JP5862300B2 - 熱電発電方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱源物質の廃熱を利用した熱電発電技術に関するものであり、例えば、鉄鋼製造プロセスにおけるスラブヤードや圧延後の製品ヤードのような、高温の鋼材を長時間保管するヤードにおいて、鋼材(廃熱)を熱源として発電することができる熱電発電方法及び装置に関するものである。
近年、地球温暖化防止を目的として、鉄鋼製造プロセスなどのようなCOを多量に発生する製造プロセスにおける更なる省エネルギー化が求められている。省エネルギー対策の一つとして廃熱回収があり、特に鉄鋼製造のような大量生産プロセスにおいては、廃熱として捨てられるエネルギーが大きいため、廃熱回収により得られる省エネルギー効果は非常に大きい。
従来、廃熱回収方法の一つとして、熱電素子を用いた廃熱利用熱電発電が知られている。この熱電発電は、ゼーベック効果を利用して温度差から直接電力を回収する方法であり、近年では熱電素子の特性向上により、一部実用化もされている。例えば、特許文献1には、自動車等の排気ガスの熱エネルギーを用いて熱電発電をする方法が示されている。
しかしながら、例えば鉄鋼製造分野においては、廃熱回収への熱電発電の適用は十分には進んでいない。その理由としては、熱電素子のコストが高いことに加えて、鉄鋼製造プロセスの廃熱自体が安定な熱源として利用しにくいため熱電素子の最適設計ができず、十分な発電効率や稼働率が得られないことが挙げられる。熱電素子の発電効率や稼働率が十分でないと、結果的に単位発電量あたりのコストが嵩むことになり、費用対効果の点で熱電発電の適用が著しく困難になる。
鉄鋼製造プロセスで生じる高温鋼材の廃熱回収を考えた場合、廃熱が安定な熱源として利用できないのは、鋼材温度が材質造り込みを目的として時々刻々と変化することと、鋼材がコイルやシート単位で製造されるバッチプロセスであることが主な理由である。また、製造ライン上で粉塵や蒸気等に晒される場所が多いことによる配置上の制約なども、熱電発電の適用が難しい要因の一つである。
熱電発電に用いる熱源の温度ばらつきの影響を緩和する技術として、例えば、可動フィンにより流体の流れを制御する方法が特許文献2に示されている。
特開2004−208476号公報 特開2008−104317号公報
しかし、鉄鋼製造プロセスの廃熱は、室温から1000℃以上の高温まで温度範囲が広く、廃熱の伝熱形態も様々であるため、特許文献2に開示されるような方法の適用は難しい。よって、鉄鋼製造プロセスの廃熱を利用して熱電発電を行う場合には、熱源の温度ばらつきによる熱電素子の温度変動を予め考慮しておく必要がある。
一方で、熱電素子は、その効率を最大化するための適正温度が素子によって決まっている。図9に、熱電素子の性能を示す無次元性能指数ZT(Z:性能指数)の温度依存性のグラフを示す。熱電素子には、低温用(100℃程度)から高温用(700℃程度)まで様々な種類があるが、図9のように、何れの素子についてもZTはある温度域でピーク値を取る傾向があり、その温度域以外ではZTが低下して素子の発電効率が低下する。また、各熱電素子には、耐熱性の観点から決まる適用温度の上限もある。したがって、上記のように温度が変化する鋼材からの廃熱回収では熱電素子の選定が難しく、鋼材側の温度条件が変わった場合など、期待された発電効率が得られなくなる懸念がある。
ところで、温度変化が比較的小さい熱源(鋼材)を考えた場合、例えば、スラブヤードや圧延後の製品ヤードなどの鋼材保管ヤードでは、比較的長い時間、緩やかな温度降下で鋼材が空冷保持されるので、準安定的な熱源であると言える。このような鋼材保管ヤードについては、設備配置上の制約も少ないため、熱電発電を適用できる可能性が十分にある。しかしながら、保管されるスラブやコイルのような鋼材のヤード受け入れ温度についても、上工程のプロセス的要因で変動するケースがある。また、鋼材のサイズも製品毎に異なるため、結果として上述したと同様の理由により、十分な熱電発電効率が得られないことが懸念される。
したがって本発明の目的は、鉄鋼製造プロセスにおける高温鋼材などのような熱源物質の廃熱を利用して効率的かつ安定的な発電を行うことができる熱電発電方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]保管ヤードに保管された熱源物質を熱源として熱電発電を行う方法であって、
保管ヤードに、受熱面となる壁面に熱電素子(e)が組み込まれ、熱源物質に対して接近・離間可能な可動壁(a)を設け、
熱源物質(s)が段積みされたスラブであり、可動壁(a)を、熱電素子(e)が組み込まれた壁面が段積みされたスラブ側面と対面した状態とし、
熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質(s)と可動壁(a)との距離X c を求め、熱源物質(s)に対して、距離X c をおいた位置で可動壁(a)を対面させた状態で、熱電素子(e)による熱電発電を行うとともに、
温度計により測定される熱源物質面の温度分布の中から測定最大値T ss・max を求め、この測定最大値T ss・max を用いて、可動壁(a)と熱源物質(s)との距離Xに応じた熱電素子(e)の表面温度T h・max を求め、この表面温度T h・max と熱電素子(e)の耐熱温度T p を比較してT h・max >T p となる距離Xがある場合に、T h・max ≦T p となる任意の距離Xを限界接近距離X p として設定し、距離X c に関わりなく、限界接近距離X p を超えて可動壁(a)を熱源物質(s)に接近させないことを特徴とする熱電発電方法。
[2]上記[1]の熱電発電方法において、可動壁(a)と対面する熱源物質面の温度Tss及び有効放熱面積Aに基づき、可動壁(a)と熱源物質(s)との距離Xに応じた熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηを計算により求め、この計算結果から、熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質(s)と可動壁(a)との距離Xcを求めることを特徴とする熱電発電方法。
[3]上記[2]の熱電発電方法において、温度計により経時的に変化する熱源物質面の温度Tssを逐次測定し、この測定温度に基づいて、熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質(s)と可動壁(a)との距離Xcを逐次求め、可動壁(a)を熱源物質(s)に対して接近・離間させることで距離Xcに位置させることを特徴とする熱電発電方法。
[4]上記[2]又は[3]の熱電発電方法において、温度計により測定される熱源物質面の温度に部位による温度分布がある場合、その平均値を熱源物質面の温度Tssとすることを特徴とする熱電発電方法。
本発明によれば、保管ヤードに保管された高温鋼材などのような熱源物質の廃熱を安定的に熱電素子に供給することができ、熱電素子の効率を最大限に発揮させることができる。このため従来では殆ど顕熱回収がなされていなかった鉄鋼製造プロセスなどにおける高温鋼材などの廃熱を利用して効率的な発電を行うことができ、エネルギーの有効利用を図ることができる。
本発明法を鋳造されたスラブ(鋼材)の保管ヤードに適用した場合の一実施形態を示す斜視図 図2に示す熱電発電方法において、可動壁の運用方法を示す説明図 熱源物質から熱電素子への輻射伝熱の計算方法を説明するための図面 熱源物質に熱電素子を接近させた時の影響を説明するための図面 本発明装置の一実施形態を示す説明図 本発明において、発生電力P及び熱電交換効率ηが最大となる熱源物質と可動壁(熱電素子)との距離Xcを求めるための計算方法を示すフロー図 熱源物質と可動壁(熱電素子)との距離Xと発生電力Pとの関係を示すグラフ 熱源物質の温度が変化した場合における熱源物質と可動壁(熱電素子)との距離の調整方法を説明するための図面 各種の熱電素子について温度と無次元性能指数ZTとの関係を示すグラフ
本発明は、保管ヤードに保管された高温鋼材などのような熱源物質を熱源として熱電発電を行う方法及び装置であり、保管ヤードに、受熱面となる壁面に熱電素子eが組み込まれ、熱源物質に対して接近・離間可能な可動壁aが設けられ、熱源物質sに対して所定の距離をおいた位置で可動壁aを対面させた状態で、熱電素子eによる熱電発電を行うものである。通常、可動壁aは、保管ヤード内における熱源物質sの保管及び移動スペースの外周部に設置される。
熱源物質sの種類や温度に特別な制限はない。熱源物質sの代表例は、常温を超える顕熱を保有する鋼材、好ましくは高温の鋼材であり、例えば、スラブ、熱延コイル、管体、厚板などが挙げられる。また、熱源物質sの保管ヤードとは、一般に高温のスラブや熱延コイル等を保管し、空冷するためのヤードであり、通常は屋根が設置されている。熱源物質sが高温鋼材である場合、保管ヤード内での鋼材表面温度は、鋼材の種類やプロセス的な要因により様々であるが、例えば、スラブの場合には、通常は200〜700℃程度である。
図1は、本発明の一実施形態を示す斜視図であり、鋳造されたスラブ(熱源物質)の保管ヤードに本発明を適用したものである。
可動壁aは、パネル状の本体1とその下端部に設けられる走行機構部2(車輪など)からなり、前記本体1の少なくとも片側の壁面(本実施形態では壁面の全面)に複数の熱電素子eが組み込まれ、対面する熱源物質sの熱を受熱できるようにしてある。可動壁aは、走行機構部2を介して保管ヤード内に敷設されたレール3に沿って移動可能であり、これにより保管ヤード内の熱源物質sに対して接近・離間可能としてある。熱電素子eは温度差により発電を行うため、上記熱電素子eの冷却側については、水冷又は空冷するための機構(図示せず)が設けてある。
一般に保管ヤード内では、図示するように複数の熱源物質s(スラブ)が段積み状態で空冷されるものであり、可動壁aは、そのような保管ヤード内における熱源物質sの保管及び移動スペースの外周部に設置され、走行機構部2を介してレール3に沿って移動することにより、段積み状態の熱源物質sに対して接近・離間することができる。可動壁aは、熱源物質sの上面及び下面に対面させて配置することも可能であるため、ここで言う外周部とは、熱源物質sの上面側や下面側を含むものとする。
可動壁aの運用(使用)方法としては、図2に示すように、保管ヤードへの熱源物質sの受け入れ時には(図2(ア))、クレーン4による搬送時の荷揺れ等を考慮して、可動壁aを退避位置に移動しておく。そして、熱源物質sをヤードに受け入れた後、可動壁aを熱源物質sに接近させ(図2(イ))、熱源物質sと所定の距離をおいた状態で熱電発電を行う。
さきに述べたように、熱電素子は、その効率を最大化するための適正温度が素子によって決まっている(図9参照)。一方、熱源物質sは、ヤード受け入れ温度が上工程のプロセス的要因で変動する場合があり、また、熱源物質sのサイズによって、ヤード受け入れ温度や保管ヤードでの温度降下量が異なり、この点が、熱電素子が十分な熱電発電効率で発電する阻害要因になる。
これに対して、本発明では、熱源物質sと可動壁aとの距離を、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となるように設定して可動壁aの位置を決め、熱源物質sの熱による発電を行うことができ、これにより熱源物質sの温度と熱電素子eの特性に応じた効率的な熱電発電を行うことができる。すなわち、本発明では、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηを最大とするための熱源物質sと可動壁aとの距離Xcを求め、熱源物質sに対して、距離Xcをおいた位置で可動壁aを対面させた状態で、熱電素子eによる熱電発電を行うことが好ましい。
ここで、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xcは、例えば、以下のような手法で求める。
熱源物質sと熱電素子eとの距離が一定以上(例えば、熱源物質sが段積みスラブ側面であれば200mm程度の距離)離れている場合、熱源物質sから熱電素子eの表面(受熱面)への熱移動は輻射伝熱が支配的となる。熱電素子の表面温度Thは、図3に示すように、熱源物質の表面温度Tss、熱電素子の冷却側温度Tc、熱源表面の放射率εss、熱電素子表面の放射率εms、及び熱電素子の特性値(熱抵抗Ωsys等)から計算で求められる。そして、熱電素子の表面温度Th(高温側)と冷却側温度Tc(低温側)との温度差ΔT(=Th−Tc)により、熱電素子の性能指数Zに応じた発生電力Pが得られる。熱電素子表面に入射する輻射熱流束と熱電素子内部の熱流束との釣り合い式は、以下のようになる。
Figure 0005862300
ここで、放射係数Γhcは、熱電素子表面と熱源物質との距離Xから求められる。
すなわち、放射係数Γhcは、下記の計算式に従い、熱源物質の有効放熱面積A、熱源物質表面の放射率εss、熱電素子表面積A、熱電素子表面の放射率εms、及び、熱源物質の有効放熱面積Aと熱電素子表面積Aとの位置関係から幾何学的に求まる形態係数Fhc(このFhcは、本発明が対象とするような位置関係が単純な系では、面積比などを用いて既知のグラフから簡単に求めることができる。)により計算される。
Figure 0005862300
ここで、熱源物質の有効放熱面積Aは、熱電素子eの受熱面と平行な面に対する熱源物質sの投影面積である。例えば、熱源物質sが段積みされたスラブであり、その側面と熱電素子eの受熱面が平行である場合には、[スラブ厚さ×段積み数×スラブ長さ]が熱電素子eの受熱面と平行な面に対する熱源物質sの投影面積であり、これが有効放熱面積Aとなる。また、電流Iも、熱電素子の性能指数Z、内部抵抗re、及び温度条件から一義的に求められる。したがって、熱電素子の冷却側温度Tcを一定とした場合、上記釣り合い式を用いて、距離Xに応じた熱電素子の表面温度Thが計算できる。
ある温度条件が与えられた際における最適な熱電素子の発生電力P及び熱電変換効率ηは、内部抵抗reと外部負荷抵抗Reとの比を以下とした際に得られ、それぞれ性能指数Zを含む関数として以下のように表される。
(i)発生電力P
Figure 0005862300
(ii)熱電変換効率η
Figure 0005862300
例えば、発生電力Pの最大化を図る場合、発生電力Pが温度によって変化するため、発生電力Pが最大となる温度条件を与えることにより、発生電力Pの最大値Pmaxが得られる。よって、発生電力Pが最大となる温度条件になるような熱源物質sと可動壁a間の距離Xcを求める必要がある。輻射伝熱を考える場合、一般に熱源に近づくほど輻射熱を受け易くなり、熱電素子eの表面温度Thが上昇して温度差ΔTが大きくなる。発生電力PはΔTの2乗で大きくなるため、熱電素子eを熱源(熱源物質s)に近接させてΔTを大きくするのが効果的である。しかし、一方で、熱電素子eの性能指数Zは、図9に示されるように温度に対してピーク特性を持つ温度依存性があり、ピーク温度以上では性能指数Zは急激に低下する。よって、熱電素子eと熱源との距離が近過ぎてΔTが熱電素子特性のピーク温度を超えるまで大きくなると、逆に性能指数Zの低下の影響により発生電力Pが低下する。このため、距離Xを変化させた条件毎に発生電力Pを計算し、発生電力Pが最大値Pmaxとなる距離Xcを求め、熱電素子eを組み込んだ可動壁aを距離Xまで熱源物質s(熱源)に近接させる。
熱電変換効率ηについても同様の方法で、熱電変換効率ηが最大値ηmaxとなる距離Xcを求める。但し、熱電変換効率の場合には、上記式のように熱電発電効率ηを与える内部抵抗reと外部負荷抵抗Reとの比率自体が温度依存性を有する。そのため、可変抵抗を用いて温度に応じた負荷調整を行う必要がある。
以上述べたように、本発明では、可動壁aと対面する熱源物質側面の温度Tss及び有効放熱面積Aに基づき、可動壁aと熱源物質sとの距離Xに応じた熱電素子eの発生電力P又は変換効率ηを計算により求め、この計算結果から、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xcを求めることが好ましい。
熱源物質の外面(側面など)の温度Tssの測定は、接触式又は非接触式の温度計で測定する。特に熱源物質の外面に近接することが難しい環境下では、非接触式温度計(放射温度計)を用いた測定が好ましい。
一般に、保管ヤード内の熱源物質sの温度は経時的に変化する。上記式のように、発生電力P及び熱電変換効率ηには温度依存性があり、温度差ΔTが経時的に変化する場合、発生電力P及び熱電変換効率ηも変化し、これに伴い、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xcも変化することになる。したがって、温度計により経時的に変化する熱源物質面の温度Tssを逐次測定し(例えば、一定時間毎に測定する)、この測定温度に基づいて、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xを逐次求め、可動壁aを熱源物質sに対して接近・離間させることで両者の距離を調整し、可動壁aが熱源物質s対して距離Xを保つようにすることが好ましい。
図1のように段積みされた高温鋼材が熱源である場合、段積みされるタイミングや段積み後の空冷条件等により、熱源物質面の温度Tssが部位(位置)により温度分布(ばらつき)を有する場合がある。そのような熱源物質面からの輻射伝熱を計算する場合、厳密には温度分布と熱電素子表面との位置関係を考慮しつつ、領域を細かく分けて領域毎に計算する必要がある。しかし、輻射伝熱の場合には、熱源からの距離がある程度離れてくると、平均的な輻射入熱という形で捉えることができるので、温度分布が比較的小さい熱源については、平均温度で取り扱うことにより計算を簡略化できる。すなわち、温度計により測定される熱源物質面の温度に部位による温度分布がある場合、その平均値を熱源物質面の温度Tssとすることが好ましい。例えば、熱電素子に併設する形で複数の放射温度計を一定間隔ごとに設置し、これらの放射温度計で熱源物質の外面(側面など)の温度をそれぞれ測定し、得られた温度データを平均化して求める。
図4のように、熱電素子eを熱源物質sに接近させた場合、輻射伝熱が1次元的になるため、局所的な温度の影響を受け易い。よって、熱源物質sに局所的に高温部がある場合に可動壁aを近接させると、高温部に近接した熱電素子eのみが高温となり、熱電素子eの耐熱温度を超えて破損を生じるおそれがある。このような事態を避けるためには、以下のようにすることが好ましい。まず、温度計により測定される熱源物質面の温度分布の中から測定最大値Tss・maxを求める。次いで、この測定最大値Tss・maxを用いて(すなわち、この測定最大値Tss・maxが熱源物質面全体の温度であるとして)可動壁aと熱源物質sとの距離Xに応じた熱電素子eの表面温度Th・maxを求める。この表面温度Th・maxは、想定される熱電素子の表面温度Tの最大値である。この表面温度Th・maxと熱電素子eの耐熱温度Tを比較し、Th・max>Tとなる距離Xがある場合に、Th・max≦Tとなる任意の距離Xを限界接近距離Xとして設定する。したがって、Th・max=Tとなる距離Xを限界接近距離Xとして設定してもよい。そして、距離Xに関わりなく、限界接近距離Xを超えて可動壁aを熱源物質sに接近させないようにする。
以上のような本発明の熱電発電方法の実施に供される本発明の装置は、受熱面となる壁面に熱電素子eが組み込まれ、熱源となる熱源物質sに対面でき且つ熱源物質sに対して接近・離間可能な可動壁aを備える熱電発電装置である。
この熱電発電装置は、さらに、熱源物質面の温度を測定する温度計bと、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xcを求める演算手段cと、この演算手段cで求められた距離Xcの位置に可動壁aを移動させる制御手段dを備えることができる。
図5は、本発明装置の一実施形態を示すもので、c1が演算装置(演算手段c)、d1が可動壁の制御装置(制御手段d)である。
温度計bが可動壁aに設置され、この温度計bにより測定された熱源物質面の温度情報が演算装置c1に出力される。演算装置c1では、この温度情報と予め得られている情報(熱源物質の有効放熱面積Aなど)に基づき、上述したような手順で限界接近距離Xと距離Xcが求められ、それに対応する信号が制御装置d1に出力される。制御装置d1では、可動壁aを熱源物質sに対して距離Xc又は限界接近距離Xの位置まで移動(接近・離間)させる。
さらに、この熱電発電装置は、上述したような本発明法を実行するために、以下のような構成及び機能を備えることが好ましい。
(i)演算手段cは、可動壁aと対面する熱源物質面の温度Tss及び有効放熱面積Aに基づき、可動壁aと熱源物質sとの距離Xに応じた熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηを計算により求め、この計算結果から、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xcを求める機能及びこの機能を実行するための手段を備える。
(ii)演算手段cは、経時的に変化し、温度計bにより逐次測定される熱源物質面の温度Tssに基づいて、熱電素子eの発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質sと可動壁aとの距離Xcを逐次求める機能及びこの機能を実行するための手段を備え、制御手段dは、可動壁aを熱源物質sに対して接近・離間させることで距離Xcに位置させる機能及びこの機能を実行するための手段を備える。
(iii)演算手段cは、温度計bにより測定される熱源物質面の温度に部位による温度分布がある場合、その平均値を熱源物質面の温度Tssとして用いる機能及びこの機能を実行するための手段を備える。
(iv)演算手段cは、温度計bにより測定される熱源物質面の温度分布の中から測定最大値Tss・maxを求め、この測定最大値Tss・maxを用いて、可動壁aと熱源物質sとの距離Xに応じた熱電素子eの表面温度Th・maxを求め、この表面温度Th・maxと熱電素子eの耐熱温度Tpを比較してTh・max>Tpとなる距離Xがある場合に、Th・max≦Tpとなる任意の距離Xを限界接近距離Xpとして設定する機能及びこの機能を実行するための手段を備え、制御手段dは、距離Xcに関わりなく、限界接近距離Xpを超えて可動壁aを熱源物質sに接近させない機能及びこの機能を実行するための手段を備える。
図6は、本発明において、発生電力P及び熱電交換効率ηが最大となる熱源物質s(鋼材)と可動壁aとの距離Xcを求めるための計算方法をフロー図で示したものである。まず、熱源物質sと熱電素子eとの距離Xを仮定し、これと熱源物質sの表面温度Tss及び寸法・段積み条件に関するInputデータに基づき、さきに述べた熱流束釣り合い式を用いて熱電素子eの高温側温度Thを計算する。ここでは、熱源物質sの表面温度Tssとして、熱源物質面の平均温度を用いるものとする。熱電素子eの低温側温度Tcは一定に保たれるので、ThとTcの温度差ΔTから発生電力P及び効率ηが算出される。このような計算を、仮定した距離X毎にそれぞれ行い、計算で求められる発生電力P及び効率ηからそれらが最大となる距離Xcを求める。
図7は、熱源物質sの側面温度:700℃、側面サイズ:3m×3m、熱電素子eの受熱面サイズ:0.1m×0.1mとした場合における、熱源物質sと可動壁a(熱電素子)との距離Xと発生電力Pとの関係(計算結果)の一例を示したものである。熱電素子はBi−Te系とし、性能指数Zは一般的な文献値と近似するように温度の関数として与えた。また、距離Xが変化する時の放射係数Γhcについては、輻射伝熱に関する形態係数の文献値を用いて計算した。距離Xは、1.1mから0.2mピッチで小さくしたケースを仮定してそれぞれ計算を行っている。図7によれば、発生電力Pは距離X=0.3mで最大化しており、この位置が距離Xcに相当する位置となる。また、図7のグラフ中に、熱電素子eの高温側温度Thを併記した。例えば、熱電素子の耐熱温度が200℃である場合には、図中の鎖線で示す距離Xが熱電素子の高温側温度Thが200℃になる距離Xであるので、例えば、この距離Xを限界近接距離Xpとして設定し、この限界接近距離Xpを超えて可動壁aを熱源物質sに接近させないようにする。
図8に、熱源物質sの表面温度が経時的に変化する場合における熱源物質sと可動壁aとの距離Xcの調整(設定)方法を示す。熱源物質sが時刻t0からt1まで段積み状態で保持される間に、熱源物質面の温度TssがTss(t0)からTss(t1)まで低下したとする。その際、熱源物質面の温度低下に伴い、熱電素子eの限界近接距離Xpが小さくなるため、まずは、限界近接距離Xpを温度低下に応じて変更する。次に、限界近接距離Xpよりも離れた位置において、前述の計算方法に従い、距離Xと発生電力P又は熱電変換効率ηとの相関を求め、発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる距離Xcをそれぞれ計算する。そして、図8のようにXcの時間変化分だけ可動壁aの位置を調整し、継続して熱電発電を行う。このような方法により、熱源物質面の温度が経時的に変化する場合においても、熱電素子温度が耐熱温度を超えないように保護しつつ、熱電素子eによる発電を効率的に行うことが可能となる。
a 可動壁
b 温度計
c 演算手段
d 制御手段
e 熱電素子
s 熱源物質
c1 演算装置
d1 制御装置
1 本体
2 走行機構部
3 レール

Claims (4)

  1. 保管ヤードに保管された熱源物質を熱源として熱電発電を行う方法であって、
    保管ヤードに、受熱面となる壁面に熱電素子(e)が組み込まれ、熱源物質に対して接近・離間可能な可動壁(a)を設け、
    熱源物質(s)が段積みされたスラブであり、可動壁(a)を、熱電素子(e)が組み込まれた壁面が段積みされたスラブ側面と対面した状態とし、
    熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質(s)と可動壁(a)との距離X c を求め、熱源物質(s)に対して、距離X c をおいた位置で可動壁(a)を対面させた状態で、熱電素子(e)による熱電発電を行うとともに、
    温度計により測定される熱源物質面の温度分布の中から測定最大値T ss・max を求め、この測定最大値T ss・max を用いて、可動壁(a)と熱源物質(s)との距離Xに応じた熱電素子(e)の表面温度T h・max を求め、この表面温度T h・max と熱電素子(e)の耐熱温度T p を比較してT h・max >T p となる距離Xがある場合に、T h・max ≦T p となる任意の距離Xを限界接近距離X p として設定し、距離X c に関わりなく、限界接近距離X p を超えて可動壁(a)を熱源物質(s)に接近させないことを特徴とする熱電発電方法。
  2. 可動壁(a)と対面する熱源物質面の温度Tss及び有効放熱面積Aに基づき、可動壁(a)と熱源物質(s)との距離Xに応じた熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηを計算により求め、この計算結果から、熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質(s)と可動壁(a)との距離Xcを求めることを特徴とする請求項に記載の熱電発電方法。
  3. 温度計により経時的に変化する熱源物質面の温度Tssを逐次測定し、この測定温度に基づいて、熱電素子(e)の発生電力P又は熱電変換効率ηが最大となる熱源物質(s)と可動壁(a)との距離Xcを逐次求め、可動壁(a)を熱源物質(s)に対して接近・離間させることで距離Xcに位置させることを特徴とする請求項に記載の熱電発電方法。
  4. 温度計により測定される熱源物質面の温度に部位による温度分布がある場合、その平均値を熱源物質面の温度Tssとすることを特徴とする請求項2又は3に記載の熱電発電方法。
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