JP5857398B2 - 歯ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、歯表面のステイン除去(着色除去)に好適に利用可能な歯ブラシに関するものである。
歯ブラシ用フィラメントとして、単一の合成樹脂材料からなり、長さ方向と直交する横断面形状を長方形状に形成して、フィラメントと歯表面との面接触の接触面積を大きく設定することによって、ステイン除去性能を高めたもの(例えば、特許文献1参照。)や、ポリアミド製の極細繊維からなる毛をゴム層で被覆してなる芯鞘複合フィラメントを用い、歯茎への刺激を少なくしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、横断面が円形以外の芯鞘複合フィラメントとして、芯部/鞘部の組合せとして、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称する。)、ポリエステルエラストマー/PBT、ポリプロピレンテレフタレート/PBT、ポリエチレンナフタレート/PBT、ポリエステルエラストマー/ポリエチレンテレフタレートなどからなり、繊維の長さ方向と直交する芯部の断面形状を星形や八葉形などに形成し、繊維の長さ方向と直交する鞘部の断面形状を三角形や正方形や八葉形に形成したもの(例えば、特許文献3参照。)や、導電性粒子を含有するポリエステルからなる導電性ポリマーを鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレートからなる非導電性ポリマーを芯成分とし、繊維の長さ方向と直交する芯部の断面形状を円形や三角形に形成し、繊維の長さ方向と直交する鞘部の断面形状を3角形や4角形としたもの(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。
特開平10−313946号公報 特開平5−123222号公報 特開2009−89920号公報 特開2004−225214号公報
ところで、歯表面のステイン除去のメカニズムは、現時点ではまだ明確ではないが、特許文献1記載のように、フィラメントの長さ方向と直交する横断面形状を長方形状に形成することで、効率的に除去できることが知られている。しかし、特許文献1記載のように、フィラメントとして単一の合成樹脂材料からなるものを用いると、ステイン除去性能は改善できるものの、歯ブラシとしての適度な硬さが得られなかったり、歯ブラシの毛先が広がり易くなって耐久性が低下したり、ブラッシング時における使用感が低下したりするという問題があった。
本発明の目的は、歯ブラシとしての硬さや耐久性、使用感などに優れ、植毛台に植設したフィラメントが抜け難く、しかもステイン除去性能を向上可能な歯ブラシを提供することである。
本発明に係る歯ブラシは、複数の毛束を植毛台に植設してなるブラシ部を有する歯ブラシであって、前記毛束を構成するフィラメントとして、合成樹脂繊維からなる芯部と、前記芯部に一体に被覆した鞘部であって、前記芯部を構成する合成樹脂と相溶性を有するエラストマーからなる鞘部とを有し、長さ方向と直交する横断面を4角形状となし、その各辺の長さを0.14〜0.30mmに設定した芯鞘複合フィラメントを含む毛束を用いたものである。
この歯ブラシでは、ブラシ部を構成するフィラメントとして、長さ方向と直交する横断面が4角形状の芯鞘複合フィラメントを用いているので、ステイン除去性能を十分に確保することができる。ステイン除去のメカニズムは、現時点ではまだ明確ではないが、本発明のように横断面が4角形状の芯鞘複合フィラメントを用いることで、歯表面と芯鞘複合フィラメントとの面接触の接触面積を大きく設定したり、横断面が4角形状の芯鞘複合フィラメントの角部で歯表面が強く擦られたり、ゴム弾性を有するエラストマーを歯表面に擦り付けたりすることで、効率良く除去できるものと推定できる。また、本発明では、芯鞘複合フィラメントの鞘部をエラストマーで構成しているので、歯磨き剤に含まれる微細な研磨粒子が、芯鞘複合フィラメントと歯表面間に挟持されたときに、エラストマーにくい込んで保持されながら、歯表面に擦り付けられることによっても、歯垢やステインを効率良く除去できる。しかも、エラストマーにより、芯鞘複合フィラメント同士の摩擦抵抗及び芯鞘複合フィラメントと植毛台との摩擦抵抗が大きくなるので、植毛台に植設した芯鞘複合フィラメントの引き抜き強度を向上できる。
また、芯部を合成樹脂繊維で構成しているので、この芯部の材質や直径などを適正に調整することで、歯ブラシとして利用可能な適度な硬さの芯鞘複合フィラメントを得ることができる。また、芯鞘複合フィラメントが角張ったものとなるので、その分歯肉や口腔内との接触による刺激が強くなるが、芯鞘複合フィラメントの外周部がエラストマーで被覆されているので、該刺激を抑制して、使用感も向上できる。しかも、合成樹脂製の芯部をエラストマーからなる鞘部で被覆することにより、合成樹脂繊維に対する水の影響を減少させ、ブラシの毛先が広がって耐久性が低下するという問題も改善できる。
しかも、前記芯鞘複合フィラメントの横断面の各辺の長さを、0.14〜0.30mmに設定しているので、次のような問題の発生を防止できる。即ち、芯鞘複合フィラメントの横断面の各辺の長さ、0.14mm未満の場合には、歯ブラシとして適当な硬さが得られず、耐久性にも劣り、十分なステイン除去効果が得られないという問題があり、0.30mmを超える場合には、歯ブラシとして硬すぎたり、使用感が悪くなるという問題があるので、芯鞘複合フィラメントの横断面の各辺の長さは、0.14〜0.30mmに設定することが好ましい。
(請求項2,3)
ここで、前記芯鞘複合フィラメントにおける、前記芯部がポリエステル系の合成樹脂繊維からなり、前記鞘部がサーモプラスチックエラストマー(TPE)からなることが好ましく、特に前記芯鞘複合フィラメントにおける、前記芯部がポリブチレンテレフタレート(PBT)からなり、前記鞘部がポリエステル系のサーモプラスチックエラストマー(TPE)からなることが好ましい実施の形態である。芯部を構成する合成樹脂材料として、ポリブチレンテレフタレートを用いることで、芯鞘複合フィラメントの毛腰を十分に確保でき、この芯鞘複合フィラメントを歯ブラシのフィラメントとして好適に利用できる。また、サーモプラスチックエラストマーは、芯部を構成する合成樹脂材料と同時押出し成形により芯鞘繊維を容易に製作できるので好ましい。
記芯鞘複合フィラメントにおける、前記芯部の長さ方向と直交する断面形状が円形状であることが好ましい。芯部の断面形状は、任意に設定できるが、前述したように、芯部は主に芯鞘複合フィラメントの硬さを確保するものなので、断面円形に構成して、芯鞘複合フィラメントの硬さ、即ち毛腰を全周にわたって一様に設定することが好ましい。
記芯部の直径は0.12〜0.27mmに設定することが好ましい実施の形態である。前記芯部の直径は、0.12mm未満の場合には、耐久性が低下するので、0.12mm以上に設定することが好ましい。また、芯部の直径の上限値は、芯鞘複合フィラメントが硬くなりすぎて使用感が低下しないように、0.27mm以下に設定することが好ましい。
(請求項
前記植毛台において、歯ブラシの長手方向において相隣り合う植毛孔の中心が歯ブラシの長手方向と平行な直線上に配置されていない部分を有することが好ましい実施の形態である。毛束は植毛台に対して整列形態(マトリックス状)に配置させることも可能であるが、バス法やローリング法でブラッシングしたときに、フィラメント密度が低くなる隣接する毛束間が歯表面の同一箇所を摺動することになり、該部分における磨き残し部分が発生したり、ステイン除去能が低下したりするので、前記植毛台に対して毛束を千鳥形態に植設し、歯表面を一様にブラッシングできるように構成することが好ましい実施の形態である。なお、植毛台に対する毛束(植毛孔)の配列形態としては、歯ブラシの長手方向(以下、行方向という)と、それと直交する方向(以下、列方向という)に関して、行方向において相隣り合う植毛孔の中心が、歯ブラシの長手方向と平行な直線上に配置されない千鳥状や、行方向において相隣り合う植毛の中心が、歯ブラシの長手方向と平行な直線上に配置される整列状や、千鳥状と整列状を併用した複合状に配列することができる。本明細書では、整列状と千鳥状とを併用した複合状の配列形態であっても、整列状の植毛孔を連続して3列以上備えている場合には、整列状の配列形態と合わせて整列形態と総称し、整列状の植毛孔が連続して2列以下の場合には千鳥状の配列形態と合わせて千鳥形態と総称するものとする。
前記ブラシ部の植毛密度が16〜21(植毛孔個数/cm2)であることも好ましい実施の形態である。植毛密度は、16(植毛孔個数/cm2)よりも小さいと、ステイン除去力が不十分になる恐れがあり、21(植毛孔個数/cm2)を超えるとブラシが硬くなって使用感が低下するので、16〜21(植毛孔個数/cm2)に設定することが好ましい。
前記ブラシ部の毛丈が8.5〜12mmであることも好ましい。毛丈は、8.5mm未満の場合には毛腰が強くなりすぎて使用感が低下し、12mmを超えると毛腰が弱くなりすぎて使用感が低下するとともに刷掃効果が低下するので、8.5〜12mmに設定することが好ましい。
(請求項
前記芯鞘複合フィラメントにおける、前記鞘部の外面を緩やかに内側へ窪んだ凹面状に形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、鞘部の外面の窪んだ部分に歯磨き剤を保持できるので、歯磨き剤を十分に歯表面に擦りつけながら効率的に歯表面を清掃することができる。
(請求項
前記植毛台の中央部側に植設される毛束として、前記芯鞘複合フィラメントを複数本束ねてなる毛束を用い、前記植毛台の外周側に植設される毛束として、硬質合成樹脂からなるモノフィラメントを複数本束ねてなる毛束を用いることが好ましい実施の形態である。このように構成することで、芯鞘複合フィラメントによりステイン除去力を向上しつつ、硬質合成樹脂からなるモノフィラメントにより、使用感に影響を与えずブラシ強度を調整でき、利用者の嗜好性に応じた多様な硬さの歯ブラシを設計できる。
本発明に係る歯ブラシによれば、ブラシ部を構成するフィラメントとして、長さ方向と直交する横断面が4角形状の芯鞘複合フィラメントを用いているので、ステイン除去性能を十分に確保することができる。また、芯鞘複合フィラメントの鞘部をエラストマーで構成しているので、歯磨き剤に含まれる微細な研磨粒子が、芯鞘複合フィラメントと歯表面間に挟持されたときに、エラストマーにくい込んで保持されながら、歯表面に擦り付けられることによっても、歯垢やステインを効率良く除去できる。更に、芯部を合成樹脂繊維で構成しているので、この芯部の材質や直径などを適正に調整することで、歯ブラシとして利用可能な適度な硬さの芯鞘複合フィラメントを得ることができる。また、芯鞘複合フィラメントが角張ったものとなるので、その分歯肉や口腔内との接触による刺激が強くなるが、芯鞘複合フィラメントの外周部がエラストマーで被覆されているので、該刺激を抑制して、使用感も向上できる。しかも、合成樹脂製の芯部をエラストマーからなる鞘部で被覆することにより、合成樹脂繊維に対する水の影響を減少させ、ブラシの毛先が広がって耐久性が低下するという問題を改善できるとともに、エラストマーにより、芯鞘複合フィラメント同士の摩擦抵抗及び芯鞘複合フィラメントと植毛台との摩擦抵抗が大きくなるので、植毛台に植設した芯鞘複合フィラメントの引き抜き強度を向上できる。しかも、前記芯鞘複合フィラメントの横断面の各辺の長さを、0.14〜0.30mmに設定しているので、次のような問題の発生を防止できる。即ち、芯鞘複合フィラメントの横断面の各辺の長さ、0.14mm未満の場合には、歯ブラシとして適当な硬さが得られず、耐久性にも劣り、十分なステイン除去効果が得られないという問題があり、0.30mmを超える場合には、歯ブラシとして硬すぎたり、使用感が悪くなるという問題があるので、芯鞘複合フィラメントの横断面の各辺の長さは、0.14〜0.30mmに設定することが好ましい。
(a)〜(c)は毛束の配列形態を異にする歯ブラシの植毛台付近の正面図 (a)〜(c)は毛束の配列形態を異にする歯ブラシの植毛台付近の正面図 (a)(b)は毛束の配列形態を異にする歯ブラシの植毛台付近の正面図 (a)は本発明の芯鞘複合フィラメントの横断面図、(b)は他の実施形態の芯鞘複合フィラメントの横断面図 (a)〜(e)は比較例のフィラメントの横断面図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図4に示すように、歯ブラシ10は、先端部に植毛台11を設けたハンドル12と、複数の毛束13を植毛台11に植設してなるブラシ部14とを有している。毛束13を構成するフィラメントとしては、合成樹脂繊維からなる芯部2と、芯部2に一体に被覆した鞘部3であって、芯部2を構成する合成樹脂と相溶性を有するエラストマーからなる鞘部3とを有し、長さ方向と直交する横断面を4角形状となした芯鞘複合フィラメント1を含む毛束13が用いられている。なお、本実施の形態では、手動タイプの歯ブラシ10に対して本発明を適用した場合について説明するが、本発明は電動歯ブラシのブラシ部に対しても同様に適用することができる。
ハンドル12は、手で持ってブラッシング操作するためのグリップ部(図示略)と、グリップ部に連なって延びる首部15と、首部15の先端部に設けた植毛台11とを有し、合成樹脂材料を用いて射出成形などにより一体成形されている。ただし、射出成形により一次成形品を成形し、この一次成形品を別の金型内にセットして、例えばエラストマーからなる滑止部や指当部を二次成形したハンドル12を採用することもできる。ハンドル12を構成する合成樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチルテレフタレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、スチレン・アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、セルロースプロピオネート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート等の硬質の合成樹脂材料を用いることが可能である。
植毛台11は、口腔内でのブラッシング操作が円滑になされるように角部に丸みを付けた長方形や卵形などの正面形状の平坦な板状に形成され、植毛台11の正面側には複数の植毛孔16が所定の配列で形成されている。植毛孔16の配列形態は任意に設定することができ、例えばハンドル12の長手方向(以下、行方向という)と、それと直交する方向(以下、列方向という)に関して、行方向において相隣り合う植毛孔16の中心が、歯ブラシの長手方向と平行な直線上に配置されない千鳥状や、行方向において相隣り合う植毛孔16の中心が、歯ブラシの長手方向と平行な直線上に配置される整列状や、千鳥状と整列状を併用した複合状に配列することができる。具体的には、図1(a)に示す植毛台11Aや、図3(a)に示す植毛台11Gのように、植毛孔16を整列状に3列配置したブラシ部14Mと、千鳥状に配置したブラシ部14Tとを併用した整列形態の配列形態を採用したり、図1(b)に示す植毛台11Bのように、植毛孔16を千鳥状に配置したブラシ部14Tのみからなる千鳥形態の配列形態を採用したり、図1(c)に示す植毛台11Cのように、植毛台11Bにおける植毛孔16の配設密度を高めた千鳥形態の配列形態を採用したり、図3(b)に示す植毛台11Hのように、植毛孔16を整列状に配置したブラシ部14Mのみからなる整列形態の配列形態を採用することが可能である。また、図2(a)(b)に示す植毛台11D、11Eのように、植毛孔16を整列状に2列配置したブラシ部14Mと、千鳥状に配置したブラシ部14Tを併用した千鳥形態の配列形態を採用したり、図2(c)に示す植毛台11Fのように、植毛孔16を千鳥状に配置したブラシ部14Tのみからなる千鳥形態の配列形態を採用したりすることもできる。なお、整列状と千鳥状とを併用した複合状の配列形態であっても、図1(a)に示す植毛台11A及び図3(a)に示す植毛台11Gは、整列状の植毛孔16を連続して3列以上備えているので整列形態に分類し、図2(a)(b)に示す植毛台11D,11Eは、整列状の植毛孔16が連続して2列以下なので千鳥形態に分類するものとする。
植毛孔16を千鳥状に配置した場合における行方向の植毛孔16の列の個数は、磨き残し部分の発生やステイン除去能の低下を防止するため、6列以上設けることが好ましい。例えば、図2(a)の植毛台11Dのように6列設けたり、図2(b)の植毛台11Eのように7列設けたり、図2(c)の植毛台11Fのように8列設けたり、図1(a)の植毛台11Aや図3(a)の植毛台11Hのように4列設けたり、図1(b)の植毛台11Bのように10列設けたり、図1(c)の植毛台11Cのように15列設けたりすることが好ましい。
植毛台11に対する毛束13の植設方法としては、ハンドル12の成形時に植毛台11に有底な植毛孔16を形成し、この植毛孔16に平線を用いて毛束13を植設する方法を採用できる。ただし、植毛台11を前後に分割構成して、前側の植毛台に形成した貫通孔に毛束を挿入した後、加熱手段で毛束の基端部を溶かしてフィラメント同士を融着させ、その後、前側の植毛台に後側の植毛台を重ね合わせて結合して、植毛台11を形成する方法を採用することも可能である。
毛束13としては、芯鞘複合フィラメント1のみからなる毛束13を用いることもできるが、芯鞘複合フィラメント1と硬質合成樹脂からなるモノフィラメント5とを混合してなる毛束を用いることもできる。芯鞘複合フィラメント1とモノフィラメント5とを混合する場合における混合割合は、歯ブラシ10の強度や耐久性や使用感を考慮して任意に設定でき、植毛台11への植設部位に応じて、混合割合を変更することもできる。また、各毛束13の中心部側に芯鞘複合フィラメント1を配置させ、外周部側にモノフィラメント5を配置させるなど、植毛台11における毛束13の使用部位に応じて、特性の異なるフィラメントを配置させることもできる。更に、1つの植毛孔16に植設するフィラメントの本数は任意に設定可能であり、植毛台11に設けられる全ての植毛孔16に対してそれぞれ同じ本数だけフィラメントを植設することもできるし、植毛孔16の配設位置に応じて異なる本数のフィラメントを植設することも可能である。
また、図2(a)〜(c)及び図3(a)に示すように、芯鞘複合フィラメント1のみからなる毛束13Aと、モノフィラメント5のみからなる毛束13Bとを、1つの植毛台11に対して混合して植設することもできる。混合して植設する場合には、植毛台11の外周側にモノフィラメント5からなる毛束13Bを配置させ、その内側である中央部側に芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを配置させるなど、植毛台11における植設部位によって、特性の異なるフィラメントからなる毛束を配置させることができる。例えば、図2(a)〜(c)及び図3(a)に示すように、黒丸部分をモノフィラメント5からなる毛束13Bで構成し、他の部分を芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aで構成し、植毛台11の中央部に芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを配置させ、植毛台11の外周側に硬質なモノフィラメント5からなる毛束13Bを配置させることで、芯鞘複合フィラメント1によりステイン除去力を向上しつつ、硬質合成樹脂からなるモノフィラメント5により、利用者の嗜好性に応じた多様な硬さの歯ブラシ10を設計することができる。また、植毛台11のうちのハンドル側端部に植設される毛束13は、図2(b)(c)、図3(a)に示すように、モノフィラメント5からなる毛束13Bを植設するのではなく、図2(a)に示すように、芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを植設することが好ましい。つまり、前歯の裏側をブラッシングする際には、歯ブラシを立てて、ブラシ部14のうちのハンドル側端部でブラッシングする方法が広く採用されているので、植毛台11のうちのハンドル側端部に植設される毛束13として、芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを植設することで、前歯の裏側のステインも効率的に除去できるので好ましい。
モノフィラメント5としては、歯ブラシ10として使用可能な物理的性質を有していれば、周知の素材からなるものを採用することが可能で、例えばナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンなどの樹脂材料を使用できる。モノフィラメント5の断面形状は、例えば円形や楕円形、三角形や四角形などの多角形の断面形状のものを採用できる。また、断面サイズや断面形状の異なる複数種類のモノフィラメント5を混合したものを採用することもできる。モノフィラメント5の先端形状は、球状や半球状や先鋭形状など任意の形状に形成することができる。
モノフィラメント5の外径は、0.16mm未満の場合には十分な毛腰が得られなくなり、0.26mmを超える場合には、歯間への挿入性及び使用感が低下するので、0.16〜0.26mmに設定することが好ましく、特に0.20〜0.22mmに設定することが好ましい。
芯鞘複合フィラメント1は、図4に示すように、合成樹脂繊維からなる芯部2と、芯部2に一体に被覆した鞘部3であって、芯部2を構成する合成樹脂と相溶性を有するエラストマーからなる鞘部3とを有している。
芯部2を構成する合成樹脂材料としては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系などの合成樹脂材料を採用できる。具体的には、ポリアミド系の合成樹脂材料としては、ナイロン610、ナイロン612などを採用でき、ポリエステル系の合成樹脂材料としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを採用でき、ポリオレフィン系の合成樹脂材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを採用できる。
鞘部3を構成するエラストマーとしては、例えばポリスチレン系(SBC)、ポリオレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリウレタン系(PU)、ポリエステル系(TPEE)、ポリアミド系(TPAE)などのサーモプラスチックエラストマー(TPE)を採用できる。その中でも、ポリエステル系、ポリアミド系(TPAE)のサーモプラスチックエラストマーが好ましく、特に取扱性に優れていることから、ポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーを用いることが好ましい。
サーモプラスチックエラストマーは、基本的には、ハードセグメント(樹脂成分)とソフトセグメント(ゴム成分)で構成されている。ただし、ポリ塩化ビニル系は除く。具体的には、ポリスチレン系のサーモプラスチックエラストマーでは、ハードセグメントとしてポリスチレンを用い、ソフトセグメントとしてブタジエンを用いることになる。また、ポリオレフィン系のサーモプラスチックエラストマーでは、ハードセグメントとしてポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系の合成樹脂材料を用い、ソフトセグメントとしてエチレンプロピレンゴム(EPR)やエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのオレフィン系ゴムを用いることになる。ポリウレタン系のサーモプラスチックエラストマーでは、ハードセグメントとしてポリウレタンを用い、ソフトセグメントとしてポリオールやポリエステルなどを用いることになり、ポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーでは、ハードセグメントとしてポリエステルを用い、ソフトセグメントとして脂肪族ポリエーテル、ポリエステルなどを用いることになり、ポリアミド系のサーモプラスチックエラストマーでは、ハードセグメントとしてナイロンオリゴマーを用い、ソフトセグメントとしてポリオール、ポリエステルなどを用いることになる。ポリ塩化ビニル系としては、高重合度ポリ塩化ビニルの可塑化物、アクリロニトリルブタンジエンゴム(NBR)変性ポリ塩化ビニルなどを用いることができる。
鞘部3を構成するエラストマーのJIS K 6253で規定するデュロメータタイプD硬さは、27Dより小さいと植毛性が著しく悪くなる可能性があり、94Dより大きいと弾性が小さくなるので、27D〜94Dが好ましく、55D〜72Dがより好ましく、60D〜72Dが更に好ましく、65D〜72Dが最も好ましい。
芯鞘複合フィラメント1は、周知の複合溶融紡糸法により製作されている。具体的には、芯部2を構成する合成樹脂材料と鞘部3を構成するエラストマー材料とを、複合押出機から所望の形状にそれぞれ溶融吐出させ、冷却後、延伸、熱セットを加えることで製作されている。また、この芯鞘複合フィラメント1を集束して、所定長さに切断した後、先端形状を球状や半球状や先鋭形状など任意の形状に形成することができる。
芯部2の長さ方向と直交する横断面は、多角形状や楕円形や円形や星形などの任意の形状に形成できるが、芯鞘複合フィラメント1の硬さ、即ち毛腰が全周にわたって一様になるように、断面円形に構成することが好ましい。
鞘部3の長さ方向と直交する横断面は、長方形状や正方形状や菱形状などの4角形状に形成され、歯表面との接触面積を広く設定したり、角部を形成したりすることでステイン除去能が高められている。特に、横断面を正方形状や菱形状に形成した芯鞘複合フィラメント1は、長方形状に形成した芯鞘複合フィラメント1よりも、毛束13の植設方向によってステイン除去能が変動し難いので好ましい。また、鞘部3の4つの外面は平坦面で構成することもできるが、図4(b)に示す芯鞘複合フィラメント1Aのように、緩やかに内側(芯鞘複合フィラメント1の中央部側)へ窪んだ凹面4に形成することが好ましい。このように構成すると、鞘部3の凹面4に歯磨き剤を保持できるので、歯磨き剤を十分に歯表面に擦りつけながら効率的に歯表面を清掃することができる。
芯鞘複合フィラメント1の4角形の1辺L1は、0.30mmを越えると歯間への挿入性及び使用感が低下する。また、芯部2の直径D1は、0.12mm未満の場合には、歯ブラシ10の耐久性が十分に確保できなくなり、鞘部3の厚さは0.01mm未満の場合には、剥離などの問題が発生する。このため、芯鞘複合フィラメント1の4角形の1辺L1は、0.14mm未満の場合には、芯部2の直径D1や鞘部3の厚さを十分に確保できなくなり、0.30mmを越えると歯間への挿入性及び使用感が低下するので、0.14〜0.30mm、好ましくは0.16〜0.24mm、特に好ましくは0.18〜0.22mmに設定することになる。また、芯部2の直径D1は、0.12mm未満の場合には、歯ブラシ10の耐久性が十分に確保できなくなり、また0.27mmを越えると芯鞘複合フィラメント1の外径が大きくなりすぎて、歯間への挿入性及び使用感が低下するので、0.12〜0.27mm、好ましくは0.15〜0.20mm、特に好ましくは0.16〜0.19mmに設定することになる。
以上のことを総合すると、芯鞘複合フィラメント1としては、芯部2をポリブチレンテレフタレート(PBT)で構成し、鞘部3をポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーで構成し、芯鞘複合フィラメント1の横断面を正方形状又は菱形状に形成し、その一辺を0.14〜0.30mm、好ましくは0.16〜0.24mm、特に好ましくは0.18〜0.22mmに設定し、芯部2の直径を0.12〜0.27mm、好ましくは0.15〜0.20mm、特に好ましくは0.16〜0.19mmに設定したものを好適に採用できる。また、図2(a)〜(c)に示すように、植毛台11の中央部側に配置される毛束13を芯鞘複合フィラメント1で構成し、植毛台11の外周側に配置される毛束13を、ナイロンからなるモノフィラメント5で構成すると、歯ブラシ10としての耐久性や使用感を確保しつつ、ステイン除去能を十分に確保できるので好ましい。
また、ブラシ部14における植毛密度は、16(植毛孔個数/cm2)よりも小さいと、ステイン除去力が不十分になる恐れがあり、21(植毛孔個数/cm2)を超えるとブラシが硬くなって使用感が低下するので、16〜21(植毛孔個数/cm2)に設定することが好ましく、17〜21(植毛孔個数/cm2)に設定することがより好ましく、18〜20(植毛孔個数/cm2)に設定すること最も好ましい。
毛丈は、8.5mm未満の場合には毛腰が強くなりすぎて使用感が低下し、12mmを超えると毛腰が弱くなりすぎて使用感が低下するとともに刷掃効果が低下するので、8.5〜12mmに設定することが好ましく、特に9.0〜10mmに設定することが好ましい。また、芯鞘複合フィラメント1とモノフィラメント5の毛丈は同じに設定することもできるし、異なる毛丈に設定することもできる。
次に、芯鞘複合フィラメントを用いた歯ブラシの評価試験について説明する。
単一の合成樹脂材料からなるモノフィラメント5として、フィラメントの長さ方向に対する横断面形状が、図5(a)及び表1に示すように、直径が0.19mmの円形のナイロン製の第1フィラメントと、図5(b)及び表1に示すように、短い方の対角線L3が0.206mmで長い方の対角線L4が0.32mmで、一辺の長さが0.19mmの菱形のナイロン製の第2フィラメントと、図5(c)及び表1に示すように、高さT1が0.20mmの三角形状のナイロン製の第3フィラメントと、表1に示すように、直径が0.2mmの円形のポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーからなる第4フィラメントを製作した。
また、芯鞘複合フィラメント1として、図5(d)及び表1に示すように、芯部2及び鞘部3の横断面形状が円形で、芯部2を構成する素材がポリブチレンテレフタレートからなり、鞘部3を構成する素材がポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーからなる芯鞘複合フィラメントであって、芯部2の直径D2が0.15mm、鞘部3の直径D3が0.20mmの第5フィラメントと、図5(e)及び表1に示すように、芯部2の横断面形状が円形で、芯部2を構成する素材がポリブチレンテレフタレートからなり、鞘部3の横断面形状が三角形で、鞘部3を構成する素材がポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーからなる芯鞘複合フィラメントであって、芯部2の直径D4が0.12mm、鞘部3の高さT2が0.20mmの第6フィラメントと、図4(a)及び表1に示すように、芯部2の横断面形状が円形で、芯部2を構成する素材がポリブチレンテレフタレートからなり、鞘部3の横断面形状が正方形状で、鞘部3を構成する素材がポリエステル系のサーモプラスチックエラストマーからなる芯鞘複合フィラメントであって、芯部2の直径D1が0.16mm、鞘部3の一辺L1が0.18mmの第7フィラメントと、表1に示すように、芯部2の直径D1を0.15mm、鞘部3の一辺L1を0.16mmに設定した以外は第7フィラメントと同様に構成した第8フィラメントとを製作した。
そして、歯ブラシの柄として、円形の植毛孔を有する長方形状の植毛台を端部に形成した歯ブラシの柄を用い、植毛孔に前記フィラメントからなる毛束を植設して、ブラシ面が水平になるように毛先を切り揃え、更に毛先を先丸加工して、毛丈が10mmの歯ブラシを製作した。具体的には、同一構成のフィラメントからなる毛束を植設した歯ブラシとして、表1に示す毛束配列形態で、第1〜第7フィラメントからなる毛束をそれぞれ植設した第1〜第7歯ブラシを製作した。また、芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aとモノフィラメント5からなる毛束13Bを混合して植毛した歯ブラシとして、図2(a)に示す毛束配列形態で、芯鞘複合フィラメント1としての第8フィラメントからなる毛束13Aと、直径が0.20mmのナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束13Bとを混合して植設した第8歯ブラシと、同じ毛束配列形態で、芯鞘複合フィラメント1としての第7フィラメントからなる毛束13Aと、直径が0.20mmのナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束13Bとを混合して植設した第9歯ブラシとを製作した。更に、図1及び表2に示すように、毛束配列形態を変更した歯ブラシとして、図3(b)に図示の毛束配列形態で第1フィラメントを植設した第10歯ブラシと、図1(b)に図示の毛束配列形態で第1フィラメントを植設した第11歯ブラシと、図1(a)に図示の毛束配列形態で芯鞘複合フィラメント1からなる第7フィラメントを植設した第12歯ブラシと、図1(b)に図示の毛束配列形態で芯鞘複合フィラメント1からなる第7フィラメントを植設した第13歯ブラシと、図3(a)に図示の毛束配列形態で芯鞘複合フィラメント1としての第7フィラメントからなる毛束13Aと、直径が0.20mmのナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束13Bとを混合して植設した第14歯ブラシとを製作した。
次に、前記第1〜第9歯ブラシにおける、ブラシ強度と、広がり指数と、耐久性と、ステイン除去能と、使用感とをそれぞれ測定するとともに、第10〜第14歯ブラシにおける、ブラシ強度と、広がり指数と、ステイン除去能とをそれぞれ測定した。その結果を表1、表2に示す。
Figure 0005857398
Figure 0005857398
(ブラシ強度)
旧JIS B 7733に規定する圧縮試験機に相当する株式会社島津製作所製のオートグラフAGSに前記歯ブラシを固定し、10mm/minの速度でブラシに圧縮荷重を加え、その最大値を測定した。測定後、JIS S 3016に記載の植毛面積を算出し、圧縮試験による最大値を植毛面積で除して、単位面積当りの圧縮荷重をブラシ強度として求めた。
(広がり指数、耐久性)
サンスター株式会社製のブラッシングマシーンを用いて、37℃の水中で荷重300gをかけた状態でエポキシ板の表面に対して10000ストロークのブラッシングを行い、刷掃面の広がり指数を測定することで、耐久性を評価した。ここで広がり指数とは、初期状態における刷掃面の横幅をAmmとなし、ブラッシング終了後の刷掃面の横幅をBmmとなしたときに(B/A)×100で表される数値を意味している。なお、表1中、「◎」は、耐久性の数値が170以下で、耐久性に優れていることを示し、「○」は、耐久性の数値が170よりも大きく200以下であり、通常の耐久性であることを示し、「×」は、耐久性の数値が200よりも大きく、耐久性に劣ることを示すものとする。
(ステイン除去能)
ステイン除去力は、ストゥキーらの論文(Stooky et al., Journal of Dental Research, 61, 1236-39, 1982)に記載されている方法を改良した方法で測定した。以下、その方法について説明すると、先ず牛永久歯(門歯)のエナメル試片を4mm平方切り取り、透明ポリエステルレジンにはめ込み、試片表面を平滑化し、鏡面研磨した。試片表面を希塩酸に60秒浸漬し、次に飽和炭酸ナトリウム水溶液に浸漬、つづいて1%フィチン酸水溶液に浸漬した後、イオン交換水で洗浄した。
ステイン培地は1.02gのインスタントコーヒー、1.02gのインスタントティー、0.75gの豚胃ムチン、色素生産菌(Micrococcus luteus)培養液を滅菌トリプチケースソイ培地に添加し調製した。試片とステイン培地を37℃の恒温槽に10日間セットした。11日目に0.03g塩化鉄(III)六水和物を添加し、JIS Z 8729のL*a*b*表色系で規定されるL*が32〜35になるまで続けた。その後試片を取り出し、イオン交換水で洗浄し、これを測定用試料とし、ベースラインとして、分光光度計(Minolta社)により、L*1、a*1、b*1を測定した。
次に、第1〜第7の歯ブラシ10をサンスター株式会社製のブラッシングマシーンに順次セットするとともに、前述のようにして製作した測定用試料をセットし、市販の歯磨き剤を用い一定圧力で1500回往復させた後、乾燥させてから、該測定用試料におけるL*2、a*2、b*2を分光光度計(Minolta社)により測定した。さらに残存したステインを歯科用ハンドピースで除去した試料について、L*3、a*3、b*3を測定し、ステイン除去(%)を以下の式を用いて算出した。
・ステイン除去力=[(L*2−L*1)2+(L*2−L*1)2+(L*2−L*1)2]1/2
・トータルステイン=[(L*3−L*1)2+(L*3−L*1)2+(L*3−L*1)2]1/2
・ステイン除去(%)=(ステイン除去力)/(トータルステイン)
そして、一般的な構成の第1歯ブラシのステイン除去能(%)を100とした場合における、第2〜第14歯ブラシのステイン除去能(%)を、次式を用いて求めた。
・ステイン除去能(%)=試験ブラシのステイン除去(%)/第1歯ブラシのステイン除去(%)
(使用感)
5人の被験者が第1〜第9歯ブラシを用いて実際に歯をブラッシングして、その使用感を評価した。使用感の評価は、表3に示すように、硬さに関する5段階の指標を用い、各指標に対応させて点数を設定し、第1〜第9歯ブラシに対する5人の被験者による使用感の指標及び点数と、点数の平均値を求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0005857398
Figure 0005857398
表1から、ステイン除去能は、フィラメントの横断面形状が、円形や三角形よりも菱形や正方形などの四角形状の方が優れていることが判る。このように、フィラメントの横断面形状を四角形に形成すると、フィラメントと歯表面との接触面積が増大し、またフィラメントの角部が歯表面に強く擦り付けられることで、ステインを効率的に除去できる。
また、第11歯ブラシと第5歯ブラシとの対比から、フィラメントの横断面形状が同じ円形であっても、エラストマーからなる鞘部を設けた芯鞘複合フィラメント1を用いる方が、ナイロン製のモノフィラメント5を用いる場合と比較して、ステイン除去能が高くなっていることが判る。このようにフィラメントの外周部にエラストマーからなる鞘部を設けることで、フィラメントと歯表面との摩擦抵抗を増やして、ステインを効率的に除去できる。ただし、エラストマーのみからなるフィラメントを用いた第4歯ブラシでは、柔らかすぎて使用感が悪く、歯ブラシとして実用に耐えないものとなる。
更に、第8、第9歯ブラシのように、外周部にナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束13Bを配置し、中央部に芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを配置すると、第7歯ブラシのように、芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13のみからなるものと比較して、ステイン除去能を十分に確保しつつ、ブラシ強度を向上できることが判る。このことは、第12、第14歯ブラシのように同じ配置で毛束を配置する場合であっても、外周部にナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束13Bを配置し、中央部に芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを配置した第14歯ブラシは、芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13のみからなる第12歯ブラシと比較してステイン除去能が高くなっていることから明確である。
一方、表2から、ナイロン製のモノフィラメント5のみで毛束を構成する場合には、図1(a)、図3(b)に示すように、毛束を整列状に配置させたブラシ部14Mを有する整列形態の第1、第10歯ブラシのステイン除去率が、毛束を千鳥状に配置させたブラシ部14Tのみからなる千鳥形態の図1(b)に示す第11歯ブラシと同等或いはよりもそれよりも劣っているのに対して、芯鞘複合フィラメント1を用いた場合には、ナイロン製のモノフィラメント5を用いる場合とは反対に、図1(a)に示すように、毛束13を整列状に配置させたブラシ部14Mを有する整列形態の第12歯ブラシの方が、図1(b)に示すように、毛束13を千鳥状に配置させたブラシ部14Tのみからなる千鳥形態の第13歯ブラシよりもステイン除去能が優れている。つまり、芯鞘複合フィラメント1では、毛束を千鳥形態に配置することで、ステイン除去能を向上できることが判る。
また、芯鞘複合フィラメント1からなる毛束を植設した第12歯ブラシや第13歯ブラシは、ナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束を植設した第10歯ブラシや第11歯ブラシと比較して、ステイン除去能に関しては優れているが、ブラシ強度が低くなって使用感が低下する。それに対して、図2(a)に示すように、外周部にナイロン製のモノフィラメント5からなる毛束13Bを配置し、中央部に芯鞘複合フィラメント1からなる毛束13Aを配置した第8歯ブラシ及び第9歯ブラシでは、ステイン除去能を十分に確保しつつ、ブラシ強度を向上できることが判る。
1 芯鞘複合フィラメント 1A 芯鞘複合フィラメント
2 芯部 3 鞘部
4 凹面 5 モノフィラメント
10 歯ブラシ 11 植毛台
11A〜11H 植毛台
12 ハンドル 13 毛束
13A 毛束 13B 毛束
14 ブラシ部 14M ブラシ部
14T ブラシ部 15 首部
16 植毛孔

Claims (6)

  1. 複数の毛束を植毛台に植設してなるブラシ部を有する歯ブラシであって、
    前記毛束を構成するフィラメントとして、合成樹脂繊維からなる芯部と、前記芯部に一体に被覆した鞘部であって、前記芯部を構成する合成樹脂と相溶性を有するエラストマーからなる鞘部とを有し、長さ方向と直交する横断面を4角形状となし、その各辺の長さを0.14〜0.30mmに設定し、前記芯部の長さ方向と直交する断面形状を円形状となし、その直径を0.12〜0.27mmに設定した芯鞘複合フィラメントを含む毛束を用いた、
    ことを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記芯鞘複合フィラメントにおける、前記芯部がポリエステル系の合成樹脂繊維からなり、前記鞘部がサーモプラスチックエラストマー(TPE)からなる請求項1記載の歯ブラシ。
  3. 前記芯鞘複合フィラメントにおける、前記芯部がポリブチレンテレフタレート(PBT)からなり、前記鞘部がポリエステル系のサーモプラスチックエラストマー(TPE)からなる請求項1又は2記載の歯ブラシ。
  4. 前記植毛台において、歯ブラシの長手方向において相隣り合う植毛孔の中心が歯ブラシの長手方向と平行な直線上に配置されていない部分を有する請求項1〜のいずれか1項記載の歯ブラシ。
  5. 前記芯鞘複合フィラメントにおける、前記鞘部の外面を緩やかに内側へ窪んだ凹面状に形成した請求項1〜のいずれか1項記載の歯ブラシ。
  6. 前記植毛台の中央部側に植設される毛束として、前記芯鞘複合フィラメントを複数本束ねてなる毛束を用い、前記植毛台の外周側に植設される毛束として、硬質合成樹脂からなるモノフィラメントを複数本束ねてなる毛束を用いた請求項1〜のいずれか1項記載の歯ブラシ。
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