JP5832102B2 - ボイラプラントおよびその運転方法 - Google Patents
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Description
この予熱器には、たとえば、特許文献1に示されるように、燃焼用空気を燃焼排ガスとの間で熱交換をし、燃焼用空気の予熱と合わせて、燃焼排ガスの廃熱を回収するようにしたガスエアヒータ(GAH:Gas Air Heater)を用いるもの、特許文献2に示されるように、蒸気等の加熱源を用いて燃焼用空気を加熱するスチームエアヒータ(SAH:Steam Air Heater)がある。また、GAHおよびSAHを組み合わせたものも用いられている。
SAHは、燃焼排ガスの廃熱回収は排ガスエコノマイザのみによるので、GAHに比べてボイラ効率は低くなる。一般に、排ガスエコノマイザは硫酸腐食の観点から出口の燃焼排ガス温度を140℃程度に設定するため、ボイラ効率はGAHに比べて2〜3%程度低くなる。しかしながら、SAHは、構造が簡単であるので、安価であり、かつ、操作性および保守性が良好である。
したがって、ボイラプラントは、複雑な構造となるとともに大型化し、製造コストが高くなり、かつ、操作性および保守性が低下する。
特に、GAHおよび高圧給水加熱器は、高価な部材であるとともにGAHでは、硫酸腐食と煤とにより閉塞の懸念から数年置きに部材の交換が必要とされ、高圧給水加熱器では、その開放・修理に多大な保守費用を要する。
また、SAHでは、比較的構造が簡単で、安価であり、かつ、操作性および保守性が良好であるが、ボイラ効率がGAHに比べて低いという課題がある。
すなわち、GAHでは、これらの温度は、GAH自体の性能、ボイラの負荷、外気温等により決まるので、変動幅が大きく、状況により目論見通りの性能を発揮できないことがある。
SAHでは、これらの温度は、熱交換器の性能、ボイラの負荷、外気温等によって決まるので、変動幅が大きく、状況により所期の性能を発揮できない恐れがある。
たとえば、ボイラ負荷、使用燃料等の状況によっては、燃焼排ガスの出口温度が予期せずに低下し、硫酸腐食が発生するという懸念がある。
すなわち、本発明の第一態様は、ボイラへの給水系統から独立して設けられ、該給水系統の途中から蒸気によって給水を加熱し、給水中の溶存ガスを分離除去する脱気器により脱気された温水を導入し、前記温水を前記脱気器に戻るように循環させる循環流路と、該循環流路に設けられ、前記給水系統から分流された前記温水とボイラへ供給される燃焼用空気とを熱交換して、前記燃焼用空気を加熱する温水加熱式空気予熱器と、前記循環流路に設けられ、該温水加熱式空気予熱器の温水の流れ方向下流側に設けられ、前記ボイラの燃焼排ガスと前記燃焼用空気を加熱した後の温水とを熱交換する温水加熱器と、前記循環流路を流れる前記温水の流量を調節する流量調節手段と、前記温水加熱式空気予熱器において前記燃焼用空気と熱交換した後の前記温水の温水温度を検出する温水温度検出器と、前記温水加熱器を出た前記燃焼排ガスの排ガス温度を検出する排ガス温度検出器と、前記燃焼用空気と熱交換した後の前記温水温度が、第一所定温度よりも低くなるように、かつ、前記排ガス温度が、該第一所定温度よりも高く設定された第二所定温度よりも高くなるように、前記流量調節手段を調節して前記温水の流量を制御する制御部と、が備えられているボイラプラントである。
本態様では、この温水を循環流路に循環させ、まず、温水加熱式空気予熱器で温水は燃焼用空気と熱交換される。すなわち、温水は燃焼用空気を加熱し、昇温させるとともに燃焼用空気によって冷却される。このときの温水の温度低下は、温水の流量に依存する。すなわち、流量が多ければ温度低下は小さく、少なければ温度低下は大きくなる。
このように、燃焼用空気は、温水加熱式空気予熱器によって昇温させられてボイラに供給されるので、燃料の燃焼効率を向上させることができる。
このように、燃焼排ガスの廃熱は、温水加熱器によって回収されるので、たとえば、排ガスエコノマイザによる回収と合わせて十分に回収することができる。これにより、ボイラプラントの効率を向上させることができる。
また、温水加熱式空気予熱器で供給した熱量を温水加熱器で回収した温水は給水系統に戻される。したがって、給水系統に対する影響を最小限とできる。
温水加熱式空気予熱器および温水加熱器は、液体と気体との熱交換となるので、高い熱貫流率が得られるため、構造が簡単で、小型化することができる。
第二設定温度は、第一所定温度よりも高く設定されているので、温水加熱器に入る燃焼排ガスの温度は、温水の温度よりも第二所定温度と第一所定温度の差以上に高くなる。したがって、燃焼排ガスと温水との間には、確実に温度差が生じるので、熱交換が成立し温水加熱器にて、温水は確実に燃焼排ガスの廃熱を回収することができる。
第二所定温度の設定を変更することで、たとえば、硫酸腐食の発生が抑えられる程度の温度設定とすることによって、たとえ、硫黄分の多い燃料を用いたとしても硫酸腐食の発生を抑制することができる。
また、温水加熱式空気予熱器を出る温水の温水温度が第一所定温度よりも低くなるようにしているので、燃焼用空気に過度な熱量を与えて必要以上に温度を高くすることを抑制でき、省エネルギにも繋がる。
制御部は、温水加熱式空気予熱器を出る温水の温水温度が第一所定温度よりも高くなるあるいは温水加熱器を出た燃焼排ガスの排ガス温度が第二所定温度よりも低くなると、三方調整弁を操作して温水の一部を給水系統に戻す。これにより、温水加熱式空気予熱器等へ供給される温水の量が低減されるので、温水の熱量が少なくなり、温水加熱式空気予熱器を出る温水の温水温度が低くなるあるいは温水加熱器を出た燃焼排ガスの排ガス温度が高くなる。
制御部は、温水加熱式空気予熱器を出る温水の温水温度が第一所定温度よりも高くなるあるいは温水加熱器を出た燃焼排ガスの排ガス温度が第二所定温度よりも低くなると、インバータから制御信号を出して、ポンプの供給能力を低下させる。これにより、温水加熱式空気予熱器等へ供給される温水の量が低減されるので、温水の熱量が少なくなり、温水加熱式空気予熱器を出る温水の温水温度が低くなるあるいは温水加熱器を出た燃焼排ガスの排ガス温度が高くなる。
本態様では、この温水を循環流路に循環させ、まず、温水加熱式空気予熱器で温水は燃焼用空気と熱交換される。すなわち、温水は燃焼用空気を加熱し、昇温させるとともに燃焼用空気によって冷却される。このときの温水の温度低下は、温水の流量に依存する。すなわち、流量が多ければ温度低下は小さく、少なければ温度低下は大きくなる。
このように、燃焼用空気は、温水加熱式空気予熱器によって昇温させられてボイラに供給されるので、燃料の燃焼効率を向上させることができる。
このように、燃焼排ガスの廃熱は、温水加熱器によって回収されるので、たとえば、排ガスエコノマイザによる回収と合わせて十分に回収することができる。これにより、ボイラプラントの効率を向上させることができる。
第二設定温度は、第一所定温度よりも高く設定されているので、温水加熱器に入る燃焼排ガスの温度は、温水の温度よりも第二所定温度と第一所定温度の差以上に高くなる。したがって、燃焼排ガスと温水との間には、確実に温度差が存在するので熱交換が成立し、温水加熱器にて、温水は確実に燃焼排ガスの廃熱を回収することができる。
第二所定温度の設定を変更することで、たとえば、硫酸腐食の発生が抑えられる程度の温度設定とすることによって、たとえ、硫黄分の多い燃料を用いたとしても硫酸腐食の発生を抑制することができる。
また、温水加熱式空気予熱器を出る温水の温水温度が第一所定温度よりも低くなるようにしているので、燃焼用空気に過度な熱量を与えて必要以上に温度を高くすることを抑制でき、省エネルギに繋がる。
[第一実施形態]
この発明の第一実施形態にかかるボイラプラントについて、図1および図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかるボイラプラントの構成を示すブロック図である。図2は、図1の空気加熱装置の構成を示すブロック図である。
ボイラプラント1は、LNG船のタービン主機用として搭載され、LNGを主燃料として用い、かつ、重油焚きも可能とされているものである。
タービン5は、蒸気を利用するものとして例示したものであり、これに限定されるものではない。また、図1では、タービン5を1個として図示しているが、これは、たとえば、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービンおよび後進用タービンが用いられていてもよく、その構成は適宜とされる。
この燃焼ガスは下流の熱交換器のチューブ内を流れる水等の流体と熱交換して水等を加熱して蒸気とする。生成された蒸気は、たとえば、タービン5に供給され、タービン5に回転動力を与える。
こうして熱交換を終えた燃焼ガスは、燃焼排ガス流路11を通って排気される。
これら復水器13、復水昇圧ポンプ15、低圧給水加熱装置17、脱気器19、給水ポンプ21および排ガスエコノマイザ23は給水配管25により接続されている。
空気加熱装置31には、脱気器19から分流され、空気ダクト9および燃焼排ガス流路11を通って脱気器19に戻るように循環した流路を形成する循環流路33と、脱気器19の温水を循環流路33に沿って循環させる温水循環ポンプ35と、空気ダクト9内を通る循環流路33に設けられ、空気ダクト9を通る燃焼用空気と熱交換を行う温水加熱式空気予熱器37と、燃焼排ガス流路11を通る循環流路33に設けられ、燃焼排ガス流路11を通る燃焼排ガスと熱交換を行う温水エコノマイザ(温水加熱器)39と、が備えられている。温水エコノマイザ39は、排ガスエコノマイザ23の下流側に備えられている。
循環流路33には、温水循環ポンプ35と温水加熱式空気予熱器37との間から分岐し、脱気器19に接続される還流流路41が備えられている。
循環流路33と還流流路41との合流部には、三方調節弁43が備えられている。三方調節弁43は、温水循環ポンプ35からの温水を、温水加熱式空気予熱器37へ向かう温水と還流流路41へ向かう温水とを振り分けるとともに振り分ける割合を調節できる機能を有している。したがって、三方調節弁43を調節することによって、温水加熱式空気予熱器37へ向かう温水の流量を調節することができる。還流流路41へ振り分けられた余分な温水は脱気器19に戻されることになる。
燃焼排ガス流路11の温水エコノマイザ39の下流側には、内部を通過する燃焼排ガスの温度を検出する排ガス温度計47が備えられている。排ガス温度計47は、温水加熱器39を出た燃焼排ガスの排ガス温度を検出することになる。
なお、第一所定温度および第二所定温度は例示したものであり、第二所定温度が第一所定温度よりも高く設定されればよく、具体的な値は、状況に応じ適宜に設定される。
また、温水エコノマイザ39も、温水(液体)と燃焼排ガス(気体)との熱交換となるので、高い熱貫流率が得られるため、構造が簡単で、小型化することができる。
タービン5の排気は、復水器13で冷却されて復水される。復水された水は、低圧給水加熱装置17で、タービン5から抽気された蒸気によって加熱されて、たとえば、約100℃の温水とされる。この温水が、脱気器19で、タービン5から抽気された蒸気によって加熱され、たとえば、約150℃の温水とされてボイラ3に向けて供給される。この温水は、さらに、排ガスエコノマイザ23によって燃焼排ガス流路11を通る燃焼排ガスによって加熱されて、ボイラ3に供給される。
この温水は、まず、温水加熱式空気予熱器37を通る際、空気ダクト9を通る燃焼用空気と熱交換される。温水は、導入される外気温の燃焼用空気を加熱し、ボイラ負荷が高いときには、たとえば、120℃まで昇温する。一方、温水は、燃焼用空気によって冷却され、たとえば、100℃まで減温される。
このように、燃焼用空気は、温水加熱式空気予熱器37によって昇温させられてボイラ3に供給されるので、燃料の燃焼効率を向上させることができる。
ボイラ負荷が高いときには、温水エコノマイザ39を通る温水は、通過する、たとえば、150〜160℃の燃焼排ガスを冷却し、たとえば、120℃まで減温する。一方、温水は、燃焼排ガスによって加熱され、たとえば、120℃まで昇温される。
このように、燃焼排ガスの廃熱は、温水エコノマイザ39および排ガスエコノマイザ23によって十分に回収することができるので、ボイラプラントの効率を向上させることができる。
また、温水加熱式空気予熱器37を出る温水の温水温度が110℃よりも低くなるようにしているので、燃焼用空気に余分な熱量を与えて過度に温度を高くすることを抑制でき、省エネルギとできるし、燃焼用空気の温度を制御することができる。
上述したように、脱気器19に戻される温水の温度は、脱気器19から導入した温水の温度よりも低くなるので、たとえば、脱気器19に供給される蒸気の熱量を少し増加させて、給水系統7での熱量バランスを設定することが好ましい。
なお、これらの温度は、ボイラプラント1の条件によって変化するので、その条件に合うように適宜設定される。
したがって、この温水が給水系統7のいずれの部分に戻されても、たとえば、脱気器19以降の給水配管25に戻されたとしても、ボイラ3への給水に余分な酸素が含まれるのを防止することができる。
次に、本発明の第二実施形態にかかるボイラプラント1について、図3を用いて説明する。
本実施形態は、空気加熱装置31の構成が第一実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
図3は、本実施形態にかかるボイラの空気加熱装置を示すブロック図である。
温水循環ポンプ35の供給能力を調節するインバータ51が備えられている。
制御部49は、インバータ51に温水供給量の制御信号を送り、インバータ51はその制御信号に沿って温水循環ポンプ35の温水供給量を制御するように構成されている。
本実施形態では、温水の供給量を変更する場合、インバータ51が、温水循環ポンプ35の供給能力を調節して行われる。
したがって、温水循環ポンプ35は供給量に応じた能力で運転されるので、第一実施形態のように所定能力で運転され、過度な温水まで供給するものに比べて、温水循環ポンプ35の所要電力を削減することができる。
3 ボイラ
7 給水系統
33 循環流路
37 温水加熱式空気予熱器
39 温水エコノマイザ
41 還流流路
43 三方調整弁
45 温水温度計
47 排ガス温度計
49 制御部
51 インバータ
Claims (4)
- ボイラへの給水系統から独立して設けられ、該給水系統の途中から蒸気によって給水を加熱し、給水中の溶存ガスを分離除去する脱気器により脱気された温水を導入し、前記温水を前記脱気器に戻るように循環させる循環流路と、
該循環流路に設けられ、前記給水系統から分流された前記温水とボイラへ供給される燃焼用空気とを熱交換して、前記燃焼用空気を加熱する温水加熱式空気予熱器と、
前記循環流路に設けられ、該温水加熱式空気予熱器の温水の流れ方向下流側に設けられ、前記ボイラの燃焼排ガスと前記燃焼用空気を加熱した後の温水とを熱交換する温水加熱器と、
前記循環流路を流れる前記温水の流量を調節する流量調節手段と、
前記温水加熱式空気予熱器において前記燃焼用空気と熱交換した後の前記温水の温水温度を検出する温水温度検出器と、
前記温水加熱器を出た前記燃焼排ガスの排ガス温度を検出する排ガス温度検出器と、
前記燃焼用空気と熱交換した後の前記温水温度が、第一所定温度よりも低くなるように、かつ、前記排ガス温度が、該第一所定温度よりも高く設定された第二所定温度よりも高くなるように、前記流量調節手段を調節して前記温水の流量を制御する制御部と、
が備えられていることを特徴とするボイラプラント。 - 前記流量調節手段は、前記温水の一部を前記給水系統に戻すように構成された三方調整弁とされていることを特徴とする請求項1に記載のボイラプラント。
- 前記流量調節手段は、供給能力が可変なポンプと、該ポンプの供給能力を調節するインバータと、で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボイラプラント。
- ボイラへの給水系統から独立して設けられ、該給水系統の途中から蒸気によって給水を加熱し、給水中の溶存ガスを分離除去する脱気器により脱気された温水を導入し、前記温水を前記脱気器に戻るように循環させる循環流路と、
該循環流路に設けられ、前記給水系統から分流された前記温水とボイラへ供給される燃焼用空気と熱交換して、前記燃焼用空気を加熱する温水加熱式空気予熱器と、
前記循環流路に設けられ、該温水加熱式空気予熱器の温水の流れ方向下流側に設けられ、前記ボイラの燃焼排ガスと前記燃焼用空気を加熱した後の温水とを熱交換する温水加熱器と、
前記循環流路を流れる前記温水の流量を調節する流量調節手段と、を備えるボイラプラントの運転方法であって、
前記温水加熱式空気予熱器において前記燃焼用空気と熱交換した後の前記温水の温水温度および前記温水加熱器を出た前記燃焼排ガスの排ガス温度を検出し、
前記燃焼用空気と熱交換した後の該温水温度が第一所定温度よりも低くなるように、かつ、前記排ガス温度が該第一所定温度よりも高く設定された第二所定温度よりも高くなるように、前記流量調節手段を制御して前記温水の流量を調節することを特徴とするボイラプラントの運転方法。
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