JP2023056334A - ブラシレスモータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度上昇や経時的な劣化で磁束が減少しても、回転センサの角度ずれを精度よく補正できるブラシレスモータ制御装置を提供すること。【解決手段】コンパレータは、W相のステータコイルの誘起電圧を検出する。制御回路は、コンパレータの出力信号の立ち上がりエッジとU相ホールセンサの検出信号の立ち上がりエッジとの順序を判定し、所定期間における順序判定結果に基づいて順序パターンを検出する。そして、制御回路は、順序パターンに応じた処理にて、コンパレータの出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの位相差を検出し、検出した位相差に基づいて通電タイミングを補正する。【選択図】図5
Description
この明細書における開示は、ブラシレスモータ制御装置に関する。
特許文献1は、ブラシレスモータ制御装置を開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
ところで、ブラシレスモータのロータを構成するマグネットの温度が上昇すると、磁束が減少する。また、マグネットの磁束は、経時的に減少(劣化)する。このように、温度上昇や経時的な劣化で磁束が減少すると、回転センサの検出信号の立ち上がりが遅れる。特許文献1に記載のブラシレスモータ制御装置では、上記した要因で生じる回転センサの理想位置に対する角度ずれを精度よく補正できない虞がある。上記した観点において、または言及されていない他の観点において、ブラシレスモータ制御装置にはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、温度上昇や経時的な劣化で磁束が減少しても、回転センサの角度ずれを精度よく補正できるブラシレスモータ制御装置を提供することにある。
ここに開示されたブラシレスモータ制御装置は、
磁極を有するロータ(101)の回転位置を回転センサ(12、12U、12V、12W)にて検出し、回転センサによるロータの検出回転位置に基づいて三相のステータコイル(102U、102V、102W)への通電タイミングを設定してブラシレスモータ(10)の回転を制御するブラシレスモータ制御装置であって、
ステータコイルの少なくとも一相の誘起電圧を検出する誘起電圧検出部(23)と、
誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの順序を判定する順序判定部(S703、S704)と、
所定期間における順序判定部の判定結果に基づいて順序パターンを検出する順序パターン検出部(S707、S709)と、
順序パターンに応じた処理にて、誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの位相差を検出する位相差検出部(S702、S708、S710、S711)と、
回転センサの理想位置に対する角度ずれを補正するように、検出した位相差に基づいて通電タイミングを補正する補正部(S80、S90)と、を備える。
磁極を有するロータ(101)の回転位置を回転センサ(12、12U、12V、12W)にて検出し、回転センサによるロータの検出回転位置に基づいて三相のステータコイル(102U、102V、102W)への通電タイミングを設定してブラシレスモータ(10)の回転を制御するブラシレスモータ制御装置であって、
ステータコイルの少なくとも一相の誘起電圧を検出する誘起電圧検出部(23)と、
誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの順序を判定する順序判定部(S703、S704)と、
所定期間における順序判定部の判定結果に基づいて順序パターンを検出する順序パターン検出部(S707、S709)と、
順序パターンに応じた処理にて、誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの位相差を検出する位相差検出部(S702、S708、S710、S711)と、
回転センサの理想位置に対する角度ずれを補正するように、検出した位相差に基づいて通電タイミングを補正する補正部(S80、S90)と、を備える。
開示されたブラシレスモータ制御装置によれば、誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの順序を判定する。そして、所定期間における順序パターンに応じた処理を実行して位相差を検出する。よって、温度上昇や経時的な劣化で磁束が減少しても、回転センサの角度ずれを精度よく補正することができる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
以下、一実施形態を図面にしたがって説明する。
<ブラシレスモータ>
まず、図1に基づき、ブラシレスモータの概略構成について説明する。図1は、本実施形態のブラシレスモータ10を示している。ブラシレスモータ10は、車両用空調装置の送風用モータとして用いられる。ブラシレスモータ10は、三相(U相、V相、W相)の駆動電力の供給に基づいて回転駆動される。
まず、図1に基づき、ブラシレスモータの概略構成について説明する。図1は、本実施形態のブラシレスモータ10を示している。ブラシレスモータ10は、車両用空調装置の送風用モータとして用いられる。ブラシレスモータ10は、三相(U相、V相、W相)の駆動電力の供給に基づいて回転駆動される。
ブラシレスモータ10は、回転可能に保持されたロータ101と、ステータ102を備えている。ロータ101は回転子、ステータ102は固定子と称されることがある。ロータ101は、60°ごとに磁極が異なる。つまり、ロータ101は、6つの磁極を有している。ステータ102は、U相、V相、W相のステータコイル102U、102V、102Wを有している。ステータコイル102U、102V、102Wは、Y結線(スター結線)されている。ステータコイル102U、102V、102Wは、固定子巻線と称されることがある。
<制御装置>
次に、図1および図2に基づき、制御装置の概略構成について説明する。図2は、各種動作波形を示す図である。図2では、
図1に示すように、制御装置11は、その三相への通電タイミングを設定して各相の駆動電力を生成することでブラシレスモータ10の回転を制御する。制御装置11は、たとえばブラシレスモータ10と一体的に設けられる。
次に、図1および図2に基づき、制御装置の概略構成について説明する。図2は、各種動作波形を示す図である。図2では、
図1に示すように、制御装置11は、その三相への通電タイミングを設定して各相の駆動電力を生成することでブラシレスモータ10の回転を制御する。制御装置11は、たとえばブラシレスモータ10と一体的に設けられる。
制御装置11は、ホールセンサ12と、電源安定化回路13と、インバータ14と、スタンバイ回路15と、制御回路16などを備えている。
ホールセンサ12は、ロータ101の磁極位置を検出するために、ブラシレスモータ10に配置されている。ホールセンサ12は、たとえばホールICである。ホールICは、ホール素子と、ホール素子の出力電圧を信号処理する回路を有している。ホールセンサ12は、3つのホールセンサ12U、12V、12Wを有している。ホールセンサ12U、12V、12Wは、6磁極のロータ101の磁極位置、つまり回転位置を相ごとに検出すべく、40°間隔(電気角では120°間隔)で配置されている。図1では、便宜上、ホールセンサ12とホールセンサ12U、12V、12Wとを離間して図示している。
電源安定化回路13は、直流電源5から供給される直流電力を安定化し、後段の回路に供給する。電源安定化回路13は、平滑コンデンサ131と、チョークコイル132を有している。平滑コンデンサ131は、高電位側の電源ラインPLと低電位側の電源ラインNLとに接続されている。電源ラインPLは直流電源5の正極に接続され、電源ラインNLは直流電源5の負極に接続されている。電源ラインPLは、Pラインと称されることがある。電源ラインNLは、GND(グランド)ライン、Nラインなどと称されることがある。
平滑コンデンサ131の正極は、直流電源5とインバータ14との間において、電源ラインPLに接続されている。平滑コンデンサ131の負極は、直流電源5とインバータ14との間において、電源ラインNLに接続されている。チョークコイル132は、電源ラインPLに設けられている。チョークコイル132は、電源ラインPLにおいて2つの平滑コンデンサ131との接続点の間に設けられている。
インバータ14は、DC-AC変換回路である。インバータ14は、直流電源5が供給する直流電力から120°位相の異なる三相の駆動電力を生成する。インバータ14は、電源安定化回路13とブラシレスモータ10との間に設けられている。
インバータ14は、三相分の上下アーム回路141を備えて構成されている。上下アーム回路141は、(ハーフ)ブリッジ回路、レグなどと称されることがある。上下アーム回路141は、上アーム141Hと、下アーム141Lをそれぞれ有している。上アーム141Hおよび下アーム141Lは、上アーム141Hを電源ラインPL側として、電源ラインPL、NLの間で直列接続されている。上アーム141Hと下アーム141Lとの接続点、つまり上下アーム回路141の出力端子は、ブラシレスモータ10における対応する相のステータコイル102U、102V、102Wに接続されている。インバータ14は、6つのアームを有している。各アームは、スイッチング素子を備えて構成されている。
本実施形態では、各アームを構成するスイッチング素子として、nチャネル型のMOSFETを採用している。各アームを構成するスイッチング素子の数は特に限定されない。ひとつでもよいし、複数でもよい。MOSFETは、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略称である。本実施形態では、各アームがひとつのMOSFETにより構成されている。つまり、インバータ14は、6個のスイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLを備えている。
U相の上アーム141Hを構成するスイッチング素子UHと、U相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子ULとは、スイッチング素子UHを電源ラインPL側として、電源ラインPL、NLの間で直列接続されている。同様に、V相の上アーム141Hを構成するスイッチング素子VHと、V相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子VLとは、スイッチング素子VHを電源ラインPL側として、電源ラインPL、NLの間で直列接続されている。W相の上アーム141Hを構成するスイッチング素子WHと、W相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子WLとは、スイッチング素子WHを電源ラインPL側として、電源ラインPL、NLの間で直列接続されている。
スイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLのそれぞれには、対応する還流用のダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6が逆並列に接続されている。ダイオードD1~D6は、MOSFETの寄生ダイオード(ボディダイオード)でもよいし、寄生ダイオードとは別に設けたものでもよい。ダイオードD1~D6のアノードは対応するMOSFETのソースに接続され、カソードはドレインに接続されている。
上記したように、ステータコイル102U、102V、102Wは、Y結線されている。スイッチング素子UH、ULの接続点、つまりU相の上下アーム回路141の出力端子は、U相のステータコイル102Uの一端に接続されている。スイッチング素子VH、VLの接続点、つまりV相の上下アーム回路141の出力端子は、V相のステータコイル102Vの一端に接続されている。スイッチング素子WH、WLの接続点、つまりW相の上下アーム回路141の出力端子は、W相のステータコイル102Wの一端に接続されている。そして、各スイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLが所定タイミングでスイッチング制御されることで生成される各相の駆動電力が、各相のステータコイル102U、102V、102Wに供給されるようになっている。
図2にスイッチング制御のタイミングを示す。U相の上下アーム回路141では、スイッチング素子ULが電気角120°のオン期間に次いで電気角60°のオフ期間を有し、その後、スイッチング素子UHが電気角120°のオン期間に次いで電気角60°のオフ期間を有する繰り返しとなっている。V相の上下アーム回路141を構成するスイッチング素子VH、VL、および、W相の上下アーム回路141を構成するスイッチング素子WH、WLについても、同様にオンオフ期間が設定されている。
また、相間では、スイッチング素子UHのオン期間終了とスイッチング素子VHのオン期間開始とが一致し、スイッチング素子VHのオン期間終了とスイッチング素子WHのオン期間開始とが一致するように、120°の位相差が設けられている。これにより、120°の位相差を有する各相の駆動電力(図示略)がブラシレスモータ10の各相のステータコイル102U、102V、102Wにそれぞれ印加されることになる。なお、図2に示す正弦波波形は、各相のステータコイル102U、102V、102Wに生じる誘起電圧の波形である。
ロータ101の回転にともなって出力されるホールセンサ12U、12V、12Wの検出信号は、図2に示すように120°の位相差を有するパルス状をなす。U相用のホールセンサ12UのHレベルへの立ち上がりに基づいて、U相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子ULがオンされる。ホールセンサ12UのLレベルへの立ち下がりに基づいて、U相の上アーム141Hを構成するスイッチング素子UHがオンされる。
また、V相用のホールセンサ12VのHレベルへの立ち上がりに基づいて、W相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子WLがオンされる。ホールセンサ12VのLレベルへの立ち下がりに基づいて、W相の上アーム141Hを構成するスイッチング素子WHがオンされる。W相用のホールセンサ12WのHレベルへの立ち上がりに基づいて、V相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子VLがオンされる。ホールセンサ12WのLレベルへの立ち下がりに基づいて、V相の上アーム141Hを構成するスイッチング素子VHがオンされる。
また、各相の下アーム141Lを構成するスイッチング素子UL、VL、WLは、図2に示すように、オン期間においてさらに高い周波数でオンオフされるPWM制御が行われる。図2では、オン期間を縦縞で示している。このPWM制御により、ブラシレスモータ10の回転速度が制御される。上記した各スイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLのスイッチング制御は、制御回路16により行われる。PWMは、Pulse Width Modulationの略称である。
スタンバイ回路15は、制御装置11の外部に設けられたエアコンECU6からの起動指令信号に基づいて動作電源を生成し、後述する制御回路16などに供給する。スタンバイ回路15は、電源回路と称されることがある。
制御回路16は、スタンバイ回路15からの動作電源の供給に基づいてそれぞれ動作する駆動タイミング生成部17、制御部18、F/Vコンバータ19、およびPWM生成部20を有している。制御回路16が、ブラシレスモータ制御装置に相当する。駆動タイミング生成部17、制御部18、およびF/Vコンバータ19には、上記したホールセンサ12U、12V、12Wの検出信号が入力される。制御装置11は、AND回路21、保護回路22、およびコンパレータ23をさらに備えている。
駆動タイミング生成部17は、ホールセンサ12U、12V、12Wの検出信号に基づいてロータ101の回転位置を検出し、その時々の各相のスイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLの駆動タイミング(通電タイミング)を設定する。
制御部18は、図示しない速度指令値設定部からの速度指令値とロータ101の検出回転位置とをパラメータとして、その時々の進角・遅角量を決定する。制御部18は、決定した進角・遅角量を駆動タイミング生成部17により設定された駆動タイミングに加味して駆動制御信号を生成する。制御部18は、生成した駆動制御信号を、上アーム141H側のスイッチング素子UH、VH、WHに対して直接出力し、下アーム141L側のスイッチング素子UL、VL、WLにはAND回路21を介して出力する。
F/Vコンバータ19は、ホールセンサ12U、12V、12Wの検出信号に基づいて得られるロータ101の回転速度に対応した周波数を電圧に変換する。F/Vコンバータ19は、変換電圧をPWM生成部20に出力する。
PWM生成部20は、変換電圧からロータ101の回転速度を把握し、PWM制御信号を制御部18の生成した駆動制御信号に加味すべくAND回路21に出力する。PWM生成部20は、ブラシレスモータ10の起動時において回転速度を徐々に上昇させるソフトスタートを行うべく、エアコンECU6からの起動指令信号に基づいてPWM制御信号のデューティ比を徐々に大きくする。ソフトスタートの後において、PWM生成部20は、速度指令値で設定された回転速度で一定となるようにPWM制御信号のデューティ比を調整する。これにより、下アーム141L側のスイッチング素子UL、VL、WLのオン期間での実オン時間が変更されてブラシレスモータ10に供給する駆動電力が調整され、ブラシレスモータ10の回転速度が制御される。
保護回路22は、制御部18からの駆動制御信号の出力を強制的に停止させる。これにより、スイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLの動作およびブラシレスモータ10の回転を停止させ、ブラシレスモータ10や制御装置11の保護を行う。
コンパレータ23のマイナス側入力端子は、各相のステータコイル102U、102V、102Wの中性点に接続されている。プラス側入力端子は、W相のステータコイル102Wの一端に接続されている。つまり、コンパレータ23には、ステータコイル102Wの相電圧(駆動電圧と誘起電圧との合成電圧)が入力される。コンパレータ23は、ステータコイル102Wの相電圧のプラスとなる期間にHレベル、マイナスとなる期間にLレベルとなる出力信号を、駆動タイミング生成部17に出力する。コンパレータ23は、誘起電圧を検出すべくステータコイル102Wの相電圧を入力し、入力に応じた2値信号の出力信号を出力する。コンパレータ23が、誘起電圧検出部に相当する。
駆動タイミング生成部17は、ステータコイル102Wの相電圧のうちの誘起電圧に対応したコンパレータ23からの出力信号とU相のホールセンサ12Uの検出信号とに基づいて、各ホールセンサ12U、12V、12Wの配置位置が理想位置に対して角度ずれが生じているか否かを判定する。駆動タイミング生成部17は、角度ずれが生じている場合に、そのずれ角に相当する補正値を駆動制御信号(駆動タイミング)に反映させる角度補正を行う。本実施形態では、この角度補正を、ブラシレスモータ10の起動時の回転速度が上昇する途中の低速回転域で行う。
<起動時処理>
次に、図3に基づき、制御回路16がブラシレスモータ10の起動時に実行する処理について説明する。制御回路16は、エアコンECU6から起動指令信号が入力されると、図3に示す処理を実行する。
次に、図3に基づき、制御回路16がブラシレスモータ10の起動時に実行する処理について説明する。制御回路16は、エアコンECU6から起動指令信号が入力されると、図3に示す処理を実行する。
制御回路16は、エアコンECUらの起動指令信号が入力されると、ブラシレスモータ10への通電を開始する(ステップS10)。次いで、制御回路16は、上記したソフトスタートを実行して回転速度を次第に上昇させる(ステップS20)。これと並行して、制御回路16は、駆動タイミング生成部17が備える周期カウンタ(図示略)のカウント値に基づいてブラシレスモータ10の回転速度を検出する。
次いで制御回路16は、ブラシレスモータ10の回転速度が所定の回転速度以上、たとえば500[rpm]以上となったか否かを判定する(ステップS30)。制御回路16は、回転速度が所定回転速度以上となるまで、ステップS20、S30を繰り返す。
回転速度が所定回転速度以上になると、制御回路16は、保護回路22による保護動作中か否かを判定する(ステップS40)。保護動作中の場合、制御回路16は、角度補正処理フローから逸脱した保護動作処理に移行し(ステップS50)、一連の処理を終了する。
保護動作中でない場合、制御回路16の駆動タイミング生成部17は、各相のステータコイル102U、102V、102Wへの通電を停止すべく、インバータ14のスイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLをすべてオフさせる(ステップS60)。これにより、コンパレータ23に入力するW相のステータコイル102Wの相電圧が誘起電圧のみとなる。
ステータコイル102U、102V、102Wに生じる誘起電圧は、ロータ101の実磁極位置を反映するものであり、ホールセンサ12U、12V、12Wの理想位置を示す。本実施形態では、ロータ101を所定の回転速度で回転させた後の慣性回転でステータコイル102U、102V、102Wに誘起電圧を生じさせ、そのうちステータコイル102Wの誘起電圧を利用する。また、角度補正にかかるロータ101の慣性回転を、5回転としている。
次いで、制御回路16は、ステータコイル102Wの誘起電圧とホールセンサ12Uの検出信号とに基づいて、ずれ角に対応する位相差の検出処理を実行する(ステップS70)。位相差検出処理の詳細については後述する。
次いで制御回路16は、ステップS70で検出した位相差に基づいて、ずれ角に相当する補正値を演算する(ステップS80)。そして、制御回路16は、ステップS80で算出した補正値を、各相のスイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLの駆動タイミングに反映する(ステップS90)。このように、ホールセンサ12Uの理想位置に対応したスイッチング素子UH、UL、VH、VL、WH、WLの駆動タイミングに調整されるため、ステータコイル102U、102V、102Wへの通電タイミングが好適に設定される。ステップS80、S90が、補正部に相当する。
このような角度補正において本実施形態ではロータ101を5回慣性回転させるが、本実施形態のようにブラシレスモータ10を車両用空調装置の送風用モータといった比較的慣性力が大きなシステムに用いれば、懸念される慣性回転による異音は殆ど発生しない。また、角度補正を低速回転域で行っているため、位相差検出(ずれ角検出)を高精度に行うことができるとともに、慣性回転時に生じる電流およびトルクリップルが小さいことからも、慣性回転時に生じる異音も極めて小さく抑えられる。
次いで、制御回路16は、ステップS90までの角度補正処理により好適なタイミングとされた通電タイミングにて、ステータコイル102U、102V、102Wへの通電を再開する(ステップS100)。制御回路16は、途中であったソフトスタートを再開し、ブラシレスモータ10の回転速度を速度指令値で設定された回転速度まで上昇させる。
速度指令値で設定された回転速度まで上昇すると、制御回路16は、速度指令値に基づく回転速度一定の定常回転に維持する通常制御に移行し(ステップS110)、一連の処理を終了する。このように本実施形態では、上記した角度補正を実行することで、ブラシレスモータ10の回転時の低騒音化が図られている。
<位相差検出>
次に、図4~図8に基づき、制御回路16が実行するステップS70の位相差検出処理について説明する。図4は、位相差のパターンを示している。図5は、位相差検出処理を示すフローチャートである。図6は、パターンAの場合の位相差検出を説明するための図である。図7は、パターンBの場合の位相差検出を説明するための図である。図8は、パターンCの場合の位相差検出を説明するための図である。図6~図8において、[]内の数値は、n回目であることを示している。図4、図6~図8に示す誘起電圧(W)は、ステータコイル102Wの誘起電圧に対応したコンパレータ23の出力信号を示している。ステータコイル102Wの誘起電圧のゼロクロス点で、コンパレータ23の出力信号はLレベルからHレベルへ立ち上がる。以下では、便宜上、コンパレータ23の出力信号の立ち上がりエッジを、ステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジと示すことがある。
次に、図4~図8に基づき、制御回路16が実行するステップS70の位相差検出処理について説明する。図4は、位相差のパターンを示している。図5は、位相差検出処理を示すフローチャートである。図6は、パターンAの場合の位相差検出を説明するための図である。図7は、パターンBの場合の位相差検出を説明するための図である。図8は、パターンCの場合の位相差検出を説明するための図である。図6~図8において、[]内の数値は、n回目であることを示している。図4、図6~図8に示す誘起電圧(W)は、ステータコイル102Wの誘起電圧に対応したコンパレータ23の出力信号を示している。ステータコイル102Wの誘起電圧のゼロクロス点で、コンパレータ23の出力信号はLレベルからHレベルへ立ち上がる。以下では、便宜上、コンパレータ23の出力信号の立ち上がりエッジを、ステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジと示すことがある。
ホールセンサ12(12U、12V、12W)は、ホールセンサ12やその周囲部品の寸法誤差、組付け誤差、特性ばらつきなどにより、理想位置に対して角度ずれが生じる。この角度ずれは、主として初期的な要因による角度ずれである。
また、ロータ101のマグネットの磁束が温度上昇にともなって減少すると、ホールセンサ12の立ち上がりエッジが遅れる。マグネットの温度は、近傍のステータコイル102U、102V、102Wの発熱の影響を受ける。たとえば車両に搭載される場合、車両の他の発熱要素の影響を受ける。このように、マグネットは雰囲気温度の影響を受ける。また、マグネットの磁束は経時的に低下(劣化)する。このように、ホールセンサ12の理想位置に対する角度のずれは、使用環境において変化し得る。この角度ずれは、後発的な要因の角度ずれである。
そこで本実施形態では、位相差のパターンを判定し、パターンに応じた演算によって位相差を検出する。位相差とは、U相のホールセンサ12Uの検出信号の立ち上がりエッジと、コンパレータ23の出力信号の立ち上がりエッジとの差分である。
図4(a)、(b)、(c)に示すように、位相差は、上記した慣性回転中の位相差検出期間において、3つのパターンをとり得る。図4(a)に示すパターンAは、ホールセンサ12Uの立ち上がりエッジが、コンパレータ23の出力信号(W相の誘起電圧)の立ち上がりエッジに対して進んでいるパターンである。以下、ホールセンサ12Uの立ち上がりエッジが、W相の誘起電圧の立ち上がりエッジに対して進んでいる順序を正順と示す。パターンAは、正順が続く、正順のみのパターンである。
図4(b)に示すパターンBは、コンパレータ23の出力信号(W相の誘起電圧)の立ち上がりエッジが、ホールセンサ12Uの立ち上がりエッジに対して進んでいるパターンである。以下、W相の誘起電圧の立ち上がりエッジが、ホールセンサ12Uの立ち上がりエッジに対して進んでいる順序を逆順と示す。パターンBは、逆順が続く、逆順のみのパターンである。図4(c)に示すパターンCは、正順と逆順とを含むパターンである。たとえば、正順と逆順とが交互に入れ替わってもよいし、交互でなくてもよい。位相差のパターンは、上記したように後発的な要因によって変化し得る。
図5に示す位相差検出処理において、まず制御回路16は、慣性回転の2回転目以降か否かを判定する(ステップS701)。2回転目以降ではない場合、つまり慣性回転の1回転目の場合、制御回路16は、ステップS702、S703の処理を実行せずに、ステップS705に移行する。
ブラシレスモータ10への通電を停止した直後は還流電流が生じるため、ロータ101の慣性回転の1回転目では、ステータコイル102U、102V、102Wから純粋な誘起電圧が得られない虞がある。本実施形態では、慣性回転の1回転目を還流電流の消滅を考慮した時間として設定しており、1回転目においてずれ角を補正するためのステップS702、S703の処理を実行しない。
ステップS701で2回転目以降の場合、制御回路16は、位相差時間の検出処理を行って、この処理により位相差時間を検出したか否かを判定する(ステップS702)。位相差時間を検出した場合、制御回路16は、ステップS703に移行する。検出していない場合、ステップS703の処理を実行せずに、ステップS705に移行する。位相差時間が、経過時間に相当する。
制御回路16の駆動タイミング生成部17は、ホールセンサ12Uの検出信号のLレベルからHレベルへの立ち上がりエッジを検出するパルスエッジ検出回路(図示略)を有している。上記した周期カウンタは、ホールセンサ12Uの検出信号の立ち上がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの時間、つまり電気角360°時間をカウントする。駆動タイミング生成部17は、ホールセンサ12Uの検出信号の立ち上がりエッジから、最初のW相のステータコイル102Wの誘起電圧のゼロクロス点、つまりコンパレータ23の出力信号が最初にHレベルに立ち上がるまでをカウントするタイマカウンタを有している。このタイマカウンタのカウント値が、位相差時間である。
電気角360°時間の間にステータコイル102Wの誘起電圧(コンパレータ23の出力信号)の立ち上がりエッジがない場合、制御回路16は、位相差時間を検出しない。このとき、制御回路16は、位相差時間を検出していないと判定する。電気角360°時間の間にステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジがある場合、制御回路16は、位相差時間を検出する。このとき、制御回路16は、位相差時間を検出したと判定する。電気角360°時間の間にステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジが複数ある場合、制御回路16は、最初の立ち上がりエッジまでの位相差時間のみを検出し、たとえば2つ目の立ち上がりエッジについては位相差時間を検出しない。これにより、制御回路16は、後述するステップS703の正順判定を、慣性回転1回転につき1回のみ行う。
なお、ホールセンサ12Uの検出信号の立ち上がりからステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジまでは、理想的に電気角30°である。たとえばホールセンサ12Uに角度ずれが生じていない場合、上記した位相差時間は電気角30°相当の値となる。制御回路16は、検出した位相差時間を、駆動タイミング生成部17内のメモリに格納する。
次いで制御回路16は、正順か否かを判定する(ステップS703)。制御回路16は、タイマカウンタにより検出した位相差時間が電気角360°時間の1/2、つまり電気角180°時間以下の場合に正順と判定し、ステップS705に移行する。制御回路16は、位相差時間が電気角180°時間より大きい場合に逆順と判定し、逆順発生回数をインクリメントして(ステップS704)から、ステップS705に移行する。なお、正順か否かを判定する際に用いる電気角360°時間は、位相差時間と同じ周期で検出された値を用いてもよいし、直前の周期で検出された値を用いてもよい。本実施形態では、電気角360°時間は、位相差時間の直前の周期で検出された値を用いる。ステップS703、S704が、順序判定部に相当する。
次いで制御回路16は、慣性回転の何回転目かを示すn数をインクリメントする(ステップS705)。たとえばステップS701において2回転目以降ではない(1回転目である)と判定した場合、ステップS705のインクリメントにより、n=1となる。2回転目以降の場合には、ステップS702、S703、S704のいずれかに続くステップS705のインクリメントにより、nは2以上となる。
次いで制御回路16は、n数が5に到達したか否かを判定する(ステップS706)。制御回路16は、慣性回転が5回転目になるまでステップS701~S705の処理を繰り返す。
次いで制御回路16は、逆順発生回数に基づいて上記したパターンA~Cのいずれに該当するかを判断し、パターンに応じた演算により位相差角度を検出する。位相差角度が、誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの位相差に相当する。
制御回路16は、まず逆順発生回数が0(ゼロ)か否かを判定する(ステップS707)。つまり制御回路16は、慣性回転の4回転すべてにおいて正順か否かを判定する。逆順発生回数が0の場合、パターンAであると判定し、パターンAの場合の位相差角度演算Aを実行する(ステップS708)。制御回路16は、数式1に示す位相差角度演算Aを実行することにより位相差角度(位相差)を算出により検出し、一連の処理を終了する。なお、位相差角度は、タイマカウンタのカウント値である位相差時間を電気角に変換したものである。
図6に示すように4回転すべてにおいて正順であるため、制御回路16は、メモリに格納した4回転分の位相差時間の平均をとり、位相差角度を算出する。ホールセンサ12Uに角度ずれが生じていない場合、位相差角度は電気角30°となる。ホールセンサ12Uが理想位置に対して進角側にずれていると、位相差角度は電気角30°よりも大きい値となる。ホールセンサ12Uが理想位置に対して遅角側にずれていると、位相差角度は電気角30°よりも小さい値となる。
ステップS707で逆順発生回数が0ではない場合、制御回路16は、逆順発生回数が4か否かを判定する(ステップS709)。つまり制御回路16は、慣性回転の4回転すべてにおいて逆順か否かを判定する。逆順発生回数が4の場合、位相差がパターンBであると判定し、パターンBの場合の位相差角度演算Bを実行する(ステップS710)。制御回路16は、数式2に示す位相差角度演算Bを実行することにより位相差角度を算出により検出し、一連の処理を終了する。
図7に示すように、4回転すべてにおいて逆順であるため、メモリに格納した4回転それぞれの位相差時間から電気角360°時間を減算した値の平均をとり、位相差角度を算出する。ホールセンサ12Uは、位相差角度の絶対値に電気角30°を加算した分、理想位置に対して遅角側にずれている。
ステップS709で逆順発生回数が4ではない場合、制御回路16は、位相差がパターンCであると判定し、パターンCの場合の位相差角度設定処理を実行する(ステップS711)。つまり4回転のうちに正順と逆順を含む場合、制御回路16は、ステップS711の処理を実行する。制御回路16は、数式3に示すように位相差角度として電気角0°を設定することにより位相差角度(位相差)を検出し、一連の処理を終了する。
図8に示す例では、慣性回転の2回転目、4回転目に、ステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジが2つ存在している。制御回路16は、2回転目において最初の立ち上がりエッジまでの位相差時間[1]を検出し、2つ目の立ち上がりエッジまでの位相差時間[2]については検出しない。同様に、制御回路16は、4回転目において最初の立ち上がりエッジまでの位相差時間[3]を検出し、2つ目の立ち上がりエッジまでの位相差時間[4]については検出しない。
このように、慣性回転の1回転(電気角360°時間)の間に、ステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジが複数存在するのは、正順と逆順が切り替わるためである。パターンCの場合、正順と逆順を含むため、間をとって電気角0°を設定する。
制御回路16は、ステップS708、S710、S711の処理により、位相差角度を検出する。ホールセンサ12Uが理想位置の場合、位相差角度は電気角30°となる。よって、位相角度の検出は、理想位置に対するずれ角の検出といえる。制御回路16は、検出した位相差角度と電気角30°とのずれ(ずれ角)を補正するように補正値を演算し(ステップS80)、算出した補正値を駆動タイミングに反映する(ステップS90)。なお、ステップS707、S709が順序パターン検出部に相当し、ステップS702、S708、S710、S711が位相差検出部に相当する。
<まとめ>
ステータコイル102U、102V、102Wに生じる誘起電圧は、ロータ101の実磁極位置を反映するものであり、ホールセンサ12U、12V、12Wの理想位置を示す。本実施形態では、その代表としてステータコイル102Wの誘起電圧を検出したコンパレータ23の出力信号とホールセンサ12Uの検出信号との位相差を検出することで、位相差に基づいてホールセンサ12Uの理想位置に対する角度ずれを補正することができる。よって、モータ回転時の騒音低減を図ることができる。
ステータコイル102U、102V、102Wに生じる誘起電圧は、ロータ101の実磁極位置を反映するものであり、ホールセンサ12U、12V、12Wの理想位置を示す。本実施形態では、その代表としてステータコイル102Wの誘起電圧を検出したコンパレータ23の出力信号とホールセンサ12Uの検出信号との位相差を検出することで、位相差に基づいてホールセンサ12Uの理想位置に対する角度ずれを補正することができる。よって、モータ回転時の騒音低減を図ることができる。
特に本実施形態では、コンパレータ23の出力信号の立ち上がりエッジとホールセンサ12Uの検出信号の立ち上がりエッジとの順序を判定する。そして、所定期間における順序パターンに応じた処理を実行して位相差を検出する。よって、温度上昇や経時的な劣化でロータ101のマグネットの磁束が減少しても、ホールセンサ12Uの角度ずれを精度よく補正することができる。たとえば温度変化にともなって一時的に磁束が変化しても、ホールセンサ12Uの角度ずれを精度よく補正することができる。
本実施形態では、正順のみを含むパターンAを検出した場合、所定期間に取得した複数の位相差時間を用いて位相差角度を検出する。複数の位相差時間の平均をとる等することで、正順が続く場合において位相差検出の精度を高めることができる。
本実施形態では、逆順のみを含むパターンBを検出した場合、所定期間に取得した複数の位相差時間のそれぞれから電気角360°時間を減算し、複数の減算値を用いて位相差角度を検出する。複数の減算値の平均をとる等することで、逆順が続く場合において位相差検出の精度を高めることができる。
本実施形態では、逆順のみを含むパターンBを検出した場合、所定期間に取得した複数の位相差時間のそれぞれから電気角360°時間を減算し、複数の減算値を用いて位相差角度を検出する。複数の減算値の平均をとる等することで、逆順が続く場合において位相差検出の精度を高めることができる。
本実施形態では、正順と逆順を含むパターンCを検出した場合、位相差角度として電気角0°を検出する。これにより、正順と逆順を含む場合において位相差検出の精度を高めつつ構成を簡素化することができる。
本実施形態では、ロータ101の回転速度が所定回転速度に到達した後にステータコイル102U、102V、102Wの全相への通電を停止してロータ101の慣性回転期間を設定する。そして、慣性回転期間においてステータコイル102U、102V、102Wの誘起電圧を検出する。慣性回転期間では、ステータコイル102U、102V、102Wの相電圧に駆動電圧が含まれないため、該相電圧の検出にて誘起電圧を容易且つ正確に検出することができる。
本実施形態では、ロータ101の回転が定常回転よりもソフトスタート途中の低速回転域において、ロータ101の慣性回転期間を設定する。そして、該期間内で得たコンパレータ23の出力信号とホールセンサ12Uの検出信号とに基づいて位相差(位相差角度)を検出する。ロータ101の低速回転域では誘起電圧とロータ101の回転位置とを小誤差で検出できるため、位相差の検出精度を高めることができる。これにより、角度補正をより一層的確に行うことができる。また、ロータ101の慣性回転時に生じる電流およびトルクリップルが低速回転域では小さいため、懸念される慣性回転による異音も極めて小さく抑えることができる。
本実施形態では、ロータ101の慣性回転期間となってから予め設定した所定時間経過後に、ステータコイル102U、102V、102Wの誘起電圧を検出する。その一例として、慣性回転1回転目はその還流電流の消滅を考慮した時間として設定し、慣性回転2回転目以降にステータコイル102U、102V、102Wの誘起電圧を検出する。これにより、位相差の検出精度を高めることができる。
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
上記した実施形態では、U相のホールセンサ12UとW相のステータコイル102Wを位相差検出(ずれ角検出)の対象としたが、他の相のホールセンサ12V、12Wやステータコイル102U、102Vをその対象としてもよい。上記実施形態では、一相のホールセンサ12Uの位相差(ずれ角)を全相の通電タイミングに反映させることで演算量軽減を図っていたが、これに限定されない。二相または三相のホールセンサ12の位相差を全相の通電タイミングに反映させてもよい。三相のホールセンサ12の位相差を個別に検出する場合、対応する相ごとの通電タイミングに反映させれば、各相のホールセンサ12それぞれの角度ずれに対応することができる。
上記実施形態では、ロータ101の慣性回転による位相差検出をソフトスタート中の低速回転域で実施したが、これに限定されない。たとえば、定常回転時に行ってもよい。
上記実施形態では、ロータ101の慣性回転1回転目を還流電流の影響を考慮してから位相差時間検出および正順判定を行わず慣性回転2回転目以降に位相差時間検出および正順判定を行ったが、位相差時間検出および正順判定を行わない時間はこれに限らず適宜変更してもよい。また、ロータ101の慣性回転期間となった直後からステータコイル102Wの誘起電圧を検出してもよい。
上記実施形態では、ロータ101の慣性回転2回転目~5回転目で得た4つの位相差時間(カウント値)に基づいてホールセンサ12Uの位相差角度を算出したが、これに限定されない。ひとつ、2つ、3つ、若しくは5つ以上の位相差時間から位相差角度を算出してもよい。
上記実施形態では、ステータコイル102U、102V、102Wの全相への通電を停止してロータ101の慣性回転期間にステータコイル102Wの誘起電圧を検出したが、誘起電圧の検出タイミングはこれに限定されない。ステータコイル102U、102V、102Wへの通電中、すなわちロータ101の回転駆動中に誘起電圧の検出を行ってもよい。
上記実施形態では、回転センサとして3個のホールセンサ12U、12V、12Wを用いて構成したが、センサの数はこれに限定されない。たとえば2個や1個で構成したものであってもよい。また、回転センサはホールセンサ以外の磁気センサを用いてもよく、更には磁気センサ以外のセンサで構成したものであってもよい。
上記実施形態では、モータ起動時にホールセンサ12U、12V、12Wの位相差検出(ずれ角検出)を行う構成であるが、位相差検出のタイミングはこれに限定されない。たとえば所定時間経過ごとに実行してもよい。起動以外の他の定期イベントの発生タイミングで実行してもよい。
上記実施形態では、ステータコイル102Wの相電圧(誘起電圧)をコンパレータ23で検出したが、該電圧を検出する構成はこれに限定されるものではない。
上記実施形態では、車両用空調装置の送風用モータとして用いられるブラシレスモータ10に適用したが、この用途以外のブラシレスモータに適用してもよい。
上記実施形態では、位相差検出処理において、電気角360°時間の間にステータコイル102Wの誘起電圧の立ち上がりエッジが複数ある場合、最初の立ち上がりエッジまでの位相差時間のみを検出し、2つ目以降の立ち上がりエッジについては位相差時間を検出しない例を示したが、これに限定されない。2つ目以降の立ち上がりエッジを検出するタイマカウンタをさらに備えてもよい。慣性1回転につき正順判定を1回のみ行う例を示したが、これに限定されない。慣性1回転につき正順判定を2回以上行ってもよい。位相差検出期間において、すべてが正順、すべてが逆順、正順と逆順を含むのいずれのパターンに該当するのかを検出できればよい。
5…直流電源、6…エアコンECU、10…ブラシレスモータ、101…ロータ、102…ステータ、102U、102V、102W…ステータコイル、11…制御装置、12、12U、12V、12W…ホールセンサ、13…電源安定化回路、131…平滑コンデンサ、132…チョークコイル、14…インバータ、141…上下アーム回路、141H…上アーム、141L…下アーム、15…スタンバイ回路、16…制御回路、17…駆動タイミング生成部、18…制御部、19…F/Vコンバータ、20…PWM生成部、21…AND回路、22…保護回路、23…コンパレータ、D1、D2、D3、D4、D5、D6…ダイオード、PL、NL…電源ライン、UH、UL、VH、VL、WH、WL…スイッチング素子
Claims (4)
- 磁極を有するロータ(101)の回転位置を回転センサ(12、12U、12V、12W)にて検出し、前記回転センサによる前記ロータの検出回転位置に基づいて三相のステータコイル(102U、102V、102W)への通電タイミングを設定してブラシレスモータ(10)の回転を制御するブラシレスモータ制御装置であって、
前記ステータコイルの少なくとも一相の誘起電圧を検出する誘起電圧検出部(23)と、
前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの順序を判定する順序判定部(S703、S704)と、
所定期間における前記順序判定部の判定結果に基づいて順序パターンを検出する順序パターン検出部(S707、S709)と、
前記順序パターンに応じた処理にて、前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジと前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジとの位相差を検出する位相差検出部(S702、S708、S710、S711)と、
前記回転センサの理想位置に対する角度ずれを補正するように、検出した前記位相差に基づいて前記通電タイミングを補正する補正部(S80、S90)と、
を備えるブラシレスモータ制御装置。 - 前記順序パターン検出部が、前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジに対して前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジが進んでいる正順のみを複数含むパターンを検出すると、
前記位相差検出部は、前記所定期間において前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジから前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジまでの経過時間を複数取得し、取得した複数の前記経過時間に基づいて前記位相差を算出により検出する、請求項1に記載のブラシレスモータ制御装置。 - 前記順序パターン検出部が、前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジに対して前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジが遅れている逆順のみを複数含むパターンを検出すると、
前記位相差検出部は、前記所定期間において前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジから前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジまでの経過時間を複数取得し、取得した複数の前記経過時間のそれぞれから電気角360°時間を減算して、前記位相差を算出により検出する、請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータ制御装置。 - 前記順序パターン検出部が、前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジに対して前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジが進んでいる正順と、前記誘起電圧検出部の出力信号の立ち上がりエッジに対して前記回転センサの検出信号の立ち上がりエッジが遅れている逆順とを含むパターンを検出すると、
前記位相差検出部は、前記位相差として電気角0°を検出する、請求項1~3いずれか1項に記載のブラシレスモータ制御装置。
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