JP5861617B2 - 物品保護用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、物品保護用フィルムに関する。具体的には、本発明は、書籍、雑誌、ノート、カタログ等の冊子状物の表面を保護するためのフィルムに関する。
従来、書籍、雑誌、ノート、カタログ等の表面に保護用フィルムを貼付することが行われている。特に、図書館等に並べられた書籍は、利用者が多く、汚れや破損の影響を受けやすいため、書籍の表面が保護用フィルムで覆われていることが多い。書籍の表面を保護用フィルムで覆うことにより、書籍の表面に空気や水分が接触することをブロックすることができるため、黄変や劣化を防ぐことができる。また、書籍の表面を保護用フィルムで覆うことにより、表紙の強度を補強でき、破損の影響を受けにくくすることができる。
このような物品保護用フィルムは、基材フィルムの片面に粘着剤層を積層した構成であり、物品保護用フィルムは粘着剤層を介して書籍等の表紙に貼付される。
例えば、特許文献1には、基材フィルムと粘着剤層を有するブックカバーが開示されている。ここでは、粘着剤層の上に離型紙が設けられており、離型紙は、粘着剤層に埃等の意図しない付着物が付くことを防ぐ働きをする。このようなブックカバーを書籍等の表紙に貼付する際には、離型紙を剥離し、粘着剤層を露出させてから貼付作業を行うこととしている。
特開2000−218960号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたブックカバーにおいては、離型紙を剥がしてから、書籍等の表紙に貼付しなければならないため、貼付工程が複雑化し、貼付作業を容易に行うことができないという問題があった。また、貼付作業には熟練が必要とされるため、図書館等で大量の書籍に貼付する際には、貼付工程に時間を要し、作業効率を高めることができないという問題もあった。
また、特許文献1等に開示された従来のブックカバーは、薄膜化によって、フィルムの伸縮性や柔軟性が増しており、貼付作業の際、粘着剤層同士が意図しない接着を起こすといった問題があった。粘着剤層同士が意図しない接着を起こした場合、作業スピードを低下させるだけでなく、それを剥がして再利用した場合、フィルムの透明性や粘着性を低下させることとなるため問題となる。
そこで本願発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、保護用フィルムを書籍等の表面に貼付する工程において離型紙を剥離する必要がなく、より簡便でスムーズに被着物品の表面を保護することができる物品保護用フィルムを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本願発明者らは、基材の片面に粘着防止層、他面に粘着剤層を設けた物品保護フィルムにおいて、基材の両面を凹凸形状とし、基材の引張弾性率とガーレーこわさを一定の範囲内とすることにより、貼付工程の作業効率を高めることができることを見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]基材の片面に粘着防止層、他面に粘着剤層を有する物品保護用フィルムにおいて、前記基材の少なくとも一方の面は凹凸形状であり、前記基材の引張弾性率が700〜810MPaであり、前記基材の70μm厚さ換算時の引張弾性率が640〜810MPaであり、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験法 No.40に準じて測定した前記基材のガーレーこわさは0.20〜0.60mNである物品保護用フィルム。
[2]前記基材の両面は凹凸形状であることを特徴とする[1]に記載の物品保護用フィルム。
[3]前記基材の凹凸形状はエンボス加工によって形成されることを特徴とする[1]または[2]に記載の物品保護用フィルム。
[4]前記粘着防止層はシリコーン樹脂を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の物品保護用フィルム。
[5]前記粘着剤層はアクリル樹脂を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の物品保護用フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の物品保護用フィルムであって、書籍の表紙の少なくとも一部を保護するための物品保護用フィルム。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の物品保護用フィルムがロール状に巻き取られて形成される物品保護用フィルムロール。
[8]前記物品保護用フィルムの粘着剤層側を内側にしてロール状に巻き取られることを特徴とする[7]に記載の物品保護用フィルムロール。
[9]粘着防止層に対する粘着剤層の剥離力が、剥離速度0.3m/分において0.1〜50N/mであることを特徴とする[7]または[8]に記載の物品保護用フィルムロール。
[10][1]〜[6]のいずれかに記載の物品保護用フィルムが積層された積重体。
[11]エンボスロールを基材の一方の面に押し当てエンボス加工を施す工程と、エンボスロールを押し当てた面とは反対側の面に粘着防止層を塗設する工程と、前記エンボスロールを押し当てた面に粘着剤層を塗設する工程とを含むことを特徴とする物品保護用フィルムの製造方法。
本発明によれば、物品保護用フィルムに離型紙を設ける必要がなく、貼付作業の際に離型紙を剥離する必要がないため、物品保護用フィルムを被着物品に貼付する工程を簡略化することができる。このため、貼付作業を効率化することができる。
また、本発明によれば、物品保護用フィルムが適度な引張弾性率とガーレーこわさを持つため、粘着剤層同士が意図しない接着を起こすという貼付作業中の不具合を解消することができる。このため、本発明によれば、フィルムの透明性や粘着性を低下させることなく、物品保護用フィルムを被着物品に貼付することができる。
図1は、本発明の物品保護用フィルムおよびその使用状態を示す図である。 図2は、本発明の物品保護用フィルムの層構造を示す断面図である。 図3は、本発明の物品保護用フィルムを被着物品に貼付する貼付手順の概念図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(物品保護用フィルム)
本発明は、物品保護用フィルムに関する。物品保護用フィルムは、書籍等の物品の表面に貼付され、書籍等の表紙を汚れや破損から守る働きをする。
図1には、本発明の物品保護用フィルム1と、それを被着物品10(書籍)に適用する状態が模式的に示されている。図1に示されているように、物品保護用フィルム1は、被着物品10の表表紙、裏表紙、およびこれらの表裏の表紙の連結領域を覆うように貼付される。物品保護用フィルム1が被着物品10と接する面には、粘着剤層が設けられており、粘着剤層を介して、物品保護用フィルム1と被着物品10が密着される。なお、本願明細書においては、このように、被着物品の表面を物品保護用フィルムで覆うことをオーバーラミネートと表現することがある。
本発明の物品保護用フィルムは、粘着剤層、基材および粘着防止層をこの順に積層した構成である。基材の片面には粘着防止層が積層され、他面には粘着剤層が積層される。粘着剤層は、被着物品と物品保護用フィルムを接着させる働きをする。基材は、粘着剤層および粘着防止層を支持し、かつ、物品保護用フィルムにガスバリア性や弾性を持たせる働きをする。粘着防止層は、粘着剤層同士が接着したり、粘着剤層と基材の接着を防ぐ離型層としての機能を有する。なお、粘着防止層は、被着物品に貼付された際に、最外層に露出する面となる。
本発明の物品保護用フィルムの基材の少なくとも一方の面は凹凸形状を有する。このため、基材と接する粘着剤層または粘着防止層は少なくとも一方の面に凹凸形状を有することとなる。
図2には、本発明の物品保護用フィルムの層構造の断面図が示されている。物品保護用フィルム1は、基材3の片面に粘着剤層2を有し、もう一方の面に粘着防止層4を有する。図2に示されているように、基材3は、両面に凹凸形状を有することが好ましい。さらに、基材3に面する粘着剤層2および粘着防止層4は各々、少なくとも一方の面に凹凸形状を有する。なお、粘着剤層2および粘着防止層4は、基材3に接する面のみに凹凸形状を有していてもよいし、基材3に接する面の反対側の面にも凹凸形状を有していても良い。図2においては、粘着剤層2は一方の面にのみ凹凸形状を有しており、粘着防止層4は両面に凹凸形状を有するものを好ましい態様として例示している。
図2に示されているように、粘着防止層4は両面に凹凸形状を有することが好ましい。粘着防止層4が両面に凹凸形状を有する場合、物品保護用フィルムを被着物品に貼付した際に粘着防止層4はその露出面側にも凹凸形状を有することとなる。露出面側を凹凸形状とすることにより、物品保護用フィルムが貼付された被着物品同士が接触した場合であっても物品保護用フィルムの間に好ましい隙間が生じることとなり、物品保護用フィルム間の意図しない密着が起こることを防ぐことができる。このため、図書館等の本棚において物品保護用フィルムが貼付された書籍が長期間に亘って保管された場合であっても、物品保護用フィルムが密着し書籍が取り出しにくくなることを防ぐことができる。
さらに、本発明においては、基材の引張弾性率が700〜810MPaであり、基材の70μm厚さ換算時の引張弾性率が640〜810MPaである。また、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験法 No.40に準じて測定した基材のガーレーこわさは0.20〜0.60mNである
引張弾性率は、「JIS−K7161」で規定された引張弾性率の測定で得られる値であり、弾性限度内において材料が受けた引張り応力を材料に生じたひずみで除した値を表す。すなわち、引張弾性率の値が大きいフィルムは、値が小さいフィルムに比べて、引張応力に対する変形が小さい、つまり剛性が強いということを示す。
本発明では、23℃〜80℃の雰囲気下において、基材の引張弾性率は700〜810MPaである。基材の引張弾性率は、700MPa以上であればよく、710MPa以上であることが好ましく、715MPa以上であることがより好ましい。また、808MPa以下であればよく、800MPa以下であることが好ましく、780MPa以下であることがさらに好ましい。
また、本発明では、基材の70μm厚さ換算時の引張弾性率は640〜810MPaである。基材の70μm厚さ換算時の引張弾性率は、640MPa以上であればよく、650MPa以上であることが好ましく、660MPa以上であることがさらに好ましい。また、810MPa以下であればよく、737MPa以下であることが好ましく、713MPa以下であることがさらに好ましい。ここで、70μm厚さ換算時の引張弾性率とは、引張弾性率が基材の厚さに比例するものと仮定した場合に、基材の厚さが70μmの時に示す引張弾性率を算出した値をいう。例えば、基材の厚さが80μmの引張弾性率が800MPaの70μm厚さ換算時の引張弾性率は、700MPaと算出される。
引張弾性率を上記範囲内とすることにより、物品保護用フィルムは、適度な剛性を有することとなる。これにより、貼付工程の作業安定性を高め、かつ、被着物品との密着性を高めることができる。なお、引張弾性率が上記下限値以下であると、剛性不足により作業安定性が低下するという問題が発生し、上記上限値以上であると剛性が強いため、物品保護用フィルムを被着物品に沿って折り曲げにくく、折り返し部分の密着性が低下するという問題が起こる。
引張弾性率の値としては、基材の縦方向(MD方向)の引張弾性率と横方向(TD方向)の引張弾性率の値を得ることができる。MD方向とTD方向の引張弾性率の値は異なる場合があるが、本発明では、MD方向およびTD方向の両方の引張弾性率の値が上記範囲内であることが好ましい。これにより、物品保護用フィルムの配向方向を規定することなく、物品保護用フィルムを被着物品に貼付することができる。
ガーレーこわさは「JAPAN TAPPI紙パルプ試験法No.40」で規定されたガーレー法による測定で得られる値で、鉛直に保持した試験片の自由端に力を与え、一定速度で試験片を曲げていくときに生じる曲げモーメントをmNの単位で求めたものである。すなわち、荷重曲げに対する曲げ反発性を測定し、素材の持つ剛軟性を求めたものである。ガーレーこわさが小さいことは、柔軟性が大きくなることを意味し、コシのないフィルムであることを示す。
本発明では、基材のガーレーこわさは0.20〜0.60mNである。ガーレーこわさは、0.20mN以上であればよく、0.22mN以上であることが好ましく、0.24mN以上であることがさらに好ましい。また、ガーレーこわさは、0.60mN以下であればよく、0.55mN以下であることが好ましく、0.50mN以下であることがより好ましい。
ガーレーこわさについても基材のMD方向およびTD方向の両方の値を得ることができるが、本発明では、MD方向およびTD方向の両方のガーレーこわさの値が上記範囲内であることが好ましい。
ガーレーこわさを上記範囲内とすることにより、物品保護用フィルムは、適度なコシを有することとなる。これにより、物品保護用フィルムの粘着剤層同士が意図しない接着を起こすことがなく、貼付の作業性を高めることができる。
所望の引張弾性率およびガーレーこわさを有する物品保護用フィルムは、基材を構成する樹脂の配合比率を調整することで得ることができる。基材に用いることができる樹脂としては、後述するような公知の樹脂を用いることができ、これら樹脂と添加剤等の配合比率を調整することで所望の引張弾性率およびガーレーこわさを有する基材を得ることができる。
また、基材を2軸延伸する場合は、縦、横の延伸倍率を適宜調整することによっても所望の引張弾性率およびガーレーこわさ有する基材を得ることができる。縦方向の延伸率を大きくすると縦方向のコシが強くなり、他方横方向の延伸率を大きくすると横方向のコシが強くなる。両者のバランスを適宜考慮することで所望の引張弾性率およびガーレーこわさを有する物品保護用フィルムを得ることができる。
本発明では、物品保護フィルムを上述したような構成とし、基材の引張弾性率とガーレーこわさの値を上記範囲内とすることにより、物品保護用フィルムを書籍等の被着物品に貼付する工程を簡略化でき、貼付作業を効率よく行うことができる。さらに、物品保護用フィルムが適度な引張弾性率とガーレーこわさを持つため、粘着剤層同士が意図しない接着を起こすという貼付作業中に起こる不具合を解消することができる。
本発明の物品保護用フィルムは、書籍等の物品の表紙に貼付され、書籍等の表紙を汚れや破損から守る働きをする一方で、書籍等の物品の表紙に記載された情報は容易に視認されることが必要とされる。このため、物品保護用フィルムは、光透過性が高く、透明性に優れていることが好ましい。物品保護用フィルムのヘーズ値は、0.01〜5.0の範囲となるように、各層の材料や厚みを調節することが好ましい。なお、物品保護用フィルムのヘーズ値は、2.0以下であってもよく、1.0以下であっても良い。
物品保護用フィルムの厚さは、貼付する被着物品の種類によっても異なるが、被着物品が書籍である場合は、50〜150μmであることが好ましい。物品保護用フィルムの厚さは、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましい。また、物品保護用フィルムの厚さは、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。物品保護用フィルムの厚さを上記範囲内とすることにより、物品保護用フィルムの透明性を保ちつつも、物品保護用フィルムのバリア性を高めることができ、被着物品の表面に空気や水分が接触することを防ぐことができる。これにより、被着物品の劣化を効果的に抑制することができる。
物品保護用フィルムは、ロール状に巻き取られ形成される物品保護用フィルムロールであることが好ましい。物品保護用フィルムロールは、粘着剤層が内側または外側となるように巻き取られたものであるが、ロールの最外層に粘着剤層が露出しないように、粘着剤層が内側となるように巻き取られることが好ましい。物品保護用フィルムは、基材を介して粘着剤層と粘着防止層が設けられているため、ロール状に巻き取られる際には、粘着剤層が粘着防止層の上に積層することとなる。このように、物品保護用フィルムロールでは、粘着防止層は粘着剤層の表面を汚れ等から保護する離型紙のような働きをすることができる。本発明では、粘着剤層を粘着防止層の上に積層するように巻き取ることにより、離型紙を粘着剤層の上に設ける必要がない。
物品保護用フィルムロールは、物品保護用フィルム貼付機器に取り付けられ、物品保護用フィルムロールを巻き戻しながら物品保護用フィルムと被着物品の貼付を行うことができる。このため、物品保護用フィルムロールを予め被着物品の表面積に合わせて切断しておく必要がなく、物品保護用フィルムの無駄を省くことができる。
図3に示すように、物品保護用フィルム貼付機器には、貼付台20と回転ロール30aおよび30bが備えらえている。図3に示すように、本発明の物品保護用フィルムを被着物品に貼付する際は、まず、貼付台20の上で、物品保護用フィルムを被着物品のいずれか1つの面に沿って貼付し、その後、隣接する他の面に貼付するよう、物品保護用フィルムまたは被着物品の向きを変えながら被着物品の表面に物品保護用フィルムを貼付する。図3の矢印に示すように被着物品を動かし、向きを変えながら物品保護用フィルムを貼付することが好ましい。回転ロール30aおよび30bは、一定圧力をかけながら物品保護用フィルムを挟み込み、物品保護用フィルムを貼付台20の方向に送る働きをする。回転ロール30aおよび30bにより、物品保護用フィルムの巻き戻し力を調節することができ、貼付作業を容易に進めることができる。被着物品の幅や物品保護用フィルムロールの剥離力などを考慮し、回転ロール30aおよび30bが物品保護用フィルムを挟み込む力は調節することができる。
被着物品の表面を覆うように貼付された物品保護用フィルムは、被着物品の外形よりもやや外側の領域で切断される。被着物品からはみ出た部分の物品保護用フィルムは、被着物品の外縁に沿って折り返され、表紙の内側領域に密着される。
なお、図3に示すように、物品保護用フィルムの幅と書籍の幅が同程度となるような物品保護用フィルムを用いてもよいが、物品保護用フィルムの幅が書籍の幅よりも広いものを用いてもよい。物品保護用フィルムの幅が書籍の幅よりも広いものを用いる場合、物品保護用フィルムの角部を切り落とした後に、物品保護用フィルムを折り返して密着することが好ましい。
また、貼付する際は、物品保護用フィルムと被着物品の間に気泡が入らないように、物品保護用フィルムにある程度の引張力をかけながら貼付作業を進めることが好ましい。このとき、物品保護用フィルムの引張弾性率が本発明で規定した範囲内であれば、作業性が良好となり、効率よく貼付作業を進めることができる。
本発明では、上述した物品保護用フィルム貼付機器と物品保護用フィルムロールを組み合わせて使用することで、貼付作業に不慣れな作業者であっても、簡単に物品保護用フィルムと被着物品を貼付することができる。また、物品保護用フィルム貼付機器と物品保護用フィルムロールを組み合わせて使用することで、物品保護用フィルムと被着物品の間に気泡が発生しにくくなる。
さらに、本発明では、物品保護用フィルムロールにおいて、粘着防止層に対する粘着剤層の剥離力は、剥離速度0.3m/分において0.1〜50N/mであることが好ましく、0.5〜30N/mであることがより好ましく、1〜10N/mであることが特に好ましい。剥離力の測定方法は、23℃、相対湿度50%雰囲気中、連続剥離試験機(テスター産業製)を用いて、0.3m/分にて180°剥離(巻き戻し)した時の剥離力(N/m)として求めることができる。0.3m/分での剥離力が0.1N/m未満では粘着テープを断続的に巻き戻した時に、必要以上に巻き出される(ハンチィング)ことがあり、一方、50N/mを超えると貼付作業に過度の力を要することとなり、貼付作業スピードを低下させることとなる。また、粘着剤層にかかる変形エネルギーが高くなって剥離跡を生じやすくなる危険性もある。
なお、本発明の物品保護用フィルムは、ロール状に巻き取り、物品保護用フィルムロールとすることが好ましいが、1枚のシート状とすることもできる。この場合は、粘着剤層が剥き出しとならないように、離型紙を粘着剤層に積層することが好ましい。
離型紙としては、種々の剥離フィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレートなどの各種樹脂よりなるフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。この場合、剥離処理の代表例としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成が挙げられる。剥離フィルムの厚みは、特に制限されず、適宜選定すればよい。
さらに、本発明では、シート状の物品保護用フィルムを積層した積重体として用いてもよい。この場合、物品保護用フィルムは、粘着防止層の上にさらに他の物品保護用フィルムの粘着剤層が積層するように積重体を構成することが好ましい。物品保護用フィルムは、使用される際に、積重体から1枚ずつ剥がされ、被着物品に貼付されることとなる。
(基材)
本発明において用いる基材は、シート状であり、粘着剤層および粘着防止層を支持する機能を有する。シート状の基材は、ロール状に巻き取られた原反ロールから供給されることが好ましい。
基材はガスバリア性を有することが好ましく、被着物品の表面が黄変や劣化することを防ぐことができる。本発明において、基材としては特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムといった透明高分子フィルムの適用が好適である。基材が柔らかい割に基材強度が高く、比較的安価であるという点からポリプロピレンフィルム(OPP)が好適に用いられる。
基材は、延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがさらに好ましく、平面2軸延伸されていることがチューブラーなどの延伸と比較して特に好ましく、逐次2軸延伸されていることがより特に好ましい。
本発明に用いられる基材の両面は凹凸形状である。凹凸形状はエンボス加工によって形成されることが好ましい。エンボス加工は、エンボスロールを基材の表面に押し当てることによって施される。エンボスロールは、円筒状の外周領域から突出した複数のピン状構造物を有するロールである。このエンボスロールを基材の表面に押し当て回転させることにより、基材の両面に凹凸形状を形成することができる。
上述したように、エンボスロールは、基材の一方の表面に押し当てられる。これにより、基材の両面に凹凸形状が形成されることとなるが、エンボスロールが押し当てられた一方の面の凹凸の表面粗さ(Rz)が、他方の面の凹凸の表面粗さ(Rz)よりも大きくなることが好ましい。
Rzは、0.05〜30μmであることが好ましく、Rzは0.02〜20μmであることが好ましい。
基材の厚さは、40〜140μmであることが好ましい。基材の厚さは、40μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、60μm以上であることがさらに好ましい。また、基材の厚さは、140μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。基材の厚さを上記範囲内とすることにより、ガスバリア性を高めることができる。さらに、基材を適度な厚さとすることにより、透明性を確保しつつも、被着物品の表紙等を効果的に補強することができ、破損等の影響を低減することができる。
なお、基材は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の添加剤を含んでいてもよく、添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤、抗菌剤等が例示される。
(粘着防止層)
粘着防止層は、シリコーン系剥離剤もしくはシリコーン変性樹脂系剥離剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これら剥離剤のさらに詳しい選定は、基材に対する粘着力、タック、保持力などの品質から選ばれた粘着剤の種類によって使い分けられる。
シリコーン系剥離剤には、剥離力、基材との密着性等を制御するためにSiO単位を有するシリカ構造のもの、SiO単位と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CHSiO1/2単位を有するレジン構造のものから選ばれる少なくとも一種の重剥離コントロール剤を含有させることが好ましい。その他、架橋剤、反応遅延剤、シランカップリング剤、セルロース誘導体、シリコーン樹脂微粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイソブチレン等の添加剤をシリコーンの硬化性、密着性を阻害しない程度加えることもできる。シリコーン系剥離剤の塗布量は0.05〜5g/mが好ましく、0.1〜1g/mがより好ましい。塗布量が0.05g/m未満では粘着剤層と粘着防止層との均一な剥離性能は得られないことがあり、また剥離力が高くなって粘着テープを巻き戻すことが困難となる場合があり、他方5g/mを超えると硬化条件を厳しく(高温長時間の硬化)する必要があり、加工速度の鈍足化及び高電力費など不経済性、コスト高となるため好ましくない。
粘着防止層は、上述した凹凸形状を両面に有する基材の上に、シリコーン系剥離剤等を含む粘着防止層塗工液を塗布し硬化することによって形成される。粘着防止層は、基材の上に薄膜形成されるため、粘着防止層も基材の形状に沿って凹凸形状面を有することとなる。粘着防止層は、基材と接する面のみに凹凸形状面を有していてもよいが、図2に示すように両面が凹凸形状であることが好ましい。粘着防止層の両面が凹凸形状を有することにより、物品保護用フィルムの外表面に凹凸形状が形成されることとなる。これにより、物品保護用フィルムが貼付された被着物品同士を接触させた場合に、表面の接触面積を減らすことができ、被着物品同士で意図しない密着が起こることを防ぐことができる。
粘着防止層は、エンボスロールを押し当てた基材の表面とは反対側の面に形成されることが好ましい。これにより、粘着防止層の凹凸の表面粗さを、基材の凹凸の表面粗さよりも小さくすることができ、適度な粗さの凹凸形状を有することができる。粘着防止層が適度な粗さの凹凸形状を有することにより、粘着剤層が粘着防止層に付着することを効果的に防ぐことができる。また、物品保護用フィルムを被着物品に貼付した際に、凹凸形状によって表紙の情報が視認しづらくなることもない。
粘着防止層の厚さは、0.01〜1.0μmであることが好ましい。粘着防止層の厚さは、0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましい。また、粘着防止層の厚さは、0.8μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましく、0.5 μm以下であることがさらに好ましい。粘着防止層の厚さを上記範囲内とすることにより、物品保護用フィルムの引張弾性率およびガーレーこわさを所望の範囲内とすることができる
なお、粘着防止層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の添加剤を含んでいてもよく、添加剤としては、酸化防止剤や紫外線防止剤が例示される。粘着防止層は、被着物品に貼付された後、最外層となるため、特に、紫外線防止剤を含むことが好ましい。
(粘着剤層)
粘着剤層は粘着剤を含有する。粘着剤としては、その種類は特に限定されるものではないが、経時での剥離力の安定性、透明性の点でアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤に用いられるアクリル樹脂は、例えばアルキル基を有するビニルモノマー、ヒドロキシ基を有するビニルモノマー、エポキシ基を有するビニルモノマー、アルコキシ基を有するビニルモノマー、エチレンオキシド基を有するビニルモノマー、アミノ基を有するビニルモノマー、アミド基を有するビニルモノマー、カルボキシル基を有するビニルモノマー、ハロゲン原子を有するビニルモノマー、リン酸基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するビニルモノマー、シラン基を有するビニルモノマー、ウレタン基を有するビニルモノマー、フェニル基を有するビニルモノマー、ベンジル基を有するビニルモノマー、テトラヒドロフルフリル基を有するビニルモノマー、その他共重合可能なモノマー等を含有するものが挙げられる。
アルキル基を有するビニルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有するビニルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコキシル基を有するビニルモノマーとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレンオキシド基を有するビニルモノマーとしては、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基を有するビニルモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2−メタクリロイルオキシコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
ハロゲン原子を有するビニルモノマーとしては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
リン酸基を有するビニルモノマーとしては、2−メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスフェート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
シラン基を有するビニルモノマーとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレタン基を有するビニルモノマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フェニル基を有するビニルモノマーとしては、フェニル(メタ)アクリレート、p−tert−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ベンジル基を有するビニルモノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
テトラヒドロフルフリル基を有するビニルモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他共重合可能なモノマーとしてはスチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、Veova10(シェル化学株式会社製、ビニルアルキレート化合物)、アクリロニトリル、ビニルピリジン等が挙げられる。
また、塗工適性を阻害しない範囲で、多官能ビニルモノマーを共重合することができ、また例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、トルイレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートダイマー、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリスー(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマー等の硬化剤、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Al3+を含むイオン性架橋剤(例えば酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等)を添加することもできる。
多官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、アクリル系樹脂に粘着物性の向上のため、各種添加剤例えばロジン等の天然樹脂、変性ロジン、ロジンおよび変性ロジンの誘導体、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、アルキル−フェノール−アセチレン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等をはじめとする粘着付与剤や各種可塑剤、老化防止剤、安定剤、オイル等の軟化剤、充填剤、安定剤、着色剤、顔料等を必要に応じて添加できる。これらは、必要に応じて2種類以上を併用して使用することもできる。
上記アクリル系樹脂は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等任意の方法で重合される。また、粘着付与剤の配合割合は、上記アクリル系樹脂100質量部に対して5〜50質量部である。ちなみに、5質量部未満では、粘着力や接着力を向上させる効果に乏しく、50質量部を超えると、逆に粘着力や接着力が低下する傾向にある。粘着力や接着力の調整は、この粘着付与剤の配合で行うのが簡便でかつ確実性のある結果が得られる。
なお、重合時のモノマー濃度は、通常30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%程度が適当である。また、重合の際に用いる重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム等との組み合わせからなる、いわゆるレドックス系の重合開始剤等が挙げられる。上記の重合開始剤の使用量は、通常重合に供する単量体全量に対して、0.2〜2質量%、より好ましくは0.3〜1質量%程度とするのが望ましい。
さらに、重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることができる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全単量体の0.001〜3質量%の範囲で調節される。重合反応は、通常60〜100℃の温度条件下、2〜8時間程度行われる。また、粘着剤用共重合体には増粘剤、濡れ剤、レベリング剤、消泡剤等を適宜添加してもよい。さらに、各種可塑剤、老化防止剤、安定剤、オイル等の軟化剤、充填剤、安定剤、顔料、着色剤等を必要に応じて添加できる。これらは、必要に応じて2種類以上を併用して使用することもできる。
粘着剤層は、上述した凹凸形状を両面に有する基材の上に、上述した粘着剤および各種添加剤を含む粘着剤溶液を塗布し硬化することによって形成される。上述した粘着剤および各種添加剤を混合した粘着剤溶液の塗布量は、使用する基材の種類あるいは厚みによって適宜選択されるが、通常3〜50g/mが好ましく、さらに好ましくは5〜30g/mである。塗布量が5g/m未満の場合には、粘着テープを他の被着体などに貼り付けるときの粘着力が低下することがあり、また50g/mを超えると粘着剤の投錨性が悪くなり、テープ端などから粘着剤のはみ出しが起こったり、被着体への糊残りが生じる、透明性が低下するなどの問題が起こることがある。
粘着剤層は、基材の形状に沿った凹凸形状面を有する。粘着剤層は、図2に示すように基材と接する面のみに凹凸形状面を有していてもよく、両面に凹凸形状面を有してもよい。
粘着剤層は、エンボスロールを押し当てた基材の面上に形成されることが好ましい。粘着剤層は、ある程度粘度を有した粘着剤溶液を塗布することによって形成されるため、基材の凹凸形状の表面粗さが大きい場合であっても、所望の膜厚を有した層構造を形成することができる。また、粘着剤層が、エンボスロールを押し当てた基材の面上に形成されることによって、基材と粘着剤層の密着性を高めることができる。
粘着剤層の厚さは、10〜50μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さは、12 μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、18μm以上であることがさらに好ましい。また、粘着剤層の厚さは、48μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層の厚さが10μm未満であると、粘着力が弱くなり過ぎ、本発明の物品保護用フィルムとして本に貼り付けて使用した際フィルムが剥がれてくるおそれがある。粘着剤層の厚さが50μmを超えると、物品保護用フィルムの断面から粘着剤がはみ出し、本を汚損してしまうおそれがある。
(物品保護用フィルムの製造方法)
本発明に係る物品保護用フィルムの製造方法は、エンボスロールを基材の一方の面に押し当てエンボス加工を施す工程と、エンボスロールを押し当てた面とは反対側の面に粘着防止層を塗設する工程と、エンボスロールを押し当てた面に粘着剤層を塗設する工程を含む。
エンボス加工は、エンボスロールを基材の表面に押し当てることによって施される。エンボスロールは、円筒状の外周領域から突出した複数のピン状構造物を有するロールである。このエンボスロールを基材の表面に押し当て回転させることにより、基材の両面に凹凸形状を形成することができる。ピン状構造物の高さは、基材の厚さや、凹凸形状の表面粗さの程度によって調節することができる。
粘着防止層は、エンボスロールを押し当てた面とは反対側の面に粘着防止層塗工液を塗布し、硬化させることによって形成される。粘着防止層塗工液の塗工方式は何ら限定されないが、例えばエアナイフコート法、ダイレクトグラビアコート法、オフセットグラビアコート法、バーコート法、多段(5本)ロールコート法及び工程紙にこれらの方式で塗工したものを転写させる転写法などが挙げられる。
また、粘着剤層は、エンボスロールを押し当てた面に粘着剤溶液を塗布し、硬化させることによって形成される。粘着剤溶液の塗工方式は何ら限定されないが、例えばリバースロールコート法、バリオグラビアコート法、リバースグラビアコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法及び工程紙にこれらの方式で塗工したものを転写させる転写法などが挙げられる。
基材の片面に粘着防止層、他面に粘着剤層を形成して得られた物品保護用フィルムは、乾燥させた後にロール状に巻き取られることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
(基材)
基材には、エンボス加工をしたポリプロピレンフィルム(サンビック社製、厚さ約70μmまたは約80μm)を用いた。基材の引張弾性率およびガーレーこわさは表1に示した通りである。
(粘着防止層)
粘着防止層は、粘着防止層塗工液を基材の表面に塗布し、硬化することで得た。粘着防止層塗工液は、基材をエンボス加工する際にエンボスロールを押し当てた面と反対側の面に塗工した。
粘着防止層塗工液は、剥離剤であるシリコーン系剥離剤(信越化学工業社製、商品名「KS847T」)100質量部をトルエン/メチルエチルケトン混合溶媒で希釈し、触媒(信越化学工業社製、商品名「PL−50T」)3質量部を混合することで得た。
(粘着剤層)
粘着剤層は、粘着剤溶液を基材の表面であって、粘着防止層を塗工した面とは反対側の面に塗布し、硬化することで得た。粘着剤溶液は、基材をエンボス加工する際にエンボスロールを押し当てた面に塗工した。粘着剤溶液は、ナイフコータ―で固形分を25g/mとなるように塗工した。
粘着剤溶液は、粘着剤主剤(トーヨーケム社製、商品名「オリバインBPS−6369」)100質量部に架橋剤(トーヨーケム社製、商品名「BXX5627」)2質量部を混合することで得た。
基材の片面に粘着防止層、他面に粘着剤層を塗工したフィルムを乾燥した後、巻き取り、物品保護用フィルムを得た。
(比較例1〜3)
引張弾性率とガーレーこわさを変えたポリプロピレンフィルムを基材として用いた他は、実施例1と同様にして比較例1〜3の物品保護用フィルムを得た。
実施例1および比較例1〜3の物品保護用フィルムについて、下記の試験を行い、評価を行った。
(評価項目)
<引張弾性率>
JIS K−7161:1994に準じ、物品保護用フィルムの引張弾性率を測定した。測定の際の雰囲気温度は23℃とした。
<ガーレーこわさ>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.40法:2000に準じ、30℃、80%RHの環境下で、物品保護用フィルムのガーレーこわさを測定した。
<剥離力>
物品保護用フィルムの巻き戻し力を、連続剥離試験機(テスター産業製)を用いて、0.3m/分で180°剥離(巻き戻し)した時の剥離力(N/m)を測定した。
<機械走行性>
物品保護用フィルム貼付機にて、物品保護用フィルムを断続的に0.3〜50m/分で巻き戻し、縦175mm、横113mm、厚さ15mmの書籍(コミック本)にオーバーラミネートする試験を行い、機械の走行性を評価した。
○:走行不良や粘着剤同士の接着がなく走行性良好。
×:走行不良および粘着剤同士の接着がありうまく走行できない。
Figure 0005861617
なお、実施例1の物品保護用フィルムの、剥離力は、4.1N/mであった。また、物品保護用フィルムの引張弾性率およびガーレーこわさは基材の値とほぼ同等の値であった。
実施例1においては、引張弾性率とガーレーこわさの両方が所望の範囲内であるため、機械走行性が優れている。これにより、物品保護用フィルムを書籍等の被着物品に貼付する貼付作業を効率よく行うことができる。
一方、比較例1〜3では、引張弾性率とガーレーこわさが所望の範囲内にはないため、実施例1と比較して、機械走行性が改善されていない。
本発明によれば、物品保護用フィルムから離型紙を剥離する必要がないため、物品保護用フィルムを書籍等の被着物品に貼付する工程を簡略化でき、貼付作業を効率よく行うことができる。また、本発明によれば、物品保護用フィルムが適度な引張弾性率とガーレーこわさを持つため、粘着剤層同士が意図しない接着を起こすという貼付作業中の不具合を解消することができる。このため、本発明は公共機関や書店等において、書物等の表紙を容易にカバーすることが可能となり、産業上の利用可能性が高い。
1 物品保護用フィルム
2 粘着剤層
3 基材
4 粘着防止層
10 被着物品
20 貼付台
30a 回転ロール
30b 回転ロール

Claims (11)

  1. 基材の片面に粘着防止層、他面に粘着剤層を有するフィルムにおいて、
    前記基材の少なくとも一方の面は凹凸形状であり、
    前記基材の引張弾性率が700〜810MPaであり、前記基材の70μm厚さ換算時の引張弾性率が640〜810MPaであり、
    JAPAN TAPPI 紙パルプ試験法 No.40:2000に準じて測定した前記基材のガーレーこわさは0.20〜0.60mNである、冊子状物の表面の少なくとも一部を保護するためのフィルム
  2. 前記基材の両面は凹凸形状であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム
  3. 前記基材の凹凸形状はエンボス加工によって形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム
  4. 前記粘着防止層はシリコーン樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム
  5. 前記粘着剤層はアクリル樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムであって、書籍の表紙の少なくとも一部を保護するためのフィルム
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムがロール状に巻き取られて形成される冊子状物の表面の少なくとも一部を保護するためのフィルムロール
  8. 前記フィルムの粘着剤層側を内側にしてロール状に巻き取られることを特徴とする請求項7に記載のフィルムロール
  9. 粘着防止層に対する粘着剤層の剥離力が、剥離速度0.3m/分において0.1〜50N/mであることを特徴とする請求項7または8に記載のフィルムロール
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム冊子状物の表面の少なくとも一部に積層された積重体。
  11. エンボスロールを基材の一方の面に押し当てエンボス加工を施す工程と、
    エンボスロールを押し当てた面とは反対側の面に粘着防止層を塗設する工程と、
    前記エンボスロールを押し当てた面に粘着剤層を塗設する工程とを含むことを特徴とする、冊子状物の表面の少なくとも一部を保護するためのフィルムの製造方法。
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