JP5862027B2 - プラズマcvd装置及び薄膜基板の製造方法 - Google Patents

プラズマcvd装置及び薄膜基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に関するものである。特にシリコン薄膜太陽電池や、薄膜トランジスタなどに利用される高品質なアモルファスシリコン薄膜を形成するためのプラズマCVD装置及びプラズマCVD法を用いたシリコン系薄膜の製造方法に関するものである。
現在、太陽電池の主流を成す単結晶シリコン系太陽電池または、多結晶シリコン系太陽電池と比較して、シリコン薄膜太陽電池は温度依存性が小さく、コスト的にも有利であるため次世代の太陽電池として注目されている。
シリコン薄膜太陽電池に用いられるアモルファスシリコン薄膜を作製するための技術として平行平板型プラズマCVD法が採用されている。このような従来の平行平板型プラズマCVD装置を図6に示す。図6に示す従来のプラズマCVD装置1には真空度を保持する排気系を有する真空容器2が備えられ、同容器2内には陰極3と、被成膜基板13を保持する接地電極11が設置されている。接地電極11上には被成膜基板13が保持されており、接地電極11の内部には基板を加熱するための加熱機構12が内蔵されている。原料ガスは陰極3内に絶縁物を介して設置された反応ガス導入路7を通じて、被成膜基板13上へ均一に導入される。また陰極3にはマッチングボックス14を介し高周波電源15が接続されており、排気系により一定の圧力に保持し、陰極3に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、基板表面にアモルファスシリコン薄膜を形成する。
しかし、このような平行平板型プラズマCVD法で作製されたアモルファスシリコン薄膜は光照射により、膜中の中性ダングリングボンド(欠陥)が増大し、光劣化を起こすことが知られている。この光劣化はStaeber−Wronski効果として30年以上前に見出されているにも関わらず、未だに解消されていない。
またこの光劣化を起こすメカニズムに関しても、現在明確に解明されたわけではないが、その光劣化と相関のあるものとして膜中のSi−H結合濃度が知られており、膜中のSi−H濃度が低いものは光劣化が少ないとの報告がされている(非特許文献1)。その中で膜中のSi−H濃度が増加する原因として、成膜中に発生する高次シランラジカル((SiH:n=2〜5)が原因であるとされており、高次シランラジカルはプラズマ中に生成したSiHラジカルが、Si−H結合に挿入する逐次反応によって成長し、膜中に混入することによって、Si−H結合の増加や、初期のダングリングボンドを膜中に形成するとされている。
このようなSi−H結合の混入やダングリングボンドを抑制する手段として基板表面温度を220℃から250℃に加熱することが好適であるとされている(非特許文献1)。これは、この範囲より低温であると成膜中のアモルファスシリコン薄膜表面での表面反応が抑制され欠陥の多い膜となってしまい、またこれより高温となると表面からの水素の脱離が発生し欠陥が多くなったり、太陽電池を作製する際に下地へのダメージが問題になったりするからである。
近年、トライオード法が考案されSi−H結合濃度を低くする成膜方法が提案された。このトライオード法の成膜装置を図7に示す。トライオード法によるプラズマCVD装置は図7に示すように図6に示した平行平板型プラズマCVD装置の陰極3と接地電極11の間にメッシュ電極17を挿入し、このメッシュ電極には直流可変電源16が接続されている。このようにトライオード法も平行平板型のCVD法であるが、陰極3と接地電極11間にメッシュ電極17を挿入し、これに電位(通常負電位)を印加することによって、陰極3とメッシュ電極17間にプラズマを閉じ込めることが可能になる。メッシュ電極17と接地電極11間にはプラズマが生成しないため、成膜に寄与するラジカルは陰極3とメッシュ電極17間で生成し、メッシュ電極17の空隙より拡散によって被成膜基板13へと到達する。ラジカルの拡散距離は分子量の逆数の平方根に比例する。高次シランラジカルは分子量が大きいため、SiHラジカルに比べ拡散距離が短いことを利用して、選択的にSiHラジカルを基板上へ輸送しようとするものである。これにより、非常に低いSi−H結合濃度を達成し、劣化率の低いアモルファスシリコン薄膜を得ている(非特許文献2)。
しかし、この技術では、高次シランラジカルを取り除くためには、メッシュ電極と接地電極間の距離が必要となる。そのため、この距離が不十分であると高次シランラジカルを十分取り除けなくなり、高次シランラジカルを取り除くためにこの距離を長くすると成膜速度が遅くなるという問題があった。
そこで発明者らは鋭意検討を重ね、図8のような複数の凹部(ホロー)4を備えた陰極3と電位シールド板8を組み合わせ、プラズマを局在化させることを考えた。電位シールド板8を接地電位あるいは負電位に保つことにより、接地電極11に保持された被成膜基板上へのプラズマの流出を防ぎ、反応ガス中に含まれる高次シランを排気口6より真空容器外へ排気し、プラズマ化した原料ガス中に含まれるSiHラジカルを被成膜基板上に優先的に到達させる製造方法である(特許文献1)。この製造方法を用いれば、トライオード法よりも高速に高品質なアモルファスシリコン薄膜を得ることができる。
特願2009−069576

A. Matsuda et al. Solar Energy Materials & Sollar Cells 78 (2003) 3-26 Satoshi Shimizu et al. JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 101, 064911, (2007)
しかしながら、電位シールド板によりプラズマを局在化させると、プラズマの着火性が悪く、陰極上のすべての凹部(ホロー)にプラズマを発生させるのが困難になる問題がある。プラズマが発生していない凹部(ホロー)があるとその部分では反応ガスの励起、分解が起こらず、被成膜基板上の対向する部分の膜厚が薄く、薄膜の膜厚分布が不均一になってしまう。膜厚分布が不均一であると、例えばアモルファスシリコン太陽電池の場合では、セル毎の電流密度を揃えるのが困難になりモジュール化したときの変換効率が低下してしまう。
この問題は、陰極が大面積になると顕著になり、大面積化によるコストダウンを阻害している。
点火時のみ投入電力を大きくすることで着火性を改善することができるが、製造設備に高価な大容量電源を必要とする。更に、大きな電力を投入することで下地層や下地層と成膜層との界面を傷める問題もある。
また、点火時のみ圧力を下げてプラズマの局在化を緩和すると、プラズマが凹部(ホロー)からはみ出し着火性は向上するものの、第一の目的であった高次シランを選択的に排気する機能が不十分になる。点火時の低圧力状態を作るためにより排気能力の高い排気系が必要となる問題もある。
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、欠陥が低く、高次シラン混入の少ない高品質なアモルファスシリコン薄膜を大面積で得るために、広い面積に渡り陰極凹部(ホロー)にプラズマを発生させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のプラズマCVD装置は以下の構成をとる。すなわち、真空容器と、
該真空容器内を減圧下に保持するための排気系と、
被成膜基板を置くための接地電極と、複数の凹部を備えた陰極と、
前記凹部に、原料ガスを供給するための原料ガス導入路と、
前記凹部から、排気系に接続された排気口へ原料ガスを排気するため、前記陰極内部に形成された排気経路と、
前記接地電極と前記陰極との間に、
前記凹部と相対向するように複数の貫通孔が形成され、電位を一定に保つことができる電位シールド板と、
前記陰極に高周波電力を印加する高周波電源とを備え、
前記電位シールド板と前記接地電極との間に、点火補助板が設置されている
プラズマCVD装置である。
また、上記課題を解決するため、本発明のシリコン系薄膜の製造方法は以下のプロセスを経るものである。すなわち、
被成膜基板を置くための接地電極と、複数の凹部を備えた陰極と、
前記凹部に、原料ガスを供給するための原料ガス導入路と、
前記凹部から、排気系に接続された排気口へ原料ガスを排気するため、前記陰極内部に形成された排気経路と、
前記接地電極と前記陰極との間に、
前記凹部と相対向するように複数の貫通孔が形成され、電位を一定に保つことができる電位シールド板を備えた装置を用いるプラズマCVD法において、
前記電位シールド板と、前記接地電極との間に設置された点火補助板を用いて
プラズマを点火する薄膜基板の製造方法である。
本発明によれば、以下に説明するとおり、点火時に大電力を投入することなく、また点火時に圧力を低く変更することなく、陰極凹部内にプラズマを発生させることができる。このことにより、複数の凹部を備えた陰極と電位シールド板を利用したプラズマ閉じ込めによるアモルファスシリコン薄膜の高品質化を大面積に適用することができる。
本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。 本発明にかかる第二実施形態によるプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。 本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の点火補助板の移動、変形機構を示す概略図である。 本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の点火補助板の移動、変形機構を示す概略図である 本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の点火補助板の移動、変形機構を示す概略図である 従来のプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。 従来のトライオード法を用いたプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。 従来の複数の凹部を備えた陰極と電位シールド板を組み合わせたプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。 本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。 本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の点火補助板の移動、機構を示す概略図である。 本発明にかかる第一実施形態によるプラズマCVD装置の点火補助板の移動機構を示す概略図である。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
[第一実施の形態]
図1は本発明の第一実施の形態によるプラズマCVD装置の構成を示す概略図である。
図1によると本発明のプラズマCVD装置1には、真空度を保持する排気系を備えた真空容器2と、真空容器2内には複数の凹部4を備えた陰極3と、被成膜基板13が置かれる接地電極11が設置されている。
陰極3にはマッチングボックス14を介して、高周波電源15が接続されている。この高周波電源の周波数は任意に選択が可能で、生産性および均一性の観点から、好ましくは100kHz以上100MHz以下、さらに好ましくは10MHz以上60MHz以下がよい。
被成膜基板13は接地電極11上に動かないように置かれていればよく、例えば接地電極11に座繰りを設けて被成膜基板13をその中に置いても、別の治具で被成膜基板13を接地電極11に押し付けてもよい。また接地電極11の内部には被成膜基板13を加熱するための加熱機構12が内蔵されている。
陰極3にはプラズマを閉じ込める空間となる凹部(ホロー)4が形成されている。なお本発明における凹部とは、図1のように必ずしも先が閉じている必要はない。陰極3に形成された凹部4は、陰極3内部および電極上面の排気口5を通じて、図示しない真空ポンプ接続され真空排気が可能となっている。この凹部4の直径はあまり小さすぎると凹部4の内部にプラズマを発生しにくくなり、また十分な排気能力が得られないため好ましくない。一方、大きすぎると凹部4の中心と端でのプラズマ強度差が大きくなり被成膜基板13の膜厚分布が悪化する。そのため、好ましい範囲としては2mm以上100mm以下であり、さらに好ましくは5mm以上50mm以下である。また、被成膜基板13上の膜厚分布を考えると、この凹部4は放電電極表面5上で均一に配置されていることが好ましい。
陰極3には、原料ガスを供給するための原料ガス導入路7が形成されている。原料ガス導入路7は陰極3と電位シールド板8を通じている。原料ガスは、図示しないマスフローコントローラーにより流量をコントロールして原料ガス導入路7へ導入され、真空容器2内に供給される。
成膜中の排気は陰極3上部に形成された排気口6からのみからの排気でもかまわないが、これ以外に排気系を設け圧力調整を行ってもなんら問題が無い。
原料ガスには一般的にシランガス(SiH)が用いられるが、ジシラン(Si)やメチルシラン、金属ハロゲン化物、ジボラン、フォスフィン等のガスを選択することも可能である。また水素や、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスで希釈してもかまわない。
さらに、図1のプラズマCVD装置のように、陰極3と接地電極11の間に、複数の貫通孔9が形成され、電位を一定に保つ電位シールド板8が設置されている。
この電位シールド板8を設置する目的は、陰極3に形成された凹部4の内部にプラズマを局在化させるためであり、トライオード法の要素を取り入れるためである。そのために電位シールド板8を接地すること、あるいは電位シールド板8に直流可変電源16等を接続し電位を印加することはプラズマをコントロールする上で非常に有効な手段である。電位シールド板8を接地電位または、負電位とすることで、プラズマを凹部4の中に閉じ込め、電位シールド板8と被成膜基板13間に存在するプラズマを弱めることが可能となる。また、電位シールド板8に接続する電源16は電位をかけられるものであれば問題なく、周波数がkHzオーダー以上の交流電源であれば自己バイアスが発生し直流電位をかけることができるので、直流電源以外にも、kHz程度の交流電源やRF電源を用いてもよい。接地電位とするのであれば電源16は不要でそのまま接地すればよい。
プラズマの閉じ込めを考慮した場合、その電位シールド板8の貫通孔9の中心軸が、陰極3に形成された凹部4の中心軸と重なるように配置されることが好ましい。凹部4中には、ホローカソード放電による円柱状のプラズマが発生すると考えられ、貫通孔9と凹部4の中心軸が一致していると、プラズマから接地電位又は負電位である電位シールド板8までの距離が均等となり、プラズマの放電が安定するためである。また、電位シールド板8の貫通孔9の直径は凹部3の直径より大きすぎるとプラズマが漏れる原因となり、狭すぎるとプラズマからの活性種の拡散が抑えられ成膜速度が維持できないので、好ましくは凹部4の直径の0.5倍から2倍の範囲、より好ましくは0.7倍から1.5倍の範囲である。電位シールド板8の貫通孔9の形状はテーパー状等の形状となっていてもかまわない。
このようにしてプラズマを凹部4中に閉じ込めることにより、プラズマは排気の流れの中に存在することになる。このため拡散長の短い高次シランは排気の流れによって排気され、また拡散長の長いSiHラジカルは拡散によって基板方向へと到達することが可能である。
また、電位シールド板8と被成膜基板13間のプラズマが弱められることにより、電位シールド板8と被成膜基板13の間では新たな活性種の発生はほとんどなくなることになる。これにより成膜に寄与する高次シラン、SiHラジカルや、SiHラジカルは電位シールド板8の貫通孔9より被成膜基板13の方向へ拡散したものに限られることになる。
電位シールド板8と被成膜基板13との間で起こる反応としては以下のようなものが考えられる。
Si2m+1 + SiH → Si2m+2 + SiH(mは2以上の整数)
(1)
SiH + SiH → Si (2)
SiH + SiH → SiH + SiH (3)
排気の流れに逆らい被成膜基板13の方向へ拡散した高次シランラジカルは、被成膜基板13の方向へ拡散中に親分子であるSiHと反応し不活性な高次シランになることにより成膜には関与せず排気される(1)。SiHラジカルは拡散しながら高次シランへ成長していく過程で親分子であるSiHと反応し不活性になることにより、成膜には関与せず排気される(2)。一方で親分子との反応により変化しないSiHラジカル(3)は基板へ到達し、選択的に成膜に寄与することにより、高品質な膜を得ることが可能になる。
電位シールド板8と接地電極11との間には点火補助板10が設置される。点火補助板10が存在することにより、パッシェンの法則における電極間距離が、陰極3と接地電極11の間の距離から陰極3と点火補助板10の間の距離に変わり、点火および放電維持を容易にする。
点火補助板10は接地されていてもよいし、図1のように直流電源16等に接続されて任意の電位を印加してもよい。パッシェンの法則における電位は陰極3の電位と点火補助板10の電位の差となるため、印加電位を調整することで様々な成膜圧力においても良好に点火することができる。
点火補助板10と電位シールド板8の距離は変更できる方が好ましい。点火補助板10と電位シールド板8の距離は、パッシェンの法則における電極間距離となるので、この値を変えることで様々な成膜圧力においても良好に点火することができる。
点火補助板10は、点火時には陰極3と被成膜基板13の小さい方の面積の50%以上、より好ましくは75%以上を覆うことができ、かつ点火終了後は移動または変形することで陰極3と被成膜基板13の小さい方を覆う面積が、陰極3と被成膜基板13の小さい方の面積の25%以下、より好ましくは10%以下とすることができる方が好ましい。
点火する際に陰極3または被成膜基板13を覆うことで点火する際の不安定な放電による被成膜基板13へのダメージを回避することができる。図9のように点火補助板10の縁に側壁18を設けると不安定な放電が被成膜基板13上に漏れにくくなるのでより好ましい。側壁18は電位制御板10の陰極3側、接地電極11側の両方に設けても、どちらか一方に設けても構わないが、より好ましくは接地電極11側だけに設ける。点火補助板10と陰極3の間に凹凸があるとそこを起点とする異常放電が発生することがあり、それを回避するためである。陰極3または被成膜基板13を覆う面積が、両者の小さい方の面積の50%より小さくなると点火時の不安定な放電が被成膜基板13上に漏れてしまい前述の効果を十分に発揮できない場合がある。
点火終了後は、点火補助板10が陰極3または被成膜基板13を覆っていると被成膜基板13上に堆積させるべき膜が点火補助板10上に堆積してしまい成膜速度の低下を招くので、点火補助板10は陰極3または被成膜基板13を覆う面積が両者の小さい方の面積の25%以下となるように、移動または変形できる方が好ましい。
点火補助板10の移動または変形には、例えば図3〜5、10、11のような機構が考えられる。なお、これらの例に限定するものではない。図3は点火補助板10を分割して被成膜基板13上から移動させる機構である。この機構は構造が単純であるため設置やメンテナンスが容易という利点がある。また、点火補助板10を被成膜基板13上から完全に取り除くことができるので前述の成膜速度低下が最小限に抑えられる利点もある。図4は点火補助板10がブラインドのように変形する機構である。この機構は点火補助板10を移動させるスペースが不要であるため真空容器のサイズを小さくできる利点がある。図5は点火捕縄板10が引き戸のように移動変形する機構である。これは図3および図4の中間的な特徴をもつ。図10は点火補助板10が移動するのみで変形しない機構である。CVD装置の真空容器内は空間的電気的な制約があるため、構造が単純なこの機構は特に既存装置を改造して本発明を適用する場合に好適である。図11は、図10の点火補助板10の縁に側壁18をつけた構造である。空間的な制約などで点火補助板10が陰極3や被成膜基板13よりも小さい場合、側壁18があることで点火時の不安定な放電が被成膜基板13上に漏れるのを軽減することができる。
[第二実施の形態]
第二実施の形態によるプラズマCVD装置は、図2のように第一実施の形態のプラズマCVD装置の排気口6、反応ガス導入路7の位置を変更させたものである。第二実施の形態では、排気の流れが被成膜基板14から遠のく方向と一致しないため、第一実施の形態と比べ排気流れを利用した高次シラン無害化の効力は落ちるが、電極構造を単純にできる利点があり、既存設備を改造する際には好適である。
反応ガス供給や排気を、陰極3を通じてではなく、真空容器2の側面または下面から行っても、本発明の目的である陰極凹部へのプラズマ点火性において第一実施の形態同様の効果が得られる。
上記で説明した本発明のプラズマCVD装置を用いて、接地電極11上に被成膜基板13を設置して真空排気した後、原料ガスを原料ガス導入路7から導入し、高周波電源15により電力を投入すると陰極3の全域に渡り凹部(ホロー)4内にプラズマを発生させることができる。
(実施例1)
[第一実施の形態]の図10に記載の構造を有し、
真空ポンプが機械式ドライポンプであり、
陰極3の接地電極11に対向する面のサイズが180mm×180mmであり
陰極3と接地電極11との間隔が45mmであり、
陰極3に直径10mm深さ40mmの凹部(ホロー)4が85個形成されており、
陰極3と電位シールド板8との間隔が1mmであり、
電位シールド板8に中心軸が陰極3上の凹部(ホロー)4と一致するように直径10mmの貫通孔9が凹部(ホロー)と同数形成されており、
陰極3と点火補助板10との間隔が30mmである装置を用いた。
点火時には被成膜基板13の面積の144%の面積を有する点火補助板10にて被成膜基板13を覆い
点火終了後には点火補助板10を側方に移動し被成膜基板13のを覆わないようにした。
高周波電源15の周波数を60MHzとし、
電位シールド板8の電位を0V(接地)とし、
点火補助板10の電位を0V(接地)とした。
原料ガスにSiHを使い、
流量を50sccmとし、
圧力を25Paとし、
接地電極11温度を210℃とし、
電位シールド板8温度を210℃とし、
電力を40Wとする条件で点火し、その後点火補助板10を移動させてアモルファスシリコン膜を60分間成膜した。
結果、陰極3の凹部(ホロー)4のすべてにプラズマが発生し、以下に定義する膜厚分布は10%以内であった。
膜厚分布は、陰極3中央の真下に置かれた被成膜基板の中央と、その位置を原点として半径20mmの円上の90°毎の位置の合計5ヶ所の膜厚を測定して得た値から下記式により算出した。
膜厚分布(%)={(各位置の膜厚の最大値−各位置の膜厚の最小値)/
(各位置の膜厚の最大値+各位置の膜厚の最小値)}×100
(実施例2)
電力を30Wとする以外は(実施例1)と同様の装置、条件でアモルファスシリコン膜を60分間成膜したところ、陰極3の凹部(ホロー)4のうち72個だけにプラズマが発生し、膜厚分布は15%であった。
(実施例3)
陰極3と点火補助板10との間隔を18mmとする以外は(実施例1)と同様の装置、条件でアモルファスシリコン膜を60分間成膜したところ、陰極3の凹部(ホロー)4のすべてにプラズマが発生し、膜厚分布は10%以内であった。
(実施例4)
陰極3と点火補助板10との間隔を18mmとし、電力を30Wとする以外は(実施例1)と同様の装置、条件でアモルファスシリコン膜を60分間成膜したところ、陰極3の凹部(ホロー)4のすべてにプラズマが発生し、膜厚分布は10%以内であった。
(比較例1)
(実施例1)の装置から点火補助板10を取り除いて、(実施例1)と同様の条件でアモルファスシリコン膜を60分間成膜したところ、陰極3の凹部(ホロー)4のうち56個だけにプラズマが発生し、膜厚分布は21%であった。
(実施例1)と(比較例1)を比較することで、点火補助板10が陰極3の全域にプラズマを発生させることを容易とし、良好な膜厚分布が得られることが分かる。また、(実施例2)と(実施例4)を比較することで、点火補助板10と陰極3との間隔を調整することで、陰極3の全域にプラズマを発生させることを更に容易にできることが分かる。
Figure 0005862027
本発明は、プラズマCVD装置およびアモルファスシリコン薄膜形成に限らず、微結晶シリコン薄膜等の各種薄膜形成、エッチング装置や、プラズマ表面処理装置などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
1 プラズマCVD装置
2 真空容器
3 陰極
4 凹部
5 陰極表面
6 排気口
7 反応ガス導入路
8 電位シールド板
9 貫通孔
10 点火補助板
11 接地電極
12 基板加熱機構
13 被成膜基板
14 マッチングボックス
15 高周波電源
16 直流電源
17 メッシュ電極
18 側壁

Claims (8)

  1. 真空容器と、
    該真空容器内を減圧下に保持するための排気系と、
    被成膜基板を置くための接地電極と、複数の凹部を備えた陰極と、
    前記凹部に、原料ガスを供給するための原料ガス導入路と、
    前記凹部から、前記排気系に接続された排気口へ原料ガスを排気するため、前記陰極内部に形成された排気経路と、
    前記接地電極と前記陰極との間に、
    前記凹部と相対向するように複数の貫通孔が形成され、電位を一定に保つことができる電位シールド板と、
    前記陰極に高周波電力を印加する高周波電源とを備え、
    前記電位シールド板と前記接地電極との間に、点火補助板が設置されている
    プラズマCVD装置。
  2. 前記点火補助板と前記電位シールド板との距離を変更することができるように構成されている請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  3. 前記点火補助板が、
    点火時に前記陰極と被成膜基板のいずれか小さい方の面積の50%以上を覆い、
    点火終了後に移動または変形することで
    前記面積の25%以下を覆うように構成されている
    請求項1または2に記載のプラズマCVD装置。
  4. 被成膜基板を置くための接地電極と、複数の凹部を備えた陰極と、
    前記凹部に、原料ガスを供給するための原料ガス導入路と、
    前記凹部から、排気系に接続された排気口へ原料ガスを排気するため、前記陰極内部に形成された排気経路と、
    前記接地電極と前記陰極との間に、
    前記凹部と相対向するように複数の貫通孔が形成され、電位を一定に保つことができる電位シールド板を備えた装置を用いるプラズマCVD法において、
    前記電位シールド板と、前記接地電極との間に設置された点火補助板を用いて
    プラズマを点火する薄膜基板の製造方法。
  5. 前記点火補助板をその点火補助板平面に対して垂直方向に動かすことにより、前記点火補助板と前記陰極との間隔を変えた後点火する請求項4に記載の薄膜基板の製造方法。
  6. 前記点火補助板が、点火時に前記陰極と被成膜基板のいずれか小さい方の面積の50%以上を覆い、
    かつ点火終了後に前記面積を25%以下として成膜を行う請求項4または5に記載の薄膜基板の製造方法。
  7. 前記点火補助板の縁に側壁が形成されている請求項1〜3に記載のプラズマCVD装置。
  8. 縁に側壁が形成された前記点火補助板を用いてプラズマを点火する請求項4〜6に記載の薄膜基板の製造方法。
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