JP5860169B2 - 抽出用バッグ - Google Patents
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しかし、急須を用いて緑茶を抽出するには、抽出後の茶葉の廃棄処理や急須の洗浄等に手間を要するため、より簡易に緑茶を抽出できる製品として、天然繊維や合成繊維等の繊維フィルターを用いて製袋し茶葉を封入した、一般にティーバッグと呼ばれる抽出用バッグが知られている。
つまり、緑茶に濁りを付与するには、抽出用バッグを湯に浸漬して緑茶を抽出する際に、茶葉微粉末を適量漏出させて緑茶に含ませればよいため、抽出用バッグを構成する繊維フィルターとして、目の粗いものを採用する方法が考えられる。しかし、粗目の繊維フィルターを採用した場合、茶葉を封入した抽出用バッグを外装袋で包装する工程中、あるいは抽出用バッグの運搬中に、茶葉微粉末が粗目の繊維フィルターを通過して外部に漏出し、原料ロスになるとともに、抽出用バッグの包装装置を汚して故障の原因となり、また、抽出用バッグの外周面に茶葉微粉末が多く付着した、見栄えの良くないティーバッグ製品になってしまうという不都合が生ずる。
このような事情から、緑茶の抽出時には、茶葉微粉末を漏出させて緑茶に含ませることができ、かつ、包装時又は運搬時等の未抽出時には、茶葉微粉末の漏出を防ぐことができる抽出用バッグが望まれている。
したがって、紅茶等の抽出時には調味料等の微粉末を短時間で溶解させることができ、かつ、包装時や運搬時等の未抽出時には、調味料等の微粉末の漏出を防ぐことができる抽出用バッグがあれば便宜である。
しかしながら、このティーバッグ用フィルターでは、フィルターの繊維間隙に入り込んだ水溶性高分子化合物は溶解し難いうえに、溶解すると粘性を生ずるゼラチン等の水溶性高分子化合物によって、飲料の食感や風味が損なわれる恐れがある。
しかしながら、この特許文献2に記載の技術は、平型ティーバッグ同士を面接触させて押圧し、ティーバッグ内での茶葉微粉末の移動を抑制することにより、運搬時のティーバッグからの茶葉微粉末の漏出を低減するものであることから、例えば、ティーバッグの製造工程において、茶葉微粉末を封入したティーバッグを包装袋で包装する際には、茶葉微粉末の漏出を防ぐことができないという問題がある。
しかしながら、この特許文献3に記載のティーバッグ等は、矩形のフィルターの周縁を上方に持ち上げて一まとめに結縛することにより封止されているため、バッグを形成するフィルターには多数の縦皺が生じており、特に結縛部分の周囲は大きく変形している。したがって、重なり合ってフィルターを構成する紙層と布層の相互の密着性は大きく損なわれており、紙層に対し布層が外側から面接触して支持するという機能が十分に働かないため、紙層の変形によるスリットの拡開を防ぐことはできない。そのため、ティーバッグ等の包装時や運搬時等において、拡開したスリットから茶葉等やその微粉末が漏出してしまうという問題がある。
なお、抽出液としては、上記緑茶、紅茶、コーヒー等の飲料が一般的であるが、出汁、スープ等の食品や、漢方薬抽出液等の薬剤等も含むものである。
上記バッグ本体に封入される被抽出物は、少ない量の被抽出物からより多くの量の抽出液を得るために、また、抽出時間を短縮するために、数mmから十数mm程度の大きさに粉砕しておくことが好ましい。
上記バッグ本体に封入される可食粉体は、短時間で抽出液中に分散又は溶解させるために、粒子径をなるべく小さくした微粉末であることが好ましく、また、かかる微粉末を集めて粒状に固めた顆粒であってもよい。
したがって、抽出用バッグのバッグ本体は、その全体が多重フィルターによって形成されていてもよく、あるいは、多重フィルターと他の抽出用フィルターを組み合わせて形成されていてもよい。また、これらの抽出用フィルターの他に、抽出用フィルターではないシート部分を備えていてもよい。
また、粗目繊維シートとは、織布、不織布、紙等の繊維素材からなるシートであって、繊維間隙が比較的大きいため、透液性を有し、さらに可食粉体を通すことができるが、茶葉等の被抽出物は通し難いものである。
例えば、本発明の抽出用バッグの包装時や運搬時等に、多重フィルターが抽出用バッグに封入された被抽出物等に押し付けられて変形したような場合等でも、粗目繊維シートが薄膜シートに面接触して支えるため、薄膜シートの変形の程度は緩和されて、切り込みは拡開し難く、ほぼ閉じた状態のまま維持される。そのため、バッグ本体に封入された可食粉体の漏出を抑制することができる。
特に、本発明の抽出用バッグのバック本体は、バッグ本体内に封入された被抽出物等と接触する内面側に、切り込みが付された薄膜シートが配置され、外面側に切り込みが付されていない粗目繊維シートが配置されていることから、粗目繊維シートが薄膜シートに対し、外側から覆うように全体的又は部分的に面接触して支持する状態になっている。
したがって、上記抽出用バッグによって飲料等を抽出する際に、例えば、バッグ本体を湯又は水に浸漬すると、湯又は水がバッグ本体内に流入するが、内面側の薄膜シートは、外面側の粗目繊維シートよりも湯又は水の流入方向に対して下流側に位置するため、粗目繊維シートによる支持作用を受け難い。そのため、薄膜シートの切り込みは、流入する湯又は水によって容易に押し拡げられるため、可食粉体が外部へ漏出し易くなる。
したがって、バッグ本体を製袋する際には、面状又は線状のシール部の縁辺に折り皺を形成しないように封止作業を行う必要がある。
また、線状のシール部による封止方法としては、例えば、2枚の多重フィルターを重ね合せた後、超音波又はレーザー光等を当てて、溶断しつつ線状のシール部を形成し溶着する方法等がある。
なお、比較的大きな被抽出物は、粗目繊維シートを通過できないため、薄膜シートの切り込みの開閉にかかわらず、バッグ本体から漏出することはない。
さらに、上記砂糖等の調味料の微粉末を集めて粒状に固めた顆粒であってもよい。顆粒は上記微粉末の粒子の集合物であって多孔質なので、顆粒自体の大きさにかかわらず、上記微粉末と同様に飲料等に素早く溶解させることができるからである。例えば、砂糖の顆粒(フロストシュガー)であれば、砂糖微粉末を一般的な造粒機で粒状に固めることで製造することができ、原料の砂糖微粉末と同様に、飲料等に素早く溶解させることができるものである。
また、可食粉体を香辛料であるシナモンの微粉末とすれば、かかるシナモン微粉末をコーヒーに分散させて特徴的な風味を付与することができる。その際、シナモン等の香辛料の微粉末の粒子径が500μm以下であれば、素早く分散させることができるので好ましい。
また、薄膜シートと粗目繊維シートの部分接着の方法は、特に限定されず、例えば、両シートが熱可塑性樹脂素材からなる場合には、重ね合せた両シートを熱エンボス加工により部分溶着することができる。また、両シートの間に部分的に接着剤を塗布して押圧することにより部分接着することも可能である。
さらに、かかる抽出用バッグによれば、飲料等の抽出時には、上述のとおり薄膜シートは粗目繊維シートによる支持作用を受け難いため、薄膜シートの切り込みは容易に拡開し、飲料等に可食粉体を容易に分散又は溶解させて漏出させることができる。したがって、例えば、茶葉微粉末を分散させて風味を向上させた緑茶や、砂糖を溶解させて甘味を付与したコーヒー等を容易に素早く作ることができる。
さらに、かかる抽出用バッグは、外面側の粗目繊維シートが内面側の薄膜シートを覆った状態となっているので、外部から薄膜シートの切り込みを見え難くすることができ、見栄えの良い製品とすることができる。
多重フィルター1は、飲料等の抽出に好適な抽出用フィルターであり、薄膜シート2と粗目繊維シート3とが重ね合わされ長尺の帯状に形成されている。なお、図1では、多重フィルター1の構成を理解し易く表現するために、薄膜シート2及び粗目繊維シート3を長方形とし、さらに左斜め方向にずらした態様として描写してある。
また、薄膜シート2には、その表裏を貫通する切り込み4が形成されている。図1に示す本実施形態の切り込み4は、一辺10mmの枡目に入る程度の大きさのX字形であり、多数個がほぼ等間隔かつ規則的に配設されている。
かかる不織布の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステル等のポリエステル系繊維、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、脂肪族ポリエステル系又は芳香族ポリエステル系の生分解性繊維等の短繊維又は長繊維が使用でき、さらに、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステル等で、芯がポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等からなる芯鞘構造の複合繊維等を使用することができる。
また、かかる不織布の製造方法としては、特に限定されず、公知のスパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、スパンレース法、エアレイド法、カーディング法等が適用できる。
また、織糸の形態として、モノフィラメント、マルチフィラメント、2種類の樹脂を組み合わせた芯鞘構造の複合繊維、紡績糸等を使用することができる。
かかるフィルム状シートの材質としては、耐熱水性に優れたものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、脂肪族ポリエステル系又は芳香族ポリエステル系の生分解性樹脂等が使用できる。
かかる粗目繊維シートの繊維間隙の最大開孔径は、通過させるべき可食粉体の大きさによるが、上記細目繊維シートの繊維間隙の最大開孔径(200μm以下)よりも大きく、かつ150〜1000μmであることが好ましい。
かかる紗又は不織布の材質としては、上記薄膜シート2を構成する細目繊維シートと、ほぼ同様の合成繊維等を用いることができるが、抽出用バッグを製袋する際に高い熱シール強度を得るために、薄膜シート2との溶着相性が良い材質を採用することが好ましい。
また、薄膜シート2と粗目繊維シート3の材質として、相互に融点が異なるものを採用すれば、熱シール加工時に、低い融点のシートのみを溶解させて接着材として機能させることにより、熱シール加工を容易かつ確実に行うことができるため好ましい。
このような面接触状態であれば、薄膜シート2に対して外部から加わる種々の物理的作用が、粗目繊維シート3により緩和されるため、薄膜シートに付されている切り込み4は、ほぼ閉じた状態のまま維持される。例えば、多重フィルター1を用いて製袋した抽出用バッグ5の包装時や運搬時等に、抽出用バッグ5の壁面(多重フィルター1)が、外部からの押圧力等を受けて変形したような場合でも、粗目繊維シート3が薄膜シート2に面接触して支えるため、薄膜シート2の変形の程度は緩和されて、切り込み4は拡開し難く、ほぼ閉じた状態のまま維持される。そのため、抽出用バッグ5に封入された可食粉体の漏出を抑制することができる。
抽出用バッグ5は、図1に示す多重フィルター1を用いて高さ50mmのテトラ形(4面体形)に製袋されたバッグ本体6と、抽出用バッグ5を使用する際に、指先で摘まみ上げるためのタグ8と、一端がバッグ本体6の一頂点部に接着され、他端がタグ8に接着された吊糸7とからなる。
バッグ本体6は、多重フィルター1の薄膜シート2を内面側に配置し、粗目繊維シート3を外面側に配置して製袋され、バッグ本体6内には、被抽出物として数mm程度の大きさに粉砕された緑茶用茶葉(1.8g)と、可食粉体として粒子径約150μmの大きさに磨砕された茶葉微粉末(0.2g)が封入されている。
さらに、バッグ本体6に封入される可食粉体は上記の茶葉微粉末に限らず、砂糖、低カロリー甘味料、クリーミングパウダー、低カロリークリーミングパウダー、ココア、カラメル、食塩、旨味調味料等の調味料の微粉末又は顆粒、あるいは、シナモン、バニラビーンズ、コショウ、唐辛子、各種ハーブ等の香辛料の微粉末等を採用することができる。
図2に示すように、抽出用バッグ5のバッグ本体6は、その外面側に粗目繊維シート3が配置され、内面側に薄膜シート2が配置されていることから、いわば、切り込みが付されていない粗目繊維シート3が、切り込み4が付された薄膜シート2を、外側から覆うように全体的又は部分的に面接触して支持する状態となっている。
また、抽出用バッグ5は、バッグ本体6の外面側の粗目繊維シート3が、内面側の薄膜シート2を覆っているので、薄膜シート2の切り込み4は外部から見え難くなっており、外観上美しいものである。
このように、バッグ本体6を湯に浸漬すると、湯がバッグ本体6内に流入して茶葉に吸収されるが、その際、湯は比重が大きく抵抗を生じるため、湯が薄膜シート2の切り込み4を押し拡げつつ通過することにより、図3に示すような拡開部9が形成される。したがって、茶葉微粉末は、バッグ本体6内に流入した湯の中に分散し、その湯が対流して拡開部9を通過してバッグ本体6外に流出する際に、一緒に漏出することになる。
また、タグ8を持つ指先を上下させて、バッグ本体6を湯中で揺り動かし、バッグ本体6内外の湯に乱流を生じさせれば、さらに多くの茶葉微粉末を漏出させることができる。その際、茶葉微粉末よりも大きな茶葉は、粗目繊維シート3を通過し難いため、薄膜シート2の切り込み4の開閉にかかわらず、バッグ本体6からほとんど漏出することはない。
図4に示す多重フィルター1は、上記の図1に示す実施形態と同様に、薄膜シート2と粗目繊維シート3とが重ね合わされ長尺の帯状に形成されている。
薄膜シート2は、図1の実施形態と同じメルトブロー不織布であるが、その表裏を貫通して形成された切り込み4は、多重フィルター1の長手方向に沿って形成された、長さ約12mmの直線形であって、多数個が、ほぼ等間隔かつ規則的に配設されている。
また、粗目繊維シート3も図1の実施形態と同じ紗であり、薄膜シート2と粗目繊維シート3とは、熱エンボス加工により形成された、多数の点溶着部である接着部10により部分接着されている。かかる接着部10は、図4及びそのA−A矢視断面図である図5に示すように、切り込み4と交互に配設されている。
さらに、薄膜シート2の切り込み4が、多重フィルター1の長手方向に沿った直線形に形成されているので、例えば、抽出用バッグ5の製袋工程等において、多重フィルター1がその長手方向に搬送される際に、搬送路との摩擦や引っ掛かりによって、あるいは、多重フィルター1の長手方向に付加される引張力によって、切り込み4が拡開してしまうといった不都合が生じ難い。
なお、薄膜シート2と粗目繊維シート3とを部分接着する各々の接着部10は、各々の切り込み4から十分に離れて配設されているため、切り込み4の拡開動作による拡開部9の形成を阻害することはない。また、接着部10の位置、大きさ、形状等は、切り込み4の拡開動作を阻害しない範囲において、適宜に変更することができる。
切り込み4の最もシンプルな形態としては、上記のとおり、図1に示すX字形、又は図4に示す直線形を挙げることができるが、これらに限られるものではない。例えば、飲料等の抽出時に分散又は溶解させて漏出させる可食粉体の量を調節するために、あるいは、抽出用バッグの意匠性を高めるために、適宜に形態を選択することができる。
(a)に示す切り込み4は、3本の直線形の切り込みを、放射形に組み合わせた形態である。
(b)に示す切り込み4は、3本の直線形の切り込みを、H字形に組み合わせた形態である。
(c)に示す切り込み4は、曲線で表された波形の形態である。
(d)に示す切り込み4は、直線で表された波形の形態である。
(e)に示す切り込み4は、長短5本の直線形の切り込みを、平行に配置した形態である。
図8に示す抽出用バッグ15は、図1に示す多重フィルター1を用いて縦55mm×横45mmの矩形平袋状に製袋されたバッグ本体16と、抽出用バッグ15を使用する際に、指先で摘まみ上げるためのタグ18と、一端がバッグ本体16の上辺中央部に接着され、他端がタグ18に接着された吊糸17とからなる。
バッグ本体16は、2枚の多重フィルター1を、それらの薄膜シート2を内面側に、粗目繊維シート3を外面側に配して対向させ、周縁に面状シール部S1が形成されることにより封止されている。かかる面状シール部S1は、熱シールバーで多重フィルター1が挟圧されることで形成され、面状シール部S1の縁辺S1aは、ごく微細な皺以外の折り皺が形成されていない状態、つまり、実質的に折り皺が形成されていない状態とされている。
この抽出用バッグ15は、運搬時等の未抽出時には、多重フィルター1の薄膜シート2の切り込み14がほぼ閉じた状態であるため、砂糖及びクリーミングパウダーの微粉末がバッグ本体16から漏出し難いものである。
しかし、焙煎コーヒー豆の粉砕物の粒子は、粗目繊維シート3の繊維間隙(最大開孔径220μm)よりも大きく通過し難いため、ほとんど漏出することはない。
この抽出用バッグ25のバッグ本体26は、2枚の多重フィルター1を、それらの薄膜シート2を内面側に、粗目繊維シート3を外面側に配して対向させ、周縁にフランジ状の面状シール部S2が形成されることにより封止されている。かかる面状シール部S2は、熱シールバーで多重フィルター1が挟圧されることで形成され、面状シール部S2の縁辺S2aは、ごく微細な皺以外の折り皺が形成されていない状態、つまり、実質的に折り皺が形成されていない状態とされている。
この抽出用バッグ25は、運搬時等の未抽出時には、多重フィルター1の薄膜シート2の切り込み24がほぼ閉じた状態であるため、クリーミングパウダー及びシナモンの微粉末がバッグ本体26から漏出し難いものである。
しかし、焙煎コーヒー豆の粉砕物の粒子は、粗目繊維シート3の繊維間隙(最大開孔径220μm)よりも大きく通過し難いため、ほとんど漏出することはない。
図1に示す多重フィルター1を用いて2種類の抽出用バッグ5の実施例サンプルA及びBを製作した。
ここで、多重フィルター1は、上述のとおり、薄膜シート2と粗目繊維シート3を接着することなく重ね合せたものである。かかる薄膜シート2は、メルトブロー不織布からなる細目繊維シートであり、材質はポリエチレンテレフタレート、繊度は0.6デニール、目付は5g/m2、繊維間隙の最大開孔径は120μmであって、その表裏を貫通する一辺10mmの枡目に入る程度の大きさのX字形の切り込みが、多数個規則的に配設されている。また、粗目繊維シート3は紗であり、織糸の材質はポリエチレンテレフタレート/低融点ポリエステル、繊度は25デニール、目付は21g/m2、繊維間隙の最大開孔径は220μmである。
サンプルAとBの相違点は、バッグ本体6の壁面の構成であり、サンプルAのバッグ本体6は、多重フィルター1の切り込み4が付された薄膜シート2を内面側に配置し、切り込みが付されていない粗目繊維シート3を外面側に配置して製袋されており、他方、サンプルBのバッグ本体6は、切り込みが付されていない粗目繊維シート3を内面側に配置し、切り込み4が付された薄膜シート2を外面側に配置して製袋されている。
上記の抽出用バッグの実施例サンプルAにおける多重フィルター1に替えて、X字形の切り込み4が配設された薄膜シート2のみを用い、その他はサンプルAと同じように抽出用バッグの比較例サンプルCを製作した。
また、上記比較例サンプルCにおけるX字形の切り込み4が配設された薄膜シート2に替えて、切り込みを設けていないこと以外は同じ薄膜シートを用い、その他はサンプルCと同じようにして抽出用バッグの比較例サンプルDを製作した。
さらに、上記実施例サンプルAにおける抽出用フィルター1に替えて、粗目繊維シート3のみを用い、その他はサンプルAと同じようにして抽出用バッグの比較例サンプルEを製作した。
第1試験として、上記2種類の実施例サンプルA及びBと、3種類の比較例サンプルC、D及びEを用い、未抽出時におけるバッグ本体6からの茶葉微粉末の漏出量を調べる試験を行った。
試験方法は、ふるい試験機(IKA Labortechnik社製、型式HS501)の振動部に、各サンプルの吊糸7を固定して吊るし、一定方向に125Hzの振動を3分間加え、バッグ本体6から漏出して落下した茶葉微粉末の質量を測定した。試験結果を表1に示す。
試験方法は、まず図10に示すとおり、温度90℃の湯12を200ml入れた水槽(ビーカー)11内に、各サンプルのバッグ本体6を浸漬し、バッグ本体6を右回りに3回転させ、次いで左回りに3回転させ、さらに上下に10往復振とうした後、バッグ本体6を湯12から取り出した。次に、得られた緑茶を肉眼で観察し、さらに、得られた緑茶を濾過して、緑茶に含まれる茶葉及び茶葉微粉末を分離採取し、乾燥させた後に質量を測定した。試験結果を表1に示す。
また、実施例サンプルBでは、未抽出時においてわずかに茶葉微粉末の漏出が認められるが、抽出時には適度な濁りを呈する緑茶が得られており、実用上問題のない結果であった。
また、比較例サンプルDでは、未抽出時には、茶葉微粉末が漏出せず良好であるが、抽出時にも茶葉微粉末がわずかしか漏出せず、得られた緑茶は、ほぼ透明で濁りがほとんど無く、好ましくない結果であった。
さらに、比較例サンプルEでは、未抽出時の茶葉微粉末の漏出量が多く、好ましくない結果であった。
2 薄膜シート
3 粗目繊維シート
4,14,24 切り込み
5,15,25 抽出用バッグ
6,16,26 バッグ本体
7,17 吊糸
8,18 タグ
9 拡開部
10 接着部
S 線状シール部
S1,S2 面状シール部
Sa,S1a,S2a 縁辺
Claims (4)
- 抽出用フィルターにより形成されたバッグ本体に、被抽出物と可食粉体を封入してある抽出用バッグであって、
該抽出用フィルターが、可食粉体を通し難い又は通さない素材からなり表裏を貫通する多数個の切り込みが分散して付された薄膜シートと、繊維間隙の最大開孔径が150〜1000μmであって被抽出物を通し難い又は通さないが可食粉体を通す素材からなり上記切り込みが付されていない粗目繊維シートとを重ね合わせてなる多重フィルターにより形成してあり、
バッグ本体は、薄膜シートを内面側に粗目繊維シートを外面側にそれぞれ配置して、面状又は線状のシール部によって封止してあり、該シール部の縁辺に実質的に折り皺が形成されていないことを特徴とする抽出用バッグ。 - バッグ本体に封入してある可食粉体が被抽出物の微粉末であることを特徴とする請求項1に記載の抽出用バッグ。
- バッグ本体に封入してある可食粉体が調味料又は香辛料の微粉末又は顆粒であることを特徴とする請求項1に記載の抽出用バッグ。
- 多重フィルターは薄膜シートと粗目繊維シートを重ね合わせて部分接着してあること特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の抽出用バッグ。
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