相のコイル電圧波形である。電気角周期t1=2.08ms、開放時のコイル電圧変動幅ΔV1=8.18Vである。
図8は減磁時の例であり、上記モータを120℃に昇温し定速回転させ途中で非通電状態とした時の1相のコイル電圧波形である。電気角周期t2=2.08ms、開放時のコイル電圧変動幅ΔV2=7.58Vと図7に比べ0.6V小さくなっている。
以上の実測値を使って具体的な演算例を示す。
20℃時のKV KV1 =ΔV1・t1=17.04mV・s
85℃の閾値 KVth=16.19mV・s(5%減磁相当)
120℃時のKV KV2=ΔV2・t2=15.77mV・s
測定値KV2は閾値KVthより小さいから減磁或いは高温と判定される。
実測値から温度分解能を検討する。ADコンバータの入力レンジ=12V、分解能は3mV(12bit)とする。コイル電圧変動幅は100℃あたりで0.6V変化しているので直線近似として6mV/℃である。よって温度分解能=3mV/(6mV/℃)=0.5℃である。
更に位相分解能を検討する。ADコンバータ(ADC54)サンプリング周期を5usとする。実測値では電気角周期は約2.08msだから2.08ms/5us=400サンプリング/電気角となる。よって位相分解能=360°/400=0.9°但しモータ回転速度28.8krpmである。標本化誤差0.9°により発生する電圧軸の量子化誤差は非常に小さく無視できる。なお、モータが低速回転になるほどサンプリング数は増加し標本化誤差は小さくなる。
以上の検討から本例では0.5℃程度の温度分解能が可能である。ちなみに電動自動車の主モータの界磁温度検出精度としては例えば±15℃あるいは50℃乖離といった値が報告されておりそれと比べて本検出方法は十分高精度であると言える。
(実施例2:ステッピングモータ)
次に永久磁石界磁を備えるステッピングモータへの適用例を説明する。拡張誘起電圧定数KVを検出するために惰性回転する必要があり、オープンループ位置決め動作には適用できない。図9はステッピングモータの駆動回路を示すブロック構成図である。図5と共通部分は符号を援用し説明を省略する。MOTORは2相ハイブリッド型バイポーラステッピングモータを想定している。出力回路(INV52)はフルブリッジ×2組で構成され2相コイル(A+とA−、B+とB−)をPWM駆動しロータを所定の角度で歩進する。分圧回路(DIV)はどのコイル出力線に接続してもよい。
図10はステッピングモータのコイル電圧実測波形である。出力を遮断すると実測に用いた駆動回路では中性点がGND側に低下する特性を持っており出力オフの直後しか期待する波形は観測できていないが減磁検出は可能であることが判る。
このように非通電時のコイル電圧波形は出力段の特性の影響を大きく受ける。出力段ブリッジのハイサイドとローサイドのインピーダンスを整合させれば電源電圧/2を中性点とするコイル電圧波形を観測可能である。
(実施例3:ブラシ付きDCモータ)
次にブラシ付きDCモータへの適用例を説明する。コイル端子は2端子でHブリッジ等の駆動回路を用いる場合について例示する。ブラシの寿命は短く磁気的な寿命のほうがはるかに長い。しかし車載補機用モータのように停止状態での極寒酷暑あるいは想定外の極端な過負荷運転などにより不可逆減磁が発生する場合がある。
図11はブラシ付きDCモータの駆動回路を示すブロック構成図である。図5と共通部分は符号を援用し説明を省略する。MOTORは三相コイルを備えたブラシ付きDCモータで、P端子とN端子に電圧を印加するとモータ内部のブラシにより整流され120°矩形波通電される。出力回路(INV52)はフルブリッジ構成でP端子及びN端子をPWM駆動し連続回転させる。分圧回路(DIV)はどちらの出力線に接続してもよい。
図12はブラシ付きDCモータのコイル電圧実測波形である。波形変動幅が小さいためオフセットをつけて変動部を拡大表示している。出力を遮断すると三相サイン波を整流した120°通電と同様の波形が観測される。整流波形のピークとボトム間をコイル電圧変動幅ΔVとして演算すれば減磁検出が可能である。しかしコイル電圧変動幅ΔVはサイン波に比べて小さくなるため高速で惰性回転させる必要がある。
120°通電波形は6区間でほぼ同じ波形が観測されるので、コイル電圧変動幅ΔVの検出は1区間だけで行っても構わない。これにより測定時間を1/6に短縮できる。区間ごとの電圧と時間の偏差によるばらつきは、同一の通電区間で出力を遮断して測定すれば改善でき、繰り返し精度が大幅に向上する。
(実施例4:ブラシレスDCモータ)
次に三相センサレスBLDCモータの一相を電源ラインに短絡して減磁を検出する方法について説明する。尚、実施例4と後述する実施例5は三相センサレスBLDCモータの変形例であり、ステッピングモータやブラシ付きDCモータへの適用は想定していない。
図13に例示したスター結線された三相センサレスBLDCモータを、駆動回路出力をリレーで遮断して惰性回転させるとコイル線間には2相の誘起電圧の合成波形が観測される。図16にコイルを駆動回路から切り離し惰性回転させたときのコイル電圧波形を示す。V相端子を基準電位としたときのU相端子に現れる線間誘起電圧波形であり、U相とV相との合成誘起電圧が観測されている。この波形の基準電位(中性点)とピーク電位との差を一般的に線間誘起電圧(0toPEAK)と呼び、図中に矢印Eで示す。ここで重要なことは、線間誘起電圧(PEAKtoPEAK)は回転数が高いと電源電圧を超えてしまうことである。駆動時は電源とGNDを適宜選択して半波整流通電することから線間誘起電圧は(0toPEAK)となり電源電圧内に収まるが、出力を遮断したフリー回転時は(PEAKtoPEAK)となり2倍の誘起電圧が発生し、駆動回路が接続されていると電源電圧を超えた分はFETのボディーダイオードにより電源レールにクランプされ回生電流が流れる。
一方、すでに述べてきた一相コイルの電圧変動幅ΔV及び電気角周期tを測定する際に、任意の一相を接地電位あるいは電源電位に接続し、他相は非通電として惰性回転させて測定しても線間誘起電圧(0toPEAK)を観測可能である。
以下では、例えば図5の駆動回路を用いて三相センサレスBLDCモータのコイル電圧変動幅ΔV及び電気角周期tを測定する実施例について説明する。駆動回路についての説明はすでに済んでいるので省略する。前記コイル電圧変動幅ΔV及び電気角周期tの測定に際しては、V相のローサイドアームのみをオンしてV相をGNDに接続し、その他のすべての出力素子はオフとする。するとU相にはU相とV相、W相にはW相とV相の合成誘起電圧がGNDを基準に正負に発生する。その際、負電圧側の半サイクルはFETのボディーダイオードを介してGNDにクランプされるため回生電流が流れ正しい誘起電圧は測定できない。
しかしながらU相もW相も正電圧となる期間ではクランプされないためコイルには回生電流が流れず正しい誘起電圧を検出できる。その期間は電気角で約120°であり、モータの構造上その期間内にU相及びW相のピーク誘起電圧が必ず存在する。この時の基準電圧はGND電位であり、0Vを最小値としピーク値を最大値とするコイル電圧変動幅ΔVは、正確な線間誘起電圧(0toPEAK)となる。U相及びW相の電圧波形は半波整流波形となることから電源電圧を超えることはなく高速回転でも測定可能である。
電気角周期tはU相あるいはW相の立ち上がりエッジ間を測定すれば求められる。以上の測定はU相の代わりにW相でも可能であり、電源に短絡する相もU〜Wのいずれでも可能である。
図17はモータ出力をオンからオフに切り替えて惰性回転させたきにV相をGNDに短絡した三相のコイル電圧の実測波形を示す。上段波形はモータオン信号で測定開始タイミングを矢印OFFで示す。測定時間は最小1電気角でよいが説明上6電気角分を測定期間として表示してある。図中にコイル名U〜Wと、ピーク電圧を矢印Vpkで、電気角を矢印tで、ピーク検出可能な期間を矢印Thで示す。
V相電圧がわずかに変動しているのは回生電流を反映したものでありこれがGNDレベルとなったときが回生電流ゼロ時でピーク測定可能な期間である。
図17からピーク電圧の測定相としては開放相であるU相とW相のいずれでも検出可能であることが判る。尚、負の半サイクルはクランプ電圧の約−0.7Vとなっている。また、クランプ電流のためにピーク検出可能期間Thの約120°以外ではコイル電圧波形は歪んでいるが、ピーク近傍ではクランプ電流が流れず従ってピーク電圧は正しく観測できることが判る。
尚、一般的に線間誘起電圧は、理想的なサイン波着磁のとき相間誘起電圧×3(1/2)である。矩形波着磁の場合はそれより大きくなり、二乗波形に近い着磁の場合は小さくなる。実際のモータでは着磁波形の歪や相間ばらつきがあることから線間誘起電圧から厳密な相間誘起電圧を演算することはできない。従ってコモン線が無いモータは厳密な誘起電圧定数Keを測定できない。しかしながら減磁は誘起電圧定数の相対的変化であることから、線間誘起電圧によって減磁を検出しても正確な減磁率が得られる。
以上の方法によれば測定相の電圧を小さくしてADコンバータの測定レンジにマッチングするための分圧抵抗2本と1チャンネルのADコンバータ(ADC)があれば実現できる。通常MPUはADCを内蔵しており実質的には抵抗2本の追加のみで線間誘起電圧定数(0toPEAK)及び減磁率を正確に測定できるようになる。図5の駆動回路例では何も部品追加することなくそのままで実施することができる。
(実施例5:ブラシレスDCモータ)
次にモータ駆動回路の外部に測定回路を追加し減磁を検出する場合について述べる。図18に三相センサレスBLDCモータ(MOTOR)とその駆動回路(ECU(Electronic Control Unit)56)及び外付け接続された外部測定回路57のブロック構成図を示し、以下これらの構成について説明する。
駆動回路(ECU56)は図5に示すブロック構成図とほぼ同様の回路構成であり、分圧回路DIV及びADC54が省略されモータオン信号出力(MOTOR−ON)が追加されている。このモータオン信号(MOTOR−ON)は、モータ出力がオンのときはH、オフのときはLとなり、いずれも外部測定回路57へ出力される。なお、コイル出力部にはゼロクロス検出手段(ZERO55)の他にもFETプリドライブ用のチャージポンプやノイズフィルタやコイル電流検出手段などが設けられる場合が多い。
外部測定回路57は、測定や演算を行う制御部(CPU57a)と、測定相電圧を分圧する分圧部(DIV57b)と、短絡相をFETによりGNDに短絡させるスイッチ部(SW57c)を備える。本例ではU相を測定相、V相を短絡相としているが、接続相は任意に選べる。外部測定回路57の制御部(CPU57a)は、駆動回路(ECU56)からのモータオン信号(MOTOR−ON)の入力部と、分圧後の測定相信号を入力しAD変換するユニポーラ型AD変換器(ADC57d)と、測定時にスイッチ部(SW57c)をオンする信号MEASの出力部とを備える。
駆動回路(ECU56)からモータ(MOTOR)へは出力U〜Wの3線が接続される。外部測定回路57へはモータ出力UとV及び駆動回路(ECU56)からモータオン信号(MOTOR−ON)とGNDラインの4線が接続される。尚、制御部(CPU57a)への制御用電源は、駆動回路(ECU56)からあるいは別途DC電源から供給すればよく、また上位コントローラ等と通信することなども当然に想定されるが、煩雑化をさけるためこれらの記載は省略した。
測定手順は、まず駆動回路(ECU56)がモータ(MOTOR)を回転させその後、出力をオフにして惰性回転させる。外部測定回路57は、モータオン信号(MOTOR−ON)がLになると測定を開始し、MEAS信号を出力してV相をGNDに短絡し、切り換えが安定する時間だけ待ったのちU相電圧の測定を開始する。ADC57dによりサイクリックにU相電圧をAD変換しコイル電圧を測定する。U相電圧値から1電気角周期分の測定完了を検出したら、MEAS信号をオフとしV相を元通りに開放し、電気角内の測定したU相電圧データから最大値と最小値を抽出しコイル電圧変動幅ΔVを求める。ユニポーラ型AD変換器ADC57dは負電圧が0Vと測定されることから、得られるコイル電圧変動幅ΔVは0Vとピーク値の差電圧となる。従ってコイル電圧変動幅ΔVは線間誘起電圧(0toPEAK)と等しくなる。さらにコイル電圧変動幅ΔVと電気角周期tから拡張誘起電圧係数KVを求め、それ以前のKV値と比較することで減磁を検出する。得られる減磁率は負荷電流やコイル直流抵抗値の影響を受けないため、非常に正確な減磁率を検出可能である。またモータ(MOTOR)の最高回転数まで測定でき、駆動回路(ECU56)の出力部周辺の付随部品の影響を受けにくいため汎用性が高い。
なお、モータ駆動回路の構成や制御プログラム構成は様々考えられ、本実施例に開示された態様に限定されるものではなく、本案主旨を逸脱しない範囲で電子回路技術者あるいはプログラマー(当業者)であれば当然なし得る回路構成の変更やプログラム構成の変更も含まれる。
1 回転子軸 2 回転子 3 永久磁石 4 固定子 50 上位コントローラ 51 MPU(制御回路) 52 ハーフブリッジ型インバータ回路(INV) 53 PWM制御回路 54 ADコンバータ(測定回路:ADC) 55 ゼロクロスコンパレータ 56 ECU(駆動回路) 57 外部測定回路 57a CPU(制御部)57b DIV(分圧部)57c SW(スイッチ部)57d ADC(ユニポーラ型AD変換器)

Claims (5)

  1. 永久磁石界磁を備えた回転子と電機子コイルを有する固定子を備えた電動機と、前記回転子の回転を付勢するように前記電機子コイルへ通電する出力回路と上位コントローラからの指令を受けて前記出力回路による前記電機子コイルへの通電を制御する制御回路と、前記電機子コイルに発生したコイル電圧を測定して前記制御回路へ送出する測定回路と、を有する電動機の減磁検出方法であって、
    前記制御回路は、前記電動機を通電制御された回転状態から非通電として惰性回転させて多相コイルのうち任意の一相のコイルを接地電位あるいは電源電位に接続し他相を開放としてから、開放相の一相のコイル電圧変動幅ΔV及び電気角周期tを測定し、得られた電気角周期t内のコイル電圧変動幅ΔVと電気角周期tを乗算して得られた値を拡張誘起電圧定数KVとして記憶し、予め所望の一つ或いは複数の拡張誘起電圧定数を閾値KVthとして設定しておき、電動機を惰性回転させて得られた拡張誘起電圧定数KVが前記閾値KVth以下なら減磁発生と判定することを特徴とする電動機の減磁検出方法。
  2. 未減磁状態で標準温度時の拡張誘起電圧定数KVあるいは前記閾値KVthと、今回測定した拡張誘起電圧定数KVとの差分から減磁量を検出する請求項1記載の電動機の減磁検出方法。
  3. 前記電動機の設計段階で使用最高温度を設定し、電動機運用前に前記永久磁石界磁が使用最高温度のときの拡張誘起電圧定数KVを推定若しくは測定し、前記制御回路は得られた値を閾値KVthとして記憶しておく請求項1又は請求項2記載の電動機の減磁検出方法。
  4. 前記制御回路は、電動機運用前に少なくとも3点以上の複数の界磁温度にて拡張誘起電圧定数KVを推定若しくは測定して記憶しておき、前記界磁温度と前記拡張誘起電圧定数KVとの関係を表す関数(近似式)を求めて前記制御回路に記憶し、電動機運用時において拡張誘起電圧定数KVの測定時に前記関数を用いて界磁温度を推定する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電動機の減磁検出方法。
  5. 前記制御回路は、電動機運用前に永久磁石界磁の標準温度にて拡張誘起電圧定数KVを推定若しくは測定して記憶しておき、電動機運用時に再び前記標準温度で拡張誘起電圧定数KVを測定し、今回測定値と運用前に記憶した拡張誘起電圧定数KVとの差分に基づいて請求項4で求めた関数の切片が補正された新たな関数を求めて前記制御回路に記憶し、拡張誘起電圧定数KVの測定時に前記補正された新たな関数を用いて界磁温度を推定する請求項4記載の電動機の減磁検出方法。
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