JP5862499B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置に関する。より詳しくは、本発明は、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても高い精度にてレゾルバの原点学習を実行することができるモータ制御装置に関する。
昨今の省エネルギーや地球環境保護に関する意識の高まりを受け、例えば動力源としてモータを搭載する電動車両の普及が進んでいる。かかるモータとしては、例えば三相交流式永久磁石型同期電動機等を挙げることができる。また、かかるモータにおいては、回転子の位置(回転角度)に応じた回転磁界によって駆動される。従って、モータの回転を正しく制御するためには、モータの回転子の回転角度を正しく検出することが肝要である。モータの回転子の回転角度を検出する回転角度検出手段としては、例えば、レゾルバ、エンコーダ等を挙げることができる。
尚、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の電動車両の動力源として使用されるモータが備える回転角度検出手段としては、レゾルバが一般的に用いられている。レゾルバは、モータの回転軸と連動して回転する回転子を備え、当該回転子によってモータの回転子の位置を検出するように構成されることが一般的である。
しかしながら、現実には、例えばレゾルバの取り付け位置のズレ等の種々の原因により、レゾルバによって検出されるモータの回転子の位置と実際のモータの回転子の位置との間に差異(オフセット)が生ずる場合がある。かかるオフセットが生じたままの状態ではモータの回転を正しく制御することは困難であるため、当該技術分野においては、レゾルバのオフセットを検出して、検出されたオフセットに応じてレゾルバによって検出されるモータの回転子の位置を補正するための種々の試みが提案されている。
レゾルバのオフセットの検出及び検出されたオフセットによる補正(「原点学習」とも称する)は、例えば、トルクが0(ゼロ)でモータが回転している状態において実施することができる。かかる状態においてレゾルバのオフセットが無い場合は、dq軸座標における励磁電流Id及びトルク電流Iqが共に0(ゼロ)となる。従って、トルクが0(ゼロ)でモータが回転している状態においては、以下の式(1)に示す電圧方程式から、式(2)に示すように、励磁電圧Vd=0(ゼロ)及びトルク電圧Vq=ωφが導かれる。
Figure 0005862499
Figure 0005862499
ここで、上記につき、添付図面を参照しながら更に説明する。図1は、トルクが0(ゼロ)でモータが回転している状態において検出される励磁電圧Vd及びトルク電圧Vqのレゾルバのオフセットの有無による違いを説明する模式図である。式(2)によって表される状態をdq軸座標に表すと、図1(a)のようになる。しかしながら、レゾルバのオフセットが有る場合は、図1(b)に示す破線によって表されるように制御上の認識軸がずれ、本来であれば0(ゼロ)である筈の励磁電圧Vd(d軸成分Vd′)が検出されてしまう。レゾルバの原点学習においては、斯くして検出される励磁電圧Vdに基づいて、レゾルバのオフセットを検出する。
例えば、当該技術分野においては、位相補正指令が入力されたとき、トルク指令を無視し、d軸電流指令及びq軸電流指令をそれぞれゼロにする電流指令発生器と、d軸−q軸電流指令に基づきd軸−q軸電圧指令を出力する電流制御器と、位相補正指令が入力されたとき、d軸電圧指令がゼロでない場合にこれをゼロにするオフセット量を求める位相補正量検出器と、回転子位置角度とオフセット量とを加算する加算器と、この加算値とd軸−q軸電圧指令とに基づき3相電圧指令を求める電圧変換器とを備える同期モータの制御装置により、無負荷検出器やモータ電圧検出器を必要とすること無く、回転子に負荷が接続された状態でも回転位置検出器に係わる回転位置のずれを正確に補正することが提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
また、当該技術分野においては、モータの誘起電圧の波形は、モータにかかる外部負荷の有無・大小に拘わらず、モータの実際の電気角が0度のときに必ずゼロクロスすることに着目して、モータが出力した誘起電圧の波形がゼロクロスしたときのレゾルバの実際の検出値θ1をオフセット値θ2として求めることにより、レゾルバとモータとの間に生ずる組み付け誤差に応じたオフセット値θ2を従来より正確に特定することも提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
ところで、当該技術分野においては、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータのチョッパ回路を構成する2つのスイッチング素子(上アーム及び下アーム)をスイッチング制御する制御信号において、上アーム及び下アームが同時にオン(ON)されるのを防止することを目的として、上アーム及び下アームが同時にオフ(OFF)される期間(以降、「デットタイム」と称する場合がある)を設けることが知られている。かかるデッドタイムを設けることにより、上アーム及び下アームが同時にオン(ON)されて、過大なショートスルー電流が流れ、例えば、電源回路やスイッチング素子の破損等の問題を招くことを防止することができる。
しかしながら、上記のような利点がある一方で、デッドタイムを設けることにより、上アーム及び下アームのデューティ比においては、目標出力電圧に基づいて算出される指令デューティ比と、実際に上アーム及び下アームがオン/オフされるときのデューティ比(実デューティ比)との間に差異が生ずる。この差異は、モータの各相と対応するチョッパ回路との間に流れる電流の方向によって異なるため、当該電流が流れる方向が反転したときには実デューティ比が不連続に変動することとなる。その結果、レゾルバの原点学習を実行する期間中に含まれるデッドタイムが多いほど、上記のような実デューティ比の変動に起因して、レゾルバの原点学習の精度がより低くなるという問題に繋がる虞がある。
そこで、当該技術分野においては、上記のようにデッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下を抑制すべく、種々の試みがなされている。例えば、回転子の位置(回転角度)に基づいて次回のPWM制御周期の中央からデッドタイムの半分だけ後の回転角度を推定し、斯くして推定された回転角度を用いて2相3相変換部による電圧指令値の演算精度を高めることにより、デッドタイムを設けたことに起因する回転角度補償値のずれを解消して、より精度の高いモータ制御が可能とし、過渡応答性能を向上させることが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
しかしながら、上述のように、レゾルバの原点学習を実行する期間中に含まれるデッドタイムが多いほど、上記のような実デューティ比の変動に起因して、レゾルバの原点学習の精度がより低くなるという問題に繋がる虞がある。即ち、デッドタイムを設けたことに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下の程度は、種々の要因によって変化するため、単にモータの制御精度を高めるだけでは、レゾルバの原点学習の精度を十分に高めることは困難である。即ち、当該技術分野においては、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることができる技術に対する要求が存在する。
特開2004−129359号公報 特開2004−266935号公報 特開2006−296025号公報 特開2005−057901号公報
前述のように、当該技術分野においては、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることができる技術に対する要求が存在する。本発明は、かかる要求に応えるために為されたものである。即ち、本発明は、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることを1つの目的とする。
上記目的は、
レゾルバによって検出されるモータの回転子の回転角度に基づき、スイッチング素子を備えるインバータから前記モータへの指令電圧の電圧値及び位相を制御することにより、前記モータの回転を制御するモータ制御装置であって、
前記モータが回転しており且つ前記モータに対する要求トルクが0(ゼロ)である場合に前記レゾルバの原点学習を行うモータ制御装置において、
前記インバータの上アーム及び下アームの電気的導通が同時に遮断される期間であるデットタイムを設ける場合に、前記モータの回転数が予め定められた範囲内にある状態においてのみ、前記レゾルバの原点学習を許可する、
モータ制御装置によって達成される。
本発明によれば、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることができる。
トルクが0(ゼロ)でモータが回転している状態において検出される励磁電圧Vd及びトルク電圧Vqのレゾルバのオフセットの有無による違いを説明する模式図である。 デッドタイムにおける電流の方向によるスイッチング指令とインバータの出力との関係の違いを説明する模式図である。 従来技術に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習の一例における各種処理の流れを表すフローチャートである。 本発明の1つの実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習における各種処理の流れを表すフローチャートである。 本発明のもう1つの実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習における各種処理の流れを表すフローチャートである。 デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下に対するインバータへの入力電圧であるシステム電圧VHの影響を説明する模式図である。 本発明の更にもう1つの実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習における各種処理の流れを表すフローチャートである。 デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下に対するインバータのキャリア周波数の影響を説明する模式図である。
前述のように、本発明の1つの目的は、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることである。本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、レゾルバの原点学習を実行するに当たり、モータの回転数が予め定められた範囲内にある状態においてのみレゾルバの原点学習を許可することにより、レゾルバの原点学習の精度に対するデッドタイムの影響を低減し、原点学習の精度を向上させることができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
即ち、本発明の第1の実施態様は、
レゾルバによって検出されるモータの回転子の回転角度に基づき、スイッチング素子を備えるインバータから前記モータへの指令電圧の電圧値及び位相を制御することにより、前記モータの回転を制御するモータ制御装置であって、
前記モータが回転しており且つ前記モータに対する要求トルクが0(ゼロ)である場合に前記レゾルバの原点学習を行うモータ制御装置において、
前記インバータの上アーム及び下アームの電気的導通が同時に遮断される期間であるデットタイムを設ける場合に、前記モータの回転数が予め定められた範囲内にある状態においてのみ、前記レゾルバの原点学習を許可する、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置は、レゾルバによって検出されるモータの回転子の回転角度に基づき、スイッチング素子を備えるインバータから前記モータへの電圧指令の電圧値及び位相を制御することにより、前記モータの回転を制御する。上記モータの構成は特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の電動車両の動力源として広く使用される三相交流式永久磁石型同期電動機等を挙げることができる。前述のように、かかるモータにおいては、回転子の位置(回転角度)に応じた回転磁界によって駆動されることから、モータの回転を正しく制御するためには、モータの回転子の回転角度を正しく検出することが肝要である。
モータの回転子の回転角度を検出する回転角度検出手段の具体例としては、前述のように、例えば、レゾルバ、エンコーダ等を挙げることができるが、本実施態様に係るモータ制御装置においては、電動車両の動力源として使用されるモータが備える回転角度検出手段として広く使用されているレゾルバが、回転角度検出手段として採用されている。尚、前述のように、レゾルバは、モータの回転軸と連動して回転する回転子を備え、当該回転子によってモータの回転子の位置を検出するように構成されることが一般的である。
ところで、前述のように、本発明は、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることを1つの目的とする。デッドタイムとは、当業者に周知であるように、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータのチョッパ回路を構成する2つのスイッチング素子(上アーム及び下アーム)をスイッチング制御する制御信号において、上アーム及び下アームが同時にオン(ON)されるのを防止することを目的として設けられる、上アーム及び下アームが同時にオフ(OFF)される期間を指す。かかるデッドタイムを設けることにより、上アーム及び下アームが同時にオン(ON)されて、過大なショートスルー電流が流れ、例えば、電源回路やスイッチング素子の破損等の問題を招くことを防止することができる。
しかしながら、上記のような利点がある一方で、デッドタイムを設けることにより、上アーム及び下アームのデューティ比においては、目標出力電圧に基づいて算出される指令デューティ比と、実際に上アーム及び下アームがオン/オフされるときのデューティ比(実デューティ比)との間に差異が生ずる。この点につき、より詳しくは、図2を参照しながら以下に説明する。
図2は、前述のように、デッドタイムにおける電流の方向によるスイッチング指令(以降、「SW指令」と称する場合がある)とインバータの出力との関係の違いを説明する模式図である。先ず、図2(a)に示すように、電流の方向がプラス(即ち、インバータからモータの相コイルへと流れる方向)である場合は、SW指令の立ち上がりに対して、下アームのオフ(OFF)指令は遅れないものの、上アームのオン(ON)指令はデッドタイムだけ遅れる。その結果、実電圧の立ち上がりは、SW指令の立ち上がりに対して、デッドタイムだけ遅れることとなる。一方、SW指令の立ち下がりに対しては、下アームのオン(ON)指令はデッドタイムだけ遅れるものの、上アームのオフ(OFF)指令は遅れない。その結果、実電圧の立ち下がりは、SW指令の立ち下がりに対して、遅れないこととなる。このように、電流の方向がプラスである場合は、SW指令に対して、実電圧の立ち上がりは遅れ、立ち下がりは遅れない。結果として、電流の方向がプラスである場合は、指令デューティ比に対して、実デューティ比が小さくなる。
また、図2(b)に示すように、電流の方向がマイナス(即ち、モータの相コイルからインバータへと流れる方向)である場合は、SW指令の立ち上がりに対して、上アームのオン(ON)指令はデッドタイムだけ遅れるものの、下アームのオフ(OFF)指令は遅れない。その結果、実電圧の立ち上がりは、SW指令の立ち上がりに対して、遅れないこととなる。一方、SW指令の立ち下がりに対しては、上アームのオフ(OFF)指令は遅れないものの、下アームのオン(ON)指令はデッドタイムだけ遅れる。その結果、実電圧の立ち下がりは、SW指令の立ち下がりに対して、デッドタイムだけ遅れることとなる。このように、電流の方向がマイナスである場合は、SW指令に対して、実電圧の立ち上がりは遅れず、立ち下がりは遅れる。結果として、電流の方向がマイナスである場合は、指令デューティ比に対して、実デューティ比が大きくなる。
更に、図2(c)に示すように、電流の大きさが概ね0(ゼロ)で、電流の方向を上記のように特定することができない場合は、SW指令の立ち上がり及び立ち下がりにおけるデッドタイムにおいて、回転子の電気角に対応した誘起電圧の影響が実電圧に出現する。具体的には、SW指令の立ち上がりに対しては、上アームのオン(ON)指令はデッドタイムだけ遅れ、下アームのオフ(OFF)指令は遅れない。その結果、電流の大きさが概ね0(ゼロ)であることから、当該デッドタイムにおいては本来であれば実電圧が立ち上がらない筈であるところ、回転子の電気角に対応した誘起電圧の影響により、実電圧が上がることとなる。しかしながら、当該デッドタイムにおいては上記のように上アームのオン(ON)指令は未だ発せられていないため上アームからの電圧は印加されず、SW指令と等価な実電圧は印加されない。従って、当該デッドタイムにおいては、上アームから印加されるべき電圧と上記誘起電圧との差分だけ、指令デューティ比に対して、実デューティ比が小さくなる。
一方、SW指令の立ち下がりに対しては、上アームのオフ(OFF)指令は遅れず、下アームのオン(ON)指令はデッドタイムだけ遅れる。その結果、電流の大きさが概ね0(ゼロ)であることから、当該デッドタイムにおいては本来であれば実電圧が維持される筈であるところ、回転子の電気角に対応した誘起電圧の影響により、実電圧が下がることとなる。その結果、従って、当該デッドタイムにおいては、上記誘起電圧の影響により下がりきらずに残った実電圧の分だけ、指令デューティ比に対して、実デューティ比が大きくなる。
以上のように、指令デューティ比と実デューティ比との差異はモータの各相と対応するチョッパ回路との間に流れる電流の方向によって異なるため、当該電流が流れる方向が反転したときには実デューティ比が不連続に変動することとなる。その結果、レゾルバの原点学習を実行する期間中に含まれるデッドタイムが多いほど、上記のような実デューティ比の変動に起因して、レゾルバの原点学習の精度が低下する。
また、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習は、モータが回転中であり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である状態において実行される。この際、従来技術に係るモータ制御装置においては、モータに対する要求トルクが0(ゼロ)である状態におけるモータの回転数にて、レゾルバの原点学習を実行する。即ち、従来技術に係るモータ制御装置においては、レゾルバの原点学習が実行される際のモータの回転数はなりゆきであり、モータの回転数によってレゾルバの原点学習の精度が影響を受けるという問題があった。
そこで、本発明者は、レゾルバの原点学習が実行される際のモータの回転数とレゾルバの原点学習の精度との関係について研究した結果、前述のように、レゾルバの原点学習を実行するに当たり、モータの回転数が予め定められた範囲内にある状態においてのみレゾルバの原点学習を許可することにより、レゾルバの原点学習の精度に対するデッドタイムの影響を低減し、原点学習の精度を向上させることができることを見出した。
具体的には、モータの回転数が低過ぎると、図1を参照しながら前述したようなdq座標におけるトルク電圧Vqが小さく、レゾルバのオフセットに対する感度が低くなる(オフセットがかなり大きくないと励磁電圧Vdの変化として検出され難くなる)ので望ましくない。一方、モータの回転数が高過ぎると、回転の1周期当たりにデッドタイムが占める割合が高くなり、結果として、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下が著しくなるので望ましくない。このように、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいて、デッドタイムを設けた場合においても精度良くレゾルバの原点学習を実行するには、モータの回転数が予め定められた範囲内にあることが望ましい。
従って、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記モータが回転しており且つ前記モータに対する要求トルクが0(ゼロ)である場合に前記レゾルバの原点学習を実行するに当たり、前記インバータの上アーム及び下アームの電気的導通が同時に遮断される期間であるデットタイムを設ける場合に、前記モータの回転数が予め定められた範囲内にある状態においてのみ、前記レゾルバの原点学習を許可する。これにより、本実施態様に係るモータ制御装置によれば、モータの各相に印加される電圧を供給するインバータにおいてデッドタイムを設けた場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることができる。
尚、上記モータの回転数について予め定められた範囲の下限は、例えば、上述のように、dq座標におけるトルク電圧Vqが小さくなり、レゾルバのオフセットに対する感度が低くなる(オフセットがかなり大きくないと励磁電圧Vdの変化として検出され難くなる)ことに伴うレゾルバの原点学習の精度の低下が許容範囲に収まる範疇における最小値として定めることができる。一方、上記モータの回転数について予め定められた範囲の上限は、例えば、上述のように、回転の1周期当たりにデッドタイムが占める割合が高くなることに伴うレゾルバの原点学習の精度の低下が許容範囲に収まる範疇における最大値として定めることができる。
ここで、添付図面を参照しながら、本実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習について、従来技術に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習と比較しながら、より詳しく説明する。先ず、従来技術に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習について説明する。
図3は、前述のように、従来技術に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習の一例における各種処理の流れを表すフローチャートである。図3に示すように、当該従来技術に係るモータ制御装置においては、レゾルバの原点学習を実行するルーチンが開始されると、先ず、ステップS110において、レゾルバの原点学習の実行を許可するか否かが判定される。具体的には、モータが回転中であり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である(トルク指令が0(ゼロ)である)か否かが判定される。
上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足されない(学習を許可しない)と判定される場合(ステップS110=No)、当該ルーチンは終了される。
一方、上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足される(学習を許可する)と判定される場合(ステップS110=Yes)、次のステップS180において、レゾルバの原点学習が実行される。即ち、当該従来技術に係るモータ制御装置においては、モータが回転中であり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である(トルク指令が0(ゼロ)である)という条件が満足されれば、レゾルバの原点学習が実行される。この際、当該従来技術に係るモータ制御装置においては、前述のように、モータに対する要求トルクが0(ゼロ)である状態におけるモータの回転数にて、レゾルバの原点学習が実行される。即ち、当該従来技術に係るモータ制御装置においては、レゾルバの原点学習が実行される際のモータの回転数はなりゆきであり、モータの回転数によってレゾルバの原点学習の精度が影響を受けるという問題があった。
次に、本実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習について、図4を参照しながら説明する。図4は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習における各種処理の流れを表すフローチャートである。
図4に示すように、本実施態様に係るモータ制御装置においても、図3に示した従来技術に係るモータ制御装置と同様に、レゾルバの原点学習を実行するルーチンが開始されると、先ず、ステップS110において、学習許可判定が行われる。但し、本実施態様に係るモータ制御装置においては、図3に示した従来技術に係るモータ制御装置とは異なり、モータの回転数が予め定められた範囲内にあり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である(トルク指令が0(ゼロ)である)か否かが判定される。上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足されない(学習を許可しない)と判定される場合(ステップS110=No)、当該ルーチンは終了される。
一方、上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足される(学習を許可する)と判定される場合(ステップS110=Yes)、次のステップS180において、レゾルバの原点学習が実行される。即ち、本実施態様に係るモータ制御装置においては、モータの回転数が予め定められた範囲内にあり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である(トルク指令が0(ゼロ)である)という条件が満足されれば、レゾルバの原点学習が実行される。
尚、前述のように、上記モータの回転数について予め定められた範囲の下限は、例えば、上述のように、dq座標におけるトルク電圧Vqが小さくなり、レゾルバのオフセットに対する感度が低くなる(オフセットがかなり大きくないと励磁電圧Vdの変化として検出され難くなる)ことに伴うレゾルバの原点学習の精度の低下が許容範囲に収まる範疇における最小値として定めることができる。一方、上記モータの回転数について予め定められた範囲の上限は、例えば、上述のように、回転の1周期当たりにデッドタイムが占める割合が高くなることに伴うレゾルバの原点学習の精度の低下が許容範囲に収まる範疇における最大値として定めることができる。
上記により、本実施態様に係るモータ制御装置によれば、前述のように、インバータの上アーム及び下アームの電気的導通が同時に遮断される期間であるデットタイムを設ける場合においても、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度を向上させることができる。
ところで、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度は、上述したモータの回転数のみならず、他の種々の要因によっても影響を受ける。従って、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行するには、学習精度に影響を及ぼす種々の要因を適切に制御して、より高い学習精度が得られる状況下で原点学習を実行することが望ましい。かかる要因の一例としては、例えば、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHを挙げることができる。この場合、システム電圧VHを適切な電圧値となるように制御することにより、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行することができる。
即ち、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係るモータ制御装置であって、
前記レゾルバの原点学習が許可される場合において、前記インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHの目標電圧値を変更して前記システム電圧VHを当該目標電圧値へと変更した状態で、前記レゾルバの原点学習を行う、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記レゾルバの原点学習が許可される場合において、前記インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHの目標電圧値を変更して前記システム電圧VHを当該目標電圧値へと変更した状態で、前記レゾルバの原点学習を行う。これにより、本実施態様に係るモータ制御装置においては、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHを適切な電圧値となるように制御することにより、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行することができる。
ここで、本実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習につき、図5を参照しながら、より詳しく説明する。図5は、前述のように、本発明のもう1つの実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習における各種処理の流れを表すフローチャートである。
図5に示すように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、レゾルバの原点学習を実行するルーチンが開始されると、先ず、ステップS110において、学習許可判定が行われる。当該ステップS110における学習許可判定は、図4に示した実施態様に係るモータ制御装置と同様に、モータの回転数が予め定められた範囲内にあり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である(トルク指令が0(ゼロ)である)か否かに基づいて行われる。上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足されない(学習を許可しない)と判定される場合(ステップS110=No)、当該ルーチンは終了される。
一方、上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足される(学習を許可する)と判定される場合(ステップS110=Yes)、次のステップS140においてインバータへの入力電圧であるシステム電圧VH(以降、単に「システム電圧VH」と称する場合がある)の目標電圧値が変更され、ステップS145においてシステム電圧VHが操作され、上記ステップS140において変更された目標電圧値に到達したら、次のステップS180においてレゾルバの原点学習が高い精度にて実行される。
ところで、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが低すぎると、モータが発するトルクが低下して、モータの回転が不安定となり、モータの回転数を一定に維持することができなくなる虞がある。斯くしてモータの回転が不安定になるとレゾルバの原点学習の精度も低下することから、レゾルバの原点学習を実行する際には、モータの回転数を維持するのに必要な電圧値以上の電圧値を目標電圧値として設定することが望ましい。
従って、本発明の第3の実施態様は、
本発明の前記第2の実施態様に係るモータ制御装置であって、
前記目標電圧値が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要電圧以上の電圧である、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記目標電圧値が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要電圧以上の電圧である。換言すれば、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが、原点学習を実行する際の前記モータの回転数を達成するのに必要とされる最低電圧以上の電圧となるように制御される。これにより、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが低すぎ、モータが発するトルクが低下して、モータの回転が不安定となり、レゾルバの原点学習の精度が低下することが抑制される。尚、レゾルバの原点学習を実行する際のモータの回転数に対応する必要電圧は、例えば、モータの誘起電圧に基づいて適宜定めることができる。
ところで、上述のように、モータの回転が不安定になるとレゾルバの原点学習の精度も低下することから、レゾルバの原点学習を実行する際には、モータの回転数を維持するのに必要な電圧値以上の電圧値を目標電圧値として設定することが望ましい。しかしながら、その一方で、本発明者は、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが高くなるほど、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下が顕著になることを見出した。
ここで、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下に対するインバータからモータに供給される指令電圧の影響につき、添付図面を参照しながら、以下に詳しく説明する。図6は、前述のように、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下に対するインバータへの入力電圧であるシステム電圧VHの影響を説明する模式図である。図2を参照しながら前述したように、インバータの上アーム及び下アームのデューティ比においては、デッドタイムを設けることにより、目標出力電圧に基づいて算出される指令デューティ比と、実際に上アーム及び下アームがオン/オフされるときのデューティ比(実デューティ比)との間に差異が生ずる。
上記において、図6(1)に示すように、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが低い場合は、デッドタイムを設けることにより指令デューティ比と実デューティ比との間に生ずる差異(図6における斜線部)は小さい。一方、図6(2)に示すように、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが高い場合は、デッドタイムを設けることにより指令デューティ比と実デューティ比との間に生ずる差異(図6における斜線部)は大きい。このように、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが高くなるほど、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下が顕著になる。
従って、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行するには、インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHを、原点学習を実行する際の前記モータの回転数を達成するのに必要とされる最低電圧以上の電圧となるように制御するのみならず、上記のようなデッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下を考慮して、レゾルバの原点学習の精度が許容不可能な程度にまで低下する電圧には到達しないように制御することが望ましい。
即ち、本発明の第4の実施態様は、
本発明の前記第3の実施態様に係るモータ制御装置であって、
前記目標電圧値が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要電圧以上の電圧であって且つ所望の学習精度が得られる範囲内にある電圧である、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記目標電圧値が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要電圧以上の電圧であって且つ所望の学習精度が得られる範囲内にある電圧である。換言すれば、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHが、原点学習を実行する際の前記モータの回転数を達成するのに必要とされる最低電圧以上の電圧であって且つレゾルバの原点学習の精度が許容不可能な程度にまで低下する電圧未満の電圧となるように制御される。その結果、本実施態様に係るモータ制御装置によれば、更により高い精度でレゾルバの原点学習を実行することができる。
ところで、モータ制御装置におけるレゾルバの原点学習の精度は、上述したモータの回転数やインバータへの入力電圧であるシステム電圧VHのみならず、他の種々の要因によっても影響を受ける。従って、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行するには、学習精度に影響を及ぼす種々の要因を適切に制御して、より高い学習精度が得られる状況下で原点学習を実行することが望ましい。かかる要因の更なる一例としては、例えば、インバータのキャリア周波数を挙げることができる。この場合、インバータのキャリア周波数を適切な周波数となるように制御することにより、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行することができる。
即ち、本発明の第5の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第4の実施態様の何れか1つに係るモータ制御装置であって、
前記レゾルバの原点学習が許可される場合において、前記インバータのキャリア周波数の目標周波数を変更して前記インバータのキャリア周波数を当該目標周波数へと変更した状態で、前記レゾルバの原点学習を行う、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記インバータのキャリア周波数の目標周波数を変更して前記インバータのキャリア周波数を当該目標周波数へと変更した状態で、前記レゾルバの原点学習を行う。これにより、本実施態様に係るモータ制御装置においては、レゾルバの原点学習において所望の精度を達成することができる。
ここで、添付図面を参照しながら、本実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習について、より詳しく説明する。図7は、前述のように、本発明の更にもう1つの実施態様に係るモータ制御装置において実行されるレゾルバの原点学習における各種処理の流れを表すフローチャートである。図7に示すように、本実施態様に係るモータ制御装置においても、図4に示した本発明の1つの実施態様に係るモータ制御装置と同様に、レゾルバの原点学習を実行するルーチンが開始されると、先ず、ステップS110において、学習許可判定が行われる。
上記ステップS110における学習許可判定は、図4に示した実施態様に係るモータ制御装置と同様に、モータの回転数が予め定められた範囲内にあり且つモータに対する要求トルクが0(ゼロ)である(トルク指令が0(ゼロ)である)か否かに基づいて行われる。上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足されない(学習を許可しない)と判定される場合(ステップS110=No)、当該ルーチンは終了される。
一方、上記ステップS110において、レゾルバの原点学習を許可するための条件が満足される(学習を許可する)と判定される場合(ステップS110=Yes)、次のステップS140においてインバータへの入力電圧であるシステム電圧VHの目標電圧値が変更され、ステップS145においてシステム電圧VHが操作され、上記ステップS140において変更された目標電圧値にシステム電圧VHが到達するように制御される。上記に加えて、本実施態様に係るモータ制御装置においては、ステップS150においてインバータのキャリア周波数の目標周波数を変更し、ステップS155においてインバータのキャリア周波数が当該目標周波数に到達するように制御される。
斯くしてシステム電圧VH及びキャリア周波数がそれぞれの目標値に到達したら、次のステップS180においてレゾルバの原点学習が高い精度にて実行される。これにより、本実施態様に係るモータ制御装置においては、より一層高い精度にてレゾルバの原点学習を実行することができる。
ところで、本発明者は、インバータのキャリア周波数が高くなるほど、回転子の電気角の1周期に含まれるデッドタイムの数が増えることから、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下は、インバータのキャリア周波数が高くなるほど顕著になることを見出した。
ここで、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下に対するインバータのキャリア周波数の影響につき、添付図面を参照しながら、以下に詳しく説明する。図8は、前述のように、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下に対するインバータのキャリア周波数の影響を説明する模式図である。図2を参照しながら前述したように、インバータの上アーム及び下アームのデューティ比においては、デッドタイムを設けることにより、目標出力電圧に基づいて算出される指令デューティ比と、実際に上アーム及び下アームがオン/オフされるときのデューティ比(実デューティ比)との間に差異が生ずる。
上記において、図8(1)に示すように、インバータのキャリア周波数が低い場合は、回転子の電気角の1周期に含まれるデッドタイム(図8における斜線部)の数が少なく、デッドタイムを設けることにより指令デューティ比と実デューティ比との間に生ずる差異は小さい。一方、図8(2)に示すように、インバータのキャリア周波数が高い場合は、回転子の電気角の1周期に含まれるデッドタイム(図8における斜線部)の数が多く、デッドタイムを設けることにより指令デューティ比と実デューティ比との間に生ずる差異が大きい。このように、インバータのキャリア周波数が高くなるほど、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下が顕著になる。
従って、より高い精度でレゾルバの原点学習を実行するには、インバータのキャリア周波数を、原点学習を実行する際の前記モータの回転数を達成するのに必要とされる最低周波数以上の周波数となるように制御するのみならず、上記のようなデッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下を考慮して、レゾルバの原点学習の精度が許容不可能な程度にまで低下する周波数には到達しないように制御することが望ましい。より好ましくは、例えば、レゾルバの原点学習を実行しようとする際のモータの回転数に対応する必要最低限の周波数となるように、インバータのキャリア周波数を制御することが望ましい。
即ち、本発明の第6の実施態様は、
本発明の前記第5の実施態様に係るモータ制御装置であって、
前記目標周波数が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要周波数の範囲内で最も低い周波数である、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記目標周波数が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要周波数の範囲内で最も低い周波数である。換言すれば、本実施態様に係るモータ制御装置においては、インバータのキャリア周波数が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数を達成するのに必要とされる最低周波数以上の周波数であって且つレゾルバの原点学習の精度が許容不可能な程度にまで低下する周波数未満の周波数となるように制御される。その結果、本実施態様に係るモータ制御装置によれば、より一層高い精度でレゾルバの原点学習を実行することができる。
ところで、上述のように、本発明の種々の実施態様のうちの幾つかにおいては、インバータのキャリア周波数を制御して、デッドタイムを設けることに起因するレゾルバの原点学習の精度の低下を抑制する。しかしながら、インバータのキャリア周波数を急激に変化させると、例えば、インバータやモータ等から発生する騒音や振動等の問題に繋がる虞がある。
かかる問題を回避又は抑制するための方策としては、インバータのキャリア周波数を変化させる際に、例えば、キャリア周波数の変化率をできるだけ小さくしたり、あるいはキャリア周波数を単調増加又は単調減少させるのではなくキャリア周波数をランダムに変化させながら目標周波数へと到達させることが挙げられる。
即ち、本発明の第7の実施態様は、
本発明の前記第5又は前記第6の実施態様の何れか1つに係るモータ制御装置であって、
前記インバータのキャリア周波数の目標周波数を変更して前記インバータのキャリア周波数を当該目標周波数へと変更する際に、キャリア周波数を単調増加又は単調減少させるのではなく、キャリア周波数をランダムに変化させながら当該目標周波数へと変更する、
モータ制御装置である。
上記のように、本実施態様に係るモータ制御装置においては、前記インバータのキャリア周波数の目標周波数を変更して前記インバータのキャリア周波数を当該目標周波数へと変更する際に、キャリア周波数を単調増加又は単調減少させるのではなく、キャリア周波数をランダムに変化させながら当該目標周波数へと変更する。これにより、本実施態様に係るモータ制御装置においては、インバータのキャリア周波数を目標周波数へと変化させる際に、例えば、インバータやモータ等から騒音や振動が発生する問題を抑制しつつ、より一層高い精度でレゾルバの原点学習を実行することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成及び実行手順の組み合わせを有する幾つかの実施例について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができる。

Claims (7)

  1. レゾルバによって検出されるモータの回転子の回転角度に基づき、スイッチング素子を備えるインバータから前記モータへの指令電圧の電圧値及び位相を制御することにより、前記モータの回転を制御するモータ制御装置であって、
    前記モータが回転しており且つ前記モータに対する要求トルクが0(ゼロ)である場合に前記レゾルバの原点学習を行うモータ制御装置において、
    前記インバータの上アーム及び下アームの電気的導通が同時に遮断される期間であるデットタイムを設ける場合に、前記モータの回転数が予め定められた範囲内にある状態においてのみ、前記レゾルバの原点学習を許可し、
    前記予め定められた範囲の下限は、dq座標におけるトルク電圧Vqが小さくなり、レゾルバのオフセットに対する感度が低くなることに伴うレゾルバの原点学習の精度の低下が許容範囲に収まる範疇における最小値として定められ、前記予め定められた範囲の上限は、回転の1周期当たりにデッドタイムが占める割合が高くなることに伴うレゾルバの原点学習の精度の低下が許容範囲に収まる範疇における最大値として定められる、
    モータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置であって、
    前記レゾルバの原点学習が許可される場合において、前記インバータへの入力電圧であるシステム電圧VHの目標電圧値を変更して前記システム電圧VHを当該目標電圧値へと変更した状態で、前記レゾルバの原点学習を行う、
    モータ制御装置。
  3. 請求項2に記載のモータ制御装置であって、
    前記目標電圧値が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要電圧以上の電圧である、
    モータ制御装置。
  4. 請求項3に記載のモータ制御装置であって、
    前記目標電圧値が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要電圧以上の電圧であって且つ所望の学習精度が得られる範囲内にある電圧である、
    モータ制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載のモータ制御装置であって、
    前記レゾルバの原点学習が許可される場合において、前記インバータのキャリア周波数の目標周波数を変更して前記インバータのキャリア周波数を当該目標周波数へと変更した状態で、前記レゾルバの原点学習を行う、
    モータ制御装置。
  6. 請求項5に記載のモータ制御装置であって、
    前記目標周波数が、原点学習を実行する際の前記モータの回転数に対応する必要周波数の範囲内で最も低い周波数である、
    モータ制御装置。
  7. 請求項5又は6の何れか1項に記載のモータ制御装置であって、
    前記インバータのキャリア周波数の目標周波数を変更して前記インバータのキャリア周波数を当該目標周波数へと変更する際に、キャリア周波数を単調増加又は単調減少させるのではなく、キャリア周波数をランダムに変化させながら当該目標周波数へと変更する、
    モータ制御装置。
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