JP5863534B2 - 空気予熱器及び空気予熱器の制御方法 - Google Patents
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Description
このため、エレメントの硫酸腐食を抑制するために、エレメントを対腐食材で被覆することが考えられるが、このような構成は、伝熱特性で劣るため大型化を招くデメリットがある。
また、エレメントの腐食により、排ガス中の灰分が凝集し、エレメントが閉塞して伝熱性能が低下する。
そこで、エレメントの硫酸腐食を抑制するための技術として、特許文献1には、ケーシングとエレメントとの間に空気バイパス流路を形成し、空気バイパス流路、すなわち空気予熱器を流通する空気の流量を調整することで、腐食を低温側のエレメントのみとする技術が開示されている。
そして、制御手段によって、空気予熱器の運転モードが第1運転モード又は第2運転モードに設定され、設定された運転モードに応じた目標温度の範囲内にガス出口温度検出手段の検出値が達するように流量調整手段が制御される。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る舶用ボイラ10の構成図である。
図1に示される舶用ボイラ10は、火炉11の上部に形成された風箱12内に1または複数のバーナ13が設置されている。このバーナ13は、空気ダクト14を介して導入される燃焼用空気を用いてボイラ燃料を燃焼させ、高温の燃焼ガスを生成して下流の熱交換器に供給する。ここで使用する燃焼用空気は、詳細を後述する空気予熱器30を通過した後、空気ダクト14に供給される。
なお、図中の符号19は水ドラム、20は蒸気ドラム、21及び22はヘッダ、23はエコノマイザである。
舶用ボイラ10に装備される空気予熱器30は、図2に示されるように、ケーシング32内で回転する略円柱形状に組み立てられたエレメント34に燃焼用空気及び高温の排ガスが流通して熱交換させるものである。なお、燃焼用空気は、押込通風機36によって空気予熱器30へ導入される。
図2に示されるケーシング32は、内部にエレメント34を収納して回転する略円形断面のロータ38を収める。
また、空気予熱器30は、燃焼用空気の一部をエレメント34へ流通させることなく舶用ボイラ10へ流通させる空気バイパス流路40、及び空気バイパス流路40に設けられ、空気予熱器30を流通する燃焼用空気の流量を調整する空気バイパスダンパ42を備える。
図3に示されるように、排ガスと燃焼用空気との熱交換により、燃焼用空気の温度は入口よりも出口の方が高くなり、排ガスの温度は入口よりも出口の方が低くなる。排ガス出口温度Tgが硫酸露点Teよりも低くなると、低温側エレメントに硫酸腐食が発生することとなる。
効率優先モードの目標温度の範囲の上限温度は、硫酸露点Teから所定値αを減算した温度以上であれば、硫酸露点Te未満であってもよい。さらに、メンテナンス優先モードの上限温度は、排ガス入口温度Tg’未満であり、かつ硫酸露点Te以上の所定値βである。
低温端平均温度TLは、制御装置50に入力された空気入口温度Taと排ガス出口温度Tgとの平均値(TL=(Ta+Tg)/2)であり、制御装置50によって算出される。この低温端平均温度TLは、例えば冬期に空気入口温度Taが低下した場合のように、運転中の外乱に対するバックアップ制御の管理基準温度としても使用される。
セットポイントTcは、空気予熱器30の性能を十分に発揮させるために設定されるものであって、例えば、低温端平均温度TLがセットポイントTcよりも低いと、燃焼用空気を十分に予熱できない。
舶用ボイラ10で使用される燃料とは、重油、LNG、及び重油とLNGの混合燃料等であり、舶用ボイラ10の運用状態とは、航行速度、及び舶用ボイラ10の負荷等である。
制御装置50は、舶用ボイラ10の運転条件に対応したセットポイントTcを、記憶装置52に記憶された運用データベースから読み出して設定する。
なお、運転モードが効率優先モードに設定されている場合、セットポイントTcは、相対的に低い値に設定される。一方、運転モードがメンテナンス優先モードに設定されている場合、セットポイントTcは、相対的に高い値に設定される。
運転モードが効率優先モードに設定されている場合、セットポイントTcは相対的に低い値に設定されるので、制御装置50は、空気バイパスダンパ42を閉じる方向に制御して、エレメント34に流通する燃料用空気の流量をより多くして、排ガスとの熱交換量を多くし、低温端平均温度TLを低くする。一方、運転モードがメンテナンス優先モードに設定されている場合、セットポイントTcは相対的に高い値に設定されるので、制御装置50は、空気バイパスダンパ42を開く方向に制御して、エレメント34に流通する燃料用空気の流量をより少なくして、排ガスとの熱交換量を少なくし、低温端平均温度TLを高くする。
ステップ116で否定判定の場合は、メンテナンス優先モードであるにもかかわらず排ガス出口温度Tgが硫酸露点Teよりも低いので、制御装置50は、セットポイントTcを所定温度高く再設定し、空気バイパスダンパ42の開度の制御を行う。
ステップ118で否定判定の場合は、排ガス出口温度Tgが低すぎ、エレメント34の硫酸腐食がより進行してしまうので、制御装置50は、セットポイントTcを所定温度高く再設定し、空気バイパスダンパ42の開度の制御を行う。
これにより、管理者は、低温側エレメントの交換予測時期を把握できる。このため、例えば、管理者は、交換予測時期をより伸ばしたい場合、メンテナンス優先モードで空気予熱器30を運転することができる一方、交換予測時期が当初予測していた時期よりも先である場合、効率優先モードで空気予熱器30を運転することができる。また、効率優先モードとメンテナンス優先モードでの運転を組合わせることで、船舶が入港するタイミングに低温側エレメントの交換メンテナンスが実施できるようにすることができる。
このように、本第1実施形態に係る空気予熱器30は、舶用ボイラ10の効率をより高くできるメンテナンス優先モード、又はケーシング32の硫酸腐食を抑制できる効率優先モードを設定し、設定した運転モードに応じた目標温度に排ガス出口温度Tgが達するように空気バイパスダンパ42を制御するので、舶用ボイラ10の効率を向上させると共に、エレメント34の硫酸腐食を抑制できる。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
そして、本第2実施形態に係る制御装置50は、設定した運転モードに応じた目標温度に排ガス出口温度センサ48Gの検出値が達するように流量調整弁62の開度を制御する。
また、空気予熱器30の空気側には、上述した第1実施形態とは異なり、一定以上の流量の燃焼用空気がエレメント34に常に供給されることとなる。従って、エレメント34の局所的な温度分布が発生しにくく、この結果、局所的な硫酸腐食を抑制でき、エレメント34の交換時期の把握がより精度良くなり、エレメント34の管理が容易となる。
30 空気予熱器
32 ケーシング
34 エレメント
40 空気バイパス流路
42 空気バイパスダンパ
48G 排ガス出口温度センサ
50 制御装置
52 記憶装置
54 表示装置
60 空気循環流路
62 流量調整弁
Claims (8)
- ボイラに備えられ、酸化性ガス及び燃焼ガスが流通して熱交換させるエレメントがケーシング内に設けられた空気予熱器であって、
前記エレメントを流通する前記酸化性ガスの流量を調整する流量調整手段と、
前記燃焼ガスの出口温度を検出するガス出口温度検出手段と、
前記燃焼ガスの出口温度の目標温度を硫酸露点から所定値を減算した温度以上、かつ硫酸露点以下の範囲とする第1運転モード、又は前記燃焼ガスの出口温度の目標温度を硫酸露点を超える範囲とする第2運転モードを設定し、設定した運転モードに応じた前記目標温度に前記ガス出口温度検出手段の検出値が達するように前記流量調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする空気予熱器。 - 前記制御手段は、相対的に高負荷で前記ボイラが運転される場合に前記第1運転モードを設定し、相対的に低負荷で前記ボイラが運転される場合に前記第2運転モードを設定することを特徴とする請求項1記載の空気予熱器。
- 前記制御手段は、前記第1運転モード又は前記第2運転モードに応じた前記目標温度を満たし、かつ前記ボイラの運転条件に応じて決定されるセットポイントに、前記酸化性ガスの入口温度と前記燃焼ガスの出口温度の平均温度が達するように前記流量調整手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気予熱器。
- 前記ボイラで使用される燃料、前記ボイラの運用状態、及び前記第1運転モード又は前記第2運転モードの設定結果により示される前記ボイラの運転条件に応じたセットポイントを示すデータベースを記憶した記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記ボイラの運転条件に対応した前記セットポイントを前記記憶手段に記憶されたデータベースから読み出して設定することを特徴とする請求項3記載の空気予熱器。 - 前記制御手段は、前記第1運転モード又は前記第2運転モードで運転した時間に基づいて、前記エレメントの交換時期を報知手段に報知させることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項記載の空気予熱器。
- 前記流量調整手段は、前記酸化性ガスの一部を前記エレメントへ流通させることなく前記ボイラへ流通させる空気バイパス流路に設けられ、該空気バイパス流路を流通する前記酸化性ガスの流量を調整することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項記載の空気予熱器。
- 前記流量調整手段は、熱交換された前記酸化性ガスの一部を前記エレメントから抽出し、抽出した前記酸化性ガスを前記エレメントを流通する前の前記酸化性ガスと混合させる空気循環流路に設けられ、該空気循環流路を流通する前記酸化性ガスの流量を調整することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項記載の空気予熱器。
- ボイラに備えられ、酸化性ガス及び燃焼ガスが流通して熱交換させるエレメントがケーシング内に設けられた空気予熱器の制御方法であって、
前記燃焼ガスの出口温度の目標温度を硫酸露点から所定値を減算した温度以上、かつ硫酸露点以下の範囲とする第1運転モード、又は前記燃焼ガスの出口温度の目標温度を硫酸露点を超える範囲とする第2運転モードを運転モードとして設定する第1工程と、
設定した前記運転モードに応じた前記目標温度に前記燃焼ガスの出口温度が達するように、前記エレメントを流通する前記酸化性ガスの流量を調整する流量調整手段を制御する第2工程と、
を含む空気予熱器の制御方法。
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