JP5865818B2 - 電気透析装置及び電気透析方法 - Google Patents

電気透析装置及び電気透析方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気透析装置及び電気透析方法に関し、より詳しくは、筒状の隔膜を備え、流動性の乏しい原液を処理する場合において特に好適な電気透析装置及び電気透析方法に関する。
環境汚染の防止や省資源等の観点から、廃棄物を再利用することが試みられている。
高含水率の流動性廃棄物は、従来、処理が困難なものとされており、これを再利用するためには、例えば、塩濃度の低減など、電荷を持つ物質の分離操作が重要な工程の一つとなることがある。
現在、十分に流動性のある清澄な液体に対する塩類の除去は、逆浸透法や電気透析法が一般的な手法として用いられており、例えば、海水の淡水化や、半導体製造などに使われるイオン交換水や超純水の製造などに利用されている(特許文献1)。
また、特許文献2には、屎尿を曝気槽及び沈降分離槽で処理した後の上澄水を、電気透析による脱塩処理に付すことが記載されている。
かかる特許文献2は、平膜状のイオン交換膜を用いる場合には、平膜同士が接触しないように膜間に設置されるスペーサーが、上澄水(原液)中に混入する懸濁物質による目詰まりの原因となる問題を指摘し、これに対して、円筒状のイオン交換膜を用いる場合には、スペーサーを設置する必要がなくなるため、目詰まりの影響を受け難い利点があることを記載する。具体的には、円筒状のイオン交換膜を電気透析槽内の上澄水(原液)に浸漬すると共に、該円筒状のイオン交換膜の膜内に極液(原液から脱離されたイオンを受け容れる脱離液)を供給して脱塩処理を行うとしている。
特開平09−239245号公報 特開2007−38185号公報
本発明者は、例えば生ごみや家畜糞尿などのように、懸濁物や乳濁物を含む清澄でない液体や、固形分がなくても比較的粘度の大きい液体スラリー状の廃棄物を有効利用することについて研究し、これら原液中に高濃度で含まれる塩類(陽イオン及び又は陰イオン)が、有効利用の妨げになっていることに着目し、これを除去することを試みた。
しかし、従来の逆浸透法や電気透析法は、このような流動性の乏しい原液に対しては処理が不安定となり、イオンの除去効率が十分に得られ難い問題があり、更に、高価な透析膜あるいはイオン交換膜が損傷し易いため高コストとなる問題があった。
特許文献2のように円筒状のイオン交換膜を用いて脱塩を行う場合も同様であり、流動性の乏しい原液を処理する場合においては特に、脱塩効率の低下が顕著であった。
そこで、本発明の課題は、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することができる電気透析装置及び電気透析方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
電気透析装置本体と、
前記電気透析装置本体内に設けられた筒状の隔膜と、
前記筒状の隔膜の内周面又は外周面の何れかに沿って併設され、該筒状の隔膜の一端側に被処理液を導入するための導入口を有すると共に、他端側に処理液を排出するための排出口を有する流路と、
前記筒状の隔膜の前記流路が併設された周面の反対側の周面に沿って併設された脱離液収容部と、
前記流路を流通する被処理液中の荷電粒子を、前記筒状の隔膜を介して前記脱離液収容部の脱離液中へ電気泳動するように電位勾配を形成する電位印加手段と、
を備えた電気透析装置であって、
前記被処理液は、バイオマス由来成分を含むスラリー又は汚染土壌スラリーであって、直径100μm以上の粒子を含有する乳濁液及び又は懸濁液であるか、あるいは粘度が100cp以上の液であり、
前記脱離液収容部内に導電性を有する粒状物あるいは繊維状物からなる導電性充填材を充填してなり、
前記流路が前記筒状の隔膜を介して前記脱離液収容部に接する膜面区間において、前記被処理液の滞留時間T(hr)と、前記被処理液の前記隔膜の膜面からの最大離間距離D(mm)とが、D/T≦10の条件を満たすように、前記被処理液を流通させながら前記電気泳動を行うように構成されたことを特徴とする電気透析装置。
2.
前記流路が、前記筒状の隔膜の内周面に沿って併設されたことを特徴とする前記1記載の電気透析装置。
3.
電気透析装置本体内に設けられた筒状の隔膜の内周面又は外周面の何れかに沿って併設された流路を該筒状の隔膜の一端側から他端側に向けて流通する被処理液中の荷電粒子を、該筒状の隔膜を介して、該筒状の隔膜の前記流路が併設された周面の反対側の周面に沿って併設された脱離液収容部の脱離液中へ電気泳動する電気透析方法であって、
前記被処理液は、バイオマス由来成分を含むスラリー又は汚染土壌スラリーであって、直径100μm以上の粒子を含有する乳濁液及び又は懸濁液であるか、あるいは粘度が100cp以上の液であり、
前記脱離液収容部内に導電性を有する粒状物あるいは繊維状物からなる導電性充填材を充填し、
前記流路が前記筒状の隔膜を介して前記脱離液収容部に接する膜面区間において、前記被処理液の滞留時間T(hr)と、前記被処理液の前記隔膜の膜面からの最大離間距離D(mm)とが、D/T≦10の条件を満たすように、前記被処理液を流通させながら前記電気泳動を行うことを特徴とする電気透析方法。
4.
前記流路が、前記筒状の隔膜の内周面に沿って併設されたことを特徴とする前記3記載の電気透析方法。
本発明によれば、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することができる電気透析装置及び電気透析方法を提供することができる。
本発明の第1態様の基本構成を説明する概念図 本発明の第2態様の基本構成を説明する概念図 本発明の第1態様に係る電気透析装置の一例を示す概略図 図1における筒状の隔膜を被処理液の流通方向に垂直な面で切断した要部拡大断面図 本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図 図5におけるvi−vi線断面図 本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図 本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図 本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図 本発明の第2態様に係る電気透析装置の一例を示す概略図 図10における筒状の本体を被処理液の流通方向に垂直な面で切断した要部拡大断面図 図10における筒状の本体を被処理液の流通方向に垂直な面で切断した要部拡大断面図 本発明に係る導電性充填材について説明する要部拡大図 一対の電極間における電位勾配を説明するグラフ 本発明の電気透析装置に好ましく用いられる管状の電極を説明する概略断面図
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について具体的に説明するが、まず、図1及び図2を参酌して、本発明の基本構成について説明する。
本発明は、筒状の隔膜を備えた電気透析装置及び電気透析方法に係る発明であり、主に、図1に例示される第1態様と、図2に例示される第2態様とを含む。
図1に示す第1態様に係る電気透析装置1は、電気透析装置本体11内に、筒状の隔膜121を備えている。ここで、被処理液を流通する流路121aは、筒状の隔膜121の内周面に沿って併設される。
被処理液中の荷電粒子(図示の例ではイオン)は、当該被処理液が流路121aを流通する過程で、不図示の電位印加手段により電気的に泳動され、筒状の隔膜121の外部に除去される。具体的には、本体11内の脱離液収容部11aに収容された脱離液中に除去される。
このように、第1態様では、筒状の隔膜121の内部から外部に荷電粒子を除去することで、筒状の隔膜121内部の流路121aを流通する被処理液の電気透析が行われる。
一方、図2に示す第2態様に係る電気透析装置2もまた、電気透析装置本体21内に、筒状の隔膜221を備えているが、被処理液を流通する流路21aは、筒状の隔膜221の外周面に沿って併設される。具体的には、筒状の隔膜221の外周面と本体21の内面との間に、流路21aが形成される。
被処理液中の荷電粒子(図示の例ではイオン)は、当該被処理液が流路21aを流通する過程で、不図示の電位印加手段により電気的に泳動され、筒状の隔膜221の内部の脱離液収容部221aに収容された脱離液中に除去される。
このように、第2態様では、筒状の隔膜221の外部から内部に荷電粒子を除去することで、筒状の隔膜221外部の流路21aを流通する被処理液の電気透析が行われる。
本発明では、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することを目的に、第1及び第2態様に共通して、流路が筒状の隔膜を介して脱離液収容部に接する膜面区間(即ち被処理液の電気透析処理が行われる実質的な実効領域)における処理条件を一つの特徴とするものであり、これについて以下に説明する。
まず、図3は、本発明の第1態様に係る電気透析装置の一例を示す概略図である。
図3において、1は電気透析装置であり、11は電気透析装置本体、12は作用極、121は筒状の隔膜、13は対極である。
筒状の隔膜121は、固定部材122及び123により両端を固定された状態で、槽状の本体11内の脱離液収容部11aに収容された脱離液中に浸漬されている。
筒状の隔膜121を構成する隔膜としては、少なくとも除去対象となる荷電粒子が通過可能な膜であれば格別限定されない。例えば、イオン交換膜、透析膜のようなイオン選択透過性を有する膜を用いてもよいが、本発明では、微多孔膜を用いることも好ましい。微多孔膜としては、MF膜、UF膜又はNF膜等のようなイオン選択透過性を有さない膜を好ましく用いることができる。
本発明において、脱離液は、通常の電気透析に必要な最低限の電導度を有する液であれば格別限定されず、河川水や、水道水等を好ましく用いることができる。脱離液には、電導度を確保するために適宜電解質を添加することができる。
一端側の固定部材122には、筒状の隔膜121の内部に被処理液を導入するための導入口122aが設けられ、他端側の固定部材123には、筒状の隔膜121の内部からの処理液(処理後の被処理液)を排出する排出口123aが設けられている。
このようにして、本態様では、筒状の隔膜121の内部に流路121aを形成している。つまり、流路121aが、筒状の隔膜121の内周面に沿って併設される。
124は、導入口122aに導入するための被処理液を貯留する被処理液タンクであり、125は、排出口123aから排出された処理液を貯留する処理液タンクである。126は、被処理液タンク124内の被処理液を抜き出して導入口122aに移送するための移送ポンプである。
本発明において、被処理液は、除去目的とする荷電粒子を含むものであれば格別限定されず、本発明の効果を顕著に奏する上で、直径100μm以上の粒子を含有する乳濁液及び又は懸濁液であるか、あるいは粘度が100cp以上の液を好ましく例示できる。被処理液の具体例については、後に詳述する。
作用極12は、筒状の隔膜121の内部に設けられ、流路121aを流通する被処理液に接するように配されている。
一方、対極13は、筒状の隔膜121の外部に設けられ、脱離液収容部11a内の脱離液に接するように配されている。
作用極12及び対極13からなる1対の電極(電位印加手段)は、当該1対の電極間に所定の電位を印加可能に構成されている。これにより、流路121aを流通する被処理液中の荷電粒子を、筒状の隔膜121を介して脱離液収容部11aの脱離液中に電気泳動するための電位勾配を形成可能としている。
14は、脱離液収容部11a内の脱離液を攪拌する攪拌手段である。
以上に説明した電気透析装置を用いて電気透析処理を行う際には、1対の電極12、13間に電位勾配を形成し、攪拌手段14により脱離液収容部11a内の脱離液を攪拌した状態で、移送ポンプ126の作動により、被処理液タンク124からの被処理液を筒状の隔膜121内の流路121aの一端側(導入口122a)から流通させる。
被処理液中の荷電粒子は、筒状の隔膜121内の流路121aを流通する過程において、1対の電極12、13間に形成された電位勾配によって移動(電気泳動)し、筒状の隔膜121を通過して、脱離液収容部11a内の脱離液中に除去される。具体的には、除去目的の荷電粒子が正電荷を帯びている場合は、対極13を負極に設定し、除去目的の荷電粒子が負電荷を帯びている場合は、対極13を正極に設定する。
除去目的の荷電粒子が除去された処理済みの被処理液(処理液)は、筒状の隔膜121内の流路121aの他端側(排出口123a)から排出され、処理液タンク125に回収される。
一方、脱離液収容部11a内の脱離液中には、被処理液から除去された荷電粒子が回収される。
本発明においては、流路121aが筒状の隔膜121を介して脱離液収容部11aに接する膜面区間において、被処理液の滞留時間T(hr)と、被処理液の隔膜121の膜面からの最大離間距離D(mm)とが、D/T≦10、好ましくはD/T≦5の条件を満たすように、被処理液を流通させながら電気泳動を行うことにより、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することができる。
「膜面区間」とは、流路11aが筒状の隔膜121を介して脱離液収容部11aに接する領域のことであり、即ち、荷電粒子の移動が生じることにより被処理液の電気透析処理が行われる実質的な実効領域を指す。
「滞留時間T(hr)」とは、膜面区間を流通する被処理液が、当該膜面区間内に存在し続ける時間である。一例として、ポンプ流量Q(mm/hr)、膜面区間における流路の断面積S(mm)及び膜面区間における流路の長さL(mm)とした場合に、滞留時間T(hr)は、T=L・S/Qにより算出される。
「最大離間距離D(mm)」とは、筒状の隔膜121を被処理液の流通方向に垂直な面で切断した要部拡大断面図である図4に示すように、膜面区間を流通する被処理液において、膜面と、「膜面からの距離が最大となる位置」との間の直線距離のことである。例えば、筒状の隔膜121が円筒状であり、円筒の軸中心に沿って作用極12が配される場合は、作用極12の表面の位置が、「膜面からの距離が最大となる位置」となる。この場合、最大離間距離D(mm)は、膜面(筒状の隔膜121の内周面)から作用極表面までの距離に相当する。「最大離間距離D(mm)」は、言い換えれば、膜面区間を流通する被処理液のどの部位においても、膜面までの直線距離がD(mm)以内であることを意味する。
本発明において上記D/T≦10の条件下において電気泳動を行う際には、被処理液を、当該膜面区間において「流通」させることが重要である。これにより、同じ滞留時間だけ被処理液を「静止」させた場合等と比較して、脱塩効率が顕著に増加する効果が得られる。特に、被処理液の実質的に全てが膜面に沿う方向に流通されることが好ましく、これを好適に実現するためには、最大離間距離D(mm)を、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下に設定することである。
図5は、本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図であり、図6は、図5におけるvi−vi線断面図である。
図5において、電気透析装置1は、電気透析装置本体11内に、筒状の隔膜121を4つ備えている。各々の筒状の隔膜121は、円筒状の本体11の両端を閉口する互いに対向する壁112、113の間に架け渡されるように支持されている。
一方の壁112には、各々の筒状の隔膜121に被処理液を導入するための導入口122aが各々設けられ、他方の壁113には、各々の筒状の隔膜121の内部からの処理液を排出する排出口123aが各々設けられている。
円筒状の本体11の側壁111には、円筒状の本体11内の脱離液収容部11aに脱離液を導入するための導入口111aと、脱離液収容部11aからの脱離液を排出する排出口111bとが形成されている。導入口111a及び排出口111bは、それぞれ円筒状の本体11の一端側と他端側に配されている。
各々の筒状の隔膜121の内部には、それぞれ作用極12が設けられ、一方、外部には、脱離液収容部11a内の脱離液と接触するように対極13が設けられている。
図の例において、対極13は、4つの筒状の隔膜121を内側に取り囲む筒状体であり、例えば板状又は網状の導電性物質により形成されている。
かかる態様においても、筒状の隔膜121の膜面区間が、上述したD/T≦10の条件を満たすように、被処理液を流通させながら電気泳動を行うことにより、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することができる。
図7は、本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図である。
図7に示す電気透析装置1においては、各々の筒状の隔膜121に被処理液を導入するための導入口122aと、各々の筒状の隔膜121の内部からの処理液を排出する排出口123aとが、共に同じ壁(図示の例では上壁)112に設けられている。
導入口122aから導入された被処理液は、1つの筒状の隔膜121内を通過した後、U字状の接続管15で折り返されて、更なる1つの筒状の隔膜121内を通過し、その後、排出口123aから排出されるように構成されている。
各々の筒状の隔膜121内には、いずれも作用極(ここでは正極)12が挿入されており、従って、これら筒状の隔膜121は、被処理液から、同じ極性の荷電粒子(ここでは正荷電粒子)を除去するために機能する。
対極13は、本態様においても、複数の筒状の隔膜121を内側に取り囲む筒状に形成されている。
2つの筒状の隔膜121内を通過する過程において、被処理液の電気透析が行われる。
このように、本発明の電気透析装置1は、被処理液が、同じ極性の荷電粒子を除去するための複数の筒状の隔膜121を通過するように構成されてもよい。この場合、上述したD/T≦10の条件において、滞留時間T(hr)は、1つの筒状の隔膜121内における滞留時間とする。
以上の説明では、除去目的の荷電粒子が、正電荷又は負電荷の何れかである場合を示したが、本発明はこれに限定されず、以下に説明する通り、正電荷の荷電粒子(正荷電粒子)を除去する電気透析と、負電荷の荷電粒子(負荷電粒子)を除去する電気透析とを同時に行う場合にも好ましく適用できる。
図8は、本発明の第1態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図である。
図8の例において、電気透析装置1は、被処理液中の正荷電粒子を除去するための筒状の隔膜121に加えて、更に、負荷電粒子を除去するための筒状の隔膜131を備えている。筒状の隔膜121内の流路121aには作用極(正極)が挿入され、一方、筒状の隔膜131内の流路131aには対極(負極)が挿入されている。
筒状の隔膜131は、固定部材132及び133により両端を固定された状態で、槽状の本体11内の脱離液収容部11aに収容された脱離液中に浸漬されている。
一端側の固定部材132には、筒状の隔膜131の内部に被処理液を導入するための導入口132aが設けられ、他端側の固定部材133には、筒状の隔膜131の内部からの処理液(処理後の被処理液)を排出する排出口133aが設けられている。
このようにして、本態様では、筒状の隔膜131の内部に流路131aを形成している。つまり、流路131aが、筒状の隔膜131の内周面に沿って併設される。
134は、導入口132aに導入するための被処理液を貯留する被処理液タンクであり、135は、排出口133aから排出された処理液を貯留する処理液タンクである。136は、被処理液タンク134内の被処理液を抜き出して導入口132aに移送するための移送ポンプである。
電気透析処理を行う際には、1対の電極12、13間に電位勾配を形成し、攪拌手段14により脱離液収容部11a内の脱離液を攪拌した状態で、移送ポンプ126の作動により、被処理液タンク124からの被処理液を筒状の隔膜121内の流路121aの一端側から流通させる。正荷電粒子が除去された処理液(処理後の被処理液)は、筒状の隔膜121内の流路121aの他端側から排出され、処理液タンク125に回収される。
これと同時に、移送ポンプ136の作動により、被処理液タンク134からの被処理液を筒状の隔膜131内の流路131aの一端側から流通させる。負荷電粒子が除去された処理液は、筒状の隔膜131内の流路131aの他端側から排出され、処理液タンク135に回収される。
一方、脱離液収容部11a内の脱離液中には、2つの被処理液からそれぞれ除去された正荷電粒子及び負荷電粒子が回収される。
かかる態様においても、筒状の隔膜121の膜面区間、及び又は、筒状の隔膜131の膜面区間が、上述したD/T≦10の条件を満たすように、被処理液を流通させながら電気泳動を行うことにより、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することができる。
図8の例では、正荷電粒子を除去する電気透析と、負荷電粒子を除去する電気透析とを別々の被処理液に施す場合を示したが、本発明はこれに限定されず、以下に説明するように、正荷電粒子を除去する電気透析と、負荷電粒子を除去する電気透析とを同じ被処理液に施す場合にも好適に用いることができる。
図9は、本発明に係る電気透析装置の他の例を示す概略図である。
図9に示す電気透析装置1では、筒状の隔膜121内の流路121aから被処理液を排出する排出口123aが、U字状の接続管15を介して、筒状の隔膜131内の流路131aに被処理液を導入する導入口132aに接続されている。
被処理液タンク125からの被処理液は、まず、導入口122aから筒状の隔膜121内の流路121aに導入され、該流路121aを流通する過程で正荷電粒子が除去された後、排出口123aから排出される。
排出された被処理液は、次いで、接続管15を介して、導入口132aから筒状の隔膜131内の流路131aに導入され、該流路131aを流通する過程で負荷電粒子が除去された後、固定部材133に設けられた排出口133aから排出され、処理液タンク135に回収される。
このようにして、被処理液に対して、正荷電粒子を除去する電気透析と、負荷電粒子を除去する電気透析とを施すことができる。
一方、脱離液収容部11a内の脱離液中には、被処理液から除去された正荷電粒子及び負荷電粒子が回収される。
かかる態様においても、筒状の隔膜121の膜面区間、及び又は、筒状の隔膜131の膜面区間が、上述したD/T≦10の条件を満たすように、被処理液を流通させながら電気泳動を行うことにより、特に、流動性の乏しい原液を処理する場合においても、脱塩効率を向上することができる。
以上、被処理液を流通する流路が、筒状の隔膜の内周面に沿って併設される第1態様について説明した。
次に、流路が、筒状の隔膜の外周面に沿って併設される第2態様について説明する。
図10は、本発明の第2態様に係る電気透析装置の他の例を示す概略図である。
図10において、2は電気透析装置であり、221及び231は筒状の隔膜である。
筒状の隔膜221は、固定部材222及び223により両端を固定されると共に、内部に作用極(ここでは正極)22が挿入された状態で、円筒状容器からなる本体21内の流路21aを流通する被処理液中に浸漬されている。
一端側の固定部材222には、筒状の隔膜221の内部に脱離液を導入するための導入口222aが設けられ、他端側の固定部材223には、筒状の隔膜221の内部からの脱離液(被処理液から脱離した負荷電粒子を含んだ脱離液)を排出する排出口223aが設けられている。
224は、導入口222aに導入するための脱離液を貯留する脱離液タンクであり、226は、脱離液タンク224内の脱離液を抜き出して導入口222aに移送するための移送ポンプである。排出口223aから排出された脱離液は、再び脱離液タンク224に返送されるように構成されている。
一方、筒状の隔膜231は、固定部材232及び233により両端を固定されると共に、内部に対極(ここでは負極)23が挿入された状態で、円筒状容器からなる本体21内の流路21aを流通する被処理液中に浸漬されている。
一端側の固定部材232には、筒状の隔膜231の内部に脱離液を導入するための導入口232aが設けられ、他端側の固定部材233には、筒状の隔膜231の内部からの脱離液(被処理液から脱離した正荷電粒子を含んだ脱離液)を排出する排出口233aが設けられている。
234は、導入口232aに導入するための脱離液を貯留する脱離液タンクであり、236は、脱離液タンク234内の脱離液を抜き出して導入口232aに移送するための移送ポンプである。排出口233aから排出された脱離液は、再び脱離液タンク234に返送されるように構成されている。
円筒状の本体21の一端側には、該本体21内の流路21aに被処理液を導入するための導入口212aが設けられ、他端側には、流路21aからの処理液(処理後の被処理液)を排出するための排出口213aが設けられている。
214は、導入口212aに導入するための被処理液を貯留する被処理液タンクであり、215は、排出口213aから排出された処理液を貯留する処理液タンクである。また、216は、被処理液タンク214内の被処理液を抜き出して導入口212aに移送するための移送ポンプである。
このように、本態様では、筒状の隔膜221及び231の内部に脱離液収容部221a及び231aを形成している。そして、流路21aは、筒状の隔膜221及び231の外周面に沿って併設される。
また、作用極22は、脱離液収容部221a内の脱離液に接するように配され、一方、対極23は、脱離液収容部231a内の脱離液に接するように配されている。
作用極22及び対極23からなる1対の電極(電位印加手段)は、当該1対の電極間に所定の電位を印加可能に構成されている。これにより、流路21aを流通する被処理液中の荷電粒子のうち、負荷電粒子を筒状の隔膜221を介して脱離液収容部221aの脱離液中に電気泳動すると共に、正荷電粒子を筒状の隔膜231を介して脱離液収容部231aの脱離液中に電気泳動するための電位勾配を形成可能としている。
以上に説明した電気透析装置を用いて電気透析処理を行う際には、1対の電極22、23間に電位勾配を形成し、移送ポンプ226及び236の作動により脱離液を筒状の隔膜221及び231の内部に供給し、移送ポンプ216の作動により被処理液タンク214からの被処理液を本体21内の流路21aの一端側から流通させる。
被処理液中の荷電粒子は、本体21内の流路21aを流通する過程において、1対の電極22、23間に形成された電位勾配によって移動(電気泳動)し、負荷電粒子は、筒状の隔膜221を通過して、脱離液収容部221a内の脱離液中に除去され、正荷電粒子は、筒状の隔膜231を通過して、脱離液収容部231a内の脱離液中に除去される。
除去目的の荷電粒子が除去された処理液は、本体21内の流路21aの他端側から排出され、処理液タンク215に回収される。
本発明においては、このように流路21aが筒状の隔膜221及び231の外周面に沿って併設される場合も、筒状の隔膜の内周面に沿って併設される場合と同様に、流路21aが筒状の隔膜221及び231を介して脱離液収容部221a及び231aに接する膜面区間において、被処理液の滞留時間T(hr)と、被処理液の隔膜の膜面からの最大離間距離D(mm)とが、D/T≦10の条件を満たすように、被処理液を流通させながら電気泳動を行うように構成される。
このように流路が筒状の隔膜の外周面に沿って併設される場合においても、「最大離間距離D(mm)」は、膜面区間を流通する被処理液において、膜面と、「膜面からの距離が最大となる位置」との間の距離のことであり、これについて、図11及び図12を参酌して詳しく説明する。
図11及び図12は、何れも、図10に示した筒状の本体21を被処理液の流通方向に垂直な面で切断した断面を示している。筒状の本体21の内部、且つ筒状の隔膜221及び231の外部の領域に、流路21aが形成されている。
除去目的とする荷電粒子が正荷電粒子であれば、最大離間距離D(mm)の基準となる膜面は、正荷電粒子を通過・除去させる膜面であり、即ち内部に対極(負極)23が挿入された筒状の隔膜231の膜面である。従って、図11に示すように、筒状の隔膜231の膜面と、筒状の本体21の内壁面との間の距離が最大になる距離が、最大離間距離D(mm)に相当する。
なお、図11の例のように、膜面と、「膜面からの距離が最大となる位置」との間に、障害物(ここでは筒状の隔膜221)が存在する場合であっても、最大離間距離D(mm)は、膜面と、「膜面からの距離が最大となる位置」とを結ぶ直線距離とする。
一方、除去目的とする荷電粒子が負荷電粒子であれば、最大離間距離D(mm)の基準となる膜面は、負荷電粒子を通過・除去させる膜面であり、即ち内部に作用極(正極)22が挿入された筒状の隔膜221の膜面である。従って、図12に示すように、筒状の隔膜221の膜面と、筒状の本体21の内壁面との間の距離が最大になる距離が、最大離間距離D(mm)に相当する。
図12においても、図11と同様に、膜面と、「膜面からの距離が最大となる位置」との間に、障害物(ここでは筒状の隔膜231)が存在するが、最大離間距離D(mm)は、膜面と、「膜面からの距離が最大となる位置」とを結ぶ直線距離とする。
除去目的とする荷電粒子が正荷電粒子と負荷電粒子を共に含む場合は、図11及び図12に示した両方の最大離間距離D(mm)について、D/T≦10の条件を満たすことが好ましい。
本発明においては、脱離液収容部11a内に導電性充填材を充填することも好ましいことである。
図13は、本発明に係る電気透析装置の他の例を示す要部拡大図であり、一例として、図9に示した電気透析装置1の脱離液収容部11a内に導電性充填材16を充填した状態を示している。
導電性充填材16としては、例えば導電性を有する粒状物あるいは繊維状物等を好ましく例示でき、具体的には、例えば高温焼成した木炭片や炭素繊維フェルトなどを好ましく例示できる。
図14は、一対の電極12、13間における電位勾配を説明するグラフであり、図中、縦軸は電位を、横軸は図13におけるA地点から作用極(正極)12、対極(負極)13側を経てB地点に至るまでの位置を示している。
脱離液収容部11a内に導電性充填材16を充填することにより、図14に実線で示すように、該脱離液収容部11aに形成される電位勾配が平坦化するため、その分、流路121a、131a、並びにこれらに隣接する隔膜12、13に亘って形成される電位勾配の傾斜が増大する。比較として、導電性充填材16を充填しない場合の電位勾配を破線で示した。
その結果、流路121a、131aから隔膜12、13を介して脱離液収容部11aに向かう荷電粒子の泳動を促進できる効果が得られる。また、これにより、脱離液収容部11aの脱離液の導電性が低い場合であっても、荷電粒子の泳動を効率的に行うことができるようになる。その結果、一対の電極12、13間に印加する電位差を低減できる効果も得られる。
更に、本発明においては、脱離液収容部11aにおいて、脱離液が導電性充填材16と衝突することで乱流化し、脱離液の線速が増大することも、イオン移動の促進に寄与する。
また更に、本発明においては、導電性充填材16を設けることにより、流路121a、131a側と、脱離液収容部11a側との圧力バランスを調整することができる。
つまり、被処理液と脱離液との間に生じる浸透圧や、被処理液と脱離液の粘性の差などによって、流路121a、131a内は、脱離液収容部11a内よりも圧力が上昇し易い。このとき、脱離液収容部11a内に導電性充填材16を設けることにより、脱離液収容部11a内の圧力を上昇させることができるため、流路121a、131a側と、脱離液収容部11a側との圧力バランスを調整することができる。
具体的には、導電性充填材16を設けることにより、流路121a、131a側と、脱離液収容部11a側との圧力差を300mmHO以下の範囲に調整することが好ましい。
そのため、導電性充填材16の選定、及び、脱離液収容部11aへの充填に際しては、流路121a、131a側と、脱離液収容部11a側との圧力バランスを考慮することが好ましく、具体的には、上述したように、浸透圧や粘性の差によって流路121a、131a側の圧力が脱離液収容部11a側よりも増大することを防止して、流路121a、131a側と、脱離液収容部11a側との圧力差が300mmHO以下の範囲となるように選定・充填されることが好ましい。
以上、図13では、被処理液を流通する流路が筒状の隔膜の内周面に沿って併設される態様において、筒状の隔膜の外部の脱離液収容部に導電性充填材を充填する場合について説明したが、これに限定されず、流路が筒状の隔膜の外周面に沿って併設される態様において、筒状の隔膜の内部の脱離液収容部に導電性充填材を充填することもでき、好ましいことである。
本発明においては、特に、第1態様に示したように被処理液を流通する流路が筒状の隔膜の内周面に沿って併設される態様においては、以下に説明するように、作用極12又は対極13として、管状の電極を用いることも好ましい。
図15は、本発明の電気透析装置に好ましく用いられる管状の電極を説明する概略断面図である。
図15に示した電気透析装置1においては、管状の電極12により作用極が構成されている。
管状の電極12は、一端側の開口12aが、該管状の電極12内に被処理液を流入する流入口を成しており、他端側の開口12bが、筒状の隔膜121内の流路121aに被処理液を流出する流出口を成している。このようにして、管状の電極12の流出口12bを、筒状の隔膜121内の流路121aに被処理液を導入するための導入口として機能させている。
以上の説明では、管状の電極12を作用極として用いる場合について説明したが、対極13についても同様に構成することができる。
本発明に供される被処理液は、上述したように、直径100μm以上の粒子を含有する乳濁液及び又は懸濁液であるか、あるいは粘度が100cp以上の液であることが好ましい。
被処理液として、具体的には、バイオマス由来成分を含むスラリーを好ましく例示できる。
例えば、バイオマス由来成分を含むスラリーとしては、スラリー化した生ごみ(生ごみペースト)、家畜糞尿等を好ましく例示できる。
また、バイオマス由来成分を含むスラリーをメタン発酵させた後の消化液も被処理液として好ましく用いることができる。
更に、バイオマス由来成分を含むスラリーをメタン発酵に供する前の前処理としても、本発明を好ましく適用できる。
例えば、豚は、給餌に際して飼料に亜鉛を添加する場合があるため、家畜糞尿が豚の糞尿を含む場合は、比較的多量の亜鉛が含まれ、農地還元等の再利用に際して環境上の問題が大きいが、本発明によれば、このような重金属イオンも好適に除去できる。
また、本発明は、例えば、梅発酵残液等の食品加工残渣からの食塩除去や、焼酎粕濃縮液等の食品加工残渣からのカリウム塩除去にも好ましく用いることができる。もちろん、食品加工残渣に限らず、食品からの減塩等にも好適に用いることができる。焼酎粕濃縮液としては、特に、焼酎粕を固液分離処理して得られた液相を、好ましくは固形分濃度25wt%以上、より好ましくは固形分濃度30wt%以上、最も好ましくは35wt%以上に濃縮してなる濃縮液を好ましく例示することができる。
本発明によってイオンが除去された後の被処理液(処理液)は、例えばハウス栽培用の養液や、家畜用飼料として好適に用いることができる。特に、ハウス栽培用の養液として用いる場合には、ハウス内の土壌が雨に曝されないことによる蓄積塩害を防止できる効果に優れ、家畜用飼料に用いる場合には、家畜の尿管結石の原因となるカリウムを好適に除去できる効果が得られる。
また、本発明によれば、被処理液中に含まれる多価フェノール類、クエン酸、有機酸類、カリウムイオン等の有価物を、イオンとして受容液中に好適に回収でき、有価物の再利用を効率化することができる。
また更に、本発明では、被処理液として汚染土壌スラリーを好ましく処理できる。例えば、汚染土壌を水中に分散してスラリー化し、これを被処理液として、本発明の液間イオン移送装置で処理する。イオン化した汚染物質は受容液中に除去され、処理後の被処理液(処理液)から除染された土壌成分(固形分)を容易に回収できる。
特に、汚染物質がセシウムである場合には、本発明によって好適に受容液中に除去できることが確認された。これは、電位勾配下におけるセシウムイオンの移動速度が比較的速いことによるものと推定される。
本発明において、被処理液中に含まれる除去目的となる荷電粒子としては、正荷電粒子(例えば陽イオン)及び又は負荷電粒子(例えば陰イオン)であれば格別限定されない。イオンの価数は1価又は2価以上の何れであってもよく、また、単原子イオン、多原子イオン、錯イオン、クラスターイオン等の何れの形態であってもよい。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
1.芋焼酎粕濃縮液のカリウムイオン脱離試験
(実施例1)
図1に示したものと同様の電気透析装置を用い、円筒状(内径10mm、長さ50mm)の隔膜(イオン交換膜:旭硝子社製「セレミオンCMV」)の内部に、被処理液として下記芋焼酎粕濃縮液(26℃)を流通(電流密度0.5mAcm−2、3.5V定電圧、滞留時間1時間で流通)させ、外部に下記脱離液(26℃)を接触させて、D/T=5の条件で、カリウム(K)イオン脱離試験を行った。
カリウム脱離率及び電流効率を表1に示す。
<被処理液(芋焼酎粕濃縮液)>
芋焼酎粕を遠心分離機により固液分離した後の液側を回収し、これを多重効用蒸発缶により濃縮したものを用いた。性状は下記の通りである。
固形分濃度:27.2wt%
強熱(600℃)減量:8.7wt%、
pH4.7
電導度(26℃):0.90S/m
カリウム含有量:3330mg/L
粘度:約3PaS
<脱離液>
酢酸濃度が100ml/Lである酢酸水溶液を脱離液として用いた。性状は下記の通りである。
pH4.1
電導度(26℃):1.038S/m
粘度:約10mPaS
(実施例2)
図11に示したものと同様の電気透析装置を用い、円筒状の隔膜(イオン交換膜:旭硝子社製「セレミオンCMV」)の内部に脱離液を流通させ、外部に芋焼酎粕濃縮液を流通(電流密度0.6mAcm−2、3.5V定電圧、滞留時間1時間で流通)させて、D/T=5の条件としたこと以外は実施例1と同様にして、カリウムイオン(K)脱離試験を行った。
カリウム脱離率及び電流効率を表1に示す。
(比較例1)
実施例2において、円筒状のイオン交換膜の外部に芋焼酎粕濃縮液を静止させた状態(電流密度0.5mAcm−2、3.5V定電圧)で1時間処理したこと以外は実施例2と同様にして、カリウムイオン脱離試験を行った。
カリウム脱離率及び電流効率を表1に示す。
Figure 0005865818
2.メタン発酵消化液の食塩濃度低減試験
(実施例3)
図9に示したものと同様の電気透析装置を、図13に示したように脱離液収容部内に導電性充填材(1350℃にて焼成されたPAN系カーボン繊維フェルト)を充填して用い、正荷電粒子除去用及び負荷電粒子除去用の各円筒状の隔膜の内部に、被処理液としてメタン発酵消化液(22℃)を流通(電流8mA→3mA、4.5V定電圧、各円筒状の隔膜あたり滞留時間1時間で流通)させ、外部に脱離液(水道水:電導度22.6mS/m(21℃)、100ml/hr)を接触させて、D/T=5の条件で、ナトリウムイオン(Na)及び塩化物イオン(Cl)の脱離試験を行った。
処理前後のメタン発酵消化液の性状を表2に示した。
このとき、電荷(電気量):18coul.→0.19mmolに対して、ΔNa:(0.6/23)×4ml=0.10mmolであったことより、電流効率η=53%であることがわかる。
Figure 0005865818
(実施例4)
実施例3において、メタン発酵消化液(19℃)を用い、隔膜を微多孔膜(MF膜)に代え、3.8V定電圧(電流9mA→3mA)とした(D/T=5)こと以外は、実施例3と同様にして脱離試験を行った。
処理前後のメタン発酵消化液の性状を表3に示した。
このとき、電荷(電気量):〜0.19mmolに対して、ΔNa:(0.5/23)×4ml=0.09mmolであったことより、電流効率η=47%であることがわかる。
Figure 0005865818
<評価>
実施例4の結果より、本発明においては、筒状の隔膜として微多孔膜を好ましく用いることができることがわかる。
1:電気透析装置
11:電気透析装置本体
11a:脱離液収容部
12:作用極
13:対極
121、131:筒状の隔膜
121a、131a:流路
2:電気透析装置
21:電気透析装置本体
21a:流路
22:作用極
23:対極
221、231:筒状の隔膜
221a、231a:脱離液収容部

Claims (4)

  1. 電気透析装置本体と、
    前記電気透析装置本体内に設けられた筒状の隔膜と、
    前記筒状の隔膜の内周面又は外周面の何れかに沿って併設され、該筒状の隔膜の一端側に被処理液を導入するための導入口を有すると共に、他端側に処理液を排出するための排出口を有する流路と、
    前記筒状の隔膜の前記流路が併設された周面の反対側の周面に沿って併設された脱離液収容部と、
    前記流路を流通する被処理液中の荷電粒子を、前記筒状の隔膜を介して前記脱離液収容部の脱離液中へ電気泳動するように電位勾配を形成する電位印加手段と、
    を備えた電気透析装置であって、
    前記被処理液は、バイオマス由来成分を含むスラリー又は汚染土壌スラリーであって、直径100μm以上の粒子を含有する乳濁液及び又は懸濁液であるか、あるいは粘度が100cp以上の液であり、
    前記脱離液収容部内に導電性を有する粒状物あるいは繊維状物からなる導電性充填材を充填してなり、
    前記流路が前記筒状の隔膜を介して前記脱離液収容部に接する膜面区間において、前記被処理液の滞留時間T(hr)と、前記被処理液の前記隔膜の膜面からの最大離間距離D(mm)とが、D/T≦10の条件を満たすように、前記被処理液を流通させながら前記電気泳動を行うように構成されたことを特徴とする電気透析装置。
  2. 前記流路が、前記筒状の隔膜の内周面に沿って併設されたことを特徴とする請求項1記載の電気透析装置。
  3. 電気透析装置本体内に設けられた筒状の隔膜の内周面又は外周面の何れかに沿って併設された流路を該筒状の隔膜の一端側から他端側に向けて流通する被処理液中の荷電粒子を、該筒状の隔膜を介して、該筒状の隔膜の前記流路が併設された周面の反対側の周面に沿って併設された脱離液収容部の脱離液中へ電気泳動する電気透析方法であって、
    前記被処理液は、バイオマス由来成分を含むスラリー又は汚染土壌スラリーであって、直径100μm以上の粒子を含有する乳濁液及び又は懸濁液であるか、あるいは粘度が100cp以上の液であり、
    前記脱離液収容部内に導電性を有する粒状物あるいは繊維状物からなる導電性充填材を充填し、
    前記流路が前記筒状の隔膜を介して前記脱離液収容部に接する膜面区間において、前記被処理液の滞留時間T(hr)と、前記被処理液の前記隔膜の膜面からの最大離間距離D(mm)とが、D/T≦10の条件を満たすように、前記被処理液を流通させながら前記電気泳動を行うことを特徴とする電気透析方法。
  4. 前記流路が、前記筒状の隔膜の内周面に沿って併設されたことを特徴とする請求項3記載の電気透析方法。
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