JP5441017B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
以上
図1は、本発明の一実施形態に係るボイラシステム1の概略図である。また、図2は、図1のボイラシステム1における各ボイラ20を示す概略図である。
ボイラシステム1において、要求される負荷は、蒸気使用設備18で消費される蒸気の量である。ボイラシステム1は、圧力測定部7により測定された圧力Pと、温度測定部50により測定された温度Tとなどに基づいて、燃焼量制御部4により、燃焼させるボイラ20の台数、各ボイラ20の燃焼量などを制御するようになっている。
本実施形態においては、各ボイラ20は、段階値制御ボイラから構成されている。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にON/OFFしたり、炎の大きさを段階的に変更したりすることにより、燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。段階値制御ボイラは、比例制御ボイラに対して設備構造面及びコスト面で十分に優位性が確保可能とされ、燃焼位置が少段階のボイラをいう。
段階値制御ボイラからなる5台のボイラ20は、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量、及び最大燃焼量としての燃焼能力(高燃焼状態における燃焼量)が等しく設定されている。
1)燃焼停止状態(第1燃焼位置:0%)
2)低燃焼状態L(第2燃焼位置:たとえば最大燃焼量の5〜35%で設定され、本実施形態では20%)
3)中燃焼状態M(第3燃焼位置:たとえば最大燃焼量の40〜70%で設定され、本実施形態では45%)
4)高燃焼状態H(第4燃焼位置:100%(最大燃焼量))
また、入力部4Aは、信号線14により各ボイラ20と接続されており、信号線14を介して、例えば、各ボイラ20の燃焼状態、燃焼しているボイラ20の台数、温度測定部50により測定された給水温度Tなどの情報が入力されるようになっている。
また、演算部4Bは、温度測定部50により測定された給水温度Tに基づいて、ボイラ20の燃焼量の設定に係る所定の演算を行う。
蒸気使用設備18は、スチームヘッダ6からの蒸気によって運転される設備である。
図2に示すように、ボイラ20は、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ本体21で発生する燃焼ガスG4を排出する排出部25と、ボイラ本体21と排出部25とを連通して燃焼ガスG2〜G4を流通させる排出路24と、ボイラ本体21へ給水W1〜W3を供給する給水装置30と、給水W1を予め加熱してから給水W3をボイラ本体21に供給する給水予熱器としてのエコノマイザ40と、温度測定手段としての温度測定部50と、を備える。
排出路24は、図示例の場合、上下方向に延びる流通部としての下降流通部24Dを有する。下降流通部24Dにおいては、燃焼ガスG2,G3が上方から下方に向かって下降して流通する。
通気路42は、図示例では、排出路24の下降流通部24Dから構成されている。
熱交換部44は、例えば、燃焼ガスG2の顕熱を回収したり、燃焼ガスG2の潜熱を回収して燃焼ガスG2に含まれる水蒸気を結露させて水として回収したりすることを可能とされている。
1)ボイラ本体21における燃料の燃焼で発生した燃焼ガスG1は、ボイラ本体21の缶体内の水を加熱した後に排出路24に排出されて、燃焼ガスG2となる。
2)排出路24に移動した燃焼ガスG2は、排出路24の下降流通部24Dに配置された熱交換部44を通過する。熱交換部44の内部の水は、燃焼ガスG2の顕熱により加熱され、燃焼ガスG2の温度は低下する。また、燃焼ガスG2に含まれる水蒸気は、結露して水として分離され、燃焼ガスG2は、温度が低下して燃焼ガスG3の状態となる。
3)熱交換部44を経由して温度が低下した燃焼ガスG3(G4)は、排出部25の近傍の大気と混合されて、燃焼ガス混合空気G5となる。
なお、熱交換部44が下降流通部24Dに配置されているので、熱交換部44で結露した水分(ドレン水)を熱交換部44の下方で容易に回収することができる。
第2給水ライン32は、熱交換部44の上端部とボイラ本体21の下部管寄せ(図示せず)とを接続し、熱交換部44を通過した給水W2を、ボイラ本体21の前記下部管寄せに流通させる。
給水ポンプ33は、第1給水ライン31の途中に設けられ、第1給水ライン31に位置する給水W1を下流側(ボイラ本体21側)へ送り出す。
燃焼量制御部4においては、給水温度Tに係る閾値として、温度閾値Qが設定されている。
温度閾値Qは、例えば、40℃以上の範囲が好ましく、たとえば40〜50℃の範囲で適宜(例えば、45℃)設定することができるが、40℃以上100℃未満の範囲内であれば、どの範囲にでも設定することができる。本実施形態における温度閾値Qが45℃の場合においては、その温度閾値Qは、本実施形態における燃焼ガスの露点近傍の温度である。
ここでいう「放熱損失」は、ボイラ20からの放熱損失の総量であり、例えば、燃焼ガス(排ガス)からの損失、ボイラ本体21からの損失、排出路24からの損失、燃料の不燃焼分による損失、不完全燃焼ガスによる損失、各部からのドレン、蒸気や温水の漏れ等による損失を含む。
ボイラ20の放熱損失が1%以下であると、図3に示すような、ボイラの負荷率が低いほどボイラ効率が漸増する傾向(後述)が発現しやすくなる。
ここでいう「ボイラ効率」は、全供給熱量に対する出蒸気の総吸収熱量の割合を意味し、100%負荷時における瞬間効率(設計効率)である。
ボイラ効率が96%以上であると、図3に示すようなボイラの負荷率が低いほどボイラ効率が漸増する傾向(後述)が発現しやすくなる。
そこで、本実施形態においては、燃焼量制御部4は、温度測定部50により測定される給水温度Tに基づいて複数のボイラ20それぞれの燃焼量を制御する。
具体的には、燃焼量制御部4は、温度測定部50により測定される給水温度が5〜35℃である場合には、ボイラ20の燃焼量を最大の燃焼量の5〜35%の範囲で設定された低燃焼状態とするのが好ましい。また、燃焼量制御部4は、温度測定部50により測定される給水温度が10〜20℃である場合には、ボイラ20の燃焼量を最大の燃焼量の10〜20%の範囲で設定された低燃焼状態とするのが好ましい。
そのため、たとえば、給水温度Tが15℃(常温)の給水が供給されており且つ約350℃の燃焼ガスG2が熱交換部44に導入される場合には、燃焼量制御部4は、複数のボイラ20それぞれの燃焼量を低燃焼状態に設定する。低燃焼状態とは、段階値制御ボイラにおいて、典型的には最も小さな燃焼量であり、ここでは最大燃焼量のたとえば20%である。
給水温度Tが低い(15℃)場合(給水温度Tが燃焼ガスの露点よりも大幅に低い場合)には、燃焼ガスG2の温度が大きく低下するので、熱交換部44の外面に結露水(ドレン水)が多く発生しやすい。また、負荷率が低いほど燃焼ガス(排ガス)の潜熱損失が小さくなる。これらの要因により、図3に示すように、ボイラの負荷率が低いほど、ボイラ効率が漸増する傾向となる。また、燃焼量を極力小さくすれば、エコノマイザ40を流通した後の燃焼ガスG3の温度を小さくできる。従って、燃焼量制御部4は、ボイラ20の燃焼状態を、低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)に設定する。
このように、エコノマイザ40において、給水温度が低く、低負荷運転でも排ガス温度が給水温度付近まで下がらず潜熱回収できる場合、負荷率が低いほど、潜熱回収が放熱損失を上回るので、ボイラ効率が高まる。よって、温度測定部50により測定される給水温度Tが温度閾値Q以下の場合には、ボイラ20の燃焼量を低燃焼状態とすることで、ボイラシステム1の効率を向上することができる。
微風パージとは、油焚きボイラにおいて、燃焼信号が出力されるとするとすぐに着火することができるように、未燃ガスを缶内に滞留させないために送風機の回転数を減少させて、微風量で送風状態を維持することをいう。
プレパージとは、ボイラの点火前に自動で送風機を回し、風を燃焼室内に送り、燃焼室内に残留しているガスを外へ追い出す処理である。
具体的には、給水温度Tが45℃の温水の給水が供給されており且つ約350℃の燃焼ガスG2が熱交換部44に導入される場合には、燃焼量制御部4は、複数のボイラ20それぞれの燃焼量を最大の燃焼量の40〜70%に設定する。本実施形態において最大の燃焼量の40〜70%に該当するのは、中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)である。そこで、本実施形態においては、ボイラ20の燃焼状態を、中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)に設定する。
給水温度Tが高い(45℃)場合(燃焼ガスの露点に近い場合)には、負荷率が低いほど、放熱損失の影響が大きくなる一方、負荷率が高いほど燃焼ガス(排ガス)の潜熱損失が大きくなる。これらの要因により、図4に示すように、負荷率が中間であるボイラの燃焼状態が中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)の場合に、ボイラ効率が極大(ピーク)となる。従って、燃焼量制御部4は、ボイラ20の燃焼状態を、中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)に設定する。
このように、エコノマイザ40において、給水温度が高いと、低負荷運転を行なった場合、排ガス温度が給水温度付近まで低下し潜熱回収はできないが放熱損失は大きくなる一方、負荷率が高すぎても排ガスの潜熱損失が大きくなるため、中程度の負荷率でのボイラ効率が最も高くなる。よって、温度測定部50により測定される給水温度Tが温度閾値Qを超える場合には、ボイラ20の燃焼量を中燃焼状態とすることで、ボイラシステム1の効率を向上することができる。
例えば、ボイラ20の燃焼状態が低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)に設定された場合、燃焼量制御部4は、まず、1台のボイラ20を低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)で燃焼させる。1台のボイラ20の燃焼では、ボイラシステム1が生成すべき蒸気量(必要蒸気量)が不足する場合には、2台目のボイラ20を低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)で燃焼させる。必要蒸気量が得られるまで、低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)で燃焼させるボイラ20を増加させる。全てのボイラ20を低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)で燃焼させても必要蒸気量が得られない場合には、1台のボイラ20の燃焼状態を中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)に設定する。以後、必要蒸気量が得られるまで、中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)で燃焼させるボイラ20を増加させる。
なお、ボイラ20を1度に複数台増加させてもよい。
この具体例では以下の条件とされているものとする。図6及び図7に示すように、ボイラシステムは、4台のボイラ(NO.1〜NO.4)から構成されている。1台のボイラの蒸気生成能力は2t/hであり、必要蒸気量は2tである。低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)に設定された場合におけるボイラの蒸気生成能力は500kg/hである。中燃焼状態M(第3燃焼位置:45%)に設定された場合におけるボイラの蒸気生成能力は1t/hである。
このように燃焼量を制御することにより、ボイラ効率を最高にすることができる。
このように燃焼量を制御することにより、ボイラ効率を最高にすることができる。
本実施形態のボイラシステム1においては、ボイラ20は、ボイラ本体21と排出部25とを連通して燃焼ガスG2〜G4を流通させる排出路24であって、その一部に上下方向に延びる下降流通部24Dを有する排出路24と、下降流通部24Dに配置され且つボイラ本体21に供給される給水W1が流通する熱交換部44を有し、下降流通部24Dを流通する燃焼ガスG2により熱交換部44において給水W1を予め加熱してから、給水W3をボイラ本体21に供給するエコノマイザ40と、熱交換部44に流通する前の給水W1の温度である給水温度Tを測定する温度測定部50と、を有する。燃焼量制御部4は、温度測定部50により測定される給水温度Tに基づいて、複数のボイラ20それぞれの燃焼量を制御する。
例えば、排出路24において熱交換部44が配置される流通部は、前記実施形態においては、燃焼ガスが上方から下方に向かって下降して流通する下降流通部24Dに設けられているが、これに制限されない。前記流通部は、燃焼ガスが下方から上方に向かって上昇して流通する上昇流通部に設けることもできる。さらに、エコノマイザ40では、横方向、斜め上方へ、あるいは斜め下方へ燃焼ガスが通される構成でもよい。このように、エコノマイザ40は、縦型に配置される以外に、横型に配置されたり、斜めに配置されたりしてもよい。
4位置制御の段階値制御ボイラとして、燃焼停止状態(第1燃焼位置:0%)、低燃焼状態L(第2燃焼位置:20%)、中燃焼状態M(第3燃焼位置:60%)及び高燃焼状態H(第4燃焼位置:100%)の4段階の燃焼状態(燃焼位置、負荷率)に制御可能な4位置制御の段階値制御ボイラを用いることができる。
段階値制御ボイラにおける燃焼位置の制御は、4位置制御に制限されず、3位置制御、5位置制御などでもよい。
ボイラシステムにおけるボイラの台数は、1台でもよい。
ボイラシステムにおいて、蒸気生成能力が異なるボイラを併せて備えていてもよい(例えば、蒸気生成能力が2t/hのボイラと3t/hのボイラ)。
比例制御ボイラは、燃焼能力(最大燃焼状態における燃焼量)に対して0%(燃焼がない状態)から100%(最大燃焼量)の範囲で燃焼量が連続的に制御可能とされており、例えば、比例制御バルブの開度(燃焼比)を制御することにより調整するようになっている。
比例制御ボイラの燃焼量は、比例制御ボイラの燃焼能力とバルブ開度(燃焼比)との積により求められる。
また、本発明は、ガス焚きボイラおよび油焚きボイラにも適用可能である。
4 燃焼量制御部(燃焼量制御手段)
20 ボイラ
21 ボイラ本体
24 排出路
24D 下降流通部(流通部)
25 排出部
40 エコノマイザ(給水予熱器)
44 熱交換部
50 温度測定部(温度測定手段)
G1,G2,G3,G4 燃焼ガス
W1,W2,W3 給水
Claims (10)
- ボイラと、該ボイラの燃焼量を制御する燃焼量制御手段と、を備えるボイラシステムであって、前記ボイラは、燃焼が行われるボイラ本体と、前記ボイラ本体で発生する燃焼ガスを排出する排出部と、前記ボイラ本体と前記排出部とを連通して燃焼ガスを流通させる排出路と、前記排出路に配置され且つ前記ボイラ本体に供給される給水が流通する熱交換部を有し、前記排出路を流通する燃焼ガスにより前記熱交換部において給水を予め加熱してから、当該給水を前記ボイラ本体に供給する給水予熱器と、前記熱交換部に流通する給水または燃焼ガスの温度を測定する温度測定手段と、を有し、
前記燃焼量制御手段は、低燃焼状態と高燃焼状態とを含む複数段階に燃焼量を変更可能とし、前記燃焼量制御手段においては、給水または燃焼ガスの温度に係る閾値として温度閾値が設定されており、
前記燃焼量制御手段は、前記温度測定手段により測定される温度が前記温度閾値以下の場合には、前記ボイラの燃焼量を低燃焼状態とし、
前記燃焼量制御手段は、燃焼量が小さい順に、低燃焼状態、中燃焼状態および高燃焼状態に燃焼量を変更可能とされ、
前記温度測定手段により測定される温度が前記温度閾値以下の場合には、前記ボイラの燃焼量を低燃焼状態とし、
前記温度測定手段により測定される温度が前記温度閾値を超える場合には、前記ボイラの燃焼量を中燃焼状態とする
ことを特徴とするボイラシステム。 - 前記燃焼量制御手段は、燃焼量が小さい順に、微燃焼状態、低燃焼状態、中燃焼状態および高燃焼状態に燃焼量を変更可能とされた
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラシステム。 - 前記温度閾値は、燃料組成、気温、湿度および空気比に基づき変更される
ことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記温度測定手段の設置に代えて、月もしくは月日または日時に基づいて給水温度を予測し、この予測値を温度閾値と比較して燃焼量を変える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記ボイラ本体は、高燃焼状態で最初の起動がなされる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記ボイラ本体へ燃焼用空気を供給する送風機をインバータ制御する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記燃焼量制御手段は、前記温度測定手段により測定される給水温度が5〜35℃である場合には、前記ボイラの燃焼量を最大の燃焼量の5〜35%に設定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記温度測定手段により測定される給水温度が前記温度閾値を超える場合には、前記ボイラの燃焼量を最大の燃焼量の40%以上に設定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記温度測定手段は、前記熱交換部に流通する前の給水の温度を計測し、
前記温度閾値は、40℃以上である
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のボイラシステム。 - 前記ボイラを複数備え、
前記燃焼量制御手段は、蒸気の使用負荷に応じて前記ボイラの運転台数と各燃焼量を制御するに際し、前記温度測定手段により測定される温度に基づき設定された燃焼量で燃焼させる前記ボイラの数を最大にする
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のボイラシステム。
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