JP5858572B2 - 使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を用いた再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法 - Google Patents
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Description
<1> 以下の工程によって、触媒金属と触媒金属を坦持する炭素系担体とからなる使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を用いて、再生触媒金属坦持炭素系触媒を製造する方法。
(1)使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を濃硝酸で処理して触媒を構成する触媒金属成分を溶解する工程、
(2)得られた触媒金属溶解液から炭素系担体をろ過除去する工程、
(3)得られたろ液中の触媒金属構成金属成分を還元して前記金属成分を沈殿し、ろ過する工程
(4)得られた再生触媒金属粉末を塩酸中に入れ、過酸化水素水を添加して溶解する工程、
(5)前記溶解液のpHを炭素系担体に再生触媒金属を坦持させるのに適したpHに調整する工程、及び
(6)得られた調整液に炭素系担体を添加して炭素系担体に再生触媒金属を坦持させる工程。
<2>以下の工程からなる、触媒金属と触媒金属を坦持する炭素系担体とからなる使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を用いて、再生触媒金属坦持炭素系触媒を製造する方法。
(1)使用済み触媒金属坦持炭素系触媒をか焼して触媒を構成する金属および酸化物を得る工程、
(2)得られた触媒金属および酸化物を還元して再生触媒金属の粉末を得る工程、
(3)得られた再生触媒金属粉末を塩酸中に入れ、過酸化水素水を添加して溶解する工程、
(4)前記溶解液のpHを炭素系担体に再生触媒金属を坦持させるのに適したpHに調整する工程、及び
(5)得られた調整液に炭素系担体を添加して炭素系担体に再生触媒金属を坦持させる工程。
<3>前記触媒金属が、パラジウム−銅、白金−銅及び金−銅の合金及びパラジウム−銅、白金、金の金属から選択されたいずれかの合金あるいは金属である、<1>あるいは<2>のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
<4>前記触媒金属が、パラジウム−銅である、<3>に記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
<5>前記炭素系担体が、カーボンブラック、グラファイト、活性炭および繊維状の黒鉛ナノチューブからなる群から選択されたいずれかの炭素系担体である、<1>乃至<4>のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
<6>前記触媒金属がパラジウム−銅合金であり、前記炭素系担体が活性炭である、<1>乃至<5>のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
<7>得られた再生触媒金属粉末を塩酸中に入れ、過酸化水素水を添加して溶解する前記工程と溶解液のpHを炭素系担体に再生触媒金属を坦持させるのに適したpHに調整する前記工程の間に、(a)触媒金属が金属単体からなる場合には、溶解された再生触媒金属が再生触媒金属担持炭素系触媒を製造するのに必要な量に満たない場合には、触媒金属を必要な量となるように補充し、あるいは(b)触媒金属が合金からなる場合には、該触媒金属合金の触媒金属成分が再生触媒金属担持炭素系触媒を製造するのに必要な量及び所定割合でない場合には必要な量及び所定割合となるように触媒金属成分を補充する、<1>乃至<6>のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
本発明に係る使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を用いて、再生触媒金属坦持炭素系触媒を製造する方法の概略を図1に示す。
(1)例えば、脱硝用として使用した触媒金属坦持炭素系触媒を、
(1a)濃硝酸液に溶解し、還元析出とろ過を通して再生触媒金属を抽出する、あるいは
(1b)前記使用済み触媒金属坦持炭素系触媒をか焼して炭素系担体を焼却し、前記触媒金属及びそれらの金属酸化物の混合粉末を得、それを還元とろ過を通して再生触媒金属を抽出する、
のいずれかの方法によって前記触媒金属を回収し(触媒金属の分離工程)、
(2)回収した前記触媒金属を塩酸と過酸化水素水により溶解し(溶解工程)、
(3)溶解液中の触媒金属成分を調整し(溶解液の調整工程)、
(4)炭素系担体に坦持させるため前処理した(前処理)後、
(5)新たな炭素系担体上に再生触媒金属を坦持させることによって再生触媒金属坦持炭素系触媒を作製する工程(再生触媒金属坦持炭素系触媒の作製工程)とからなる。
なお、炭素系担体としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭および繊維状の黒鉛ナノチューブからなる群から選択された炭素系担体を挙げることができる。また、触媒金属としては、パラジウム−銅、白金−銅及び金−銅の合金及びパラジウム、銅、白金、金の金属から選択されたいずれかの合金あるいは金属を挙げることができる。
(1−1)湿式処理
(1−1a)触媒金属の溶解・ろ過
図2に示す湿式処理装置を用いて、使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を硝酸、例えば濃硝酸(13M)に懸濁し、触媒金属を溶解、溶出し、炭素系担体から分離する。触媒金属の溶出・回収率を高めるため、溶解・溶出工程を複数回繰り返すことが望ましい。また、溶解・溶出温度としては、反応を活性化するため、例えば、60℃〜90℃が好ましく、反応時間としては。硝酸の濃度にも依存するが、例えば濃硝酸の場合には、0.5時間〜2時間が好ましい。また、炭素系担体を再利用しないのは、硝酸によって炭素系担体が劣化するからである。硝酸は1Mから原液濃度15.6Mまで使用可能と考えるが、硝酸濃度が高いほど金属の溶出速度が高いため、本発明の目的を達成するためには13M以上の濃硝酸が実用的である。重量比で、使用済触媒(乾燥重量)を1とすると、使用する濃硝酸の量は5.5程度が好ましい。この値が高い程溶出性能が上がるが、廃液も増加する。
触媒金属イオンを還元することにより触媒金属粉末として析出させ、これをろ過することにより硝酸イオン溶液から触媒金属粉末を分離し、水で洗浄する。触媒金属粉末は乾燥させずに、後述する溶液化することもできる。
上記工程を採用した理由は、以下の通りである。触媒作製には還元剤が用いられるが、溶解している触媒金属(銅が存在すると)、硝酸イオン、炭素系担体および還元剤が同時に存在する溶液では脱硝反応が起こる。この脱硝反応でアンモニアが生成し、アンモニアは溶解している銅のイオンと安定な錯体を形成するため、触媒金属の銅が炭素系担体に担持できなくなる。また、最終的に触媒作製のためには金属の希塩酸溶液を調製する必要があるので、溶出液の硝酸イオンと金属を分離する必要がある。
なお、最終的に触媒作製のために触媒金属の希塩酸溶液を調製する理由は、希塩酸溶液の場合、触媒作製時に不都合な脱硝反応が起こらないこと、および、触媒金属の担体に使用される炭素系担体を劣化させないことからである。
触媒金属イオンを還元するには、例えば溶出液に水酸化ナトリウムを加えてアルカリ性、例えばpH10にし(酸性であると、金属が再度溶解するため)触媒金属水酸化物を沈殿させ、還元剤、例えばヒドラジン一水和物(例えば、触媒金属の2倍等量より多め)を加えて触媒金属水酸化物を還元する。このようにすることによって再生パラジウム−銅合金の粉末を速やかに得ることができ、ろ液中には触媒金属が検出されない(パラジウム−銅合金についてはX線回折分析によって確認した。図5参照。また、ろ液中にはパラジウム−銅が検出されないことはICP−AES(Atomic Emission Spectrometry)分析によって確認される)。
(1−2a)上記湿式法による触媒金属の溶解・溶出、還元分離工程の代替え法として、か焼除去により炭素系担体を除去し触媒金属を分離する。
酸溶出による方法では、炭素系担体に担持されたパラジウムの溶出回収率が低いので、回収率を高めるためには繰り返しの溶出操作を要する。また前処理の過程で溶出液を中和するが、酸溶出による触媒金属回収では多量の酸を用いるため、この中和に多量のアルカリを要する。か焼処理では、多量の酸を用いる工程が無いため、多量のアルカリの使用および廃液処理が省ける。
か焼は、空気中で、例えば温度630℃〜1000℃で行い、か焼時間は使用済み触媒金属炭素系触媒の量に依存するが、すべての炭素系触媒が焼失するに必要な時間とされる。か焼後の残渣には、触媒金属相及びそれらの酸化物が混在する(X線回折、図8参照)。
触媒金属-酸化物の混合相のか焼残渣を還元剤を用いて金属相に還元し、塩酸および過酸化水素水で溶解できる化学形態(触媒金属相)にする。還元した再生触媒金属はろ別、洗浄する。
水中にか焼残渣を入れ、撹拌し、温度を60℃〜90℃に保ち、例えばホスフィン酸ナトリウム等の還元剤の水溶液を加え、発泡が終わるまで保つ。ホスフィン酸ナトリウムの使用量は、か焼残渣1gに対して、例えば、0.5g〜1.0gである。ホスフィン酸ナトリウムを適切な量で使用し、反応条件を適切なものとすることによって、触媒金属の回収損失をゼロとすることができる。
本工程で触媒金属を還元回収する理由は、触媒作製のために再生触媒金属の希塩酸溶液を調製しなければならないが、か焼残渣をそのまま塩酸と過酸化水素水を用いて溶解すると触媒金属の酸化物が残渣として残ってしまうからである。なお、還元剤としては、ホスフィン酸ナトリウム以外にホルムアルデヒド、ギ酸およびその塩、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン一水和物の各水溶液を用いることができる。
塩酸と過酸化水素水を添加し再生触媒金属を溶解して、触媒作製のために必要な再生触媒金属の希塩酸溶液を調製する。再生触媒金属の溶解には、再生触媒金属1gに対して、1〜5Nの塩酸を100〜500mL、9.9M過酸化水素水を10〜20mL使用する。9.9M過酸化水素水の添加速度は、例えば、0.1〜0.5mL/min.とする。溶解後、例えば90℃に加温して残余の過酸化水素を自己分解除去する。
使用済み触媒金属坦持炭素系触媒からの再生触媒金属のそれぞれの回収率が異なるので、当初の触媒金属比とするためにいずれかの成分を補充する。
使用済みパラジウム−銅坦持炭素系触媒の湿式法による触媒金属回収の場合、パラジウム回収率が銅回収率より低い為、パラジウム成分を塩酸溶液の形で上記溶解液に加える。一方、か焼法の場合には回収率はパラジウムと銅とはそれほど変わらないが、回収結果に基づいて、パラジウム成分あるいは銅成分を補充する。
調整液に対して水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを1〜1.5に調整する。pHがこの範囲より低いと炭素系担体が劣化するという問題があり、高いとpH調整用水酸化ナトリウム水溶液が加えられている部分のpHが規定値よりも高くなりパラジウムの水酸化物が析出するという問題がある。この再生触媒金属の坦持のための前処理工程は、炭素系担体を劣化させずに再生触媒金属坦持炭素系触媒を作製するためのものである。アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水溶液に限らず水酸化リチウム水溶液や水酸化カリウム水溶液なども使用できる。
まず、調整液に所定量の炭素系担体を添加して、例えば温度40〜60℃で適当な時間攪拌して均一に懸濁させ、1〜10Mの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを10〜13に調整すると、触媒金属水酸化物(例えば、パラジウム−銅水酸化物)が炭素系担体に坦持された触媒金属水酸化物坦持炭素系担体(例えば、パラジウム−銅水酸化物担持活性炭)が生成する。調整pHが低すぎると触媒金属水酸化物の沈降が不十分となり、高すぎると再生触媒金属坦持炭素系触媒の作製には不都合無いがアルカリ廃液量の増加となる。生成した触媒金属水酸化物坦持炭素系担体をろ過し、pHが10〜12のアルカリ性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム)で洗浄する。触媒作製条件を適正に設定することにより、ろ液中には触媒金属は検出されない(ICP−AESで確認可能)。
(1)溶解・溶出工程:使用済みのパラジウム−銅坦持活性炭脱硝触媒に硝酸を用いて触媒金属を溶解・溶出分離する。
図1に示す湿式処理装置を用いて、粉状の活性炭担体にパラジウム−銅(モル比7:3)を坦持した乾燥実劣化脱硝触媒20gを80mLの13M−硝酸に懸濁し、60℃で1時間攪拌し、パラジウムおよび銅が溶出した溶液をろ別回収し、残留ろ物を溶出する操作を更に2回繰り返した。なお、ろ過工程には、図2の吸引ろ過装置を用いた。計3回の溶出操作で回収したろ液について、ICP−AESでろ液中の触媒金属濃度を測定し、測定結果から溶出率を計測した。溶出試験結果における溶出操作回数(横軸)とパラジウム及び銅溶出率(縦軸)との関係を図2に示す。積算溶出率はパラジウムが64.9mol%、銅は83.3mol%であった。なお、図1に示す湿式処理装置は、湿式処理(湿式の金属回収工程、前処理工程及び触媒作製工程)全てに用いた。
上記(1)で得られた触媒金属の溶出液に5M 水酸化ナトリウムを604mL加えpH10に調整し、さらにヒドラジン一水和物を0.63mL (金属2倍当量に相当)加えて還元して金属相とした。沈殿物をろ過し、ろ物(乾燥粉末)1.3321gを得た。X線回折分析により沈殿物はパラジウムおよび銅の合金であることを確認した。X線回折分析結果を図4に示す。ろ液について、ICP−AES分析によりパラジウム−銅を定量したが、パラジウムおよび銅は検出できず、パラジウム及び銅の回収損失はなかった。
上記(2)で得られた再生触媒合金の粉末を200mLの1M−塩酸に入れて撹拌し、60℃に加温し、9.9M−過酸化水素12mLを添加速度0.2mL/minで添加し、該合金粉末を溶解した。溶解後90℃に加温し残余過酸化水素自己分解し除去した。溶出-還元-溶解の過程における触媒金属回収率は、パラジウム 64.9%、 銅 83.6%であった(ICP−AES分析、溶出以降の操作で金属損失なし)。
得られた溶解液に0.16M パラジウム液(0.1N−塩酸)を16.529mL加えパラジウム−銅比を7:3(モル比)に調製した。次に、前処理として、調整液に5M−水酸化ナトリウム水溶液を加えpH1に調整した。
上記(3)で得られた調製液に活性炭16gを添加し、60℃で1時間攪拌後、5M−水酸化ナトリウム水溶液を45mL滴下し、pH10に調整した(→パラジウム−銅水酸化物担持活性炭)。ろ過後、pH10の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄でした。ろ液について、ICP−AES分析をしたが、パラジウム−銅は検出されなかった。
得られたろ物(パラジウム−銅水酸化物担持活性炭)を水500mLに入れ、水酸化ナトリウム水溶液で pH10の懸濁液とし、温度を60℃とする。さらに、3.4gのホスフィン酸ナトリウムを水100mLに溶かした水溶液を懸濁液に滴下する。滴下後15分待って、ろ過し、pH10の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して、60℃で乾燥して、再生パラジウム−銅担持活性炭触媒 17.0gを得た。ろ液について、ICP−AES分析をしたが、パラジウム−銅は検出されなかった。
(1)か焼
粉状の活性炭担体にパラジウム−銅(モル比7:3)を坦持した乾燥実劣化脱硝触媒20gを図6に示すか焼装置を用いて、空気中630℃で合計8時間か焼した。5時間以降は1時間ごとに炉から取出し残渣を撹拌した。か焼7時間以降、重量減少が止まった。最終残渣は4.5004gであった。か焼除去できる活性炭成分が全て除かれたと推測した。か焼時間(横軸)と残渣重量(縦軸)との関係を図7に示す。
得られたか焼残渣物の残渣成分をX線回折で評価したところ、残渣はパラジウムと銅の金属相および酸化物相に同定された。図8参照。
なお、触媒作製のためには触媒金属の希塩酸溶液を調製しなければならないが、か焼残渣をそのまま塩酸と過酸化水素水を用いて溶解すると酸化物が残渣として残った。図9参照(溶解残渣を還元した粉末のX線回折パターン)。
か焼残渣を水200mLに入れ撹拌し、60℃に加温し、ホスフィン酸ナトリウム 3.9gを溶かした溶液を加え、懸濁液中の発泡が終わった後、ろ過した。ろ物(再生パラジウム−銅)の乾燥重量は1.5763gであった。ICP−AES分析によりろ液中のパラジウム−銅を定量したが、パラジウムおよび銅は検出できなく、パラジウムおよび銅の回収損失はなかった。
得られたろ物(再生パラジウム−銅)を1M−塩酸200mLに入れて撹拌し、60℃ に加温した後、9.9M−過酸化水素15mLを添加速度0.2mL/minで添加して該ろ物を溶解した。溶解後90℃に加温し、残余過酸化水素を自己分解除去した。か焼-還元-溶解の過程における触媒金属回収率をICP−AES分析で測定した所、パラジウム 87.5mol%、銅 85.9mol%であった。
得られた溶解液に0.5M−銅(0.1N−塩酸)水溶液を0.17mL加え、パラジウム−銅比を7:3(規定比)に調製した。
さらに、得られた調整液に前処理として、5M−水酸化ナトリウム水溶液を26mL加えpH1に調製した。
得られた調製液に活性炭16gを添加し、60℃で1時間攪拌した後、5M−水酸化ナトリウム水溶液を16mL滴下し、pH10に調整してパラジウム−銅水酸化物担持活性炭とし、ろ過後、pH10の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。ろ液について、ICP−AES分析で定量したが、パラジウム及び銅は検出できなかった。
得られたろ物(パラジウム−銅水酸化物担持活性炭)を水500mLに入れ、水酸化ナトリウム水溶液で pH10とし、60℃に加温し、3.4gのホスフィン酸ナトリウムを水100mLに溶かし懸濁液に滴下した。滴下後15分待ってろ過し、pH10の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、60℃で乾燥した(再生パラジウム−銅担持活性炭触媒 17.5g)。ろ液について、ICP−AES分析で定量したが、パラジウム及び銅は検出できなかった。
再生パラジウム−銅担持活性炭触媒をX線回折で分析したところ、新品触媒と同様なパラジウム−銅担持活性炭が作製できたことが確認できた。
以下に性能試験について述べる。
再生パラジウム−銅担持活性炭触媒の製造過程において、触媒金属の分離工程より後は、湿式処理とか焼-湿式処理の工程は同一である。そのため、性能評価はか焼-湿式処理で得た再生パラジウム−銅担持活性炭触媒で実施し、湿式処理の触媒の性能はこれと同等と判断した。
上記か焼-還元-前処理-作製工程によって得られた再生パラジウム−銅担持活性炭触媒を用いて以下の反応条件で脱硝試験を実施し、脱硝率および窒素ガス生成率を測定した。
反応条件
a)反応溶液:6M 硝酸ナトリウム 100mL
b)触媒濃度:1g−金属/L
c)還元剤:ヒドラジン一水和物 40mL、2時間かけて滴下
d)反応温度:60℃
生成物選択率
亜酸化窒素(N2O):3.5mol%
窒素(N2) :94.4mol%
アンモニア(NH3):2.1mol%
上記か焼-還元-前処理-作製の工程によって得られた再生パラジウム−銅担持活性炭触媒を繰り返し用いて以下の反応条件で脱硝試験を繰り返し実施し、触媒寿命の評価を行った。
反応条件
a)反応溶液:4.7M 硝酸ナトリウム 400mL
b)触媒濃度:2g−金属/L
c)還元剤:ヒドラジン一水和物 116.2mL、16時間かけて滴下
d)反応温度:80℃
触媒寿命評価を図14に示す。●が新品、□が再生パラジウム−銅担持活性炭触媒である。図14から、寿命反応回数は新品触媒の45回に対し、再生パラジウム−銅担持活性炭触媒は36回(80%程度の性能)であった。なお、反応回数34回目の□(NO3 −分解率86%は反応装置のトラブルに基づくものである。
Claims (7)
- 以下の工程によって、触媒金属と触媒金属を坦持する炭素系担体とからなる使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を用いて、再生触媒金属坦持炭素系触媒を製造する方法。
(1)使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を濃硝酸で処理して触媒を構成する触媒金属成分を溶解する工程、
(2)得られた触媒金属溶解液から炭素系担体をろ過除去する工程、
(3)得られたろ液中の触媒金属構成金属成分を還元して前記金属成分を沈殿し、ろ過する工程
(4)得られた再生触媒金属粉末を塩酸中に入れ、過酸化水素水を添加して溶解する工程、
(5)前記溶解液のpHを炭素系担体に再生触媒金属を坦持させるのに適したpHに調整する工程、及び
(6)得られた調整液に炭素系担体を添加して炭素系担体に再生触媒金属を坦持させる工程。
- 以下の工程からなる、触媒金属と触媒金属を坦持する炭素系担体とからなる使用済み触媒金属坦持炭素系触媒を用いて、再生触媒金属坦持炭素系触媒を製造する方法。
(1)使用済み触媒金属坦持炭素系触媒をか焼して触媒を構成する金属および酸化物を得る工程、
(2)得られた触媒金属および酸化物を還元して再生触媒金属の粉末を得る工程、
(3)得られた再生触媒金属粉末を塩酸中に入れ、過酸化水素水を添加して溶解する工程、
(4)前記溶解液のpHを炭素系担体に再生触媒金属を坦持させるのに適したpHに調整する工程、及び
(5)得られた調整液に炭素系担体を添加して炭素系担体に再生触媒金属を坦持させる工程。
- 前記触媒金属が、パラジウム−銅、白金−銅及び金−銅の合金及びパラジウム−銅、白金、金の金属から選択されたいずれかの合金あるいは金属である、請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
- 前記触媒金属が、パラジウム−銅である、請求項3に記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
- 前記炭素系担体が、カーボンブラック、グラファイト、活性炭および繊維状の黒鉛ナノチューブからなる群から選択されたいずれかの炭素系担体である、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
- 前記触媒金属がパラジウム−銅合金であり、前記炭素系担体が活性炭である、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
- 得られた再生触媒金属粉末を塩酸中に入れ、過酸化水素水を添加して溶解する前記工程と溶解液のpHを炭素系担体に再生触媒金属を坦持させるのに適したpHに調整する前記工程の間に、(a)触媒金属が金属単体からなる場合には、溶解された再生触媒金属が再生触媒金属担持炭素系触媒を製造するのに必要な量に満たない場合には、触媒金属を必要な量となるように補充し、あるいは(b)触媒金属が合金からなる場合には、該触媒金属合金の触媒金属成分が再生触媒金属担持炭素系触媒を製造するのに必要な量及び所定割合でない場合には必要な量及び所定割合となるように触媒金属成分を補充する、請求項1乃至6のいずれかに記載した再生触媒金属坦持炭素系触媒の製造方法。
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