JP5862440B2 - 差動増幅回路 - Google Patents

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Description

本発明は、差動増幅回路に関するものである。
光通信において使用される光受信モジュールでは、入力される入力信号を差増増幅する差動増幅回路が用いられる。この差動増幅回路を用いた構成としては、下記特許文献1〜3に記載のものがある。
下記の特許文献1には、カップリングコンデンサを介して入力される入力信号を差動増幅する差動増幅部を備える半導体差動増幅器であって、差動増幅部から出力される差動出力信号より所定の低域カットオフ周波数以下の電圧を検出する低域通過フィルタと、その低域通過フィルタから出力される電圧に応じて差動増幅部の入力直流バイアスを調整するバイアス調整回路とを有するオフセット補償回路をさらに備える半導体差動増幅器が記載されている。
下記の特許文献2には、電流信号を電圧信号に変換する前置増幅回路であって、差動対で構成された増幅部を有する差動型増幅器と、電流信号が差動型増幅器に入力される前に、電流信号の一部をバイパス電流としてバイパスさせるバイパス回路と、を備える前置増幅回路が記載されている。このバイパス回路は、所定の大きさを越える電流信号があった場合、回路の飽和を防ぐために、電流信号の一部をバイパス電流としてバイパスさせる。また、差動型増幅器により、消費電流を一定に保ちつつ、大きい電流信号の入力があった場合に利得を下げ、回路の発振を防止する。
下記の特許文献3には、受光素子によって生成された電流信号が片側の入力端子に入力される差動増幅器と、差動増幅器のもう一方の入力端子に接続され差動増幅器の閾値電圧を発生させる閾値電圧発生器と、差動増幅器と閾値電圧発生器との間に接続され、2つ以上の異なった時定数をもつ多重フィルタ回路とを備える前置増幅器が記載されている。
特開平7−240640号公報 特開平11−349571号公報 特開2010−136169号公報
ところで、光通信分野において広く用いられる差動増幅回路および差動トランスインピーダンスアンプ(TIA:Transimpedance Amplifier)において、低域カットオフ周波数付近の低い周波数帯域(〜100kHz)で、数dB程度のピーキングが見られることが知られている。これは、これらの回路中に用いられているヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)などのバイポーラトランジスタ(BJT:Bipolar Junction Transistor)の自己発熱に起因する。このような利得の非平坦性は、回路の性能を損ない、感度向上の妨げになる。
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、周波数特性の非平坦性を低減する構造を有する差動増幅回路を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る差動増幅回路は、単相信号を差動信号に変換する差動増幅部と、差動利得の周波数特性を補償するための第1フィルタ回路と、を備え、差動増幅部は、所定の周波数よりも低い周波数において、自己発熱によって伝達特性が変化する第1トランジスタおよび第2トランジスタと、第1定電流回路とを有し、第1トランジスタは、単相信号が入力される第1端子と、差動信号のうちの一方の信号を出力する第2端子と、第1定電流回路に接続される第3端子とを有し、第2トランジスタは、第1フィルタ回路を介してバイアス信号が入力される第4端子と、差動信号のうちの他方の信号を出力する第5端子と、第3端子および第1定電流回路に接続される第6端子とを有し、第1フィルタ回路のカットオフ周波数は、所定の周波数よりも低い周波数に設定されることを特徴とする。
このような差動増幅回路によれば、所定の周波数よりも低い周波数において、自己発熱により第1トランジスタおよび第2トランジスタの伝達特性は変化し、その利得が増加する。この第1トランジスタおよび第2トランジスタの利得の増加により、差動増幅回路の差動利得が増加する。このため、所定の周波数よりも低い周波数において、差動増幅回路の差動利得が増加し、周波数特性の平坦性が損なわれて非平坦になる。一方、第1フィルタ回路により、低周波数帯域における差動利得が低減される。この第1フィルタ回路のカットオフ周波数が第1トランジスタおよび第2トランジスタの伝達特性の変化が生じる周波数に設定されることにより、第1トランジスタおよび第2トランジスタの自己発熱による差動利得の増加が抑制される。このため、差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
第1フィルタ回路は、抵抗器とコンデンサとを有し、抵抗器の一端は第1フィルタ回路の入力端子に接続され、抵抗器の他端はコンデンサの一端と共通に接続され、第1フィルタ回路の出力端子を介して第4端子に接続され、コンデンサの他端は接地され、第1フィルタ回路は、入力端子に基準信号が入力されると、出力端子を介して第4端子にバイアス信号を出力してもよい。この場合、第1フィルタ回路では、高周波数帯域においてコンデンサが交流的にショートとみなされる。このため、差動増幅回路の差動利得は、低周波数帯域において減少され、高周波数帯域においては減少されない。その結果、全体の利得を下げることなく、低周波数帯域における差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
差動利得の低域特性を決定するための第2フィルタ回路をさらに備え、第2フィルタ回路は、第1フィルタ回路に基準信号を出力してもよい。この場合、第2フィルタ回路によって、差動増幅回路の差動利得の低域特性が決定される。
第1フィルタ回路のカットオフ周波数は、第2フィルタ回路のカットオフ周波数よりも高くてもよい。この場合、第1フィルタ回路は、第2フィルタ回路のカットオフ周波数よりも高い周波数において、第1トランジスタおよび第2トランジスタの自己発熱による差動利得の増加を抑制できる。
第1フィルタ回路と第2フィルタ回路との間に設けられたバッファ回路をさらに備えてもよい。この場合、オフセット補償回路などの回路と差動増幅部とをバッファ回路を介して接続できる。
第2定電流回路をさらに備え、バッファ回路は、抵抗器を介して第2定電流回路に接続され、第4端子は、第2定電流回路に接続されてもよい。また、バッファ回路は、第3トランジスタから構成されるエミッタフォロワ回路であり、抵抗器の一端は、第3トランジスタのエミッタ端子に接続されてもよい。この場合、バッファ回路がエミッタフォロワ回路であることから、出力インピーダンスを低減できる。このため、信号レベルを減衰することなく、オフセット補償回路などの回路と差動増幅部とを接続できる。
第2フィルタ回路は、差動信号に基づいて生成された基準信号を、バッファ回路を介して第1フィルタ回路に出力してもよい。この場合、差動信号に基づいて生成された基準信号を第1フィルタ回路に出力することによって、差動増幅部をフィードバック制御できる。
第1定電流回路は、第2トランジスタと同じプロセスで作製された第トランジスタを含んでもよい。この第トランジスタは、第トランジスタのベース端子に定電流が供給されることにより、第3端子および第6端子に電流を供給してもよい。この場合、プロセスばらつきによる第2トランジスタの電流利得の変動に伴って第トランジスタの電流利得も変動する。このため、第2トランジスタの電流利得の変動による差動利得の周波数特性の補償量の変動と、第トランジスタの電流利得の変動による差動利得の周波数特性の補償量の変動とが相殺するので、差動利得の周波数特性の補償量の変動を抑制できる。その結果、差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
第1定電流回路は、基準電位を発生する基準電位発生回路と、抵抗器と同じプロセスで作製された基準抵抗器と、基準電位と基準抵抗器とに基づいて生成された定電流が供給されることにより、第3端子および第6端子に電流を供給する第トランジスタと、を含んでもよい。この場合、プロセスばらつきによる抵抗器の抵抗値の変動に伴って基準抵抗器の抵抗値も変動する。このため、抵抗器の抵抗値の変動による差動利得の周波数特性の補償量の変動と、基準抵抗器の抵抗値の変動による差動利得の周波数特性の補償量の変動とが相殺するので、第1フィルタ回路による差動利得の周波数特性の補償量の変動を抑制できる。その結果、差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
第1トランジスタおよび第2トランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタであってもよい。この場合、第1トランジスタおよび第2トランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタであるため、自己発熱により低周波数帯域において伝達特性が変化し、利得が増加する。この第1トランジスタおよび第2トランジスタの利得の増加により、差動増幅回路の差動利得が増加する。一方、第1フィルタ回路によって、低周波数帯域における差動利得が低減される。このため、第1トランジスタおよび第2トランジスタの自己発熱による差動利得の増加が、第1フィルタ回路によって抑えられる。その結果、低周波数帯域における差動利得の非平坦性を低減することが可能となる。
第1端子および第4端子はベース端子であり、第2端子および第5端子はコレクタ端子であり、第3端子および第6端子はエミッタ端子であってもよい。
本発明によれば、差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することができる。
第1実施形態に係る差動増幅回路の概略構成図である。 ヘテロ接合バイポーラトランジスタの周波数特性を示す図である。 ヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース電位−コレクタ電流特性(以下、「Vb−Ic特性」という。)を示す図である。 図1の差動増幅回路の周波数特性を示す図である。 (a)は図1の差動増幅回路の適用例を示す図、(b)は図1の差動増幅回路の他の適用例を示す図である。 図1の差動増幅回路および比較例の差動増幅回路の周波数特性を示す図である。 第2実施形態に係る差動増幅回路の概略構成図である。 第3実施形態に係る差動増幅回路の概略構成図である。 図8の差動増幅回路の第1変形例の概略構成図である。 図8の差動増幅回路の第2変形例の概略構成図である。 (a)は図1の差動増幅回路の周波数特性を示す図、(b)は図7および図8の差動増幅回路の周波数特性を示す図である。 (a)は図1の差動増幅回路の周波数特性を示す図、(b)は図8の差動増幅回路の周波数特性を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る差動増幅回路の構成概略図である。図1に示されるように、差動増幅回路1は、単相信号を差動信号に変換するための回路であって、差動増幅部2と、利得補償部3とを備えている。この差動増幅回路1は、例えば光通信において使用される光受信モジュールに設けられ、受信した光信号に基づいて生成された入力信号(単相信号)を差動信号に変換する。
差動増幅部2は、単相信号を差動信号に変換する部分であって、第1トランジスタ21と、第2トランジスタ22と、第1定電流回路23と、第1負荷抵抗器24と、第2負荷抵抗器25とを有する。第1トランジスタ21および第2トランジスタ22は、バイポーラトランジスタであって、例えばNPN型のヘテロ接合バイポーラトランジスタである。第1トランジスタ21は、単相信号が入力されるベース端子21b(第1端子)と、差動信号のうちの一方の信号を出力するコレクタ端子21c(第2端子)と、第1定電流回路23に接続されるエミッタ端子21e(第3端子)とを有する。第2トランジスタ22は、バイアス信号SBが入力されるベース端子22b(第4端子)と、差動信号のうちの他方の信号を出力するコレクタ端子22c(第5端子)と、エミッタ端子21eおよび第1定電流回路23に接続されるエミッタ端子22e(第6端子)とを有する。
第1定電流回路23は、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22に流れる電流の和を一定にするように第1トランジスタ21および第2トランジスタ22に電流を生成するための回路であって、その一端がエミッタ端子21eおよびエミッタ端子22eに接続され、他端が接地されている。このように、第1トランジスタ21のエミッタ端子21eと第2トランジスタ22のエミッタ端子22eとは、共通に接続され、第1定電流回路23を介して接地されている。第1負荷抵抗器24は、一端が第1トランジスタ21のコレクタ端子21cに接続され、他端が電源Vccに接続されている。第2負荷抵抗器25は、一端が第2トランジスタ22のコレクタ端子22cに接続され、他端が電源Vccに接続されている。
ここで、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの周波数特性について説明する。図2は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの周波数特性を示す図である。図2に示されるように、20MHz〜1GHzの高周波数帯域では、利得はほぼ一定である。しかし、10MHz以下の低周波数帯域では、周波数減少とともに利得が増大する。このように、ヘテロ接合バイポーラトランジスタは、高周波数帯域では平坦な周波数特性を示し、低周波数帯域では非平坦な周波数特性を示す。言い換えると、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの周波数特性は、低周波数帯域において、平坦部よりも利得が高い非平坦部を有する。以下の説明において、周波数特性において周波数減少とともに利得が増大し始める周波数を利得上昇開始周波数という。
図3は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのVb−Ic特性(伝達特性)を示す図である。曲線S1は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの温度がT℃である場合のVb−Ic特性を示す。曲線S2は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの温度がT+ΔT℃である場合のVb−Ic特性を示す。曲線S3は、曲線S1と曲線S2の中間のVb−Ic特性を示す。ヘテロ接合バイポーラトランジスタの自己発熱を考慮しない場合、デバイス温度はT℃で一定である。この場合、所定のバイアス電圧Vopでヘテロ接合バイポーラトランジスタを駆動すると、そのVb−Ic特性は曲線S1によって示される特性を示す。したがって、伝達コンダクタンスgm(c)(=dIc/dVb)は、近似的に動作点における曲線S1の傾きで与えられる。
ヘテロ接合バイポーラトランジスタの自己発熱を考慮する場合、バイアス電圧Vopから信号電圧の増加に伴って動作電流が増加し、デバイス温度がΔT℃上昇する。その結果、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのVb−Ic特性は、曲線S2によって示される特性を示す。この場合、伝達コンダクタンスgm(lf)は、バイアス電圧Vopに対応する曲線S1上の点と、バイアス電圧Vopに信号電圧を加えた電圧に対応する曲線S2上の点とを結んだ直線の傾きで与えられる。そして、信号の周波数が大きくなるに従い、熱の増減が信号周波数に追随できなくなり、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのVb−Ic特性は、曲線S3によって示される特性を示す。そして、伝達コンダクタンスgm(hf)は、曲線S3の傾きで与えられる。
この熱の増減が信号周波数に追随できなくなる周波数は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの熱抵抗値と熱容量値によって規定され、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの周波数特性における利得上昇開始周波数に一致する。すなわち、利得上昇開始周波数以下の周波数では、自己発熱によってVb−Ic特性は変化し、利得上昇開始周波数より大きい周波数では、自己発熱によらずVb−Ic特性は一定である。以上のように、低周波数帯域におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの伝達コンダクタンスgm(lf)は、高周波数帯域における伝達コンダクタンスgm(hf)よりも大きい。このため、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの利得は、低周波数帯域において増加する。
このような周波数特性を示す第1トランジスタ21および第2トランジスタ22を含んで構成される差動増幅部2は、同様に低周波数帯域において非平坦な周波数特性を示す。そこで、後述の利得補償部3によって、差動増幅部2の差動利得の周波数特性を補償する。
図1に戻って、差動増幅回路1の説明を続ける。利得補償部3は、差動利得の周波数特性を補償する部分であって、第1フィルタ回路5を備える。第1フィルタ回路5は、差動利得の周波数特性を補償するための回路であって、抵抗器51とコンデンサ52とを有する。抵抗器51の一端は、第1フィルタ回路5の入力端子に相当する。抵抗器51の他端およびコンデンサ52の一端は共通に接続されており、第1フィルタ回路5の出力端子として第2トランジスタ22のベース端子22bに接続される。コンデンサ52の他端は接地される。このように構成された第1フィルタ回路5は、入力端子にバイアス信号SBのための基準信号が入力されると、出力端子からベース端子22bにバイアス信号SBを出力する。
第1フィルタ回路5のカットオフ周波数(遮断周波数)fc1は、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱によって第1トランジスタ21および第2トランジスタ22のVb−Ic特性が変化する周波数に設定される。すなわち、第1フィルタ回路5のカットオフ周波数fc1は、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱によって第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の利得が増加する周波数に設定される。第1フィルタ回路5のカットオフ周波数fc1は、例えば、利得上昇開始周波数と同じ周波数に設定される。このカットオフ周波数fc1を設定するために、抵抗器51の抵抗値R1およびコンデンサ52の容量値C1が決定される。抵抗器51の抵抗値R1およびコンデンサ52の容量値C1の決定方法については、後述する。
利得補償部3は、第2フィルタ回路6をさらに備えている。第2フィルタ回路6は、差動増幅部2の出力入力間に挿入され、差動利得の低域特性を決定するための回路であって、抵抗器61とコンデンサ62とを有する。抵抗器61の一端は、第2フィルタ回路6の入力端子に相当する。抵抗器61の他端およびコンデンサ62の一端は共通に接続されており、第2フィルタ回路6の出力端子に相当する。コンデンサ62の他端は接地される。このように構成された第2フィルタ回路6は、不図示のオフセット補償回路によって出力された基準信号が入力端子に入力されると、基準信号の高周波数帯域をカットし、高周波数帯域がカットされた基準信号を出力端子を介して第1フィルタ回路5に出力する。ここで、第2フィルタ回路6の時定数は、第1フィルタ回路5の時定数よりも大きい。すなわち、第2フィルタ回路6のカットオフ周波数fc2は、第1フィルタ回路5のカットオフ周波数fc1よりも低い周波数である。
利得補償部3は、バッファ回路7および第2定電流回路8をさらに備えている。バッファ回路7は、例えばNPN型トランジスタ(第3トランジスタ)により構成されるエミッタフォロワ回路である。バッファ回路7のベース端子7bは、第2フィルタ回路6の出力端子に接続され、第2フィルタ回路6によって高周波数帯域がカットされた基準信号を入力する。バッファ回路7のコレクタ端子7cは、電源Vccに接続される。バッファ回路7のエミッタ端子7eは、第1フィルタ回路5の入力端子に接続され、ベース端子7bに入力された基準信号を出力する。第2定電流回路8の一端は、抵抗器51の他端、コンデンサ52の一端および第2トランジスタ22のベース端子22bに接続される。第2定電流回路8の他端は、接地される。すなわち、バッファ回路7のエミッタ端子7eは、抵抗器51の一端に接続され、抵抗器51を介して第2定電流回路8に接続されている。このように構成されたバッファ回路7によって、第2フィルタ回路6の出力インピーダンスが低減される。このため、基準信号の信号レベルを減衰することなく、オフセット補償回路などの出力インピーダンスが高い回路と差動増幅部2とを接続することが可能となる。
ここで、抵抗器51の抵抗値R1およびコンデンサ52の容量値C1の決定方法について説明する。まず、コンデンサ52を設けない場合、すなわち、抵抗器51による利得減少に周波数依存性がない場合を考える。この場合、差動増幅回路1の周波数特性として、図2に示されたヘテロ接合バイポーラトランジスタ単体のS21の周波数特性と同様の周波数特性が測定される。この特性において、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱による利得の上昇が生じる低周波数帯域での利得Glfと、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22が応答可能で、かつ、自己発熱による利得の上昇がほとんど見られない高周波数帯域での利得Ghfを取得する。図2に示された周波数特性では、低周波数帯域での利得Glfは18.6dB、高周波数帯域での利得Ghfは17.75db程度である。
この両者の比(dB単位であるので、両者の差)は、高周波数帯域における伝達コンダクタンスgm、抵抗器51の抵抗値R1、およびトランジスタの電流利得β(=Ic/Ib)によって定まる。すなわち、以下の式(1)により、利得減少分を見積もることができる。
Ghf-Glf=ΔVb2/ΔVb1=(gm/β)*R1…(1)
次に、上記式(1)により決定した抵抗値R1に対して、カットオフ周波数fc1(=1/(2π×R1×C1))と利得上昇開始周波数(図2に示された周波数特性では、2〜4MHz程度)とが等しくなるようにコンデンサ52の容量値C1を決定する。例えば、抵抗値R1を400Ω、カットオフ周波数fc1を2MHzとした場合、容量値C1は200pFとなる。
図4は、コンデンサ52の容量値C1に対する差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す図である。グラフG50は、抵抗器51の抵抗値R1を400Ω、コンデンサ52の容量値C1を50pFとした場合の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフG100は、抵抗器51の抵抗値R1を400Ω、コンデンサ52の容量値C1を100pFとした場合の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフG200は、抵抗器51の抵抗値R1を400Ω、コンデンサ52の容量値C1を200pFとした場合の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフG300は、抵抗器51の抵抗値R1を400Ω、コンデンサ52の容量値C1を300pFとした場合の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。
図4に示されるように、容量値C1が小さいほどカットオフ周波数fc1が大きくなるため、より高周波数の領域で第1フィルタ回路5による利得の低下が開始する。例えば、容量値C1を50pFとした場合には、0.1MHz近傍において第1フィルタ回路5による利得の低下と第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱による利得の上昇とが釣り合う。したがって、容量値C1を50pFとした場合には、カットオフ周波数fc1と0.1MHzとの間において、過補償となり、差動利得の周波数特性にディップが生じる。
一方、容量値C1が大きいほどカットオフ周波数fc1が小さくなるため、より低周波数の領域で第1フィルタ回路5による利得の低下が開始する。例えば、容量値C1を300pFとした場合には、1MHzより低い周波数において第1フィルタ回路5による利得の低下が開始する。したがって、1MHz近傍では補償不足により差動利得の周波数特性にピークが生じる。容量値C1を200pFとした場合には、第1フィルタ回路5による利得の低下と第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱による利得の上昇とが相殺し、周波数特性の非平坦性が抑制される。
次に、図1を参照して、差動増幅回路1の動作を説明する。まず、低周波数帯域における動作を説明する。第1トランジスタ21のベース端子21bに単相信号が入力されると、第1トランジスタ21のベース電位Vb1が増加して、第1トランジスタ21のエミッタ電位Ve1が上昇する。第1トランジスタ21のエミッタ端子21eと第2トランジスタ22のエミッタ端子22eとは共通に接続されているため、第1トランジスタ21のエミッタ電位Ve1と第2トランジスタ22のエミッタ電位Ve2とは等しい。したがって、第1トランジスタ21のエミッタ電位Ve1が上昇すると、第2トランジスタ22のエミッタ電位Ve2も上昇するので、第2トランジスタ22のベース−エミッタ間電位Vbe2が小さくなる。ベース−エミッタ間電位Vbe2が小さくなると、第2トランジスタ22のベース電流Ib2が減少する。このベース電流Ib2は抵抗器51を流れるので、抵抗器51における電位降下は、ベース電流Ib2の減少分だけ小さくなる。これによって、第2トランジスタ22のベース電位Vb2が上昇する。このように、第2トランジスタ22のベース電位Vb2の変化は、第1トランジスタ21のベース電位Vb1の変化と同相で起こるため、差動増幅部2の差動利得は下がる。
一方、高周波数帯域では、コンデンサ52が交流的にショートとみなされる。このため、ベース電流Ib2はコンデンサ52を流れ、抵抗器51における電位降下を無視できるので、第2トランジスタ22のベース電位Vb2は一定となる。したがって、高周波数帯域では、差動増幅部2の差動利得の低下は起こらない。以上のように、差動増幅回路1では、全体として利得を下げることなく、低周波数帯域における利得の非平坦部(ピーキング)のみを補償することが可能となる。
次に、差動増幅回路1の適用例について説明する。図5の(a)は差動増幅回路1の適用例を示す図、(b)は差動増幅回路1の他の適用例を示す図である。図5の(a)に示されるように、差動TIA10Aは、トランスインピーダンスアンプ11と、帰還抵抗器12と、差動増幅部2と、第2差動増幅部13と、オフセット補償回路15Aと、利得補償部3とを備える。帰還抵抗器12の一端は、トランスインピーダンスアンプ11の入力端子に接続され、帰還抵抗器12の他端は、トランスインピーダンスアンプ11の出力端子に接続される。トランスインピーダンスアンプ11の出力端子は、差動増幅部2の一方の入力端子(ベース端子21b)に接続される。
差動増幅部2の一方の出力端子(コレクタ端子21c)は、第2差動増幅部13の一方の入力端子に接続され、差動増幅部2の他方の出力端子(コレクタ端子22c)は、第2差動増幅部13の他方の入力端子に接続される。さらに、第2差動増幅部13の一方の出力端子は、オフセット補償回路15Aの一方の入力端子に接続され、第2差動増幅部13の他方の出力端子は、オフセット補償回路15Aの他方の入力端子に接続される。オフセット補償回路15Aの出力端子は、利得補償部3を介して差動増幅部2の他方の入力端子(ベース端子22b)に接続される。ここで、オフセット補償回路15Aは、差動増幅部2の差動出力信号に基づいて、差動増幅部2のバイアス信号SBのための基準信号を生成し、基準信号を出力するフィードバック回路である。
また、図5の(b)に示されるように、差動TIA10Bは、トランスインピーダンスアンプ11と、帰還抵抗器12と、差動増幅部2と、オフセット補償回路15Bと、定電流回路16と、基準電位発生回路17と、利得補償部3とを備える。帰還抵抗器12の一端は、トランスインピーダンスアンプ11の入力端子に接続され、帰還抵抗器12の他端は、トランスインピーダンスアンプ11の出力端子に接続される。トランスインピーダンスアンプ11の出力端子は、差動増幅部2の一方の入力端子(ベース端子21b)に接続される。オフセット補償回路15Bの出力によって制御される定電流回路16の一端は、トランスインピーダンスアンプ11の入力端子に接続され、定電流回路16の他端は接地される。基準電位発生回路17の出力端子は、利得補償部3を介して差動増幅部2の他方の入力端子(ベース端子22b)に接続される。この基準電位発生回路17と利得補償部3とによって、ダミーTIA部が構成される。
従来は抵抗器とコンデンサとの並列回路からなるイコライザを高速線路中に配置する構成により、低周波数帯域における利得の非平坦性を補償していた。しかし、コンデンサの容量値が大きいため、イコライザをチップ内部に作り込むことは困難であった。また、イコライザを差動増幅回路の外側に配置する場合、後段と繋がる部分の加工および実装が必要になるため、汎用性に乏しい。これに対し、差動増幅回路1を適用した差動TIA10Aおよび差動TIA10Bでは、差動増幅部2の他方の入力端子(ベース端子22b)に利得補償部3を追加するだけの簡単な構成によって、低周波数帯域における利得の非平坦性を補償している。このように、利得補償部3は、高速線路外に実装されるので、柔軟な配置が可能となる。
次に、差動増幅回路1の差動利得の周波数特性について説明する。図6は、差動増幅回路1および比較例の差動増幅回路100の差動利得の周波数特性を示す図である。グラフG1は、差動増幅回路100の差動利得の周波数特性を示す。グラフG2は、差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。ここで、差動増幅回路100は、差動増幅回路1から利得補償部3を除いた構成を有する。このグラフG1およびグラフG2によって示される差動利得の周波数特性は、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱を考慮したモデルを用いたシミュレーションにより得られた結果である。また、抵抗器51の抵抗値R1を400Ω、コンデンサ52の容量値C1を200pFとしてシミュレーションを行った。
図6に示されるように、差動増幅回路100は、10MHz〜1GHzの高周波数帯域において略一定(62.7dB程度)の差動利得を有し、40kHz〜4MHzの低周波数帯域において、高周波数帯域での差動利得よりも高い差動利得を有している。低周波数帯域での差動利得のピークは、64dB程度である。このように、差動増幅回路100の差動利得の周波数特性は、平坦性が損なわれている。一方、差動増幅回路1は、100kHz〜1GHzに亘って略一定(62.7dB程度)の差動利得を有している。このように、差動増幅回路1では、低周波数帯域において、利得補償部3によって差動利得が低減され、かつ、高周波数帯域において、利得補償部3を有しない差動増幅回路100と同等の差動利得が得られる。すなわち、差動増幅回路1の差動利得の周波数特性は、平坦性を有している。
上述したような差動増幅回路1によれば、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱によってVb−Ic特性の変化が生じる周波数に、第1フィルタ回路5のカットオフ周波数fc1が設定されることにより、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22の自己発熱による差動利得の増加が抑制される。すなわち、第1フィルタ回路5は、高周波数帯域においてコンデンサ52が交流的にショートとみなされるため、低周波数帯域ではベース電位Vb1の上昇に伴ってベース電位Vb2を高くすることができ、高周波数帯域ではベース電位Vb1によらずベース電位Vb2を一定とすることができる。このため、差動増幅回路1の差動利得は、低周波数帯域において減少され、高周波数帯域においては減少されない。その結果、全体の利得を下げることなく、かつ、高速線路中へ素子などを追加することなく、低周波数帯域における差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
また、バッファ回路7を第1フィルタ回路5と第2フィルタ回路6との間に設けることにより、基準信号と入力信号との間でバイアス変換を行うことができる。また、バッファ回路7は、エミッタフォロワ回路であることから、出力インピーダンスを低減できる。このため、信号レベルを減衰することなく、オフセット補償回路などの回路と差動増幅部2とを接続できる。
(第2実施形態)
第1実施形態の差動増幅回路1では、第1定電流回路23の電流値が常に一定である場合、上記式(1)に示されるように、低周波数帯域における差動利得の補償量は、抵抗器51の抵抗値R1、第2トランジスタ22の電流利得β、および高周波数帯域における伝達コンダクタンスgmによって決定される。このため、例えば、プロセス変動(「プロセスばらつき」ともいう。)によって電流利得βが設計値よりも高い場合の低周波数帯域における差動利得の補償量は、電流利得βが設計値である場合の低周波数帯域における差動利得の補償量(以下、「理想β補償量」という。)よりも減少する。したがって、低周波数帯域における差動利得は高周波数帯域における差動利得よりも大きくなる。また、プロセス変動によって電流利得βが設計値よりも低い場合の低周波数帯域における差動利得の補償量は、理想β補償量よりも増加するので、低周波数帯域における差動利得は高周波数帯域における差動利得よりも小さくなる。このように、電流利得βのばらつきにより、低周波数帯域における差動利得の補償量が理想β補償量とはならないことがある。そこで、この電流利得βのばらつきによる差動利得の補償量の変動を抑制可能な構成を以下に示す。
図7は、第2実施形態に係る差動増幅回路の構成概略図である。図7に示されるように、テイル電流源である第1定電流回路23の構成において、上述した第1実施形態の差動増幅回路1と相違している。すなわち、第2実施形態の差動増幅回路1では、第1定電流回路23は、定電流回路31と、電流源トランジスタ32(第トランジスタ)と、を備えている。
定電流回路31は、電流源トランジスタ32のベース電流Ibtを一定にするための回路であって、その一端が電源Vccに接続され、他端が電流源トランジスタ32のベース端子32bに接続されている。電流源トランジスタ32は、第1トランジスタ21および第2トランジスタ22と同じプロセスで作製されたバイポーラトランジスタであって、例えばNPN型のヘテロ接合バイポーラトランジスタである。この電流源トランジスタ32のベース端子32bは定電流回路31の他端に接続され、コレクタ端子32cは第1トランジスタ21のエミッタ端子21eおよび第2トランジスタ22のエミッタ端子22eに接続され、エミッタ端子32eは接地されている。
第2実施形態の差動増幅回路1では、定電流回路31は、電流源トランジスタ32のベース端子32bに定電流Irefをベース電流Ibtとして供給する。この場合、電流源トランジスタ32のコレクタ電流Ictは、電流源トランジスタ32の電流利得βを用いて以下の式(2)で表される。
Ict=βt×Ibt…(2)
式(2)に示されるように、ベース電流Ibtが一定であるので、コレクタ電流Ictは、電流利得βに比例する関数になる。また、第1トランジスタ21のコレクタ電流Ic1および第2トランジスタ22のコレクタ電流Ic2の和は、コレクタ電流Ictと等しくなる。したがって、以下の式(3)が成り立つ。
Ic1+Ic2=Ict…(3)
上記式(2)および式(3)によれば、コレクタ電流Ic1およびコレクタ電流Ic2の和は、以下の式(4)で表され、電流利得βに比例する関数になる。
Ic1+Ic2=βt×Ibt…(4)
ここで、入力信号の値が1の場合、コレクタ電流Ictの大部分は、第1トランジスタ21に流れるので、第2トランジスタ22のコレクタ電流Ic2は微少な値となる。しかし、コレクタ電流Ic1とコレクタ電流Ic2との比は電流利得βのプロセス変動の影響を受けないので、コレクタ電流Ic2は、微少であっても、電流源トランジスタ32の電流利得βに比例する。また、伝達コンダクタンスgmは、第2トランジスタ22のコレクタ電流Ic2および第2トランジスタ22のベースエミッタ間電圧Vbe2を用いて以下の式(5)によって表される。
gm=ΔIc2/ΔVbe2…(5)
ベースエミッタ間電圧Vbe2は一定の値であるので、式(5)によれば、伝達コンダクタンスgmは、コレクタ電流Ic2に比例することがわかる。上述のように、コレクタ電流Ic2は電流源トランジスタ32の電流利得βに比例するので、伝達コンダクタンスgmは電流利得βに比例する。また、第2トランジスタ22および電流源トランジスタ32は、同じプロセスで作製されていることから、電流利得βと電流利得βとは式(6)に示すように同程度である。
β2t…(6)
以上のことから、第2実施形態の差動増幅回路1では、低周波数帯域における差動利得の補償量は、電流利得βによらない値となる。すなわち、上記式(1)によれば、プロセス変動によって電流利得βが設計値よりも高い場合には、低周波数帯域における補償量が理想β補償量よりも減少する。一方、上記式(6)によれば、プロセス変動によって電流利得βが設計値よりも高い場合には、電流利得βは設計値よりも高くなる。このとき、上記式(1)、式(4)、式(5)、によれば、コレクタ電流Ictおよびコレクタ電流Ic2が増加し、伝達コンダクタンスgmが増加する。このため、低周波数帯域における差動利得の補償量は理想β補償量よりも増加する。その結果、電流利得βが設計値よりも高いことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の減少と、電流利得βが設計値よりも高いことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の増加とが相殺するので、電流利得βによる低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制することができる。
また、上記式(1)によれば、プロセス変動によって電流利得βが設計値よりも低い場合には、低周波数帯域における補償量が理想β補償量よりも増加する。一方、上記式(6)によれば、電流利得βが設計値よりも低い場合には、電流利得βは設計値よりも低くなる。このとき、上記式(1)、式(4)、式(5)によれば、コレクタ電流Ictおよびコレクタ電流Ic2が減少し、伝達コンダクタンスgmが減少する。このため、低周波数帯域における差動利得の補償量は理想β補償量よりも減少する。その結果、電流利得βが設計値よりも低いことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の増加と、電流利得βが設計値よりも低いことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の減少とが相殺するので、電流利得βによる低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制することができる。
一般的に、テイル電流回路をカレントミラー回路などによって構成した場合、トランジスタのコレクタ電流Ictが一定になるように回路設計を行う。すなわち、コレクタ電流Ictが一定になるように、ベース電流Ibtを変化させる。一方で、第2実施形態の差動増幅回路1では、第2トランジスタ22と同じプロセスで作製された電流源トランジスタ32を用いて第1定電流回路23が構成されている。そして、電流源トランジスタ32の駆動を電圧モードではなく、ベース電流Ibtによる電流モードで行っている。すなわち、電流源トランジスタ32のベース電流Ibtを一定に保つことにより、第1定電流回路23に電流利得β依存を持たせている。このため、プロセス変動によって第2トランジスタ22の電流利得βが変動したとしても、電流源トランジスタ32の電流利得βが電流利得βの変動と同じ傾向で変動するので、低周波数帯域における差動利得の補償量に対する電流利得βの変動の影響が低減される。その結果、第2実施形態の差動増幅回路1では、第2トランジスタ22の電流利得βのばらつきによる低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制可能となる。
(第3実施形態)
第1実施形態および第2実施形態の差動増幅回路1では、低周波数帯域において、抵抗器51を流れるベース電流Ib2によって、ベース電位Vb2がベース電位Vb1と同位相で差動増幅部2に与えられるので、結果として差動利得が低下される。しかしながら、ベース電位Vb2の大きさは、抵抗器51による電位降下量によって決定されるので、抵抗器51の抵抗値R1のばらつきにより差動利得の補償量が変動することがある。また、第1定電流回路23の電流値が常に一定である場合、上記式(1)に示されるように、低周波数帯域における差動利得の補償量は、抵抗器51の抵抗値R1、第2トランジスタ22の電流利得β、および高周波数帯域における伝達コンダクタンスgmによって決定される。
このため、例えば、プロセス変動によって抵抗値R1が設計値よりも大きい場合の低周波数帯域における差動利得の補償量は、抵抗値R1が設計値の場合の低周波数帯域における差動利得の補償量(以下、「理想R補償量」という。)よりも増加するので、低周波数帯域における差動利得は高周波数帯域における差動利得よりも小さくなる。また、プロセス変動によって抵抗値R1が設計値よりも小さい場合の低周波数帯域における差動利得の補償量は、理想R補償量よりも減少するので、低周波数帯域における差動利得は高周波数帯域における差動利得よりも大きくなる。このように、電流利得βのばらつきに加えて、さらに抵抗値R1のばらつきにより、低周波数帯域における差動利得の補償量が理想R補償量とはならないことがある。そこで、この抵抗値R1のばらつき、および、電流利得βのばらつきによる差動利得の補償量の変動を抑制可能な構成を以下に示す。
図8は、第3実施形態に係る差動増幅回路の構成概略図である。図8に示されるように、定電流回路31の構成において、上述した第2実施形態の差動増幅回路1と相違している。すなわち、第3実施形態の差動増幅回路1では、定電流回路31は、トランジスタ33と、基準抵抗器34と、基準電位発生回路35と、オペアンプ36と、を備えている。
トランジスタ33は、PNP型のバイポーラトランジスタである。このトランジスタ33のベース端子33bは、オペアンプ36の出力端子に接続されている。また、トランジスタ33のコレクタ端子33cは、電流源トランジスタ32のベース端子32bに接続されている。また、トランジスタ33のエミッタ端子33eは、オペアンプ36の非反転入力端子に接続されるとともに基準抵抗器34を介して電源Vccに接続されている。この基準抵抗器34は、抵抗器51と同じプロセスで作製された抵抗器であって、抵抗値Rrefを有している。基準電位発生回路35は、基準電位Vrefを発生する回路であって、その出力端子がオペアンプ36の反転入力端子に接続されている。
このように構成された定電流回路31は、コレクタ端子33cから定電流Irefを出力する定電流回路として動作し、この定電流Irefを電流源トランジスタ32のベース電流Ibtとして供給する。したがって、ベース電流Ibtは、以下の式(7)で表される。式(7)に示されるように、ベース電流Ibtは、基準抵抗器34の抵抗値Rrefに反比例する。
Ibt=Iref=(Vcc-Vref)/Rref…(7)
したがって、第3実施形態の差動増幅回路1では、上記式(1)によれば、プロセス変動によって抵抗値R1が設計値よりも大きい場合には、低周波数帯域における差動利得の補償量は理想R補償量よりも増加する。一方、プロセス変動によって抵抗値R1が設計値よりも大きい場合には、抵抗値Rrefは設計値よりも大きくなるので、式(7)によれば、ベース電流Ibtが減少する。そして、上記式(1)、式(4)、式(5)によれば、ベース電流Ibtが減少することにより、伝達コンダクタンスが減少する。このため、低周波数帯域における補償量は理想R補償量よりも減少する。その結果、抵抗値R1が設計値よりも大きいことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の増加と、抵抗値Rrefが設計値よりも大きいことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の減少とが相殺するので、抵抗値R1による低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制することができる。
また、上記式(1)によれば、プロセス変動によって抵抗値R1が設計値よりも小さい場合には、低周波数帯域における差動利得の補償量は理想R補償量よりも減少する。一方、プロセス変動によって抵抗値R1が設計値よりも小さい場合には、抵抗値Rrefは設計値よりも小さくなるので、式(7)によれば、ベース電流Ibtが増加する。そして、上記式(1)、式(4)、式(5)によれば、ベース電流Ibtが増加することにより、伝達コンダクタンスが増加する。このため、低周波数帯域における補償量は理想R補償量よりも増加する。その結果、抵抗値R1が設計値よりも小さいことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の減少と、抵抗値Rrefが設計値よりも小さいことによる低周波数帯域における差動利得の補償量の増加とが相殺するので、抵抗値R1による低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制することができる。
換言すれば、第2トランジスタ22における差動利得の補償量は、電流源トランジスタ32のベース電流Ibtと抵抗器51の抵抗値R1との積による電圧の大きさで決定される。このため、抵抗値R1の変動による差動利得の補償量の変動を抑制するには、抵抗値R1が設計値より大きい場合は、ベース電流Ibtを小さくし、抵抗値R1が設計値より小さい場合は、ベース電流Ibtを大きくすることで、ベース電流Ibtと抵抗値R1との積で決まる電圧を一定にすればよい。第3実施形態の差動増幅回路1では、定電流回路31の基準抵抗器34を抵抗器51と同じプロセスにより作製した抵抗器とすることにより、プロセス変動によって抵抗値R1が変動したとしても、抵抗値Rrefが抵抗値R1の変動と同じ傾向で変動する。このため、ベース電流Ibtと抵抗値R1との積が、電源Vccから基準電位Vrefを減算した電位に一致するように動作する。その結果、第3実施形態の差動増幅回路1は、プロセス変動による抵抗器51の抵抗値R1のばらつきによって、低周波数帯域における差動利得の補償量が変動するのを抑制できる。
また、第3実施形態の差動増幅回路1は、第2実施形態の差動増幅回路1と同様に、電流源トランジスタ32を有しているので、上述した第2実施形態の差動増幅回路1と同様の効果を奏する。すなわち、第3実施形態の差動増幅回路1によれば、第2トランジスタ22の電流利得βのばらつきによる差動利得の補償量の変動を抑制するとともに、抵抗器51の抵抗値R1のばらつきによる差動利得の補償量の変動を抑制することが可能となる。
また、図9に示されるように、トランジスタ33は、BiCMOSトランジスタであってもよい。この場合、トランジスタ33のベース端子33bにほとんど電流が流れない。したがって、図9の定電流回路31によれば、ベース端子33bに電流が流れることによる、定電流Irefの誤差を低減でき、ベース電流Ibtの誤差を低減できる。
また、トランジスタ33は、NMOSトランジスタであってもよい。この場合、トランジスタ33は、ゲート端子にほとんど電流が流れないので、定電流Irefの誤差を低減でき、ベース電流Ibtの誤差を低減できる。
また、図10に示されるように、定電流回路31は、NPN型トランジスタとPNP型トランジスタとを組み合わせた回路としてもよい。すなわち、定電流回路31は、トランジスタ41と、トランジスタ42と、トランジスタ43と、基準抵抗器44と、基準電位発生回路45と、オペアンプ46とを含んで構成されてもよい。
トランジスタ41およびトランジスタ42は、PNP型のトランジスタである。トランジスタ41のベース端子41bとトランジスタ42のベース端子42bとは、互いに接続されており、さらにトランジスタ42のコレクタ端子42cおよびトランジスタ43のコレクタ端子43cに接続されている。また、トランジスタ41のコレクタ端子41cは電流源トランジスタ32のベース端子32bに接続されている。また、トランジスタ41のエミッタ端子41eは電源Vccに接続されている。また、トランジスタ42のエミッタ端子42eは電源Vccに接続されている。このように、トランジスタ41およびトランジスタ42は、コレクタ端子42cから出力されるコレクタ電流と等しい電流をコレクタ端子41cから出力するカレントミラー回路を構成している。
トランジスタ43は、NPN型のトランジスタである。トランジスタ43のベース端子43bはオペアンプ46の出力端子に接続されている。また、トランジスタ43のコレクタ端子43cはトランジスタ42のコレクタ端子42cおよびベース端子42b並びにトランジスタ41のベース端子41bに接続されている。また、トランジスタ43のエミッタ端子43eは、オペアンプ46の非反転入力端子に接続されるとともに、基準抵抗器44を介して接地されている。この基準抵抗器44は、抵抗器51と同じプロセスで作製された抵抗器である。基準電位発生回路45は、基準電位Vrefを発生する回路であって、その出力端子がオペアンプ46の反転入力端子に接続されている。このトランジスタ43、基準抵抗器44、基準電位発生回路45およびオペアンプ46によって、コレクタ端子43cに定電流Irefが流れ込む定電流回路を構成している。
定電流回路31は、トランジスタ41およびトランジスタ42のカレントミラー回路がトランジスタ43のコレクタ端子43cに接続される構成を有しているので、コレクタ端子41cから定電流Irefを出力する定電流回路として動作する。そして、定電流回路31は、定電流Irefを電流源トランジスタ32のベース電流Ibtとして供給する。したがって、ベース電流Ibtは、以下の式(8)で表される。
Ibt=Iref=Vref/Rref…(8)
式(8)に示されるように、電流源トランジスタ32のベース電流Ibtは、基準電位Vrefと基準抵抗器34の抵抗値Rrefとによって決定される。このため、ベース電流Ibtは、電源Vccの影響を受けることがない。したがって、図10の定電流回路31によれば、電源Vccの変動によるベース電流Ibtの誤差をなくすことができる。
また、図10の定電流回路31において、トランジスタ43を、BiCMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタとしてもよい。この場合、電源Vccの変動によるベース電流Ibtの誤差をなくすとともに、ベース端子43bに電流が流れることによるベース電流Ibtの誤差を低減できる。
次に、第2および第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性について説明する。図11の(a)は第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す図、(b)は第2および第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す図である。図11の(a)のグラフGnb1は、第2トランジスタ22の電流利得βが設計値通りである場合の第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGlb1は、第2トランジスタ22の電流利得βが設計値より低い場合の第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGhb1は、第2トランジスタ22の電流利得βが設計値より高い場合の第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。図11の(b)のグラフGnb2は、第2トランジスタ22の電流利得βが設計値通りである場合の第2および第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGlb2は、第2トランジスタ22の電流利得βが設計値より低い場合の第2および第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGhb2は、第2トランジスタ22の電流利得βが設計値より高い場合の第2および第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。
電流利得βが設計値通りである場合、第1実施形態の差動増幅回路1は、10kHz〜1GHzに亘って略一定の差動利得を有している。これに対して、電流利得βが設計値より低い場合、第1実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、電流利得βが設計値通りである場合よりも差動利得が1dB程度減少する。また、電流利得βが設計値より高い場合、第1実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、電流利得βが設計値通りである場合よりも差動利得が1dB程度増加する。
一方、電流利得βが設計値通りである場合、第2および第3実施形態の差動増幅回路1は、10kHz〜1GHzに亘って略一定の差動利得を有している。そして、電流利得βが設計値より低い場合、第2および第3実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、電流利得βが設計値通りである場合よりも差動利得がわずかに減少するものの、第1実施形態の差動増幅回路1よりも差動利得の減少量は大幅に低減されている。また、電流利得βが設計値より高い場合、第2および第3実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、電流利得βが設計値通りである場合よりも差動利得がわずかに増加しているものの、第1実施形態の差動増幅回路1よりも差動利得の増加量は大幅に低減されている。
このように、第2および第3実施形態の差動増幅回路1によれば、プロセスばらつきにより第2トランジスタ22の電流利得βが変動したとしても、低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制でき、差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
図12の(a)は第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す図、(b)は第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す図である。図12の(a)のグラフGnr1は、抵抗器51の抵抗値R1が設計値通りである場合の第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGsr1は、抵抗器51の抵抗値R1が設計値より小さい場合の第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGlr1は、抵抗器51の抵抗値R1が設計値より大きい場合の第1実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。図12の(b)のグラフGnr2は、抵抗器51の抵抗値R1が設計値通りである場合の第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGsr2は、抵抗器51の抵抗値R1が設計値より小さい場合の第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。グラフGlr2は、抵抗器51の抵抗値R1が設計値より大きい場合の第3実施形態の差動増幅回路1の差動利得の周波数特性を示す。
抵抗値R1が設計値通りである場合、第1実施形態の差動増幅回路1は、1kHz〜1GHzに亘って略一定の差動利得を有している。これに対して、抵抗値R1が設計値より小さい場合、第1実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、抵抗値R1が設計値通りである場合よりも差動利得が0.7dB程度増加している。また、抵抗値R1が設計値より大きい場合、第1実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、抵抗値R1が設計値通りである場合よりも差動利得が0.5dB程度減少している。
一方、抵抗値R1が設計値通りである場合、第3実施形態の差動増幅回路1は、1kHz〜1GHzに亘って略一定の差動利得を示している。そして、抵抗値R1が設計値より小さい場合、第3実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、抵抗値R1が設計値通りである場合よりも差動利得がわずかに増加しているものの、抵抗値R1が設計値より小さい場合の第1実施形態の差動増幅回路1よりも差動利得の増加量は大幅に低減されている。また、抵抗値R1が設計値より大きい場合、第3実施形態の差動増幅回路1は、4MHz以下の低周波数帯域において、抵抗値R1が設計値通りである場合よりも差動利得がわずかに減少しているものの、抵抗値R1が設計値より大きい場合の第1実施形態の差動増幅回路1よりも差動利得の減少量は大幅に低減されている。
このように、第3実施形態の差動増幅回路1によれば、プロセスばらつきにより抵抗器51の抵抗値R1が変動したとしても、低周波数帯域における差動利得の補償量の変動を抑制でき、差動利得の周波数特性の非平坦性を低減することが可能となる。
なお、本発明に係る差動増幅回路は上記実施形態に記載したものに限定されない。例えば、上記実施形態では、第1フィルタ回路5のカットオフ周波数fc1は、利得上昇開始周波数と同じ周波数に設定されるが、利得上昇開始周波数より低い周波数に設定されてもよい。
1…差動増幅回路、2…差動増幅部、5…第1フィルタ回路、6…第2フィルタ回路、7…バッファ回路、7e…エミッタ端子、8…第2定電流回路、21…第1トランジスタ、21b…ベース端子(第1端子)、21c…コレクタ端子(第2端子)、21e…エミッタ端子(第3端子)、22…第2トランジスタ、22b…ベース端子(第4端子)、22c…コレクタ端子(第5端子)、22e…エミッタ端子(第6端子)、23…第1定電流回路、32…電流源トランジスタ(第トランジスタ)、32b…ベース端子、34,44…基準抵抗器、35,45…基準電位発生回路、51…抵抗器、52…コンデンサ、SB…バイアス信号。

Claims (11)

  1. 単相信号を差動信号に変換する差動増幅部と、
    差動利得の周波数特性を補償するための第1フィルタ回路と、
    を備え、
    前記差動増幅部は、所定の周波数よりも低い周波数において、自己発熱によって伝達特性が変化する第1トランジスタおよび第2トランジスタと、第1定電流回路とを有し、
    前記第1トランジスタは、前記単相信号が入力される第1端子と、前記差動信号のうちの一方の信号を出力する第2端子と、前記第1定電流回路に接続される第3端子とを有し、
    前記第2トランジスタは、前記第1フィルタ回路を介してバイアス信号が入力される第4端子と、前記差動信号のうちの他方の信号を出力する第5端子と、前記第3端子および前記第1定電流回路に接続される第6端子とを有し、
    前記第1フィルタ回路のカットオフ周波数は、前記所定の周波数よりも低い周波数に設定され
    前記第1フィルタ回路は、抵抗器とコンデンサとを有し、
    前記抵抗器の一端は、前記第1フィルタ回路の入力端子に接続され、
    前記抵抗器の他端は、前記コンデンサの一端と共通に接続され、前記第1フィルタ回路の出力端子を介して前記第4端子に接続され、
    前記コンデンサの他端は、接地され、
    前記第1フィルタ回路は、前記入力端子に基準信号が入力されると、前記出力端子を介して前記第4端子に前記バイアス信号を出力することを特徴とする差動増幅回路。
  2. 差動利得の低域特性を決定するための第2フィルタ回路をさらに備え、
    前記第2フィルタ回路は、前記第1フィルタ回路に前記基準信号を出力することを特徴とする請求項に記載の差動増幅回路。
  3. 前記第1フィルタ回路のカットオフ周波数は、前記第2フィルタ回路のカットオフ周波数よりも高いことを特徴とする請求項に記載の差動増幅回路。
  4. 前記第1フィルタ回路と前記第2フィルタ回路との間に設けられたバッファ回路をさらに備えることを特徴とする請求項または請求項に記載の差動増幅回路。
  5. 第2定電流回路をさらに備え、
    前記バッファ回路は、前記抵抗器を介して前記第2定電流回路に接続され、
    前記第4端子は、前記第2定電流回路に接続されることを特徴とする請求項に記載の差動増幅回路。
  6. 前記バッファ回路は、第3トランジスタから構成されるエミッタフォロワ回路であり、
    前記抵抗器の一端は、前記第3トランジスタのエミッタ端子に接続されることを特徴とする請求項に記載の差動増幅回路。
  7. 前記第2フィルタ回路は、前記差動信号に基づいて生成された前記基準信号を、前記バッファ回路を介して前記第1フィルタ回路に出力することを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載の差動増幅回路。
  8. 前記第1定電流回路は、前記第2トランジスタと同じプロセスで作製された第トランジスタを含み、
    前記第トランジスタは、前記第トランジスタのベース端子に定電流が供給されることにより、前記第3端子および前記第6端子に電流を供給することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の差動増幅回路。
  9. 前記第1定電流回路は、
    基準電位を発生する基準電位発生回路と、
    前記抵抗器と同じプロセスで作製された基準抵抗器と、
    前記基準電位と前記基準抵抗器とに基づいて生成された定電流が供給されることにより、前記第3端子および前記第6端子に電流を供給する第トランジスタと、
    を含むことを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載の差動増幅回路。
  10. 前記第トランジスタは、前記第2トランジスタと同じプロセスで作製されたトランジスタであることを特徴とする請求項に記載の差動増幅回路。
  11. 前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の差動増幅回路。
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