以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
本実施形態のスロットマシン1は、収納箱BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての第1リールR1〜第3リールR3からなるリールユニットが収められている。また、筐体内のリールユニットの下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット79が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板10(図2参照)も収められている。
図1に示す第1リールR1〜第3リールR3は、第1リールR1が左端側に配置されたリール、第2リールR2が中央に配置されたリール、第3リールが右端側に配置されたリールであり、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されていて、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リールR1〜第3リールR3は、リール駆動手段としてのステッピングモータ(図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、ステッピングモータが制御基板10から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1〜第3リールR3を回転駆動し、制御基板10から駆動パルスの供給が断たれると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1〜第3リールR3が停止する。
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1、第3リールR3の中段及び第2リールR2の下段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
そして、遊技結果は、表示窓DW内に停止表示されている各リールの図柄のうち有効ラインL1上に停止表示されている各リールの図柄の組み合わせ(以下、停止表示された各リールの図柄の組み合わせを「図柄組合せ」と記載)によって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット79(後述)からメダルの払い出し等が行われる。
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計等の各種遊技情報が表示される。前面上扉UDには、遊技演出を行うための表示装置81が設けられている。表示装置81は、例えば液晶ディスプレイから構成され、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像や画像が表示される。
本実施形態のスロットマシン1では、前面上扉UDや前面下扉DDに対して、遊技演出を行うためのスピーカ(図示省略)が複数設けられている。スピーカからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
また、前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMBと、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSLと、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1〜ストップボタンB3と、クレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSと、後述するチャンスゾーン状態の選択時及び擬似ボーナス状態の選択時において選択操作及び決定操作を遊技者に実行させるための操作手段としてのジョグダイヤルJGも設けられている。
ジョグダイヤルJGは、左右に回転可能なリング状のダイヤル部JGDと、ダイヤル部JGDの回転中心に設けられ押下操作することができる決定ボタンJGBとから構成されている。ダイヤル部JGDは、回転方向及び回転量(角度)を検知可能なセンサとセンサが検知した回転方向及び回転量(角度)を出力可能な出力部とから構成されるダイヤルユニット75を内蔵している。決定ボタンJGBは、決定ボタンJGBが押下操作された場合に制御基板10へ決定信号を出力する決定スイッチ76を内蔵している。決定スイッチ76は、遊技者が決定ボタンJGBを押下した場合に、制御基板10へ出力する決定信号をOFF状態からON状態へ変化させる。また、決定スイッチ76は、遊技者が押下状態にある決定ボタンJGBを解放することで、決定信号をON状態からOFF状態へ変化させる。遊技者は、ダイヤル部JGDを左右に回転操作することで、表示装置81に表示される項目から特定の項目を選択することができ、決定ボタンJGBを押下操作することで、選択した項目を確定することができる。スロットマシン1は、遊技者によるジョグダイヤルJGの操作によって確定された項目に基づき、各種処理を実行する。また、本実施形態のスロットマシン1は、後述する第3チャンスゾーン状態(以下、チャンスゾーン状態を「CZ状態」と記載)において、表示装置81によって決定ボタンJGBを押下操作するように指示する演出を実行し、遊技者に決定ボタンJGBを押下操作させるように構成されている。
本実施形態のスロットマシン1では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、メダルが規定投入数以上にクレジットされている場合に、規定投入数と同じ回数シングルベットボタンBTを押下する又はマックスベットボタンMBを押下する操作を行うことで、第1リールR1〜第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下、つまり遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行すると、制御基板10において第1リールR1〜第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数値を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し定常回転になったことを条件に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下操作が許可、すなわちストップボタンB1〜ストップボタンB3による停止操作が有効化される。
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下(以下、遊技者が各ストップボタンを押下するタイミングを「押下タイミング」と記載)していくと、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のそれぞれに内蔵されている停止信号出力手段としてのストップスイッチ74がON動作を行い、制御基板10へ出力するリール停止信号をOFF状態からON状態へ変化させる。ここで、ストップスイッチ74は、例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサ等から構成される。
また、遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1〜ストップボタンB3を解放すると、ストップボタンB1〜ストップボタンB3それぞれに対応するストップスイッチがOFF動作を行い、制御基板10へ出力するリール停止信号をON状態からOFF状態に変化させる。
そして、制御基板10は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のOFF状態からON状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる。
また、スロットマシン1は、遊技の進行に応じて遊技者によるジョグダイヤルJGの操作を有効化する。スロットマシン1は、CZ状態を選択させる場合(後述)と、CZ状態のうち第3CZ状態に移行した場合(後述)と、擬似ボーナス状態を選択させる場合(後述)とに、遊技者によるジョグダイヤルJGの操作を有効化し、ジョグダイヤルJGの操作に対応した画面を表示装置81に表示する。スロットマシン1は、CZ状態又は擬似ボーナスを遊技者に選択させる場合において、ジョグダイヤルJGのダイヤル部JGDが回転操作された場合に、選択対象となっている項目を回転操作に対応して変更する演出を表示装置81に表示し、決定ボタンJGBが押下操作された場合に、選択対象となっていた項目に決定され、決定された項目に基づき処理を実行する旨を遊技者に報知する演出を表示装置81に表示する。また、スロットマシン1は、演出状態が第3CZ状態に移行した場合に、遊技者による決定ボタンJGBの押下操作を有効化し、決定ボタンJGBが押下操作された回数を用いて演出状態の移行に係る抽選処理を実行する。
そして、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、例えば、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット79からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、遊技や演出に関する制御を実行する制御部11と、制御部11が演算を行う際に用いる各種プログラム、データテーブル等が記憶されているとともに、制御部11が制御プログラムを実行した演算結果を格納する格納領域を有する記憶部40とを有する制御基板10によって制御される。制御基板10は、メダル投入スイッチ71、ベットスイッチ72、スタートスイッチ73、ストップスイッチ74、ダイヤルユニット75、決定スイッチ76等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット78、ホッパーユニット79、表示装置81、音響装置82等の出力手段の動作を制御する。制御基板10の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
制御部11は、投入受付手段21と、乱数発生手段22と、内部抽選手段23と、リール制御手段24と、入賞判定手段25と、払出制御手段26と、遊技制御手段27と、操作受付手段28と、リール演出決定手段29と、演出制御手段30とを有している。また、記憶部40は、テーブル記憶手段41と、フラグ格納領域42と、カウンタ記憶手段43と、リール演出格納領域44と、遊技状態格納領域45と、を有している。制御部11は、遊技の進行に応じて対応する構成を用いて各種演算を実行する場合に、記憶部40の対応する構成に記憶されているデータを参照して各種演算を実行する。また、制御部11は、各種演算の結果を記憶部40の対応する構成に格納する。
投入受付手段21は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する開始操作を有効化する処理を行う。なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、第1リールR1〜第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段23が内部抽選処理を実行する契機となっている。また、本実施形態のスロットマシン1では、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ71が作動することに伴って、投入受付手段21が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、本実施形態のスロットマシン1では、スロットマシン1にメダルがクレジットされた状態で、シングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されると、ベットスイッチ72が作動することに伴って、投入受付手段21が、規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
乱数発生手段22は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。制御部11を構成する各手段は、遊技の進行に係る抽選処理の実行時において、乱数発生手段22が発生させた0〜65535までの65536個の乱数値のいずれかを取得して、各抽選処理を実行する。また、演出制御手段30は、演出に係る抽選処理の実行時において、乱数発生手段22が発生させた0〜32767までの32768個の乱数値のいずれかを取得して、各抽選処理を実行する。なお、本実施形態において、「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。また、演出制御手段30は、乱数発生手段22が発生させた0〜65535までの65536個の乱数値のいずれかを取得して、演出に係る各抽選処理を実行するように構成されていてもよい。
内部抽選手段23は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ73が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選処理を行う手段である。内部抽選処理において、内部抽選手段23は、テーブル記憶手段41に記憶されている複数の内部抽選テーブル(図3参照)から現在の遊技状態に対応する内部抽選テーブルを選択し、選択した内部抽選テーブルにおいて乱数値と対応付けられているとともに、対応する図柄の入賞により自動的にベットがなされて(自動投入がなされて)新たなメダルの投入なしに遊技が再開可能なリプレイ、対応する図柄の入賞によりメダルの払い出しが行われる小役及び後述するボーナス等の各種の役又はハズレ(非当選)と、乱数発生手段22から取得した乱数値(抽選用乱数)とを比較し、比較結果に基づき記憶部40のフラグ格納領域42に格納された当選したと判定した役に対応する内部当選役フラグをセット(ON状態)にする。なお、以下の記載において、内部抽選処理の結果によりフラグ格納領域42にセット可能な役のことを当選役とも記載する。
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1には、遊技状態が通常状態である場合に選択される内部抽選テーブルAと、遊技状態がボーナス成立状態である場合に選択される内部抽選テーブルBと、遊技状態がボーナス状態である場合に選択される内部抽選テーブルCとが、テーブル記憶手段41に記憶されている。
図3に示すように、各内部抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。ここで、内部抽選テーブルAと内部抽選テーブルBとは、小役の当選確率が同一に設定されており、小役として、打順ベル1〜打順ベル8と、取りこぼし役とにそれぞれ乱数値が対応付けられている。また、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのビッグボーナス(以下、「BB」と記載)が用意されており、内部抽選テーブルAでは、BBが抽選対象として設定されている。内部抽選テーブルBは、内部抽選テーブルAとリプレイの当選確率が異なっており、内部抽選テーブルAにおけるBB及びハズレの代わりにリプレイを抽選対象とすることで、内部抽選テーブルAよりもリプレイの当選確率が高くなるように設定されている。内部抽選テーブルCは、小役としてJAC1とJAC2とに乱数値が対応付けられている。
本実施形態のスロットマシン1では、入賞可能な小役(以下、「入賞役」と記載)として、ベルA、ベルB、ベルこぼし1〜18、特殊小役が用意されており(図6及び図7参照)、図4(A)に示すように、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選態様(各内部抽選テーブルにおけるエリア)として、内部抽選テーブルA、Bにおける8つの打順小役エリアである第1当選態様としての打順ベル1〜打順ベル8と、内部抽選テーブルCにおける2つのJACエリアである第2当選態様としてのJAC1及びJAC2とが設定されている。ここで、「打順」とは、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対して押下操作を実行する順番を意味し、打順1〜打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
打順ベル1は、ベルこぼし1,16,17,18と、ベルAとが重複して当選する。打順ベル2は、ベルこぼし2,15,17,18と、ベルAとが重複して当選する。打順ベル3は、ベルこぼし3,14,17,18と、ベルAとが重複して当選する。打順ベル4は、ベルこぼし4,13,17,18と、ベルAとが重複して当選する。打順ベル5は、ベルこぼし5,10,17,18と、ベルBとが重複して当選する。打順ベル6は、ベルこぼし6,9,17,18と、ベルBとが重複して当選する。打順ベル7は、ベルこぼし7,12,17,18と、ベルBとが重複して当選する。打順ベル8は、ベルこぼし8,11,17,18と、ベルBとが重複して当選する。このように、打順ベル1〜打順ベル8は、それぞれベルA又はベルBのいずれか1つと、複数のベルこぼし1〜18のうちの何れか4つとに重複して当選しており、いずれも重複して当選する入賞役の組み合わせが異なるように構成されている。なお、以下の記載において、打順ベル1〜打順ベル4を、まとめて打順ベル群1と記載し、打順ベル5〜打順ベル8を、まとめて打順ベル群2と記載する。
ここで、ベルこぼし1〜16のそれぞれは、例えばそれぞれが単独で当選したものと仮定した場合、ストップボタンB1が最初に停止操作(以下、「第1停止操作」と記載)され、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングが適切なタイミングであった場合に入賞可能な入賞役であり、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングによっていずれの役も入賞しないハズレ(取りこぼし)が発生する場合がある入賞役である。また、ベルA及びベルBと、ベルこぼし17,18とのぞれぞれは、例えばそれぞれが単独で当選したものと仮定した場合、それぞれストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作された場合に入賞可能な入賞役であり、各ストップボタンの押下タイミングによらず入賞するように構成されている。
従って、例えば打順ベル1に当選した場合を一例として説明すると、ベルこぼし1,16,17,18と、ベルAとが重複して当選しているので、打順1又は打順2でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングによってベルこぼし1又はベルこぼし16が入賞したり、いずれの役も入賞しないハズレ(取りこぼし)が発生したりし、打順3でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、各ストップボタンの押下タイミングによらずベルAが入賞し、打順4でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、各ストップボタンの押下タイミングによらずベルこぼし17が入賞し、打順5又は打順6でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、各ストップボタンの押下タイミングによらずベルこぼし18が入賞する。
なお、例えば打順ベル1に当選し、打順1又は打順2でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、詳しくは後述するように、ストップボタンB1の押下タイミングによって、ベルこぼし1の図柄組合せにおけるリプレイ図柄B「RPB」か、ベルこぼし16の図柄組合せにおけるリプレイ図柄A「RPA」か(図6及び図7参照)のどちらか一方が有効ラインL1上に停止され、リプレイ図柄B「RPB」が有効ラインL1上に停止された場合には、ストップボタンB2及びストップボタンB3の押下タイミングがベルこぼし1の図柄組合せを有効ラインL1上に引き込めるタイミングであればベルこぼし1が入賞し、それ以外のタイミングであればハズレが発生し、さらに、リプレイ図柄A「RPA」が有効ラインL1上に停止された場合には、ストップボタンB2及びストップボタンB3の押下タイミングがベルこぼし16の図柄組合せを有効ラインL1上に引き込めるタイミングであればベルこぼし16が入賞し、それ以外のタイミングであればハズレが発生することになる。
上記打順ベル2〜8に当選した場合は、図4(A)の表に従って、重複して当選する入賞役と打順1〜6との関係が定まっており、それ以外は、上述した打順ベル1の当選時と同様な入賞形態となるので、その説明を省略する。
なお、以下の記載において、各打順ベルの当選時に、ベルA又はベルBを入賞させる打順を正解打順とも記載する。また、以下の記載において、各打順ベルの当選時に、ベルA又はベルBを入賞させることができない打順を不正解打順とも記載する。
また、内部抽選テーブルA、Bにおける取りこぼし役エリア(以下、単に「取りこぼし役」という。)は、ストップスイッチ74の押下操作が特定のタイミングである場合だけ有効ラインL1上に入賞を示す図柄組合せが表示される役が重複して当選するエリアであり、その入賞する入賞役として、ベルこぼし1〜8と、ベルこぼし14と、特殊小役とが重複して当選する。このベルこぼし役における入賞役の構成については、後述する。
また、図4(B)に示すように、JAC1は、ベルAと、ベルBとが重複して当選し、JAC2は、ベルこぼし1〜16、ベルこぼし17、ベルこぼし18と、特殊小役とが重複して当選する。
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選テーブルA又は内部抽選テーブルBを参照して内部抽選処理を実行しリプレイに当選した場合に、通常リプレイと、弱レアリプレイと、強レアリプレイとに重複して当選するように構成されている。図6に示すように、各リプレイは、それぞれ成立時に有効ラインL1上に停止表示される図柄組合せが異なっている。
リール制御手段24は、後述する本遊技の場合においてはスタートスイッチ73からスタート信号が出力されたことに基づいて、各リールに内蔵されたステッピングモータにより第1リールR1〜第3リールR3の回転駆動を開始し第1リールR1〜第3リールR3を遊技ごとに回転させるリール回転制御を実行する。なお、リール制御手段24は、後述する疑似遊技の場合においてはスタートスイッチ73からのスタート信号をリール仮始動信号として、上述の本遊技の回転制御と同様な仮回転制御を実行し、各リールを仮回転動作させる。
また、本遊技の場合においてリール制御手段24は、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ74によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。停止操作を有効化した場合、リール制御手段24は、各ストップボタンが押下操作されたことで検出された停止操作に基づきストップスイッチ74から出力されるリール停止信号を参照し、リールユニット78のうち押下操作されたストップボタンに対応するリールのステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止し、第1リールR1〜第3リールR3の各リールを停止させるリール停止制御を行う。
ここで、各リールの停止時において、リール制御手段24は、内部当選役フラグ格納領域の設定状態、すなわち内部抽選の結果に応じた態様で停止させる制御を行う。ここで、リールユニット78は、リールユニット78の内部に設けられたフォトセンサと、各リールの回転中における基準位置に設けられたリール位置検出部とを有するリール位置検出手段78aを備えている。リール位置検出手段78aは、フォトセンサによってリール位置検出部が検出された場合に、リールが1回転したことを示しリールの基準位置を検出したことを示す情報であるリールインデックスをリール制御手段24に出力するように構成されている。リール制御手段24は、リール位置検出手段78aから出力されたリールインデックスと、リールインデックスが検出されるリールの基準位置からの回転角度(ステッピングモータに供給した駆動パルスの供給回数から算出)を用いて、ストップスイッチからリール停止信号を受信した時点におけるリールの回転方向における位置(以下、「リールの回転位置」と記載する)を取得する。そして、リール制御手段24は、各リールの表面に配列された図柄についての情報が保存されている図柄配列テーブルと、内部抽選の結果とを用いて、各リールの停止時に有効ラインL1上に表示させる図柄を決定し各リールの停止位置を決定する処理を実行し、各リールを停止させる制御を行う。
本実施形態において、リール制御手段24は、現在の遊技状態に応じて有効ラインL1上に停止表示可能な図柄を変更するように構成されている。具体的には、内部抽選でリプレイに当選した場合、遊技状態が通常状態であれば通常リプレイを構成する図柄組合せ「RPA(RPB)−RPB−RPA(RPB)」と、弱レアリプレイを構成する図柄組合せ「RPA(RPB)−BLA−RPA(RPB)」と、強レアリプレイを構成する図柄組合せ「RPA(RPB)−BLB−RPA(RPB)」とのいずれも停止表示可能に制御し、遊技状態がボーナス成立状態であれば通常リプレイのみを停止表示可能に制御する。このように、本実施形態において、各リプレイを構成する図柄組合せが停止表示可能な遊技状態である通常状態は、第1遊技状態を構成する。また、弱レアリプレイと強レアリプレイとを構成する図柄組合せが停止不可能な遊技状態であるボーナス成立状態は、第2遊技状態を構成する。
本実施形態のスロットマシン1では、停止操作が有効化された場合に、ストップボタンB1を押下操作することでストップボタンB1に対応する第1リールR1が停止し、ストップボタンB2を押下操作することでストップボタンB2に対応する第2リールR2が停止し、ストップボタンB3を押下操作することでストップボタンB3に対応する第3リールR3が停止する。このため、本実施形態のスロットマシン1では、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に押下操作する順序が変化すると、第1リールR1〜第3リールR3の停止順序が変化する。
また、リール制御手段24は、ストップスイッチ74によって検出される停止操作が有効化される以前において、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合、ストップスイッチ74から出力されるリール停止信号をリール仮停止信号として処理し、後述する擬似遊技の実行中において第1リールR1〜第3リールR3を仮停止するリール仮停止制御を実行する。ここで、仮停止とは、リール演出の実行中に各リールの回転を中止するリール制御である。なお、以下の記載において、擬似遊技中に各リールの回転を中止する場合を「仮停止」と記載し、通常の遊技(本遊技)においてストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作されたことに基づき各リールの回転を停止することを「停止」と記載する。より詳しくは、後述する。
また、リール制御手段24は、各リールを停止又は仮停止する場合に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された時点から190ms以内(所定時間以内)に、押下操作されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止可能に構成されている。ここで、ストップボタンに押下操作した時点から所定の停止時間としての190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、ストップボタンが押下操作された時点の位置(0コマ)から4コマ分リールが回転した位置までで区切られる範囲内で決定される。リール制御手段24は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ラインL1上の表示位置に対して0コマ〜4コマの範囲内に位置する場合に、当選している役に対応する図柄を有効ラインL1上の表示位置に表示するように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。なお、本実施形態のリール制御手段24は、擬似遊技の実行時において、ストップスイッチ74から出力されたリール仮停止信号を受信してから所定の停止時間以上リールを回転させてから仮停止可能に構成されている。
図5は、テーブル記憶手段41に記憶されている図柄配列テーブルを示す図である。図柄配列テーブルは、リールユニット78を構成する第1リールR1〜第3リールR3の外周面に配列されている図柄の配列と対応している。図5に示すように、本実施形態の第1リールR1〜第3リールR3の外周面には、赤7図柄「赤7」、BAR図柄「BAR」、リプレイ図柄A「RPA」、リプレイ図柄B「RPB」、ベル図柄A「BLA」、ベル図柄B「BLB」、チェリー図柄A「CHA」、チェリー図柄B「CHB」、スイカ図柄「WM」及びブランク図柄「BLK」が配列されている。
図柄配列テーブルは、各リールの表面に配列されている21個の図柄に対して、それぞれリールの回転方向に移動される順に「0」〜「20」の図柄番号を対応付けている。ここで、図柄番号「0」の図柄は、リール位置検出手段78aによってリールインデックスが検出された場合に表示窓DWの中段に表示される図柄である。つまり、図柄番号「0」〜「20」は、それぞれリールの回転角度と対応している。リール制御手段24は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、リールインデックスが検出されるリールの基準位置からの回転角度を算出し、算出した回転角度から図柄配列テーブルの図柄番号を取得することで、表示窓DWの中段に位置する図柄を特定している。
また、本スロットマシン1においては、第1リールR1の図柄配列の中に、1つのリプレイ図柄B「RPB」(第1の図柄)と4つのリプレイ図柄A「RPA」(第2の図柄)とが、概ね3コマ〜5コマごと、つまり上述した引き込み範囲で任意の(何れの)位置から区切ったとしても、それぞれの引き込み範囲にリプレイ図柄B「RPB」とリプレイ図柄A「RPA」との少なくとも1つが配置されている。また、リプレイ図柄B「RPB」から回転方向の上流側に1コマの位置、つまりリプレイ図柄B「RPB」を有効ラインL1上に引き込むことが可能な範囲内にBAR図柄「BAR」が配置されている。本スロットマシン1は、通常(例えばアシスト演出が行われない場合など)にあって、小役を取りこぼさないように押下タイミングとして狙うべき位置(いわゆるDDTポイント)DDTPは、BAR図柄「BAR」を目安として設定されている。従って、例えば目押しが可能な遊技者が通常この狙うべき位置DDTPを狙って遊技を進行させると、この狙うべき位置DDTPの5コマに配置されている図柄の何れかが有効ラインL1上に引き込まれて停止することになる。言い換えると、遊技者が目押しを行ってこの狙うべき位置DDTPを狙ってストップボタンB1を押下している限り、リプレイ図柄A「RPA」が有効ラインL1上に引き込まれることはない。
入賞判定手段25は、第1リールR1〜第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する判定処理を行う。具体的には、第1リールR1〜第3リールR3の全てが停止した時点で有効ラインL1上に停止表示されている図柄組合せが、記憶部40のテーブル記憶手段41に記憶されている入賞判定テーブルに予め設定されている役ごとに定められた入賞形態を示す図柄組合せ、つまり入賞役の図柄組合せと一致するか否かを判定する。
図6にボーナス(BB)、各リプレイ、ベルこぼし1〜8が入賞として判定される際の有効ラインL1上に表示される図柄組合せを示す。また、図7にベルこぼし9〜18、ベルA、ベルB、特殊小役が入賞として判定される際の有効ラインL1上に表示される図柄組合せを示す。
図6に示すように、ボーナス(BB)の図柄組合せは、第1リールR1において赤7図柄「赤7」、第2リールR2においてチェリー図柄A「CHA」、第3リールR3においてチェリー図柄B「CHB」が設定されている。詳しくは後述するように、本スロットマシン1にあってボーナス成立状態で遊技を行っている場合は、このボーナスが当選している状態であるが、他のリプレイや小役が同時に当選していると、それら他の当選した役が優先して有効ラインL1上に引き込まれるため、内部抽選や打順等に基づくリール停止制御の結果でハズレの状態とならなければ、ボーナス(BB)の図柄組合せが有効ラインL1上に引き込まれることはない。
通常リプレイの図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてリプレイ図柄B「RPB」、第3リールR3においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」が設定されている。この図柄組合せを構成する各リプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」は、各第1〜第3リールR1〜R3において、それぞれ4コマ以内の間隔で配列されているため、リール制御手段24は、内部抽選でリプレイに当選した場合に、押下タイミングによらず通常リプレイの図柄組合せを構成する各図柄を有効ラインL1上に停止表示することができる。
弱レアリプレイの図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」が設定されている。さらに強レアリプレイの図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてベル図柄B「BLB」、第3リールR3においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」が設定されている。これらの図柄組合せを構成する図柄のうち、各第2リールR2におけるベル図柄A「BLA」又はベル図柄B「BLB」は、ともに4コマ以上の間隔を有して配列されているため、ストップボタンB2の押下タイミングが適切な場合に停止表示可能に構成されている。
ベルこぼし1の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてチェリー図柄B「CHB」又はブランク図柄「BLK」が設定されている。ベルこぼし2の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3においてチェリー図柄B「CHB」又はブランク図柄「BLK」が設定されている。ベルこぼし3の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてベル図柄A「BLA」が設定されている。ベルこぼし4の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3においてベル図柄A「BLA」が設定されている。ベルこぼし5の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3において赤7図柄「赤7」が設定されている。ベルこぼし6の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3において赤7図柄「赤7」が設定されている。ベルこぼし7の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてBAR図柄「BAR」が設定されている。ベルこぼし8の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3においてBAR図柄「BAR」が設定されている。
これらベルこぼし1〜8は、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」が共通の図柄として設定されており、上記狙うべき位置DDTPを狙った押下タイミング(特定のタイミング)でストップボタンB1を押下した場合に停止表示可能な役(入賞可能となる役)であるが、ベルこぼし1〜8のぞれぞれは、単独で当選している場合、各第2リールR2や各第3リールR3に設定されている図柄が、4コマ以上の間隔を有して配列されているため、ストップボタンB2或いは(及び/又は)ストップボタンB3の押下タイミングが適切な場合に停止表示可能に構成されている。また、上記取りこぼし役のようにベルこぼし1〜8が重複して当選している場合は、上記狙うべき位置DDTPを狙った押下タイミング(特定のタイミング)でストップボタンB1を押下し、第1リールR1の有効ラインL1上にリプレイ図柄B「RPB」を引き込めば、各第2リールR2や各第3リールR3に設定されている図柄がベルこぼし1〜8の合算で4コマ以内の間隔となり、特にストップボタンB2或いは(及び/又は)ストップボタンB3の押下タイミングに拘らず、何れかの図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示可能に構成されている。これらベルこぼし1〜8が有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、後述のベルA及びベルBの配当(第1の配当)である8枚よりも低い配当(第2の配当)である1枚である。
図7に示すように、ベルこぼし9の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてチェリー図柄B「CHB」又はブランク図柄「BLK」が設定されている。ベルこぼし10の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3においてチェリー図柄B「CHB」又はブランク図柄「BLK」が設定されている。ベルこぼし11の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてベル図柄A「BLA」が設定されている。ベルこぼし12の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3においてベル図柄A「BLA」が設定されている。ベルこぼし13の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3において赤7図柄「赤7」が設定されている。ベルこぼし14の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3において赤7図柄「赤7」が設定されている。ベルこぼし15の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2において赤7図柄「赤7」又はベル図柄A「BLA」、第3リールR3においてBAR図柄「BAR」が設定されている。ベルこぼし16の図柄組合せは、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3においてBAR図柄「BAR」が設定されている。
これらベルこぼし9〜16は、上記ベルこぼし1〜8にそれぞれ対応してほぼ同じ図柄組合せであるが、第1リールR1の図柄が、リプレイ図柄B「RPB」からリプレイ図柄A「RPA」に換えたものである。即ち、これらベルこぼし9〜16は、第1リールR1においてリプレイ図柄A「RPA」が共通の図柄として設定されており、上記狙うべき位置DDTP以外の他のタイミング(特定のタイミング)でストップボタンB1を押下した場合に停止表示可能な役(入賞可能となる役)であるが、ベルこぼし9〜16のぞれぞれは、単独で当選している場合、各第2リールR2や各第3リールR3に設定されている図柄が、4コマ以上の間隔を有して配列されているため、ストップボタンB2或いは(及び/又は)ストップボタンB3の押下タイミングが適切な場合に停止表示可能に構成されている。これらベルこぼし9〜16が有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、後述のベルA及びベルBの配当(第1の配当)である8枚よりも低い配当(第2の配当)である1枚である。なお、本スロットマシン1では、ベルこぼし9〜16が重複して当選することはない。
ベルこぼし17の図柄組合せは、第1リールR1においてベル図柄A「BLA」又はベル図柄B「BLB」、第2リールR2においてリプレイ図柄B「RPB」、第3リールR3においてリプレイ図柄A「RPA」又はリプレイ図柄B「RPB」が設定されている。このベルこぼし17は、第2リールR2を最初に停止操作した場合(いわゆる中押)のための役であり、この図柄組合せを構成する各第1〜第3リールR1〜R3の図柄は、それぞれ4コマ以内の間隔で配列されているため、各第1〜第3リールR1〜R3の押下タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示することができる。このベルこぼし17が有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、後述のベルA及びベルBの配当(第1の配当)である8枚よりも低い配当(第2の配当)である1枚である。
ベルこぼし18の図柄組合せは、第1リールR1においてベル図柄A「BLA」又はベル図柄B「BLB」、第2リールR2においてスイカ図柄「WM」又はチェリー図柄A「RPA」、第3リールR3においてスイカ図柄「WM」が設定されている。このベルこぼし18は、第3リールR3を最初に停止操作した場合(いわゆる右押)のための役であり、この図柄組合せを構成する各第1〜第3リールR1〜R3の図柄は、それぞれ4コマ以内の間隔で配列されているため、各第1〜第3リールR1〜R3の押下タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示することができる。このベルこぼし18が有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、後述のベルA及びベルBの配当(第1の配当)である8枚よりも低い配当(第2の配当)である1枚である。
ベルAの図柄組合せは、第1リールR1においてスイカ図柄「WM」又はブランク図柄「BLK」、第2リールR2においてリプレイ図柄B「RPB」、第3リールR3においてスイカ図柄「WM」が設定されている。このベルAは、上述した正解打順のための役であり、この図柄組合せを構成する各第1〜第3リールR1〜R3の図柄は、それぞれ4コマ以内の間隔で配列されているため、各第1〜第3リールR1〜R3の押下タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示することができる。このベルAが有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、上記ベルこぼし1〜18の配当(第2の配当)である1枚よりも高い配当(第1の配当)である8枚である。
ベルBの図柄組合せは、第1リールR1においてベル図柄A「BLA」又はベル図柄B「BLB」、第2リールR2においてリプレイ図柄B「RPB」、第3リールR3においてベル図柄A「BLA」又はベル図柄B「BLB」が設定されている。このベルBは、上述した正解打順のための役であり、この図柄組合せを構成する各第1〜第3リールR1〜R3の図柄は、それぞれ4コマ以内の間隔で配列されているため、各第1〜第3リールR1〜R3の押下タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示することができる。このベルBが有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、上記ベルこぼし1〜18の配当(第2の配当)である1枚よりも高い配当(第1の配当)である8枚である。
そして、特殊小役の図柄組合せは、第1リールR1において赤7図柄「赤7」、第2リールR2においてリプレイ図柄B「RPB」、第3リールR3においてスイカ図柄「WM」が設定されている。この特殊小役は、上記取りこぼし役が当選し、かつ遊技者が上記打順3〜6でストップボタンB1〜B3を押下操作した際に、意図せずに上記ボーナス(BB)の図柄組合せが有効ラインL1上に表示されてしまうことを防ぐための役である。この特殊小役が有効ラインL1上に表示されて入賞した際の配当は、後述のベルA及びベルBの配当(第1の配当)である8枚よりも低い配当(第2の配当)である1枚である。
そして、本実施形態のスロットマシン1では、判定処理において、入賞判定手段25の判定結果に基づいて各処理が実行される。判定処理において入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には上述の配当に基づいて払出制御手段26にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが成立した場合には次回の遊技をメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナスが入賞した場合には遊技制御手段27に遊技状態を移行させる処理を行わせる。
払出制御手段26は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット79に払い出させる制御を行う。
ホッパーユニット79は、払出制御手段26によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット79には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチが備えられている。払出制御手段26は、払出メダル検出スイッチからの入力信号に基づいて、ホッパーユニット79から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット79によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶部40のクレジット記憶領域(不図示)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
遊技制御手段27は、図8に示すように、通常状態と、ボーナス成立状態と、ボーナス状態との間で遊技状態を移行させる遊技状態の移行に関する制御処理を行う。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、内部抽選処理でBBに当選した場合に、所定の移行条件が成立したと遊技制御手段27が判定し通常状態からボーナス成立状態へ移行可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でBBに当選したことを契機として通常状態から移行する遊技状態であり、通常状態よりもリプレイの当選確率が高く設定された遊技状態である。ボーナス状態は、BBが入賞したと入賞判定手段25に判定される図柄組合せが、有効ラインL1上に停止表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態において、払い出されたメダルの合計数により予め定められた所定枚数(例えば、100枚)を超えた場合に、遊技制御手段27は、ボーナス状態の終了条件が成立したと判定し、遊技状態をボーナス状態から通常状態に移行する。
遊技制御手段27は、記憶部40の遊技状態格納領域45に格納されている遊技状態フラグのうち、現在の遊技状態に対応する遊技状態フラグをセット(ON)にする。また、遊技状態の各移行条件が成立した場合に、遊技制御手段27は、移行する遊技状態に対応する遊技状態フラグをセットし、現在セットされている遊技状態フラグをOFFにする。遊技制御手段27によって遊技状態格納領域45に現在の遊技状態に対応する遊技状態フラグがセットされることにより、内部抽選手段23は、遊技状態格納領域45にセットされている遊技状態フラグを参照し、テーブル記憶手段41に記憶されている複数の内部抽選テーブルの中から、現在の遊技状態に対応する内部抽選テーブルを決定し、内部抽選処理を実行する。また、現在の遊技状態に対応する遊技状態フラグがセットされることにより、リール制御手段24は、テーブル記憶手段41に記憶されている各当選役の停止データの中から、現在の遊技状態に対応する停止データを決定し、回転中の各リールの停止に係る制御処理を実行する。
なお、本実施形態において、遊技制御手段27は、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態及びボーナス状態を有しているが、これに限らず、例えば、通常状態やボーナス成立状態とはリプレイの当選確率が異なるリプレイタイム状態(RT状態)を有していてもよく、また、それぞれリプレイの当選確率が異なる複数のRT状態を有していてもよい。
操作受付手段28は、遊技者がジョグダイヤルJGのうちダイヤル部JGDを回転操作した場合にダイヤルユニット75から出力されるダイヤル回転信号と、ジョグダイヤルJGのうち決定ボタンJGBを押下操作した場合に決定スイッチ76から出力される決定信号及び演出信号とを、入力コマンドとして演出制御手段30に送信する。ここで、ダイヤル回転信号は、ダイヤルユニット75に含まれるセンサによって回転方向及び回転量(角度)が検知された場合にダイヤルユニット75に含まれる出力部から出力される信号であり、センサが検知した回転方向及び回転量(角度)についての情報が含まれる。
リール演出決定手段29は、本遊技の進行を一時的に停止させるフリーズを実行するか否かの抽選を行う。本実施の形態では、遊技者がスタートレバーSLを押下したのを契機に(開始操作を実行したのを契機に)、本遊技における第1リールR1〜第3リールR3の始動を遅延するフリーズを実行するようになっている。なお、実行されるフリーズとしては、上述の遅延するフリーズに限定されず、ベットボタンBTへの操作、ストップスイッチ74への操作を無効化するフリーズであっても良い。また、本実施の形態では、スタートレバーSLに対して開始操作を実行したのを契機にフリーズを発生させたが、これに限定されず、スタートスイッチ73が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、リール制御手段24に、ストップスイッチ74による停止操作の検出が有効化されるまでの期間内のいずれかのタイミングでフリーズを発生させるようにしても良い。
また、リール演出決定手段29は、上述のように実行されるフリーズ中に、第1リールR1〜第3リールR3を特定態様で動作させるリール演出を実行するか否かを、上記フリーズを実行するか否かの抽選と同時に抽選するリール演出抽選処理を行う。また、リール演出抽選処理の結果、各種リール演出に当選した場合には、リール演出決定手段29は、制御部11を構成する各手段を制御する。
リール演出抽選処理において、リール演出決定手段29は、テーブル記憶手段41に記憶されている複数のリール演出抽選テーブル(図9参照)において、乱数値と対応付けられているリプレイ、小役及びボーナス等の各種の役又はハズレ(非当選)と、乱数発生手段22から取得した乱数値(抽選用乱数)とを比較し、比較結果に基づき当選したと判定した役に対応する内部当選役フラグを、リール演出格納領域44にセット(ON状態)にする。
図9に示すように、リール演出抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、フリーズ中に行われるリール演出(回胴演出)として、逆回転、擬似遊技などの各種のリール演出やハズレ(不当選)が対応づけられている。
擬似遊技においては、遊技者がスタートレバーSLの開始操作と、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下操作と、を実行するとそれぞれの操作に対応したリールの仮回転と回転中のリールの仮停止とが行われるため、遊技者に、擬似的に遊技を実行させ、リール演出であることを意識させることなく、あたかも通常の遊技を実行しているかのような感覚を与えることができる。なお、擬似遊技は、リール演出の1態様であることから、メダルの払い出しを伴う処理が実行されることはない。また、以下の記載において、ストップスイッチ74による停止操作の検出が有効化され、内部抽選の当選結果及びストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングによって、第1リールR1〜第3リールR3の停止制御が実行される通常の遊技のことを、本遊技とも記載する。
また、擬似遊技に当選した遊技において、リール演出決定手段29は、擬似遊技の実行時に各リールの仮停止時に有効ラインL1上に仮停止表示可能とする図柄組合せを、図柄組合せ抽選により決定する。図柄組合せ抽選において、リール演出決定手段29は、テーブル記憶手段41に記憶されている表示役抽選テーブルを決定し、表示役抽選テーブルにおいて乱数値と対応付けられている図柄組合せと、乱数発生手段22から取得した乱数値(抽選用乱数)とを比較し、比較結果に基づいて当選したと判定した図柄組合せを、各リールの仮停止時に有効ラインL1上に仮停止表示可能な図柄組合せに決定する。なお、以下の記載において、図柄組合せ抽選処理により決定された擬似遊技実行時に仮停止表示可能な図柄組合せを、表示役とも記載する。
本実施形態において、表示役として仮停止表示可能となる図柄組合せは、図6に示す弱レアリプレイを構成する図柄組合せ「RPA(RPB)−BLA−RPA(RPB)」(以下、「弱レア役」と記載)と、強レアリプレイを構成する図柄組合せ「RPA(RPB)−BLB−RPA(RPB)」とがある。ここで、リール演出決定手段29は、強レアリプレイを構成する図柄組合せのうち、第2リールR2の中段にスイカ図柄「WM」が仮停止表示される図柄組合せ(以下、「強レア役」と記載)と、第2リールR2の中段にチェリー図柄A「CHA」が仮停止表示される図柄組合せ(以下、「チャンス役」と記載)とを、それぞれ別の表示役と識別することで、図柄組合せ抽選において弱レア役と、強レア役と、チャンス役とのいずれかを仮停止表示可能にするかを決定する。上述した通り、弱レア役、強レア役及びチャンス役は、遊技状態が通常状態である場合に弱レアリプレイ及び強レアリプレイとして成立し停止表示可能なリプレイと同一の図柄組合せである。つまり、本実施形態において、スロットマシン1は、遊技状態が通常状態である場合に、弱レアリプレイ及び強レアリプレイを停止表示可能に構成されているため、擬似遊技の実行時に弱レア役、強レア役及びチャンス役が仮停止表示された場合に、遊技者が遊技を終了してしまうことを防ぎ本遊技で得られるはずであった利益を遊技者に享受させることができる。なお、本実施形態において、弱レア役を構成する図柄組合せ(RPA(RPB)−BLA−RPA(RPB))と、強レア役及びチャンス役を構成する図柄組合せ(RPA(RPB)−BLB−RPA(RPB))とは、それぞれ特定図柄組合せを構成する。
なお、擬似遊技表示図柄決定処理においては、弱レアリプレイ及び強レアリプレイに対応する図柄組合せを必ずしも有効ラインL1上に表示する必要はない。上述したとおり、弱レアリプレイ及び強レアリプレイに対応する図柄組合せを有効ラインL1上に表示した場合には、第1リールR1〜第3リールR3の有効ラインL1上にリプレイ図柄組合せが表示されるが、例えば、第1リールR1〜第3リールR3の上段、下段からなる無効ライン上や、第1リールR1の上段、第2リールR2の中段及び第3リールR3の下段からなる無効ライン上、第1リールR1の下段、第2リールR2の中段及び第3リールR3の上段からなる無効ライン上等に、リプレイ図柄組合せを表示してもよく、遊技者にリプレイが成立したと認識される表示態様であればよい。
また、本実施形態においては、擬似遊技で仮停止した際に有効ラインL1上にリプレイであることが視認できる図柄組合せを仮停止するものを説明したが、これに限らず、擬似遊技において本メダルの払出が発生しないリプレイ以外の役(例えば、はずれ役等)を仮停止させるように構成してもよく、そのリプレイ以外の役に仮想遊技媒体の配当を設定しておいてもよい。このように擬似遊技にあって、リプレイ以外の役の図柄組合せを仮停止させる場合には、遊技者が本遊技が終了したものと勘違いしないように、表示画面に例えば「フリープレイ中」のような擬似遊技中である旨を報知することや仮停止中の各リールを微小に振動させることが考えられる。また、仮停止した状態を遊技者が本遊技が終了したものと勘違いしないように、仮停止時の図柄組合せをリプレイ図柄にすること、「フリープレイ中」のような表示を行うこと、各リールを微小に振動させること等は、それらを組合せて用いてもよく、つまり遊技者に対して擬似遊技の仮停止で遊技を辞めてしまうことを防止できる処理であれば、どのような処理であってもよい。
一方、リール演出決定手段29は、リール演出抽選において擬似遊技以外のリール演出に当選した場合に、リール制御手段24を制御し、当選したリール演出を実行する。リール演出としては、例えば、スタートレバーSLに対して開始操作が実行されてから、所定の時間(例えば、5秒)が経過するまでリール制御手段24に第1リールR1〜第3リールR3を動作させないリールロック演出や、スタートレバーSLに対して開始操作が実行されてから、リール制御手段24に第1リールR1〜第3リールR3を通常の回転方向とは逆方向に回転動作させる逆回転演出等が含まれる。
演出制御手段30は、記憶部40に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置81を用いて行う表示演出や音響装置82を用いて行う音響演出に関する制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、表示装置81の表示内容の変化、スピーカからの音の出力等を実行することにより、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
また、演出制御手段30は、例えば通常演出状態、チャンスゾーン状態(CZ状態)、特定演出状態としてのアシストタイム状態(AT状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を変化させ、所定条件下で演出状態をCZ状態やAT状態に設定する制御を行う。また、演出制御手段30は、各演出状態に基づく演出を、演出装置80を構成する各構成に実行させる。
例えばCZ状態は、演出状態が通常演出状態である場合に各遊技において実行されるCZ抽選処理に当選した場合に移行する演出状態である。CZ状態において、演出制御手段30は、例えば上記擬似遊技が実行され、弱レア役と、強レア役と、チャンス役が有効ラインL1上に表示されるごとにAT状態に移行するか否かを抽選するAT抽選処理を実行する。演出制御手段30は、AT抽選処理に当選した場合には、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。また、演出制御手段30は、AT抽選処理に当選することなく予め設定された回数(例えば10ゲーム)の本遊技が実行された場合に、CZ状態から通常演出状態に演出状態を移行しCZ状態を終了する。
AT状態は、通常演出状態において実行されるAT抽選処理又はCZ状態において実行されるAT抽選処理に当選した場合と、AT状態に移行することなく所定の遊技回数(例えば1000ゲーム)の遊技が実行された場合と、などに移行する演出状態である。AT状態において、演出制御手段30は、打順ベル1〜打順ベル8の当選時にベルA、ベルBを入賞させることができる正解打順を報知する入賞補助演出を実行する。また、演出制御手段30は、AT状態の開始時に設定される遊技回数(例えば50ゲーム)の遊技が実行された場合に、AT状態から通常演出状態に演出状態を移行しAT状態を終了する。
ここで、上述したとおり、打順ベル1〜打順ベル8は、ストップボタンB2又はストップボタンB3に対して最初に停止操作(以下、第1停止操作という)を実行した場合に、正解打順となりベルA、ベルBが入賞し得る構成となっている。本実施形態のスロットマシン1においては、演出状態が通常演出状態である場合、遊技者にストップボタンB1を第1停止操作させ、演出状態がAT状態に移行し、正解打順が報知された場合に遊技者にストップボタンB2又はストップボタンB3を第1停止操作させ、ベルA、ベルBを入賞させてメダルを獲得させるように構成されている。しかしながら、打順ベル1〜打順ベル8の入賞時においては、演出状態によらず正解打順で停止操作を実行することでベルA、ベルBを入賞できてしまうため、不誠実な遊技者が通常演出状態での遊技においてストップボタンB2やストップボタンB3を最初に押下操作することで、メダルを獲得しやすい遊技方法を選択できるという攻略要素が発生してしまう。
そこで、演出制御手段30は、通常演出状態において、打順ベル1〜打順ベル8に当選し、かつ正解打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下されてベルA、ベルBが入賞した場合に、遊技者にとって不利益となるペナルティを発生させるペナルティ処理を行う。ペナルティ処理としては、例えば、一定の遊技回数(例えば3ゲーム)を消化するまでCZ抽選処理やAT抽選処理の実行を禁止する処理、一定の遊技回数を消化するまでCZ抽選処理やAT抽選処理の結果を破棄する処理、CZ抽選処理に当選しても一定の遊技回数を消化するまでCZ状態への移行を保留する処理、AT抽選処理に当選しても一定の遊技回数を消化するまでAT状態への移行を保留する処理、CZ抽選処理やAT抽選処理に当選し演出状態がCZ状態やAT状態に移行しても一定の遊技回数を消化するまで打順ベル1〜打順ベル8の正解打順の報知を禁止する処理、演出状態がCZ状態に移行しても一定の遊技回数を消化するまでAT抽選処理の実行を禁止する処理等を行うことができる。すなわち、本実施形態では、通常演出状態において、ストップボタンB2又はストップボタンB3を最初に押下操作すると、一定の遊技回数を消化するまでCZ状態やAT状態への移行の機会を失ったり、CZ状態やAT状態への移行が遅れたり、CZ状態やAT状態へ移行してもCZ状態やAT状態で受け得る利益を享受する機会を逸するというペナルティが発生するようになっている。なお、通常演出状態において、当選役及び入賞役によらず、第2リールR2や第3リールR3が第1停止操作された場合に、遊技者に不利なペナルティを発生させるようにしてもよい。
このように、本実施形態では、上記のようなペナルティ処理を行うことで、CZ状態での操作指示演出やAT状態での正解打順報知演出によらずにベルA、ベルBを入賞させることを制限することができ、不誠実な遊技者が意図的にストップボタンB2又はストップボタンB3を最初に押下操作するようにして利益を享受することを抑止することができるようになっている。
なお、本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態のとしてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また、上記コンピュータシステムにおいて、メダル投入スイッチ71、ベットスイッチ72、スタートスイッチ73、ストップスイッチ74、ダイヤルユニット75、決定スイッチ76等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また、上記コンピュータシステムにおいて、リールユニット78、ホッパーユニット79等は、必須の構成要件ではない。これらの装置ユニットは、ディスプレイ(表示装置81)に表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
2.各遊技状態における小役当選確率
本実施形態では、BBの当選により通常状態よりもリプレイの当選確率が高いボーナス成立状態へ移行させ、毎回の遊技において小役又はリプレイのいずれかが当選するボーナス成立状態において、演出状態をAT状態へ移行させる機会を付与することにより、遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ演出状態がAT状態である遊技によって、ベルA、ベルBの入賞率を高めて遊技者にメダルを獲得させる手法を採用している。以下では、図10に示す本実施形態のスロットマシン1における内部抽選での当選確率の詳細な設定例を参照しながら説明する。
まず、本実施形態では、上述した通り、ベルA、ベルBが入賞した場合に限って規定投入数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出されて遊技者が手持ちのメダルを増やすことができる。ボーナス成立状態では、図10(A)に示すように、ベルA又はベルBの少なくとも1つが当選する確率が35600/65536(約1/1.8)である。一方、本実施形態において、ボーナス状態では、図10(B)に示すように、ベルA及びベルBの少なくとも1つが当選する確率(JAC1)が17800/65536(約1/3.7)となる。つまり、本実施形態においては、ボーナス状態において規定投入枚数よりも多いメダルが払い出される小役(ベルA、ベルB)を含む当選態様が得られる確率を、通常状態及びボーナス成立状態において特定小役を含む当選態様が得られる確率の約1/2に圧縮している。このように、通常状態及びボーナス成立状態においてN種類の規定投入枚数よりも多いメダルが払い出される小役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行うように構成し、ボーナス状態においてN種類の規定投入枚数よりも多いメダルが払い出される小役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うように構成することにより、ボーナス状態において特定小役を含む当選態様が得られる確率を、通常状態及びボーナス成立状態において特定小役を含む当選態様が得られる確率の約1/N(本実施形態においては約1/2)に圧縮することができる。
また、図10(A)及び図10(B)に示すように、ボーナス状態においていずれかの小役の当選態様が得られる確率は、36256/65536(約1/1.8)であり、通常状態及びボーナス成立状態において、いずれかの小役の当選態様が得られる確率である36255/65536(約1/1.8)よりも高くなるように内部抽選を行っている。そして、ボーナス状態においてベルこぼし1〜16、ベルこぼし17、ベルこぼし18又は取りこぼし役のいずれかに当選する確率は、18456/65536(約1/3.6)であり、通常状態及びボーナス成立状態において、ベルこぼし1〜16のいずれかに当選する確率である8900/65536(約1/7.4)、ベルこぼし17、ベルこぼし18のいずれかに当選する確率である17800/65536(約1/3.7)又は取りこぼし役に当選する確率である655/65536(約1/100.1)のいずれよりも高くなるように内部抽選を行っている。このように構成することで、ボーナス状態では、ベルこぼし1〜16、ベルこぼし17、ベルこぼし18又は取りこぼし役のそれぞれの当選確率が通常状態やボーナス成立状態よりも上昇し、かつ小役全体の当選確率も通常状態やボーナス成立状態よりも上昇しているが、上述した通り、規定投入数より配当の高いベルA及びベルBを含む当選態様を得られる確率(17800/65536(約1/3.7))が、通常状態やボーナス成立状態においてベルA又はベルBの少なくとも1つの当選態様が得られる確率(35600/65536(約1/1.8))よりも低くなっている。
また、上述した通り、通常状態及びボーナス成立状態において当選する打順ベル1〜打順ベル8は、入賞時に規定投入数よりも多いメダルを獲得することができる入賞役であるベルA、ベルBを入賞させることができる正解打順が打順3〜打順6のいずれかに設定されている。一方、ボーナス状態において当選するJAC1は、打順1〜打順6のいずれの打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下操作した場合にもベルA又はベルBのいずれかを入賞可能に構成されている。つまり、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態におけるベルA又はベルBの入賞確率が、打順によらず当選確率と同確率の17800/65536(約1/3.7)である。また、通常状態及びボーナス成立状態におけるベルA又はベルBの入賞確率は、打順ベル1〜打順ベル8に当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下操作する順番が正解打順である場合となるため、打順1〜打順6から均等かつランダムに停止操作の順序を選択して遊技を実行した場合、打順ベル1〜打順ベル8の当選確率の合計を1/6にした約5933/65536(約1/11.0)となる。この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、打順1〜打順6から均等かつランダムに停止操作の順序を選択して遊技を実行した場合、遊技状態がボーナス状態である場合におけるメダルの獲得率の期待値が、遊技状態が通常状態及びボーナス成立状態である場合におけるメダルの獲得率の期待値よりも高くなる。
また、上述した通り、通常状態及びボーナス成立状態においてベルA又はベルBの少なくとも1つが当選する確率は、ボーナス状態においてベルA及びベルBの少なくとも1つが当選する確率よりも高くなるように構成されている。このため、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス成立状態において、演出状態をAT状態に移行し打順ベル1〜打順ベル8の当選時に正解打順を報知する入賞補助演出を実行することで、ボーナス成立状態におけるメダルの獲得率の期待値を、ボーナス状態におけるメダルの獲得率の期待値よりも高くすることができる。
この構成により、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満としメダルの獲得率の期待値を引き下げた上で、AT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度をより飛躍的に向上させることができる。
3.取りこぼし役について
続いて、上述した取りこぼし役の構成について説明する。図4に示すように、本スロットマシン1では、取りこぼし役が内部抽選手段23による内部抽選で当選した際に、ベルこぼし1〜8、ベルこぼし14、及び特殊小役が重複して当選するように構成されている。
上記ベルこぼし1〜18は、上述したように、内部抽選手段23による内部抽選で打順ベル1〜8が当選した際に、各打順ベル1〜8で重複して当選する役であり、そのうちのベルこぼし1〜8とベルこぼし9〜16とは、打順ベル1〜8が当選した際にあって、遊技者が第1リールR1(左端側のリール)から第1ストップボタンB1によって第1停止操作した場合の打順1又は打順2で、リール制御手段24が有効ラインL1上に引き込んで停止表示させる図柄組合せの小役である。これらベルこぼし1〜8とベルこぼし9〜16とにおける図柄組合せは、図6及び図7に示すように、第1リールR1に対応する図柄が、リプレイ図柄B「RPB」(第1の図柄)とリプレイ図柄A「RPA」(第2の図柄)とを入れ替えただけである。即ち、ベルこぼし1とベルこぼし9、ベルこぼし2とベルこぼし10、ベルこぼし3とベルこぼし11、ベルこぼし4とベルこぼし12、ベルこぼし5とベルこぼし13、ベルこぼし6とベルこぼし14、ベルこぼし7とベルこぼし15、ベルこぼし8とベルこぼし16において、第2リールR2に対応する図柄と第3リールR3に対応する図柄とは、同じ図柄組合せで構成されている。
そして、取りこぼし役には、ベルこぼし1〜8が重複して当選する小役として設定されているので、遊技者が第1リールR1を第1ストップボタンB1によって第1停止操作する際、狙うべき位置DDTP(図5参照)を狙ったタイミングで停止操作すれば、第1リールR1の有効ラインL1上にリプレイ図柄B「RPB」が停止し、その後、第2ストップボタンB2及び第3ストップボタンB3をどのようなタイミングで押下してもそのタイミングに拘らず、ベルこぼし1〜8の何れかの図柄組合せが各リールの引き込み範囲内にあるので、ベルこぼし1〜8の何れかが有効ラインL1上に必ず揃って入賞させることができ、取りこぼし役であっても小役が獲得できることになる。
一方、遊技者が第1リールR1を第1ストップボタンB1によって第1停止操作する際、狙うべき位置DDTP(図5参照)とは違う位置(それ以外のタイミング)で停止操作すると、第1リールR1においてリプレイ図柄B「RPB」が狙うべき位置DDTP以外の場所に無いので、ベルこぼし1〜8の図柄組合せは有効ラインL1上に引き込めないことになる。ここで、仮にベルこぼし14(及び特殊小役)が重複して当選していないと仮定し、遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ遊技者が第1ストップボタンB1を、上述した狙うべき位置DDTPのBAR図柄「BAR」から少し遅れて、第1リールR1における4番から7番の間のタイミング(図5参照)で押下すると、リール制御手段24は、第1リールR1を停止制御する際に、ボーナス(BB)の図柄組合せ(図6参照)に従って、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に引き込んで停止させる。そして、その後、遊技者が第2ストップボタンB2及び第3ストップボタンB3を押下する際、第2リールR2においてチェリー図柄A「CHA」、第3リールR3においてチェリー図柄B「CHB」を有効ラインL1上に引き込める範囲内のタイミングで押下すると、ボーナスの図柄組合せが有効ラインL1上に表示され、つまり意図せずにボーナスが入賞してしまう虞がある。
しかしながら、本スロットマシン1では、取りこぼし役にあってベルこぼし14も重複して当選しているので、遊技者が第1リールR1を第1ストップボタンB1によって第1停止操作する際に狙うべき位置DDTP(図5参照)から少し遅れた位置(リプレイ図柄B「RPB」を引き込むことが可能なタイミングに対し、それ以外のタイミング)で停止操作した場合、リール制御手段24は、ベルこぼし14の入賞を目標として、第1リールR1の有効ラインL1上にリプレイ図柄A「RPA」を引き込んで停止させることができる。これにより、第1ストップボタンB1を押下した時点で、ボーナスの図柄組合せが有効ラインL1上に揃うことが無くなり、意図せずにボーナスが入賞してしまうことを防止できる。
その後、遊技者が第2ストップボタンB2及び第3ストップボタンB3を押下する際、第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3において赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に引き込める範囲内のタイミングで押下したのであれば、ベルこぼし14の図柄組合せを有効ラインL1上に引き込んで表示させ、ベルこぼし14を入賞させることができる。しかし、遊技者は、ベルこぼし14が当選していることを知らないはずであるので、特に第2リールR2においてBAR図柄「BAR」又はブランク図柄「BLK」、第3リールR3において赤7図柄「赤7」を狙うことはなく、これらの図柄を引き込める範囲以外のタイミングで押下することが多く、その場合は、上記通常リプレイ、弱レアリプレイ、強レアリプレイなどの第1リールR1の図柄がリプレイ図柄A「RPA」である役が不当に入賞することを避けながら停止制御することで、有効ラインL1上に何れの役も構成しない図柄組合せが表示されることになり、つまりハズレとなって、取りこぼしが生じることになる。
ところで、本スロットマシン1では、アシストタイム状態以外で上述したペナルティも設定されており、遊技者は基本的に第1リールR1を第1停止操作するはずであるが、例えばアシストタイム状態であったり、ペナルティとは拘らず押間違いをしたりする場合など、取りこぼし役が内部抽選により当選した場合に、遊技者が必ずしも第1リールR1を第1停止操作するとは限らない。ここで、取りこぼし役が内部抽選により当選した場合に、仮に特殊小役が重複して当選していないと仮定し、遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ遊技者が第3ストップボタンB3を、第3リールR3における12番から16番の間のタイミング(図5参照)で押下すると、リール制御手段24は、第3リールR3を停止制御する際に、ベルこぼし1及びベルこぼし2とボーナス(BB)との図柄組合せにあって第3リールR3の図柄が共通であるので(図6参照)、チェリー図柄B「CHB」を有効ラインL1上に引き込んで停止させる。続いて、遊技者が第1ストップボタンB1を第1リールR1における4番から7番の間のタイミング(図5参照)で押下すると、リール制御手段24は、第1リールR1を停止制御する際に、ボーナス(BB)の図柄組合せ(図6参照)に従って、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に引き込んで停止させる。そして、その後、遊技者が第2ストップボタンB2を押下する際、第2リールR2においてチェリー図柄A「CHA」を有効ラインL1上に引き込める範囲内のタイミングで押下すると、ボーナスの図柄組合せが有効ラインL1上に表示され、つまり意図せずにボーナスが入賞してしまう虞がある。
しかしながら、本スロットマシン1では、取りこぼし役にあって特殊小役も重複して当選しているので、図6に示すように、第2ストップボタンB2又は第3ストップボタンB3が押下された場合に、第2リールR2においては何れのタイミングで押下されても必ず引き込み範囲内にあるリプレイ図柄B「RPB」を、第3リールR3においては何れのタイミングで押下されても必ず引き込み範囲内にあるスイカ図柄「WM」を、有効ラインL1上に引き込むことができる。これにより、第2ストップボタンB2又は第3ストップボタンB3が押下された時点で、ボーナスの図柄組合せが有効ラインL1上に揃うことが無くなり、意図せずにボーナスが入賞してしまうことを防止できる。
その後、遊技者が第1ストップボタンB1を押下する際、例えば狙うべき位置DDTPを狙ったタイミングで押下すると、第1リールR1において赤7図柄「赤7」(第3の図柄)を有効ラインL1上に引き込める範囲内のタイミングで押下した場合は、特殊小役の図柄組合せを有効ラインL1上に引き込んで表示させ、特殊小役を入賞させることができる。しかし、遊技者が、特に第1リールR1において赤7図柄「赤7」を狙うことはなく、この図柄を引き込める範囲以外のタイミングで押下した場合は、第1リールR1の図柄が他の役に不当に入賞することを避けながら停止制御されることで、有効ラインL1上に何れの役も構成しない図柄組合せが表示されることになり、つまりハズレとなって、取りこぼしが生じることになる。
以上のように取りこぼし役は、打順ベル1〜8における不正解打順で有効ラインL1上に表示されるベルこぼし1〜18の一部であるベルこぼし1〜8,14を用いて構成されている。このため、取りこぼし役に内部抽選で当選した際、特定のタイミングでストップスイッチ74を押下操作すると、ベルこぼし1〜8,14の図柄組合せが有効ラインL1上に表示されて入賞することになるので、遊技者にとって、打順ベル1〜8が当選したものであったか、取りこぼし役が当選したものであったかを判別することが困難であり、遊技者に取りこぼし役の当選を察知されることがない。
また、一般的に取りこぼし役は、例えばチェリー図柄などのレア役を用いて図柄組合せを構成することが多いが、本スロットマシン1では、レア役として特にボーナス成立状態にあっては擬似遊技が行われる場合にだけ弱レアリプレイや強レアリプレイを有効ラインL1上に表示してAT抽選やCZ抽選を行うものであり、本遊技ではレア役を有効ラインL1上に表示したくない設計思想となっている。このため、取りこぼし役の図柄組合せに、レア役として認識される図柄組合せを用いてしまうと、遊技者はAT抽選やCZ抽選などの利益が受けられるものと期待し、そのような利益が受けられないと、遊技者の興趣を削ぐ虞もある。
しかしながら、上述したように本スロットマシン1では、取りこぼし役として、打順ベル1〜8における不正解打順で有効ラインL1上に表示されるベルこぼし1〜18の一部を用いているので、それがレア役であると遊技者に認識される虞がなく、遊技者の興趣を削ぐことの防止も図ることができる。
4.打順ベルにおける不正解打順の小役について
次に、打順ベル1〜8における不正解打順としての打順1及び打順2で有効ラインL1上に引き込むベルこぼし1〜16の組合せについて説明する。
上述したようにベルこぼし1〜8(第1グループの図柄組合せ)と、ベルこぼし9〜16(第2グループの図柄組合せ)とは、図6及び図7に示すように、第1リールR1に対応する図柄について、リプレイ図柄B「RPB」とリプレイ図柄A「RPA」とが入替っただけであり、第2リールR2及び第3リールR3に対応する図柄は同じ組合せである。言い換えれば、本来は第1リールR1において同じリプレイ図柄を用いていれば、このように2種類のベルこぼし1〜8とベルこぼし9〜16とを準備する必要はないが、上記の取りこぼし役で狙うべき位置DDTPを狙って停止操作した場合に小役の入賞が獲得でき、狙うべき位置DDTPを狙わなかった場合に取りこぼしが生じるように構成したため、2種類のベルこぼし1〜8とベルこぼし9〜16とを準備する必要が生じたものである。
ここで、普通であれば、打順ベル1〜8のそれぞれにおける不正解打順である打順1及び打順2の小役として、ベルこぼし1とベルこぼし9、ベルこぼし2とベルこぼし10、ベルこぼし3とベルこぼし11、ベルこぼし4とベルこぼし12、ベルこぼし5とベルこぼし13、ベルこぼし6とベルこぼし14、ベルこぼし7とベルこぼし15、ベルこぼし8とベルこぼし16、のように順当に組合せることになる。しかしながら、このように組合せた場合には、不正解打順であって例えばストップボタンB2が第1停止操作されたりストップボタンB3が第1停止操作されたりすると、本来、リール制御手段24が、ベルこぼし17やベルこぼし18を選択して有効ラインL1上に引き込むように制御したいのに、例えば打順ベル1にあってベルこぼし1とベルこぼし9のように同じ図柄が重複して当選していると、第2リールR2や第3リールR3において、当選している図柄組合せの数として、ベルこぼし1とベルこぼし9との合計が単独のベルこぼし17やベルこぼし18の数より多くなり、通常の停止制御のロジックとして、引き込める可能性が高くなるように図柄の数が多い方を選択するようなロジックをそのまま用いると、ベルこぼし1とベルこぼし9とで構成される図柄組合せを選択してしまう虞がある。これらベルこぼし1とベルこぼし9とは、特に第2リールR2と第3リールR3とにおいて、引き込み可能な範囲内に必ず図柄が存在するものとは限らない図柄組合せであるので、ストップボタンB2やストップボタンB3の押下タイミングによっては、意図せずにハズレとなってしまう虞がある。
そこで、本スロットマシン1では、図4(A)に示すように、打順ベル1〜8のそれぞれにおける不正解打順である打順1及び打順2の小役として、ベルこぼし1とベルこぼし16、ベルこぼし2とベルこぼし15、ベルこぼし3とベルこぼし14、ベルこぼし4とベルこぼし13、ベルこぼし5とベルこぼし10、ベルこぼし6とベルこぼし9、ベルこぼし7とベルこぼし12、ベルこぼし8とベルこぼし11、のように組合せて構成する。即ち、一例を説明すると、同時に当選したベルこぼし1の図柄組合せのリプレイ図柄B「RPB」をリプレイ図柄A「RPA」に入れ替えても同時に当選したベルこぼし16の図柄組合せと異なり、同時に当選したベルこぼし16の図柄組合せのリプレイ図柄A「RPA」をリプレイ図柄B「RPB」に入れ替えても同時に当選したベルこぼし1の図柄組合せと異なるように構成されている。つまり打順ベル1〜8のそれぞれにおける不正解打順である打順1及び打順2の小役として、第1リールR1に対応する図柄におけるリプレイ図柄B「RPB」とリプレイ図柄A「RPA」とを入れ替えたとしても、第2リールR2及び第3リールR3に対応する図柄が異なるように組合せて構成している。
このように構成することで、通常の停止制御のロジックとして、引き込める可能性が高くなるように図柄の数が多い方を選択するようなロジックをそのまま用いても、例えば打順ベル1にあってベルこぼし1とベルこぼし16とベルこぼし17とベルこぼし18とは、それぞれが同数であるので、何れも図柄の数の多さによって優先されることはなく、第2リールR2に対応するストップボタンB2が第1停止操作された場合はベルこぼし17、第3リールR3に対応するストップボタンB3が第1停止操作された場合はベルこぼし18、がそれぞれ優先されるように取り決めておけば(例えば点数による制御でも、テーブルによる制御でもよい)、複雑なロジックを構築することなく、一般的に使用している停止制御のロジックのままで、意図しない図柄組合せが有効ラインL1上に引き込まれるような現象を回避することができる。
5.本スロットマシン1のまとめ
以上説明したように、本スロットマシン1によると、取りこぼし役における、ストップスイッチ74の停止操作が特定タイミングである場合だけ有効ラインL1上に表示される図柄組合せに、ベルこぼし1〜18(複数種類の第2の配当の図柄組合せ)の一部であるベルこぼし1〜8,14の図柄組合せを用いて構成したので、遊技者にとって、取りこぼし役が内部抽選で当選したものか、打順ベル1〜8が当選したものか、判別できなくなり、取りこぼし役の当選を察知されないようにすることができる。
また、取りこぼし役におけるベルこぼし1〜18(複数種類の第2の配当の図柄組合せ)の一部であるベルこぼし1〜8,14の図柄組合せとして、ベルこぼし1〜8(第1グループ)の図柄組合せと、ベルこぼし9〜16(第2グループ)の一部であるベルこぼし14の図柄組合せとを用いたので、第1リールR1に対応するストップボタンB1によって、遊技者がリプレイ図柄B「RPB」を引き込むことが可能な狙うべき位置DDTPを狙って押下していれば、取りこぼし役であっても配当が1枚である小役を入賞させることができ、遊技者がそれ以外のタイミングで押下していれば、ハズレ(取りこぼし)を発生させるようにすることができる。これにより、遊技者が各遊技でリプレイ図柄B「RPB」を引き込むことが可能な範囲を狙っていれば、無用なハズレ(取りこぼし)を発生させることを防止することができる。
また特に、第1リールR1は、左端側のリールであるので、遊技者がリプレイ図柄B「RPB」を引き込むことが可能な範囲を、遊技者が通常狙うべき位置(いわゆるDDTポイント)とすることができる。
さらに、取りこぼし役を構成する図柄組合せに、特殊小役の図柄組合せを含んでおり、その特殊小役の図柄組合せは、第2リールR2及び第3リールR3に対応する図柄がストップスイッチ74の停止操作のタイミングに拘らず有効ラインL1上に表示できる図柄で、第1リールR1においては赤7図柄「赤7」で構成され、かつ何れの小役及びリプレイの図柄組合せにも合致しない図柄組合せであるので、取りこぼし役に内部抽選で当選した状態で、遊技者がいわゆる変則打ちなどによって第2リールR2又は第3リールR3に対応するストップボタンB2又はストップボタンB3から押下し、第1リールR1に対応するストップボタンB1を後から押下した場合に、赤7図柄「赤7」で構成されるボーナスの図柄組合せを意図せずに有効ラインL1上に引き込んでしまうことを防止することができる。
そして、例えば打順ベル1〜8が当選した際における遊技者によるストップボタンB1〜B3の操作順が、第2リールR2又は第3リールR3に対応するストップボタンB2又はストップボタンB3から停止操作された場合に、その停止操作されたリールについて、ベルこぼし1〜8のいずれか1つとベルこぼし9〜16のいずれか1つとでは図柄が異なるように構成されているので、リール制御において、当選している図柄組合せの中で一番多くの図柄組合せを構成する図柄を選択して有効ラインL1上に引き込むようにプログラミングしておいても、それら同時に当選しているベルこぼし1〜8のいずれか1つとベルこぼし9〜16のいずれか1つとが一番多い図柄組合せの役となることが防止できる。そして、打順ベル1〜8が当選した際に、ストップボタンB2又はストップボタンB3から停止操作された場合に、選択されるベルこぼし17やベルこぼし18を同時に当選させるように構成しておけば、それらベルこぼし17又はベルこぼし18を優先的に有効ラインL1上に引き込むことができる。これにより、リール制御の停止制御に複雑なロジックを用いることなく、意図しない図柄組合せが有効ライン上に引き込まれることの防止を図ることができる。
6.他の実施形態の可能性
以上説明した本実施の形態にあっては、取りこぼし役の当選時に、ベルこぼし1〜8が重複して当選するものを説明したが、取りこぼし役としては、特定のタイミング以外でハズレとなることが許容できるものであるので、ベルこぼし1〜8の全てではなく、一部だけを重複して当選するようにしてもよい。この場合は、第1リールR1を停止操作する際に、狙うべき位置DDTPを狙ってリプレイ図柄B「RPB」を有効ラインL1上に引き込んでも、第2リールR2の停止操作したタイミングや第3リールR3の停止操作したタイミングによってハズレとなり、取りこぼしが生じることになるが、打順ベル1〜8にあって、第1リールR1を第1停止操作した場合でもハズレとなることがあるので、遊技者に取りこぼし役を察知されることはない。
また、本実施の形態にあっては、取りこぼし役の当選時に、第1リールR1にあって狙うべき位置DDTPとは違う位置で停止操作した場合に、リプレイ図柄A「RPA」を有効ラインL1上に引き込むための役として、ベルこぼし14を用いたものを説明したが、これに限らず、ベルこぼし9〜16のうちの少なくとも1つが用いられていれば、どれであってもよい。
また、本実施の形態にあっては、打順小役として打順ベル1〜8の8種類を有し、第1グループとしてのベルこぼし1〜8と、第2グループとしてのベルこぼし9〜16とについても8種類を有するものを説明したが、これらの種類や数は、これに限るものではなく、さらに第3グループとしてのベルこぼしの図柄組合せを準備してもよい。
また、本実施の形態にあっては、取りこぼし役の当選時にあって、意図せずにボーナスの図柄組合せが有効ラインL1上に表示されないように、ベルこぼし14を重複して当選させるものを説明したが、例えば第1リールR1における8番のリプレイ図柄A「RPA」をリプレイ図柄B「RPB」に変更し、つまり赤7図柄「赤7」が含まれる引き込み範囲内に必ずリプレイ図柄B「RPB」が存在するように図柄の配列を構成することで、ベルこぼし1〜8の図柄組合せに従って、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に引き込むことなく、必ずリプレイ図柄B「RPB」を有効ラインL1上に引き込むようにすることができる。この場合は、ベルこぼし14によってリプレイ図柄A「RPA」を有効ラインL1上に引き込む必要性が無いので、取りこぼし役を構成する入賞役からベルこぼし14を無くすこともできる。
また、本実施の形態においては、第1リールR1が左端側のリールであるものを説明したが、第1の図柄と第2の図柄とが配列されるリールとしては、左端側のリールに限らず、特にペナルティなどに起因して遊技者が通常の遊技において第1停止操作を行うリールであればよく、つまり狙うべき位置としてのDDTポイントを設定できるリールであればよい。
また、本実施形態において、スロットマシン1は、ボーナス状態として第1種特別役物のBBを採用しているが、これに限らず、例えば、第2種特別役物のチャレンジボーナス(CB)を採用してもよい。この場合、CB状態におけるメダル獲得の期待値が、100%以上になるように構成する必要がある。
さらに、本実施の形態において、スロットマシン1は、ボーナス(第1種特別役物)を搭載したものを説明したが、ボーナスを搭載せず、例えばリプレイ確率が異なる状態を遷移させつつAT状態の実行可否を管理するような、いわゆるART機などであっても本発明を適用し得る。