第1の発明は、内管と外管とを有する2重管を設け、前記内管に熱媒流体を流通させ、前記内管と前記外管との間に冷媒を流通させ前記熱媒流体と前記冷媒とを対向流となるように流す2重管式熱交換器において、冷媒入口2重管と冷媒出口2重管とが接続され、前記冷媒は、複数に分岐した前記冷媒入口2重管を流通し合流して、前記冷媒出口2重管を流通し、前記冷媒入口2重管では、前記冷媒が過熱領域から凝縮領域にあたり、前記冷媒出口2重管では、前記冷媒が凝縮領域から過冷却領域にあたり、前記冷媒入口2重管の分岐数は、前記冷媒出口2重管の分岐数より多く構成し、前記冷媒入口2重管を構成するそれぞれの2重管の内管の内径を、前記冷媒出口2重管の内管の内径より小さくしたものである。
これにより、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域にかけて、多重に分岐することで、熱媒流体との熱交換面積が増すことで、熱交換効率の向上、ひいては圧縮機駆動電力の削減を実現できる。
そして、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、熱媒流体の流速を上げることで、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。その際には、熱媒流体の圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、熱媒流体の圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができる。
また、多重に分岐することで、冷媒圧損の高いガス冷媒の過熱領域において、冷媒圧損の低減が可能となり、そのことも圧縮機の駆動電力削減につながる。また、凝縮領域から過冷却領域である冷媒出口2重管を、冷媒入口2重管より分岐数を少なくすることで、液冷媒とガス冷媒から液冷媒にかけての領域における、熱交換効率の向上と、比較的冷媒圧損の低い、液冷媒領域での配管圧損の低減を図り、圧縮機入力低減を実現できる。
さらに、熱媒流体に関しては、冷媒と対向流としていることで、高温となる冷媒入口2重管側で、多重に分岐し、熱媒流体と冷媒の熱交換面積を広げていることで、熱交換効率の向上による、性能向上、省エネ性向上が実現できる。さらに、多重分岐することで、熱媒流体側の圧損を減ずることができ、熱媒流体を搬送する循環ポンプの入力低減、それに伴う騒音低減を実現できる。
第2の発明は、螺旋状に巻いて多段に配するとともに、前記冷媒入口2重管を、前記冷媒出口2重管よりも上方に配設したことを特徴とするものである。
これにより、冷媒側はガス冷媒から液冷媒へと変わるが、その流れを上方から下方とし、最下方を液冷媒状態とすることで、冷媒の搬送抵抗が減ずることで、圧縮機入力の低減、ひいては省エネ性の向上が図れる。また、熱媒流体に関しては、下方から上方に流通し
、その間に加熱、昇温することとなり、高温となり浮力のついた熱媒流体を上方から排出することで、熱媒流体を搬送する循環ポンプの入力低減、それに伴う騒音低減を実現できる。
第3に発明は、前記冷媒入口2重管の内管と外管との平均間隙寸法を、前記冷媒出口2重管の内管と外管との平均間隙寸法と同等、あるいは、それよりも小さくしたことを特徴とするものであり、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、冷媒の流速を上げることで、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。その際には、冷媒圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、冷媒圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができる。
第4の発明は、前記内管の外周面に凸状部を複数設けるとともに、前記冷媒入口2重管側に設けられた前記凸状突部の単位長さ当たりの表面積を、前記冷媒出口2重管側に設けられた前記凸状部の単位長さ当たりの表面積と同等、あるいは、それよりも大きくしたことを特徴とするもので、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、単位長さ当りの表面積を上げることは、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
その際には、冷媒圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、冷媒圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができる。また、冷媒出口2重管の内管の外面凸状突起物入口の単位長さ当たりの表面積を、冷媒入口2重管の内管の外面凸状突起物入口の単位長さ当たりの表面積よりも小さくしていることとなるが、凝縮領域から過冷却領域、あるいは過冷却領域であるために、その影響は少なく、効率低下を抑えることが出来る。
第5の発明は、前記冷媒入口2重管の内管の内周面に凸状部を複数設けるとともに、前記冷媒出口2重管側の内管の内周面には、前記冷媒入口2重管に設けた凸状部の単位長さ当たりの表面積よりも小さくなるように凸状部を設けるか、あるいは、凸状部を設けないことを特徴とするものであり、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、熱媒流体の乱流を促進することで、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
その際には、熱媒流体の圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、熱媒流体の圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができる。また、冷媒出口2重管の内管の内面は、冷媒入口2重管より、平滑にしていることは、分岐数を冷媒入口2重管より減じている冷媒出口2重管において、水あるいは不凍液などの熱媒流体の圧損を低減することができる。また、その範囲は、凝縮領域から過冷却領域、あるいは過冷却領域であるために、乱流になりにくくても、その影響は少なく、効率低下を抑えることが出来る。
第6の発明は、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の2重管式熱交換器にて、水を加熱する構成としたことを特徴とするヒートポンプ温水生成装置で、熱交換性能の向上を図り、圧縮機の入力低減に伴う、省エネを実現できるとともに、水あるいは不凍液などの熱媒流体を流通させるための熱媒流体側の圧損の低減を実現した2重管熱交換器を搭載したヒートポンプ温水生成装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器の構成図、図2は同じくヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器の三面図を示した外観図、図3、図4は同じく、ヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器の要部断面図である。
図5は、第1の実施の形態におけるヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器を用いヒートポンプ温水生成装置の冷媒回路、温水回路図であり、この図では熱媒流体として、水あるいは不凍液を加熱して、その加熱された水あるいは不凍液で暖房を行う温水暖房機を図示している。そして、図1に記したヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器が、図4のうち水冷媒熱交換器を抜き出して記載したものである。
まず、図5のヒートポンプ温水生成装置としての冷媒回路、温水回路図で説明を行う。1は循環される水あるいは不凍液などの熱媒流体を加熱するためのヒートポンプ温水生成装置の室外機本体であり、2はヒートポンプ温水生成装置の室外機1と熱媒配管3で接続された外部放熱器であり、図4では床暖房などのパネル状の外部放熱器2としているが、パネルヒーターや、送風ファンを備えたファンコンベクターなどでも構わないし、温水を流すタイプでも構わない。
これは一例として、床暖房などのパネル状の外部放熱器2としているが、ヒートポンプ温水生成装置の室外機1で生成された温水を利用するための、端末であると考えればよい。また、この熱媒配管3には、往きの熱媒往き配管3aと戻りの熱媒戻り配管3bがある。
ヒートポンプ温水生成装置の室外機1で加熱された温水が、熱媒配管3(熱媒往き配管3a)を通り、外部放熱器2へと送られ、外部放熱器2の設置された居室を暖房するのが、温水暖房機であり、ヒートポンプ温水生成装置1はその熱源となるものである。今回はこの温水暖房機を用いて説明を行う。このヒートポンプ温水生成装置の室外機1内に組み込まれている部品は、以下のようになっている。
ヒートポンプ温水生成装置1には、冷媒を圧縮、循環する圧縮機4、凝縮器として、熱伝導率の高い銅管で構成された、水あるいは不凍液などの熱媒流体と圧縮機4で循環される冷媒の熱交換を行い、水あるいは不凍液などの熱媒流体を加熱する水冷媒熱交換器5(2重管式熱交換器)、減圧手段である膨張弁6、蒸発器である空気冷媒熱交換器7があり、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、減圧手段6、蒸発器である空気冷媒熱交換器7を順次環状に接続して閉回路を構成し、冷媒を循環させる冷媒回路8を構成している。
今回の用いている、冷媒は、一般的なエアコンにも利用されている、R410AあるいはR407Cといった、オゾン破壊係数が0の新冷媒で説明を行う。
水冷媒熱交換器5は、内管9と外管10による2重管構成となっており、内管9に熱媒流体、内管と外管10の間に圧縮機4から搬送された冷媒を流通させる熱交換器であり、内管9内方を流通する水あるいは不凍液などの熱媒流体と、内管9と外管10の間を流通する冷媒は互いに向き合って流れる、いわゆる対向流となっており、冷媒で水あるいは不凍液などの熱媒流体を加熱し、温水を生成することとなる。詳細構成に関しては、図1と共に、図2、図3、図4も用いて後述する。
11は蒸発器である空気冷媒熱交換器7に空気を搬送する送風ファンであり、蒸発器である空気冷媒熱交換器7の熱交換能力の促進を行っている。12は冷媒回路8の中で、水冷媒熱交換器5にロウ付けされて取り付けられた凝縮温センサであり、水冷媒熱交換器5の凝縮温を測定するように、水冷媒熱交換器5の凝縮領域の外管10外方に取付けられている。冷媒漏れに際などに、水冷媒熱交換器5が高圧となった場合には、この凝縮温センサ12で温度を検知して、運転停止を行うなど、保護装置の役割を担う。
13は、圧縮機4の出口側と水冷媒熱交換器5の入口側をつなぐ吐出配管であり、14は吐出配管13に設けられた圧縮機出口温センサである。15は、水冷媒熱交換器5の冷媒出口側と、膨張弁6をつなぐ、熱交出口配管である。また、16は蒸発器7の空気熱交出口配管に設けられた空気熱交出口温センサである。17は、蒸発器である空気冷媒熱交換器7の外方に設けられた外気温センサである。
水冷媒熱交換器5の凝縮温センサ12で検知する凝縮温度、空気熱交出口温センサ16の検知する蒸発器である空気冷媒熱交換器7の蒸発温度、そして外気温センサ17で検知する外気温で、圧縮機出口温センサ14で測定する圧縮機4の吐出温度が最適となるように、圧縮機4の周波数が制御される。
一方、水冷媒熱交換器5に水あるいは不凍液などの熱媒流体を循環し、冷媒と熱交換を行うのが温水回路18である。19は、温水回路18内の水あるいは不凍液などの熱媒流体を強制的に循環する循環ポンプであり、水冷媒熱交換器5の上流側に配されている。20は、循環ポンプ19の上流に配されたシスターンタンクである。そのシスターンタンク20には、シスターンタンク17内の水位を検出する水位センサ21が設けられている。
22は、水冷媒熱交換器5で加熱された温水を外部放熱器2に送るために温水回路18の往き側の末端部に設けられた熱動弁であり、外部放熱器2を暖房するか否かに応じて、開放、閉止が行われ、外部放熱器2に、温水を流通させたり、流通させないようにしたりするなど、開閉の制御が行われる。
23は、水冷媒熱交換器5に入る温水の温度を測定する水冷媒熱交換器入口温センサ、24は、水冷媒熱交換器5の出口側の水あるいは不凍液などの熱媒の温度を測定するための水冷媒熱交換器出口温センサである。
25は、ヒートポンプ温水生成装置の室外機1の各種センサの制御を行う制御装置、26は使用者がヒートポンプ温水生成装置の室外機1の運転を行い、居室の温度などの各種設定を行うためのリモコンである。
このような、ヒートポンプ温水生成装置の室外機1の中で、冷媒と、水あるいは不凍液などの熱媒流体を熱交換し、昇温させるのが水冷媒熱交換器5である。水冷媒熱交換器5は、2重管を複数個つないだ形状をしている。図4に記した水冷媒熱交換器5の、拡大図を図1に示している。
まず、冷媒回路に関しては、冷媒入口側は、圧縮機4と吐出配管13でつながり、この吐出配管13と接続される、冷媒入口管27がある。この冷媒入口管27の先に、2箇所に分岐された分岐入口管5aがある。
その後、冷媒は、2箇所に分流された、内管9aと外管10a及び、内管9bと外管10bの間を通過し、略中央で合流中間管5bにて合流される。合流中間管5bから、冷媒出口側にある2重管と、合流中間管5bを接続する接続管5cを通り、冷媒出口側の2重管へと導かれる。この冷媒出口側の2重管も、内管9cと外管10cで構成され、冷媒は内管9cと外管10cの間を流通し、熱交出口配管15を通り、下流にある膨張弁6へと導かれる。
温水回路に関しては、加熱される熱媒流体は、冷媒とは逆方向の流れを有する対向流となっており、循環ポンプ19で強制的に送られた水あるいは不凍液などの熱媒流体は、循環ポンプ19と水冷媒熱交換器5の水あるいは不凍液などの熱媒流体の入口側を結ぶ熱媒流体入口管28から、水冷媒熱交換器5の冷媒出口側の内管9c内を流通し、熱媒流体分岐管9dにて、2分岐され、冷媒入口側の内管9a、9bを通過して、熱媒流体合流管9eにて一箇所に合流され、熱媒流体出口管29を通り、水冷媒熱交換器5の外部に流通する。外部に流通した、昇温された水あるいは不凍液などの熱媒流体は、図4で示したように、温水回路18を通り、熱動弁22を通過し、外部放熱器2に送られることとなる。
つまり、この水冷媒熱交換器5は、冷媒入口側(熱媒流体出口側)に、内管9aと外管10aで構成された冷媒入口2重管A30a及び、内管9bと外管10bで構成された冷媒入口2重管B30bを設け、冷媒出口側(熱媒流体入口側)には、冷媒入口側より分岐数の少ない冷媒出口2重管30cがあり、それらが接続され、一体化されていることとなる。
そして、水あるいは不凍液などの熱媒流体が内管9a、9b、9cを流通する際に、内管9a、9b、9cと外管10a、10b、10cの間を流通する冷媒から吸熱して、水あるいは不凍液などの熱媒流体は加熱され、昇温され、温水が生成され、この温水が、外部放熱器2で放熱し、暖房機として機能することとなる。
このように、水冷媒熱交換器5を実際の形状としたのが図2である。冷媒入口側に、2箇所に分岐された分岐入口管5aがあり、上方から冷媒が導かれ、2箇所に分岐される。分岐入口管5aの側方に、熱交出口配管15があり、上方に冷媒を導くようになっている。
熱媒流体は、この図2では右側方から導かれ、水冷媒熱交換器5の下方に配された熱媒流体入口管28より、内管9c(ここでは図示なし)に導かれる。熱媒流体入口管28上方には、熱媒流体合流管9eと、熱媒流体出口管29が配されており、ここから加熱された温水が取り出されることとなる。
内管9a、9b、9cと外管10a、10b、10cで構成された冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30b、冷媒出口2重管30cは、それぞれ螺旋状に形成され、多段に積み上げられている。つまり、多段に載置された2重管において、冷媒入口側及び、熱媒流体の高温部である、冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bは、上方2段にあり、冷媒出口側及び、熱媒流体の低温部である冷媒出口2重管30cは下方に配されていることとなり、冷媒は上方から下方へ、水あるいは不凍液などの熱媒流体は下方から上方へと流通することとなる。
冷媒回路の合流中間管5b、接続管5cは、螺旋状に巻かれた中央部のスペースに配され、温水回路の熱媒流体分岐管9dも同じく、螺旋状に巻かれた中央部のスペースに配さ
れており、デッドスペースを用いて分岐、合流を行うことで、コンパクトな形状となるようにしてある。
この合流中間管5b、熱媒流体分岐管9dで、冷媒、水あるいは不凍液などの熱媒流体の方向は切り替わることとなるので、熱媒流体の最前面だけに関して言えば、熱媒流体入口側の下方は右方から左方に熱媒流体が流れ、熱媒流体出口側の上方2段では、左方から右方に熱媒流体流れることとなる。
この、図2の水冷媒熱交換器5の断面AA部の最前面の2重管の断面を記載したのが図3、図4である。
図3において、冷媒入口側(熱媒流体出口側)である冷媒入口2重管A30a(内管9a、外管10a)と、冷媒入口2重管B30b(内管9b,外管10b)が上方に配されており、この内管9a、9bの外表面には、転造で成型された外面凸状突起物入口31が全周に渡って設けられている。また、冷媒出口側(熱媒流体入口側)である、冷媒出口2重管30c(内管9c、外管10c)は下方に配され、内管9cの外表面には、同じく転造で成型された外面凸状突起物出口32が設けられている。
この際に、冷媒入口2重管A30aの内管9aあるいは、冷媒入口2重管B30bの内管bの外面凸状突起物入口31の単位長さ当たりの表面積は、冷媒出口2重管30cの内管9cの外面凸状突起物出口32の単位長さ当たりの表面積よりも同等もしくは大きくしてある。
また、冷媒入口側(熱媒流体出口側)である冷媒入口2重管A30aの内管9a、冷媒入口2重管B30bの内管9bの内面には、内面凸状突起物入口33が設けられており、冷媒出口側(熱媒流体入口側)である冷媒出口2重管30cの内管9cの内面には、上記内管9a、9bの内面凸状突起物入口33よりも単位長さ当たりの表面積が同等もしくは小さな内面凸状突起物出口34を設けるか、内面凸状突起物出口34のない平滑状としてある。
ただ、平滑状の銅管であっても、外面凸状突起物出口32を転造で加工する際に、内面にも転造加工の影響が出て、若干凸凹状態となるので、平滑状とは、その状態であることも包含している状態を指す。もちろん、上記内管9a、9bより故意に単位長さあたりの表面積を同等もしくは小さな凸状突起物出口34を設けても構わない。
この、内面凸状突起物入口33あるいは内面凸状突起物出口34に関しては、熱交換効率向上を図ることと、熱媒流体側の圧損を減ずることを両立するための構成であるが、必ずしも必須ではなく、前述した、冷媒入口側を2分岐とし、冷媒出口側をそれよりも分岐数を減ずることが重要である。
また、外管10a、10b、10cの内面に関しては平滑管として特に記載していないが、内面に溝などの凸状突起物を設けることも可能である。ただし、外管外方と熱交換を行うわけではないので、溝などの凸状突起物を設けることに多大な効果はない。
また、ここでは冷媒入口側を2分岐、冷媒出口側をそれよりも分岐数を減じた内容で説明しているが、冷媒入口側をさらに分岐数の多い、多重分岐とし、冷媒出口側を冷媒入口側の分岐数よりも減じておくことも可能であり、この内容に関しては後述する。
また、図3には、内管9a、9b、9cと外管10a、10b、10cの寸法関係を記載している。φaは、冷媒入口側(熱媒流体出口側)である冷媒入口2重管A30aの外
管10a、冷媒入口2重管B30bの外管10bの内径、φbは冷媒出口側(熱媒流体入口側)である冷媒出口2重管30cの外管10cの内径を示し、φcは冷媒入口側(熱媒流体出口側)である内管9a、9bの内径、φdは冷媒出口側(熱媒流体入口側)である内管9cの内径を示している。
ここでいう内管の内径とは、凸状突起物を除いた部分の内径を意味している。また、eは、冷媒入口側(熱媒流体出口側)である内管9aと外管10a(あるいは内管9bと外管9b)の平均間隙寸法、fは冷媒出口側(熱媒流体入口側)である内管9cと外管10cの平均間隙寸法を示している。この中で、寸法関係はφb≧φa、φd≧φc、f≧eとしてある。
つまり、熱媒流体の通る部分の断面積は、冷媒入口側(熱媒流体出口側)を冷媒出口側(熱媒流体入口側)より、同等もしくは小さくしており、冷媒の通る断面積も冷媒入口側(熱媒流体出口側)を冷媒出口側(熱媒流体入口側)より、小さくしていることとなる。
この水冷媒熱交換器5を組み込んだ、ヒートポンプ温水生成装置の室外機1の内観斜視図を示したのが図6であり、水冷媒熱交換器5は、蒸発器である空気冷媒熱交換器7の内方、送風ファン11の下方に配されており、水冷媒熱交換器5の右方向に圧縮機4や膨張弁6などの冷媒回路が配されている。
圧縮機4から送られてくる高温のガス冷媒は、上方から水冷媒熱交換器に送られ、上方の冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bを通り、下方の冷媒出口2重管30cをと通り、再度上方に送られ、膨張弁6へと導かれる。
熱媒流体は、循環ポンプ19から送られ、水冷媒熱交換器5の下方の熱媒流体入口管28を通り、最下方の冷媒出口2重管30cから、上方の冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bへ送られ、合流後に最上方の熱媒流体出口管29を通り、熱動弁22へと流通する。
以下、図面に基づいて、このヒートポンプ温水生成装置の室外機1の動作を説明する。
運転開始前に、使用者はシスターンタンク20に水あるいは不凍液などの熱媒流体を、水位センサ21にて検知できる量まで入れることで、温水回路18に、水あるいは不凍液などの熱媒流体を所定の量満たしておく。
リモコン26で運転を開始すると、制御装置25で制御された、循環ポンプ19が動作し、循環ポンプ18、水冷媒熱交換器5、熱動弁22、温水往き配管3a、外部放熱器2、温水戻り配管3b、シスターンタンク20、そして再び循環ポンプ19と循環する流通を生じ、水あるいは不凍液などの熱媒流体が温水回路18内を循環する。
その後、所定時間経過すると、圧縮機4が動作を開始し、高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、減圧器である膨張弁6、蒸発器である空気冷媒熱交換器7、そして再び圧縮機4へと戻り、冷媒回路8内を循環する。
この際に、圧縮機4で高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、吐出配管13を通り、冷媒入口管27より、水冷媒熱交換器5に導かれる。冷媒入口管27の先にある、水冷媒熱交換器5の分岐入口管5aで2箇所に分岐されて、冷媒入口2重管A30aの内管9aと外管10aの間及び、冷媒入口2重管B30bの内管9bと外管10bの間を通過する。この際の冷媒は、冷媒入口側の元の部分では高温のガス冷媒状態となっている。
一方、温水回路18側の水あるいは不凍液などの熱媒流体は、循環ポンプ19で強制的に送られ、冷媒入口2重管A30aの内管9a、冷媒入口2重管B30bの内管9bの内方を流通し、その際に、冷媒入口2重管A30aの内管9aと外管10aの間及び、冷媒入口2重管B30bの内管9bと外管10bの間を流通する冷媒と熱交換を行い、昇温される。その逆に、ガス冷媒は凝縮し、徐々に温度が低下する。
冷媒入口2重管A30aの内管9aと外管10aの間及び、冷媒入口2重管B30bの内管9bと外管10bの冷媒は、ある長さ進んだ段階で、凝縮により、ガス冷媒と液冷媒が混在し、一定温度で熱を放出する状態、いわゆる凝縮領域となる。
その後、冷媒入口2重管A30aと冷媒入口2重管B30bを出た冷媒は、合流中間管5bで一箇所に合流され、接続管5cを通り、冷媒出口2重管30cの内管9cと外管10cの間に導かれる。この冷媒出口2重管30cの中でも、温水回路18により、内管9c内を通過する比較的低温の水あるいは不凍液などの熱媒流体は、熱交換され、昇温する。それにつれ、冷媒出口2重管30c内の冷媒は、ガス冷媒と液冷媒の混在した凝縮領域から、液冷媒となったか冷却領域となる。
その後、水冷媒熱交換器5から液冷媒となって流出した冷媒は、減圧手段である膨張弁6にて減圧膨張され、蒸発器である空気冷媒熱交換器7に送られ、送風ファン11にて送られた空気と熱交換して、蒸発器である空気冷媒熱交換器7を通過する間に、蒸発してガス化する。このガス化した冷媒は、再度圧縮機4に吸入され、再度圧縮される過程を繰り返すことで、水冷媒熱交換器5を通過する低温の水あるいは不凍液などの熱媒流体は徐々に昇温される。
その後、昇温された水あるいは不凍液などの熱媒流体は、温水回路18を通り、熱動弁22を通過し、熱媒往き配管3aより、外部放熱器2へと導かれる。この外部放熱器2で放熱することで、再び温度の低下した、水あるいは不凍液などの熱媒流体は、熱媒戻り配管3b、シスターンタンク20を通り、循環ポンプ19より再び、水冷媒熱交換器5に送られ昇温させる、という動作を繰返し、外部放熱器2による放熱で居室の暖房が行われることとなる。
循環ポンプ19から送られてくる、比較的低温の水あるいは不凍液などの熱媒流体は、まず過冷却領域で昇温され、次に凝縮領域で昇温され、最後に2分岐となった過熱領域で昇温されて、所定の温度となることとなる。
この状態を模式的に示したのが、図7の水冷媒熱交換器の冷媒状態、及び冷媒温度、熱媒流体温度の図であり、これは一般的概念図である。
そして、これを今回の発明となるヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器5の構成に置き換えて、X軸を水冷媒熱交換器5の長さ方向として、図示したのが図8である。X軸は、熱量ではなく長さ寸法なので、図7記載の線図とは異なり、実際の温度分布を示したものである。これは、実際に作成した水冷媒熱交換器5の外管10a、10b、10cの外面温度を測定したもので、ほぼ冷媒の温度と考えて差し支えない。
右方に冷媒入口側を、左方に冷媒出口側とし、X軸を水冷媒熱交換器5の冷媒入口側からの長さ方向としている。この長さはデータを採取した水冷媒熱交換器5の長さを示したもので、今回の発明内容で決めているものではない。
図8でわかるように、今回のヒートポンプ温水生成装置の水冷媒熱交換器5においては、2分岐となっている冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30b部分では、冷媒
入口側が過熱領域となり、略中間部より管接続部分である合流中間管5bまでは凝縮領域、2分岐から1分岐となった、冷媒出口2重管30c部分では、凝縮領域から過冷却領域となっていることがわかる。
また、図8でわかるように、冷媒入口側の冷媒入口2重管(冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30b)の長さは、冷媒出口側の冷媒出口2重管30cの長さよりも長くしてある。
この際に、冷媒温度の高い、過熱領域から凝縮領域である冷媒入口側については、2分岐の構成とするとともに、冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bに関しては、内管9a、9bの外方は外面凸状突起物入口31として、単位長さ当たりの表面積を、冷媒出口2重管30cの部分よりも大きくしてある。
また、冷媒入口2重管A30a及び、冷媒入口2重管B30bに関しては、冷媒の流れる内管9aと外管10a、及び内管9bと外管10bの平均間隙寸法eを、冷媒出口2重管30cの部位よりも狭小としてある。
そのため、冷媒の比較的高温領域において、単位長さ当りの表面積を上げることは、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
また、冷媒の流れる内管9aと外管10a、あるいは内管9bと外管10bの平均間隙寸法eを比較的狭小とすることは、ガス冷媒の流速を上げることとなり、熱交換効率を向上させることができる。
その際には、冷媒圧損の大きなガス冷媒の領域にて、冷媒圧損が高くなることが懸念されるが、ガス冷媒から、ガス冷媒と液冷媒の混在している領域にかけて、2分岐とすることで、2重管1箇所あたりの冷媒量が減ずることで、冷媒圧損を低く抑えることができる。
このことは、圧縮機4の入力低減を図ることが可能となり、COP性能の向上に結びつけることができる。また、圧縮機4の入力低減は圧縮機周波数のダウンにもつながり、圧縮機4騒音の低減も実現できる。
ヒートポンプ温水生成装置の室外機1が運転を行っている際に動作するアクチュエータは、圧縮機4と、循環ポンプ19、送風ファン11(モータ)、膨張弁6であり、この中で、圧縮機4、循環ポンプ19、送風ファン11の三つが主たる騒音源となり、特に圧縮機4が最も大きな騒音源となる。
また、電力を消費しているのは、最も消費電力の大きな圧縮機4であり、これの入力を低減できることは、省エネに大きな効果が望めることとなる。
また、水あるいは不凍液などの熱媒流体の流通する内管9a、9bに関しても、内径を比較的狭小とし、内面凸状突起物入口31を設けていることで、乱流が促進され、熱交換効率の向上が図れる。
ただし、内径が狭小、乱流が促進されることは熱媒流体側の圧損の増加を招く恐れがある。それに対して、2分岐としてあることで、冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bを流通する、熱媒流体の流体質量流量が小さくなることで、熱媒流体側の圧損を低減することができる。
一般的に熱媒流体側圧損ΔPfは、ファニングの式が用いられ、管内平均流速u=V/(π・D2/4)(m/s) V:流体質量流量(m3/s) D:内径 レイノルズ数Re=ρ・u・D/μ(無次元数) ρ:流体密度(kg/m3) μ:粘性係数(Pa・s) 管壁の粗度e/D 無次元数:e[mm]/D[mm])とした場合、層流範囲(Re<3×103))では、ΔPf=32・μ・L・u/D2、乱流範囲(5000<Re<108)では、スワミー・ジェインの式により、ΔPf=2・f・L・u2/(ρ・D)=4・(f・(ρ・u2/2)(L/D) この際のf=0.25/[(log((e/D)・(1/3.7))+(5.74/Re0.9))]2となる。
このことは、熱媒流体側の圧損は、配管の長さに比例し、内径の径の反比例し、内管の内面凸状突起物入口31の形状で決まる粗度の対数に比例し、流体質量流量に関しては二乗に反比例するよりも若干小さくなることを意味している。また、水の粘性係数μは、温度が上がると低下する。10℃で1.5×10−3Pa・sから、
55℃では0.6×10−3Pa・sと半減する。そのため、冷媒入口側(熱媒流体出口側)では、水あるいは不凍液などの熱媒流体は加熱され高温となっているので、熱媒流体側の圧損は低下する方向である。それに対して、冷媒入口側(熱媒流体出口側)の内管9a、9bの内径φcを、冷媒出口側の内管9cの内径φdよりも小さくしていても、熱媒流体側の圧損が増すことにはならない。
熱交換効率を上げるために、乱流促進を図ることは、熱媒流体側の圧損を増加させることにつながるが、多分岐構成として、流体質量流量を減じていることが、圧損の増加を防ぎつつ、熱交換効率の向上を実現できることとなる。
一般的に、熱媒流体の流速は、潰食を防ぐために、2m/s以下、できれば1.5m/s以下に設定される。今回は、内管9a、9bの内径φcは、小さくしても2m/s以下は満足する径としてある。その際にも、2分岐としていることで、1分岐当たりの流体質量流量を減らすことで、内径9a、9bの内径φcを小さくしても、低流速に維持しつつ、熱交換効率を高めることが可能となる。
また、凝縮領域から過冷却領域である冷媒出口2重管30cの部分に関しては、過熱領域から凝縮領域よりも、分岐数を減じていることから、冷媒出口2重管30cにおいては、内管9cと外管10cの平均間隙寸法fを、冷媒入口2重管A30a及び、冷媒入口2重管B30bの、冷媒の流れる内管9aと外管10a、及び内管9bと外管10bの平均間隙寸法eよりも、同等もしくは広くし、冷媒圧損が高くならないようにしてある。
実際は、凝縮領域から過冷却領域にかけては、液冷媒となっている箇所もあるために、冷媒圧損は低くなる。そのため、分岐数は減じているが、平均間隙寸法fは、eと同等もしくは、幅広とするだけでよい。
また、冷媒出口2重管30cの内管9cの外面凸状突起物入口32の単位長さ当たりの表面積を、内管9a、9bの外方の外面凸状突起物入口31の単位長さ当たりの表面積よりも小さくしているが、凝縮領域から過冷却領域であるために、効率が低下を抑えることが出来、上述した冷媒圧損を低減できる効果のほうが大きい。
このことは、圧縮機4の入力低減を図ることが可能となり、COP性能の向上に結びつけることができる。また、圧縮機4の入力低減は圧縮機周波数のダウンにもつながり、圧縮機4騒音の低減も実現できる。
また、冷媒出口2重管30cの内管9cの内径φdは、冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bの内管9a、9bの内径より大きくしてあり、内面凸状突起物出口3
4も内面凸状突起物入口33より単位長さ当たりの表面積を同等もしくは小さくしている。
これは、分岐数の減じた冷媒出口2重管30c側で、乱流促進を行い、熱媒流体圧損が高くなることを防ぎ、2分岐である冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管30cを流通する際の熱媒流体圧損と同等もしくは低下させるためである。
それにより、熱交換性能が悪くなる恐れがあるが、凝縮領域から過冷却領域であるために、大きな影響はない。
このことは、循環ポンプ19の動力低減による消費電力の減少、騒音の低減につながり、使用性に優れたヒートポンプ温水生成装置とすることが可能となる。
また、図1で記しているように、水冷媒熱交換器5を、螺旋状に多段に重ねた形状としていることで、室外機1内への収納が稠密に納まることとなり、ヒートポンプ温水生成装置の室外機1そのものをコンパクトにすることが出来る(冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30b、冷媒出口2重管30cの配置は、図1を参照)。
さらに、螺旋状に巻いたうち、冷媒入口側である冷媒入口2重管A30a、冷媒入口2重管B30bを上方に、冷媒出口側である冷媒出口2重管30cを下方に配していることで、冷媒に関しては、ガス冷媒から液冷媒になるにつれて、上方から下方へ流通し、下方にて液冷媒の状態となるために、液冷媒の搬出がスムーズに行われることとなり、冷媒圧損の低減、圧縮機4入力低減となる。
不凍液などの熱媒流体については、下方から上方へと流通する過程で加熱、昇温され、上方で高温の水あるいは不凍液などの熱媒流体となり、質量密度の低い高温の水あるいは不凍液などの熱媒流体が上方にあることで、浮力も加わり、循環ポンプ19の動力を低減できることともなる。
以上のように、この構成の水冷媒熱交換器5とすることで、熱交換効率の向上による性能向上、冷媒圧損の低減による圧縮機入力の低減とそれに伴う圧縮機駆動音の低減、熱媒流体圧損の低減による循環ポンプ19駆動入力の低減及び、外部放熱器2などの負荷に対する循環ポンプ19の必要揚程の低減、それに伴う循環ポンプ19騒音の低減を実現でき、使用性に秀でたヒートポンプ温水生成装置とすることができる。
まとめて記載すると、冷媒入口側(熱媒流体出口側)を2分岐(もしくはそれ以上の多重分岐)とし、冷媒出口側(熱媒流体入口側)を冷媒入口側よりも分岐数を減じた構成とすることが、性能向上に寄与し、さらに冷媒入口側(熱媒流体出口側)の内管9a、9b外方に設けた外面凸状突起物入口31の単位長さ当たりの表面積を、冷媒出口側(熱媒流体入口側)の内管9c外方に設けた外面凸状突起物出口32よりも同等もしくは大きくすることで、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、単位長さ当りの表面積を上げることは、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
さらに、冷媒入口側(熱媒流体出口側)の内管9a、9bの内径を、冷媒出口側(熱媒流体出口側)の内管9cの内径よりも小さくすることで、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、熱媒流体の流速を上げることで、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
その際には、熱媒流体の圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、熱媒流体の圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができる。
さらに、冷媒入口側(熱媒流体出口側)の内管9aと外管10a、及び内管9bと外管10bの平均間隙寸法eを、冷媒出口側(熱媒流体入口側)の冷媒出口2重管30cの内管9cと外管10cの平均間隙寸法fよりも同等もしくは小さくしていることで、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、冷媒の流速を上げることで、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
その際には、冷媒圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、冷媒圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができる。また、冷媒入口側(熱媒流体出口側)の内管9a、9bの内面には凸状突起物である内面凸状突起物入口33を複数有し、冷媒出口側の内管9cの内面には内管9a、9bよりも単位長さ当たりの表面積の小さな凸状突起物である内面凸状突起物出口34を有するか、凸状突起物を有しないことで、冷媒入口側は、冷媒圧損の高いガス冷媒の領域から液冷媒とガス冷媒の混在している領域であり、冷媒の比較的高温領域において、熱媒流体の乱流を促進することで、熱伝達率を上げることとなり、水あるいは不凍液などの熱媒流体の昇温が効率的に行われることとなる。
その際には、熱媒流体の圧損の増加が懸念されるが、冷媒入口側は多重管としていることで、熱媒流体の圧損を抑えつつ、熱交換効率の向上を図ることができるなど、熱交換効率の向上と熱媒流体の圧損低減の両立を図ることができる水冷媒熱交換器となる。
ところで、今まで、冷媒入口側(熱媒流体出口側)を2分岐とし、冷媒出口側(熱媒流体入口側)をそれよりも分岐数を減ずる内容で説明を行ってきたが、これはより多分岐であっても構わない。これを記したのが、図8の、ヒートポンプ温水生成装置の冷媒回路、温水回路図である。
このように、冷媒入口側(熱媒流体出口側)の過熱領域から凝縮領域にかけて、流路が複数ある多重に分岐した2重管とし(図では3分岐としている)、冷媒出口側(熱媒流体入口側)の凝縮領域から過冷却領域においては、過熱領域から凝縮領域よりも分岐数の少ない2重管(図では2分岐としている)とすることで、同じ効果が得られる。
つまり、熱交換効率の向上による性能向上、冷媒圧損の低減による圧縮機入力の低減とそれに伴う圧縮機駆動音の低減、熱媒流体圧損の低減による循環ポンプ19駆動入力の低減及び、外部放熱器2などの負荷に対する循環ポンプ19の必要揚程の低減、それに伴う循環ポンプ19騒音の低減を実現でき、使用性に秀でたヒートポンプ温水生成装置とすることができるわけである。
これは、冷媒回路の必要となる能力に応じて分けるのが望ましいといえ、高能力であれば、より多分岐とすることで冷媒圧損や熱媒流体圧損の低減しつつ、性能向上を図ることが可能となる。
その際にも、冷媒入口側(熱媒流体出口側)の分岐数よりも、冷媒出口側(熱媒流体入口側)の分岐数を減じておくことが必要なことである。
ただし、コスト面や収納性(コンパクト性)の面では分岐数が少ない方が有利であることは言うまでもなく、分岐数が極力少ない数で性能を出す方が良い。
また、今までは冷媒としてR410Aあるいは、R407Cを用いた場合を説明してきている。R410AやR407Cの場合は、図8、図10で示すような、凝縮領域がある。
たが、ヒートポンプ給湯機としてしばしば利用される二酸化炭素の場合は、超臨界圧状態で運転されるために、凝縮領域のない状態となる。また冷媒圧損も、R410AやR407Cに比すと大幅に小さなものとなる。
そのような、二酸化炭素冷媒においても、冷媒入口側から冷媒出口側にかけて、熱媒流体に熱が取られることで、温度は低下していくことは同じである。また、熱媒流体に関しては、熱媒流体側の圧損を低減しつつ、熱交換効率を上げることは必要なことである。
このことから、冷媒入口側を多分岐として、冷媒出口側を冷媒入口側より分岐数の少ない配管構成とすることは、同様の効果があるといえる。ただし、熱米流体の入口側温度と出口側温度差が比較的小さいときは、二酸化炭素冷媒を用いると、効率的とはならないので、入口側温度と出口側温度差が比較的大きい際には有効である。