次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の一実施形態に係るレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
<レーザプリンタの概略構成>
レーザプリンタ1は、図1に示すように、主に、筐体2と、記録シートの一例としての用紙Pを筐体2内に給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4と、連動機構300(図3参照)を備えている。
フィーダ部3は、筐体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32を主に備えている。
画像形成部4は、スキャナユニット5、プロセスユニット6、転写ローラTRおよび定着ユニット100などを備えている。
スキャナユニット5は、筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
プロセスユニット6は、筐体2に着脱可能であり、後述するフロントカバー23と定着ユニット100の間に配置されている。プロセスユニット6は、感光ドラム81を有するドラムカートリッジ8と、現像ローラ91やトナーを有する現像カートリッジ9とを備えている。
このプロセスユニット6では、回転する感光ドラム81の表面が、図示しない帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
次いで、回転駆動される現像ローラ91によって現像カートリッジ9内のトナーが感光ドラム81の静電潜像に供給されて、感光ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム81と転写ローラTRの間で用紙Pが搬送されることで、感光ドラム81の表面に担持されているトナー像が用紙P上に転写される。
定着ユニット100は、プロセスユニット6の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像(トナー)は、定着ユニット100を通過することで用紙P上に熱定着される。なお、定着ユニット100で熱定着された用紙Pは、定着ユニット100の下流側に配設される排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に送り出される。
筐体2には、前壁に第1開口部2Aが、後壁に第2開口部2Bがそれぞれ形成されている。そして、筐体2は、第1開口部2Aを開閉するカバーの一例としてのフロントカバー23と、第2開口部2Bを開閉するリアカバー24と、をそれぞれ回動可能に支持している。
<定着装置の詳細構成>
定着ユニット100は、筐体2に対して着脱可能に構成され、定着フィルム110と、ハロゲンランプ120と、加熱部材の一例としてのニップ板130と、反射板140と、加圧部材の一例としての加圧ローラ150と、ステイ160と、加圧機構200(図2参照)を主に備えている。
定着フィルム110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のフィルムであり、その両端部が後述するガイド部材170により回転が案内されている。
ハロゲンランプ120は、ニップ板130および定着フィルム110を加熱することで用紙P上のトナーを加熱する公知の発熱体であり、定着フィルム110の内側において定着フィルム110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、筒状の定着フィルム110の内面に摺接するように配置されている。そして、このニップ板130は、ハロゲンランプ120から受けた輻射熱を定着フィルム110を介して用紙P上のトナー(用紙P)に伝達する。
反射板140は、ハロゲンランプ120からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板130の上面に向けて反射する部材であり、定着フィルム110の内側においてハロゲンランプ120を取り囲むように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
加圧ローラ150は、ニップ板130の下方に配置され、ニップ板130と圧接しながら回転する部材であり、ニップ板130との間で定着フィルム110を挟むことで定着フィルム110との間にニップを形成する。
この加圧ローラ150は、図1に示すように、筐体2内に設けられたモータMから駆動力が供給されて回転駆動するように伝達機構151を介してモータMと連結されており、回転駆動することで定着フィルム110(または用紙P)との摩擦力により定着フィルム110を従動回転させる。
ステイ160は、前後方向におけるニップ板130の両端部を反射板140のフランジ部を介して支持することでニップ板130の剛性を確保する部材である。ステイ160は、反射板140の外面形状に沿った形状(断面視略U形状)を有して反射板140を覆うように配置されている。このようなステイ160は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。
また、ステイ160の左右両端の上部には、左右方向外側に突出する被支持部が形成され、この被支持部は、ガイド部材170に支持されるようになっている。
ガイド部材170は、樹脂などの絶縁性の材料で形成され、定着フィルム110の両端側に1つずつ配置されて、主に定着フィルム110の左右方向(軸方向)への移動を規制している。ガイド部材170にステイ160が支持されることで、ニップ板130がステイ160を介してガイド部材170に一体的に支持される。
図2に示すように、加圧機構200は、定着フレーム210と、ガイド部材170と、支持板220と、弾性部材の一例としてのコイルスプリングSとから主に構成されている。
定着フレーム210は、加圧ローラ150を回転可能に支持するとともに、ニップ板130等を一体的に支持するガイド部材170を加圧ローラ150に対して移動可能に支持している。具体的に、定着フレーム210の左右の側壁には、加圧ローラ150の軸受190を介して支持する軸支溝211と、ガイド部材170を上下に移動可能に支持する支持溝212が形成されている。
支持板220は、ガイド部材170の上面に固定されており、略後方(後述するリリースカム320側)に適宜屈曲しながら延びるように形成されている。
コイルスプリングSは、支持板220と、定着フレーム210の上部に固定された上フレーム213との間に設けられ、支持板220およびガイド部材170を常時下方(加圧ローラ150側)に加圧している。
このように構成された加圧機構200では、ニップ板130を移動可能に支持し加圧ローラ150側に向かって加圧することで、印字制御時においてニップ板130と加圧ローラ150との間に、好適な加圧力がかかるようになっている。なお、通常の印刷時において加圧機構200は、図3に示すように、コイルスプリングSが支持板220を加圧ローラ側に移動させた第1状態であり、ニップ板130と加圧ローラ150の間には好適な加圧力でニップを形成している。
また、定着フレーム210(定着ユニット100)は、後述する連動機構300の一部であるシャフト310を回転可能に支持している。
<連動機構>
連動機構300は、図2および図3に示すように、筐体2内に設けられ、フロントカバー23およびリアカバー24の開放動作に連動して加圧機構200がガイド部材170(ニップ板130)を移動させるように構成されている。連動機構300は、シャフト310と、カムの一例としての左右一対のリリースカム320と、アームの一例としてのL字アーム330と、スライド部材の一例としての第1のスライド部材340と、第1リンク341と、第2リンク342と、第2のスライド部材350と、第2カム24Cと、から主に構成されている。
シャフト310は、左右方向に延びる棒状の部材であり、定着フレーム210の左右の側壁に貫通して、定着フレーム210に回転可能に支持されている。
リリースカム320は、シャフト310の左右両端に固定され、シャフト310の径方向外側に突出するように形成されている。リリースカム320は、支持板220と係合可能であり、シャフト310が回転することで、支持板220を上下動させる。
L字アーム330は、シャフト310の右端に固定されており、フロントカバー23とリアカバー24が閉じられた状態において、シャフト310から後方(リアカバー24側)に向かって延びる第1アーム331と、シャフト310から下方に延びる第2アーム332と、第2アーム332の下方から前方に向けて円弧形状に突出するアーム当接部333と、を有している。
このL字アーム330は、リリースカム320とともにシャフト310に一体に固定されている。そのため、L字アーム330を回動させることで、左右のリリースカム320がL字アーム330の回動に連動して回動し、支持板220を上下動させることができる。
具体的に、図4に示すように、L字アーム330が図示反時計回りに回転することで、リリースカム320も図示反時計回りに回転し、支持板220を上方へ押圧する。これにより、左右のガイド部材170がコイルスプリングSの加圧力に抗して上昇する。また、この状態からL字アーム330を元の位置に戻すと、図3に示すように、リリースカム320が左右の支持板220から外れて、コイルスプリングSの加圧力により左右のガイド部材170が下降する。
そして、このようにL字アーム330を回動させることで、定着フレーム210に対してガイド部材170を上下動させると、ガイド部材170に保持されたニップ板130が、定着フレーム210に支持された加圧ローラ150に対して上下に移動する。これにより、ニップ板130と加圧ローラ150の間に働く加圧力の変更を行うことが可能となっている。
第1のスライド部材340は、図3に示すように、前後方向に延びる棒状部材であり、フロントカバー23と第2アーム332の間に配設されている。第1のスライド部材340のフロントカバー23と反対側の端部である後端側には、L字アーム330のアーム当接部333と当接する当接部360が形成されている。フロントカバー23側の端部である前端は、第1リンク341と第2リンク342を介してフロントカバー23に連結されている。
第1リンク341は、長尺状に形成され、フロントカバー23に回動可能に連結されている。
第2リンク342は、第1リンク341と第1のスライド部材340の間で筐体2に回動可能に支持され、第1リンク341および第1のスライド部材340のそれぞれに回動可能に連結されている。具体的に、第2リンク342は、第2リンク342を回動可能に軸支するリンク軸343を中心に備え、リンク軸343から前斜め上方に延びて第1リンク341と連結する符号を省略して示すアーム部と、リンク軸343から下斜め前方に延びて第1のスライド部材340に連結する符号を省略して示すアーム部を有している。
以上のように構成された第1リンク341と第2リンク342は、図4に示すように、フロントカバー23が開放されると、第1リンク341が前方へ移動し、これに伴い第2リンク342が図示反時計回りに回転するようになっている。これにより、第1のスライド部材340が後方へ押し出される。一方、フロントカバー23を閉じると、第1リンク341が後方へ移動し、これに伴い第2リンク342が図示時計回りに回転する。これにより、第1のスライド部材340が前方へ移動する。
第1のスライド部材340は、フロントカバー23の開閉に連動させてL字アーム330を回動させる部材である。フロントカバー23が開放されると、第1のスライド部材340は、後方へスライド移動し、当接部360でアーム当接部333を後方へ向かって押圧する。これにより、L字アーム330が図示反時計回りに回転する。また、この状態からフロントカバー23を閉じると、第1のスライド部材340は、前方へ移動し、コイルスプリングSの加圧力によってL字アーム330が図示時計回りに回転し、元の位置に戻る。
第1のスライド部材340は、フロントカバー23を全開にした状態で、最も後方に位置し、このとき、リリースカム320は、支持板220を上に持ち上げ、加圧機構200が第2状態となる。この状態では、ニップ板130は、加圧ローラ150から離間し、加圧ローラ150からニップ板130への加圧力がかからない。つまり、連動機構300は、フロントカバー23を開放する動作に連動してコイルスプリングSによって支持板220が下に加圧され、その加圧力によって加圧ローラ150とニップ板130との間にニップを形成する第1状態から、コイルスプリングSの加圧力に抗して支持板220が持ち上げられ、加圧ローラ150からニップ板130への加圧力が第1状態よりも弱くなる第2状態とに加圧機構200を変化させている。
<スライド部材のダンパー機構>
当接部360は、図6に示すように、フロントカバー23を開状態から閉状態へと閉じるときにアーム当接部333と順に当接する第1面の一例として第1当接面361と、第2面の一例としての第2当接面362と、第3面の一例としての第3当接面363と、を備えている。
第3当接面363は、フロントカバー23を閉じて加圧機構200が第1位置に位置しているときに、アーム当接部333と当接している面である。
第3当接面363は、第1のスライド部材340の下面344から上方に向かって連続する後端面346と連続して形成されている。第3当接面363は、後端面346の上端から前方に向かって第1のスライド部材340の移動方向に対してα1の角度で傾斜して上に伸びる面である。
第2当接面362は、第3当接面363よりもフロントカバー23側に形成されている。第2当接面362は、第3当接面363の上端から連続しており、第3当接面363の上端から前方に向けて第1のスライド部材340の移動方向に対してβ1の角度で傾斜して上に伸びる面である。
第1当接面361は、第2当接面362の上端から連続しており、第2当接面362の上端から第1のスライド部材340の移動方向と平行に前方へ向けて延びる面である。
第3当接面363と第1のスライド部材340の移動方向との成す角α1と第2当接面362と第1のスライド部材340の移動方向との成す角β1の大きさは、α1>β1となるように第3当接面363と第2当接面362が第1のスライド部材340の移動方向に対して傾斜している。第1当接面361と第1のスライド部材340の移動方向とは平行なため、第1当接面361と第1のスライド部材340の移動方向との成す角は、第2当接面362と第1のスライド部材340の移動方向との成す角β1よりも小さくなっている。
次に、フロントカバー23を開状態から閉状態へと閉じるときの、第1のスライド部材340とL字アーム330の動作について詳しく説明する。
フロントカバー23を開放した状態において、支持板220が上に移動されているので、コイルスプリングSは、最も縮まった状態となっている。そのため、コイルスプリングSから支持板220および、支持板220と接触しているリリースカム320とL字アーム330への加圧力が最も大きくなっている。フロントカバー23を閉じていくと、支持板220が下に移動しコイルスプリングSが伸びていくため、支持板220およびリリースカム320とL字アーム330へのコイルスプリングSからの加圧力が小さくなっていく。
フロントカバー23を全開にし、加圧機構200が第2状態において、図6(a)に示すように、アーム当接部333が第1のスライド部材340の第1当接面361に乗り上げる。これにより、フロントカバー23が全開にされた状態においては、コイルスプリングS(加圧機構200)からアーム当接部333を介して第1のスライド部材340に伝達される加圧力の向きは、第1のスライド部材340の移動方向と直交するので、フロントカバー23がコイルスプリングSの加圧力によって閉じてしまうのを防ぐことができる。
フロントカバー23を閉じていくと、アーム当接部333が第1当接面361上を擦りながら移動し、図6(b)に示すように、第2当接面362とアーム当接部333が当接する。第2当接面362は、第1のスライド部材340の移動方向に対して角度β1で傾斜した面であるため、コイルスプリングSによって、第1のスライド部材340を前方へと移動させる加圧力が加えられる。このときのアーム当接部333から第1のスライド部材340への加圧力をN2とし、第1のスライド部材340を前方へと移動させる加圧力はN2tan(β1)となる。
フロントカバー23をさらに閉じていくと、第1のスライド部材340はさらに前方へと移動し、図6(c)に示すように、アーム当接部333が第3当接面363と当接する。第3当接面363は、第1のスライド部材340の移動方向に対して角度α1で傾斜した面であるため、コイルスプリングSによって、第1のスライド部材340を前方へと移動させる加圧力が加えられる。このときのアーム当接部333から第1のスライド部材340への加圧力をN1とし、第1のスライド部材340を前方へと移動させる加圧力はN1tan(α1)となる。
ここで、加圧力N1は、加圧力N2が第1のスライド部材340にかかるときよりもフロントカバー23を閉じたときにかかる加圧力である。つまり、加圧力N1がかかるときは加圧力N2がかかるときよりもコイルスプリングSは伸びた状態である。そのため、第1のスライド部材340にかかる加圧力の大きさは加圧力N2のほうが加圧力N1よりも大きく、N2>N1となる。
また、第2当接面362と第1のスライド部材340の移動方向とが成す角β1は、第3当接面363と第1のスライド部材340の移動方向とが成す角α1よりも小さくなっている。そのため、tan(β1)は、tan(α1)より小さく、tan(β1)<tan(α1)の関係が成り立つ。つまり、コイルスプリングSからの加圧力が強いときには、第1のスライド部材340への前方への加圧力を弱めるために第1のスライド部材340の移動方向との成す角が小さい第2当接面362と当接させている。
本実施形態では、フロントカバー23の閉じ始めのコイルスプリングSからの加圧力が大きいときの第1のスライド部材340への前方に向けての加圧力の強さを抑えるようにしている。つまり、加圧力が強いときには、コイルスプリングSからの加圧力のうち前方にかかる加圧力を抑え、下方にかかる加圧力を大きくするようにしている。これにより、コイルスプリングSの加圧力によってフロントカバー23が勢いよく閉まってしまうことを抑え、フロントカバー23のユーザの操作性を向上させている。
第2のスライド部材350は、図3に示すように、略上下方向に延びる棒状の部材であり、第2カム24Cと第1アーム331との間に配設され、筐体2に長手方向にスライド可能に支持されている。
第2カム24Cは、リアカバー24の下端部に、リアカバー24の回動中心24Aからカバー本体24Bと直交する方向に延びるように形成されている。この第2カム24Cは、リアカバー24の回動動作を第2のスライド部材350のスライド動作に変換して伝達する。
第2のスライド部材350は、図5に示すように、リアカバー24が開放されることで、下端が第2カム24Cと係合し、押し上げられる。このとき、第2のスライド部材350の上端は、第1アーム331と係合し、第1アーム331を上方へ向けて押すことでL字アーム330を図示反時計回りに回転させる。また、この状態からリアカバー24を閉じると、第2のスライド部材350と第2カム24Cとの係合が解除されるため、コイルスプリングSの付勢力によって、第1アーム331と第2のスライド部材350が下方へ移動し、元の位置に戻る。
また、第2のスライド部材350は、リアカバー24を全開にした状態で最も上方に位置し、このとき、リリースカム320が支持板220を持ち上げる。つまり、連動機構300は、リアカバー24を開放する動作に連動して第1状態よりも支持板220が持ち上がってコイルスプリングSが縮まることにより加圧ローラ150からニップ板130への加圧力の弱い第3状態に加圧機構を変化させるように構成されている。
また、第2のスライド部材350は、図5に示すように、リアカバー24を全開にした状態において、第2カム24Cの第2のスライド部材350との係合部分からリアカバー24の回動中心24Aに向かう方向と、第2のスライド部材350の移動方向とが平行になるように構成されている。これにより、リアカバー24が全開にされた状態においては、コイルスプリングS(加圧機構200)から第2のスライド部材350を介して第2カム24Cに加わる力の向きは、リアカバー24の回動中心24Aへ向かうので、リアカバー24がコイルスプリングSの加圧力によって閉じてしまうのを防ぐことができる。
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
フロントカバー23を開いた状態では、ニップ板130と加圧ローラ150とのニップを解除しているため、ジャムが発生した際にフロントカバー23側からニップ板130と加圧ローラ150の間に挟まった用紙Pを引き抜きやすい。
第1のスライド部材340の移動方向との成す角がα1の第3当接面と、第1のスライド部材340の移動方向との成す角がβ1の第2当接面とを備えている。コイルスプリングSからの加圧力が強いときには、第2当接面で加圧力を受けることによって、コイルスプリングSから第1のスライド部材340が受ける加圧力のうち、前方への加圧力の割合を小さくすることができる。これによって、コイルスプリングSからの加圧力が強いときに、フロントカバー23が急に閉じてしまうことを抑え、ユーザの操作性を向上させている。
また、連動機構300の一部を定着ユニット100の定着フレーム210に設けたので、定着ユニット100を着脱する際に、定着ユニット100と連動機構300を連結するための機構が不要になる。また、連動機構300を全て筐体2に設けた場合と比べて、定着ユニット100を筐体2から外してニップ圧や動作などをチェックできるので、メンテナンス性がよい。
また、リアカバー24が全開にされた状態においては、加圧機構200からの第2のスライド部材350を介して第2カム24Cに加わる力の向きが、リアカバー24の回動中心24Aに向かうので、リアカバー24に回転力を与えず、リアカバー24を開いた状態で静止させることができる。
そして、フロントカバー23が全開にされた状態においては、加圧機構200から第2アーム332を介して第1のスライド部材340に伝達される力の向きが、第1のスライド部材340の移動方向と直交するので、フロントカバー23に回転力を与えず、フロントカバー23を開いた状態で静止させることができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態として、当接部360が第1当接面361と第2当接面362と第3当接面363とを有する実施形態について説明したが、第2の実施形態として、当接部が第1当接面と第2当接面と第3当接面と第4当接面とを有する実施形態について説明する。なお、本実施形態において当接部とアーム当接部の形状以外は第1の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
L字アーム430は、図7に示すように、第2アーム432の下方から前方に向けて突出するアーム当接部433を有している。
当接部460は、図7に示すように、第1面の一例として第1当接面461と、第2面の一例としての第2当接面462と、第3面の一例としての第3当接面463と、第4面の一例としての第4当接面464と、を備えている。
第3当接面463は、フロントカバー23を閉じる動作に連動して第1のスライド部材340を移動させることで、加圧機構200を第2状態から第1状態へと変化させたときに、アーム当接部433と当接している面である。第3当接面463は、第1のスライド部材340の下面344から上方に向かって連続する後端面346と連続して形成されている。
第3当接面463は、後端面346の上端から前方に向かって第1のスライド部材340の移動方向に対してα2の角度で傾斜して上に伸びる面である。
第4当接面464は、第3当接面463よりもフロントカバー23側に形成されている。第4当接面464は、第3当接面463の上端から連続しており、第3当接面463の上端から前方に向けて第1のスライド部材340の移動方向と平行に伸びる面である。
第2当接面462は、第4当接面464の前端から前方に向かって第1のスライド部材340の移動方向に対してβ2の角度で傾斜して上に伸びる面である。
第1当接面461は、第2当接面462の前端から前方へ向けて延びる面であり、第1のスライド部材340の移動方向と平行に形成されている。
第3当接面463と第1のスライド部材340の移動方向との成す角α2と、第2当接面462と第1のスライド部材340の移動方向との成す角β2の大きさはα2>β2となるように第3当接面463と第2当接面462とが移動方向に対して傾斜している。
図7(a)に示すように、フロントカバー23を全開にした状態において、第2アーム332が第1のスライド部材340の第1当接面461に乗り上げるように設定されている。これにより、フロントカバー23が全開にされた状態においては、コイルスプリングS(加圧機構200)からアーム当接部433を介して第1のスライド部材340に伝達される力の向きは、第1のスライド部材340の移動方向と直交するので、フロントカバー23がコイルスプリングSの加圧力によって閉じてしまうのを防ぐことができる。
フロントカバー23を閉じていくと、アーム当接部433が第1当接面461上を擦りながら移動し、図7(b)に示すように、第2当接面462とアーム当接部433とが当接する。第2当接面462は、第1のスライド部材340の移動方向に対して角度β2で傾斜した面であるため、コイルスプリングSの加圧力によって、第1のスライド部材340を前方へと移動させる力が加えられる。このときのアーム当接部433から第1のスライド部材340への加圧力をN2とし、第1のスライド部材340を前方へと移動させる加圧力はN2tan(β2)となる。
フロントカバー23をさらに閉じていくと、第1のスライド部材340はさらに前方へと移動し、図7(c)に示すように、アーム当接部433が第4当接面464と当接する。第4当接面464は、第1のスライド部材340の移動方向と平行に形成されているため、コイルスプリングS(加圧機構200)からアーム当接部433を介して第1のスライド部材340に伝達される力の向きが、第1のスライド部材340の移動方向と直交し、スライド部材340を前方へと移動させる加圧力が働かない。
図7(c)の状態からさらにフロントカバー23を閉じていくと、第1のスライド部材340はさらに前方へと移動し、図7(d)に示すように、アーム当接部433が第3当接面463と当接する。第3当接面463は、第1のスライド部材340の移動方向に対して角度α2で傾斜した面であるため、コイルスプリングSの加圧力によって、第1のスライド部材340を前方へと移動させる力が加えられる。このときのアーム当接部433から第1のスライド部材340への加圧力をN1とし、第1のスライド部材340を前方へと移動させる加圧力はN1tan(α2)となる。
加圧力N1は、加圧力N2がかかるときよりもフロントカバー23を閉じたときにかかる加圧力なので、加圧力N1がかかるときは加圧力N2がかかるときよりもコイルスプリングSは伸びた状態である。そのため、加圧力の大きさは加圧力N2のほうが加圧力N1よりも大きく、N2>N1となる。
また、第2当接面462と第1のスライド部材340の移動方向とが成す角β2は、第3当接面463と第1のスライド部材340の移動方向とが成す角α2よりも小さくなっている。そのため、tan(β2)がtan(α2)より小さく、tan(β2)<tan(α2)の関係が成り立つ。つまり、コイルスプリングSからの加圧力が強いときには、第1のスライド部材340への前方への加圧力を弱めるために角度β2の第2当接面462と当接させている。
第4当接面464が移動方向と平行に形成されていることで、フロントカバー23を閉じるときに第2当接面462で加速されたフロントカバー23が閉じる勢いを抑えることができる。これにより、フロントカバー23が勢いよく閉まってしまうことで、ユーザの操作性が悪くなることを抑えることができる。
<第3の実施形態>
前記実施形態では、第1のスライド部材の移動方向との成す角が異なる複数の面を備える当接部を有する実施形態について説明したが、第3の実施形態として、当接部の形状が円弧形状になっている実施形態について説明する。なお、本実施形態において当接部の形状以外は前記実施形態と同一であるため、説明を省略する。
第1のスライド部材340の後端に形成される当接部560は、図8に示すように、第1面の一例として第1当接面561と、第2面の一例としての第2当接面562と、第3面の一例としての第3当接面563とを備えている。
当接部560は、第1のスライド部材340の後端面346から第1のスライド部材340の第1当接面561まで連続して形成されており、側面視略円弧形状をしている。
第1の当接面561は、図8(b)に示すように、加圧機構200を第2位置から第1位置へと移動させ、フロントカバー23を閉じた状態のときに、アーム当接部433と当接している第3当接位置565を有する面である。
第3当接面563の第3当接位置565における接線566と第1スライド部材340の移動方向との成す角はα3となっている。
第2当接面562は、図8(c)に示すように、第3当接面563よりもフロントカバー23側に形成された第2当接位置567を有する面である。つまり、第2当接面562は、第3当接面563よりもフロントカバー23側に備えられている。また、第2当接面562の第2当接位置567における接線568と第1スライド部材340の移動方向との成す角はβ3となっている。
第1当接面561は、第1のスライド部材340の移動方向と平行に形成されており、フロントカバー23を開き、加圧機構200を第2状態に変化させたときに、アーム当接部433と当接するようになっている。
接線568と第1スライド部材340の移動方向との成す角β3は、接線566と第1スライド部材340の移動方向との成す角α3よりも小さく、β3<α3となっている。
第3当接位置565の位置でアーム当接部433と当接しているときにコイルスプリングSの加圧力によってかかるL字アーム330から第1のスライド部材340への加圧力はN1である。第2当接位置567の位置でアーム当接部433と当接しているときにコイルスプリングSの加圧力によってかかるL字アーム330から第1のスライド部材340への加圧力はN2である。このとき、第1のスライド部材340への加圧力は、N2>N1となっている。
加圧力N2を受ける第2当接面562の第1スライド部材340の移動方向との成す角β3を、加圧力N1を受ける第3当接面563の第1のスライド部材340の移動方向との成す角α3よりも小さくしている。フロントカバー23の閉じ始めのコイルスプリングSからの加圧力が大きいときの第1のスライド部材340への前方に向けての加圧力が大きくなることを抑えることができる。
これにより、フロントカバー23が勢いよく閉まってしまうことを抑え、ユーザの操作性を向上している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、加圧機構200は、ニップ板130を加圧ローラ150に対して移動可能に支持していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加圧機構は、加圧ローラ150をニップ板130に対して移動可能に支持していてもよい。
前記実施形態では、加圧機構200が第2状態のときニップ板130に加圧ローラ150から離間していたが、本発明はこれに限定されず、ニップ板130が加圧ローラ150に接触していてもよい。このようにニップ板130が加圧ローラ150に接触していても、ニップ板130と加圧ローラ150の間の加圧力が十分弱ければ、詰まった用紙Pを簡単に引き抜くことができる。
また、前記実施形態では、加熱部材としてニップ板130を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、板状のセラミックヒータを採用してもよいし、円筒状の加熱ローラを採用してもよい。また、円筒状の加熱ローラを採用する場合、加圧ローラ150ではなく、加熱ローラにモータMの駆動力を入力するように構成してもよい。
そして、前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
また、前記実施形態では、ニップ板130を持ち上げる部材として、L字アーム330の回動に連動して回動するリリースカム320を例示したが、本発明はこれに限定されず、L字アームに形成された第1アーム331と支持板220を当接させてニップ板130を持ち上げるように構成してもよい。
また、前記実施形態では、加圧機構200が第1状態のときにアーム当接部333と当接部360とが当接しているものについて例示したが、本発明はこれに限定されずに、加圧機構200が第1状態のときにアーム当接部333と当接部360とが離間されるように構成してもよい。
また、前記実施形態では、第1開口部2Aが筐体2の前壁に形成されていたが、本発明はこれに限定されず、第1開口部は筐体2の上壁に形成されていてもよい。つまり、第1カバーはトップカバーであってもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
前記実施形態では、画像形成装置として、レーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、LEDによって露光を行うLEDプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、前記実施形態では、モノクロ画像を形成する画像形成装置を例示したが、本発明はこれに限定されず、カラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。