JP5860958B2 - タンデム質量分析のためのターゲット分析 - Google Patents

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Description

本発明は、タンデム質量分析を用いたイオンのターゲット分析のための方法と装置に関する。
トリプル四重極質量分析は、複雑混合物のターゲット分析用として十分に確立された分析技術である。トリプル四重極質量分析計では、イオン源からイオンが生成されて、第一の四重極分析器の中に入射される。ここで、狭い質量範囲(m/z)が選別され、この狭い質量範囲が、ガスを封入したコリジョン(衝突)セルを含む第二のステージに入る。ガスとの衝突により生成されるフラグメントイオンが第二の四重極分析器の中に入り、ここで特定のフラグメントが選別され、検出される。
トリプル四重極法によれば、関心対象の前駆体とそれに対応するフラグメントイオンの分離が可能となり、それゆえ、分析標的はわかっているが、その存在レベルが他の分析対象物と比較して非常に低い場合のターゲット分析のための頑健な定量的方法が提供される。
この分析方法の欠点は、第一段階で狭いm/z範囲しか分離されず、残りのm/zはすべて、四重極ロッドで失われることである。このような無駄な動作は、限られた時間で複数の標的化合物を分析する必要のある急速定量分析の妨げとなる。四重極は毎回、異なるm/z範囲を受け入れるように設定しなければならず、有効デューティサイクルはきわめて低い(おそらく、標的数に応じて0.1%〜10%)。
従来のトリプル四重極質量分析器の代替手段では、1つの高分解能、高質量精度のスペクトルの中で全前駆体からの全フラグメントを同時に取得する。この単独のスペクトルを取得したところで、標的とされたm/zのイオンを特定するための分析が可能となる。こうした効果を利用できるだけの十分な分解能と質量精度を有する分析器には、Orbitrap(商標)静電トラップ分析器と飛行時間(TOF)型分析器がある。しかしながら、このような機器(分解能は50,000〜100,000を超え、質量精度は2ppm未満またはそれよりさらに高精度)を使ったとしても、近年のターゲット分析実験で扱われる濃度範囲がきわめて広いことから、既存のいわゆる「全質量(all mass)」分析器では、関心対象の特定のm/zに関する線形性、ダイナミックレンジ、検出限界の点で、トリプル四重極装置に比肩しえないと言える。TOF分析器の場合の限界は、低い透過率と検出部の電子機器の制約による。Orbitrap(商標)の場合、問題となるのは主として、どの外部トラップ装置も電荷容量が限られる点である。
質量分析のスループットを改善する方法の1つはMS/MSを実行することであり、これはイオンビームをパケットのm/zにしたがってパケットに分割するものである。次に第一のパケットを、他のパケットを失わずに、または他のパケットと平行して、分解する。イオンビームのパケットへの分割は、広い質量範囲のイオンを蓄積する走査装置を使って行うことができる。この走査の実行に適した装置は、たとえば国際公開第A−2003/103,010号パンフレット等で開示されているような3Dイオントラップ、米国特許第A−7,157,698号明細書に記載されているような、径方向に出射するリニアトラップ、パルスイオン易動度分析計(たとえば、国際公開第A−00/70335号パンフレットまたは米国特許出願公開第A−2003/0213900号明細書参照)、低速リニアトラップ(slowed down linear trap)(国際公開第A−2004/085,992号パンフレット参照)、または、国際公開第A−2004/008,481号パンフレット等に記載されているような多重反射飛行時間型質量分析計である。
いずれの場合も、質量分析の第一段階に続いて、たとえばコリジョンセル(好ましくは、軸勾配を有するコリジョンセル)内での、またはパルスレーザによる急速フラグメント化が行われる。これによって得られるフラグメントが、たとえば別のTOF質量分析計を使って、ただし走査時間よりはるかに速い時間スケール(「ネスト時間(nested times)」と呼ばれる)で分析される。しかしながら、性能は依然として損なわれ、これは各走査に非常に限られた時間しか割り当てられないからである(一般に、10〜20μs)。
このような、いわゆる「二次元MS」の手法は感度を損なわずにスループットを提供するように見え、これは、多数の並列質量分析器(一般にイオントラップ)を使って各々1つの前駆体を選別してから、その前駆体からのフラグメントを走査して、個々の検出器へと送る、米国特許第A−5,206,506号明細書で開示されているイオントラップアレイや米国特許出願公開第A−2003/089,846号明細書で開示されている多段トラップのような、より従来型の多チャネルMS/MS装置とは異なる。
しかしながら、公知の二次元MS方式のすべてに、前駆体選別の分解能が比較的低く(そのユニット分解能を超えない)、フラグメント分析の分解能も比較的低い(数千以下)という難点がある。また、これらの公知の二次元MS方式は、トラップ装置の使用に基づいて高いデューティサイクルを提供しており、サイクル時間は最も遅い分析器のサイクル時間によって決まる。近年のイオン源は、数百ピコアンペアのオーダ、すなわち毎秒10の素電荷を超えるイオン電流を生成できる。それゆえ、関心対象の質量範囲全体を通じた1回分の走査サイクルが5msである場合、このようなトラップ装置は原則として、最大5百万の素電荷を蓄積しながら、依然として効率的に前駆体を選別できるはずである。
国際公開第A−2008/059246号パンフレットは、その後の検出またはフラグメント化のために、複数のイオン種を高い性能で同時に分離できる装置を開示している。開示された装置では、イオンが多重反射静電トラップの中に入射されて、これがイオンを1本の軸に沿って前後に反射する。関心対象の種のイオンは静電ゲートを適切に制御することによって分離され、このゲートは、イオンをトラップ内でのその振動時間にしたがって、それぞれ第一または第二のイオン経路に沿って分岐させる。
上記の背景を鑑み、本発明は、第一の態様において、特許請求の範囲の請求項1によるタンデム質量分析の方法を提供する。本発明はまた、請求項21によるタンデム質量分析計にも関する。
本発明は、ターゲット分析では必ずしもすべてのMS/MSスペクトルを個別に取得する必要がないという認識に基づく。機器は単に、関心対象のイオン種の分離された検出可能なピークを表示できればよい。これらの分離された前駆体は、それらの母集団が再び混合され、その後単独の高分解能スペクトルの中で取得されてもよい。この、いわゆる並行反応モニタリング(parallel reaction monitoring)(PRM)により、複数の低強度の分析対象物を並行して定量化することができ、それゆえ、数多くのターゲット実験におけるトリプル四重極での検出限界が大幅に引き上げられる。
イオンゲートで、その後イオンガイドに伝送されるために選別されるイオンは、イオンガイドへの到達時と、それより下流の高分解能質量分析器で分析される際に、フラグメント化されていない状態のままであってもよい。このモードでは、異なるデューティサイクルの使用によって異なる強度のm/zの蓄積が可能になるため、前述の「全質量分析」方式の能力が大幅に拡大される。このようにして、フラグメント化されていないスペクトルとフラグメント化されたスペクトルの両方が、1〜3桁低減された強度範囲で得られる。たとえば、低強度のピークを、毎回の入射の後に高分解能質量分析器に伝送でき、その一方で、高強度のピークは、すべての入射の0.5〜1%の間にのみ伝送できる。得られた比較的小さい様々な質量範囲スペクトル(各々が通常、独自の特定の減衰特性(attenuation scheme)を有する)をその後、任意選択で継ぎ合せてもよい(たとえば、国際公開第A−2005/093783号パンフレットに記載の方法を使用)。最終スペクトルはこれらの伝送の違いについて補正され、このような「スペクトルの継ぎ合せ」により、分析のダイナミックレンジが大きく広がる。
これに加えて、採用される技術では、イオンをフラグメント化するために十分な時間が提供され、特に、電子移動解離(ETD)または赤外線多光子解離(IRMPD)等、近年開発された「低速」技術を使用するのに十分な時間が提供される。それゆえ、本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、イオンゲートを通過させられた前駆イオンの一部または全部を、その下流でフラグメント化してもよい。1つの好ましい実施形態において、イオンガイドは、フラグメンテーションセルと、そのフラグメンテーションセルの下流のイオントラップ(これは任意選択で第二のイオントラップであってもよい)と、を含む。次に、イオンゲートによって関心対象の前駆イオンが選別されて、フラグメンテーションセルへと通過され、ここで前駆イオンの一部また全部がフラグメント化される。その後、フラグメントイオン(および残りの前駆イオンすべて)が高分解能質量分析器によって分析される。最も好ましくは、フラグメントイオンが(第二の)イオントラップに蓄積され、それによって、たとえば特定の微量種をその(第二の)イオントラップの中でその技術を複数サイクル行うことによって増大させてから、高分解能質量分析を行うことが可能となる。追加の、または代替的な実施形態において、前駆イオンの増大は、イオン蓄積手段の中で、フラグメンテーションセルを使用するが、それを低エネルギーモードで動作させてイオンがフラグメント化されないようにすることによって、および/またはフラグメンテーションセルを迂回して(またはそれを完全に省いて)、第二のイオントラップを使用することによって同様にまたは代わりに行われてもよい。
それゆえ、広い前駆体質量範囲から複数のm/z範囲を選別できる(四重極マスフィルタのように1つではない)。選別された前駆体種の各々は、任意選択でそれぞれの最適なエネルギーで、フラグメント化でき、その後、フラグメントをまとめて単独の広いスペクトルフラグメント母集団とすることができる。この単独のフラグメント母集団はその後、TOF、Orbitrap(商標)のような軌道静電型トラップ、またはFT−ICR質量分析計等の高分解能質量分析器の中で分析できる。それゆえ、一方でトラップ型分析器の限定されたスペースチャージ容量と、他方でTOFの限定されたダイナミックレンジに、フラグメント化とその後の並行分析のために、分析上の関心対象の、限定されてはいるが複数のイオン種を選別することによって対処する方法と装置が提案される。この技術によれば、たとえば10〜100の前駆種をまとめて分析できる。
本発明は、タンデム質量分析方法を提供でき、これは、a)イオン源で前駆イオンを生成するステップと、b)イオントラップで前駆イオンを捕捉するステップと、c)前駆イオンをイオントラップからイオンゲートを介してイオンガイドに向けて出射し、前駆イオンが前記イオンゲートに、前記イオンガイドまでのその経路上で1回のみ到達し、前駆イオンが、各々が複数の異なるイオン種のそれぞれ1つの種のイオンを含む、一時的に分離された複数のイオンパケットとして到達するようにするステップと、d)イオンゲートに到達した複数のイオンパケットから、関心対象の前駆イオン種の小集団から得られる複数のイオンパケットの小集団を逐次的に選別するようにイオンゲートを制御するステップと、e)イオンガイドの中で、選別された複数のイオンパケットの小集団を混合するステップと、f)混合された、選別されたイオンパケットの小集団から得られる、その結果としてのイオン母集団を、高分解能質量分析器の中で分析するステップと、を含む。
また、前駆イオンを生成するイオン源と、イオン源の下流に配置され、イオン源からの前駆イオンを捕捉するイオントラップと、イオントラップから出射され、下流のイオンガイドに向かう前駆イオンの経路内に配置されたシングルパスイオンゲートであって、前駆イオンが前記イオンゲートに、各々が複数の異なるイオン種のそれぞれ1つの種のイオンを含む、一時的に分離された複数のイオンパケットとして到達するようなイオンゲートと、シングルパスイオンゲートを制御して、それぞれの関心対象の複数の前駆イオン種の小集団を含むイオンパケットの小集団だけを通過させるように構成されたイオンゲートコントローラと、を含むタンデム質量分析計が提供され、イオンガイドは、シングルパスイオンゲートを通過できた前駆イオンを受けるように構成され、タンデム質量分析計は、イオンまたはそのフラグメントを分析するように構成された高分解能質量分析器をさらに含む。
本発明は多くの方法で実施できるが、ここで、いくつかの実施形態を、あくまでも例として、添付の図面を参照しながら説明する。
イオンのターゲット分析のためのタンデム質量分析計の第一の実施形態を示す。 前駆イオンのターゲット分析のためのタンデム質量分析計の第二の実施形態を示す。 前駆イオンのターゲット分析のための、非トラップ型イオン加速器を含む、タンデム質量分析計の第三の実施形態の、それぞれ上面図と側面図を示す。 前駆イオンのターゲット分析のための、非トラップ型イオン加速器を含む、タンデム質量分析計の第三の実施形態の、それぞれ上面図と側面図を示す。 図3aと3bの非トラップ型イオン加速器にイオン直交加速のための代替的手段を提供する、それぞれDCおよびRFイオンガイドの概略図を示す。 図3aと3bの非トラップ型イオン加速器にイオン直交加速のための代替的手段を提供する、それぞれDCおよびRFイオンガイドの概略図を示す。
まず、図1を参照すると、タンデム質量分析計1が示されている。質量分析計1は、分析対象の帯電粒子(前駆イオン)の連続的またはパルス状ストリームを生成するイオン源10を含み、これはたとえば、エレクトロスプレーイオン源またはMALDIイオン源である。イオン源からのイオンは、第一段階のRFオンリーストレージ(イオントラップ)20の中に導入され、その直後に第二段階のRFオンリーストレージ(イオントラップ)21が続く。第一と第二のイオントラップ20、21はどちらも、ガスが封入されたRFオンリー直線多重極で形成され、開口部22で分離される。開口部は、流入するイオン流をゲート制御する。最も好ましくは、第二のイオントラップ21はまた、いわゆる湾曲リニアトラップ(curved linear trap)、すなわちCトラップであり、これはたとえば国際公開第A−2008/081334号パンフレットに記載されているタイプのものである。第一と第二のステージ20、21の多重極にかけられる高周波の周波数は好ましくは約2〜5MHzの間である。第二のイオントラップ21内の圧力は、短時間、好ましくは1ms未満でイオンを冷却できるように選択される。この時間は、窒素の約3〜10×10−3mbarを超える圧力に対応する。好ましくは、イオン源10からの狭いガス噴射が用いられる。
開口部22の電圧は、イオンを第二のイオントラップ21へと通過させるように降下され、その後、イオン源から残りの前駆イオンを第一のイオントラップ20の中に保持(蓄積)するために再び上昇される。
1ミリ秒以下の冷却時間をおいた後、第二のイオントラップ21のイオンは、その第二のイオントラップ21の軸に直交するように出射される。第二のイオントラップ21の軸は、この説明の目的のために、それに沿ってトラップロッドが延びる軸である。出射は様々な方法で行うことができる。
まず、イオンは、第二のイオントラップ21のRFロッドに、これらのロッドに印加されるRF電圧をオフに切り替えずに、DC電圧を印加することによって、直交方向に出射できる。あるいは、同じ技術を適用できるが、それと同時にRF電圧を急速にオフに切り替える。この技術は米国特許第A−7,498,571号明細書に記載されており、その内容を参照によって本願に援用する。この場合、第二のイオントラップ21が、国際公開第A−2008/081,334号パンフレットに示されるようなCトラップであることが好ましい。第二のイオントラップ21からの直交出射を可能にするための別の代替案は、米国特許第A−5,420,425号明細書に記載されているように、引き伸ばされたRFロッドに双極子(ダイポーラ:dipolar)励起をかけることである。双極子励起の振幅を走査して、2〜10×10amu/秒の質量走査速度を提供してもよい。この直交出射の形態にとって好ましいタンデム質量分析計の構成は図2に示されており、この図に関連して下でより詳しく説明する。トラップ21からの直交パルス出射のためのまた別の構成は、米国特許第B−8,030,613号明細書に記載されている。
本発明の好ましい実施形態は、第二のイオントラップ21からの直交出射を利用しているが、イオンを第二のイオントラップ21から軸方向に出射させることも可能である。しかしながら、この構成にすることで、通常、出射されるパルスのスペースチャージを小さくすることができる。第二のイオントラップのスペースチャージの限界は、好ましいことに、1〜3×10素電荷の間となる。これは、毎秒1〜3×10の間の素電荷のイオン流が可能となることに対応し、200〜600pAの間のイオン電流に匹敵する。これは、前述のエレクトロスプレーやMALDIイオン源などの近年のイオン源の一般的な輝度とマッチする。
第二のイオントラップ21から直交出射されると、イオンは、任意選択の扇形電場25を通過して、1回反射または多重反射飛行時間(MR−TOF)分析器30へと案内され、その質量対電荷比に応じたイオンの飛行時間型分離が行われ、その一方で、パッケージは比較的小型のままとなる。代替的な実施形態において、マルチセクタ飛行時間質量分析器(たとえば、MULTUM)または多重偏向TOF、または周回型飛行時間質量分析器を分析器30として使用してもよい。適当な機器は、国際公開第A−2009/081143号パンフレットまたは国際公開第A−2010/136534号パンフレットに記載されている。MR−TOF 30の下流にイオンゲート40が位置付けられる。図1の実施形態では、イオンゲート40はMR−TOF分析器30の焦点位置に位置付けられている。異なる質量対電荷比(m/z)の前駆体は、異なる瞬間にゲート40に到達する。ゲート40は、コントローラ100によって制御される。コントローラはゲート40を、(図1に示される構成において)、分析の関心対象である前駆イオンを所望の軌道でフラグメンテーションセル50へと通過させるように制御する。不要なイオンはすべて、コントローラ100により制御されたイオンゲート40に印加される電圧パルスを使って、イオンストップ(すなわち電位計)41へと偏向される。イオンゲート40そのものは、単純な偏向板として、あるいはBradbury−Nielsenゲート(Phys.Rev.Vol.49,No5,p388−393,1936)参照)として実施してもよい。最も好ましくは、イオンゲート40はグリッドレスである。任意選択で、追加のパルス発生装置42を使ってエネルギー分布を減少させてもよい。この技術は、米国特許第A−7,858,929号明細書に記載されており、その内容を参照によって本願に援用する。
イオンゲート40とパルス発生装置42は、任意選択で、エネルギーリフト(energy lift)に内蔵させてもよく、これはイオンゲート40の付近にあるイオンについて、(フライトチューブに関する)電位を下流のコリジョンセル50に伝送するのに十分なレベルまで増大させる。
選別されるべきイオン種は、まず前駆イオンのパノラマスペクトル(panoramic spectrum)を取得することによって推測できる。そのパノラマスペクトルの中の前駆イオンの相対的強度も、有利には、自動利得制御に利用できる。特に、前駆イオンとそのフラグメントの数を相互に関して調整することによって相対的存在量を同様のものとするために、前駆イオン種のいくつかはタンデム質量分析計の1サイクル中でのみ伝送されてもよく、また別の種は複数のサイクル内で伝送されてもよい。これは、単純な例を見ると理解しやすくなることもある。第一のイオン種である種1の相対的存在量が第二の前駆イオン種である種2の相対的存在量の約40倍である前駆イオンのパノラマスペクトルを考える。大体同じ数のイオン種1とイオン種2のパケットが最終的に分析されるようにするには、イオン種1のイオンは、図1の構成の40サイクルのうちの1つでのみイオンゲート40を通過させられることになる。「サイクル」とは、第二のイオントラップ21を空にし、その後、飛行時間分離し、イオンゲート40を通過させてフラグメンテーションセル50に至らせることを意味する。これに対して、相対的存在量がイオン種1の40分の1であるイオン種2のイオンは、分析計1の40サイクルの各々でイオンゲート40を通過させられることになる。当然のことながら、もちろん複数のサイクルの相対的タイミングは重要ではなく、すなわち、分析計1の複数のサイクルにわたって、適当な数の前駆イオンが蓄積される場合、個々のイオン種の各々がこれらのうちのどのサイクル中に蓄積されたかは通常、問題とならない。
このようなイオンの「デジタル式」供給の代替案として、「アナログ式」供給もまた可能であり、この場合、イオンゲート40はイオンビームの「オン/オフ」切り替えを行うのではなく、電圧の変化によってビーム強度の制御可能な減衰を提供する。このような減衰の電圧依存性は、較正用混合物を使って較正してから実際の分析に使用できる。
いずれの変形形態においても、最終的に出力されるスペクトルにおいて、好ましくは測定された強度がこれらの減衰率で縮小されて、正確な定量的表現が提供される。隣接する比較的狭い質量範囲スペクトルを相互に継ぎ合せて、より広い質量範囲の(「パノラマ」)スペクトルを生成することが可能である。これを行うための1つの適当な技術は、国際公開第A−2005/093783号パンフレットに記載されている。最終的なスペクトルではこれらの伝送の違いが補正され、上記のように継ぎ合わされたパノラマスペクトルにおいては分析のダイナミックレンジが大幅に広くなる。
好ましくは、図1の装置において、ある分析のために、実行中の実験に応じて10〜100の異なるイオン種(m/zが異なる)が選別される。分析対象物質は好ましくは、その内部較正物質と平行して選別されるが、前述のように、サイクル数は、前躯イオンスペクトル内の前駆イオンの強度の差に応じて異なっていてもよい。
前駆イオン種がその中に選択的に通過させられるコリジョンセル50は好ましくは、イオンが混合されるコリジョンセル50の端でイオンを回収するDC電場を有するガス封入多重極である。コリジョンセル50は高分解能質量分析器70と連通し、任意選択で、コリジョンセル50と高分解能質量分析器70との間の外部イオントラップ装置60を使用してもよい。イオンのエネルギー分布を数十eVまで減少させることができれば、窒素またはアルゴンガスをコリジョンセル50の中の衝突ガスとして使用してもよい。しかしながら、エネルギー分布が数十eV以上の場合、衝突ガスとしては、はるかに高い衝突エネルギーを有するヘリウムを使用することが好ましい。
選別された前駆イオンのすべてがコリジョンセル50内でフラグメント化され、冷却された後、これらは、任意選択の外部機器60を介して高分解能質量分析器70の中に伝送される。「高分解能分析器」とは、数万または数十万の分解能で質量分析を提供できる任意の機器を意味し、たとえば(これらに限定されないが)Orbitrap(商標)分析器等の周回型静電トラップ、直交加速TOF分析器等の、イオンミラーを備える、または備えない任意の種類のTOF分析器、多重反射飛行時間質量分析器、マルチセクタ飛行時間質量分析器、多重偏向飛行時間質量分析器または、あるいはフーリエ変換質量分析器、またはその他がある。分解能の最適な設定は、結果として得られる混合物の複雑さに依存し、単純な混合物であっても、一般には少なくとも10,000、好ましくは少なくとも20,000とするべきである。数十の重複するMS/MSスペクトルの場合、最適な分解能は50,000を超えると予想される。
高分解能質量分析器70がOrbitrap(商標)質量分析器である場合、任意選択の外部機器60が存在し、好ましくは、再び国際公開第A−2008/081334号パンフレットに記載されているCトラップ等のRFオンリー蓄積トラップである。その場合、第二のイオントラップ21からの複数の出射パルスは、フラグメンテーションセルの中でフラグメント化され、このフラグメントはその後、Cトラップ60の中に蓄積される。Cトラップ60の中にすべてのフラグメントが蓄積された後、これらは単パルスとしてOrbitrap分析器70の中に入射されて、単独のスペクトルが得られる。
あるいは、高分解能質量分析器70がTOF質量分析器である場合、コリジョンセル50の中のフラグメントイオンがそのコリジョンセル50から連続的に漏れ出す可能性があり、イオンストリームが直交加速器によって1〜100kHzの周波数で連続的にサンプリングされ、連続的に取得される。長い飛行距離および/または多重反射TOFの場合、再びCトラップまたはその他のRF貯蓄装置を外部機器60として使用してもよい。この場合、TOF質量分析器70へのフラグメントイオンの入射の動作を第二のイオントラップ21からの出射と同期させる必要はない。
また別の選択肢として、イオンはフラグメント化されずに外部機器60に伝送してもよい。すなわち、イオンはフラグメント化されずにフラグメンテーションセル50を通過させられ、あるいはこれらはフラグメンテーションセル50を迂回させられてもよい。これは、フラグメンテーションセル50のロッドへのRF電圧の振幅を小さくすることによって、またはRFオンリー転送多重極(rf only transport multipoles)を備える追加のイオン経路(図示せず)を使用することによって達成できる。これは、前駆イオンの正確な(スケーリングされていない)強度のプレスキャンを取得するための好ましいモードである。
上述の技術を用いることにより、高分解能質量分析器70により取得される各スペクトルは、10〜100の前駆イオン種からフラグメントスペクトルを平行して(すなわち同時に)取得することを表し、各前駆体は、前述の自動利得制御(AGC)技術を使うことによって大体同じようなイオン数を有する。その結果、今度は質量選別のデューティサイクルが係数Gだけ増大し、Gは並行取得および分析のために選別される前駆イオン種の数と同等である。このようなデューティサイクルの増大は、分析時間と感度の大きな改善となる。
図2は、前駆イオンの高スループットターゲット分析のためのタンデム質量分析計の別の構成を示す。図1と2に共通する構成要素には、同様の参照番号を付した。図2において、イオンは前述のものと同様にイオン源10から生成され、第一段階のRFオンリーイオンストレージ(イオントラップ)20に導入される。開口部22は、第一のイオントラップ20を第二段階のRFオンリー多重極(第二のイオントラップ)21から分離する。
図1の実施形態と同様に、イオンは、開口部22への電圧を下げることによって、第一から第二のイオントラップに通過することができ、その後、第二のイオントラップ21が満杯になると電圧は再び上昇される。
図2の実施形態では、次にイオンは第二のイオントラップ21から直交方向に直接フラグメンテーションセル50の中に出射され、図1の実施形態で使用されているMR−TOF 30は使用されない。これは、米国特許第A−5,420,425号明細書に記載されているように、トラップ21の引き延ばされたRFロッドに双極子励起をかけることによって実現できる。双極子励起の振幅を走査して、2〜10×10amu/秒の質量走査速度を提供してもよい。もちろん、イオンゲート40が第二のイオントラップ21とフラグメンテーションセル50の間に設置され、それとともに、任意選択で、分析の関心対象ではなく、コリジョンセル50の中に入射されるべきでないためにイオンゲート40によって偏向されたイオンを受けるためのパルス発生装置41とイオンストップ42も設けてよい。
図1の構成とは異なり、図2の構成のイオンゲート40は、第二のイオントラップ21のすぐ下流に配置される(図2の構成では、焦点を提供するMR−TOF分析器がない)。それにもかかわらず、異なる質量対電荷比のイオン(異なる種)は、図2の構成のゲート40に異なる瞬間に到達し、それによって、分析の関心対象のイオンだけがフラグメンテーションセル50へと通過できる。通常、このようにして数amu(たとえば1〜4)までの小さい質量範囲をゲート制御できる。
フラグメンテーションセルに入る前駆イオンのフラグメント化の後、これらは外部機器60に入射される。ここから、今度は高分解能質量分析器70に注入され、すべてのフラグメント種を一緒にした合成質量スペクトルが作成される。
図2の実施形態において、さらに、関心対象の前駆イオンを(コントローラ100によるイオンゲート40の制御を通じて、関心対象以外のイオンを分岐させることによって)、フラグメント化せずに外部機器60に伝送することができる。フラグメント化せずに外部機器60に伝送することは、RF振幅を小さくして、または、任意選択で、RFオンリー転送多重極(図2には示さず)を通る追加のイオン経路に沿って行うことができる。
第二のイオントラップ21に求められる高スループットの要求は、第二のイオントラップ21またはそれより前のイオン段階の中のいずれかで、強力なイオンのピークをさらに幾分か除去することができれば緩和できる。たとえば、イオン源10、第一のイオントラップ20、または第二のイオントラップ21の中で低質量域切り捨て用のRF光学系を使って、粗い質量フィルタリングを行ってもよい。あるいは、特定の質量対電荷比の共鳴励起をイオン源10、第一のイオントラップ20、および/または第二のイオントラップ21の中で使用してもよい。別の代替案として、小さいDC電圧を四重極に印加して、これもまた、イオン源10、第一のイオントラップ20、または第二のイオントラップ21のいずれかの中で高低両方の質量域の切り捨てを行ってもよい。このようなプレフィルタリングを行う場合の主な要求事項はいずれも、関心対象の各イオン種に関して、フラグメンテーションセル50の入口における1パルスの平均イオン数Nに、質量分析計1の中の前の段階からのわずかな累積損失しか発生しないようにするべきであるという点である。数学的にこれをIin>e.z.N.f>>Iin/Gと表すことができる。ここで、eは素電荷(1.602×10−19クーロン)、zは特定のm/zを有するイオン種の荷電状態、fは第二のイオントラップ21からの出射周波数、Iinはイオン源10からの出口でのイオン電流である。第一と第二のイオントラップ20、21に高い周波数のRF電圧(たとえば、2〜5MHz)が印加され、スロットが適正な広さで、同期が正しく行われた場合、イオン電流Iout=e.z.N.f=(0.2...0.5)Iinに達することが可能である。換言すれば、本発明の実施形態は、限られた数の前駆体しか選別されていなくても、トリプル四重極より有利である。
上述の方法はまた、電子移動解離(ETD)、OzID(オゾン誘導(ozone−induced)解離)、IRMPD、UV解離、その他のような比較的低速のフラグメント化方式とも両立し、これらの「低速」フラグメント化方式のターゲット分析への有用性が大幅に高まる。現在、ターゲット分析におけるこのような技術の使用は、長い立ち上げ時間が必要となるため、非常に制限されている。異なる前駆体で同様のフラグメント化効率を提供するために、全イオンの同じ荷電状態について各ETD実験を実行することができ、たとえば、第一の実験では荷電+3のイオンだけをフラグメンテーションセル50に導入するために選択し、第二の実験では+4のイオン、等々とする。IRMPDとUV解離については、標的とされる前駆体は、好ましくは、同様の解離定数(すなわち、断面)等を有するべきである。また、高分解能分析器の各スペクトルにおいて、この種のいくつかの異なる実験を行うことも可能である。
上述の方法は広く用いられている。たとえば、これらはペプチド定量、臨床、食品、環境、法医学応用における複雑混合物の分析に使用できる。使用時には、前駆体とフラグメントの質量対電荷比のリストが、コントローラ100を直接または間接に制御するコンピュータ(図示せず)に、好ましくは液体クロマトグラフ(LC)のこれに対応する保持時間とその変化範囲とともにアップロードされる。次に、フラグメント化が行われない1つのフルMSスペクトルを使って、全体像のスペクトルとピーク強度の予測が得られる。その後、前述のようなAGCの検討事項に応じて、前述の技術を使った1サイクルまたは複数のサイクルが実行される。ペプチド等のバイオポリマ混合物の場合、高分解能分析器への各入射のためのリストを、選別された前駆体のフラグメントの重複が最小限となるように、すなわち、各前駆体について、その前駆体の正確な質量とともにその固有性を確認できる固有のフラグメントが少なくとも1つあるように生成する必要があるであろう。
この方法はまた、フラグメント化を行わずに広く適用でき、それゆえ、分析対象物の正確な質量が測定され、高い分解能での分析による偽陽性のリスクが最小限に抑えられることにより、信頼性の高い同定が行われる。1つの例としては、非常に高いダイナミックレンジの擬似パノラマ質量スペクトルがあり、この場合、質量範囲全体が数千かのサブレンジに分割され、各サブレンジに同様の電荷数が割り当てられる。割り当てられた電荷に応じてイオンをゲーティングした後、高分解能分析器によってパノラマスペクトルが得られ、当初のパノラマスペクトルの中の最も強いピークは、最も弱いピークと比較して、(はるかに)少ない数の入射を受ける。得られたスペクトルはその後、このような入射数の違いに応じて補正され、それゆえ、イオンの相対的強度が回復されるだけでなく、最も弱いピークが、これらが強いピークの付近の外にある場合、はるかに高い信号対ノイズ比で測定できる。
図1と2の実施形態はいずれもタンデム質量分析計を示しており、イオン源10からのイオンが第一のイオントラップ20に捕捉された後、第二のイオントラップ21に送られ、そこからイオンが直交方向にMR−TOF 30に(図1)、または直接コリジョンセル50に(図2)出射される。しかしながら、本発明の実施形態による代替的な構成においては、イオン源からのイオンは、初期の捕捉段階を経ず、その代わりに直交加速器の中に直接入射される。図3aと3bは、高スループットのターゲット分析のための1つのこのような構成の上面図と側面図を示し、これは前駆体分離のためにTOF分析器を使用するが、イオン源の下流に非トラップ型の直交出射装置が採用されている。同じくイオン源からのイオンの初期捕捉を行わない、DCまたはRF直交射出装置の代替的な構成がそれぞれ、図4aと4bに示されている。
そして、図3aと3bをより詳しく見ると、本発明第三の実施形態によるタンデム質量分析計が示されている。図1、2、3の実施形態に共通する構成要素には、同様の参照番号を付した。
イオンは、前述のようにイオン源10の中で生成される。そこから、これらは直交加速器23の中に出射される。図3aの実施形態では、直交加速器23は1対の平行平板電極24、25として実施されている。平行平板電極24は、グリッドまたは、最も好ましくはビーム引出し用スリットを有する引出し平板電極として機能し、これはたとえば国際公開第A−01/11660号パンフレットに記載されている。イオンは、それにDC電圧が印加されないと加速器23に入る。十分な長さのイオンビームが加速器23に入った後、パルス電圧が加速器に印加され、イオンがレンズ27を介してTOF分析器30へと引き出される。必要な分離の質に応じて、TOF分析器30は、多重反射TOF、多重偏向TOFまたは1回反射TOFであってもよい。1回反射TOFが示されている。
非常に高いイオン電流が存在するため、TOF 30の中のイオン経路にグリッドなく、イオン源から検出器までのイオン経路の中にイオンが堆積する可能性のある金属表面がないことが非常に望ましい。図3bは、1回反射TOF 30の例を用いた第三の実施形態によるタンデム質量分析計の側面図である。図3bからわかるように、イオンは1回反射TOF 30において、グリッドレスミラー32の中でγ形の軌道をたどる。特に図3bに示されているTOF 30の例示的な構成のさらに詳しいことは、国際公開第A−2009/081143号パンフレットに示されている。
ミラー32からの復路では、イオンがイオンゲート40によってゲート制御され、関心対象のイオンはフラグメンテーションセル50に入ることができ、不要なイオンはイオンストップ41へと偏向される。好ましくは、イオンゲート40はグリッドレスで、パルス式電極(pulsed electrode)42を含み、その周囲にパルス式電極42からの電場浸透を制限する穴がある。任意選択で、これらの穴に時間に依存する電圧を印加して、パルス式電極42からの電場浸透を補償してもよい。
イオンは、その到達時間に基づいて選別された後、減速レンズ43に入り、ここで、そのエネルギーが所望の数値まで縮小される。図示されていないが、イオンはまた、図1と2に示される実施形態のフラグメンテーションセル50に入る前に、減速されてもよい。通常、フラグメント化のための所望の最小エネルギーは、衝突ガスとして窒素または空気が使用された場合は、30〜50eV/kDaと推測できる。しかしながら、推測されるこの最終的なエネルギーはガス質量と反比例するため、ヘリウムが衝突ガスとして使用された場合、最終的なエネルギーは100〜200eV/kDaを超えるであろう。同様に、フラグメント化を最小限にするか、または行われないようにするために、所望の最終的なエネルギーは、衝突ガスが窒素または空気の場合は10eV/kDa未満であり、ヘリウムが衝突ガスとして使用された場合は30〜50eV/kDa未満である。このように低いエネルギーまで減速できるようにするために、最初にイオンを過剰に加速させないことが好ましく、好ましくは300〜500V以下とする。
適当な減速レンズの代表的な例は、P.O’Connor et al.J.Amer.Soc.Mass Spectrom.,1991,2,322−335に記載されている。TOF 30の飛行経路が1メートルの場合、500〜1000の選別分解能が期待され、これはほとんどの用途にとって十分であると考えられる。イオン軌道がγ形であるため、イオンは直交加速器23の上の平板電極に到達し、その結果、その初期エネルギーは加速エネルギーに関係なく選択できる。これは、従来の直交加速TOFとは異なり、これによってデューティサイクルとイオン伝送が改善される。通常、TOF 30は約10kHzの繰り返し率で動作するため、各パルスは10〜10の素電荷まで出射する。
イオンパケットは通常、長いスレッドとしてフラグメンテーションセル50に到達するため、フラグメンテーションセル50の設計を、それがこのようなパケットを受け入れられるように考慮するべきである。現時点で好ましい実施形態において、これは、フラグメンテーションセル50を、国際公開第A−04/083,805号パンフレットと米国特許第B−7,342,224号明細書に記載されたコリジョンセルと同様の差動ポンピングを備える長いコリジョンセルとして実施することによって達成される。
フラグメンテーションセル50におけるフラグメント化の後、イオンは、図1と2の構成に関して上述した方法と同様に、任意選択で採用可能な外部イオントラップ装置60の中に出射して、そこから高分解能質量分析器70へと直交出射することにより、混合され、分析される。
図4aと4bは、非トラップ型直交イオン加速器23の第一と第二の構成を示しており、そのいずれも、図3aと3bの非トラップ型直交加速器23の代替案として使用できる。図4aの非トラップ型イオン加速器はDCイオンガイドであり、図4bのそれはRFイオンガイドである。
図4aにおいて、イオンはイオン源から「y」の方向に到着する。電極25と24(後者は中央スロットを有する)は、引出し電圧パルスが印加されるまで同じDC電圧に保持され、その後、イオンは電極24のスロットを通じて、入射方向「y」に直交する方向「z」にパルス状に出射される。
図4bは、他の代替的構成を示し、この場合もまた、イオンはイオン源から「y」の方向に到着し、そこでは電極25、24のRF電位が、引出しパルスが印加されるまで同じに保持される。特に、図4bにおいては、背面電極および前面引出し電極25、24に加えて、加速器23はさらに、上電極24’と下電極24’’を含み、これらは電極24と25でのそれとは反対のRF位相を利用する。米国特許第B−8,030,613号明細書は、イオントラップに切り替え可能なRFを印加する技術を開示している。しかしながら、この文献に記載された技術は図4bの非トラップ型RFオンリーイオンガイドにも同様に適用でき、それによってRFはこの文献に記載されている原理に従ってオフに切り替えることができ、パルスが電極25および/または24に印加されて、電極24のスロットからイオンが引き出される。
好ましい実施形態において、図4bの加速器23には特に、イオンエネルギー分布を小さくするために、不活性ガスが供給されてもよい。
いくつかの具体的な実施形態を説明したが、当業者であれば各種の改良形態または追加形態が考えられることに容易に気付くであろう。たとえば、図1の構成には1回および多重反射ミラーを使用できるだけでなく、マルチセクタおよび周回型システムのほか、イオン易動度セパレータもまた使用できる。機能を増やすために、追加の検出器と分析器も設置できる。図3a、3b、4a、4bの実施形態において、任意選択で、質量選別のさらなる段階をイオン源10と直交加速器23の間に含めることができる。

Claims (29)

  1. タンデム質量分析の方法において、
    a)イオン源の中で前駆イオンを生成するステップと、
    b)前記前駆イオンをイオンインジェクタの中に案内するステップと、
    c)前記前駆イオンを前記イオンインジェクタから、イオンゲートを介してイオンガイドに向かって出射し、前記前駆イオンが前記イオンガイドまでのその経路上で1回だけ前記イオンガイドに到達し、前記前駆イオンが、各々が複数の異なるイオン種のそれぞれ1つの種のイオンを含む、一時的に分離された複数のイオンパケットとして到達するようにするステップと、
    d)前記イオンゲートに到達した前記複数のイオンパケットから、関心対象の前駆イオン種の小集団から得られる複数のイオンパケットの小集団を逐次的に選別するように前記イオンゲートを制御するステップと、
    e)前記イオンガイドの中で、選別された前記複数のイオンパケットの小集団を混合するステップと、
    f)高分解能質量分析器の中で、混合された、選別された前記イオンパケットの小集団から得られる、その結果としてのイオン母集団を分析するステップと、
    を含む方法。
  2. 前記イオンゲートを制御することによって前記イオンパケットの小集団を選別した後に、前記選別された前駆イオンの少なくとも一部をフラグメント化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記選別された前駆イオンの少なくとも一部をフラグメント化する前記ステップが、異なるそれぞれのフラグメント化エネルギーを使って、異なる時間に前記異なるイオン種の少なくとも一部をフラグメント化するステップを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記選別された前駆イオンの少なくとも一部をフラグメント化する前記ステップが、異なるそれぞれの最適化されたフラグメント化エネルギーを使って、異なる時間に前記異なる前駆イオン種の各々の前記イオンをフラグメント化するステップを含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記イオンをフラグメント化する前記ステップが、電子移動解離(ETD)、赤外線多光子解離(IRMPD)、オゾン誘導解離(OzID)、紫外線ランプおよび紫外線解離を含む群から選択される技術の1つまたは複数を含む、請求項2、3または4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記ステップc)が、前記前駆イオンを前記イオンゲートに到達する前にイオンパケットに一時的に分離するために、前記前駆イオンを飛行時間質量分析計の中に出射するステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記前駆イオンを飛行時間質量分析計の中に出射する前記ステップが、前記イオンを1回反射飛行時間(TOF)質量分析器、多重反射飛行時間(TOF)質量分析器、マルチセクタ反射飛行時間(TOF)質量分析器、周回型飛行時間装置の中に射出するステップの1つまたは複数を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記イオンガイドがイオン蓄積手段を含み、前記ステップe)が、複数のイオンパケットの前記選別された小集団を前記イオン蓄積手段の中に蓄積するステップを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記イオンガイドの中に、かつ前記方法ステップa)〜e)の複数回のサイクルにわたり、関心対象の複数の前駆イオン種についての所望の数のイオンを蓄積するステップをさらに含み、前記ステップf)が、前記蓄積された、選別されたイオンを並行して分析するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記イオンガイドの中に、また前記方法ステップ(a)〜(e)の複数回のサイクルにわたり、関心対象の複数の前駆イオン種についての所望の数のイオンの前記フラグメントを蓄積するステップをさらに含み、前記ステップ(f)が、前記蓄積されたフラグメントイオンを並行して分析するステップをさらに含む、請求項2、3もしくは4、または請求項2、3もしくは4に従属する請求項5もしくは6もしくは7に記載の方法。
  11. 複数回のサイクルにわたって蓄積する前記ステップが、複数回のサイクルの前記ステップd)の中で、前記イオンゲートを制御して、前記複数の前駆イオン種の異なる小集団を含むイオンパケットを選別し、Nサイクル(Nは1より大きい整数)にわたり、第一のイオン種m/zのイオンがこれらのサイクルのうちのM(MはN以下の整数)の中でフラグメント化のために選別され、一方、第二のイオン種m/zのイオンが異なる数Pのサイクル(Pは整数であり、P≦NであるがP≠M)の中でフラグメント化のために選別されるようにするステップを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 各m/zについて、前記イオン源により生成されるイオンのスペクトルにおけるそのm/zの各々の強度に応じて前記方法ステップ(a)〜(e)のサイクル数Nを選択して、より強いイオン種が、より弱いイオン種より少ないサイクル内で蓄積されるようにするステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ステップd)が、前記イオントラップから出射された10〜100の前駆イオン種の小集団から得られたイオンパケットの小集団を選別するステップを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記イオンゲートを制御する前記ステップd)が、前記選別されたイオンパケットの小集団を、前記イオンゲートの中を通じ、直接前記イオンガイドへと通過させるステップを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記イオンゲートを制御して、前記イオントラップからの、さらに分析されるものではないイオンパケットを分岐させて、これらが前記イオンガイドに入らないようにするステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. すべての前駆イオンの予備的質量分析を実行して、関心対象の前駆イオン種とその相対的存在量を特定するステップをさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記結果として得られるイオン母集団を分析する前記ステップf)が、前記イオンガイドの中の前記イオンを、飛行時間(TOF)、周回型静電トラップまたはFT−ICR質量分析器の1つに出射するステップを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 対応するイオンパケットの複数の異なる小集団に関して、前記ステップ(a)〜(f)を複数回実行するステップと、前記高分解能質量分析器による前記イオンパケットの複数の異なる小集団の前記分析の結果を合わせて、合成質量スペクトルを構成するステップと、をさらに含む、請求項1〜17のいずか1項に記載の方法。
  19. 前記前駆イオンをイオンインジェクタの中に案内する前記ステップ(b)が、前記前駆イオンをイオントラップの中に捕捉するステップを含み、その後、前記ステップ(c)が、前記イオンを前記イオントラップから前記イオンガイドに向けて出射するステップを含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記イオンインジェクタから前記前駆イオンを出射する前記ステップ(c)が、前記イオンを直交方向に出射するステップを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前駆イオンを生成するイオン源と、
    前記イオン源の下流に配置され、前記イオン源から受けた前駆イオンを下流のイオンガイドに向けて出射するイオンインジェクタと、
    前記イオンインジェクタから前記下流のイオンガイドに向けて出射された前駆イオンの経路内に配置されたシングルパスイオンゲートであって、前記前駆イオンが前記イオンゲートに、各々が複数の異なるイオン種のそれぞれ1つの種のイオンを含む、一時的に分離された複数のイオンパケットとして到達するイオンゲートと、
    前記シングルパスイオンゲートを制御して、関心対象の複数の前駆イオン種のそれぞれの小集団を含むイオンパケットの小集団だけを通過させるように構成されたイオンゲートコントローラと、
    を含むタンデム質量分析計であって、
    前記イオンガイドが、前記シングルパスイオンゲートを通過できた前駆イオンを受けるように構成され、前記タンデム質量分析計が、
    前記イオンまたはそのフラグメントを分析するように構成された高分解能質量分析器をさらに含むタンデム質量分析計。
  22. 前記イオンガイドが、イオン蓄積装置とフラグメンテーションセルの一方または両方を含む、または包含する、請求項21に記載の質量分析計。
  23. 前記イオンガイドが、前記シングルパスイオンゲートにより通過されるように選別された前記イオンパケットの小集団を受けるように、かつ前記小集団のフラグメント化を行うように構成されたフラグメンテーションセルを含む、または包含する、請求項22に記載の質量分析計。
  24. 前記イオンインジェクタと前記イオンゲートの間に配置され、前記イオンインジェクタから出射された後、前記イオンゲートまでの途中でイオンを分離するための、1回反射飛行時間(TOF)質量分析器、多重反射飛行時間(TOF)質量分析器、マルチセクタ反射飛行時間(TOF)質量分析器、周回型飛行時間装置うちの1つまたは複数をさらに含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載の質量分析計。
  25. 前記イオンインジェクタが、前記イオン源から受けたイオンを捕捉し、これらを前記下流のイオンガイドに向けて出射するイオントラップである、請求項21〜24のいずれか1項に記載の質量分析計。
  26. 前記イオンインジェクタが第一と第二の平行平板電極を含み、その一方が引出し平板電極を形成する、請求項21〜24のいずれか1項に記載の質量分析計。
  27. 前記引出し平板電極がグリッドまたはスリットで形成されるか、これを含む、請求項26に記載の質量分析計。
  28. 前記イオンインジェクタが、イオンを、前記イオン源からの前駆イオンの入射方向に対して実質的に直交する方向に出射するように構成される、請求項26または27に記載の質量分析計。
  29. 前記イオンインジェクタが、非トラップ型DCまたはRFオンリーイオンガイドである、請求項21〜24のいずれか1項に記載の質量分析計。
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